タイトル:レッツ・パーティー!マスター:村井朋靖

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/04/25 21:08

●オープニング本文


●反撃の狼煙
 昨年末に沖縄で起こったミク・プロイセン(gz0005)の誘拐事件から、しばらくの時間が経った。
 メディアを使った脅迫やミク本人からの証言もあり、現時点で沖縄侵攻を仕掛けるバグア・榊原アサキ(gz0411)の存在が浮上。兵士の中には熱狂的なミクファンが少なからず存在し、「今すぐにでも反撃すべし」という強硬論を訴える声もあった。
 しかし敵組織もしっかり計画を立て、堂々とUPC沖縄軍にケンカを吹っかけている。上層部は「いくつもの罠を仕掛けている可能性が否定できない」とし、しばし反撃を見送った。
 その大きな理由のひとつとして、大量のキメラをさっと集めた点が挙げられる。おそらくバグア軍の沖縄基地周辺にキメラプラントがあり、フル稼働させるなりして戦力を整えたのだろう。
 前回の作戦では「キメラの撃破を無理にしなくていい」と能力者に伝達したため、今も大量のキメラがアサキの手の内にあるはずだ。これを逆襲の戦力として充当、もしくは追加されると非常に厳しい。それに現在は北極で激しい戦闘が行われており、むやみに重大な事態を引き起こすのはよくないと判断。年が明け、季節が変わっても、UPC沖縄軍は沈黙を続けた。

 もちろん反撃を拒んでいたわけではない。自軍に有利なタイミングを見計らい、じっと我慢していたのだ。
 それがようやく実を結ぶ。情報部から「例の基地にキメラが置きっぱなしになっている」との報告を受けると、上層部は敵本隊と合流する前に殲滅することを決定。
 以前の作戦にも参加した杉森・あずさ(gz0330)を呼び寄せ、秘密裏に傭兵たちの協力を求めた。
「ふーん。前の基地に、今度はKVで強襲ね。私はいいと思うよ。こっちは沖縄軍の腰が抜けたのかと思って心配してたんだ」
 いきなり強烈なダメ出しを食らい、窓口となる兵士も「こりゃ手厳しい」と困惑の表情を浮かべながら頭を掻く。
「なんでも、アサキが留守らしいんです。だから既存の戦力以外に増援は来ないだろうと‥‥」
「そうは言っても、並以上の戦力は揃ってるんだから油断はできないね。基地にいるキメラを倒してからが本番って認識でいいかな?」
 兵士は「用心に越したことはないでしょうね」と答え、彼女の見方に同調した。
「我々は基地の機能を破壊するために活動しますので、傭兵の皆さんにはバックアップをお願いします」
「バックアップなのに前線で戦うんだから、よくわかんないね。ま、こっちはこっちのやり方でやらせてもらうよ」
 久々の陸戦に心躍るあずさ。ひとつだけ残念な点を挙げるとすれば、榊原アサキが不在という点だろうか。
 春を迎えた沖縄は、また新たなる局面を迎えるのであった。

●敵の出方
 一方のバグア軍は、アサキから基地を襲撃された場合の戦術を授かっていた。
 目標にされるであろう基地はキメラをフル稼働させて時間を稼ぎ、タロスとゴーレムの到着まで持たせる。UPC軍に「強敵現る」をアピールし、そのまま戦闘を継続。もし前線が劣勢になっても増援は出さず、後ろの基地は防御を固めて守れ‥‥彼女はそう伝えた。
 被害が人間に恐怖を与えた舞台となった基地ひとつで済むのなら、それでも構わないと言い放つ。
「まだ早いのよ、パーティーには。そうでしょ、傭兵さん‥‥?」
 いくら舞踏会とはいえ、主役抜きでは盛り上がるまい。その辺はアサキも心得ていた。今はまだ、お城へ向かう途中。手荒い歓迎は、その時でもいい。彼女はその時が来るのを楽しみにしていた。

