タイトル:【MN】私立桃色学園マスター:桃谷 かな

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/09/13 16:00

●オープニング本文


※ このオープニングは架空の物になります。このシナリオはCtSの世界観に影響を与えません。
申し訳ございませんが、相談期間中の拘束は通常通りに発生します。事前にご了承のうえご参加ください。


 私立ドローム学園高校――それは、北米一の名門校であり、贅を尽くした煌びやかな学び舎に憧れを抱く者は少なくない。
 全寮制という環境も相俟って、そこに集う大勢の生徒たちは、良き指導者たる教員たちの下、清く正しく美しくをモットーに日々勉学に励んでいるのである。

「カプロイア先輩、おはようございます。来月の学園祭の予算申請が上がって来たようですわ」
 この学園の実権を握る生徒会――その会長たるミユ・ベルナール(gz0022)は、生徒会室の椅子に掛け、目の前の金髪の男に向けてそう切り出した。
「ミユ君、そのような事は会計を通すべきではないかな?」
「あっ‥‥そうですわね。すみません、私ったら、焦ってしまって――」
「ああ、済まない。責めたわけではないよ、ミユ君。私は君のバイタリティ溢れる所も尊敬しているからね」
 男の言葉に、ミユの頬は一気に薔薇色に染め上げられる。
 カプロイア先輩(gz0101)と呼ばれるこの男は、生徒会の副会長を務めており、実家の資産がキャラクターシートの表示限界を突破する程の超セレブである。一応高校3年生だが、なぜか9年連続で『ミスター・ドローム学園』を獲得しているという、女子の憧れの的なのだ。
「カプロイア先輩‥‥あ、あの、私――」
「何かな?」
 生徒会室には今、二人きり。
 ミユは、モジモジと身体をくねらせ、急にしどろもどろになってカプロイア先輩を見上げた。
 言いたい‥‥だが言えない――
 時間だけが過ぎて行く。
「あの‥‥実は私‥」

 だが、次の瞬間。

 ばさり。
「カプロイア先輩! 私っ‥‥もう我慢できませんわっ!!!」
 突然制服のブレザーを脱ぎ捨て、結構やる気満々な黒の下着姿となったミユが、カプロイア先輩に飛び掛ったではないか。
「み、ミユ君? それは一体――!」
 自分の上に馬乗りになり、最後の砦たる下着すらもポイッと捨てて迫るミユの姿に意表を突かれたか、流石に若干焦るカプロイア先輩。メロンか何かのような、たゆんたゆん揺れる二つの物体が目の前で白肌を晒していた。
「いや、待ちたまえ。ミユ君、ここは学園内だ。いつもの理性的な君はどこに‥‥」
「関係ありませんわ先輩っ!! ミユは、ミユはあなたの事が‥‥!!」
 何か言おうとしたカプロイア先輩だったが、柔らかいものに顔面を埋められて強制的に黙らされる。
「ああ先輩――ミユのモノになって!!!」


    ◇◆
 十分後。 
「――と、いう訳だ。諸君を招集した意味は、聞かずとも理解してくれるだろうか」
 『風紀委員室』とプレートのかかった室内で、黄金の仮面を被った男が円卓を囲む者達に、事の顛末を説明していた。
 彼の名前は、風紀委員長ナイト・ゴールド。断じて、巨乳の下から辛うじて逃げ出してきたカプロイア先輩ではない。断じてだ。
「生徒会長の乱心には、何か原因があることだろう。なぜなら、学園内で同様の現象が数件発生しているためだ」
 
 真面目なメガネっ娘が突然色気づき、下着姿で男子生徒を追い回す。
 普段からチャラいモテ男が、いきなり全裸で校内を練り歩いて変態に成り下がる。
 中庭で一緒にランチを楽しんでいたカップルが、唐突に放送禁止な行為に及ぶ。
 食堂のオバチャン集団が、脱ぐ。
 ウサギ小屋のウサギが、なんかものすごいセクシーなポーズで迫ってくる。

 どう考えても、異常事態であった。
「諸君、風紀委員としては黙っていられない事態だ。原因を究明し、迅速な解決を頼みたい」
 ナイト・ゴールドの言葉に、神妙な面持ちで深く頷く風紀委員一同。
「尚、ピンク色の瓶を抱えた不審な女生徒が校内各所で目撃されているそうだ。ミイラ取りがミイラに、という言葉もある。皆、十分に注意を払うように」


