タイトル:【協奏】交響曲1.孤狼マスター:村井朋靖

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 7 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/06/21 05:39

●オープニング本文



 風祭・鈴音(gz0344)は、トリイ基地にあり。
 そんな情報が寄せられてきたのは、嘉手納基地攻略からまもなくしてからだ。元々嘉手納基地には「鈴音に関する情報が保管されている」という情報があったからこそ攻撃を敢行したわけだが、案の定それは嘘であり、基地には何の情報もなかった。
 だが、こちらが何かするまでもなく、鈴音は紅いフォウン・バウを駆り、周辺の村を焼き払うとトリイ基地に帰還していったという事だ。
「嘉手納基地での戦闘が響いたのか、山城カケルのBF他多数戦力が後方基地まで下がっており、トリイ基地までの道のりは丸裸といっても過言ではありません」
 そう述べるのは、作戦指揮を担当するソウジ・グンベ(gz0017)少佐だ。
「厄介な3姉妹も後方に引っこんでいる以上、ここで攻めないのは愚の骨頂と言えます」
 このソウジの熱弁に動かされるように、上層部はトリイ基地攻略作戦を発令。
 ここに、トリイ基地‥‥そしてゼオン・ジハイドの11を相手取った一大決戦の幕が切って落とされたのである。


 連勝で浮き足立ったまま突入した嘉手納基地の戦闘で裏を掻かれたせいか、今のUPC沖縄軍は適度な緊張感に包まれていた。
 何よりもギリギリで敵の目的達成を阻止できたのが大きい。この結果がなければ、今頃お通夜のように静まり返っていただろう。ソウジの護衛を任されていた杉森・あずさ(gz0330)は「ホントに無事でよかったよ」と胸を撫で下ろしながら、当時のことを語る。それを隣で聞いた当の本人は「俺はまだ戦えますし、大丈夫ですよ」と余裕の笑顔。あずさは、彼の明るい表情に救われた。
「それで、今回はラルフに仕返しするチャンスをくれるんだって?」
「ええ。情報の確認をしていますが、トリイ基地の守将はラルフらしいので‥‥」
 黒き孤高の暗躍者として名高く、指揮官としても才能を如何なく発揮するラルフ・ランドルフ(gz0123)が相手とあらば、こちらも遠慮はいらない。
「悪いけど、存分に暴れさせてもらうよ。必ずラルフを仕留めてみせるから」
 不敵な笑みを浮かべるあずさに対し、ソウジは困惑した表情を浮かべる。どうやら彼女のご希望に応えられる作戦ではないようだ。
「ラルフにリベンジしたい気持ちは痛いほどわかりますが‥‥今回は重要拠点の破壊を優先してもらおうと思ってます」
 鈴音の本陣・トリイ基地は、まさに虎口である。
 そこであずさを含めた傭兵部隊に先陣を切ってもらい、その後をソウジが率いるUPC沖縄軍が追従。重要施設や作戦拠点を潰しながら進むのが、今回の作戦だ。
 基地周辺の制圧は、UPC沖縄軍のKV部隊が別の上役の指揮で行う手はずになっている。大型の戦力はある程度までなら、彼らに任せることができるそうだ。
「つまり、ラルフは無理に倒さなくていいってこと?」
「そうです。俺たちの仕事は、限られた時間でトリイ基地の機能を喪失させることです」
 鈴音搭乗のフォウン・バウは、まさに強敵。沖縄最北端に陣取る3姉妹が合流でもしようものなら、一転してピンチに陥る。
 それを把握した上で上層部は軍を分けたのだが、トリイ基地の制圧作戦に帯同するKV隊は、いろんな意味でギリギリの数しか用意できなかったそうだ。
「もしかすると、タートルワームやRex−Canonも、皆さんで対応することになるかと」
 3姉妹の介入を防ぎ、トリイ基地の機能を喪失することで、鈴音との決戦をサポートする。これが軍の基本方針だ。
「わかった、ラルフとの決着はソウジさんに預ける。その代わり、憂さ晴らしに亀とか恐竜、重要拠点は好きにさせてもらうよ」
「俺も皆さんの援護をします。現地では何でも言ってください」
 トリイ基地制圧は、開始前から激戦になる様相を呈していた。