●参加者一覧

飯島 修司(ga7951
36歳・♂・PN
天小路桜子(gb1928
15歳・♀・DG
フローラ・シュトリエ(gb6204
18歳・♀・PN
御守 剣清(gb6210
27歳・♂・PN
メシア・ローザリア(gb6467
20歳・♀・GD
ヨハン・クルーゲ(gc3635
22歳・♂・ER
ミリハナク(gc4008
24歳・♀・AA
ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751
18歳・♂・DF

●リプレイ本文

●パーティー再び
 問題の基地を前にして、UPC沖縄軍は準備を整えた。
 能力者が搭乗するKVもまた、ずらりと顔を並べる。ディアブロに乗る飯島 修司(ga7951)は、通信を介して作戦の内容を確認した。
「キメラだけで基地を守るとは思えないのでね。増援にも気をつけましょうか」
 今日のパーティーは二部構成。とっておきのドレスに身を包んだメシア・ローザリア(gb6467)は、愛機「オルレアン」の中でも優雅な微笑みを浮かべる。手に持ったディノテールは、今から始まる苛烈な戦いを意味しているように思えた。
 同じくコクピットで美しさを醸し出しているのは、竜牙乗りのミリハナク(gc4008)。残念ながら榊原アサキ(gz0411)が不在だが、ぎゃおちゃんとともに沖縄へやってきた。
「前回のパーティーの続きに参加できて嬉しいわ。さあ、貴女の舞台で踊ってさしあげますわよ」
 余裕と風格を漂わせる言葉に、ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751)もウォード・スパーダの中から反応を返す。
「まったくです。盛大な出迎え、嬉しい限りだよ‥‥親愛なるバグアども!」
 傍客観者を名乗る少年の呼びかけがキメラたちの耳に届いたのか、いくつもの咆哮が沖縄の風に乗って聞こえた。
「まずは基地の占領に向かうUPC沖縄軍の道を開きながら、私たちは率先して難敵を排除する」
 飯島の言葉を受け、こちらも一斉に行動を開始する。
 機械仕掛けのドレスを纏うお嬢様たちをエスコートするかのように、Blaue Vision搭乗のヨハン・クルーゲ(gc3635)が先頭に立った。
 ここは見渡しのいいアスファルト敷きの訓練場だというが、早くもキメラで覆い尽くされている。さすがのヨハンも一瞬立ち止まった。
「やれやれ、キメラもこれだけ集まると壮観とも思えてきますね」
 後ろからやってきたフローラ・シュトリエ(gb6204)も、愛機・Schneeの中で「うわー」と声に出して驚いた。

 主戦場にKVが並んだところで、改めて敵の布陣を確認する。
 飯島のいう強敵は、基地を背にして左右に立っているタートルワーム。どうやら有人機のようだ。その前で自由気ままにキメラが暴れている。
 UPCからもたらされた情報とほぼ同じであると判断し、飯島は「フェーズ1」の開始を口にした。
「ミリハナクさんたちは、左のTWを牽制してください。我々は一気に右を倒します」
「了解しましたわ」
 まずはTWに向かう道を作るべく、左の敵を御守 剣清(gb6210)がノワール・デヴァステイターで弾幕を張る。敵はお世辞にも大型とはいえぬキメラたちなので、面白いように宙を舞った。
「この見た目以上に、派手な戦いになりそうですね〜」
 開かれたスペースに機盾「ウル」を装備したぎゃおちゃんが進み、背部に設置されたマルコキアスで面白いようにキメラを殲滅していく。さすがは恐竜、合成獣なんて寄せ付けない。
 そこへドゥがTWに近づき、M−SG10を使って牽制を開始。弾丸を撒くと、すぐに移動して距離を取る。こうやって敵を撹乱し、的を絞らせなくするのだ。
 左翼は強敵の排除よりも牽制を、さらにキメラの数減らしが狙いである。3人の連携した動きは、TWの操縦者を惑わすには十分だ。
 亀はウォード・スパーダに反撃の突進を試みるも、十分に距離を取っていたのがドゥに利して軽く避けられた。

