タイトル:【ODNK】魔竜達の王マスター:望月誠司

シナリオ形態: シリーズ
難易度: 難しい
参加人数: 15 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/08/29 11:13

●オープニング本文


前回のリプレイを見る


 大分県国東市、バグア軍司令所。
「な・に・をやっとるかァ!」
 真紅の外套に身を包んだ黄金の髪の青年が吼えた。
「なんだこの編成は! せめて機動と射程は整えて分けろ! 遅い奴と速い奴、短い奴と長い奴、諸々混ざった隊で複雑な機動がマトモに働く訳なかろうがァ! 貴様の作戦、長槍部隊にダガー一本の奴を混ぜてファランクスやらせてるようなものだぞ! 効率悪過ぎる、負けるに決まっとろうが!」
「そうすると弱点が出来るだろうが! そこをあの狡猾なニンゲンどもは突いて来るのだ! やむを得んのだ!」
「それで正面を支えられるなら、正面はそれで良かろうよ。だが複雑な機動を採らせる隊までそんな編成ってのはどういう事だ! 雑多な軍に煩雑な事やらせた所でバラバラになって砕け散るは確定的に明らかではないくわぁッ!! 雑軍はシンプルにぶつけろ! 命令は単純で済むなら単純な方が良い!」
「うるさいうるさいうるさいうるさい! 我輩には我輩のやり方があるのだぁあああ!!」
「貴様じゃ話にならん! イルマリネン何処いった!」
「死んだよ!」


「‥‥あの超絶ビックバン無量大数鳥目野郎めっ! 全軍の為にホワイトホールに呑まれて宇宙の彼方へ消えるが良い! 誰だあんな奴に指揮権渡したのはぁッ!!」
 荒々しく靴音を立てながら金髪の青年が廊下を歩いている。
「推薦したの確か大将じゃなかったカ」
「明日は明日の風が吹くものよ!」
 獅子座の赤竜ルウェリン・アプ・ハウェルはきっぱりとそう言った。
「‥‥あのハカセの戦術は駄目かい?」
 赤髪の男が問う。
「俺達は学問やってる訳でも芸術やってる訳でもない。使えるか使えないかが問題であって、戦術なんてものは要するに勝てば良かろうなのだ。逆を言うなら勝てぬ戦法などクソの役にも立たぬわ! 万歳突撃すれば勝って分進合撃すれば負けるなら、迷うことなく真っ直ぐ突っ込むべきだろうが!」
「なるほどネー。ああ、そうそう、この前、宝石河で戦った奴と会ったヨ。ほら雷電乗ってた奴」
 アナンタは言った。
「俺達を甘く見るな、だってさ」
「ほぉ?」
 金髪の青年が足を止めた。
 振り返り口端をあげて笑う。
「こちらが敵の実力を見誤っている、と?」
 赤髪の男は肩を竦めたのだった。


 空に鋼鉄の翼達が舞い地に爆炎が咲き乱れる。村上旅団の一部は大分空港より北上し国東市街へと進んだ。
 その先頭をゆくのは二十機のCOP‐S‐01、二十機のCOP‐R‐01、二十機のCOP‐フェニックス、そして相良裕子が搭乗する紺碧のスピリットゴーストの六十一機である。
「随分と戦力を集中させとるようじゃないか」
 ファームライドのコクピットの中、モニタの倍率を上げて確認しながらルウェリンが言った。
「この前オレ達が暴れ回ったからナ。三倍以上集めてきやがっタ」
 とドラゴンヘッドに搭乗するアナンタ。
「どう見る?」
「捨て石だナ。でもただの捨て石じゃねぇ。あのスピリットゴースト、蒼の幽鬼の破壊神だゼ。スルーしたらこっちの被害がえらい事になりそうだ。大将、どう潰すヨ?」
「敢えて無視してカウンターを当てるのはどうだ。光学迷彩で上から飛び込み総指揮官を狙ってフレア弾を叩き込む。情報によれば敵には村上とやら以外に満足に全体を指揮出来る者がいない。奴を消せばこちらの勝ちよ」
「いつぞやも使った手だな。でも大将、迷彩って一分持ったっケ?」
「退路も考えればちょうど一分程度だな」
「厳しい。どうも、宇佐市の戦い以降、敵の大将が乗る指揮車両っぽいのさらにあちこちに展開するようになったみたいだゼ? 命令が何処の位置から出てるか解らネェ。大将、籤運には自信ある?」
「ふん、小賢しいな。流石に警戒はしているか」
「一発でひっくり返すのは無理だァ。正面からやるしかねぇヨ」
「正面からやるなら‥‥敵の後方に予備が十数居る。激突すればそちらも突っ込んで来ると踏め」
「ってなると、こっち六機で敵は七十以上? 愉しくなって来る戦力差だね。素晴らしい」
