タイトル:【LP】石家庄市祝勝祭マスター:望月誠司

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/01/20 18:53

●オープニング本文


「今回は大勝利だったな。俺はかつてこれほどの大規模な大勝を経験した事が無い」
 UPC中国軍の旅団長、ロン・バオエン准将は北での戦いを終え、中国石家庄の基地へと帰還すると、先の大規模作戦を振り返ってそう述べた。
 今回、バグアに与えた損害はゼオン・ジハイド二名、専用機ゼダ・アーシュ一機、東アジア最大基地の放棄、と非常に巨大なものである。人類側は北京市を解放し、さらに被った損害はそれに比して極めて少なかった。
「予想よりも遥かに順調にゆきましたな」
 参謀長であるマオ・シェジュン大佐が言う。
「八門周辺、高い確率で民衆を利用して何か仕掛けて来ると睨んでおりましたが‥‥‥‥市民感情は当初の想定よりも遥かに我々の側に傾いたようです。民はバグアよりも我々に協力する事を選びました」
「ああ、市民の協力があってこその勝利だな。有難い事だ」
「閣下、民衆に感謝する事は結構ですが、彼等の協力を取りつける為に懸命に働いた皆々の努力を忘れてはなりません」
「む‥‥それもそうだな」
 頷いてロン・バオエン。
「閣下、勝って兜の緒を締めよ申します。大勝利したからこそ、我々に協力した者達には厚く労わなければなりません。ここでその期待を裏切っては、折角味方につけたというのにまた敵に回してしまいます。釣った魚に餌を惜しんではなりません」
「釣った魚というのは相変わらずな表現だなぁ、お前さんは。まぁ、言いたい事は解るがね、それで?」
「はっ、UPCの地位を盤石とする為にも、ここは此度の勝利を祝うという名目で民衆の為に大きな祭りを開いてはどうでしょう」
「ふむ」
「同時に軍の式典を開いてUPCの威風を示し、その中で今回の戦いで活躍した軍人、傭兵を招聘して演説させ人心の掌握をより強固とすべきでしょう。また特に傭兵へですが、彼等への演説依頼には高い報酬を用意し、一つ演説した後は、好きにパーティや下の祭りなどへ繰り出して良いとすれば慰労にもなりましょう」
「傭兵か‥‥彼らへは随分気をかけているようだな?」
「彼等は戦力になります。博打要素が高いですが、時として極めて強力です。今後バグアに勝利する為にも、彼等の士気は高い状態においておく必要があります」
「そうか。確かに、生身でワームを叩き斬る者など能力者でもそうおらんしなぁ‥‥演説というのは何を?」
「人類が互角ないし有利に戦えていると思える内容の物ならばなんでも良いでしょう。手柄話でも苦労話でも、今後の抱負などについて語って貰っても民衆は喜ぶかもしれませんな――祭りと式典は開催する、という事でよろしいですか?」
「ああ、市長に開催を打診してくれ」
「御意」

●参加者一覧

緑川 安則(ga0157
20歳・♂・JG
メアリー・エッセンバル(ga0194
28歳・♀・GP
夏 炎西(ga4178
30歳・♂・EL
斑鳩・八雲(ga8672
19歳・♂・AA
荊信(gc3542
31歳・♂・GD
天野 天魔(gc4365
23歳・♂・ER

●リプレイ本文

 式典の前日、石家庄に入った夏 炎西(ga4178)とメアリー・エッセンバル(ga0194)は宿の一室で中国語の練習をしていた。メアリー曰く、
「今回のスピーチは通訳を介さず、自分自身の心からの言葉で伝えたいから」
 との事らしい。
「ちょっと難しいかもですけど、頑張りましょう。メアリーさんの気持、きっと市民の皆さんに伝わります」
 夏はきりっとした顔で言った。二人きりで嬉しい、とかそういう気持も正直かなりあるのだが、此処で出すわけにはいかないのである。実際の所、結構大変な作業だ。
「有難う、頑張るわ」
 と頷いてメアリー。夏はメアリーの演説内容を聞いて中国語に訳して教え、発音や抑揚のポイントなどによく注意して練習して貰う。
(上手くいくと良いんですが‥‥)
 夏としてはそう祈るのみである。


