タイトル:赤毛の道化師マスター:望月誠司

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/04/04 18:01

●オープニング本文


『ワールドパワー』
 とあるケーキチェーン店のマスコットキャラクター
 赤髪のピエロで派手な服装をしている。
 正式名称はワールドパワーと言い、ワルパワの愛称で親しまれている。

●夕暮れの町
 九州の片田舎にあるその町では先月より殺人事件が多発していた。
 被害者は一様に撲殺されていた。ひとけのない夜道で背後から突如として襲われ、というパターンが多い。
 犯人は不明。人間によるものかバグアによるものかも解っていない。
 渾名がケージであったから刑事になったとうそぶく赤坂慶次郎は溜息をつきながら街を歩いていた。
 もしキメラが町に潜んでいるのならば、それなりに情報が入ってきそうなものだが、それらしい話はまったく入ってこない。
 となると人間の仕業だろうか。この御時世に人同士で殺し合うとは、どうにもできないのが人の世という奴なのだろうが、やはりやりきれないものがある。
 夕暮れの商店街。店にはシャッターが降りている。撲殺者を恐れて個人経営のところは、早く店を閉めている、というのもあるが、店主が亡き者にされて閉めっぱなしになっているという店もある。
 例えば慶次郎のすぐ目の前にあるケーキ店。ここはチェーン店であったが、先月、店主である若夫婦が撲殺されそれ以来シャッターはおりっぱなしになっている。
 店が閉まっていてもその前に立ち続ける赤毛の道化師人形が妙に不憫に見えた。
「物騒な世の中になったもんだ」
 慶次郎は呟き、トレンチコートにポケットを突っ込んで通り過ぎる。風が一陣閑散とした商店街を吹きぬけて行った。

●殺人鬼の正体
 夕暮れの道をゆく慶次郎。ふと、悪寒を感じたのは現職刑事のなせる勘か、振り返ると夕陽を背負って人影が立っていた。
 赤光に目を細める慶次郎。何者だろうか? 町の人々は殺人鬼を恐れてこの時間帯ではめったに出歩かない。
 そこには赤毛の道化師が立っていた。ワールドパワー、ケーキ屋のマスコット、人形だ。
「‥‥なんだ、ワルパワか」
 ほっと息を吐く慶次郎。
(「ってなんで人形が動いてるんだ!」)
「タンタンドゥー!」
 赤毛の道化師はニヤリと笑うと、奇声をあげ、恐るべき跳躍力で飛びかかってきた。
「うぉっ!!」
 咄嗟に横にとんで身をかわす慶次郎。旋風のように繰り出された赤靴が電信柱を撃ち砕く。頑丈なコンクリートのそれがバキバキと音を立てて倒れてゆく。
「化け物め!」
 こいつは人形じゃない。キメラだ!
 慶次郎は後方へ飛び退き、SES拳銃をホルスターから抜き放つと銃弾を三連射した。
 赤毛の道化師はありえない角度で身を捻り立つと襲い来る弾丸を全てすりぬけるようにかわす。
 そしてポケットに手を突っ込むと、そこに入ってるのはおかしいだろうと思われる丸形の物体を取り出した。
「パンケーキ四個分だ!」
 爽やかに謎の言葉を発しつつパンケーキ弾をアンダースローで投擲する。
「ごはぁっ!」
 慶次郎の脇腹にそれは直撃し、アバラが嫌な音を立てて折れた。形はまさにパンケーキだが、その硬度は絶対にパンケーキのそれではない。
 常人ならば即死だが、慶次郎は能力者であった。それが彼の命を救った。
(「ち、畜生、この化物ふざけたコンセプトの割に強いぞ‥‥っ?!」)
「タンタンドゥー!」
 赤毛の道化師が竜巻のごとく足を振り回して飛びかかってくる。
「う、うぉおおおおおおおおお?!」
 若い刑事の叫びが夕暮れの街に響き渡った。

