タイトル:【BI】ラクパト侵攻戦7マスター:望月誠司

シナリオ形態: シリーズ
難易度: やや難
参加人数: 15 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/01/31 06:11

●オープニング本文


 インドに駐屯するバーブル師団は国土の防衛と共にパキタスタン国のシンド州の攻略を目指していた。
 最終的な攻略目標は州都のカラチであり、次に主要都市であるハイデラバードである。しかし現在の戦況は一進一退であり、カラチの解放はおろかシンド州にさえ踏み込めないでいた。
 現在の第一の攻略目標は国境付近の街ラクパトである。ここを奪還して橋頭保としシンド州を窺いたい。だが親バグアの守備部隊の前にこれまでに行われた奪還作戦は悉く失敗している。
 二〇一〇年初頭、バーブルは師団を再編し準備を整えると再度ラクパトの解放を目指して部隊を進撃させた。彼の師団は過去には能力者の割合が少なかったが、新たに配属された中隊長の言を聞きいれ、大量の傭兵を雇い一時的とはいえ能力者の比率を増大させていた。
 バーブル師団の進撃に対し親バグア側も迎撃の軍を繰り出し、両者はラクパトの南東、砲火により地形を変え、今や更地と化した荒野で激突したのだった。


 戦の序盤は空から始まる。
 両軍の頭上ではKVとHWが死闘を繰り広げていた。数の上ではKV隊が勝っていたが、HWも頑強に抵抗している。どちらが優勢、とは一口にはいえないようだった。
 次に射程数キロを誇る自走砲や戦車同士の撃ち合いが始まる。ジャミングが激しいこの時代、そう簡単に当たるものではないが、数を集めて面で薙ぎ払えばやはり効力を発揮する。
 両軍の兵士達の付近に次々に砲弾が突き刺さり、大地が爆砕され、直撃を受けた兵士や砲が四散して炎と共に散ってゆく。
 砲の撃ち合いではバーブル師団の方が優勢にあるようだった。今回の編成ではバーブル師団は長距離砲の比率が多い。敵の戦車や自走砲が次々に破壊され、敵方から飛んでくる弾の数が減って来る。
 砲火をかいくぐって親バグアの隊が津波のように前進してきていた。千と数百を数えるキメラ部隊である。頑健な肉体とFFを持つキメラ達は、砲の一発や二発ではそう簡単にやられない。
 過去の交戦ではこのキメラ部隊の突進を止められず、バーブル師団は痛打を受けて火砲群を失い、撤退の憂き目を見ていた。
「よしきた皆の衆、出番だぞッ!!」
 指揮戦車の中にいる黄金の髪の女が無線を片手に言った。名をディアドラ・マクワリスという。UPCインド軍の大尉だ。歩兵中隊の指揮を任されていた。今回、傭兵を大量に動員するように提案したのも彼女である。
「前に出て展開し向かってくるキメラを食い止めろ! だが無理はするなよ。敵を撃破し、自分は生きて帰る、それが優れた兵士の条件というものだ!」
 能力者を中心とした歩兵隊は前に出て横一線に散って並ぶ。それはディアドラが指揮する中隊だけでなく、その左右にも同規模の中隊が並んでいる。それらの中隊の隣にもまた能力者を中心とした中隊が散兵となって並んでいた。小銃を手にしている者が多い。銃のラインだ。
 火砲の比率を多くしてアウトレンジから火力で制圧し、それを突きぬけて突っ込んで来るキメラに対しては能力者達で止める、というのがディアドラがあげた方針だった。シンプルで解りやすいが、なかなか博打に近いものがある。能力者達が突進してくるキメラの軍勢を止められなければ、成すすべもなく蹂躙され敗北するだろう。
「この作戦、吉と出るか凶と出るか‥‥」
 師団長のバーブルは指揮所の中で腕を組み表情少なく呟いたのだった。

●参加者一覧

白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
レールズ(ga5293
22歳・♂・AA
ミンティア・タブレット(ga6672
18歳・♀・ER
レティ・クリムゾン(ga8679
21歳・♀・GD
ミスティ・K・ブランド(gb2310
20歳・♀・DG
冴城 アスカ(gb4188
28歳・♀・PN
番場論子(gb4628
28歳・♀・HD
フェイト・グラスベル(gb5417
