タイトル:わんにゃんチャリティーマスター:桃谷 かな

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/07/09 03:52

●オープニング本文


 北米に展開するUPC北中央軍、その中には、戦闘を目的としない、いくつかの特殊部隊も含まれている。
 中でも、バグアとの激戦の地であるこの北米において、戦闘地域での人命救助を目的として編成された部隊は、めざましい活躍をみせていた。

 その中の一つに、レスキュー犬を使い、海や陸を問わず活動する部隊が存在する。

 それは、厳しい訓練を受けた災害救助犬・水難救助犬と、それを扱うハンドラーたちが軸となって編成された部隊であり、瓦礫の中や海の上で救助を待つ生存者を、迅速かつ正確に発見することを任務としている。

 ――しかし今日、その通称『レスキュー犬部隊』に課せられた任務は、ちょっと変わっていたのだった。

  
    ◆◇
「‥‥『わんにゃんチャリティー2008』、ブース出展?」
 レスキュー犬部隊のハンドラー、クリスト・ファニング中尉は、可愛らしい犬猫のイラストが描かれたパンフレットを片手に、うーん、と苦悩の呻きを上げた。

 彼らに課せられた任務――それは、チャリティーイベントへの参加である。

 6月といえば、アメリカでは、動物のイベントが目白押しの季節。
 元々、それらが盛んに行われていたのは東海岸の方であったのだが、バグアによる占領のおかげで、最近ではサンフランシスコ近郊に場所を移して開催されるようになってきたのだ。
 今回、UPCにブースの出展を依頼してきたのは、『わんにゃんチャリティー2008』という、バグアの襲撃により命を落としたペットたちを追悼し、家族を失ったペットたちを支援することを趣旨として開催されるイベントである。
 ペットグッズやフードの販売をはじめ、飲食、わんにゃんサーカス、展示コーナー、小動物ふれあいなど、様々なブースが出展され、それによって生まれた収益が、動物愛護団体やアニマルシェルターに寄付されるのだという。
 UPC北中央軍が出展するブースの内容は、人命救助に関するパネル展示と、『ペット用非常袋』の販売。
 そこで、クリスト中尉ら、レスキュー犬部隊が派遣されることとなったのだ。
「全く、人手が足りてないってのに‥‥」
 クリスト中尉は、小さな声で一言ぼやくと、パンフレットを置いて立ち上がった。
 急な依頼だったことも手伝って、今からでは、部隊内でのスケジュール調整が間に合いそうもない。
「ま、こういう活動も、大事っちゃ大事だからなぁ‥‥予算申請して、傭兵でも雇うか」


 ――数日後、ラスト・ホープに集う能力者たちに、新たな依頼が届けられた。
「サンフランシスコでのイベント『わんにゃんチャリティー2008』のスタッフ募集。UPC北中央軍ブースでの販売業務です」
 

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●依頼内容
・『わんにゃんチャリティー2008』のスタッフ業務です。
・開催地は、サンフランシスコ近郊の緑地です。
・『ペット用非常袋』を販売します。ブースを盛り上げる工夫をお願いします。
 商品が売り切れになった時点で、自由時間になります。

●参加者一覧

ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
鳥飼夕貴(ga4123
20歳・♂・FT
エレナ・クルック(ga4247
16歳・♀・ER
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
Laura(ga4643
23歳・♀・BM
櫻杜・眞耶(ga8467
16歳・♀・DF
シュブニグラス(ga9903
28歳・♀・ER
朔月(gb1440
13歳・♀・BM