●かくて依頼
「――依頼です」
 まだ若いオペレーターが言った。
「依頼主は九州の某町の町内会。町を徘徊するキメラを退治してくれとの事です。町の住民は既に避難しています。ターゲットはとあるケーキ屋のマスコットに酷似しており、赤毛の道化師姿だそうです。パンケーキ型の弾丸と人間離れした体術を駆使して襲いかかってきます。
 能力者である刑事がそれと交戦し負傷しています。なかなかの強敵ですが、集団でかかれば問題ないでしょう。引き受ける方はこちらの書類にサインをお願いします」

●参加者一覧

ケイ・リヒャルト(ga0598
20歳・♀・JG
トレイシー・バース(ga1414
20歳・♀・FT
流 星之丞(ga1928
17歳・♂・GP
遠石 一千風(ga3970
23歳・♀・PN
空閑 ハバキ(ga5172
25歳・♂・HA
竜王 まり絵(ga5231
21歳・♀・EL
阿野次 のもじ(ga5480
16歳・♀・PN
フォル=アヴィン(ga6258
31歳・♂・AA
不知火真琴(ga7201
24歳・♀・GP
シェスチ(ga7729
22歳・♂・SN

●リプレイ本文

 九州にあるとある町の警察署に十人の傭兵が集まっていた。
「やぁ本日はお日柄も良くタンタンドゥー!」
「キメラを倒しにタンタンドゥー‥‥」
「腕が鳴るわねタンタンドゥー」
「みなさま一緒にタンタンドゥ〜♪」
 ケイ・リヒャルト(ga0598)、シェスチ(ga7729)、空閑 ハバキ(ga5172)、竜王 まり絵(ga5231)等を始めとして、集まった一同はタンタンドゥーをかわす。
(「せ、洗脳されてるっ?!」)
 フォル=アヴィン(ga6258)はその光景を見て胸中でツッコミを入れる。ケーキ屋チェーン恐るべし。
「なんてことなの、こないだワルパワらっき★セットのおまけコンプしたばかりなのに‥‥市場価値が」
 陽気な一行とは対照的にがくっと項垂れているのは阿野次 のもじ(ga5480)だ。ワルパワ型キメラの暗躍により本家ワルパワの評判が落ちることが心配らしい。
 一同はまず警察が得ている情報を得るべきだろうという竜王まり絵の提案に従い、ワルパワ事件の対策本部がおかれている警察署を訪れていた。被害が出ている地域とは別の町にある。
「どーも皆さんタンタンドゥー」
 煙草を咥えた中年の刑事がニカッと笑いつつ冊子を手に現れる。
「ワルパワ事件の資料との事ですが‥‥申し訳ないのですがぁプライバシーやら規則やらが色々ありましてねぇ。提供出来る範囲には限りがるんですよ。しかしその範囲内でよろしかったら、お見せしましょう」
 一同は資料を借り受けそれに目を通す。
「あ、そうですわ。パトランプとサイレンってお借りできますかしら?」
 資料を読みつつ、おっとりとした口調でまり絵が刑事に問いかける。
「ん〜‥‥パトランプですか。残念ですがぁ、それはちょっと無理ですねぇ」
 貸出は不可能らしい。
 しかし町の地図と、被害状況の分布は入手することが出来た。ケイは地図の重要部分に印付けをしてチェックを入れる。まり絵はそれらを元に判断し、ワルパワ型キメラは人目を避け、衆人環視下では人形の擬態をとるのではないかと推察した。
「有難うございます、参考になりました」
 一通りの確認を終えて不知火真琴(ga7201)が言った。
「なんの、なんの、お安い御用です。また何かあったらいつでも言ってください」
 恰幅の良い刑事は豪快に笑って答えた。
 一同は刑事に礼を言うと、警察署を出て事件のあった町へと向かった。

