タイトル:【AA】GMB潜入捜査マスター:村井朋靖

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/06/09 22:08

●オープニング本文


 傭兵として活躍する能力者、そして世界各国の軍人が、地球の平和と明日を勝ち取ろうと奮闘している。今は『北アフリカ進攻作戦』の真っ最中。その戦況を固唾を飲んで見守るのは、何も軍のお偉いさんばかりではない。
 地球の善良な人々の心がバグアの甘い誘惑を受け入れてしまわぬよう、さらに親バグア派の勢力同士が手を結ぶのを未然に防ぐため、社会の裏側から人間を支える諜報活動のエキスパートが存在する。UPCの調査機関の中にあって、危険な任務を請け負ってると勘違いして奮起する一部署‥‥その名は『ジェントルメンブラック』、通称『GMB』。黒ネクタイに白いシャツ、黒スーツが彼らの正装であり、トレードマークである。
 そんな彼らは自分たちで意味もなく、勝手に「エージェント」と呼び合っているが、別に能力者でもなんでもなくただの人間。SES搭載装備を扱えない彼らは、どこぞのマッドサイエンティストが気まぐれに開発した珍妙な武器やアイテムを使って、半ば強引に任務を遂行している。キメラに丸呑みされた時に胃袋をこちょこちょして華麗に脱出する巨大綿棒から、変装時に声を変えるのに使用する濃度調節機能付きヘリウムガスボンベまで器用に使いこなす。
 でも肝心の退治ができないので、最終的にはULTに情報をリークして助けてもらうのがいつものオチ。こうした経緯もあってGMBはULTにも認知される存在ではあるが、オペレーターたちは一様に「あそこにそんな部署あったっけ?」と首を傾げる。そんな彼らの存在は「すべてが謎」というよりも、むしろ「すべてがお笑い的」であると表現した方がしっくり来るかもしれない。

 このたび、ようやくGMBのエージェントたちにも指令が下った。
 それは「エーゲ海に浮かぶロードス島の北部に拠点を置く親バグア勢力が開発中の通信装置を破壊する」という内容である。この組織「黄色いスイートピー」は、親バグア勢力同士の連絡を密にする目的で特殊な通信装置の開発を拠点とする屋敷の中で行っているらしい。今回の進攻作戦で焦りを覚えたのか、最近になって完成を急ぎ始めたそうだ。これをそれとなく妨害するのが、今回の任務である。
 これを聞いた若きイケメンエージェント・ハンタは「やってられねぇ」とばかりに両手を上げ、同僚のエージェントであるトモとミスターMから共感を得ようと大きな声で叫ぶ。
「ヘイ、トモ! こんなのは傭兵さんの仕事だぜ! ミスターM、今すぐULTに電話だ! コレクトコールでな!」
 いきり立つ若人をハイテンションで落ち着かせるのは、エージェント・トモである。
「オゥ、ハンタ! ハンタ! こんな時くらい、俺たちが傭兵さんたちのお膳立てをするのも悪くないんじゃないか、アーハァン?」
「確かによ、キメラ退治に関してはいつも丸投げだけどよ‥‥」
「そうだろう、そうだろう? だから今回はGMB大感謝祭ということで我慢するんだ。さ、おニューのグラサンでもかけてクールになろうぜ。アーハァン?」
 トモはなんとかハンタをなだめ、3人で相談できる状況を作る。非常にやかましいハンタとトモと違い、ミスターMは温和な性格の持ち主。いきり立つハンタにそっとサングラスをかけさせ、作戦会議が始められるよう立ち振る舞う。

 相談の結果、全員が何らかの扮装をして潜入することになった。トモは見るからに怪しい東洋人のコスプレで能力者たちを紹介する商人を担当。ハンタとミスターMは、組織のボスが囲っている美女の接待をする執事に化け、それとなく能力者たちをサポートする。組織が拠点とする屋敷には大きな庭やプールなどたくさんの施設が存在するが、ここには研究員や戦闘員、使用人や水着の美女までおり、人の行き来が多いので捜査は容易だ。
「ヘイ、トモ。ちゃんとみんなの身元証明を用意しとけよな!」
「ノンノンアルヨー。そういう作業はミスターMがうまいアル〜。」
「任された‥‥いいものを作ろう」
「アイヤー! ミスターMみたいに、能力者の皆サンもハッスルしてほしいアルね!」
 トモのマヌケな声が響く中、GMB主催の潜入作戦が幕を開けた。

