タイトル:【BI】マフバの戦い2マスター:望月誠司

シナリオ形態: シリーズ
難易度: やや難
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/11/28 01:30

●オープニング本文


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 インドは広い。
 カーティヤワール半島の解放を目標に変更してから久しいバーブル師団であったが、未だその行程は半ばであった。
 カーティヤワール半島はインドがグジャラート州の南、カッチ湾とカンベイ湾を左右にアラビア海に突き出るようにある半島だ。広さは六万平方キロメートル。日本国の九州が約四万二千平方キロメートルである訳なので、およそ半島一つで1.5倍程度に勝る。しかも平原だらけの地形だ。一師団でカバーするには限度がある。バーブル師団は戦力の展開に苦心していた。もっともそれは敵方も似たような事情のようだったが。
 戦線はじりじりとUPC軍の優位で進んでおり、夏にバーオナガルを陥落せしめたその部隊の一部はカーティヤワール半島の沿岸部の都市マフバへと迫っていたのだった。


 マフバに迫った隊というのが、バーオナガルを陥落させた後の再編で少佐となったディアドラ=マクワリスが率いる大隊である。
 歩兵を主力に砲・戦車少々能力者それなり攻撃ヘリぼちぼち、そして空軍から航空支援のナイトフォーゲルが数機で兵力およそ千二百程度の規模。
 バグア側も能力者をキメラに、ナイトフォーゲルをヘルメットワームに置きかえ、キメラの数が圧倒的に多いのを除けばほぼ同じ規模である。最近は大規模兵力でのまとまっての激突よりも小規模で分散して当たる事が多くなっている。
 もっとも事を傭兵に置けば一人が相手にしなければならない敵の数はあまり変わっていなかったが。
 空でHWとKVが激突し、地上ではバグア式の砲と長距離砲が焔を吹き、歩兵達が散兵横隊で射撃する。
「きた、キメラ隊だ。傭兵隊、前へ」
 そんな中、飛び道具を持ったキメラの群れが前進し、それを迎え撃つべく各中隊の司令部より傭兵分隊へと命令が発せられ傭兵達が進み出る。
 陸の勝敗はワームが存在しなければ、キメラと能力者の優劣が勝敗に直結する。マハブの東の平原でこの戦いの明暗を分ける戦いが始まろうとしていた‥‥

●参加者一覧

白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
砕牙 九郎(ga7366
21歳・♂・AA
レティ・クリムゾン(ga8679
21歳・♀・GD
ミスティ・K・ブランド(gb2310
20歳・♀・DG
冴城 アスカ(gb4188
28歳・♀・PN
流叶・デュノフガリオ(gb6275
17歳・♀・PN
飲兵衛(gb8895
29歳・♂・JG
ザインフラウ(gb9550
17歳・♀・HG
ジャック・ジェリア(gc0672
25歳・♂・GD