●ワルパワの出る町で
「シェスチ、それって?」
 いつの間にかシェスチがぶら下げているキーホルダにトレイシー・バース(ga1414)が問う。
「ん‥‥お守りになるかと思って」
 それはワルパワのライバル店のマスコットだった。煌く目と大きな舌が特徴的だ。
「‥‥世界の善良なワルパワのために、偽者は成敗‥」
 シェスチは淡々と呟いた。
 ワルパワ型キメラが出たという町の住民は既に避難しており、一行が辿り着いた時、町は閑散としていた。
「人通りの無い商店街っていうのは、えらく物寂しいものだね」
 空閑が通りを眺めながら言った。
 流 星之丞(ga1928)は春の強風に黄色いマフラーをはためかせながら頷き言う。
「普段ならこの時間、結構賑わっているんだろうな‥‥」
 彼の故郷にも某店はあり、能力者となる前は友人達と部活帰りによく食べに行ったものだ。もう、ずっと昔の事のような気がする。
「みんなが安心して暮らせる為にも、ワルパワの凶行、必ず止めて見せます!」
 真紅のコートに身を包んだ青年は決意と共に拳を握りしめて言った。
 一同は予めピックアップしておいた交戦候補地へと向かいルート等を確認する。第一候補は公園だ。ここにワルパワを誘い出して撃破するのが理想である。
 確認を終えた後、件のケーキ店へと向かった。一同はやや離れた箇所で待機し、ケイとシェスチのスナイパー組が隠密潜行で近づき双眼鏡で確認を行う。
「今もケーキ屋の前にちゃんと立ってたりして?」
 待機組の空閑が冗談混じりに言った。それに苦笑しながら流が答える。
「本当に店舗前にいてくれれば、楽なんですが。これで、ライバル店の店先に堂々と突っ立ってるとかだったら嫌ですよね」
 そんな折、ケイから無線が入った。
「ワルパワを確認、店舗前にいるわ」
「えーっ!」
 今もケーキ屋の前で御馴染のポーズで佇んでいるらしい。
「どうしましょう」
「店の前では戦えない事もなさそうだけど、周りの建物に被害が出そうね」
「誘い出した方が良い?」
「可能なら、そちらの方が良いでしょうね」
「了解、それじゃあ誘い出しましょう」
「解ったわ、では手筈通りに」
 不知火、流、トレイシー、ケイ、まり絵のA班は公園へ移動を開始し、阿野次、遠石 一千風(ga3970)、空閑、シェスチ、フォル、のB班はキメラの誘い出しと監視の為に残った。

●囮作戦の決行
 A班は公園に到着すると無線でB班に連絡を入れた。それを受けてB班は作戦を開始する。囮は阿野次が務めることになっていた。
「今日はお日様ぱわぷる日和、出来立て焼けた、いい匂い〜」
 殴り系アイドルの阿野次のもじが歩きながら歌いだした。歌詞は以下だ。


『パンケーキの歌』
 歌:のもじ

 今日はお日様ぱわぷる日和
 出来立て焼けた、いい匂い♪

 たん↓たん↓どう↑×2(一回転)