●リプレイ本文

 『わんにゃんチャリティー2008』開催数日前、8人の傭兵たちは、UPC北中央軍本部、通称『レスキュー犬部隊』を訪ねていた。
 まず、商品やイベントについて簡単な説明を受けた彼らは、続いて、事前に自分たちで練ってきた販売促進案を、クリスト中尉へ提出した。
 その中で、簡単に提案が受け入れられたのは、『UPC印のTシャツをユニフォームにする』、『UPCのスタンプを商品説明書に捺す』、『展示スペースにイスを置く』、『レスキュー犬との記念撮影サービス』『チラシ配り』の五点である。このあたりは、部隊内の備品でなんとかなりそうだとのこと。
 しかし、残念ながら却下されてしまったのは、『無料サンプルの配布』であった。
「ウチ、一応軍だからさー。しかも、今回はチャリティーだからね。タダで配れるほど、予算なくって」
 やや情けない声でそう言って、クリスト中尉は、ぽりぽりと頭を掻いた。
「まあ、多少の予備はあるし、ブースに来たワンちゃんにペット用の水飲ませるぐらいならOKかな」
「そうさせて頂けると、嬉しいです」
 提案者のホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)が相槌を返すと、クリスト中尉は、Laura(ga4643)とシュブニグラス(ga9903)の方に視線を移す。
「救助犬のデモンストレーションを手伝いたいって? で、その後に販促デモか‥‥」
「こういったイベントには、職業犬のデモがつきものですから‥‥」
 クリスト中尉に、櫻杜・眞耶(ga8467)が、静かに微笑んで答えた。
「そっか‥‥じゃ、やってみる?」
 Lauraとシュブニグラスが頷き、クリスト中尉は、なんだか楽し気な様子で一同を見回している。
「あとは、これだなー‥‥」
 UNKNOWN(ga4276)とホアキンの、『レスキュー犬が客に商品を渡す』という提案を読み返しつつ、クリスト中尉は低く呻いた。
「やはり、無理ですか?」
 元々、一部の仲間からも否定された案である。言葉少なに尋ねるUNKNOWNに対し、クリスト中尉は、パタパタと片手を振って、やや考えるような素振りを見せた。
「まあ、当日までに、色々試して調整してみるよ」
「色々と無茶なことを提案してしまったようで、申し訳ない」
 卓の上で両手を組み、少し頭を下げて言ったホアキンに、クリスト中尉は、
「いや? 言ってくれたほうがいいよ。できるできないは、俺が決めればいいんだしさ?」
 相変わらずニコニコと笑った顔のまま、首を傾げた。
 ここまで意見をまとめるのにも、実は結構苦労していた一同だったのだが、とりあえず、これを聞いてホッとした表情を浮かべる。
「気軽に、な?」
「‥‥はい」
 ポン、と軽く頭に手を置き、声をかけたUNKNOWNに、エレナ・クルック(ga4247)は、少し微笑って頷いた。
「じゃあ、最後に一言。みんなに接客の心得でも言っとこうか」
「心得って、笑顔とか?」
 尋ねる朔月(gb1440)に、クリスト中尉は、笑いながら首を振ると、一同を見渡し、口を開く。
「相手を理解し、受け入れてから、自分を理解してもらうこと。‥‥相手が人でも、犬でも、これが一番大事なことだから、忘れないようにね」


    ◆◇
「テン、今日はここで大人しくしててくれよ」
 UPCブースの奥、裏方スペースに飼い犬のティエンランを繋ぎ終えると、朔月は、配布用のチラシが入った段ボールを手際よく開ける。
「俺もここで裏方だしさ。一人にするわけじゃないよ?」
 展示用のヌイグルミにペット用の靴下を履かせつつ、朔月は、自分を見つめるティエンランに向け、優しく言い聞かせるのだった。