●参加者一覧

UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
Anbar(ga9009
17歳・♂・EP
崔 美鈴(gb3983
17歳・♀・PN
桂木菜摘(gb5985
10歳・♀・FC
エイミー・H・メイヤー(gb5994
18歳・♀・AA
ラサ・ジェネシス(gc2273
16歳・♀・JG
赤月 腕(gc2839
24歳・♂・FC
如月 葵(gc3745
16歳・♀・DF

●リプレイ本文

●迷探偵登場
 親バグア組織「黄色いスイートピー」は、まるで豪邸のようなお屋敷を隠れ蓑にして元気に活動中。
 場所が場所だけに、善良な一般市民が訪れることはない。この仰々しい装飾が施された門をくぐるのは、陰謀を胸に抱く者‥‥

 東洋系の怪しい案内人となったトモが先頭を歩き、他のふたりは最後尾に回る。その間に探偵役を担当するUNKNOWN(ga4276)が、その脇をエイミー・H・メイヤー(gb5994)と赤月 腕(gc2839)が固めた。
 UNKNOWNは煙草を燻らせながら、兎皮の黒帽子に手をやりつつ周囲の様子を伺う。
「なるほど。たいそうな屋敷だ」
「外は無数の監視カメラが設置されてて、怪しい行動をする奴は見逃さないんだってよ」
「アイヤー! お金持ちが作りがちなお屋敷アルヨ。住み込みのメイドさんも、水着のお姉ちゃんもいっぱいネ〜」
 メイドといえばエイミーだが、今回は男装の麗人である。迷彩服にサングラス、あの黒髪も低い位置で括るという徹底ぶりだ。
 同じく赤月も『草薙 水鶏』という偽名を用意。左目と顔を包帯で隠している。この作戦に参加する誰もが『自分ではない誰かを演じること』を楽しんでいるように見えた。
「屋敷の使用人に扮した皆さんは、潜入を完了したそうです」
「そうか。あとはラサ・ジェネシス(gc2273)の登場を待つばかり、か?」
 ミスターMの報告を聞き、エイミーが口元を緩めつつ低い声で返す。その言葉に誰もが反応した。今回は彼女を軸にした大仕掛けが用意されている。
「アルヨアルヨ〜。最初はボスの部屋に行くネ〜。その後の展開はお任せするヨ〜」
 常に怪しい言動のトモは、インターホンを押した。しばらくすると門が開かれ、能力者たちを中へと誘う。

 組織のボスは貫禄があるといえば聞こえはいいが、すっかり贅沢太りした中年の男性だった。
 趣味の悪いガウンに袖を通し、特注でしか頼めなさそうな残念なセンスの椅子に座っている。想像はしていたものの、ここまでひどいとは‥‥エイミーはガッカリした。
 最初こそ陽気なトモのヨイショで場は盛り上がるが、話が本題に入ると一気に緊迫する。
「この組織の財宝を狙う怪盗だと!」
「そうアルヨ〜。でも安心するヨロシ! ワタシ、素敵な探偵さん呼んだアル!」
 トモのバカテンションを吹き飛ばすかのように、UNKNOWNはダンディズムを漂わせながらボスの前へと歩み出た。帽子を取って一礼し、ボディーガードのふたりを紹介。エイミーと草薙‥‥その立ち振る舞いは、決して演技などではない。
「なんとも頼りになりそうじゃないか。探偵さん、頼むよ」
「もちろん。しかし、見えるものだけを追ってはいけない。足元にある秘密を見落としてしまう」
 探偵は、特に意味のないことをもったいぶった言い回しで聞かせた。その雰囲気だけで、ボスは安堵の表情を浮かべる。さらにエイミーが怪盗を小バカにした。
「怪盗を名乗る小悪党など、私と草薙だけで十分だ」
「では、さっそく調査に入ってくれ。私はプールで美女の世話をしなくちゃならんのでな!」
「アイヤー! それ素敵! ボス、うらやましいネー!」
 どこまでが演技なのかわからないトモはさておき、陽動班の作戦は順調に進んでいた。