 二〇一一年、年明けの月、祝砲が轟き色とりどりの煙玉が蒼空をキャンパスに鮮やかな色彩を描いた。
「幸先のよい年、といえそうですね」
 斑鳩・八雲(ga8672)は空を見上げ微笑する。
 ユーラシア大陸の東、河北省石家庄市ではUPC軍により先の戦勝を祝い式典が開かれていた。市ではバグア支配中、北京をめぐる攻防中、長く行われていなかった祭りが催されている。
(復興という重要だが長く地道な戦いを行う彼等に必要なのは、煽動という劇薬ではなく善政という漢方なのだが‥‥まぁこれも仕事か)
 数万の人々が詰める会場、UPCの式典の来賓席、胸中でそう呟くのは天野 天魔(gc4365)だ。軍や市関係者からの一通りの挨拶が終わり、やがてスピーチの段に入る。夏がステージの脇に立ち一礼した。中国語でない場合の演説者の演説を平行して中国語に通訳するようだ。メアリーに教える傍らで他のメンバーの演説も事前に打ち合わせて内容を確認し、正確を期してある。
 最初に演説台にたったのは緑川 安則(ga0157)だった。UPCの軍服に身を包み胸元には二つの勲章が鈍い輝きを放っている。
 UPCより顕著な活躍をした者に贈られた勲章と、北京解放戦に従軍した証である勲章だ。
「まずはUPC正規兵を始めとする、今次決戦によって死した、すべての将兵のために黙祷をお願いしたい‥‥」
 緑川はそう述べた。
 会場が徐々に静まり、兵士達や多くの人々はしばし黙祷を捧げた。無論、これだけの民衆も詰めていたので、がやがやとした声が完全に消える事はなかったが。
「さて‥‥我々はかつてバグアの登場により、すべてを失う寸前まで行った」
 緑川は言った。男の声がマイクを通して会場へと響き渡ってゆく。
「能力者の登場により何とか凌げる程度にはなった。凌げる程度――初期にはそう思われていました」
 男は卓を叩き言う。
「しかし、人類の底力はその程度ですまなかった! メガコーポレーションは自らの名誉を! 意地を示すがために次々と新型機を生み出し! 軍はその総力をあげて、各地を奪還しています! そして、ついにここ北京を取り戻せた!!」
 男は語る。
「その力の源は何か――それは皆さんの心です! メーカーに納める部品が、丹精込めて作る作物が、平穏に過ごしている皆さんがいるからこそ、私たちは戦えるのです。さらに言えば、先ほど北京のバグア残党共が使用した地上戦艦『天雷』が無様に破壊されたとのこと! これも皆、皆さんがいればこその戦果です!」
 緑川は石家庄市の民衆へと言った。
「今後とも日常を過ごしてください。そうすることで国は栄え、国があるから軍があり、能力者がいれるのです。皆さんが支えてくれるからこそ戦える! 我々は共に戦っているのです!」
 男は語り、胸に手を当てて叫んだ。
「――私はこの戦いに参加できた事を誇りに思います。つかの間かもしれませんが平和を謳歌しましょう! 北京、万歳!!」
 その言葉に民衆達から拍手と共に歓声が湧きあがった。


