タイトル:【極北】Fimbulvetr3マスター:望月誠司

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 12 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/03/30 07:51

●オープニング本文


 氷雪逆巻くグリーンランド、雪原を巨大な銀狼に跨った大女がキメラの群れを率いて進撃していた。
「隊前進させて威圧しUPCの進軍を牽制し、隙あらば強襲せよ、か」
 頭巾を被った大女は口元をにぃっと歪める。
「良いねぇグランフェルドの旦那は。強気な策は嫌いじゃない。おい『セカンド』ども!」
 大女は狼の上で振り返り槍を振るった。彼女の後方には同じく狼に乗った無表情の少年少女の姿があった。ハーモニウム、セカンドだ。
「お前等、座標X点にベルガと呼ばれる街がある。今は手薄だ。強敵が出てこなければお前達だけでも十分潰せる規模だ」
「‥‥そこを、襲う?」
「そうだ。ニンゲンを一人につき千人も殺せば、それぞれの『カタワレ』を殺すのは待ってやる」
「わかった‥‥殺すから殺さないで‥‥」
「行け!」
 雪原を狼に乗り武器を持った少年少女が疾走してゆく。


「偵察隊がバグアの別働隊が街へと進撃しているのを発見した。先頭は噂のハーモニウムだ。俺達はこれを迎撃しに行かねばならない。強敵だ、覚悟は良いな?」
 UPCの将校が言って兵士達が凍りついた。
「嫌です。自分は、行きたくありません」
「‥‥貴様、今、なんと言った?」
「サー! 嫌だ、と言いました!!」
「この馬鹿者がぁ! 臆病風に吹かれたかッ!!」
 将校が鬼の形相で兵士を殴りつける。兵士は吹っ飛んで雪原に転がり、しかし上官を睨みつけて言った。
「しかし中隊長ぉ!! 一撃で殺される強大な敵を前に命を張って塵屑のようになって戦って! 戦友を犠牲にしながら戦って! 市民を守って敵を撃退して、それで生き残った俺達に対する最近の彼等からの評価がなんだか知っていますか?! 死んでいった戦友達への市民達への評価がなんだか知っていますか?! 『人殺し』ですよ?! そういって俺達を極悪人のように非難するんですよ?!」
「だからどうしたぁッ!!」
「嫌だ! 俺はもう嫌だ! なんでそんな事を言う連中の為に自分の命を! 戦友の命を! 犠牲にして、屍の山を築いて、地獄を這いずりまわってまで戦わなければならんのですかッ?! それを押して懸命に戦っても強化人間を助ける為に切り捨てられて死なねばならんのですかっ?! もう嫌だッ!! 俺はもう戦いたくないッ!!!!」
「この軟弱者がっ、それでも貴様軍人かぁっ!」
 将校は兵士の胸倉をつかみあげるとその顔面をもう一度拳で打ち抜いた。鈍い音がして兵士の鼻から血が流れてゆく。
「俺達はなんだ? 俺達UPCは人類の盾だぞッ! その称号を飾りだとでも思っていたのか? 人殺しだ? だからどうした! 例えそれでも護らねばならぬものがあるから貴様は銃を取ったのではなかったのか? 盾が逃げたら非武装の市民達はどうなる? 虐殺されるぞ。言葉の意味を知ってるか。メトロポリタンを、東京を、アフリカを、忘れたのか? 盾の意味を知ってるか? 英雄の意味を知ってるか? 都合の良い飾りの言葉だとでも思っていたのか?」 
「自分は‥‥! 自分はぁ‥‥! しかし、しかし、この世の仕打ちはあんまりではありませんかッ!!」
