タイトル:ゴミは持ち帰りましょうマスター:桃野はな

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/07/25 11:29

●オープニング本文


 今年も海の季節がやってきました。
 胸がはずむ季節ですよね。

 去年のゴミの残骸が砂浜に残っているから海開きができないという海の家の主人がゴミ拾いをしてくれる人を集めてくれと依頼してきました。海の家の主人一人では片付けられないほどのゴミがあるようです。
 砂浜にはタバコの吸い殻、缶やペットボトルなどが散らかっています。
 去年の夏から随分時間が経っているので、元の原形をとどめていないゴミもあります。
 これではせっかくの海があるのに、このままでは誰も遊びに来てくれないだろうと海の家の主人が嘆いています。
 そこでゴミ拾いをしてくれる人を募集いたします。

 ゴミ拾いのあとは自由に海で遊びましょう。
 あなたは海で何がしたいですか。
 海辺でウフフ、アハハと笑いながら走ります?
 それとも鍛え上げた身体を見せつけますか?
 遠泳も面白そうですよね。
 浮き輪でプカプカと海に浮いて、瞑想するのもいいかもしれないです。
 スイカ割りだったら、みんなで楽しめそうですよね。

 ゴミ拾いのあとの一時を楽しんでください。
 あ、自分のゴミはきちんと始末してくださいね。

●参加者一覧

絶斗(ga9337
25歳・♂・GP
ヨグ=ニグラス(gb1949
15歳・♂・HD
サンディ(gb4343
18歳・♀・AA
加賀 環(gb8938
24歳・♀・FT
沖田 護(gc0208
18歳・♂・HD
天空橋 雅(gc0864
20歳・♀・ER
鈴木悠司(gc1251
20歳・♂・BM
ユウ・ターナー(gc2715
12歳・♀・JG