「アナンタ、四機を預ける。正面に展開しろ。俺は迷彩で入って幽鬼を潰す。俺が動いたら成否に関わらず寄せろ。俺ごと撃って構わん」
「あいよ」
 真紅のファームライドと赤のドラゴンヘッドと四機のタロスが動き始める。
 五機のワームが北に展開し、南から六十機のKVが迫り、そして何もない筈の空間から閃光が飛び出して、スピリットゴーストのコクピットを吹き飛ばした。


「‥‥相良隊、壊滅しました」
 エースが、六十一機が、と副官が悪夢でも見ているような表情で呟く。
「一分はもったな」
 村上は無線を手に取ると言った。
「こちら旅団HQ村上顕家、第二KV大隊、前進を開始しろ。敵に既に迷彩は無い。ただ強いだけのワームだ。蹴散らせ」

●参加者一覧

稲葉 徹二(ga0163
17歳・♂・FT
雪野 氷冥(ga0216
20歳・♀・AA
鳴神 伊織(ga0421
22歳・♀・AA
時任 絃也(ga0983
27歳・♂・FC
ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
夕凪 春花(ga3152
14歳・♀・ER
アッシュ・リーゲン(ga3804
28歳・♂・JG
飯島 修司(ga7951
36歳・♂・PN
御崎 緋音(ga8646
21歳・♀・JG
リヴァル・クロウ(gb2337
26歳・♂・GD
鷲羽・栗花落(gb4249
21歳・♀・PN
ハミル・ジャウザール(gb4773
22歳・♂・HG
ルノア・アラバスター(gb5133
14歳・♀・JG
カタリーナ・フィリオ(gb6086
29歳・♀・GD
流叶・デュノフガリオ(gb6275
17歳・♀・PN

●リプレイ本文

「ゾディアックの獅子座ですって?」
 報告を受けた御崎 緋音(ga8646)が驚きの声を洩らした。前回の敵が獅子座の部下らしい話は聞いていたが、まさかこんなに早く出てくるとは思っていなかった所である。
「‥‥やれやれ。先日の彼の言葉を真に受けたという訳でもないでしょうが、この局面で獅子座のお出ましですか」
 顎髭を撫ぜ飯島 修司(ga7951)が言った。まぁ影響はあっただろう。登場は確定していたとしても、空か陸かの選択で陸の方を選んだくらいには。
「しかし弱りましたな。ああいったトップエースとは出会わぬように傭兵生活を送ってきたつもりなのですがね‥‥」
 彼の個人的な怨恨はあの日の東京の空に居た有象無象どもの方にこそ有る。あの日というのが、東京陥落時の事ならば地方出張中で彼自身は難を逃れていた筈だが――東京に彼の何が残されていたのかを知る者はなく、また何を失ったのかも余人の知る所では無い。
「赤竜を自称する方ですか‥‥何というか変わった方ですね」
 鳴神 伊織(ga0421)が言った。その呟きにルノア・アラバスター(gb5133)が答える。
「伊織ちゃん、赤竜は、通称、です、ね‥‥自称は『この星の覇王になる男』だ、そう、です‥‥」
「‥‥」
 なんとも言えぬ。
「まぁ、実力は本物みたいですし、油断せずに行きましょう」
 鳴神は咳払いするとそう言った。
「‥‥実際、とんでもないゲストが出て来てくれたものだ」
 アッシュ・リーゲン(ga3804)が淡々と言った。
「合計六十一の損耗でありますか」
 と稲葉 徹二(ga0163)。相良隊六十一機の殲滅。KV戦で頭数の差十倍以上を吹っ飛ばした記録は、こちらの戦域では一つを除いて他に例が無い。カリマンタンでコタキナバル航空師団八十機が四機を相手に壊滅した戦いが唯一のそれだが、その時の交戦相手もやはりルウェリン・アプ・ハウェル。軍にとっては悪夢再びである。
「随分と‥‥派手に暴れてくれたようだな」
 ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)が硬い声音で呟く。
「相良さん大丈夫かな‥‥」
 鷲羽・栗花落(gb4249)が心配そうに呟いた。蒼幽鬼の相良裕子は撃墜王の一人だが被撃墜経験もかなりのものだ。前も大丈夫だったのだから今回もきっと大丈夫だと思いたい。
「破壊神も沈む相手だ。今回ばかりは壁の花でも構わない、と言いたい所だが‥‥」
 とアッシュ。
「退けないしな。せめてお供の相手をさせて貰うとしよう」
「ここで何とかしとかんと、いよいよ後がねェですからな」
 稲葉が言った。
「そんだけ暴れて消耗してるってのなら、無二の機会だ。せめて腕の一本なりとも取らせて頂く」