「UPCブースです〜人命救助のパネル展示とペット用非常袋の販売を行ってます〜よろしければ足を運んでくださいね〜」
 会場直後、どこから回るべきか悩み、入口付近で各ブースの看板などを見て回る人々に、エレナは、満面の笑顔でチラシを手渡していた。
 そのすぐ隣では、彼女とお揃いのTシャツを着た鳥飼夕貴(ga4123)が、早速話し掛けてきたチワワ連れの客に、チラシの内容を説明中だ。
「大丈夫です。靴下は5サイズあって、試着はできませんが、ブースで採寸できます」
「フードはドライよね? うちの子、チキンにアレルギーが‥‥」
「非常袋に入っているのは、ラム&ライスのフードです。緊急時のものですから、全て成犬用になりますが、成分表示もありますし、安心ですよ」
 チラシの裏面には、事前打ち合わせでLauraが質問した内容が、全て印刷されている。彼は、それを一つ一つ丁寧に確認しながら、ゆっくりと説明した。
「もし、原材料に不安なものがあれば、フードのお取換えもできますよ〜?」
 エレナが、素早く無線でクリスト中尉にフードの交換の可否を確認し、フォローを入れる。
「そう? で、ブースはどこにあるの?」
 興味を持った客がそう尋ねると、エレナは、鳥飼に目だけで合図をし、にこやかに返事をした。
「はい! UPCブースはこちらです〜」



 その頃、ブースでは、水難救助犬のバルトによる、子ども連れ客向けサービスが人気を博していた。
「さあ、バルト、あちらのお嬢さんが呼んでいるよ」
 ボールを持った子どもを手で指し示し、バルトを誘導しているのは、ハンドラーのアイカ・ヨウとUNKNOWNである。軍服とUPCTシャツに囲まれ、なぜか一人だけ黒の正服の彼は、ダンディとはいえ少々浮いていたりもする。
 バルトのジャケットに紐で括り付けたキャスター付きのカゴに商品を入れ、ボールを持った客が名前を呼ぶと、バルトがカゴを引っ張りながらボールを貰いに行く、という単純なゲームだが、これがなかなか大ウケであった。

 元々、これは災害救助犬のセーラがやる予定であったのだが、性格的な問題と、普段の仕事内容から見て、水難救助犬の方が『物を引っ張る』ことが得意だろう、と、バルトが担当することになったのだ。

 そして、ペット用靴下を履いたセーラが、店頭にチョコンと座っていた。
「靴下って、嫌がったりしない?」
「そうですね。ですから、災害時に急に履かせるのではなく、普段から時々履かせて、慣れさせておくと良いでしょうね。最初は嫌がりますから‥‥ご褒美をあげたり、褒めたりして安心させながら、何日かかけて慣らしていってあげてください」
 接客担当の櫻杜が、セーラの靴下に目を止めた客の質問に対し、にっこりと微笑みながら答えた。そのすぐ横を通り過ぎ、ペットたちの試飲用の水を裏から出したり、器を洗いに行ったり、お釣り用の硬貨を補充したりと大忙しなのは、裏方担当の朔月である。
「面倒な質問なら回してよ♪ 動物の知識なら専門知識も哺乳類限定だけど少しはあるしさ‥‥」
 ハンドラーたちの手が開かない間は、朔月も接客に回ったりと、さらに忙しい。

「はい、撮ります。3、2、1!」
 展示スペースの前方では、ホアキンと災害救助犬・チャンプによる、記念撮影サービスが行われていた。
「わー、かわいいー!」
「きゃー!」
 写真を撮り終え、わさわさとチャンプを撫で回そうとする子どもたちに、ホアキンは、インスタント写真を手渡し、
「大きな声で沢山触ると、ワンちゃんが驚いてしまうからね。小さい声で、ワンちゃんにお礼を言えるかな?」
 叱られているように感じないよう、相手の目線に合わせてしゃがみ、やんわりと制止をかける。
「わんちゃんありがとうございました!」
「ござーました!」
 ペコリ、とお辞儀をして母親の元へと走って行く子どもたちを見送ると、ホアキンは、再び立ち上がってカメラを構えた。
「次の方、どうぞ!」