 今回、ラルフはトリイ基地の守将として、傭兵たちを迎え撃つ立場となる。
 もしトリイ基地が敵の手に落ちれば、鈴音は孤立無援になるだろう。3姉妹の介入も阻まれれば、いかにフォウン・バウが高性能でも、撃墜されてしまう恐れがあった。
 しかし、ここもまた嘉手納基地と同じく、防衛を可能にするだけの十分な兵力が用意されている。トリイ基地を制圧するのは、どれだけ厳しく見積もっても「難しい」とラルフには思えた。
「各員に告ぐ。管制塔、通信施設など、主要施設の守りを固めておけ。敵を見つけたら、積極的に攻めろ。もし防げないと思えば、すぐに救援を呼べ」
 ラルフは愛用のサバイバルナイフを手に持った瞬間、かつての部下であるハルハナにナイフ戦術を指南したことを思い出した。それは雑音のない、クリアーな記憶‥‥彼女もまた、こんな風に戦いの時を待ったのだろうか。
「連中の侵入を阻むためなら、ワームの使用も許可する。手段は選ぶな、全力で行くぞ」
 感傷に浸っている暇はないとばかりに、彼は言葉を続けた。
「基地機能の喪失は何としてでも避ける。危機的状況に陥れば、俺を呼べ。以上だ」
 指揮官自ら事態の収拾を図ることも辞さぬという覚悟を見せつけ、彼は通信を締め括った。

●参加者一覧

須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
リュイン・グンベ(ga3871
23歳・♀・PN
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
百地・悠季(ga8270
20歳・♀・ER
風閂(ga8357
30歳・♂・AA
メシア・ローザリア(gb6467
20歳・♀・GD

●リプレイ本文

●戦いの前に
 風祭・鈴音(gz0344)の居城・トリイ基地を前に、UPC沖縄軍の面々が息を潜める。
 彼らの先頭に立つのは、ここまで戦いを引っ張ってきた傭兵たちだ。彼らが武器を振るい、基地の主要施設を破壊するための道を切り開く。

 基地内の戦力を誘き寄せる陽動班は、男性陣が担当。地元沖縄を救わんとする侍・風閂(ga8357)の鼻息も荒く、本作戦に対する気持ちも強い。
「これで終わるといいのだが。故郷が解放に近づいている、と思っていいのだろうな」
 そう呟けば、施設の破壊工作を指揮するソウジ・グンベ(gz0017)が「前進させます、必ず」と力強く語り、部下の士気を高揚させる。
「ラルフのこともあるだろうが、しっかり頼む」
 それを聞いた終夜・無月(ga3084)は「渡嘉敷大尉に負けない活躍が必要ですね」と微笑む。覚醒して女性的な風貌であるからか、その言葉は素直に受け止められた。
「うむ、さすが男性班。色気がないな」
 率直なご意見を誰かに聞かせたいのか、UNKNOWN(ga4276)は不意に呟く。帽子の位置を直しつつ、照りつける太陽をふと見上げた。
 すると、杉森・あずさ(gz0330)が申し訳なさそうな表情で現れる。
「あの、さ、さすがにさ。今日の任務で、バニーちゃんは無理だから‥‥今回はこれで勘弁してよ」
 以前、紳士の期待を見事に裏切ったあずさは、複数の傭兵からお説教を頂戴した。しかし今回の依頼は真剣そのもの。さすがにふざけた格好はできない。
 それでも彼女は「罪滅ぼしをしなくては」と知恵を絞り、今回はウサギのヘアバンドのみを着用。ゆくゆくは「約束を守る」と宣言した。
「なるほど。そういうことなら、今後に期待しようか」
 あずさはホッと胸を撫で下ろしてヘアバンドを取ろうとすると、メシア・ローザリア(gb6467)がそれを阻止した。
「あら、まだよろしいんじゃなくて?」
「メ、メシアさん! もう、いじわるしないでよ‥‥」
 うら若き女性陣は、積極的に施設破壊を担当。メシアは「美と、愛で、基地を混乱させる」べく、今日は黒のドレスと銀のティアラで味方をも魅了する。
 あずさは「美はお任せね」とばかりにヘアバンドを取り、最前線に復帰した百地・悠季(ga8270)の元へ。そこで娘の写真を見せてもらった。
「時雨ちゃん、だっけ。かわいいわね」
「いずれはあずさも考えなきゃいけないわよ。それはあちらさんもかしら?」
 一児の母はそう話し、ふとリュイン・カミーユ(ga3871)に視線を向けた。彼女もまもなく、夫を得る。
「じっくりお話を聞きたいわ。そのうちにね」
 あずさはふと本音を漏らすと、ソウジから集合がかかった。いよいよ作戦開始である。トリイ基地の動きを制限するためのKV部隊が攻撃を開始。敵が応戦の構えを見せると同時に突入となった。