    ◇◆
「ふふふ‥‥ミユお姉様は上手くいったかしら‥‥?」
 その頃、瓶を抱えた不審者ことリリア・ベルナール(gz0203)は、渡り廊下から下を眺めてぼんやりしていた。
 彼女はミユの妹であり、高校生にして天才と評される程の科学者でもある。
「お姉様ったら、中々告白しないんだから‥‥もどかしいったらないわ。でもこれで、少しは先に進めたかしら?」
 リリアは、首まで下げていたマスクを口に着け直すと、下を通りかかった二人の女生徒の目の前に、瓶の中身をポタリと垂らす。
 するとどうだろう。それまでクラシック音楽について話していた二人の話題が、いきなり放送禁止用語満載の猥談へと変貌したではないか。
「素敵。やっぱりこの薬は最高傑作だわ。‥‥もっと実験データを収集しないと‥‥」
 瓶のフタを閉め、リリアは、足取り軽くルンルンと廊下を走っていくのであった。

●参加者一覧

ハルカ(ga0640
19歳・♀・PN
水理 和奏(ga1500
13歳・♀・AA
忌咲(ga3867
14歳・♀・ER
L3・ヴァサーゴ(ga7281
12歳・♀・FT
烏谷・小町(gb0765
18歳・♀・AA
佐渡川 歩(gb4026
17歳・♂・ER

●リプレイ本文

「いろいろ便利かなと思って、風紀委員になったけど‥‥こんな事態は想定外だったよ」
 阿鼻叫喚の地獄絵図と成り果てた学園の屋上に立ち、3年生風紀委員兼、生物部部長の忌咲(ga3867)が小さく呻いた。
 眼下では丁度、男子ラグビー部が卑猥なモン全部丸出しで、女子を追いかけ回している。
「‥‥汝‥手中の物‥‥何」
「えっ!? な、何でもないよっ?」
 デジカメを1年生のL3・ヴァサーゴ(ga7281)に見咎められ、忌咲は慌ててそれを隠した。
 HAHAHA! 『生徒会長と副会長のスキャンダルを押えて部費の増額要求☆』なんて、そんな風紀委員に有るまじきこと、忌咲が考えるわけないではないか!
「風紀委員になって初めての大きな事件なのだ〜! 頑張って解決して、ミユお姉さまに褒めてもらおうっと♪」
 ミユ・ベルナール(gz0022)にチューしてもらう自分を想像し、早くもへにゃりと頬を緩ませる1年生のハルカ(ga0640)。その立派すぎるバストは、入学してからこっち、クシャミで10回も制服のボタンを飛ばした記録を持っているとか。
「せせせ生徒会長が神聖な学園内でぜぜぜ、全裸で男子に迫るなんて!」
 症状も出てないクセに、噛み噛みで意気込む佐渡川 歩(gb4026)。
 生徒会長は、今、全裸。もしくは下着――その事実だけが、エンドレスで彼の頭の中をグルグル回り続けていた。
「せやね。捕まえて乳を堪の‥‥症状が治まるまで大人しくしといてもらわんとな」
 風紀委員でありながらオッパイハンターの異名を取る烏谷・小町(gb0765)が、危うく本音を洩らし掛けつつ平然と言い直す。やたらと短い彼女の制服がイタズラな風に吹かれる度、湧き上がるノーブラ疑惑に歩の血圧はガンガン急上昇。
「おおおおっぱい会ちょ――あっ、いえ、生徒会長を一刻も早く確保しないと!!」
「そうだね。カプロイア先輩(gz0101)に無理矢理なんて‥‥ダメだよ。僕、絶対に元の優しいミユお姉様に戻してあげるんだ!」
 歩の脳内が現在18禁映像に占拠されているとも知らず、飛び級で入学してきた優等生・水理 和奏(ga1500)が、彼のヤル気に触発されたかのように拳を握り締めた。


    ◆◇
 屋上に残り、双眼鏡でミユと怪しい人物を探していたハルカが、困ったように溜息を洩らした。
「怪しい人ばかりなのだ‥‥」
「怪しいっちゅーか、そこら中変態だらけやなぁ」
 肩を落とすハルカの横で、小町は、時々その巨乳をチラ見している。彼女の胸の谷間にミユ会長のフィギュアが挟まっているのは、一体何のメッセージなのだろう。そして、その足元に置かれた会長のぬいぐるみに、立体マウスパッドがくっついているのは、どう解釈したらいいのだろう。小町は微妙に悩んでいた。
「でも諦めないのだ! ミユお姉さまを探すのだっ!」
 いきなりダッシュをかけたハルカを、小町が慌てて追う。
 誰かに先を越されて、ミユ会長が正気を取り戻したら大変だ。あのオッパイを堪能できる千載一遇のチャンスを逃してしまうではないか。
 ご褒美のチュー、そしてオッパイに目が眩んだ二人は、こうして変態の巣窟に足を踏み入れたのであった。