    ◆◇
「皆さ〜ん、こんにちは〜!! 今日は、と〜っても暑い中、来てくれてありがとう!」
 シーソーや平均台、トンネルなどが置かれた広場で、軍服にハイヒールのLauraがマイク片手に声を張り上げる。
「これから行われますのは、UPC北中央軍に所属します災害救助犬・セーラのデモンストレーションです!」
 湧き上がる歓声と拍手の中、クリスト中尉とセーラが、広場をぐるりと一周して観客に挨拶をした。
「さあ、皆さん! 左に見えます大きな木箱、何だと思いますか? 実は、あの中に、セーラの救助を待っている、私たちの仲間がいるんです」
 Lauraが手で示したのは、数々の障害物の先に置かれた3つの木箱である。もちろん、1つはシュブニグラス入りだ。
「セーラは彼女を見つけることができるんでしょうか!? それでは、よろしくお願いしまーす!」
 Lauraの合図で、クリスト中尉が号令かけると、セーラは、今までの大人しさが嘘のように、元気よく走り出した。
 シーソーを難なく越え、トンネルをくぐり、平均台の上を慎重に進む。
 そして、瓦礫に見立てた段ボールの山を嗅ぎ回り、瞬く間に、例の3つの木箱の前までやってきた。
 セーラは、木箱の前で鼻を上に向け、クンクンと空気中の匂いを探る。
 そして、右端の木箱の前で立ち止まり、ワンワンと大きな声で吠え始めた。
「さあ、皆さん、注目の瞬間です!」
 観客の視線が集まる中、木箱の蓋が開けられる。
 そこから出てきたのは――黄色いTシャツが眩しいシュブニグラスであった。
「見事、正解で〜す!! 皆さん、救助犬のセーラに拍手をお願いしま〜す!!」
 シュブニグラスに褒められ、大喜びのセーラに、盛大な拍手が送られる。
 クリスト中尉が観客に向けて手を振り、仕事を終えたセーラとともに会場を後にすると、Lauraは、『ペット用非常袋』を手に、広場中央へと進み出た。
「ところで皆さん、『ペット用非常袋』ってご存知でしょうか? そう、災害時にすぐ持ち出せるよう、フードや水を入れておく袋のことですね」
 Lauraの隣に立つシュブニグラスが、商品の中身を一つ一つ取り出して掲げ、わらわらと集まってきた観客たちにアピールする。
「今の時代、これくらいはペットにも必要ねぇ」
「ほんとにねぇ。昔じゃ考えられないわよねぇ」
 ブルーの靴下片手に、シュブニグラスが感心したような声で呟くと、前列にいた見知らぬおばさんがそれを耳に留め、ウンウンと大きく頷いて同意した。
「UPC北中央軍ブースでは、水やフードはもちろん、救急箱やペット用の靴下もセットになった、こちらの商品を販売しています」
「災害時には、ガラスなんかの破片で足を切らないよう、靴や靴下を履かせるといいのよ」
 の前で、シュブニグラスが、災害救助犬のチャンプを使い、ハンドラーとともに、手際よく靴下を履かせるための実演を始める。


 ――こうして、工夫を凝らした傭兵たちの販売努力が実を結び、『ペット用非常袋』は、午後2時の段階で見事に完売となったのだった。


    ◆◇

「1人じゃ迷いそうなので一緒にまわってもらえませんか?」
「もちろん。ふれあいコーナーにでも行くかな?」
 自由時間になり、他ブースへと出掛けようとするUNKNOWNに声を掛けたのは、エレナであった。自然に手を繋ぎ、人混みから彼女を守って歩く彼に、エレナは、頬を真赤に染めながら付いて行く。
「人混みで、よく見えないだろう」
「え――は、恥ずかしいです〜‥‥」
 背の低いエレナを気遣い、UNKNOWNは、彼女を肩車してやった。エレナは、さらに恥ずかしそうに目を伏せたものの、やがて、道の向こうに犬を見つけると、
「あ! あの子可愛いです〜! 会場にいる動物がたくさん見えます〜」
 落ちるんじゃないかというほど、はしゃいで見せた。