●二軍の活躍
 作戦遂行は2時間。可能な範囲で施設の破壊を行い、鈴音の支援を妨害する。
 基地の大まかな構造は、過去の地図や風閂の知識が役に立った。UNKNOWNは地図を縦横に各26分割し、アルファベットで表現。男性陣が向かう通信室を0、女性陣が目指す「動力部・武器庫・格納庫・管制塔」を1から順に割り振り、通信時の簡素化を図る。

 風閂の進言で、まずはトリイのある真正面から突入。
「ぶっ倒れるまで戦う覚悟はできている。来い!」
 敵に名乗りながら走り続け、注目を集める。そして愛刀・国士無双を抜き、敵が迫ったところを返り討ちに。駆け寄ってくる兵士に対してはソニックブームで牽制する。
 怯んだ敵に対して、頑強な装甲に身を包む須佐 武流(ga1461)が、洋弓「レルネ」で追撃。確実に数を減らす。さらに美しい銀髪を揺らしながら、無月が風閂より前へ躍り出た。
「通り名のとおり‥‥暴れさせて貰う‥‥」
 聖剣「デュランダル」の魅力に負けず劣らずの動作、そして覇王の意気で兵士を圧倒。剣を振り切ると同時に身を捻らせ、次の敵に蹴りを食らわすトリッキーな動きで敵を惑わせる。
 ひとまず探査の眼を発動させて周囲の様子を伺うUNKNOWNに、ソウジは「よろしく」と声をかけ、女性陣が最初に目指す動力部へと急ぐ。
 警報の鳴り響く中、兵士に混ざってキメラが現れたが、傭兵にとっては準備運動のうちか。悠季がバイブレーションセンサーで周辺の状況を感知。後ろに控える歩兵部隊にそれを伝え、有効な情報があれば随時提供してもらう。
 リュインは周囲に注意を払い、監視カメラの類は片っ端からエネルギーガンで破壊。
「数が多いか。しかしタダで見られるのは、もっと気に入らんのでな」
 あずさも「ごもっとも」と言いながら、キメラを斬りまくる。
 メシアは防御的な意味合いで、探査の眼を使用。敵の不意打ちを防ぐ。手には指揮棒型の超機械「グロウ」を持ち、優雅な前進を阻む野暮な男たちの身を焦がす。
「さぁ、踊りなさいな。悪い子には鞭が必要よね?」
 陽動班の進攻が激しいためか、防衛側に勢いがない。女性陣はすんなりと動力部へと突入。ここで強敵と言うべき指揮官級のバグアが出現した。
「所変われば、品変わるってね」
 悠季は微笑みながらエネルギーキャノンを構え、周辺の施設を巻き込むようにして発砲。破壊とは、なんと楽なことであろう‥‥そんな皮肉が誰の脳裏にもよぎった。
 リュインは瞬天速で指揮官に接近、勢いそのままに鬼蛍で斬りつける。
「エスコート代だ、しっかり壊せよ」
 軍の兵士に仕事を任せると、彼女はそのまま決戦へ。ところが彼女の隣に、思わぬ援軍が現れた。ソウジだ。
「部下が行ってこいとうるさくてな」
「なるほど‥‥ソウジもしっかりな!」
 敵の攻撃を受け流しつつ、リュインが反撃。その隙間を埋めるかのごとく、ソウジが前へ。押され気味の指揮官が渾身の力を込めて斧を振り下ろすも、スキュータムを構えたメシアが弾き落としでガードする。
「あら、お邪魔したかしら?」
 思わずリュインが素の表情を見せると、それを見たソウジが笑みを浮かべながら「いえいえ!」と返答。小気味のいいテンポで戦闘は進んだ。