「会長から逃げ出したというのは本当なんですか!?」
 こちらは生徒指導室。優雅に紅茶など嗜んでいるカプロイア先輩を、歩は激しく問い詰めた。
「本当か嘘か、と問われれば、本当だね」
「逃げる前に、おっぱいの一揉みくらいしたんじゃないですか!?」
 フンガー! と鼻息荒く異常接近してくる歩。カプロイア先輩は「君の発想力には感服するよ」などと余裕をかましている。
「おっぱい揉んで、あまつさえ『ぴー』を『どきゅーん』で『ぱおーん』してたりなんかしちゃったりしてっ!? さあどうなんですか!?」
「残念だが、生徒会室で動物を飼育することは禁じられていてね。確かに君の言う通り、全ての束縛から解き放たれたミユ君が、象や鳥たちに囲まれて立つ姿は、まさしく芸術そのものだろう」
 カプロイア先輩はちょっと別の世界に住んでいる節があるので、何を言っているのかサッパリわからない。
「何言ってるんですか! 詳しく説明して下さい、10分あれば充分『ピーーーーッ』」
 ぶぼぁっ! と鼻血を噴射する歩。待て、10分はキツイ。
「‥‥すみません。僕とした事が『何の話をしていても、最終的にはエッチな話になっている』症状が出た様です。なんて恐ろしい事態なんだ‥‥」
 彼は、自分の妄想癖を事件のせいにした。
 最初はマトモな話をしていたとでも言いたいのか。どこからどこまでが『最終的』なのか問いたい。
「大丈夫かね? しばらく休んでいると良い」
「はい、そうですn――」
 十秒後、血みどろの制服を脱ぎブーメランパンツ一丁で優雅なティータイムに突入したカプロイア先輩を残し、歩は無言で生徒指導室を後にした。


 廊下をスキップなどしながら、リリア・ベルナール(gz0203)はウットリとピンクの瓶を抱きしめた。そこへ飛び出してくる、黒い影。
「――ばあっ!!」
 全裸にカーテンだけを纏った屈強な男子が、リリアの目の前で己を見せつける。
 リリアは一瞬、足を止めたが、
「――ちっさ」
 絶対に言ってはいけない一言を、事も無げに言い放った。嗚咽とともに退場していく露出狂男子。
 リリアは、フン、と腹黒げに鼻を鳴らし、再びスキップしようとして――後ろに引っ張られる。
「‥‥我‥‥元凶、発見‥‥」
 彼女の制服を掴んでいたのは、ヴァサーゴ。
「‥‥薬品‥‥風紀乱す故‥‥回収――!?」
 マスクを引き上げたリリアが、振り返り様に薬品を振り撒く。たちまち気化したそれを吸い込み、ヴァサーゴが一瞬怯んだ。彼女の体が急激に火照り、何かが疼き出す。
「んぁ‥あ‥あぁ‥‥! 何‥この‥‥ふあぁ‥‥っ‥!?」
「さあ、あなたも素敵な愛の世界に――きゃあっ!?」
 突然、ヴァサーゴに腕を引かれて悲鳴を上げるリリア。
 階段裏の暗がりに彼女を連れ込んだヴァサーゴは、熱く燃える身体を持て余すかのように、その豊かな胸に顔を埋めた。
「あぁ‥ふぁぁ‥‥♪ 姉様、姉様ぁぁ‥‥はぁぁ‥ん♪」
 リリアの太股に跨り、身体を捩らせて湿った声を上げる。柔らかな、僅かに汗ばんだ胸元が、息が詰まるほどに彼女を包み込んでいた。
「全部ぅ‥‥わたしの全部‥んぅ‥‥っ、姉様にぃ‥包まれ、て‥ふぁ、あはぁ‥‥♪」
 狂ったようにリリアを求めるヴァサーゴ。
 こんな程度では我慢できぬとばかりに、相手の肌に片手を這わせ、ゆっくりとトランクスに手を掛ける。
 と。
 ――トランクス?
 疑問を感じ、顔を上げる。
「う、嬉しいな、ヴァサーゴちゃん‥‥君がそんなに大胆だったなんて‥‥」
「‥‥‥‥」
 赤面し、モジモジと体をくねらせる男子相撲部員が一人、そこに居た。