●リプレイ本文

 インドがカーティヤワール半島の戦。
「広かろうが何だろうが一歩ずつでも開放していかねぇと!」
 そう言うのは砕牙 九郎(ga7366)である。根気がある。なかなか粘り強い男だ。万の難関を撃破する初めの一歩は気合いである。これがなければ始まらない。
「さて、久しぶりの対多数戦。ガーディアンとしての力、思う存分発揮しよう」
 レティ・クリムゾン(ga8679)が言った。
「久々になるが、相変わらずこの小隊の仕事は派手だな。まあいい。やれることを死なん程度にやっていこう」
 と言うのはミスティ・K・ブランド(gb2310)である。
「相も変わらず数ばかり‥‥や、強いのだけ来られても困るけどさ」
 敵の備えの情報を聞きつつ、煙草を吹かして飲兵衛(gb8895)。
「あら、やっと飛び道具使うの出してきたわね。バグアも学習したのかしら?」
 冴城 アスカ(gb4188)は敵戦力の性質の切り替えに対しそう評した。
「‥‥今度は射撃武器を持ってるらしいから厄介だな」
 ぽつりと呟いてザインフラウ(gb9550)。
「今度は遠距離戦重視か‥‥なんか、両極端だな。突っ込んで乱戦になればあっさり片が付きそうだ」
 そのような感想を洩らすのはジャック・ジェリア(gc0672)だ。定石に則ればそうなりそうだが、能力者VS飛び道具キメラでもそうなるだろうか? 男の予想は当たるか否か。
 と、概ね傭兵各員が強気である中、一方の銀髪の少女は表情を曇らせていた。流叶・デュノフガリオ(gb6275)である。
(「さて‥‥召集されて来て見たものの、今の私で力になれるのかね。恐怖に駆られては戦えない。それは分かるのだけど‥‥いや、今から弱気になっていては世話無いな‥‥時も待ってはくれない、今を、戦うしかないだろう」)
 ううんと首を一つ振って気合いを入れる。入れようとする。
 傭兵達は簡単に挨拶をかわすと、まずUPCに支援砲撃が望めないかどうか、遮蔽に使える物がないか打診した。しかし、
「軍は前回よりも編成数が減少しており、また能力者の砲兵もいない為、FFを持つキメラに対して砲を撃っても効果は望めない。故に弾薬は後方の軍、および後の市街制圧戦へ当てたい」
 というのが司令部からの返答であった。
「まぁ、我々が自力で突破する事を期待されている訳だしな」
 止むをえんか、と白鐘剣一郎(ga0184)。UPCは全般的に武器弾薬の消耗に厳しい。ただ、全却下は流石にアレだと思われたのかメトロニウム合金板と土嚢等の貸与の方にはなんとか許可が降りていた。
「しかし、遮蔽を使うにも相手の方が射程が長いな」
 ジャック・ジェリアが言った。
「攻撃位置を定めるまで俺達がカバーしよう」
 と前衛の白鐘が答えて言う。
「了解‥‥でも、また面倒だな‥‥隠れていればあっちから近寄ってこないかね?」
 そう言うのは飲兵衛だ。
「鉄壁ならともかく急場の築城だからな。陣ごとの破壊を選択しそうな気がする」
「長距離射撃は厄介だな‥‥」
 ザインフラウはそう言った。キメラ達が陣も『敵』とみなした場合、籠っていても手の届かない距離から一方的に打たれて破壊されるだけである。
 傭兵達は相談しとりあえず距離を詰める時はレティを先頭に立てる事にした。スキルと装甲、タフさからの決定だ。アルヴァイム(ga5051)はさらに砕牙と相談して手早く陣を設計する。重視したのは前衛の突撃、支援の安全、の二点だ。
 傭兵達は大地を各々手持ちの武器で吹き飛ばし、合板と土嚢を並べ地面に埋め込み超重量の重りを打ち込んで――能力者は超人なので割と忘れがちだが強化SES拳銃一発戦車も砕く。バグアやキメラの武器も同様だ。強固な固定がなければ一瞬で吹っ飛ぶ――固定し簡易陣を設置する。
 それぞれ、左を前、中央を中、右を後と三十五m程度に離して三段に築城。中と後は手を抜きつつ前を¬型にして出来るだけしっかり造る。それ以上はちょっと材料と時間が足りなそうだ。前列陣よりもさらに前、激突予想点の端に小さな遮蔽を一つ設置しておく。突撃用だ。
 キメラは知覚は鋭敏だが単純なもの以外は意味を理解できず、意味が解らなければ指示を受けない限り避けない。ここの親バグアの指揮官は意図を瞬時に理解したが、キメラに対して複雑な命令を出す術を持たなかった。
 百匹の狼人達が整然と戦列を保ったままライフルを構え荒野を前進してゆく。傭兵達はなんとか最終的な作戦をそれの接近前に纏めると後部の右陣へと入って敵の戦列を待ちうけたのだった。