●通信室前の激闘
 その後、女性陣は動力部の破壊に成功。そのまま武器庫へ向かうとの連絡が、陽動班に届けられた。
 陽動班も派手な立ち振る舞いを心がけつつ、通信室の目前に迫る。しかし運悪く、2体のタートルワームが出現。紫煙の軍師は通信室への距離を確認し、風閂に声をかける。
「風閂、軍を先に。中は任せた」
 彼に歩兵部隊の誘引を任せ、練成治療を二度ほど施す。風閂は「任せろ!」と答え、兵士を守りながら中へ。
 その間、強敵は3人が引き受ける。武流は弾頭矢を番え、向かって左の敵を狙って攻撃。矢が突き刺さるたびに爆破が起こるが、敵に動物的な反応はない。このことから乗組員がいることは明白だが、そんなことは誰もがわかっていた。
 UNKNOWNは周囲に散る敵を超機械「カルブンクルス」で撃ちながら、ふらりと前進。武流の狙いと同じTWを射程に収め、頭部や武装の根元を徹底的に狙う。
「まぁ、並のパイロットなら視線が上に向くだろうね」
 火炎弾に踊らされているうちは仕方なく我慢するが、相手に隙ができれば反撃したくなるもの。そんな心理を嘲笑うかのように、無月が瞬天速で駆け抜け、前脚を十字に切り裂く。敵はあっという間にバランスを崩し、満足な動きができなくなった。今度は武流が逆の脚に狙いを定めると、前のめりになって地面に倒れる。
「この機は逃さない」
 無月は大きく宙を舞いながら両断剣・絶を発揮。そのまま絶大な力を帯びた聖剣を振り下ろし、すべてを叩き割らんとする。UNKNOWNも傷ついた脚を集中的に狙ってフォロー。速攻で1匹を仕留めた。
「白煌の覇王はここだ‥‥」
 巨大な兵器をも圧倒する迫力を演出した彼らに、兵士やキメラはしばし動けず。ただ、もう1匹のTWは別だ。無謀とわかっていても、戦わねばならぬ時はある。
「士気のためとはいえ、大変だね。そちらも」
 紳士は相手の心中を察する余裕を見せながらも、目配せで武流と無月に合図を送る。もう1匹も同じ運命をたどるのだろう。それは火を見るよりも明らかだ。

 風閂は詰めていた強化人間と対峙。両断剣を駆使して、勝負を有利に持ち込む。
「誰であろうと蹴散らす!」
 この場は兵士たちも彼の支援に回り、手厚く援護。なんとか難敵を撃破すると、風閂は通信員に鋭い視線を向けた。
「まだやるか! さっさとかかってこい!!」
 彼の覇気に気圧された兵士は、算を乱して逃げていく。しかしここにたどり着くまでに、風閂も傷ついていた。彼は活性化を使い、傷を癒す。
「だ、大丈夫ですか、風閂さん!」
「ふうっ‥‥まだだ。時間はまだ半分も残っている。ここは皆の出番だ。頼んだぞ」
 自分のことはいいと、兵士に破壊活動を願い出る。ふと窓を見れば、TWがもう1体倒れるのが見えた。
 それとほぼ同時で、UNKNOWNが到着。風閂の傷を見て練成治療を使い、効果の消えた探査の眼を再び発動させる。
「女性陣は武器庫に到達した。まだ手薄なようだから、こちらで派手に暴れるつもりだ」
 UNKNOWNはそう言いながらも、火炎弾を随所に撃ち込む。どうやら配電設備のあたりを狙ったらしい。部屋の明かりが一度消え、またついたかと思うと、さらに別の場所を射撃。今度こそ光は消え、周囲が薄暗くなった。
「さすがですね」
「こういったものは、知識や経験があれば敵ではなくなるよ。むしろ人の方が手強い」
 風閂は「そういうものですか」と笑いながら、再び国士無双を構えた。そう、彼もまた敵の前では手強い戦士のひとりである。