10歳・♀・HD
天原大地(gb5927
24歳・♂・AA
飲兵衛(gb8895
29歳・♂・JG
アルストロメリア(gc0112
20歳・♀・ER
夕景 憧(gc0113
15歳・♂・PN

●リプレイ本文

「大尉殿にはお変わりなく」
 作戦開始前、ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)がそう女中隊長に挨拶をかわしていた。
「おー、久しぶりだね。あれから随分経つけど、生きてたかー」
 ディアドラは嬉しそうに笑って言った。
 ホアキンは戦場では初めてだが、相変わらず面白い御仁だ、と思った。
(「カレーなタダ飯に再びありつくためにも、勝ちたいものだ」)
 男は冗談半ばにもそんな事を思う。
 傭兵達は各自挨拶を終えると作戦を打ち合わせた。
「パキスタンはインド、中国、中東に囲まれた東アジアへの入り口です」
 その最中、レールズ(ga5293)が言った。
「逆に言えばここを解放すれば中東への突破口になる。一端さえ崩れば中印が南北で挟み撃ちにできる」
 現状を見るに、インド領であるアフダマーバート周辺すら前線地帯であり、ラクパトより南東はバグアの占領地帯にある。パキスタンへと進軍する為にだけですらその前に解放せねばならぬ地は多く、かなり困難な道のりに思えたが、それだけに成果は大きいだろう。
「つまりこの初戦は絶対に失敗できません。気を引き締めてゆきましょう」
「そうだな。極力、仲間の被害を減らし、敵を撃退できるように努めよう」
 レティ・クリムゾン(ga8679)はレールズの言葉に頷きそう言った。
「まぁこれだけの面子が集まっていればそうそう中央が抜かれる事はないと思いますが‥‥随分すごいメンバーを集めましたね?」
 レールズはそう言った。そうそうたる面子と同じ戦場で肩を並べるのはレールズとしてはなんとも頼もしかった。
「確かにー実力者が揃ってるみたいだね。私は運が良い。皆に感謝だね」
 中隊長はそんな事を言っていた。
 アルヴァイム(ga5051)はまず軍の指揮系統の把握に努めた。
 バーブル師団の傭兵分隊周辺の指揮系統は、師団長であるバーブルを頂点にバドルディーン大佐率いるバドルディーン歩兵連隊、アブトマート歩兵大隊、ディアドラ中隊と続き、以下は軍の能力者や傭兵の小隊、分隊である。基本傭兵はフリーダムなので、暫定的に隊長が置かれたり、置かれなかったりしている。多くは傭兵からは置かれないようだ。その場合各隊に配備されている車両長に任されているが、戦術的に指示を出す事は稀だ。直接指示を仰ぐならば中隊長のディアドラに聞く事になるだろうか。
 中隊一つに砲兵中隊が支援につく。最も距離の長い砲は通常兵器であり射程が短くなるにつれてSES兵器の割合が増える。キロ単位で狙うのは非SESの物が多い。また砲弾の種類は主に榴弾である。
 アルヴァイムは第九分隊につく装甲車両の長と話し合いつつその能力を確認した。彼等は能力者ではないようだ。分隊員と作戦を打ち合わせる。
「今回はドジふまないようしっかりしないと」
 アルストロメリア(gc0112)は借り受けた突撃銃をちゃかちゃかとやりつつ呟いた。
「武器よし、アイテムよし応急セットよしおやつもよし」
 赤毛の娘は自分の装備をチェックしている。点検は大事なことだ。戦場に辿り着いてから忘れて来たと気付いても後の祭りである。おやつはともかく。
「煙草とライターはどこかなっと‥‥ふぅ」
 飲兵衛(gb8895)は喫煙所でゆらゆらと煙草をふかしている。
「こういうの初めてだし緊張するなあ」
 夕景 憧(gc0113)は落ち着かない様子でそわそわしていた。
「まぁ落ちついていきたまへ少年。きっとなんとかなるだろうよ」
 軍人にしては妙なカンジの女大尉はそんな事を言った。
「はぁ」
 夕景はディアドラの言葉にそんな呟きを返したのだった。

●前線
 時は過ぎ前線へ中隊は移動し戦が始まった。
 爆炎が轟き、その猛火を抜けてキメラの群れが突進して来る。津波の如く数千の黒影達。ここはインドの荒野の戦場。
(「煮え滾る戦場にて奔流の如く迫るキメラの群」)
 ならば、魔女の名において立ち向いましょう。