「だから貴様は軟弱者だと言うのだっ! このっ――!」
「まぁまぁ」
 激昂している将校へと黒外套に身を包んだ若い男が声をかけた。
「そのくらいにしておいてくださいよ」
「レイヴル中尉‥‥? ‥‥‥‥『英雄』殿がこんなところに何の御用ですかな?」
「そう邪険にしないでくださいよ。俺はこの陣を守備する士官ですし、当然俺だってUPCですよ?」
 胡散臭い程に爽やかな微笑を浮かべて美青年は言う。
「貴方は我々よりあの連中に近い筈だ」
「それは誤解ですね。現に、今、俺は貴方達にとってとても有意義な提案を持って来ましたよ」
「提案?」
「はい。損な話ではなないと思うのですがね」


 バグアの進撃が確認されるより数刻前――
「その昔、といってもそれほど昔の事でもありませんが、凍火の剣聖は言いました『その手に持ち振りかざす刃が、何を斬って何を殺しているのか、それを理解していない者は戦士ではなく、その罪を知らぬ者も戦士ではない』」
 レイヴルはにこにこと微笑しながら言う。
「武力だけが刃でしょうか? 直接殺すだけが殺しでしょうか? 何かを救えと叫ぶ事で何が殺され何が犠牲にされるのか、そこも見据えておいた方が良いと思いますよ。その方が覚悟がブレない。その上で、クォリンは言いました『罪だとしても護るものの為に叩き斬るのが戦士だ』とね。雷神は言います『俺達UPCは地球側の人類の盾だ』と、極東の中佐殿ならこう言うでしょう『人は皆、己の信じる通りに生きるべきだ』とね」
 黒外套は言う。
「人には主義主張が山ほどあって価値観も違う。これを統一しようというのは現実的ではない夢物語である。俺達に求められている事は現実を変える事であって、夢物語では現実に対抗できない。ならば、統一しないで勝つ方法を立てるのが俺達に求められている事だ。ロン・バオエン将軍の言葉、俺の立ち位置はここですよ、傭兵。負けるのは御免だ」
 青年は笑みを消して述べる。
「敵方だったディアナさんを見れば解ると思いますがね、敗北は全てを殺戮して押しつぶす、大抵は死で、超絶に運が良くても『救命』というものを自分が愛した者を殺した連中から御親切に渡される、そしてそれにすがらなければ生きられない。あんた、自分がその立場だったらどうする?」
 男は言う。
「俺ぁ俺が勝つ為ならなんでもやるように、復讐の為ならなんでもやるって人の心もちょっと解ります。まず生き延びて機嫌を取って隙を探る、とね。能力者VS強化人間で勝てないなら、平和になって皆人間になってから背後から撃つ、とかね。目的がバグア軍の勝利でなく復讐なら暗殺で十分。そもそも施設があるという情報は確実なのか? 罠ではないのか? ディアナはそんな人じゃない? 強化人間達は復讐など考えない?」
 男は言った。
「ま、色んな事を考えましてね、しかし、それでも施設自体は抑えておくべきだ、と思います。技術は抑えるべきだ、とね。しかし軍には軍の都合があり彼等の都合は概ね地球人類の生存の為の都合に等しい。それらを無視してゴリ押しすれば、それなりの出方を喰らうでしょう。しかしね兄弟、そう、俺達は兄弟です。人類皆兄弟。例え最後に目指す所が違うのだとしても、とりあえず同じ方向を向いて戦う事は可能だとは思いませんか?」
 青年は整った顔に胡散臭過ぎてむしろ清々しくなるような笑みを浮かべて言った。