 相対距離三〇〇。
(「見知った面々で力強い限りだが‥‥足手纏いに成るのが怖いな」)
 流叶、そんな思いが胸を掠めつつもクロッカスを翳して練成強化を発動。アルヴァイム、冴城、レティ、砕牙、ジャック、ミスティ、飲兵衛、ザインフラウへとそれぞれの飛び道具へ淡い光を灯してゆく。
 相対距離一〇〇、アルヴァイムは援助の手を発動し、自身のエミタデータを転送を開始する。男の周囲に浮かぶ映像紋章の達収縮し輝く星となってレティ、砕牙、冴城、流叶へと飛び、前者二名の防御を後者二名の回避を強化する。
 キメラ達は遮蔽の陰から顔を覗かせているレティへと向かって一斉に射撃を開始した。百発を超えるライフル弾の嵐が空を切り裂き埋め尽くして迫り来る。レティは素早く阻塞の陰に伏せて回避。猛烈な勢いで弾丸が突き刺さりあっという間に阻塞が破壊されてゆく。
「状況を開始する」
 レティは言って阻塞の脇から出ると適度に身を低くして下半身への射線を切りつつ盾を翳し、三十五m程度前方にある中段の阻塞を目指して進む。
「防御に徹し、かつ支援を受けたガーディアンがどれほどのものか、見ていてもらおう」
 ウルフ達は祖点を移して次々に猛射。レティが掲げる盾に百発を超えるライフル弾の雨が次々に直撃して甲高い音と共に猛烈な勢いで火花を巻き起こしてゆく。
(「自身の被ダメが増えた分だけ味方の傷は減る。だが自己犠牲の精神で全ての攻撃を受けるのではなく、最も効率よく敵のダメージを散逸化させよう」)
 レティ、そんな心構え。幾つかの例外を除いて多くの状況で最も効率が良いやり方、しっかり統率された場所ならそういうガーディアンが強い。猛撃を受けているがレティが持っている盾は頑丈なので、まだまだ壊れる心配はなさそうだ。結構な間自分に集めておいて良いだろうと判断する。白鐘、砕牙、ミスティが盾を並べてレティに続き、そのさらに後方から冴城、アルヴァイム、ジャック、飲兵衛、ザインと続く。流叶は阻塞の陰で破魔の弓に持ちかえると立ち上がり矢を番え一射した。光を帯びた矢が狼の身に突き刺さる。
 中頃の阻塞の陰に入ると傭兵達は身を隠しながら阻塞に沿って移動し、また端から飛び出して前の阻塞の中にまで入る。レティ等前衛組はさらに前に置いた小さな阻塞を目指してかけてゆく。
 移動中、レティは身を乗り出すと銃弾を盾で弾きつつ練成の光を纏ったシエルクラインで猛射しウルフの四匹を撃ち殺し、
「ちまちま撃つのはストレス溜るんだけどね」
 移動中、冴城もまた輝きを宿したシルバー・チャリオッツを連射して四匹のウルフを撃ち殺してゆく。砕牙も強化されたリボルバーを三連射して三匹のウルフを粉砕し、ミスティもシエルクラインで弾丸を連射し一匹を撃ち殺す。
 一方、後衛組、相対距離三〇、アルヴァイムは塹壕を横に動いて敵を選びつつ制圧射撃を発動、バラキエルで雷光の如く早撃ちして五発の弾丸を飛ばして五匹の小銃を撃ち抜いて動きを阻害し、輝く雷遁に放電を命じてウルフの一匹を焼き払い、陰に伏せてリロードしている。飲兵衛もまた制圧射撃を発動、狼人の前の地面を薙ぎ払って爆砕し砂埃を巻き上げる。ザインフラウはSMGで二十発の弾丸を飛ばして傷を与え、ジャックがターゲットを合わせて一匹を撃ち殺し、別のウルフへ六十発の弾丸を叩き込んで一匹を沈めた。一方、白鐘はレティ等と共に最前の阻塞に飛び込むと阻塞の陰から流星の如くに剣を突き出した。