「ええ、光学迷彩が出来ないファームライドなんて、潜航できない潜水艦と同じですわ」
 カタリーナ・フィリオ(gb6086)が言った。先行隊が消耗させてくれた今こそが千載一遇の好機だと言う。
「飛んで火に入る夏の虫‥‥と行きたい所ですけど‥‥」
 御崎は考える。前回交戦したの他ならぬ彼の部下だからこちらの戦力は聞いている筈。敵は消耗しているだろうがそれでも退かない以上、それでやれるだけの目算があるという事だ。だが、カタリーナの言う事は多分間違いが無い。その潜水出来ない潜水艦がこちらの戦域で最強の敵だというのが問題だが、味方の戦力、敵の戦力、消耗度、この状況は最善に近い。
 逆を言うなら――ここでやれなければ、次に撃破を狙えるのは何時になるか解らない。十分な戦力と状態を備えフリーハンドで暴れさせたら無双し始めるに決まっている。最悪、その手足だけでも削いでおきたい。
「‥‥彼等の思いを無碍にはできん」
 ホアキンが言った。光学迷彩を剥ぎ取る一分間の犠牲、実に六十一機。
 先行し倒れた彼等に恥じる戦は、出来ない。
 獅子座は雄敵と聞くが、なんとしてもこの機を逃さず、FRを破壊したいと男は思う。
「相良さんたちが稼いでくれた貴重な時間‥‥無駄にするわけにはいかない」
 鷲羽もまた頷いてそう言った。
「‥‥ここが正念場よね。もっとも、私たちには後ろは無いわけだけどね!!」
 雪野 氷冥(ga0216)が言った。傭兵達はその言葉に頷く。村上旅団において相変わらずの陸戦最強戦力の隊だ。この隊で勝てなければ、恐らく団内のどの隊も勝てないだろう。敗北は許されない。
(「部隊構成員の殆どがLHのエースか‥‥俺の様な一般の傭兵は場違いだという自覚はあるが。泣き事ばかり述べている訳にもいかない」)
 そう胸中で呟くのはこちらへは今回が初参戦となるリヴァル・クロウ(gb2337)だ。
 彼はそう認識するが実際の所、リヴァル機のポテンシャルは高い。彼もまた上位集団の一人だろう。だが、この戦域には敵も味方も互角ないしさらに上を行く化物が集まっている。北九州の激戦区、地獄の八丁目。地力が無ければ貫けず、立ち回りに欠ければ穴を突かれる。両方無ければ死ぬしかない。純粋に総合力が物を言う。そんな領域。
(「状況は揃っている。大破のリスクを冒してでも撃墜を狙う価値はある。後は‥‥俺がどれだけ通用するか」)
 成否を決定するのは行動難度に対する性能と立ち回りの兼ね合い。やれるか、否か。
(「私は‥‥前回‥‥は、負けのようなもの、だろうね」)
 流叶・デュノフガリオ(gb6275)は以前の自身の立ち回りについてそう評しているようだった。基地を陥落させられたのだから旅団の勝利であり、敵を退けたのだからKV隊の勝利だ。だが個人で、となるとまた違うようである。
(「今の私ではまだ‥‥彼らには及ばない、かも知れない。だとしても‥‥考えよう。遣れる事は、確かに有る筈だから」)
 胸中でそう呟く。その考えの元だろうか、今回は電子戦機に乗っての戦闘の模様。こちらの戦域ではジャミング中和は強力な特殊能力だ。地味に戦局を分けてきている。その分、狙われ易くもあるので注意が必要だが。
 傭兵達は手早く作戦を練る。流叶は混戦防止策としてファームライドやドラゴンヘッドと近いタロスを砲撃にて釣る事と敵タッグ行動の防止策として片方を二機で邪魔し、もう一方が助勢に来た所を手隙の一機に強襲する策を提示しておく。
「一番楽そうな相手がタロス‥‥ハードル高いですね‥‥」
 ハミル・ジャウザール(gb4773)がそう呟いた。正確に言うなら一般タロスではない。強化タロスだ。よく一隊を率いる指揮官が乗っているあれである。今回は最も難度の低い相手がそれと来た。ボスが四機、大ボス一機、戦域最凶の敵が一機。質で言うなら最難関、数が少ない為最悪ではないが地獄の底はもうすぐそこだ。ハミルは夕凪 春花(ga3152)と連携してこれに当たる事にした。
 時任 絃也(ga0983)と鳴神はスパークワイヤーを使ってドラゴンヘッドの引き剥がし策を狙っているようだった。
「被弾も無理も承知の上、だがこれぐらいはせねば引き離せんだろう」
 時任はそう述べた。
 作戦を決定した傭兵達は指令に従い海辺の道を前進する。東から風が吹きつけて来る。
