タイトル:【BD】HW基地強襲・地上マスター:村井朋靖

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/10/17 17:40

●オープニング本文


 ベネズエラから溢れた敵軍は、防戦に努めるブリュンヒルデと傭兵、正規軍の手に削られつつも、多くがコロンビア国内へ降下した。
「随分大盤振る舞いされたじゃねぇか。ま、やられただけとは思っちゃいない」
 太い指が、ベネズエラ国境のやや内側にあるヘルメットワームの工場を指す。かつてコロンビアがバグア側だったときに建造されたものだ。
「俺は、ここの守りが手薄になった、と見ている。大振りの時には必ず、ガードが甘くなるもんさ」
 生身で近づき施設を制圧してから、KVで強襲。バレンタインの作戦の簡易版といった様相だ。狙いも、同じである。
「獲物の回収には、大型ヘリを何機か回す。しくじるなよ?」
 日に焼けた男は、傷だらけの顔で豪快に笑った。

 この工場から飛び立つヘルメットワームの群れを見送ったのは、つい先日のこと。しかし工場長を務めるエドガー・ペレスに安息の日はない。戦場と同じく、工場もフル回転で動いている。
「ふーっ、戦況は安定‥‥といったところか」
 胸ポケットから高級タバコを取り出し、その一本を咥えて火をつける。ガラスの灰皿は、すでに吸殻でいっぱいになっていた。
 この工場は軍事施設ではあるが、戦場の状況‥‥特に劣勢を伝える情報を除いては、若干の間を置いて入ってくる。
「ここにあるHWの半分以上が戦場へ飛び立った。とにかく完成を急がねばならん」
 現在、急ピッチでHWの製造を行っているが、まとまった数を完成させるには、まだ時間がかかる。エドガーはふうっと息を吐き、紫煙で部屋を満たした。
「付近の施設で使っているワームも数に入れて劣勢をカバー、だからな。激戦であることには違いあるまい」
 そんな時、扉からノックの音が響く。続けざまに「視察の時間です」という声がした。現場責任者が呼びに来たらしい。エドガーは急いで煙草を消し、工場内に檄を飛ばすべく部屋を出た。
 不気味なほどの平穏さを保ったHW工場が騒がしくなるのは、そう遠くない未来のことである。

 騒ぎの元凶となる傭兵たちはUPC軍の所有する輸送トラックに乗り、HW工場へと向かっていた。
 目的地まではあとわずか。周辺空域をKVで急襲する部隊も準備を整え、今しがた基地を出たとの報を道案内の兵士がもたらした。
「帰りは、お連れさんがご乗車になるんですよね?」
 小柄な兵士が、緊張を和らげるために冗談を飛ばす。彼は傭兵たちが戦功を得ることに関して、あまり抵抗がないようだ。
「いい身分の方も気持ちよくご乗車できるよう、お留守の間にきっちり掃除しとくよ」
 そうこうしているうちにトラックは目的地に到着し、ゆっくりと停車した。作戦決行の時間が、刻一刻と迫る。

●参加者一覧

伊佐美 希明(ga0214
21歳・♀・JG
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
サヴィーネ=シュルツ(ga7445
17歳・♀・JG
天宮(gb4665
22歳・♂・HD
月城 紗夜(gb6417
19歳・♀・HD
山下・美千子(gb7775
15歳・♀・AA
朱鳳院 耀麗(gc4489
28歳・♀・HG