「天都神影流・虚空閃っ」
 空間が穿たれ五連の衝撃波が発生し、土埃を巻き上げながら唸りをあげてウルフへと迫り、次々に直撃して吹っ飛ばしてゆく。五体撃破。残り七十九匹。
 流叶は先に射った狼人からの反撃をかわしつつ追撃を入れて射殺し前部の阻塞へと向かって駆け出す。
 アルヴァイム、当事者の行動を【敵にとって邪魔か】の点から次の火線集中を予測している。こちら戦域の場合一定以上の知能を持つ敵の場合その思考法と対策で当たりだが一般的なキメラの場合は外れ。制圧射撃を発動、リロードしつつ十連射。十匹の狼人の動きを阻害する。
 飲兵衛もまた阻塞の陰でターミネーターをリロードすると再度制圧射撃を発動、身を乗り出して猛射する。五〇mのラインをフルオートで弾幕掃射、二〇〇発の弾丸で薙ぎ払って土煙をさらに巻き上げ五〇体ものウルフの行動を妨害する。阻塞の陰に身を伏せリロード。
 ザインフラウもまた横に移動しつつ制圧射撃を発動、飲兵衛が払ったサイドとは逆のサイドへと戦列に対して斜めから差し込むように弧状に弾幕で五〇m程度の列を薙ぎ払う。SMGターミーネーターが焔と煙と閃光と共に弾丸の嵐を吐き出して五〇体のウルフを混乱に叩き込んでゆく。撃った後は後退しつつしゃがんで遮蔽を利用しつつリロード。
 ジャックは動きの乱れた敵に対しガトリングガンを向けると次々に標的を変えながら猛射してウルフの手からライフルを弾き飛ばしてゆく。四丁のライフルが転がった。
 七十九匹のウルフ達は混乱の中にあって、突撃を開始した白鐘へと射線の通っている七匹は白鐘へと銃を向け、砕牙へと五匹、十匹程度がアルヴァイムへ、残りの大多数は飲兵衛へと反撃して七十発程度のライフル弾を猛射した。阻塞の合板に激突して激しく火花を巻き起こし破壊してゆくもアルヴァイムや飲兵衛自身には陰に伏せつつ移動し被害は無し。
 レティは輝きが消えたシエルクラインでリロードしつつ白鐘へと銃口を向けている敵を射撃して二匹を撃破。ミスティもまた竜の鱗を発動しつつ、砕牙を狙っているウルフへとシエルクラインの銃口を向け四十発づつ弾幕を撃ちこんで二匹を殺す。
 砕牙は自身を狙っている三体を撃ち殺すと、飛来してきた三発のライフル弾の弾道を見切って盾で全て弾き飛ばしさらに奥のウルフへと一発を叩きこんで葬り去る。
 白鐘へは虚空に再度一閃して一体を音速波で吹き飛ばしつつ飛来した五発のライフル弾を盾でブロックし跳躍してかわすと練力を全開に爆熱の輝きを刀身に巻き起こす。
「天都神影流・降雷閃!」
 赤雷が天空から大地までを断裂し、小銃を咄嗟に掲げた狼頭人が赤色をぶちまけながら左右へと分かたれてゆく。一刀両断。着地した男はさらに加速して狼の戦列へと突っ込み、駆け抜けながら剣閃を巻き起こしてゆく。光が走り抜けた後に四体がバタバタと倒れ、白鐘は奥へと踏み込む。同士撃ちを誘っているようだ。
「さぁ、ストレス発散させてもらうわよ!」
 前衛の突撃を見た冴城は瞬天速で加速するとウルフの戦列へと一瞬で間合いを詰めた。SESの排気音が甲高くあげながら光を纏い、左右の長い脚を振るってウルフ達へと連撃を叩き込んでゆく。身を捻りざま鞭のように狼の顔面をけり上げると浮いたの身へと落雷の如くに踵を叩きつけて荒野に爆砕する。斜めにステップして次の狼人へと入ると身を捻りざま右足で下段に狼人の足を薙ぎ払って刈り取り、その勢いのまま廻って跳躍し、旋風の如くに左の後ろ回し蹴りを狼人の顔面へと叩き込む。狼は白目をあげながら吹っ飛び、奥のウルフへと激突して倒れた。さらに三匹目へと一撃を放ちその身を屈ませる。