 緑川の演説効果は上々のようだ。演説台から男が降り、次にメアリーが壇上に上がった。
『北京解放戦で石家庄市からの援助物資を見ると、皆さんの顔を思い出し‥‥石家庄市の皆さんも復興に向けて頑張ってる、私も頑張らなくちゃ、と最後まで戦い抜けました』
 メアリーは慣れない中国語につっかえつつも、最後まで笑顔で沢山の感謝の想いを現しながら言う。
『これからも復興へ向けて、人類圏奪還に向けて共に頑張って行きましょう。ありがとうございました!』
 メアリーのスピーチが終わると拍手が起こった。メアリーが降り、次いで斑鳩が壇上に立つ。
「敵は強力でしたが、人類は勝利を収めることができました。それは前線で戦う者を支えてくれる、あるいは勝利を願ってくれる人々の存在によるものです」
 男は微笑すると言う。
「ありがとう。これからも、どうか信じてください」
 斑鳩がスピーチを終えると拍手が起こった。短いが要点を抑えていて解りやすい。斑鳩は降り、次いで天魔が壇上に立った。
 男はまず「北京解放戦で一番の功労者は圧政を耐え抜いた諸君等である」と民を讃えた。次にバグアに殺害された犠牲者を悼み、そして非道をなしたバグアへと弾劾の言葉を述べつつ「バグアに負けぬ為にも復興という新たな戦いを一致団結して戦おう」と呼びかけ「UPCも勝利する為に努力と援助を惜しまない」と宣言した。民衆は自尊を手に、犠牲者に対して悲しみ、そして悲しみに故にバグアに憤慨し、憎む故にバグアを撃つべしと思い、バグアを撃つ為にはUPCと共闘すべきだ、との念を抱いた。
 天野は拍手を受けて壇上から降り、代わりに荊信(gc3542)が登った。
(俺は俺の喧嘩をするだけだ、それで意気に感じる連中が出るってんなら面白ぇってモンだ)
 男は胸中でそう呟いた。故国の連中に意気を感じさせたく思う。
 荊信は数万の民衆を見渡すと声を会場に響かせる。
「御前等が仲間と信じて賭けるなら、俺は皆遮盾の名にかけて、是非を問わずに守ってみせよう」
 男は自らの意気を告げると、北京解放戦でゼオン・ジハイドの1、リノの一撃を受け止めた事を語った。ジハイドの1はあのスチムソン博士を狙っていたが、傭兵達の妨害を受けて襲撃に失敗し撤退していったという。
「俺は俺の道を行く、御前等も自分の道を自分で選べ、その上で道が重なるなら、そん時ゃぁ仲間だ!」
 荊信はそう述べ、民衆から波のように声があがったのだった。


 野外でのプログラムが終了すると荊信を除いた傭兵達は軍人達と共に軍ホテルへと向かった。
 赤い床のホール、布のかけられた円テーブルの上に豪勢な料理が乗っている。准将が挨拶と共に音頭を取り傭兵達は杯を片手に乾杯した。
「演説による効果はどうなりますでしょうか? うまく行けばかなりの効果が出るでしょうが」
 緑川はロン・バオエンへと挨拶するとそう尋ねている。准将は「なかなか上手くいったと思う、良いスピーチだった」等と答えていた。
 斑鳩は将校達に今回の勝利に対する祝辞と感謝を伝えると最低限の挨拶を済ませ退席していた。
 夏は件の有志軍人達の一部と顔を合わせると、心からの礼とぜんざいの件で危機一髪の状況を作ってしまった詫びを言っていた。軍人達は律義だなと笑うと仲間に感謝して次は忘れないようにな、などと言っていた。
 メアリーは准将や前に世話になった人達へと一通り述べると、
「ハイヒールで靴擦れしちゃったので失礼します。こういう場と服装は、どうにも私に合わなくて」
 と苦笑を浮かべてドレスを翻し速やかに退散していた。
 天野、市長等の執政者や軍関係者に挨拶して回り顔を売りたく考える。やがて機会が巡って来た時、
「式典の成功おめでとうございます。なれどこれで民意を得たと勘違いせぬようお願いします」
 ロン・バオエンへとまずはそう挨拶した。
「ああ、有難う、そちらにも世話になったな。しかし、民意はまだ得られていない、と?」
 壮年の准将の問いに男は頷くと、
「此度の成功は解放と勝利による高揚が齎した一時的な結果に過ぎません」
 そう言った。
「高揚が醒めた時こそ人類の真価が問われます。そしてその答え次第では人類はバグアと同列に堕ちるでしょう。閣下と閣下の後任はその事を常に意識するようお願いします。さもなくばいずれ閣下はバグアではなく民を敵として戦う事になるでしょう」
「‥‥肝に銘じておこう。私は、我々UPCは、持てる限りの力を尽くし、民の期待を裏切らないような、より良い世を築けるように努力しよう」
 旅団の頭はそう頷いてみせた。嘘はついていないのだろう。しかしイマイチ――逃げのある言葉だ、そう感じられた。ロンがずっとこの地にいるのならば、彼はもっと別の言葉を言ったかもしれなかったが。UPCの事情も複雑なのかもしれない。
「――その為にも、UPCと人民は優秀な人材の助けを必要としている。これからも勝利の為に、人類の幸福の為に、その力を貸して欲しい」
 准将は天野へとそんな事を言った。