 櫻杜は、会場内に設けられた里親募集コーナーを訪れ、ケージの中の犬猫たちを眺めて過ごしていた。
「えらい大勢の子が飼い主はん亡くしてるんやなぁ‥‥」
 この場で直接引き取りができるわけではないため、会場に来ている犬猫はシェルターに収容されている中のごく一部に過ぎないが、それでも、激戦地であるアメリカの厳しいペット事情を知るには、十分すぎる数である。
「ええ飼い主はんに巡り逢えるよう、私も祈ってます‥‥早く見つかるとええね」
 じっと目を合せ、何かを訴えかけるかのように見つめる白い犬に、櫻杜は、優しい声でそう言葉を掛けた。


「俺は猫が見たいんだ」
 そう宣言し、広い会場内を歩き回っているのは、ホアキンであった。同じく猫派のシュブニグラスとともに、既に半分以上の猫スポットを堪能済みである。
「傭兵だとなかなかペットって飼えないのよねぇ‥‥毎回毎回仕事の度に、誰かに預けないといけないもの」
「兵舎内に、ペットホテルでもあれば安心だと思うのだがな」
 そんなこんな言いながら、次に二人が訪れたのは、わんにゃんサーカスの『にゃんにゃんアクロバットショー』だった。
「‥‥さーて、どんなにゃんこがいるかにゃー‥‥」
 微妙に猫口調になってしまっているのは無意識なのか、ホアキンは、結構ドキドキしながら開演時間を待つ。
 隣のシュブニグラスはというと、扇で顔を扇ぎつつ、静かにサーカスのパンフレットを眺めていたのだが――

 開演のブザーが鳴り、軽快な音楽に合わせ、沢山の猫たちがゾロゾロと登場し始めたと同時、彼女の心のスイッチが入ったらしい。

「見て! ロシアンブルーじゃない? いつ見ても綺麗な毛並ねぇ‥‥。あら、あの足が短い子は、何て種類だったかしら?」
 シュブニグラスは、ステージに集結した猫たちに熱い視線を送りながら、うっとりと吐息混じりの声で語り始めたのだった。
   
 
「きみは、もうどこか回ってきたの?」
 ドッグランのそばにある飲食スペースで、看板犬の頭を撫でて癒されつつ、鳥飼は、たまたま通りかかったLauraに、一言そう問いかけた。
 彼は、あとでゆっくり食べようと置いておいた弁当を食べながら、ドッグランの犬を眺めたり、看板犬たちと戯れたりして、のんびりと自由時間を過ごしていたのだ。
「ええ。物販コーナーと、あと、募金コーナーにも行ってきました」
「募金か‥‥里親募集ブースにあるのかな?」
「いえ、本部にありましたよ。でも、ものすごく人がいて、なかなか進めませんでした」
 Lauraはそう言って椅子に腰を下ろし、ふう、と大きく息をついた。
 ドッグランの中では、朔月とティエンラン、展示スペース休憩中のチャンプが、ボール遊びをしている。

「チャンプ! テンちゃん! 投げるよー!」
 朔月が思いっきり投げたボールを、2頭がじゃれ合いながら追い掛けていく。
「チャンプ、偉いね〜!」
 ボールを咥えて戻ってきたセーラの頭を撫で、朔月は、「『おりこうで可愛い』ってのは全部の犬共通の呼ばれて嬉しい愛称だしね♪」と言いながら、大袈裟なほど褒めまくった。


    ◆◇
 こうして、『わんにゃんチャリティー2008』は、当初見込んでいたより多くの入場者数をあげた。
 UPC北中央軍のブースも人気を博し、クリスト中尉より改めて感謝の意を述べられた傭兵たちは、思う存分動物たちとのふれあいを楽しみ、日が暮れるまで遊び続けたのであった――。