 戦列の中央に立ち、番場論子(gb4628)はそう思った。
「お客さんがたくさん来たわね」
 冴城 アスカ(gb4188)が軍勢を眺めて言った。
「hhm‥‥実は局地戦ばかりで大がかりな戦争は久しぶりだが。ここまで派手な戦場はまた気分が違うな」
 ミスティ・K・ブランド(gb2310)が言った。
「また色々と種類を取り揃えたものだ」
 大虎、緑鬼、黄金スライム、炎獅子、大蜘蛛、岩鬼、その他諸々、寄せて来る敵キメラの群れを見やって白鐘剣一郎(ga0184)が半ば呆れたように言った。
「久々に大規模な戦場ね。まあ少しでも食い下がってあげるわ」
 とミンティア・タブレット(ga6672)。
(「あれー‥‥ちょっとハード過ぎたかも!?」)
 フェイト・グラスベル(gb5417)が周囲の様子に胸中でそんな叫びをあげていた。
 最近はアイドル業ばっかりで久々の戦闘依頼であったのだが、復帰第一戦にしては地獄の一丁目過ぎる気がしてきた。
「でも竜斬斧で竜殺し‥‥一回やってみたかったのです!」
 彼方に見える巨大な暴君竜の姿を睨みフェイトは長柄の大斧を背に納め、銃を構える。その為にもまず掃討べきするのは小物からか。
「今日はよろしく頼む」
「ああ、こちらこそよろしく」
 レティは装甲車の軍兵と言葉を交わしている。
「皆、準備はOKね? ド派手に歓迎してあげましょうか!」
 冴城が気合を入れて言った。
「Allright、稼ぎ時だ。仕事をこなすとしよう」
 銃を片手にミスティが応えて言った。
 距離が詰る。キメラの群れが迫り来る。激突まで後僅か。
「皆にいと高き月の恩寵があらんことを‥‥」
 長さニメートルを超える大剣を掲げて終夜・無月(ga3084)が祈りを捧げた。

●歩兵分隊・戦闘開始
「こちら第七歩兵分隊。砲撃支援を求める。ブロックGOLF座標5677。繰り返す――」
 アルヴァイムがトランシーバーを手に後方へと無線を飛ばす。
『ランバルト砲兵中隊、了解。砲撃支援する。発射五秒前』
 しばしの間の後、後方の砲兵陣から轟音が鳴り響き空へと無数の砲弾が舞い上がった。
 砲弾は突っ込んで来るキメラ達へと降り注ぎ、次々に炸裂して火炎と金属片の嵐を巻き起こした。直撃を受けたゴールデンスライムが体躯を四散させ体液を撒き散らし、飛び散る砲弾の破片がキメラ達の身に襲いかかった。破片をその身に受けたキメラ達は傷を負った者もいたが、多くは軽傷で何事もなかったように走り続けている。同じSESの砲でも威力に格段の差があるのはその砲手が能力者であるか、そうでないかの違いだろう。能力者が使うSES兵器でないとキメラのフォースフィールドは無効化できない。
 爆炎を抜けて数十を越えるキメラの群れが足並みを揃え津波の如く突っ込んで来る。それなりに統率は取れているようだ。第七分隊へと向かって来ているのは四十と数匹程度か。
「まずは数を減らそう」
 ホアキン・デ・ラ・ロサが半身に構えた。終夜もまた半身に構える。二人の男は長さ1.2mを誇る大弓を左手で持ち、右手で矢を持ち弦に指をかけて番える。ホアキンは弾頭矢を用いた。頭上に掲げようにしてから降ろし引き絞る。弓身は満月を描くようにしなり、ぎりぎりと鈍い音を立てた。
「レティ! アルヴァイム! 俺は右端の岩鬼を狙う!」
 相対距離一二〇、ホアキン・デ・ラ・ロサは岩鬼が射程内に入ったのを見る。間にキメラがいるが、キメラの前衛の座高は低い。射線は通っている。番えていた矢を解き放つ。さらに眼にも止まらぬ速度で番えつつ連射。三連の弾頭矢と二本の矢が勢い良く飛んだ。矢は二mの岩鬼の身を砕きながら次々に突き立ち爆発を巻き起こした。岩鬼が破片を撒き散らしながらどうっと前のめりに倒れる。
「ふっ!」
 終夜は弓もち伸ばす左手の人差し指を大虎へと向け鋭く呼気を発しながら矢を撃ち放った。弦と弓身が音を立てて戻り、矢は錐揉むようにして空を裂いて飛び、一本が虎の肩に吸い込まれ皮膚をぶちぬいてその骨に突き立つ。虎が咆哮をあげた。終夜はさらに二本目、三本と素早く矢を番え連射してゆく。三本の矢を受けた大虎は鮮血をぶちまけながら倒れ、動かなくなる。