●リプレイ本文

 能力者たちがたどり着いた砂浜には、去年の夏の残骸やら、流木やらで、とてもこの海で泳ぎたいなどという者は出てこないだろうという悲惨さであった。絶斗(ga9337)はその悲惨な砂浜をトイカメラに収めた。
「ヨグ、日焼け止めを塗ってあげる」
 青を基調とした白いドット柄ビキニ着ているサンディ(gb4343)の手に日焼け止めが握られている。
「えと、何故に笑顔なのです。サンディさんのお願いなら聞きますが‥‥」
 ヨグ=ニグラス(gb1949)はサンディにされるがままに日焼け止めを塗られている。ヨグは恥ずかしさを隠せないようだが、サンディはまるでヨグが恥ずかしがっているのを楽しんでいるようだ。サンディにとってヨグは弟のような存在で、可愛くて可愛くて仕方がないらしい。
「ほら、動かないで」
 サンディから動かないように言われたヨグはよりいっそう顔を赤らめる。二人が作り出す空間だけ、他の能力者たちから明らかに浮いている。
「あー、これがゴミ拾いを依頼してきた海ね」
 かったるそうに加賀環(gb8938)は髪をかきあげた。海のゴミ拾いなんて、傭兵に出すような依頼じゃないと思っているらしく、どうしてボランティアや業者に頼まないのか、首を傾げている。依頼を受けたからにはしっかりやるけど、楽な仕事過ぎないか? と加賀はぼやいた。そんな加賀はメイド服で煙草をくわえている。メイド服でゴミ拾いというところが加賀らしい。
 沖田護(gc0208)はリンドヴルムを着て、武器を全部外した状態で、パワースーツ代わりに使うようだ。
「よぉーし、ユウ、頑張ってお掃除しちゃうぞ☆ 掃除が終わったら、思い切り遊ぶんだぁ!」
「じゃあ、張り切って掃除しようか」
 ユウ・ターナー(gc2715)と鈴木悠司(gc1251)は砂浜の掃除に意欲満々である。
「素足じゃ危ないですかね‥‥」
 鈴木はサンダルか靴を海の家に借りに行った。
 その一方で天空橋雅(gc0864)は、砂浜を汚すとは嘆かわしいと怒っている。天空橋は生来の堅物ゆえ、手抜きは許せない性格だようだ。
「私も目立つゴミは拾いますが、ゴミ袋はすぐにいっぱいになるでしょうから、ゴミが入ったゴミ袋回収と新しいゴミ袋を配布する役目になりましょう」
 天空橋は各々にゴミ袋を渡した。そして、自らは流木など大きなゴミを拾い始めていく。ある程度、流木が集まったところで、タイミング良く沖田が「これ、まとめて運びますね」と流木をまとめて持っていく。この二人の組み合わせで海辺の流木はどんどん片づいてく。
「さて、流木はこのくらいにして、みんなのゴミ袋回収とゴミ袋配布に向かおう」
 天空橋は新しいゴミ袋を片手に皆のところへ向かっていく。海の家の主人にもこの役をお願いするつもりだ。
「ヨグ、サンダルで大丈夫なの?」
 サンディがヨグへと尋ねた。
「えと、サンダル装備の僕に死角はないです」
 サンディへの日焼け止め塗りを終えたヨグは胸を張って、そう答えた。
「ヨグといっぱい遊べるように綺麗にしようね」
「はい、サンディさんとたくさん遊びたいです」
 ヨグとサンディは砂浜に散乱している空き缶を集め始めた。ヨグは片手に持っているビニール袋へと空き缶を入れていく。サンディのゴミ拾いはヨグと綺麗な砂浜で遊ぶためだけにやっていると言っていいほど、ヨグと遊ぶのが楽しみなようだ。ヨグはサンディの水着姿にドキドキしてしまい、ゴミ拾いにわざと集中しているが、やっぱりドキドキしてしまものはドキドキしてしまうものだ。
 加賀は戦闘用メイド服でゴミ拾いをしている。煙草をくわえてはいるが、火はつけていない。火をつけて吸っているとゴミになるし、だからといってくわえないと口寂しいらしい。ゴミ拾いしながら、自分でゴミを量産してどうするというのが加賀の考えらしい。メイド服でゴミ拾いというのはなんともシュールな上にくそ暑いようだ。
 海のゴミ集積所に集めれたゴミからは何とも言いがたい臭いが漂っている。ゴミ袋の中にはヘドロみたいなものが入っているものもある。絶斗はしっかり自前のトイカメラにその風景を写した。
「これはすごい‥‥さすが依頼したことだけはある」
 海の家の主人は大層感心しているようだ。砂浜は片づける前とは見間違えるほどの綺麗な砂浜になっている。これで安心して海開きができるに違いない。
「ヨグ、『ゴミは持ってかえりましょう』とか『マナーを守りましょう』とかポスターを貼ろう」
「はい、サンディさん」
 みんなが遊び始める前に、サンディとヨグはいそいそとポスターをあちらこちらへ貼り付けた。
「んと、これでゴミを捨てる人がいなくなればいいですね」
 ポスターをあちらこちらへ貼り付けたため、嫌でも目につくはずである。
 絶斗はポスターが貼られてある風景を撮影すると昼寝を始めた。加賀は自前のドット柄ビキニに着替える。メイド服とは違う色気がそこはかとなく漂っている。天空橋は最初から作業着の下に競泳用の水着を着ていたようで、作業着を脱ぐと鍛え上げられた肉体が露わとなった。その美術品のごとき肉体は天空橋の自慢である。沖田は現地調達したアロハシャツを着ている。
 ユウの水着は黒地にピンクの縁取りがされたフリルの水着である。ユウのお気に入りの水着である。
 綺麗になった砂浜に女性陣の水着が華やかに映えている。
「えと、今日はビーチボールを持ってきたので、ビーチバレーでもしませんか」
 ヨグの一言で、みんなでビーチバレーを始めようということになった。
「ユウは悠司おにーちゃんと一緒になれたら嬉しいな」
「僕はサンディさんと一緒がいいです」
 ヨグやユウの希望に合わせて、沖田とヨグ、サンディ組、天空橋、鈴木とユウ組に分かれることになった。
 棒とひもでネットを作り、各組に分かれた。
 ヨグがサーブしたボールをユウがレシーブ。そして、鈴木がトスをあげる。
「一撃必殺!!」
 バスッ! 天空橋が見事に相手組のコートにぶち込む。このごろ、大規模作戦や他の依頼で辛いことが続いていた沖田がそれを発散させるかのように(?)見事にレシーブ。サンディがスパイクを決めるが、天空橋が拾った。
「悠司おにーちゃん、今だよッ!」
 ユウのトスで、鈴木がスパイク。なかなか決まらないこの勝負。ビーチボールが破裂したところで終了となった。
「誰か私と泳ぎを競う奴はいないか?」
 天空橋が他の能力者たちに問いかけたが、皆、他の遊びに夢中になっているので、天空橋は一人で海を真剣に泳ぎ始めた。やるときは何事も全力である。
「悠司おにーちゃん、お城作ろう!」
 ユウの誘いで、二人はお城を作り始めた。すぐに崩れないように砂に少し海水を混ぜる鈴木はなかなかの本格派である。
「お城の頂上には旗が鉄板だよね」
 ユウは城作りが終わったら、誰かをお砂に埋めちゃおうかなとこっそり企んでいるようだ。
「ヨグ楽しい?」
「サンディさん、楽しいです」
 ヨグのほっぺたをつついているサンディ。
「スイカ持ってきたんですけど、みなさんスイカ割りしませんか?」
 サンディが皆に声をかけ、スイカ割りが始まった。
「悠司おにーちゃん、もうちょっと右、右! そこだーッ!」
 ユウは鈴木に指示をするが、少しのところでスイカからズレる。
「うおりゃぁ〜」
 普段の性格からは考えられないほど、沖田はスイカ割りにストレスを向けている。
 パカッ! 見事に沖田がスイカを割った。
「うむ、これはうまいな」
 吸っている煙草を手に、加賀がスイカを一口食べた。
 スイカ割りの後は、みんな好きに海に浮いたり泳いだりして、そろそろお開きの時間が来た。
「海の家のご主人に挨拶してきますね」
 沖田が海の家に向かう。
「今日は楽しかったです。ありがとうございました」
「いえいえ、今日は海を綺麗にしてくれて‥‥こちらこそありがとう」
 海の家の主人は満足そうな笑みを浮かべる。
 もちろん、能力者たちは自分たちの出したゴミはきちんと持ち帰ったことは言うまでもない。