 数分後。
 ミユを探して廊下を走っていた小町とハルカは、階段裏からどくどくと流れ出ている血を飛び越え、一体何があったのだろうと首を傾げた。
「確かここがミユお姉さまの教室なのだっ」
 3−Bと書かれた教室の扉を、ハルカが勢い良く開け放つ。
「あふ‥んぅ‥‥っ、わ、わたしの‥美味しい‥っ?」
「「‥‥‥」」
「ひぁぁぁ!? ダメ‥そんな、そんなの激し‥くふぅぅぅっ♪」
 ピシャン、と扉を閉める小町。
 ヴァサーゴが一人で何か悶えていた気もするが、たぶん幻覚だろう。
「あっ! 二人とも、お願い、手伝って!」
 二人を呼び止めたのは、和奏であった。女生徒二人の仲裁に入ろうとして、持て余したようである。
「なんなのアナタ! その程度の顔でボビーに迫ろうってワケ!?」
「なんですって鍋のフタみたいな顔して!! アンタの『ピー』なんか『ピー』で『ピーーーッ』なクセに!!」
「だ、ダメだよ喧嘩しちゃ! 落ち着いて!」
 刺激が強すぎるワードが飛び交い、顔を真っ赤にして鍋のフタな方の女子を押さえる和奏。
「よっしゃ! バンダナの出番やでー♪ うちが何とかするから、二人は会長探しといてなー」
「ちょ‥‥何すんのよっ!?」
 鍋のフタではない方の女子をバンダナで素早く縛り上げた小町が、それを空き教室へと連れ込んで行く。
 そして、
「へっへっへ、ええ乳しとるやないかー♪」
「えっ、ちょっ‥あ、あぁ〜ん!」
 どこのオッサンやねん、的な小町の台詞の後、アヤしく乱れた女生徒の嬌声が、校舎中に響き渡ったのであった。


    ◆◇
「うぅ、こんなうさぎさん可愛くないよ〜」
 生徒を追いかけ回していたウサギたちを地道に回収すると、忌咲はウサギ小屋の前でへたり込んだ。
「とりあえず、空気感染は無さそうだし、接触感染も、カプロイア先輩は平気そうだったから、無いのかな」
 その場に座り込みながら、状況を分析していると、
「あら、あなた、何を落ち込んでいるの?」
「ん‥‥? あなたは2年生のリリアさん?」
 例の瓶を抱えたリリアに声を掛けられる。無防備にも座ったままの忌咲。
 彼女は、風紀委員会での注意事項をあまり聞いていなかったのだ。
「そんな顔してちゃ駄目よ。楽しくなりましょう?」
 ポタリ、と忌咲の額に液体が垂れ落ち、無色の気体となって蒸発していった。

 その頃、鼻血を止めた歩は、中庭のベンチに座ってミユを待っていた。
(「ま、女の子なら誰でもいいんですけどねっ♪ さー来い来い」)
 部分的に大変元気になりながら、やや前のめりでその時を待つ歩。
 そして――
「まーっ、可愛い男の子☆」
「いいのかい? 僕みたいな男にホイホイ声をかけて。僕は女の子なら誰でも構わず食っちまう様な男なんだぜ?」
 ポン、と肩に手を置かれ、くるりと振り返る歩。妙に渋い声で言いながら、顔を上げた。
「‥‥でも、初めてだから優しくして‥‥‥‥ね‥‥?」
 歩が、カキーンとその場に石化する。
 そこに立っていたのは、全裸にエプロンをつけた――食堂のオバチャン軍団。
「安心し? オバチャンら百戦錬磨やからな!」
「え、あの‥僕、そんな過激なのはちょっと‥‥」
「怖がらんでもええで‥‥すぐ終わるからな!」
「え、ちょ、イヤ、あああああああああ」
 小柄な歩の体に、でっぷり肥ったオバチャン達が殺到し、埋め尽くす。

「アーーーーーーーッッ!?」


    ◆◇
 この世の地獄を見た歩。
 寺倫の範囲では到底描写出来ないような仕打ちを受けた彼は、引き裂かれた制服を引き摺りながら校舎内を彷徨っていた。
 彼が転がり込んだのは、生物室。
「可哀想、苛められちゃったの?」
 誰かの声を聞き、ぼんやりとそちらに目を向ける歩。そこには、裸白衣の忌咲が立っていた。
 ウサ耳つけて。
「ばばっばばばばんにーーーーーーーッ!!??」
 奇声を発し、びよーんと飛び起きる。
 なんだこれは。バグアの罠か。
「わわわ罠です! 罠ですね!?」
「うさぎさんは、寂しいと死んじゃうんだよ?」
 薄暗い生物室で、忌咲は歩を押し倒し、ぴったりと身体を押し付けてくる。
 例えその表面に一切の凹凸がなかろうと、歩の『ぴー』は既に『どきゅーん』で『ぱおーん』だ。
 もう罠でも構わない――歩は忌咲の肩に手を回し、きりっと顔を整えて、言う。
「いいのかい? 僕みたいな男にホイホイ声をかけて。僕は女の子なら――」
 
  がっしゃーん!!