「それを踏まえて、依頼です。俺と手を組みませんか、傭兵。俺は戦友や地球人類を守りたいし、あんた達だってあんた達が護りたいものや地球人類を守りたい筈だ。俺に協力してくれるなら俺の甲斐性で出来る範囲までなら助力は惜しみません。仕事を一つ、やってみませんか? 何、俺と貴方達でなら簡単な仕事ですよ」

●参加者一覧

綿貫 衛司(ga0056
30歳・♂・AA
宗太郎=シルエイト(ga4261
22歳・♂・AA
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
ラウラ・ブレイク(gb1395
20歳・♀・DF
霧島 和哉(gb1893
14歳・♂・HD
八葉 白雪(gb2228
20歳・♀・AA
蒼河 拓人(gb2873
16歳・♂・JG
アレックス(gb3735
20歳・♂・HD
夢姫(gb5094
19歳・♀・PN
桂木穣治(gb5595
37歳・♂・ER
館山 西土朗(gb8573
34歳・♂・CA
御鑑 藍(gc1485
20歳・♀・PN

●リプレイ本文

「希望ってのは誰にでもあるもんだ。俺達にも、ベルガの奴らにも、セカンドの奴らにも‥‥だ。俺はそう信じてる」
 宗太郎=シルエイト(ga4261)はそう言った。
「‥‥わかってるさ、仕事はこなす。あいつらの守った街だ、簡単に潰されてたまるかよ」
 との事。
「中尉」
 アルヴァイム(ga5051)が言った。防衛優先の確約、戦闘力と自爆装置の無力化を条件に捕虜の拘留を軍へ打診して貰いたい、との事だ。その利点は助命等を名目に引き出す情報と市民感情の緩和の二点。レイヴルはその条件を了解した。アルヴァイムは仲間が罠を設置する際の資機材の調達もまたレイヴルへ打診しておく。ラウラ・ブレイク(gb1395)もワイヤーを張る予定らしくその調達を中尉と相談する。
「中尉、悪ぃけど、預かっといてくれ。結構重いんだよこれ」
 シルエイトが言って太刀を差し出した。特に作戦に使用予定は無いのなら後方で保管しておきましょうとレイヴルは答えたのだった。


「昔ある人は言いました『ああ言う人も守るのも自衛隊です』」
 綿貫 衛司(ga0056)は白い息を吐き出して雪原を歩きながら呟いた。
「不要論や罵声を受けようが石を投げられようが我らは国民の楯としてその任を全うせよ、と躾けられてきました。誰が何と喚こうと、信念と誇りを持って任務を行っていれば世間大多数は認めてくれるものですがね」
 男は足を止めると隣を歩く軍人へと視線をやって言った。
「東京を忘れたか、と問われれば否、ですよ」
「ご協力、感謝します」
 レイヴルは敬礼した。傭兵達は先に打ち合わせておいた作戦に従い、迫る敵勢を迎え撃つ為に雪原に罠を張る事にした。シルエイト、ラウラ、アレックス、御鑑は閃光手榴弾をそれぞれ任意に調節しておく。
(誰の味方にもなれなかった。自分さえ裏切った)
 ラウラは胸中で呟いた。
「私の役目は死神どもを叩き返し、地獄の出入りを拒む事。さもなくば‥‥何の為に地獄に居るか解らなくなる」
 女は呟き、杭を雪原に打ち込み、調達してきた合金製のワイヤーを取り出し広く張ってゆく。布陣の前、後方へ数列、外縁へ所々、罠を避けようと動きたくなる場所へ設置しておく。また設置の際に味方にその場所と規則性を周知しておく。
 他方、
「前回の戦い、結果には一生分の後悔がある。が、あの選択には微塵の後悔もないな」
 館山 西土朗(gb8573)はそう言った。