●リプレイ本文

●早めのパーティー
 作戦開始地点に到達したUPC軍のトラックを降り、地上部隊は準備に入った。
 制圧班に名を連ねる月城 紗夜(gb6417)が乗るミカエルの後部座席に、UNKNOWN(ga4276)はハンディバキュームハンドルを設置。ふたりは工場長のエドガー・ペレスを狙うため、指令室へ突撃する手はずとなっている。そんな紗夜の背中に、でかでかと「ラストヘル参上」と書かれていた。本人によると「本気でやった」らしい。相棒は紫煙を燻らせながら、「そういう趣向、か」と理解を示していた。
 強気な雰囲気を漂わせる伊佐美 希明(ga0214)もやる気満々。サヴィーネ=シュルツ(ga7445)、そして今回が初任務となる朱鳳院 耀麗(gc4489)とともに制御室を狙う。
「これがわしの初任務じゃけど‥‥ま、なんとかなるじゃろうて」
 豊満な肉体を持つ耀麗の背中を、希明がポンと叩く。
「その体、伊達じゃないのはよくわかる。頼りにしてるよ」
 このふたりにサヴィーネが混ざると、不思議と彼女が浮いているように見える。なぜなら希明と耀麗が、肌の露出した装備を身につけているからだ。遊撃班として戦闘に赴く山下・美千子(gb7775)はそれを見て「うわぁ〜」と言いながら、楽しそうにダイナマイトボディーを観察する。生真面目そうな天宮(gb4665)は目を逸らすためか、愛用の眼鏡「真理の目」を漆黒に塗装されたAU−KVのエンジンに装着する作業を行っていた。
「これでよし。サタナエルの準備は万全です」
 それを聞いた終夜・無月(ga3084)がひとつ頷くと、UNKNOWNに「いつでも出れます」と伝える。
「少し時期は早いが、とっておきのハロウィンパーティーになりそうだ」
 紳士の言葉を聞き、希明も「そりゃいい」と乗った。刺激的な女性陣に、思慮深き男性陣。彼らが織り成す作戦は、いかなるものになるのだろうか。

●チーム・ラストヘル!
 UNKNOWNは紗夜のミカエルにまたがると、探査の眼とGooDLuckを発動。まずは全員で移動を開始し、遊撃班を先頭にして目的地へ向かう。
 UPCの読みが当たったのか、道中で見張りに出くわすことなく工場へ接近できた。しかし、ここからが難しい。鬼の形相を宿らせた希明が隠密潜行を駆使し、慎重に歩き出した。皆もそれに続く。
 その3分後、巡回の兵士と遭遇した。数は4人。工場を取り囲む壁は目前で、右手には門も見える。無月は「ひとりは捕らえましょう」と進言。すると美千子が「行ってくる!」と名乗りを上げ、牛乳を拭いて放置した特製ゾウキンシールドを持って走った。希明と天宮も後を追う。美千子は容赦も遠慮もなく、ただひたすら兵士の顔にシールドを塗りたくるように押しつけた。
「むがが‥‥ぐひっ!」
 これだけで失神した兵士もひとりいたが、他の連中は無事だった。彼らが鼻をつまみながら動き出したのを確認し、希明が近接格闘でふたりをゴキッと気絶させる。残りのひとりは、サタナエルを装着した天宮が安全に捕らえた。彼は仲間の前に兵士を引っ張っていく。
「あなたたちは運がいいですね。乱戦で命を落とすこともないですし」
 天宮が耳元でそう囁くと、兵士の顔が青ざめた。無月はそれを見逃さない。
「あの門の通用口へ戻ってください。お芝居をする必要はありません。ご心配なく、俺たちはあなたの命を奪いませんから」
 兵士は何度も首を縦に振ると、天宮は束縛を解いた。彼は与えられた任務を果たそうと慌てて走り出すが、二度ほど振り返ってすがるような目を向ける。少し距離を置いて無月たちも進軍。兵士は約束が守られるとわかると、門の脇にある通用口へ駆け込んだ。その姿が消えたのを確認し、紗夜がタイミングを計ってアクセルを吹かす!
「地獄の使者を出前だ」
「よーし、ここまでは静かにだが、今からは迅速に、だな」
 後ろに乗るUNKNOWNもエネルギーキャノンを構え、いよいよチーム・ラストヘルが動き出す。その時までに、あの兵士は守衛に通用口を開かせていた。紗夜はそこをフルスロットルで駆け抜け、一気に工場内へと躍り出る!
「トリック・オア・トリック!」
 UNKNOWNはジョークを言いながら銃弾をばら撒き、紗夜のために血路を開いた。しばらくは敵の動揺に乗じて自由に動けたが、すぐさま警備兵が行く手を遮る。さすがは敵の拠点と言ったところか。紗夜は銃弾の嵐をワインディングですり抜けるように避け、UNKNOWNは前に出た敵を確実に射抜く。兵士たちはまるで暴れ馬のような動きをするミカエルに翻弄され、何もできないまま地面に倒れた。
 ラストヘルの活躍であっという間に警備兵を蹴散らしたが、すぐさま第二波が出現。その数の多さは、まるで目指す先を教えているかのよう‥‥UNKNOWNはとっさにハンディバキュームハンドルを回収、紗夜の肩を軽く叩くとバイクから飛び降りる。彼女はそのままミカエルを装着し、竜の瞳と竜の爪を駆使して立ち塞がる敵を蛍火で斬りまくった。もちろん背後からUNKNOWNの援護もあり、みるみるうちに兵士の数は減る。
 しかしここで2匹の牛型キメラが出現し、萎えそうだった兵士の気持ちを鼓舞するかのごとく雄々しく吠える。
「モォーーーッ!」
 邪魔するものは力ずくで排除し、指令室を奪うことに変わりはない。一瞬だけ相棒の目を見て、ふたりはキメラとの戦いに挑んだ。