 やがて北方、六十一機分のKVの残骸が飛び散っているのが見えた。砕かれた鋼鉄の巨人達の屍が累々と転がっていて、凄惨な図を広げている。その少し奥、北へと行った箇所でワーム六機が待ち構えているのも見える。
 流叶はスコープで外観から窺える相手の武装を視認確認し各機に報告した。ワーム達は一様にグレネードキャノンを装備している。爆裂を撒き散らす大砲。あれは威力が高い。要注意である。
『路傍の屍が見えぬか、盲人ども。この道進むならそれが貴様等の未来の姿よ』
 道を進む各機の無線に不意にノイズが走り若い男の声が響いた。ジャックされている。その声に幾人かは聞き覚えがある。獅子座の赤竜ルウェリン・アプ・ハウェルだ。
「陛下、カリマンタン、島、以来、ですが‥‥覚えて、おられ、ます、か?」
 ルノア=アラバスターが言った。返答無し。
「雷電、乗り、から、伝言です――『貴様の、死に、様を、直に、見れず、残念、だ』と」
 その言葉に無線からは笑い声が返って来た。
『大風に抗うか、最後の希望ども。そいつも、貴様も、貴様等も、貴様等の炎と翼が俺を消し飛ばせると信じているのか? 貴様等が? 殺せると? この俺をか!』
 ファームライドが槍と盾を構えた。真紅の機体の周囲から爆風が巻き起こり砂塵が周囲へと舞い上がってゆく。
『うわはははははははは! 面白い! ならばその力を示してみせよ! だが、力足りなくばその瞳に映るは奈落の闇と知れッ!!』
 獅子座が吼えた。ファームライドがバーニアを吹かせて突撃を開始し、タロス達が赤く輝いてそれに追随する。傭兵達は速度を揃えて一斉に北へと駆けた。ルノアは流叶に言って敵機をナンバリングしておいてもらう。
 戦闘開始。
 両陣営の距離がみるみるうちに詰まってゆく。
 相対距離二〇〇。各機突っ込んでゆく。ホアキン機、ファームライドへと向けて突進しながらエニセイ対空砲より砲弾を連射。飯島機、PFを発動、タロスへと向けてエニセイ対空砲を連射。時任機、長距離バルカン砲でドラゴンヘッドへと弾幕開始。鳴神機、刀と盾を構えて前進。稲葉機、アハトアハトでファームライドへと光線を飛ばす。リヴァル機、マルコキアスでFRへと嵐の如く弾丸を猛射する。流叶機、盾と煙幕銃を構えつつ前進。鷲羽機、タロスへと向けてツングースカ機銃で掃射。夕凪機も牽制にツングースカ機銃を放ちつつ突っ込む。ルノア機は槍と機盾を構えてタロスへと突撃。御崎機は真スラスターライフルでタロスへと猛射を仕掛ける。ハミル機はスナイパーライフルで射撃を開始し、アッシュ機はマイクロブースト、アリスシステムを発動、盾を構え御崎機と速度を合わせて前進。雪野機はスナイパーライフルを構え前進。カタリーナ機はFRへと向かう。
 ファームライド、ドラゴンヘッド、強化タロスは半身に大楯を構えて慣性制御で滑るように突っ込んで来る。砲弾と銃弾と光線の嵐が盾に激突して猛烈な火花を撒き散らしてゆく。
 流叶機、接近しつつ敵との間に煙幕銃を放ちたい。距離は一五〇m程度。一五〇から放つのか、一五〇へ放つのか、どちらか。一五〇は既に敵の射程だ。下手に踏み込むと一瞬で死ぬ。相対一九〇で一五〇m地点へと煙幕銃を発射。弾丸が炸裂して直径三十メートルの煙の壁が広がってゆく。流叶機はブーストを発動させて上空へと跳んだ。
 相手から見えなくなるという事は自分達も見えなくなる。レーダー、ワーム達は即座に煙を回り込むように左右へと別れている模様。ナンバーを見る、タロス四機が右でFRとDRが左。
 傭兵達もまたそれぞれ対応する方へと別れて前進しながら射撃。雪野機、煙の壁の端から姿を現したドラゴンヘッドへスナイパーライフルで発砲。
 ホアキン機、相対距離一五〇、ブースト発動、左の大地を弧を描くようにスライドして来たファームライドへ向けて煙幕銃を発射。弾丸が四〇mを飛んで炸裂し煙の壁が出現する。ホアキン機はそのまま矢の如くにファームライドへと突っ込んでゆく。
 御崎機、空中のタロス四機へと煙幕銃を向け発射。宙で炸裂して煙が広がってゆく。FR・DH対応班が煙幕に突っ込んだのを合図に、ブーストジャンプで低空へ行きたいが回り込むように弧を描いているので突っ込むかどうか微妙な所。
 飯島機、タロス四機、空へと跳んでいる。流叶機へと向かう動き、敵が上にあがった場合、地上を抜けて背後を取る作戦だが。護衛が任務だ。飯島機もまたブーストを発動して空へと跳ぶ。
 時任機、鳴神機、ブーストを発動、ドラゴンヘッドへと加速する。雪野機もまたブースト、試作型斥力制御スラスターを発動、爆槍を構えてDHへと猛加速してゆく。