 シロップたっぷりかけて、これ見よがしにママの味
 ふんわり甘いパンケーキ
 一口食べて
 俺によし
 お前によし
 腹もちよし

 ぺろこの揚げパン冷凍パン粉。たん↓たん↓どう↑


 阿野次はひとけの無い商店街を歌い踊りながら進み、ワルパワ人形の前を通り過ぎる。赤毛の道化師キメラは作り笑顔で立っている。ある意味凄い光景だ。
 ワルパワはすぐには動かなかった。阿野次の姿が遠くなってゆく。
 もしや本物の人形なのでは、という疑いが能力者達の脳裏をかすめた時、ワルパワの目がぎょろりと動いた。
 赤毛の道化師はそれまでの完全停止が嘘であったかのように滑らかに動き出す。足音を立てずに素早く、阿野次の後背へと歩きだした。
「ワルパワのテイクアウトを確認‥‥何か動き方が怖い‥‥」
 遠距離から双眼鏡で監視についていたシェスチが無線に告げる。
「‥‥いけない、キメラが加速したぞ!」
 遠石がはっとして言う。今やワルパワは短距離走の選手のような見事なフォームで全速で阿野次に迫っていた。
「いっちゃん、逃げてー!」
 空閑が無線に向かって叫ぶ。
 声に阿野次が肩越しに振り返ると、ワルパワ人形が奇声をあげ、足を高々と振り上げて飛びかかって来ていた。
「タンタンドゥー!」
「瞬速縮地ー!」
 ノリ良く叫び返しつつ練力を開放して超加速し、後方へ一気に飛び退く阿野次。竜巻蹴りが空振りに終わり道化師は体を捻りつつ地に着地する。阿野次はそれへとビシッと人差し指を突きつけつつ言った。
「ついに正体を現したわねワルパワキメラ! 例え衆目を騙せても、この阿野次のもじは騙せない!」
「ハハハ! ワルパワは嬉しくなると、ついヤっちゃうんだ!」
 会話が成立してない。ワルパワは急角度で身体を倒すと、前傾姿勢から弾丸のように飛び出し、再び距離を詰める。
「何をよ?! っていうか、漢字を当てると殺ってこと?!」
「パンケーキ四個分だ!」
 返答代わりにパンケーキ弾を取り出し、アンダースローで投擲するワルパワ。阿野次は悲鳴をあげながら飛び退き、踵を返して脱兎の如く逃げ出す。阿野次は速いがワルパワも速い、両者は疾風のように商店街を駆け抜ける。
「なんというか、シュールなキメラだな‥‥襲われた人がトラウマになりそうだ」
 その背後を追いかけつつ遠石。子供の頃、ピエロが怖かったらしい。
「あれは確かになぁ――って、そんなこと言ってる場合じゃない。見失わないように注意してください!」
 ツッコミ入れつつ走るフォル・アヴィン。
「解ってる、大丈夫だ」
 B班の四人は逃げる阿野次とそれを追いかけるワルパワとを追った。