●遊撃手のお手並み
 ラストヘルと三人娘が前へ出る間、遊撃班は背後の不安を消すために動いた。
 無月はさっきの兵士を当て身で気絶させ、門の外に放り出す。状況が状況だけに、丁寧な対応はできない。美千子も「捕虜を取るのは、余裕のある時のついでだから」と、相手が抵抗できなくなるまでは戦闘を継続するつもりだ。
 侵入口を目指してやってくる兵士を一気に掃除すべく、美千子はバトルモップを持って縦横無尽に駆け回る。ついでに弾丸を掃除とばかりに一撃離脱のモップがけ突進で敵を薙ぎ倒し、敵の中においてはモップを跳ね上げたりするなど多彩な攻めを披露した。
「とぉーーりゃーー!」
 一般兵のお掃除をしながら、3人は徐々にラインを上げていく。遊撃班の目的地は生産工場。ここを目指しつつ、派手な動きで敵を集めるのが任務である。漆黒のAU−KVを装着した天宮は、その姿によく似合う大鎌で派手な立ち振る舞いを心がけた。もちろん無月も同様に、両手剣の明鏡止水を自由自在に操る。一部の隙もない剣術に加え、凛とした立ち姿と金色の眼光で敵の勢いを削いだ。
 そうやって確実に進攻すると、偶然にも2匹のキメラを相手にしているラストヘルと合流する。天宮はすぐに閃光手榴弾のピンを抜き、ふたりに声をかけた。
「UNKNOWNさん、月城さん! この場はお任せください!」
 それを聞いた紗夜はすぐさまキメラに一撃を加えて怯ませると、一気に前へ出る。その間、美千子はおでんそーどとゾウキンシールドに装備を変更。UNKNOWNは包囲網の一角を容赦のない銃撃で崩し、何気なくその先を見た。
「ん、あれは‥‥建物の壁に地図、か。好都合だ」
 彼は指令室への道標を見つけると、相棒に目配せして走り出す。兵士もキメラもそれを阻止したいが、新手の方が数が多いのでうかつに動けない。無月も両手剣を大きく振りかざし、相手の動きを牽制した。
「いきます!」
 天宮はそう短く叫ぶと、炸裂寸前の閃光手榴弾を敵の目の前に落とす。次の瞬間、爆音と閃光がキメラと兵士を容赦なく襲った。
「モ、モフォ!」
 敵の悲鳴を聞くと、美千子はすぐさまキメラに接近。再びゾウキンシールドを鼻のあたりに押しつけ、両断剣と流し斬りの効果をまとわせたおでんそーどで首を狙い、確実にダメージを与えていく。天宮はもう1体に竜の翼で接近し、大鎌でその身を裂いた。完全に動きの止まったキメラを攻撃するのはたやすい。
 紗夜たちが傷つけた分もあり、天宮の相手するキメラはもはや虫の息だった。それを見た無月は大きな体を一閃し、巨躯の命を散らす。牛型キメラが膝から崩れ落ちる音は、周囲をさらなる混乱へと招いた。
「ひ、ひっ! 近づくなー!」
 視界がやられている状態で銃を撃っても当たるはずがない。それどころか同士討ちになる危険もあるというのに‥‥兵士たちがこうなってしまえば、現時点の脅威はキメラだけ。その隙を突いてラストヘルは指令室への道を確認、その場を遊撃班に任せて前へ進む。
「そこは貴公に任せた」
「紗夜ちゃん、は〜い。使うのに勇気がいるのが欠点だよね、この盾」
 美千子は戸惑いを口にするも、無邪気にキメラの鼻にゾウキンをぐいぐいスタンプ。相手が嫌がって首を振れば、また両断剣と流し斬りを駆使して攻め立てる。
 無月は兵士たちを、天宮はキメラに的を絞って攻撃した。視界が戻って厄介なのはキメラに間違いないが、一般兵に制圧班の後を追わせても困る。難しい判断ではあったが、ここは遊撃班としての役割を果たすことを第一に考えた。その後、美千子と天宮はキメラの猛反撃で傷ついたが、彼女は自らに活性化を二度使用してこれを完全に回復。天宮も無月から二度の練成治療を受けて全快した上で戦い抜き、もう1匹の牛型キメラも見事に撃破した。