●使用人、走る!
 人の往来が絶えない屋敷の中で、小さな女の子がぴこぴこハンマーを担いで走り回っていた。
 この娘は、桂木菜摘(gb5985)。名目は「メイドさん見習い」だが、今や屋敷のマスコット。どこに行っても怒られないし、怖い顔のお兄さんもすぐ笑顔になる。
 菜摘は侍従長に「屋敷のお掃除がしたいです〜」と伝えたので、その面倒を新入りのメイドに任せることにした。彼女の後ろを、慌てた表情のメイドがふたりして追いかける。彼女たちもまた変装して捜査中のAnbar(ga9009)と如月 葵(gc3745)だが、こちらはたまに本気の表情が見え隠れしていた。もし偶然にもお目当ての部屋に入ってしまったら‥‥そう思うと、気が気ではない。
「ちょ、ちょっと‥‥じゃないですね。こういう時は『はわわ〜』って言えばいいんでしょうか?」
「男の俺‥‥じゃなかった。女のあたしにそんなこと聞くな!」
 どこかおかしな会話だが、誰もそこは追及しない。それよりも今は菜摘。彼女はふきんを持って壁を拭きながら、人の出入りがなさそうな部屋の扉を大胆にも開け放った!
「今から、おそーじです♪」
 葵は思わず、素で「はわ!」と言った。部屋の中に、白衣の男たちがいたからだ。いきなり大当たり‥‥と思いきや、ここには肝心の機械類がほとんどない。当たらずとも遠からず‥‥そんな感想を胸にしまい、Anbarは連中の追い出しにかかった。
「は、はうわ〜。菜摘ちゃんがどうしても、このお部屋を掃除したいっていうんです〜」
「お仕事の邪魔になることは承知しておりますが、しばらくの間だけでも‥‥」
 葵のお願いも功を奏し、研究者はすんなり「休憩だ」と言いながら部屋を出た。その隙に菜摘とAnbarは部屋に入って鍵という鍵を閉め、葵は唯一の通路となった場所にバケツなどを置いて廊下の見張りを担当する。
 改めて部屋を眺めると、机の上には紙切れが散乱している。ここでは研究の成果を残す作業をしているようだ。菜摘はパッと見て難しそうなプリントだけを選んで、隣のお姉ちゃんに渡す。Anbarはここぞとばかりに、探査の眼とGooDLuckを発動させた。
「お、これは屋敷の地図だな。手書きってとこが怪しいな。葵、これ見といてくれ」
「わかりました。例の騒動になったら使えそうですね」
 必要なものは、葵にチェックしてもらってから保管。そうでないものは床に落とし、最後に菜摘がバケツをひっくり返して始末する。いたいけな子どもの失敗を責められる大人は、まずいない。
 たまに別の部屋からやってくる人間は、葵が「このお部屋は清掃中」と言って追い返す。この部屋の捜査は順調に進んでいた。
「Anbarさん、通信装置の場所がわかりました。客室のひとつを開発室になってます」
「こっちにもそれを裏付ける資料があった。間違いない。となると、あいつにも伝えとかないとな‥‥」
 Anbarは菜摘の仕事っぷりを見守りながら、孤独に任務を遂行する少女のことを思った。