 逆に右翼は、TW撃破を目標として動く。
 見た目にも映えるサイファー「櫻姫」に搭乗する天小路桜子(gb1928)は、レーザーガトリング砲で敵を穿つ。そのコクピットからは、知覚のレディ「アスタロト」の姿が見えた。
「この場はわたくしにお任せください」
 フローラは一歩前に進み出ると、同じ武器でキメラの脅威を消し去っていく。そして接近する味方のために、フィロソフィーでTWに牽制した。
 この攻撃は当たらずとも、敵の行動を抑止できるのだが、彼女はしっかりとこの一撃を命中させる。
「お見事です」
 ヨハンがフローラを称えると、自分もTWに接近してお仕事を開始。足元のキメラはガトリング砲で掃除しつつ、亀にはレーザーカノンで対応する。この際、徹底して前足を狙った。
 移動砲台としての機能を奪うことは、対TW戦における基本だ。こういった堅実な攻めは、時間の経過とともにじわじわ効いてくる。
 そこへメシアが、アグレッシブ・フォースで威力を高めたレーザーライフルで亀を狙撃。命中したと見るや、同じ攻撃をもう一度繰り出す。
「二度目はあなたを狙ってみましたけど、いかがだったかしら?」
 自信満々に放たれた閃光は、コクピットを横を掠める一撃であった。操縦士の顔が青くなるのを想像すると、メシアはもう堪らない。オルレアンに鞭を持たせ、地面を軽く叩いた。
 積極的に攻撃を仕掛ける右翼にあって、飯島だけは消極的とも取れる動きに終始。ゆっくりとTWに向かってはいるが、機盾を構えて慎重に前進するだけだった。
 そんな弱気な態度を見れば、敵も喜んで標的にするというもの。右のTWは大型プロトン砲の照準を飯島に合わせ、渾身の一撃を吐き出す。
「歩のない将棋は負け将棋、と申しましてね」
 飯島は「なんとか避けました」という動きを演出し、敵の目を欺いた。
 キメラの大群は小型が多く、どの機体もすべての反撃を避けるのは難しい。さすがに無傷とはいかないが、軽傷と呼ぶのも大げさなかすり傷だ。まずは傭兵が先手を取った。

●ベールを脱いだKVたち
 飯島がTWに向かっての突撃を敢行する様は、まるで歩が成金になるかのようである。
 機盾を構えたまま、突然のブースト装輪走行を披露。さらに機槍を構えてのチャージ攻撃でTWの胴体を狙う。
「残念。旧式にあらず」
 強靭な刃をへし折り、機槍は深々と亀の体に突き刺さる。そしてゆっくりと胴体に液体火薬が流れ込み、勢いよく引き抜くと同時に爆発が発生した!
『ドドンッ!!』
「膝を折った。今だ‥‥!」
 ヨハンはすばやく対応し、TWの側面へ移動。練鎌「リビティナ」を使い、砲台と本体の繋ぎ目を狙う。
「その厄介な砲台、刈り取る!」
 研ぎ澄まされた一閃は、亀の絶叫を引き出した。操縦士にはわからぬ痛みに悶えるTWは、もはや兵器としては使い物にならない。
「猶予がどれだけあるかわからない以上、速攻で行かないとね」
 フローラはある意味で慈悲深い言葉を発しつつも、EBシステムを発動。練機刀「白桜舞」を振りかざして早期撃破を目指す。
 桜色のビームは鮮やかに甲羅を切り刻み、最後は刀を突き刺して絶命させた。コクピットはおろか搭載した兵器も燃え、TWはゆっくりとその身を硬い地面に横たえる。

 一方の左翼は、味方の孤立を避ける状況を作るのに余念がない。
 剣清は鬼吼刃牙に刀を持たせ、残った亀を救わんとするキメラたちを丁寧に倒した。その動作は非常に特徴的で、まるで剣清本人が剣を振るっているかのようである。
「今のうちに、亀にダメージを!」
 ドゥは再びTWと対峙し、ヒットアンドアウェイを軸とした堅実な攻撃でダメージを重ねていく。
 そこにぎゃおちゃんが現れると、あっという間に場の空気が変わる。まるで子ども向けの特撮番組のような見栄えだ。
「まだ前哨戦。熱くなるには早すぎますわ」
 マルコキアスをTWだけでなくキメラにも当て、敵に戦況を好転させる隙を与えない。実にしたたかな攻めだ。
 こうなると、亀の操縦士は後手に回らざるを得ない。キメラを散開させることでまとめて倒されるのを防ぎ、自らは援軍が来るまでひたすら時間を稼ぐ。
 それこそ能力者の思う壺だが、そんなことを気にしている暇はない。悲壮な決意を胸に、TWはひとり気を吐いた。