 稲葉機、ブースト、ハイマニューバを発動、ファームライドへと最短距離を予測して突撃する。
(「‥‥つっても旦那の方が速く着くかねェ。無体な速度であります」)
 胸中で呟く。
 リヴァル機、PRMシステムを発動、装甲へとエネルギーを展開、ブースト発動、盾を構えてファームライドへと突撃する。
 鷲羽機、ルノア機、ハミル機、ブーストを発動。宙へ跳んだタロス達の下を抜けんと走る。夕凪機はブーストを発動してタロス目がけて上空へと跳ぶ。アッシュ機、カナリーナ機は前進継続。
 タロス四機は赤輝を纏いつつ宙を慣性制御で翔け。牽制の射撃をかわし、対空機関砲を体を斜めに盾で受けつつ、煙の上へと抜けると二門のキャノンをそれぞれ流叶機へと向ける。一機、四連、四機で十六連射。
 流叶機、避けられそうもない。輝く盾をかざしてガード。次々に砲弾が命中し猛烈な十六連の大爆発を巻き起こしてゆく。損傷率四割八分。タロス達は赤く輝きながらハルバードを翳して突っ込んで来る。余裕はなさそうだ。流叶は全力でガードを固める。
 御崎機もブースト機動で宙へと跳躍した。スラスターライフルを向け猛射。タロスAは大楯で弾丸の嵐を受け止める。アッシュ機もまたブーストを発動させ空にあがるとゴーレムの側面へと狙いをつけてレーザー砲を撃ち放った。Mブースト、ブースト、アリスシステム、流叶機の電子援護が効いている。鋭く飛んだ光線が次々にタロスの装甲へと突き刺さりその表面を灼いた。が、威力が落ちている。浅い。
 飯島機がバーニアを吹かせてタロス達の前に立ち塞がる。空中近接戦。飯島機、ハイディフェンダーを抜き放ち大地に叩き落とすように振り降ろす。PFのエネルギーが込められた長剣が激突して激しく火花を散らす。タロスの三機は迂回して抜け、正対するタロスBはスラスターを吹かせつつ慣性制御で飯島機へとハルベルトを一閃させた。飯島は素早くジェット噴射ノズル核を操作して宙をスライドする。流叶機のジャミング中和が効いている。紙一重、かわした。反撃の爆槍連撃、盾に激突して猛烈な爆裂を巻き起こす。
 鷲羽機、タロス下の大地を抜け反転している。地上から撃ってもあまりダメージは通らない。ブースト機動で宙へと跳びブリューナク・レールガンを発射。弾丸が唸りをあげて飛びタロスCの後背に直撃した。クリティカルヒット。猛烈な破壊を撒き散らす。鷲羽機はそのままブースト機動で距離を詰め。タロスCは横にスライドしながら体を回して流叶サイド、鷲羽サイドのどちらにも背後を取られぬように向き直る。ルノア機もまた宙へと跳び上がりスラスターライフルを猛射。タロスCは大楯を翳して弾幕を受け止める。鷲羽機が迫りドラゴンヘッドスマッシャーで連撃を仕掛ける。タロスは素早くスライドしてかわし、追撃を大楯を翳して受け止める。盾の表面とドリルの先端が鬩ぎ合い激しく火花を散らした。
 ハミル機、タロスの下を抜けてブースト機動で上空へと上がりつつスナイパーライフルで発砲。弾丸がタロスDの背に痛烈に直撃しその背を穿つ。弧を描いて翔けるタロスへと夕凪機が迫る。エナジーウイング突撃。タロスはヘヴィハルバードを構えその切っ先を迫り来る夕凪機へと突き込んだ。カウンター。穂先が百鬼夜行を直撃し突撃をキャンセルさせて吹き飛ばす。夕凪機、損傷率九分。
 タロスAは射撃を突き破り流叶機へと迫り斧槍で一撃を仕掛けんとする。流叶機、バーニアを激しく吹かせてスライド、旋回して間合いを外した。
 他方、地上の右面。
 相対距離五〇、FRが盾で弾丸を受けつつ肩部の四連砲をホアキン機へと向け発射、光の如き速度で砲弾が迫る。Intiは機盾を構え、超電動アクチュエータを起動し横にスライドする。電子援護とブーストも効いている。四連の砲弾の二発を回避、残り二発が命中して超爆発を巻き起こした。壮絶な衝撃力。すかさずDHがスライドして弾丸を盾で受けつつあるいは振り切り、プラズマのブレスを撃ち放つ。地平を貫く荷電粒子の光波が衝撃に態勢を崩したIntiを呑み込みその装甲を吹っ飛ばしてゆく。損傷率六分。