 着物とエプロンで和食の調理師に扮し、ネギと包丁を持って堂々と屋敷を徘徊する美少女・崔 美鈴(gb3983)。彼女はAnbarの心配をよそに、独自で独特な捜査を行っていた。
「えっとー、カモ鍋に入れる鴨が逃げちゃって‥‥探してたら迷っちゃった☆」
 常に迷子を装って道を聞きまくり、問題の装置がある場所を探る。
 こんな調子で尋ねていれば、誰かが怪しんでもおかしくはない。しかし誰もが鴨のくだりを変な想像をしてしまい、そこまで気が回らなくなっていた。かわいい顔して、今から鴨を‥‥そんなところだろう。
 そんな時、廊下で偶然にもUNKNOWNたちと合流した。このタイミングでAnbarから無線が入り、目標となる場所を発見した旨を伝えられる。美鈴は赤月の近くにかわいく駆け寄ると、確認のためにも小さな声で内容を伝えた。
「草薙さん。例の騒動が起きたら、私も怪しい客室に向かうね‥‥」
「アイヤー! もうわかったアルか〜! すごいアル! ネ、ネ、赤月さん!」
 プロも顔負けの手際のよさに驚いたのか、トモはNGワードを口にする。誰もが他人のフリをする中、美鈴は制裁とばかりに容赦なくトモの股間を蹴り上げた!
「うぐぼっ! あーーーーーっ!」
「ごめんねっ、勝手に体が反応しちゃった♪ えへ☆」
 その場のみんなは「美鈴はやさしい」と思っていた。さすがの赤月も「味方じゃなかったら殴ってた」と渋い表情で打ち明ける。このマヌケな一幕で、再び気を引き締めなおした。

●怪盗、現る!
 探偵ご一行様が美鈴と別れてからまもなく、ボスの部屋から屋敷中に激震が走る。なんと矢文が打ち込まれたのだ。内容は極めて挑発的。差出人はよほどの命知らずと思われる。銀色の海パン姿のボスは怒り狂った。
「怪盗・黒いチューリップだと! バカにしよって!」
「静かに‥‥よく考え、耳を澄ませたまえ。真実はすでに述べている」
 頼りになる探偵さんにもっともらしいことを言われると、ボスはすぐに落ち着きを取り戻す。さらにボディーガードたちも戦闘準備をしている。
「も、もう探偵さんにお任せします! おい、お前たちもちゃんとご指示に従うんだぞ!」
 ボスはついに決定的な一言を発する。そう、この言葉が聞きたかった。矢文を射った張本人の赤月の瞳が光る。
 彼はエイミーとともに、すでにいくつかの仕事をこなしていた。逃走に使う車両以外はすべてパンクさせ、Anbarたちと無線で連絡を取り合っている。あとは怪盗役を演じるラサが来るのを待つばかり‥‥
「ボ、ボスぅ! 怪盗が玄関から堂々と入ってきましたぁ! プールサイドに向かってますぜ!」
 部下の伝令が部屋に響いた。それと同時にUNKNOWNがエイミーに目配せする。彼女はひとつ頷き、そのまま猛然と走り出した。その後を赤月が追う。
「真実を知る機会は‥‥人生の中でも数えるほどだ。行きましょう」
 探偵はそう言うと、悠然と廊下に出た。ボスも部下もそれに従う。

 黒のタキシードに白い仮面‥‥マントをなびかせながら、さっそうと現れた怪盗・黒いチューリップ。
 逃走用に用意したジーザリオの中で着替えている時はこの変装に疑問を持っていたが、今ではすっかりやる気。頭の上に咲いたトレードマークが憎い。
「天知ル、地知ル、我輩が知ル。黄色いスイートピーよ、この黒いチューリップが貴方達をゴートゥヘルネ!」
 そんな小悪党と対峙するのは、UNKNOWNもご推薦のボディーガードのエイミーと赤月。予定通りの展開で余裕が出たのか、ラサはマントを翻してカッコいいポーズをとる。
「ハッハッハッハ‥‥どてっ」
 ここで予想だにしない事件が起きる。なんとラサが、自分でマントを踏んづけて転んだのだ。白けた雰囲気が周囲を漂う。
「なんてふざけた輩だ。勝負の前に自爆しないでもらおうか」
「そちらにも能力者がいるのカ。オーケィ。カモン、美しいお嬢サン」
 ラサはレイピアを構えると、エイミーも小銃を抜いた。赤月も加勢せんと並び立つが、彼女がそれを制する。彼に一言「ひとりで片をつける」と伝えると同時に、戦闘が開始された。