●援軍、来たる!
 戦闘開始から20分が経過しようとしていた。
 UPC沖縄軍は敵の基地に潜入し、機能の破壊を目指す。その際、ミリハナクとドゥは同じ注意を促していた。
「アサキちゃんは爆弾をよく使いますから、基地に爆弾が設置しておいて、キメラもろとも自爆するかもしれませんわよ?」
「やりかねないね。援軍の兵力次第で確率は変わるけど、かなり高いと思う」
 このふたりの助言は、UPC沖縄軍の被害を最小限に食い止める結果となった。
「きっ、基地内に爆弾発見! 隠すように設置されており、基地への砲撃によって誘爆する仕組みのようです!」
 あっさりとアサキを出し抜き、してやったりの表情を浮かべるふたり。これを不在の主催者が聞いたら、いったいどんな顔をするのだろうか。

 これと同じくして、戦場に「援軍到着」の報が伝えられた。タロスが1機、ゴーレムが2機。そして大型キメラが20ほどの構成である。
 飯島は即座に「フェーズ2」への移行を指示し、敵に軍の建て直しする余裕を与えぬよう、迅速に動き出した。
 素性の知れた飯島はミリハナクと組んでタロスの撃破に挑み、剣清と桜子はゴーレムと対峙。手負いのTWにはフローラとヨハンが立ち塞がり、数の増したキメラはメシアとドゥで対応する。各個撃破を目指すのではなく、あくまで敵の連携を阻止するのが「フェーズ2」の目的である。
「ミリハナクさんの瞬間火力に期待するよ」
 すでに熟練の戦士であることがバレているであろう飯島は、タロスに対しては素直に正面から戦いを挑む。
 機槍とハルバードが火花を散らす中、ミリハナクはレーザーライフルで援護。ダメージを与えるよりも腕や足を的確に狙うことで、飯島のフォローをする。
「そんなに遠慮しなくてもいいですよ」
 続けざまに攻撃を仕掛ける飯島はそんなことを言いながら、射線を開くように立ち回った。
「それじゃあ、おじさまのご厚意に甘えて‥‥」
 それを見たミリハナクはオフェンス・アクセラレータを起動させ、遠慮なくマルコキアスで攻撃を浴びせた。さすがのタロスでも、この強力な連携を耐え抜くのは難しい。

 残されたTWの相手をすべく、フローラはHBフォルムを駆使して一気に間合いを詰める。
「ドゥさん、ここは私に任せてね」
「よし。僕はキメラに向かうよ」
 援軍の到着まで耐え抜いたTWだが、事態は思ったより好転しない。果たすべき役割が変わらないことを知ったからか、操縦士はSchneeへの体当たりを仕掛けんと足を踏ん張った。
「やらせませんよ!」
 そこへ亀の横っ面を叩くように、ヨハンのレーザーカノンが火を噴いた。体勢こそ崩れないが、石のように動かなくなるのは時間の問題だ。
 フローラは回避で敵の勢いを削ぐ。その姿はまるでマタドールのようだ。そしてお返しの白桜舞を突き刺し、もう1匹の亀も引導を渡す。
「お見事です、フローラ様」
「ヨハンさんのフォローがあって‥‥だからね。とりあえず私たちは、タロスに向かおっか」
 すでに援軍の総大将が乗るであろうタロスも、猛撃の2機に押されていた。ここにフローラとヨハンが加勢すれば、もはや勝敗は決したも同然である。
「仲間に何か言い残すことがあれば、今のうちですね」
 飯島はすばやく味方機の接近を察知し、またしても射線を開くように移動した。
 そこへフローラのレーザーガン「フィロソフィー」が牙を剥く。命中箇所から不審な煙が吹き出すと、ミリハナクはその場所を狙ってマルコキアスを放った。黒煙を掻き乱し、無数の弾丸がタロスの体に刻まれる。
「おじさま、今ですわ!」
 最後は飯島が遠慮なく機槍を構えてトドメの一撃を放った。なるべく浅く突き、貫通させずに爆破を狙う。
「皆さん、私に華を持たせてくれるということなので、ここは遠慮なく」
 タロスは完全に撃破しなければ、後が厄介だ。その手間を省く意味でも、内部からの爆発は非常に有効と言える。指揮官機であるタロスは奇妙な形となって、静かに機能を停止した。