 歩兵からの攻撃を受けたキメラ達はそれに反応すると、一気に加速した。快速一番で飛び出したのは六匹の大虎である。横一線に広がって迫り来る。その後方からは、前の方から七匹の炎獅子、やや離れて同じく七匹の大蜘蛛、緑鬼、少し離れて六匹のスライム、その後方に六匹の岩鬼と続いている。彼方に八メートルを超えるであろう巨大な黒影が見えた。
 装甲車の上部に搭乗しているアルヴァイムとレティ、虎と獅子は既に射程に入っているが仲間に任す。備え付けの重機関砲を回し岩鬼へと向け、射程に入るのを待つ。
 覚醒して十九程度の娘にまで外見を成長させたフェイトはAU−KVミカエルに身を包み拳銃バラキエルを構えている。虎達の後方から迫る炎獅子へと狙いをつけ、紫色の銃身を両手で保持し連射。四連の弾丸が唸りをあげて飛んだ。弾丸が次々に獅子に身に突き立ち、炎をまとった獣が鮮血をぶちまけながら転倒し、駆けていた勢いのままに地面を土煙りをあげて滑っていった。
 アルヴァイムとレティは岩鬼が重機関砲の射程内に入ったのを見る。轟く銃声と共に激しくマズルフラッシュを焚きながら、それぞれ一匹の岩鬼へと猛弾幕を張った。アルヴァイムはプローンポジション、影撃ちを発動させ重機に貫通弾をセットしている。練力を全開にされて撃ち放たれた対フォースフィールド用の弾丸が岩鬼の身を撃ち砕いた。岩で出来た巨人が瞳から光を喪って倒れる。一方のレティからの射撃を受けた岩鬼の身もまた砕けてゆく。レティ・クリムゾン、地力がある。良い威力だ。岩鬼は屈強だったが、弾丸の雨に穿たれて沈んだ。
 レールズは相対距離六十に入った大虎へと向けてドローム製SMGで弾幕を張った。跳ね上がろうとする銃身を抑え込みつつフルオート。激しいマズルフラッシュと共に嵐の如く九十発の弾丸を大虎へと叩き込む。虎は鉛玉で体重を体内に喰らい込み、血飛沫と共に泡を吹いて倒れた。
 冴城は借り受けたアサルトライフルを構えるとサイトを四肢を躍動させ駆ける大虎へと向ける。セミオートに入れて連射。五連のライフル弾が螺旋に回転しながら空を裂いて飛び出し、吸い込まれるように虎の頭部へと突き刺さっていた。虎の顔面が爆ぜ、前足から力が抜けて転倒する。虎は後四匹。
「集中、集中だ」
 戦闘開始前は地に足がつかない様子の夕景だったが、いざ敵を前にすると落ち着きを取り戻していた。ケルビムガンを右手に構え、大虎へと狙いをつけ、発砲。三連の弾丸が飛び出し大虎の身へと次々に突き立っていた。虎は血を噴出し、やや勢いを弱めながらも怒りの咆哮をあげて地を蹴り、夕景へと進路を微変更して迫って来る。
「強化しますがんばってね〜」
 アルストロメリアは小さな茶釜型の超機械守鶴をかざすと天原大地(gb5927)へ練成強化を発動させた。赤髪の男がその手に持つ太刀が淡く輝き始める。それを終えると迫り来る大虎へとアサルトライフルを構えて発砲した。飛び出した弾丸が銃声と共に飛び出し虎へと襲いかかる。二発の弾丸が命中し、虎が怒りの咆哮をあげた。その進路を赤髪の娘へと転ずる。
 距離六十。白鐘剣一郎は全長720mmの銃型の超機械を構えた。炎獅子へと銃口を向けて引き鉄をひく。銃身に備えられたSES機関が唸りをあげ、銃口から黒色のエネルギー弾を撃ち放たれる。連射。黒のエネルギー弾は炎をまとった獅子の身に突き刺さり直径三十センチ程度の球体に膨れあがった。七連の黒球に纏わりつかれた炎獅子はその身のあちこちを抉られ、次の瞬間、鮮血を吐き出して倒れた。強烈な破壊力だ。
 番場はスコールSMGを構えると、フルオートで弾幕を解き放った。弾丸が暴風雨と化して炎獅子に襲いかかり、その炎を突き破って、火よりも赤い地を噴出させる。獅子は怒りを瞳に宿して番場を睨むとそちらへと進路を転ずる。
 ミンティアは赤いプレゼントボックスを両手で掲げ、その蓋を開いた。迫り来る大蜘蛛の周辺に激しく明滅スパークする電磁嵐が発生し、それを呑み込んだ。大蜘蛛は電磁嵐の直撃を受けて甲殻を爆ぜさせると体液をぶちまけて動きを止める。
「数だけは多いねぇ、ほんとに」
 飲兵衛が小銃シエルクラインを構えつつ言った。接近してくる敵を薙ぎ払うようにシエルクラインから弾幕を解き放つ。二匹の大虎と一匹の炎獅子から鮮血がほとばしった。