●銃を持つ女性たち
 制御室を目指す女性3人は、激しい銃撃戦の末に目的地の前に迫らんとしていた。
「トリック・オア・トリート‥‥ってか。超絶可愛い怪物が、でっけぇアメ玉もらいにきたぜ?」
 そう言いながら二丁拳銃を打ち鳴らす希明の姿はまだかわいい方で、サヴィーネと耀麗は相手に反撃の隙も与えぬ勢いで銃弾をばら撒いていた。どちらも的確に命中させている点は共通しており、敵からすれば「かわいいもへったくれもない」というのが本音だろう。
 しかしそうは思っても、新手として出るしかない。サヴィーネは「よく沸いてくるものだ」と呆れつつも出現ポイントを目で追い、それが建物なら耀麗と協力して入口を得意の射撃で封鎖。希明がタイミングを見て閃光手榴弾を投げ込み、敵が怯んだところを一網打尽にする。生き残った兵士に武器を捨てて降伏するよう勧め、後で下手なことをしないよう希明が念を押した。
「こんなところで働く人間だ。説得するより拳の方が話は早ェのはわかってんだ。手加減はするが、期待はするなよ」
「はい、すみません‥‥」
 能力者の恐ろしさは、彼女の顔を見れば嫌でも理解できる。兵士たちがシュンとなったのを見て、言った本人も思わず苦笑い。同じ段取りで同じ展開がこの後にもう一度起こり、その際に耀麗が「あとで慰めんといかんかの」とサヴィーネに耳打ちする一幕があった。