「子供相手がやりにくいってのは変わらねえ。殺す気で来るなら迎え撃つし救える命は救いに行く。つまりアレだ、俺は頭が悪くて単純だってことだ」
 男はそう苦笑した。館山は火計を計画しているようで、アルヴァイムがレイヴルを通して調達してきたガソリンを雪原に撒いてゆく。館山曰く「敵は獣人が多い。獣なら火は嫌い避ける筈」との事だ。
(前回、レイヴルさんを怒らせてしまった)
 夢姫(gb5094)はそう思った。
(『自由』な傭兵と、縛られた兵。境遇が違う、それを考慮しない不用意な発言)
 だが、ベルガを守りたい気持ちに偽りは無いと夢姫は言う。
「クォリンくんの分まで守るって誓ったから」
 あの日、剣の墓標の前で誓いを立てた。
(これは戦争。片方が勝てば、もう一方は負ける。守るためには、勝たないといけない。私が守りたいのは人、だから敵を助けることは考えない。敵を助けたいと思ったら戦えない)
 夢姫は思う。
(きっと、セカンドも仲間を守るために命懸けで来る。撤退はしないはず)
 セカンドの秤が仲間よりも己の方が重ければ退くだろう、だが、守るべきものの方が重ければ退きはしない。
(お互い、大切なものを守るために。だから全力で‥‥戦う)
 譲れないからぶつかる。
 戦争だ。
「――こんな状況になっちまったのも、俺達の責任だ」
 アレックス(gb3735)はそう言った。雪原の彼方を見据え、呟く。
「だが、あの街に手を出そうってんなら、相手が何であれ叩き潰す」
 青年は白い息を吐きつつ呟くと迎撃の準備を進めてゆく。
「ベルガは‥‥大変だね‥‥」
 御鑑 藍(gc1485)がそんな様子を見ながらそう、ぽつりと言った。
(助ける助けない‥‥は置いておいて。今回は全力で排除、撃退へ集中)
 それが方針。いずれにせよ余裕はありそうになかった。
「一人殺せば殺人者だが何百万人殺せば征服者になれる。全滅させれば神だ‥‥か」
 蒼河 拓人(gb2873)が言った。
「まあ、そんな役柄に興味はないよ。自分は自分として‥‥すべき事があるなら全力をだすだけだ」
 今、やるべき事。それは防衛の為の敵の殲滅と可能な限りの情報の収集、軍との関係緩和だと蒼河は考える。
「失った信頼はすぐに戻せねえし行動で見せ続けるしかないよな」
 桂木穣治(gb5595)はそう言った。命がけの覚悟でできることを全力で。出し惜しみはなしだ。
 壮年の男は胸中で呟き、自らに気合いを入れる。
「所詮どんな理由があったって人殺しは人殺し。外道は外道よね。まあ‥‥今更普通に戻りたいとも思わないけど」
 八葉 白雪(gb2228)は幼い頃から続く命の奪い合いを思い出しつつ、そうぼうっと呟いた。
 やる事も、やれる事も。
 やりたい事も、求める結果も。
 何一つ変わってはいない。
 霧島 和哉(gb1893)はそう思った。
「‥‥今日もまた、いつも通り‥‥と」
 少年は、調子はずれな鼻唄混じりに呟く。
 今までも、これからも。今この瞬間も。上手く行ったときにより楽しいんじゃないかと思える方を目指して。
「――行きましょう」
 レイヴルが北を見やって言った。
 雪原の彼方よりキメラの群れが迫って来ていた。


「では、前回の挽回も含めてドンと武功を立てに行くか」
 館山が言った。
 三百を超えるキメラ達は横列で接近してきた。整然とした隊列ではないが、密度は平均すれば左右の間隔が3m程度。十mの幅に三匹程度、それが三段だったり四段だったりで十m四方内に十匹程度だ。三百m程度の幅で傭兵達を目がけて猛然と押し寄せてきていた。