 ミスティはAU−KVを装着すると炎獅子へと向けてエネルギーガンを構え撃ち放った。閃光が炎獅子に炸裂しその体躯を爆ぜ飛ばして打ち倒す。
 天原は迫り来る大虎に向かって駆けると飛びかかって来る大虎を迎え撃つように蜻蛉に太刀を振りかぶり、裂帛の気勢と共に袈裟に一閃させた。刃の光が通り抜け、虎の顔面が断裂し鮮血が迸り地に落ちる。渾身の一撃を受けた大虎は断末魔の叫びをあげる間もなくどうっと倒れた。
「『弐之太刀要らず』は伊達じゃねえ‥‥ってな」
 前に出る天原を孤立させぬようにレティの乗る装甲車が合わせて前進している。虎がそれぞれ夕景、アルストロメリア、飲兵衛へと一匹づつ迫る。飲兵衛へはさらに炎獅子の一匹が、また番場へも炎獅子の一匹が迫った。残りのキメラは真っ直ぐに前方へと前進している。
 至近まで詰めた大虎はそれぞれ咆哮をあげて夕景、アルストロメリア、飲兵衛へと襲いかかり、四匹の炎獅子は距離三十からそれぞれ飲兵衛、番場、レティの乗る装甲車、ホアキンへと三連の火炎ブレスを吐き出し、四匹の岩鬼が空洞になっている両手の指をそれぞれホアキン、レティ、アルヴァイム、アルヴァイムへと向けて距離九十から弾丸を撃ち放った。
「こいつは僕に任せてください!」
 夕景は青いオーラを発しながらケルビムガンを構え、飛びかかってくる虎の目を狙って発砲した。同時に後方へとさっと飛び退く。弾丸が虎の右目に突き刺さり鮮血が飛ぶ。それでも虎は突撃した勢いのままに右腕の爪を振るう。青の少年の鼻先を爪が風圧を発しながら通り過ぎてゆく。一撃をかわした夕景は左手に持つ夜刀神を一閃させた。虎の顔が割れぱっと赤い色が散る。
「これでどうだっ!」
 気合いの声と共に返す刀で夜刀神を突き込み、虎の額を貫通してその脳髄をぶちまけさせた。虎の唯一残った瞳から光が消えてその体躯から力抜ける。
「行かせない」
 ホアキンは雷光鞭を抜き打ちざまにアルストロメリアへと跳躍した虎へと側面から雷撃を飛ばした。猛烈な爆雷に吹っ飛ばされて大虎が地に落ちる。同時にホアキンは自らもその場を飛び退く。炎獅子から放たれた火炎が男が一瞬前まで立っていた地を焼き尽くし、彼方から飛来した三連の石弾が頬をかすめて通り抜けゆく。アルストロメリアは突撃銃でなく茶釜を掲げると猛烈な電磁嵐を発生させた。
「こっちの方が強いからね」
 電磁嵐が収まった後には体表を焦がした虎が倒れていた。
 飲兵衛はシエルクラインで猛弾幕を張り飛びかかって来た大虎を迎撃する。弾幕に身を穿たれながらも虎は突っ込み、その右の爪を振り下ろす。飲兵衛は素早く飛び退くも右肩から血飛沫が吹き上がり、飛来した火炎がその身を呑み込んで焼いた。
「やれやれだねぇ‥‥」
 男は炎を裂いて飛びだし、虎の追撃を逆手に抜き放ったアーミーナイフで受け流す。鈍い衝撃と共に火花が散った。
 フェイトは番場へと炎を吐いている炎獅子へとリロードしつつバラキエルで連射。弾丸を受けて獅子が倒れる。番場は炎獅子から放たれた炎を飛び退いてかわすと大蜘蛛へとスコールSMGで猛弾幕を張った。大蜘蛛の身が穿たれ体液が吹きだす。蜘蛛は奇声を発し、六本の巨大な脚を高速で動かして番場へと迫る。ミスティはエネルギーガンをその大蜘蛛へと向けると四連の閃光を放ってその頭部を吹っ飛ばした。大蜘蛛が鮮血をぶちまけて倒れる。
 レティは岩鬼へと向けて重機関砲で猛射を仕掛けている。レティの乗る装甲車は火炎の到来を見て慌てて後退を開始したが、避けきれずその車体に炎を直撃させた。鉄が飴のようにひしゃげ、岩鬼から飛ばされた石弾が次々に突き刺さり、車軸が撃ち抜かれて走行不能に陥った。一方の岩鬼もまたレティからの猛撃を受けて体躯の大半を砕かれ倒れた。
 アルヴァイムは練力を全開にし岩鬼へと重機関を回しフルオートで猛射する。猛烈な勢いで弾丸が飛んだ。岩鬼が放った石弾が交差し、銃弾が岩鬼の身を砕き、二体の岩鬼が放った石弾の雨が装甲車両を大破させた。
 白鐘は銃を背に納めると右に月の太刀を抜き放ち左に金属の筒を抜き放って炎獅子を目がけて駆け出す。
 終夜は背に大弓を抑えるとジャッジメント拳銃とブラッディローズを取り出し、炎獅子の一匹へと向けて二連の拳銃弾と四十八発の散弾を撃ち放った。襲い来る無数の弾丸に穿たれて炎獅子が全身から血をぶちまけて倒れる。