 駆けてきた流叶が入ってまた別の狼へと肉薄し、突撃の勢いを乗せて蛍火を振り降ろして赤華を咲かせた。
 戦列が乱れる。
 アルヴァイム、飲兵衛、ザインフラウが制圧射撃を繰り出して混乱を巻き起こし、ジャックがウルフ達の銃を吹き飛ばしてゆく。
 ミスティは左右へ流れる狼人を抑えこむようにシエルクラインで弾幕を張って二体を屠り、レティは銃を納め紅炎を抜刀して斬り込み剣閃を巻き起こし二体を切り倒す。
 白鐘は駆け抜けながら九連の剣閃を巻き起こして九匹を切り倒しつつ自身へと射撃されたライフル弾の嵐を回避。奥の狼人達へと当たって赤壁が展開したのを確認した。
「FFのおかげで同士討ちの効果は‥‥微妙か」
 苦笑しつつ呟く。弱いキメラが纏っているFFなら完全に無効化する、というレベルまではいかないようである。もっともそれでも威力のほぼ全てに近いラインで減衰されるようだったが。方針を変更して一体を盾にするよう立ち回る事にする。
「さぁ、フォークダンスの時間よ♪」
 冴城、練力を全開に発射されたライフル弾の嵐を残像を発生させながら回避し、踊るように足を振り回して次々にカウンターを炸裂させ、動きを止めた所へ追撃を放って蹴倒してゆく。五体撃破。
 砕牙は盾を構えて銃弾を弾きながら猛然と突進するとそのままウルフに盾でぶちかましを仕掛け、吹っ飛ばす。奥のウルフへと激突したそれへとアラスカへと向け連射、二匹まとめてぶち抜いて沈める。男は轟音と共にSESマグナムを飛ばし一射の元に次々に狼達を粉砕してゆく。
 流叶は反撃の射撃をライフルの銃口を剣で跳ね上げて回避すると超機械のグローブをかざして電撃を浴びせて一体を撃破する。飛び退いて銃撃の嵐をかわすともう一匹へと迫って袈裟に太刀を一閃、狼人の身を血飛沫と共に切り裂くとやはり至近から電磁嵐を巻き起こして吹き飛ばした。レティの刀へと練成強化を飛ばす。
「さすがに数は多いな。だが、数の利を生かせなければ恐れるに足りず。押し切るぞ!」
 白鐘は半ばハッタリで発破をかけるつもりであったが事実であった。まともに撃ちあっても厳しい所を準備万端の上、乱戦へと持ちこまれ、一〇〇匹の狼人達はろくに傷すら与えられずに一匹残らず荒野へと沈められたのだった。



「さて、仕切り直しだな。皆、何か問題は?」
 親バグア軍を見据えて白鐘が言った。
「‥‥大丈夫だ」
 答えて流叶。戦わなければ、と思う。
(「そうでなければ‥‥彼の理想が、遠のいてしまうのだから」)
 彼女の夫の理想の世界はまだ、遠い。



 かくて第二分隊はキメラの群れを撃破し、そのまま軍の支援を受けながら中央の親バグア軍へと突っ込んだ。能力者達の実力はいかんなく発揮されて親バグア軍の中央は潰走し、マフバの戦の勝敗は決せられたのだった。


「パキスタンの空はまだまだ遠いわねぇ」
 夕暮れ、制圧されたマフバの市街地へと入った冴城は赤い空を見上げながらそう呟いた。
 色んな物が、まだまだ遠いらしい。


 だが一歩だ。
 今日もまた一つ、前進した。
 そう、信じよう。



 了