「すごい大群だな‥‥だが負けちゃいられねえ」
 桂木が言った。綿貫と蒼河は双眼鏡で敵の動きを観察し、蒼河は罠の設置位置を示していた。両翼に重ねてガソリンが撒かれてゆく。
 キメラの群れの先頭に立つ大狼に乗った少年少女の集団は、傭兵隊の射程に入るよりもかなり手前の段階で、その機動力に物を言わせて加速し東の方向へと大きく逸れた。傭兵隊自体を避けるような軌道だ。
 綿貫と蒼河が警告の声を発する。
 館山は探査の眼を発動、動向を把握すべく声を飛ばす。
 アルヴァイムはセカンドの動向を注視し敵の戦術を読まんとした。
(キメラを正面から足止めにぶつけ、その隙にセカンドが迂回して街へ攻撃、若しくは側面、後背からの突撃)
 そんな所か。両方ありえそうだが現段階の動きだけでは敵の意図がどちらなのかまでは解らない。今回はUPC等の他部隊の支援はない。知恵のある強化人間達は自由にフィールドを使って来る。
 傭兵達はキメラを包囲する為に凹陣形に展開せんとしていた。東西の方向に、左翼班、中央班、右翼班、それぞれ一〇〇m程度の間隔で距離が離れている。
 とりあえず最悪を考える。
――抜かせる訳にはいかない。
 左翼のアレックスは竜の翼を発動させ東へ加速。雪原仕様のタイヤで雪原を駆け抜けてゆく。閃光手榴弾のピンを抜いてキメラの群れへと向かって投擲しておく。中央班の夢姫もまた迅雷で加速して東へと向かう。
 他に中央の綿貫、右翼のラウラ、左翼の桂木も東へと駆けた。騎兵による突破を警戒している者は多いようだ。五名が向かった。
 桂木は駆けながらアレックス、シルエイト、御鑑、桂木自身へと練成強化を発動させた、それぞれの武器へと光が灯ってゆく。館山もまた霧島、蒼河、自身へと強化を発動させた。
 左翼に残っているのはシルエイト、御鑑の二名。
 中央は霧島、蒼河、館山、レイヴルの四名。
 右翼はアルヴァイム、真白の二名。
 傭兵達、キメラ、セカンド達が動き位置が変化してゆく。
 館山、火計の発動は両翼のメンバーに頼んである。軍から借り受けた着火ライターで右翼はアルヴァイムが火を放ち、左翼は御鑑が火を放った。導火線を紅蓮の焔が走り、撒かれたガソリンに引火し雪原上に燃え広がってゆく。キメラ達が踏み込み、豚人は炎を踏み越えてそのまま進み、狼人の足の毛から焔が燃え上がって全身を瞬く間に呑みこんだ。FFが展開され焔を纏った数十の狼人達が怒りの咆哮を上げて突進して来る。
 キメラ達の先頭がワイヤー地帯に差し掛かり次々に足を取られてバランスを崩した。だが十数がひっかかった所でキメラの強烈な膂力により幾つかのワイヤーは切れ飛び、用を成さなくなる。しかし、幾重にも張っている。一つが破れても次がある。その間に前が詰まりキメラの群れの前進が停滞してゆく。
 不意にキメラの群れの中央で閃光と爆音が巻き起こった。先にアレックスが投擲した閃光手榴弾が炸裂したのだ。シルエイトは敵右翼の端へと閃光手榴弾を投擲し、御鑑もまた少し中央の側へとづらして閃光手榴弾を投擲した。
 セカンド達は方向を転換して横合いから傭兵達へと突っ込まんとしラウラが迎え撃つように閃光手榴弾をセカンドへと投擲、夢姫、綿貫へと練成強化を発動した。
 キメラ達の一部が混乱し、セカンド達の前でも閃光と爆音が炸裂した。セカンド達は腕で眼をかばってガードし、狼達の目が眩む。