 虎を撃ち落とし、炎と石弾を回避したホアキンは再び弓を構えると岩鬼へと向かって三連の矢を飛ばした。矢が唸りをあげて飛び岩鬼の身に突き立つ。岩鬼は大打撃を受けた様子だが、まだ立っている。
「倒しても倒しても湧いてくる‥‥人海戦術って俺達の特権じゃなかったっけ?」
 レールズはそんなぼやきを洩らしつつも、間合いを詰めて来た大蜘蛛へとドローム製SMGの銃口を向け九十発の弾丸の嵐を解き放つ。銃弾の嵐に穿たれ蜘蛛が甲高い悲鳴をあげ体液を噴出させながら崩れ落ちた。
「倒しても倒してもキリがない。他の隊も大丈夫かしらね」
 ミンティアが言いつつ赤いプレゼントボックスを再び開き、大蜘蛛へと電磁嵐を発生させた。蜘蛛が蒼白い光の嵐に呑み込まれて爆ぜ飛ぶ。敵の数は千と数百、千六百と見積もって、一中隊につき十五人の分隊が十二隊、左右にも中隊がいるから、平均に当たって一分隊につきおよそ四十と半ばといった計算か。戦力比はおよそ三対一、精鋭ならばなんとかなるか? 接近される前にどれだけ撃ち減らせるかが明暗を分けそうだ。そんな事を思う。
 天原は炎獅子へと向かって駆け出す。炎獅子に肉薄した白鐘は右の太刀と左のレーザーブレードで五連の閃光を巻き起こし獅子を滅多斬りにして斬り倒した。白鐘に九発、天原に三発の蜘蛛の糸が飛んだ。白鐘は素早く飛び退いて四発をかわし、光のウリエルを振るい焼き払って五発を回避する。
 天原は突進しながら二発をかわすと一発を蛍火で受けた。刀が彼方の蜘蛛に引かれる。
「ハッ、この程度で止まるか。この間合‥‥貰うっ!!」
 強引に糸を引いたまま上段の八双に構えると地を蹴って炎獅子へと踏み込み、裂帛の気合と共に全霊を込めて袈裟に振り下ろす。全力攻撃。閃光が空間を断裂し、途中にあった炎獅子の身体が斜めに割れた。獅子が鮮血をぶちまけながら倒れ、刀にからみついた糸が燃え上がった。
 冴城は脚部を淡く輝かせるとその身を霞ませ、瞬間移動したが如き速度で天原へと糸を伸ばした蜘蛛の前へと現れた。長い脚を振り上げて連続蹴りを繰り出すと、蛇剋をその顔面へと叩き込む。根元まで突きこむと掻きまわして引き抜いた。大蜘蛛の目から光が消えて動かなくなる。
「大地くん、怪我してあの子に心配させちゃだめよ?」
 飛び退いて構え直しつつ冴城が後背の天原へと言う。
「すいませんね。アスカさんも無茶はしないでくださいよ。怪我させちまったら某さんに殺されちまう」
 天原は焼けて粘着力の減退した糸を刀をふって振り払い、迫り来る緑鬼へと太刀を構え直して言う。
「超巨大キメラ接近中、注意を‥‥」
 終夜が愛用のインカムを用いて無線に通達した。
 飲兵衛と対峙する大虎。咆哮と共に牙を剥いて噛みつかんと突進する。突撃を受けた飲兵衛は左のナイフで虎の上顎を抑え右のシエルクラインを突き込んで下顎を抑える。身がぶつかって後方へと倒れつつも、シエルクラインのトリガーを引いて弾丸を爆裂させた。虎の頭部が砕け、鮮血をぶちまけながら倒れる。
 ホアキン・デ・ラ・ロサは再度弓に矢を番えると先の岩鬼へと向けて撃ち放った。螺旋の回転を起こしながら飛んだ一矢が岩鬼を貫いてぶち抜く。岩鬼は石弾をホアキンへと射撃しながら倒れた。ホアキンは素早く飛び退いて石弾を回避する。雷光鞭を抜き放ち、三匹のスライムへとそれぞれ二条づつの電磁波を飛ばした。
 レティ・クリムゾンは重機関砲で猛射し、最後の岩鬼を打ち砕いた。交差するように放たれた石弾をレティは素早く伏せて回避した。
「スヴェン! 生きてるかっ? 後ろに送る」
 装甲車の運転手へと呼びかける。
「こちら、健在だ。一人で行ける。お前はここに残れ。すまんが、後は頼んだ」
 頭部から血を流している軍兵はレティにそう言うと大破した装甲車のドアから這い出て後方へと去って行く。アルヴァイムが乗っている装甲車のアラン軍曹もまたアルヴァイムからの言を受けて退避を始めたようだ。
 白鐘へと三匹の緑鬼が槍を振りかざして襲いかかる。白鐘は三方から繰り出された槍に対し、正面の穂先を太刀で払いながら間合いを詰め、ウリエルを一閃させ、続いて太刀を叩き込んでその脳天をぶち破る。左右から振るわれる槍を身を沈ませてかわすと回転するようにして左右の太刀を振るい、二匹の緑鬼を切り裂いた。うち一匹へとウリエルで斬り上げて倒し、残り一匹の穂先に頭部を強打されつつも踏みとどまり、太刀を振りかぶる。