 そんな彼女たちの行く手を阻んだのは、ワニと合成された強化人間である。思わぬ強敵との遭遇だが、3人は落ち着いていた。
 耀麗は制圧射撃で敵の行動に制限をかけると、サヴィーネはSMGを格納し、ショットガン20を腕に接続すると、ご挨拶代わりに影撃ちを駆使して一撃を食らわせる。続いて希明が気合一発、強弾撃で強化された銃撃を二連射の5回発動で一気に畳み掛ける!
「ハッ、戦いの作法を教えてやンよ、サンピンが!」
 ここに来てかわいさの消えた容赦のない攻撃が炸裂、ガッツリ生命力を削って強化人間を弱らせた。しかしこれだけで倒せる敵ではない。相手はよだれを垂らしながら、ゆっくりと美女たちに迫ってきた。サヴィーネは改めてショットガンで攻撃。3連射のうち2発は跳弾を駆使しようとしたが、練力が続かないと判断して最初の1発だけに留める。しかし、その一度で十分な効果が出た。敵の虚を突く攻撃は、あとの2発も命中させるという結果を導く。
「ふむ。ぶっつけ本番にしては‥‥といったところか」
 サヴィーネはそう言いながらリロードを行い、次の攻撃に備える。なんとこれだけのダメージを負いながら、まだ敵は生きていた。強化人間の頑丈さに呆れつつも、耀麗は希明とサヴィーネに援護射撃の効果を与える。
 敵は文字通りワニの牙を剥き、サヴィーネと耀麗に攻撃を仕掛けた。手負いとはいえ、さすがは強化人間。見事ふたりに傷を負わせたが、この後の総攻撃を耐え切るだけの体力は持っておらず、善戦虚しく命を落とす。この後、制御室を防衛する一般兵に「強化人間を撃破した」という事実を突きつけ、3人はここを制圧した。

●制圧の決定打!
 着々と工場の制圧が進む中、ついに紗夜とUNKNOWNは工場長のエドガー・ペレスがいると目される指令室へと踏み込んだ。
「悪い子はいねーかー」
 いかにも悪そうな笑顔を浮かべるUNKNOWNを見て、工場長は大いに驚く。騒ぎの原因が能力者であること、そして工場が制圧の危機に瀕していることを知った。
 そんな彼に無駄とわかっていながら、紗夜は問いかける。
「バグアに忠誠を誓う理由は? 我は人間も憎いが、己より大事な存在を奪ったため、バグアと敵対する」
「お前に私の忠誠心などわかるものか! 死ね、能力者!」
 AU−KVに普通の銃を向けるという愚を犯すエドガー。その隙にUNKNOWNは葉巻の吸口をちぎり飛ばして煙幕を作る。そして前もって準備していた荒縄を床に投げた。工場長は空いていた手を口にあて、侵入者を撃たんと前に出る。しかし不運にも右足を荒縄の輪に入れてしまい、そのまま御用となってしまった。
「ごほっ、ごほ‥‥うおおぉぅ!」
「釣れた釣れた」
 UNKNOWNは縄先を紗夜に投げて渡し、自分は指令室の壁に『ラストヘル参上』とカラースプレーで落書きした。彼女は持っていた銃を蹴り飛ばし、丸腰になったエドガーを手刀で気絶させるとそのまま引きずって移動を開始する。もちろん、相棒もそれに続く。
「ここでこそバイクか」
 紗夜の申し出にUNKNOWNが「その通り」と頷き、おもむろに胸ポケットに片付けたハンドルを取り出す。その微笑みに‥‥邪悪さがほんの少し混じっていた。

 それからしばらくして、上空からやってきたUPC軍のHW回収部隊が工場の敷地に着陸した。
 キメラを倒した直後、遊撃班が生産工場を制圧。美千子と天宮が研究者を捕らえ、無月が協力するよう脅迫し、工場の無力化を成功させたのである。
 チーム・ラストヘルがエドガーを引きずって工場内を走り回ったおかげで、うまく敵から降伏を引き出すことができたのも大きい。また主力である強化人間やキメラを討伐し、反抗の気力を削いでいたのも決め手となった。工場長のエドガーをはじめとする捕虜を回収するため、乗ってきたトラックもこっちに向かっている。

 初任務を終えた耀麗は傷ついた体を気にもせず、青い空を見上げた。まだ、仲間たちがHWを相手に戦っている。
「わしらの仕事は完了じゃ。そっちは任せたぞい」
 彼女はそう言いながら希明とサヴィーネとともに、UPC軍の作業を手伝いへ向かった。