 パーティを欠席した荊信は市の酒場を巡り以前に会った老人を探していた。
 早々に退席した斑鳩はというとこちらも市街に出て、のんびりと祭りの屋台を回り、お祭り価格の少し高めの肉まんを頬張り暖かい飲み物に口つけていた。
「この肉まん‥‥流石本場、といった所ですか。店主、もう一つ」
「旦那、健啖だねぇ、毎度あり!」
 ふかふかに蒸された肉まんは齧りつくと肉汁が口の中に溢れ美味であった。はぐはぐと齧りつきながら祭りに賑わう街を歩く。出店も色々出ているようだ。斑鳩は定番の金魚すくい屋を発見すると長方形の水を張った箱の中で泳いでいる魚達を見下ろす。
「よぉ、兄ちゃんやってくかい!」
「ええ、一回お願いします」
「毎度! ほらよ、頑張んな!」
 肉まんを呑みこんで代金を支払い、菓子のひしゃくと椀を受け取り着物の袖をまくって腰を降ろす。さて、どれを狙おうか。どうせならイキの良いのがよろしかろうと、特に大きく素早く動き回っている赤い金魚を狙ってひしゃくを水面に対し横から差し込む。
 金魚はすいすいと動いている。動きの止まった瞬間を狙って下へと滑らせ、一気に持ち上げる。水中から空中へと――あげた所でべしゃと菓子のひしゃくが折れて崩れた。
「ははは、兄ちゃん残念だねぇ!」
 と店主に言われ苦笑する斑鳩。刀や銃の腕は立つが金魚すくいの腕前はさっぱりらしい。
 メアリーはドレスから作業着に着替えると夏と共に屋台を回って歩いていた。祭り見物がてら路地裏を覗いたり屋台店主にさりげなく話を振って復興度合を調査しておく。仕事熱心である。復興は進められており、祭りが開催されている今は賑やかだが、華やかな布の奥には倒壊している建物などもそのまま残されており、まだまだ厳しい実情が感じられた。さらに、
「そうさなぁ、今はまだ安定してるが、物資供給は大丈夫なのかなって心配はあるわな。ほら、すげぇ勝ったから、すげぇ急に色々面倒見なきゃならねぇもんが増えてるらしいじゃないか? UPCって奴の懐はそんな大きいのかね」
 夏の通訳の元、とある店主に尋ねるとそんな事を言っていた。後で准将へ伝言を頼んでおこう、とメアリーは思う。
「こちらの名物だそうです。少し辛いですが、美味しいですよ」
 夏は言って肉をパンのような生地でサンドした食べ物をメアリーへと渡す。ぴりっと辛いが、それが丁度良い具合である。二人が食べ歩いているとやがて斑鳩と遭遇した。
「おや、これはメアリーさん、炎西さん、奇遇ですね」
 斑鳩は微笑してそんな事を言った。ちょっとした雑談をしていると斑鳩の妹さんがガーデンに所属している同姓の少女なのだという話になり、
「ご迷惑をかけておりませんか? 少々素直すぎるといいますか、まぁ、猪突猛進の傾向がありますので」
「迷惑どころか、大規模作戦で命を助けて貰った恩があるわ」
 とメアリー。ガーデンの看板娘でもあるらしい。その武勇伝等を語りつつ、
「そういえば妹さんはこちらには?」
 と夏。
「ああ、あの子は単位が危ないとかで、今はカンパネラです。まったく、誰に似たのでしょうね」
 と兄は嘆きつつ妹の事を丁寧に二人に頼むのだった。