「天都神影流、斬鋼閃っ」
 閃光が走り抜け受けに構えた緑鬼の槍ごとその首を斬り飛ばした。
 二匹の緑鬼が槍を振りかざして天原へと突きかかり、もう二匹の緑鬼が冴城へと槍を振るう。天原は一撃を身をかわし、一撃を太刀を掲げて横に受け流して剣を振り上げ片手で剣の腹を寝かせて小鬼の喉を狙って突きを放つ。刃が鬼の喉を貫通せしめると天原はそのまま横に掻っ捌いた。首から血飛沫を吹き上げて緑鬼が倒れる。もう一匹の鬼が槍を振り下ろし天原の鎖骨部を強打した。再度突き込んで来る穂先をかわしつつ、素早く連撃を加えて鬼の頭部を殴り倒す。緑鬼は頭蓋を陥没させて倒れた。
 冴城は二匹の鬼が繰り出す穂先を身を沈めてかわし、そらしてかわし、後退して回避する。低く身を沈みこませながら踏み込んで一撃を回避しつつ懐へと飛び込むと下段、中段、上段と連続して蹴りを叩き込んだ。鬼がよろめき、もう一匹が背後から槍を横薙ぎに振るう。冴城は跳躍して一撃を回避すると脚を高々と振り上げよろめいてる緑鬼の脳天に踵を叩き込んだ。頭部に打撃を受けた鬼は白目を剥いて倒れる。
 三匹の蜘蛛はそれぞれフェイト、レールズ、ミンティアへと口から糸を吐きだし、六匹のスライムはミスティ、フェイト、レールズ、レティ、アルヴァイム、番場へと酸の嵐を解き放つ。直後、飛来した電磁波に穿たれ三体のスライムが爆ぜた。ホアキンの雷光鞭だ。八メートルを超える巨大さを誇る恐竜型のキメラが大地を揺るがしながら突っ込んでくる。進路上にいるのは白鐘か。
 アルヴァイムは蜘蛛へとSMGスコールを用いて弾丸の嵐を叩き込んだ。蜘蛛が奇声を発し体液を噴出して爆ぜる。飛来した酸を大破した装甲車上から飛び降りてかわす。終夜は練力を全開にすると暴君竜へと拳銃を連射し、ブラッディローズの散弾を撃ち放った。弾丸が突き刺さって鮮血が吹き出し、竜の突進の勢いが若干弱まる。
「デッカいですね‥‥援護お願いします!」
 レールズはSMGを背に納め、槍を抜き放つと風車の如く一回転させつつ飛び退いてスライムからの酸をかわし、暴君竜を迎え撃つべく走りだす。レティもまた装甲車上から跳んで、飛来した酸をかわした。
 ミスティは酸を受けつつエネルギーガンをスライムへと向けた。AU−KVの隙間から酸が染み込み肌が焼ける。苦痛を堪えつつスライムへと閃光を連射。光線を受けたスライムは体液を撒き散らしながら爆ぜた。
 夕景は大蜘蛛へとケルビムガンをリロードしつつ連射する。二連の弾丸が蜘蛛へと突き刺さった。番場は酸を飛び退いてかわし暴君竜へとリロードしつつスコールSMGで弾幕を張る。竜の身に次々に銃弾が突き立った。
「暴君竜‥‥竜殺しになるには丁度いいですね」
 フェイトは酸をかわすと銃を納め竜斬斧ベオウルフを両手に構え竜へと向かって駆け出す。ミンティアはかわしきれずに蜘蛛の糸を身に受けつつも白鐘へと向かって練成超強化を発動させた。男の黄金のオーラに光が加わる。
「もう少しです皆さんがんばりましょう」
 アルストロメリアはミスティ、飲兵衛、天原へと練成治療を発動させる。各員の身から傷みが引き傷が癒えていった。
「遂にお出ましか」
 白鐘が二刀を構え呟く。巨体を揺るがせて突進してきた暴君竜は白鐘へと接近すると身を回転するようにしてその巨大な尾で薙ぎ払いをかけた。白鐘は後方に大きく跳躍しながら尾の先を飛び越えてかわす。レールズが踏み込み白の槍で暴君竜の脚を狙って突きかかった。穂先が皮膚を破って鮮血を噴出させる。男はすぐに引き抜いて後方に跳んだ。竜が繰り出した反撃の牙が空を切る。
 フェイトは竜の爪を発動させ竜斬斧を巨竜の脚の関節部へと叩き込んだ。斧刃が皮膚を突き破り、鮮血が噴出して竜が怒りの咆哮をあげる。弧を描くようにして連続攻撃、竜の脚部へとさらに痛打を加える。竜は身をよじるようにして半回転して尾を叩きつけんとする。フェイトは斧を立てて後方へと跳ぶ。尾が少女の身に炸裂し、フェイトは後方へと吹き飛んだ。自ら跳んでいるので威力は減じているがそれでもかなりの衝撃が全身を貫いていった。