●格納庫の誤算
 1時間以上が経過したが、女性陣の進攻は予想以上に早かった。
 武器庫の破壊も済ませ、次は格納庫‥‥と思ったが、ここでUNKNOWNから情報伝達による通信がメシアに届けられる。
「AJ3‥‥格納庫はCN3でしたわね」
 それを聞いた悠季が、後ろの兵士に現在地を確認。すぐに「DCです」との答えが聞こえた。
「迂回路よ。陽動班が相手してる敵が、そっちに行ったのかもしれないわね」
 おおっぴらに言わないということは、すぐに伝えたいことなのだろう。リュインも「指示に従おう」と話をまとめ、指示に従った。
 その後も悠季のバイブレーションセンサーのおかげもあって、なんとか格納庫に到着。しかしこの頃、無傷の者は誰ひとりとしていなかった。リュインとメシアが練成治療を施すも、万全の態勢を維持するまでには及ばない。風閂よろしく、こちらも気迫の出番と相成った。
 しかし、ここで難敵が登場。ついにレックスキャノンが姿を現す。
 正確に表現するならば「最初からいた」というのが正しい。ここは何しろ格納庫。不運にも出撃前の1匹が残っていたのだ。またキメラの数も尋常ではない。
「恐竜の足止めをするわ。援護をお願い」
 悠季は危険を承知で足元まで移動し、呪歌を奏でる。狙いはもちろんRC‥‥の操縦者。サポートにはあずさが回る。
「時雨ちゃんに怒られるのはやだからね」
 不意に恐竜の動きが止まったところを、拳銃に貫通弾を装填し終えたリュインが瞬天速で迫る。
「勝負を賭ける場面だな!」
 すぐさま瞬即撃を使い、怨念のごとき赤色で存分に肌を切り刻む。さらに身を穿つ弾丸を浴びせれば、太古の叫びが格納庫に響き渡る。
 メシアは歩兵部隊に「派手な爆破をお願いしますわ」と注文。自らはあずさと同じく悠季の元へ駆け寄る。そして超機械でキメラを退治しつつ、盾で味方をガード。必要とあれば弾き落としを使う。
「この場は、狂暴に暴れていただく方がありがたいですわ」
 RCの気が触れてプロトン砲を撃って大暴れ‥‥を期待したが、どちらかといえば撃破の方が早く片付く様相である。
 ソウジも恐竜退治に加わり、なんとか格納庫破壊の目処は立ったが、大幅に時間を食ってしまった。さらにこちらへ向かっていた敵が合流。女性陣は管制塔へ向かうことをすんなり諦め、退路を確保する戦いに切り替えた。

●恨みの孤狼
 女性陣の状況を伝え聞いた陽動班は、退路を開くべく行動を開始した。
 管制塔は格納庫に向かう途中に位置するが、時間的な余裕がないと判断。また敵に「攻め時である」と悟らせると、本当に退路を絶たれてしまう恐れもある。
「残す施設がナンバー4だけなら、特に問題はあるまい」
 UNKNOWNがそう分析し、仲間や兵士たちに「目標の達成」を印象付けた。未練を残して救出はならず。彼はそう考えた。
「もう敵に隠し立てする必要はない。通信で彼女たちを安心させたまえ」
 通信役の兵士に指示を出し、陽動班は思い切って前進。女性陣のエスコートに向かう。

 男性陣の勢いは覇王の進軍のごとし。無月を先頭にぐいぐいと前に進む。
 前進の最中、ナンバー4の管制塔の様子がわずかに見えた。ここはすでに巨亀や恐竜で脇を固めており、もはや難易度は最高レベルに達している。鈴音の援護を考えれば、まずここを防衛するのは自然の流れだ。ここは順番を違えずに攻めた傭兵側に軍配が上がったといえよう。

 だが彼らには、最後の困難が待ち受けていた。
 運悪く、ラルフ・ランドルフ(gz0123)が率いる部隊と遭遇してしまったのだ。しかし脇を固めるのは腹心ではなく、ただの護衛兵。どっちにも不運な展開に、ラルフは思わず唇を噛む。
「これはなんたること‥‥」
 武流は接近戦用の装備にチェンジし、すかさずラルフに照準を合わせた攻撃に打って出る。
 瞬天速で適度な距離を保ち、その場でジャンプ。そのままドリルのように回転を加えたキックを放つ。これには真燕貫突が付与されており、文字通りの必殺技であった。
「たまには正面から攻撃を受けてはどうだ?」
 これは食らえぬと、ガードするラルフ。しかし二度目の攻撃で、左の大腿部を抉られてしまった。
「ぐうっ! お、おのれっ!!」
 感情的になったラルフの攻撃は、むなしく空を切るばかり。武流は瞬天速を用い、敵を翻弄しながら次のチャンスを伺う。
 その間にUNKNOWNが取り巻きを倒し、無月と風閂が血路を開いた。その先には女性陣たちの姿が見える。これで味方の合流は達成された。
「ソウジ‥‥お前の命は必ず俺が‥‥」
 ラルフが不用意に飛び出した原因、それはソウジの情報を得たためであった。
 しかしこれだけ傷つけば、満足に戦えるわけがない。彼は今回の決着を諦め、TWに前進を指示。自らは後ろに下がる。
「長居は無用だ! 時間も迫ってる‥‥行くぞ!」
 風閂が女性陣に声をかけ、再び正面からの脱出を開始。豊富な兵力に悩まされながらも、なんとか虎口を脱した。

 トリイ基地の機能はほぼ停止し、鈴音に満足なフォローはできない。成果は上々といえるだろう。