 正面、中央、蒼河、練力を全開に制圧射撃を発動、SMGをフルオートに二百発の弾丸で五〇m程度の広範囲を薙ぎ払う。キメラ達の脚部から血飛沫が次々に吹き上がり転倒してゆく。陰になって被害を受けなかったキメラ達が前を踏み越え、あるいは隙間を抜けて前進せんとし、蒼河はSMGをリロードすると再度薙ぎ払った。またもキメラ達が次々に転倒してゆく。
 右翼、火を放った後のアルヴァイム、端から中央へと圧力をかけるべく外側から攻撃。篭手型の超機械を翳して五連射。敵最左翼の三匹の豚鬼と二匹の焔に包まれた狼人が電磁嵐に飲み込まれふっ飛ばされてゆく。五体撃破。左翼のシエルエイトもまた外側から内へ向かってシエルクラインで猛射して一体を爆砕する。
「あちしはベルガ十八英雄の中でも最も小物のあちし!」
 右翼、真白、ぼそっとそんな事を呟き駆けてゆく。言ってみたかったらしい。迅雷を発動、光を纏って加速し、敵キメラの戦列へと猛然と突っ込む。練力を全開に太刀を雪原へと振り下ろす。
「八葉流白の型‥‥鬼餐」
 瞬間、積雪が爆砕され、そこからさらに不可視の衝撃波が十字に走った。巻き起こった爆圧に五百平方メートルの範囲より雪の柱が天へと向かって十字の形に吹き上がり、三十体のキメラが衝撃波に呑まれて次々にひしゃげ、鮮血や肉片を撒き散らしながら吹き飛んでゆく。戦列の一角を消し飛ばしさらに迅雷で西へと加速するとそこでも同様に十字に走る壮絶な衝撃波を撒き散らした。自身を中心にあらゆる全てを爆砕してゆく。白と赤が混ざり天へと吹き上がって、また大地へと降り注いでゆく。女は迅雷で後退しながら骸骨の指輪と白金の指輪を入れ替えガトリング砲を取り出す。
 同様に左翼のシルエイト、銃を捨てるとランスを取り出し瞬天速で突撃した。豪波斬撃と十字撃を発動させてランスを雪原に叩きつける。十字型の衝撃波が積雪を吹き上げて真白い雪の柱を天へと吹き上げながら走り、呑まれた三十体あまりのキメラ達が爆砕されて鮮血を撒き散らしながら吹き飛ばされてゆく。シルエイトもまた即座に瞬天速を発動させて後退する。
 左翼、火を放った後の御鑑は強化された雷光鞭を翳すと四体のキメラへと向けてそれぞれ電磁波を飛ばした。光が四条走り次々に直撃して四体のキメラが倒れてゆく。
 館山はエネルギーガンで射撃し光線が一条、キメラへと突き刺さる。レイヴルは篭手を翳すと電磁波で六体を吹き飛ばした。
 他方、
 迅雷で東へと加速した夢姫は眼が眩んでいる大狼へとドローム製SMGを向け猛射、七十五発の弾幕を解き放った。
「手前ェらにどんな理由があるかは知らねェッ!」
 竜の翼で急行したアレックスもガトリングガンを向けている。
「俺達は一人一人が街の人間一万人以上の価値があるぜ! やってみやがれ!」
 猛火の赤龍を発動、大狼の頭部を狙って壮絶な破壊力を秘めた二百四十発の弾丸の嵐を解き放つ。
 綿貫もまたターミネーターSMGの射程にセカンド達を捉えると大狼を狙って猛射した。八十発の弾丸が嵐の如くに飛んでゆく。
 夢姫、アレックス、綿貫から解き放たれた弾丸が大狼達の身に次々に突き刺さり、その頭部がぶち抜かれ、狼達は次々に血飛沫をあげて転倒してゆく。凄まじい弾幕射撃、猛攻だ。
 セカンド達は血を噴いて倒れゆく乗騎の背を蹴って跳躍すると弾丸の雨を飛び越え、それぞれ武器を構えて雪原に着地した。そのまま動きを淀める事なく疾風の如くに突っ込んで来る。