「お邪魔虫はここらで退散して貰いますよっと」
 飲兵衛は伏せた状態からシエルクラインを夕景の射撃を受けた大蜘蛛へと向けて連射する。シエルの弾丸が炸裂し蜘蛛は断末魔の悲鳴をあげて崩れ落ちた。
 冴城は突きかかって来る緑鬼の穂先をかわし、脚甲で連続を加え蹴り倒した。
 天原は無線に閃光手榴弾を投擲する旨を通達すると、笛を鳴らし閃光手榴弾を暴君竜へと向けて投擲した。榴弾が竜の足元に転がる。三十秒後に炸裂する予定。
「天都神影流、虚空閃・波斬」
 白鐘が言って二刀に極限までエネルギーを集中させると猛烈な剣閃を巻き起こした。七連の音速波が波のように押し寄せ暴君竜の身へと炸裂してゆく。
「どうあっても止める!」
 ホアキンもまた練力を全開にし左手でイアリス抜き放ちざまに赤く輝かせ竜の無傷の方の脚を狙ってソニックブームを巻き起こした。狙い違わず音速波が炸裂し竜の脚から血飛沫があがる。さらに盾と雷光鞭に持ち変え六条の電磁波の嵐を解き放った。両足へと打撃を受け竜の運動性ががくっと下がる。
 終夜は練力を全開にすると間合いを詰め、二メートルを超える大剣を振りかざし水平に一閃させて竜の腹を掻っ捌いた。滝のような鮮血が吹き出す。流れるように五連撃。竜が首を振るって牙を叩きつけて来るが大剣で牽制しながら後退し、かわす。
 好機と見たレールズは練力を全開にし爆熱の色に穂先を輝かせて竜の首へと槍を突きこんだ。穂先は皮膚をぶちやぶり深々と突き刺さる。男は素早く後退しつつ拳銃を抜き放つとさらに弾丸の嵐を叩き込んだ。
 フェイトは踏み込むと回転するようにして長柄斧を振るい猛連撃を叩き込む。竜斬斧ベオウルフの一撃を受けた巨竜の脚が折れ、側方へと転倒した。さすがにこれだけの集中打を受ければさしもの巨竜も耐えきれない。
 アルヴァイムとレティがそれぞれSMGとエネルギーガンで大蜘蛛を撃ち殺し、ミスティとミンティアがエネルギーガンと超機械でスライムを爆砕した。
 倒れた竜へ番場、夕景が弾丸を炸裂させる。アルストロメリアはミスティ、白鐘へと練成治療を飛ばした。暴君竜はもがいていたが、この状態からはどうする事も出来ずに傭兵達から遠巻きにされて銃弾の嵐を受けてインドの荒野に沈んだ。
「暴君討ち取ったり‥‥皆、お疲れ様だ」
 竜の絶命を確認し白鐘が言った。
「私達の隊にはまだまだ余裕があるな。他の援護にいかないか?」
 レティが言った。
「そうですね」
 アルヴァイムはその言葉に頷くと司令部へと無線を入れた。
「中隊長、第七傭兵分隊、前面の勢力を殲滅しました。余力十分、援護にゆけます」
「中隊HQディアドラ、了解。流石にやるなぁ。第六の援護に回ってくれ」
 前面のキメラの群れを殲滅した傭兵達は側面の部隊の援護に回り、その撃退に貢献した。能力者達は各所で奮戦し、千と数百のキメラ部隊をついには殲滅して潰走させた。
 キメラの突撃を凌いだバーブル師団は前進して親バグア軍へと猛攻をかけ、ついにはこれを打ち破る事に成功したのだった。


「リーダー、お疲れさんでしたっと」
 任務完了後、飲兵衛はフェイトへと言ってペットボトルを放った。自身は煙草を咥えている。
「あ、パープル有難う」
 元の童女の姿に戻っているフェイトは礼を言って受け取る。
「しっかし、傍目で観ててもでかいキメラだったな、アレ‥‥KV並じゃないか?」
「そーだねー、とてもおっきかったのです」
 そんな事を言って頷きつつ少女はミネラルウォーターに口をつけて喉を潤した。
 アルストロメリアは、
「今回はドジも踏まずちゃんとやれましたよかった〜」
 と安心していたが、言って気を抜いた直後に小石にけつまずいて転倒していた。
「ふぇ〜やっぱりこうなるのね」
 お約束なようだ。
「お互い生き残ったわね。長い付き合いになると思うけどよろしくね」
 一方の冴城はディアドラへとそう声をかけていた。
「ああ、なんとかな。こちらこそよろしく。傭兵は忙しいだろうが、もし都合がつくようならまた従軍してくれ」
 金髪の大尉はそんな事を言っていた。
 バーブル師団の戦いはまだまだ続くだろう。その勝敗の行方がどうなるのかは、今はまだ誰も解っていなかった。


 了