 やがて日暮れて夜の街、
「本場の料理を頂けるとは、これだけでも解放戦勝利の気分になりますな」
 緑川は食事会を終えたその足で街に出て屋台を巡っていた。肉まん、蕎麦、バーガーと食べ歩いてゆく。
 荊信はというとついに先日会った老人とその周囲の男達と再開し、先だっての酒場に入って酒宴を開いていた。
「よう、爺さん。声は、未だ聞こえるかい?」
 酒盃を片手に紫煙をくゆらせて荊信は問いかける。隻眼の老人は水煙草をやりつつ頷く、
「消えはせんな」
「そうか。その声にアンタはどうするんだ。許しを請えば楽になるかもしれねぇぜ」
「さてなぁ‥‥ジハイドの1を止めた皆遮盾、お前さんならどうする?」
「俺か? そうだな、俺ならそうはしねぇな。好き勝手で手前の道を進むんだ、そんな楽は許されやしねぇ」
 荊信は言う。自分勝手に自分の道を進むからこそ、それから出てくるモノは全て背負うと。
「だから、立ち止まらねぇし、振り返りもしねぇ。だが、絶対に忘れやしねぇ。それが俺が死なせ、そしてこれからも死んでいく奴等にできる手向けだ」
 男はそう語った。
「そうか‥‥」
 老人は頷くと、
「‥‥反バグアの意志を消させず加速させる、それが死んでいった漢達への儂の手向けよ。死者は語らず幽霊は語る。ならばそれは負い目という柳が見せる幻に過ぎん。弱さならば消すまでよ」
 そう言ったのだった。


「民も軍も関係なく誰もが笑いあうか。美しく感動的な光景だ」
 天野は闇へと一人呟いた。軍より充てられたホテルのバルコニー、そこからは街を一望出来た。漆黒の空に花火が上がり、闇の中に祭りの灯が煌めいている。
「だが彼等は祭という非日常から辛い復興という日常に戻っても同じ笑みを浮かべる事ができるかな?」
 男は思う。
「いやUPCは非日常ではなく日常でも彼等に同じ笑みを浮かべさせる事が出来るのかだな。その時にこそようやく北京解放戦は真の意味での成功を迎える事になるのだが」
 花火がまた一つ甲高い音をあげながら漆黒の空へと上がり、そして弾けて光を撒き散らす。
「‥‥さて何時になるかね。或いは永遠に来ないかもな」
 未来は、一体何処へ向かうのか――
 一方、
「男の中にはたった一つだけだが大切なものがある。ちっぽけかもしれねぇが、無くちゃぁならねぇ大切なモンがある‥‥それは誇りだ!」
 飲み明かしていた荊信はそろそろお開きとなった時に男達へとそう述べた。
「何かあったら、いつでも呼んでくれ皆遮盾荊信の名にかけて必ず駆けつけるぜ」
 侠はそう言って仲間と認め、認められた漢達と挨拶をかわし別れ、それぞれへの帰路へとついた。
 人々は灯を手に夜を歩いてゆく。

 今日よりも明日が、明日よりも明後日が、より良くなっていると信じよう。


 了