 増援の大型キメラの相手は、主にメシアが引き受けた。理由は単純で「相手がよく鳴くから」である。気品と苛烈が同居する鞭さばきが非常に印象的だ。例えるなら、こちらはサーカスの調教師か。
 敵に囲まれそうになれば、アグレッシブ・フォースを駆使して対応。外側からドゥの強化型ショルダーキャノンによる援護を受けながら、決して不利な状況を作らない。
「ダンスのようで、優雅ですわよね。戦闘も美しく‥‥そう思いませんこと?」
 しつけのなっていない獣に対し、自らの気位の高さを戦いで示すお嬢様。次第に敵も距離を取り始めた。
 このキメラたちを指揮する能力を有するのが、ゴーレム2機である。これに対するのが桜子と剣清だ。
 序盤はタッグマッチの様相となった。敵は横並びになって銃を撃ち、接近を阻むように動く。それを桜子がガトリング砲で対応し、その隙を縫うように鬼吼刃牙が接近。スパークワイヤーで1機を絡め取る。
「取った!」
 そこへドゥが放ったレーザー砲が、ゴーレムの連携を分断。これに乗じて、桜子はフリーのゴーレムと対峙する。
「ここは行かせませんわ」
 櫻姫は強敵に対して中距離からの牽制に専念し、反撃も2種類のガトリング砲を使い分けての攻撃を仕掛けた。
 一方の剣清は得意な間合いに持ち込み、自信のある抜刀術をオウガで披露。ワイヤーの束縛を利して、刀で武装部位や足などを徹底して狙う。自分のペースに持ち込んだところでツインブースト・OGRE/Bを発動させ、一気にダメージを与える。
「コッチも急いだ方がよさそうかな‥‥!」
 剣清の気持ちとは裏腹に、仲間たちは順調にタロスとTWを撃破。なんとゴーレム退治の援軍にまで駆けつけてくれた。
 こうなれば恐れることは何もない。桜子には飯島とミリハナクがつき、ここでぎゃおちゃんが必殺のディノファングを炸裂させた。
「ここはわたくしが!」
 ここぞのタイミングで桜子はスラスターライフルを放ち、ゴーレムを一気に爆破へと追い込んだ。
 もう1機が爆破音に気を取られた隙を突いて、フローラとヨハンは遠距離砲で剣清を強力にバックアップ。最後は鬼吼刃牙が華麗な抜刀術でゴーレムを切り裂き、勝負を決した。

●炎の向こうに
 戦場に残されたのは、大小が入り混じったキメラのみ。これの討伐はもはや時間の問題だった。
 UPC沖縄軍は味方の安全を確保した上で、基地の爆破を行う方向で調整。前線での戦闘を成功に終わらせた傭兵たちに帰還の指示を出す。戦闘時間はおよそ1時間にも及んだ。
 阿修羅に乗って通信役に徹していた杉森・あずさ(gz0330)も「派手にやったね」と仲間たちを祝福する。

 無数の残骸とキメラが転がる基地を見つめながら、ドゥは静かに言った。
「人の意志が如何にこれから日本奪還を動かすかは知らない。どちらにしても、日本は絶対に返してもらう‥‥」
 沖縄に榊原アサキが居座る限り、まだ戦闘は続く。しかし人類の願いはただひとつ‥‥ドゥの言葉はそれを代弁するかのようだった。
 敵の基地はUPC沖縄軍の手に落ち、解除不能の爆弾を逆に利用して機能を破壊。しばらくの間、戦場は炎で赤く染まった。