●公園での戦い
 ワルパワを引き連れ全力ダッシュで阿野次が公園に駆けこんでくる。
「来たわね」
 まず最初に仕掛けたのはケイだった。女は艶然と攻撃的な微笑みを浮かべると、
「お遊戯の時間はオ・シ・マ・イ」
 ホルスターから38口径の拳銃を抜き放ちワルパワへと銃口へと向ける。速射三連、銃声が豪雷のごとく轟き一直線に弾丸が飛んだ。
 しかしワルパワはありえない角度で身を捻るとすり抜けるようにして一発の弾丸をかわした。しかし一発の弾丸が喉をかすめ、かわし切れなかった弾丸がワルパワの脇腹に命中し、その身を穿つ。
 滑り台の上に位置取っているまり絵は、片膝を立てその上に腕を置き高所から狙いをつけていた。精密に狙い澄まし発砲。良い撃ち方だ。安定した姿勢で放たれた弾丸が見事ワルパワの腰部に突き刺さる。
 ワルパワは口から血を滴らせながらもニヤリと笑うと跳躍し、巨大なパンケーキ弾を両手の上に出現させた。
「ラッキィィィィィィィィィ、セッ!」
 人の身サイズの超特大のパンケーキ弾がケイに向かって圧倒的質量で飛ぶ。
「させないわよ!」
 盾になるべくトレイシーがケイの前に出た。猛然と戦斧を振りかぶると薙ぎ払いパンケーキ弾を打ち返す。小気味良い金属音をあげながらパンケーキ弾がピッチャー返しに飛んだ。直撃コースだ。
「タンタンドゥー!」
 しかしワルパワは踵を振り上げて振り下ろした。帰ってきたパンケーキ弾はネリチャギによって叩き落とされる。
「愛すべきマスコットに戻れ、ワルパワ!」
 その隙に流がツーハンドソードを抜き放ち接近していた。両手剣を脇に構えて迫り、裂帛の気合と共に下段から逆袈裟の斬撃を放つ。
「ドゥー!」
 ワルパワは奇声を発すると高々と跳躍して回避した。しかしまだ流の攻撃は終わらない。手首を切り返して振り抜いた大剣の刃を立てると、宙に浮いているワルパワ目がけて振り下ろしの斬撃を放つ。今度こそ刃は狙い違わず命中し、赤毛の道化師が大地に叩きつけられた。
 吹き飛んだワルパワへと不知火が間合いを詰め、その頭部を狙って踏みつける。しかしワルパワは咄嗟に横転して回避した。そしてその勢いを利用して跳ね飛び、トリッキーな動きで起き上る。
「ふっ!」
 不知火はワルパワの追撃に走ると、脚を高々と振り上げハイキックを放つ――と見せかけて途中で軌道をローキックへと切り替えワルパワの膝裏を蹴り抜いた。ぐらりとワルパワの身が傾く。
 B班の残りのメンツが到着し、公園に雪崩こんでくる。遠石はよろめくワルパワの背後から瞬天速で間合いを詰めると、地を破裂させる勢いで踏み込んだ。その背に向かって鋼鉄の爪を繰り出す。
 鈍い音と共に切っ先が道化服の装甲を突き破り、その身を貫く。捉えた。ごふっ、とワルパワの口から鮮血が迸る。
「ぼっこぼこにしてやんよっ」
 駆け寄ったフォルが側面へと回り込むと朱雀を上段から振るって叩き斬る。鮮血が吹き出しフォルと遠石は飛び退いた。
「ロールケーキ3本分だ!」
 空閑が高らかに叫びアルファルに矢を番えて閃光のごとく解き放つ。
「こっちは鉛弾11個分だよ‥‥お得な雷属性セットでいかが?」
 シェスチはスコーピオンを構えると連射した。弓矢の一撃と雷をまとった弾丸が次々とワルパワの身に突き刺さる。ワルパワの身が大きく揺らいだ。
「フフフ‥‥ハハハハハハハハ!」
 ワルパワキメラは哄笑をあげながら、周囲を取り囲む一同を見やった。口元をニヤリと歪めて笑う。
「ワルパワはピンチになるとついヤッちゃうんだ!」
 道化師の目がカッと紅蓮の光に輝いた。
「なっ――」
「タンタンドゥー!」
 その日、公園に爆裂が巻き起こった。

●サン・オブ・ワールドパワー
「‥‥まさか自爆するとはな」
 ちょっと煤けた顔でケーキを頬張りながら遠石がいった。
「驚きでしたね。しかし無事で何よりです」
 シェイクを啜りながらフォル・アヴィン。幸い威力はさほどではなかったので、遠石を初めとしてその周囲にいた者は軽傷で済んだ。
 戦いが終わった後、一同は別の町のケーキチェーン店サン・オブ・ワールドパワーで軽食をとっていた。
 シェルチと阿野次は本物のワルパワと握手して記念撮影を行っている。阿野次は「イメージ改善に次のセットは能力者シリーズでよろしく★」という事でそれをケーキ屋の本社に送付するらしい。
「キメラ騒動でワルパワの印象が悪くならなければ良いんだけど」
 空閑が頬杖ついて撮影風景を眺めながら言う。
「まぁ、きっと大丈夫でしょう。赤毛の道化師は今日も皆のアイドルよ」
 にこにこと笑う本物のワルパワをみやって不知火真琴はそう呟いたのだった。

 かくて九州の某町に現れた赤毛の偽道化師は退治され、町は平穏を取り戻した。
 しかし、この世にバグアのある限り、また第二、第三のワルパワキメラが出ないとも限らない。何故ならこの世に存在するマスコットはワルパワだけではないのだから。
 しかしワルパワを巡る戦いは、これにて一巻の終わりである。戦士達に束の間の休息を。

 了