 ホアキン機は光を突き破って突撃すると距離四〇から機槍を鋭く繰り出す。FRは盾に角度をつけて突っ込む。穂先が盾に激突し火花を散らしながらその表面を滑ってゆく。ホアキン機は後退し、FR、撃たない。槍を構えたまま不気味にIntiへと詰めてゆく。DHがスライドして再度プラズマブレスを撃ち放ち、ホアキン機がそれをかわし、その瞬間にFRが踏み込んで、ホアキン機の右脚部の足首の付け根へと狙い澄ました爆槍の切っ先を突き込んだ。ホアキン機は着地と同時に間髪入れずに素早く右足を引く。紙一重、かわした。速いな。穂先が大地に突き刺さって爆砕し壮絶な爆炎と共に土砂が吹き上がる。ホアキン機が機槍を加速して繰り出し、FRが大楯で受け、稲葉機がブースト機動で逆サイドへ回り込み踏み込む。
『ようやっとお出ましだな大将首! 随分と待たせるじゃねェか!』
 登場タイミングに関する感想は人それぞれの模様だ。外部スピーカに言いつつブースト&ハイマニューバで落雷の如くにハイディフェンダーをその腕目がけて斬り降ろす。FRは素早く奥へスライドして回避。
「こちらinsulator、吶喊する。支援を頼む」
 リヴァル機が剣と盾を構えブースト機動でその正面へと猛然と突っ込んだ。ブーストチャージアタック。同時にホアキン機が槍を、稲葉機が剣を繰り出す。しかし、リヴァル機が剣を繰り出さんとすると同時、彗星の如くに穂先が飛んで来た。ハイディフェンダーよりFRの槍の方が長い。カウンター。爆槍がリヴァル機の胴を捉え喰い込み、グングニルがFRの胴を削り、稲葉機の護剣がその肩を強打した。リヴァル機に突きこまれた爆槍のトリガーが引かれ、その内部で四連の超爆発が巻き起こり胴部装甲を消し飛ばしてゆく。損傷率四割三分。ホアキンが中距離から流星の如くに槍を連射し、稲葉機が打ち込みを仕掛け、リヴァルは盾を構えつつ踏み込みハイディフェンダーで稲妻の如くに斬りつける。ファームライドは後背を取られぬように飛び退き、弧を描くように駆けながら槍を盾で受け、斬撃をかわし、爆槍の柄で受け流してゆく。
 雪野機グラーネは盾構えブースト機動でドラゴンヘッドへと突っ込んでゆく。アナンタ機は顎を開くと猛烈な荷電粒子波を雪野機へと撃ち放った。雪野機、ブースト、スラスター、ジャミング中和が効いている、が敵が圧倒的だ。光のプラズマ波がグラーネを呑み込みその装甲を猛烈な勢いで消し飛ばしてゆく。損傷率三割三分。プラズマ波を突き破ってドラゴンヘッドの眼前にまで入ると猛然と爆槍を繰り出す。ドラゴンヘッドはスライドして回避しざま、赤光剣で薙ぎ払う。雪野機、咄嗟に盾を掲げフィールド・コーティングを発動する。真紅の刃が壮絶な衝撃と共に入って損傷率五割四分。瞬後、鳴神機がブースト機動で踏み込んだ。疾風の如く獅子王で袈裟に撃ちこみをかける。鋭い斬撃を、しかしDHはスライドして回避。DHの右手から時任機が一度ブーストを切ってから再度ブーストを発動させて急加速、踏み込みAFを発動させDoRを落雷の如くに振り降ろす。DHは赤光剣かざして一撃を受け止め、雪野機が狙い澄まして爆槍を突きあげた。穂先がDHの装甲に激突して猛烈な爆裂を巻き起こす。さらに鳴神機がスパークワイヤーを放ちDHに絡め、電流を流しこむ。時任機もまたワイヤーを放ちそれを絡めて電流を放ちながらブースト機動で後退し引き剥がしにかかる。
「手抜きは無し‥‥全力で行きます」
 鳴神はPRMシステムを発動させ構える盾の陰から猛然と太刀の切っ先を繰り出した。彗星の如き突きがDHに激突してその装甲を抉る。DHは竜巻の如くに赤光剣を振り回して剣刃で二本のワイヤーを切断すると、鳴神機へと反撃の二連斬を放った。圧倒的な速度。二連の光が伊邪那美機の装甲を泥のように切り裂いて損傷率二割九分。
 カタリーナ機、相対距離五〇まで詰めるとペイント弾を装填した徹甲散弾でFRの移動先へと狙いをつける。轟音と共に散弾が飛んだ。FRは素早く飛び退いて回避。
 他方、タロスVSKV空中戦。
 アッシュ機、流叶機のカバーに入りタロスAの眼前に踊り出る。タロスが斧槍で斬りかかり、アッシュ機はレーザー砲と脚爪で応戦。流叶機は集束装置を発動した。御崎機、大分予定とは違うがタロスの後背へと突撃してゼロディフェンダーで三連斬を放つ。タロス機の七連撃をアッシュ機はブーストとアリスと集束の援護を受けつつ盾を翳して全段止める。損傷率六割六分。イェローランプだ。レーザー砲と爪は大楯に激突し、その間に御崎機の剣が炸裂してタロスの背中にクリティカルヒット。猛烈な破壊力を叩き込んでゆく。タロスAは再生を開始した。