 ラウラはエネルギーガンを構えると迎え撃つよう光線を一射した。制服に身を包み戦斧を持った少年は突進しながら斜めに踏み込み、しかし鋭く奔った光が少年の脇腹に突き刺さって灼いた。が、倒れない。制服姿の少女が雪を蹴って加速しラウラへと肉薄すると槍を一閃させた。ラウラは素早く盾を翳し、激しく火花が散った。少女は流星の如く三連撃を繰り出し、斧持ちの少年もラウラの側面へと疾風の如くに回り込むと四連の猛攻を繰り出した。ラウラは槍の三発を盾で止めたが斧が四回直撃し槍にも一回突き刺された。負傷率七割二分。練成治療を自身へと三連打して傷を癒してゆく。
 夢姫へも刀を持った少年と槍を持ちの少女が猛然と襲いかかり、二人で左右からX字に入って八連撃を繰り出している。夢姫は機敏に動いて六発をかわして刀の斬撃を脇腹に受け、肩部に槍の振り降ろしを受けた。血飛沫が雪原に舞ってゆく。負傷率一割八分。
 アレックスへも少年少女が斧槍を振りかざして襲いかかる。アレックスは六発を巧みに受け流したが、全ては捌けず脚部と胴部に斧刃が直撃した。負傷率一割五分。
 綿貫、視界の左右から少年少女が槍を振りかざして襲いかかって来る。幼さを残した顔に在る瞳は殺意に満ちている。肉食獣の眼だ。獲物を殺して喰らわねば明日を生き延びられないと知っている。
 綿貫、若年層の戦争参加には消極的だが本人の自由意思と覚悟次第とも思っている。しかし『戦争の事しか頭にない』状態の若年兵を送り出して来る敵に対して憤りが胸に湧き上がった。
 少年少女が雄叫びをあげて竜巻の如くに八連の刃嵐を巻き起こす。 綿貫、挟まれぬように機動しながら盾のある側の少年よりの四発を止める。しかし少女が風の如く回り込んで綺麗に四段、綿貫の身へと刃を突き刺してゆく。負傷率四割一分。
「‥‥子供か!」
 桂木、青い瞳の陽気な男は、しかし表情をかすかに歪めた。だが依頼の成功のためには相手が誰であろうとやるしかない。学生服姿の少年少女が左右から稲妻の如く突っ込んで来る。桂木は前後を挟まれぬように駆けつつ、少女より喉元目がけて伸びて来た薙ぎ払いを上体を反らしてかわす。間髪入れずに少年が脚部を狙って穂先を突き出してくる。桂木は素早く本で打ち払ってかわす。が、次の瞬間少女よりの槍が雷光の如くに伸び脇腹に突き刺さった。よろけた桂木へと少年が槍を叩きつけ凶悪な衝撃を巻き起こす。さらに四連の刃嵐が巻き起こり次々に男の装甲を削り飛ばし身を切り裂いてゆく。負傷率七割一分。桂木は自身へと練成治療を二連打しつつSMGを向けて猛射。弾丸の嵐に少年は素早く反応、横っ跳びにとんで回避する。その回避先、雪原へと着地した瞬間を狙って桂木は機械本「ダンタリオン」を翳した。二連の電磁嵐が少年の身を包みこみ、破壊を巻き起こしてゆく。
 キメラ方面、左翼、シルエイト。槍で狼人の一匹を薙ぎ払い、パワーに物を言わせて吹っ飛ばして後続へとぶち当ててゆく。その横手より豚鬼が斧を振りかざして飛びかかった。御鑑はすかさず雷光鞭を振るって光波を飛ばし、豚鬼を電磁嵐で灼いて打ち倒す。
 シルエイトは御鑑の援護射撃を受けながら迫り来るキメラを次々に薙ぎ倒してゆく。御鑑は迅雷で機動しながらシルエイトの横手や背後から飛びかかるキメラを打ち倒してゆく。瞬く間に二人で十体を撃破した。