「ハルカさん! ミユお姉様をお願いッ!! 僕はリリア先輩を!!」
「お姉さま、正気に戻るのだッ! おっぱいビーーーンタ!!」
「甘いですよハルカ! 胸というものはこう使うのです!!」
 いきなり乱入してきた5人の女生徒達が、大捕物を開始した。
 ハルカの巨乳がミユの顔面を襲い、逆にカウンターおっぱいパンチがハルカの体を弾き飛ばす。
「ちょ、ちょっと何なんですか!? 空気読むってことを知らないんですかあああああああ!!???」
「うっさい乳無し!!」
 血の涙を流しつつ、5人に詰め寄る歩。だが、とても理不尽な理由で小町に殴り倒され失神した。
「瞬天速わかなダーッシュ! 捕まえたっ!」
「くっ!? あ、危ないッ!?」
 追い詰められたリリアに和奏が飛び付き、リリアがよろめく。その腕から、ピンクの瓶が零れ落ちた。
 マスクを上げるヒマもない、その一瞬のうちに――瓶が割れ、薬品が室内に充満する。

「ふにゅにゅ‥‥何か変な気分なのだ‥‥」
 マウスパッド付きぬいぐるみに顔を埋めていたハルカが、急に起き上がって胸に収納したフィギュアを取り出した。そして、ゲーセンで美少女フィギュアをGETした時ついやっちゃう感じで、ちゃんとパンツはいてるかどうか目視確認してから、ゆっくりと服を脱がし始める。
「うぅ‥‥ミユお姉さま〜‥‥むにゃむにゃ」
「やったー! 生徒会長のオッパイやー♪」
 ちなみに小町は、オッパイハンターがハイパーオッパイハンターにクラスチェンジしただけの話で、さほど変化がない。ミユの胸に飛び付き、これでもかという位に揉みまくった。
「ああ、カプロイア先輩‥‥っ! ミユはもう‥‥! ああん‥‥」
 ミユはTバックな腰をくねらせ、焦らされた身体を自ら小町の前に投げ出した。タガが外れてハイパーモードに突入した小町の手が胸どころか全身を舐め回し、濡れた吐息が床を湿らせる。
「やんっ、僕のYシャツ脱がさないでっ!」
「うふふ、和奏ちゃんたら可愛いわね‥‥」
 部屋の隅では、エッチな気分になったリリアが和奏に馬乗りになっていた。
 一枚、二枚。
 どんどん脱がされるうち、和奏もまた、少しずつ気分が高揚している自分に気付く。
 幼いから薬が効きにくいと思ったかもしれないが、残念ながらこの薬は全年齢対象です。
「うぅ‥‥実は僕も、最近好きな人に会えなくて‥‥リリア先輩っ」
「いいのよ和奏。いらっしゃい‥‥」
 リリアの唇が押し付けられ、和奏はそれ以上何も言えなくなった。
 和奏の身体は熱を持ち、肌をまさぐるリリアの手を拒めない。
 そこへ、汗ばんだ肢体に白衣を纏わり付かせた忌咲が、ゆっくりと歩み寄る。
「だめだよ。みんなだけで盛り上がって。私も入れて?」
「ダメっ‥‥僕、もう心に決めた人がいるから‥‥リリ‥ん、ん‥‥っ」
 全身をくまなく這い回る、四本の手。和奏は身体を震わせ、それに抗おうとした。

 その瞬間。

 がっしゃーん! と生物室の窓が割れ、いくつもの影が雪崩れ込んでくる。
 わんわんにゃーにゃーぴーぴーぱおーん!!!
「なななな何や一体ーーーッ!?」
 混乱した小町が叫び、正面のインド象に跨った金髪の男を凝視する。
 インド象の上で青薔薇に囲まれ、カプロイア先輩は、腹立つぐらい爽やかな笑顔で両手を広げて見せる。
「佐渡川君に素晴らしいインスピレーションを頂いてね。人と動物の共生を目指して、この学園でも共に生きるべきだと、私は思うのだよ」

「「「「「「「え‥‥‥?」」」」」」」

 薬を吸い込み、鼻息荒く7人を見つめる動物達×100。

 煌びやかな学び舎に、地響きと風紀委員一同の悲鳴が響き渡った――。

<完>