 飯島機、八連爆槍撃を猛然と繰り出す。タロスBの大楯と激突し、吹き上がる猛烈な爆炎を裂いてタロスが七連斧槍撃を繰り出す。飯島機は四発をかわして三発を盾で止める。
 鷲羽機、タロスCへとドリルで攻撃を仕掛ける。タロスは大楯で受け、七連の斧槍で反撃。ルノア機、ブレス・ノウ、アグレッシブ・ファングを併発、タロスの右面にスライドして入り神速の三段突きを放つ。鷲羽機は斧槍を四発止めて三発直撃を受け損傷一割九分。ルノア機の槍が全段命中し、猛烈な破壊にタロスの身が揺らいだ所へドリルの切っ先を入れて七連撃、その装甲の大半を削り飛ばしてゆく。タロスCは再生を開始する。
 夕凪機、タロスDへとハンマーボールを横殴りに投擲する。ハミル機、ライフルをロードしつつ弾丸を発射。鎖つきの鉄球が振るわれ、一発の弾丸が飛びタロスは高速で機動して回避。夕凪機は素早く鉄球を引き戻して三連撃を仕掛ける。タロスは突撃しながら二発をかわし、一発を大楯で受けんとして鎖が盾に当たり曲がってその奥のタロスの身に直撃した。盾を相手にするには良い武器だ。強烈な一打を受けつつもタロスDは夕凪機へと迫って斧槍七連撃、全段命中。損傷率七割八分。レッドランプだ。
『天秤のヤブ医者が死んでいらい相手に飢えてンですよこっちは。付き合えよ最初の十二人!』
 火花を撒き散らす攻防戦。稲葉が言葉と共に剣を打ちこみ、ホアキンが槍を繰り出し、カタリーナが420mmの砲撃を撃ち放つ。リヴァル機、ブースト、PRMを併発、四連バーニアを噴出させて宙へと跳び上がりFRの頭上を越えてその後背へと回りこまんとする。FRは機槍を大楯でかわし、打ちこみと砲撃をスライドして回避しざま『良かろう、死ね!』とばかりに稲葉機へと槍を一閃させる。爆風を巻き起こして迫る穂先を稲葉機、読んでる。左のディフェンダーを置くようにして跳び、穂先を払ってかわす。紅蓮の爆裂が空を焼く。
『うわははははは! 言うだけはある連中のようだなッ!』
 リヴァル機がブースト機動で宙を駆け抜けてゆく、稲葉機がさがり、ホアキン機が仕掛け、カナリーナ機が砲弾を発射する。FRの西にリヴァル機、北東にホアキン機、南東に稲葉機、FRは半身に盾で穂先を受けながら砲弾をかわしつつ北東へと猛然と踏み込み雷電へと爆槍を繰り出す。ホアキン、アクチュエータ継続で盾構え回避せんと動く。切っ先が唸りをあげて迫り雷電の装甲に激突して超爆発を巻き起こした。リヴァル機が大地に降り立ち反転し、稲葉機が切り返して側面に踏み込み護剣で斬りかかる。同時にFRは横に跳んだ。稲葉機に向かって体当たりする勢いで猛然と迫る。護剣の根元がFRに直撃して強烈な衝撃を巻き起こすと同時にFRの肩が稲葉機に猛烈な勢いで激突した。双方動きが止まった。
「この機は逃さんッ!!」
 ホアキンがすかさず踏み込み極大の蒼い光の刃を出現させた。練剣雪村だ。動力部らしき箇所を狙って猛然と踏み込み一閃させる、同時「結論を聞こう。前と後ろ、どちらを護るか」リヴァルが言いつつFRの後背へと突進し後背のブースト目がけてハイディフェンダーを突きこんだ。カタリーナも三度大砲を撃ち放つ。ホアキン機の雪村が炸裂、天地を貫く破壊力、リヴァル機の護剣の切っ先もクリティカルに入り、カタリーナ機よりの砲弾が爆裂してFRの装甲を破砕する。しかし、FRは構わずに――覚悟の上だろう――衝撃に揺らぐ稲葉機へと四連砲を向け至近距離から爆裂させた。二発の砲弾が直撃して猛烈な火球が膨れ上がり稲葉機とFRを呑み込んでゆく。壮絶な爆炎の嵐の中、火焔を裂いて槍が飛び稲葉機の右脚部の膝へと突き刺さった。爆裂が巻き起こりさらに連続でトリガーを引いて五連の超爆裂が稲葉機の膝の内部で巻き起こってゆく。損傷率五割二分。Xeroの片足が爆裂と共に吹き飛んだ。
 ホアキンがさらに練剣で五連の蒼光刃の嵐を巻き起こし、リヴァル機は脚部を狙ってマルコキアスを猛射する。FRは稲葉機を吹き飛ばすと高速で横に跳んで練剣の三発と銃弾の二発をかわす。稲葉機はバーニアを噴出して姿勢を制御するとアハトをリロードしつつ発射する。ファームライドは向き直って大楯で受けた。
 雪野機が爆槍を繰り出しドラゴンヘッドはそれをかわしざま赤刃の二段を叩き込む。刃がサイファーを断裂した。損傷率十二割一分、大破。爆裂を巻き起こしながらサイファーが沈む。時任機、ワイヤーは破壊されている。バルカンで牽制射撃を叩き込み、鳴神機もまたレーザー砲を猛射して光線を当てている。DHは弾幕と光線を受けつつも雪野機を破壊すると盾を構えスライドしながら突進して弾丸を受け光線をかわし、鳴神機へと踏み込む。赤刃五連斬。鳴神は盾で受けんとする。少し相手が悪い、まともにやっては受けられない。光の刃が盾をかわして叩き込まれ損傷率十割一分、大破。カウンターの太刀も二発命中させたが、爆発を巻き起こしながら伊邪那美が沈んでゆく。