●破壊と逃亡
 怪盗とボディーガードの戦闘が始まると、屋敷の中は騒がしくなった。
 どこかに潜んでいた戦闘員は装備を整えてプールサイドに出たが、ボスの指示でドンパチはしないことになっている。Anbarたちは苦もなく、目的の部屋へ到着。別行動の美鈴も瞬天速で急ぐ。
 4人が合流したところで、謎の客室に突入。部屋の半分を埋め尽くすほどの機械が、ど真ん中に鎮座している。側面からコードが伸びており、これが通信装置であることは一目瞭然だった。
「菜摘と美鈴で、その辺の機械の破壊をしてくれ。俺と葵は、ここの書類を処分する」
 通信装置は菜摘のハンマーによって、実にマヌケな軽い音を立てながら壊れていく。
 同時に美鈴が、通信装置を包丁でメッタ刺しにしながら壊れていく。
「私と彼の幸せな未来のために♪ うふふ‥‥壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ壊れろ、あはははははは!」
 その間、Anbarは書類をかき集め、それを葵がまとめて苦無で切り裂いていく。これで装置の破壊と情報の消却‥‥両方を達成した。あとは脱出するだけである。
「急いで、駐車場に向かいましょう!」
 葵はみんなを誘導し、この混乱に乗じて部屋を離れた。
 美鈴はエプロンに忍ばせてあるトランシーバーを操り、UNKNOWNへ合図を送る。Anbarはメイド服を脱ぎ捨てて、逃走用のレオタード姿にチェンジ。ところが菜摘がちゃっかり「大事なものですから〜」とメイド服を回収。後に本人へ返却された。

 怪盗とボディーガードの熱戦は続く。ボスも部下も皆、固唾を飲んで見守っていた。
 とはいえ、この戦いは「やらせ」である。最初から「ラサが手数で押す」という段取りになっている。たまにエイミーも反撃はするが、これも実弾ではなくペイント弾なので、当たっても問題はない。さらに戦闘を盛り上げるセリフも、ちゃんと仕込んである。それらを織り交ぜて、周囲の興奮を煽った。
「獲物を狙ウ、美しき豹の様な動キ‥‥気に入っタ!我輩ノ物にならないカ?」
「この私を盗み出そうというのか? よかろう、ただし勝てたらな」
 このような派手な演出には、まったく別の意図がある。それはマジシャンが使う大胆なトリックのように。組織の人間は誰も気づいていなかった。かなり前からUNKNOWNと赤月、そしてトモたちエージェントの姿が消えていることに‥‥
 頃合を見計らい、ラサは高笑いをしながら逃走を図る。
「今回の舞台はここで幕ダネ! シーユーアゲイン!」
 怪盗は来た道を引き返そうとする。ボスは部下や戦闘員に追撃を命じるが、エイミーがそれを止めた。
「ボス、ここは私にお任せください。部下の手を煩わせません」
「そ、そうか。なら、お前に任せる!」
 ボスの了承を得た‥‥エイミーはさっと部下や戦闘員の顔を見渡してから、ラサの追跡を開始した。
 ところが彼女は道半ばで振り返り、組織のメンバーに向かって銃口を向けるではないか。エイミーの謎の行動に、誰もが息を呑む。これから何が起こるのか‥‥?
「見なきゃいけないものが見えてなくて、見なくていいものを見るとは‥‥皮肉だな」
 彼女は小銃を照明銃に持ち替え、注目の的となる場所に閃光を打ち込んだ。組織の連中はパニック。こうしてラサとエイミーは、見事に虎口を脱した。

 同じ頃‥‥探偵たちは駐車場にいた。UNKNOWNは特殊な煙草で煙幕を張り、赤月は逃走用に残しておいた車のエンジンをかけ、運転席をエージェントたちに任せる。
 そこへ菜摘たちがやってきた。赤月はとりあえず全員を車に乗せる。その際、葵がトモに「バイクの場所で降ろしてほしい」と伝えた。
「よし、ラサとエイミーも脱出した! 逃げるぜ!」
 Anbarはそう叫ぶと、エージェントたちはアクセルを踏み込む。あとは安全な場所に停めてあるバイクとジーザリオを回収するだけだ。

 それぞれがいつもの服装に戻ったところで、美鈴がみんなに飲み物を振る舞う。
 みんなが飲み物を手に取ると、エイミーがうれしそうに「チームワークの勝利だな」と喜んだ。そしてみんなで乾杯。その後もハイタッチなどをする。黄色いスイートピーは、いつ大事なものを失ったことに気づくのだろうか。