 包囲の一角を崩したFRはリヴァル機へと切り返して肉薄すると爆槍を突きこむ。リヴァル機、盾でも受けられない。穂先が電影の胴に突き刺さり、八連の超爆発を巻き起こした。損傷率十割二分。吹っ飛んだ。シュテルンが胴体から真っ二つに砕かれ大地に沈んでゆく、大破。その間にホアキンは連剣を三発を叩き込み、練力が危うくなってきたので再び機槍に切り替えて連射して当ててゆく。カタリーナ機もまたFRの後背へと三連の砲弾を直撃させ大爆発を巻き起こした。
 DH、時任機へと肉薄して七連斬、損傷率七割八分。時任、バルカンで十発、剣で二段の反撃を繰り出すも全段盾で止められる。
 アッシュ機がタロスAの斧槍四段を受け損傷率十割四分、堕ちた。御崎機の全力三段斬りが再度クリーンヒットし三割程度削っているがまだタロスは堕ちない。再生を発動させつつ御崎機へと向き直り三段突きを叩きこむ。御崎機は盾で受けて損傷六分。流叶機は飯島機へと挟撃の要請を飛ばし、飯島機はそれを容れて眼前のタロスBに背を向けタロスAへと向かう。タロスBが飯島機の背へと七連の猛撃を繰り出してクリティカルヒット、損傷率一割五分。空を翔けて飯島機がタロスAへと迫りその盾の無い面から爆槍八連撃。全段直撃。大気を揺るがす破壊力。タロスAの装甲が猛烈な勢いで吹き飛んでゆく。
 ルノア機がスラスターで弾幕を張り機槍で一撃を放ち鷲羽機がドリルを繰り出す。猛烈な破壊が装甲をふっとばしもうひと押し。一方のタロスCの反撃を鷲羽機止めて損傷三割八分。硬い。ロングボウの外見に騙されている。
 夕凪機、タロスD、より三発の斧撃を受け爆裂を巻き起こしながら堕ちてゆく。損傷率十割七分、大破。ハミル機、ブレス・ノウを発動、サイドよりライフル弾を二連射。弾丸の一発が当たるも一発が回避され、タロスが向き直ってハミル機へと迫り斧槍四連撃。損傷率七割二分。
 FRかなりの損害を受けているがまだ堕ちない。片足を失くした稲葉機へと猛然と迫り爆槍八連撃を叩き込んで葬り去る。ホアキン、機槍で猛撃を仕掛けるも大楯で止められる。カタリーナが420mmを三連射するもスライドして回避される。
 DHが時任機へと三段斬りを叩き込んで大破させホアキン機の後背へと迫り赤刃で四連の剣閃を巻き起こしてその装甲を削り飛ばす。損傷率二割四分。
 空中、飯島機と御崎がタロスAを粉砕し、鷲羽機とルノア機がタロスCを叩き落とす。ハミル機がタロスDに叩き落とされ、Dは流叶機へと向かいタロスBは飯島機へと向かって打ちあい、流叶機は迫るDより距離を取って回避。
 ホアキン機、左にFR、右にDH、挟まんとするそれらに背後を取られぬように立ち回る。が、さしものホアキンもこの二機に左右から同時連撃は厳しい。DHの赤剣を止めた直後にFRの爆槍が脚部につきこまれて爆裂八連撃、衝撃に態勢が崩れた所へDHより六連斬が叩き込まれる。損傷率八割七分。
 空中で生き残り同士が死闘を繰り広げ、地上ではホアキン機がついに大破し、弾切れになったカタリーナ機も二機から連撃を受けて大破した。
 タロスBが飯島機と御崎の猛攻によって大破し、FRとDHが空にあがり流叶機へと猛然と迫り、FRが四連砲から二発の砲弾を、DHがプラズマブレスを三連射して流叶機を爆砕して叩き落とした。鷲羽機とルノア機がタロスDを破壊して落とす。FRとDRが御崎機へと迫って爆槍と光の消えた剣を繰り出して撃墜。飯島機、鷲羽機、ルノア機と激突し鷲羽機が落ち、ルノア機が落ち、最後に飯島機が挟撃を受けて爆散した。
 FRとDHは全てを叩き落とし、しかし撤退に入った。空を破ったKV大隊がこちらへと向かって来ていたからだ。
「見立ては?」
「確かに、少し甘く見ていたかもしれんな」
 ルウェリンは言った。
「ツインブーストと迷彩がやられた。おまけにこの損傷ではこれ以上はどうにもならんわ」
 第二KV大隊は全滅したが、それと引き換えに戦果をあげていたようだった。
 獅子座の赤竜とその第一の部下は彼方へと消え、旅団は歩を北へと進めたのだった。


 了