 だがキメラはそれでも五十四体いる。やがて三十二匹のキメラの群れがシルエイトを四重に取り囲んだ。全員が攻撃出来る訳ではない。うち八匹が太刀で男を突き、斧を振り下ろした。一匹三連、総計二十四回攻撃。シルエイトは正面からの攻撃を槍を翳して受け止めたが、背後や側面から連打を浴びた。袋叩きだ。負傷率一割九分。二十二匹あまりが御鑑へと突撃したが、少女は迅雷で距離を取って振り回し、囲ませないように機動してゆく。
 中央、蒼河。
「後退だ。敵群に呑まれたら終わりだぞ」
 男は彼我の実力を考える、キメラの群れだけだなら機動力はこちらの方が上だ。退き撃ち出来る。数の差は圧倒的だ。一瞬で呑みこまれる。
 蒼河は迫る最前列は仲間に任せ、その後方、先に転倒させ今立ち上がろうとしている五十体あまりのキメラ達へとSMGで制圧射撃を叩きこむ。再度転倒させ進ませない。
 館山は先頭のキメラへと光線を連射し一体を倒し、霧島は殿に残ると飛びかかって来るキメラを大盾で受け竜の咆哮で吹き飛ばしながら後退してゆく。キメラが吹き飛び、二、三匹あまりを巻き込んで転倒してゆく。十八体あまりが吹き飛ばされた。
 レイヴルが霧島へと突撃をかけるキメラのうち六体を電磁嵐で撃破したが、しかし迫り来る二十六体のキメラの群れに霧島も呑まれた。取り囲んだうち八体が霧島を太刀や斧で滅多打ちにしてゆく。霧島は盾や篭手で受け、受け切れない箇所も竜の鱗を発動させて防御を固め、全撃を弾き飛ばした。無傷。
 キメラの八体がレイヴルへ、さらに八体が館山へと向かった。館山は先頭の一撃を盾で受けつつ後退し、エネガンで反撃するが一射では倒せず、取り囲まれて次々に太刀と斧を叩きつけられ、あるいは突きこまれる。三発を盾で弾いたが二十一発の直撃を喰らった。負傷率五割一分。流れる血が雪原を赤く染めてゆく。レイヴルはキメラを引きつけつつ迅雷で距離を取って白兵攻撃を封じている。
 右翼、トラップ地帯を乗り越え迫る三十五体のキメラが迫る。アルヴァイム、後退しつつ制圧射撃を発動、バラキエル拳銃で五連射、リロードしてさらに五連射リロード、十体の前進を鈍らせる。しかしフリーの二十五体が猛然と突撃して来る。
 真白がガトリング砲で弾幕を張り三体を蜂の巣にして屠り、声を発してリロードしつつ迅雷を発動、アルヴァイムが魂の共有を発動、女は加速して距離を取ってキメラの突撃をかわしつつ再度弾幕を張り二体を撃ち殺す。八体あまりがそれでも向かい、追いつかれそうなればさらに迅雷で加速して距離を離した。
 アルヴァイム、十三体のキメラに呑まれた。八体あまりより袋叩きを受け、正面をガードしつつも負傷率二割六分。
 VS強化人間。
 綿貫は先手必勝、豪力発現を発動した。SMGを捨てる少女の振り下ろしの槍撃を盾で斜めに受け流しつつ踏み込む。手を伸ばして少女の腕を取ると、次の瞬間、綿貫の身が捻られ、少女の身が縦に回転した。投げた。少女の身が少年へと向かってゆき、綿貫はマチェットを抜刀様、練力を全開に空間に剣閃を連続して巻き起こした。二連の音速波が宙の少女を追いかけるように飛ぶ。少年は突撃すると少女を槍の柄で弾き飛ばし、続く音速波もかわさんとしたが、それはかわしきれずに二連打を受けた。音速波を突き破って猛然と肉薄し五連撃を繰り出す。綿貫は大盾で全撃を止め、弾かれた少女は錐揉みながら雪原に着地し、槍を構えて綿貫へと突撃し三連斬を巻き起こす。綿貫は後退しながらマチェットと盾を使って三発を止める。負傷率六割二分。
 ラウラ、盾を構えて少年の五連の猛攻を止める。だが横手からの少女の五連の槍をかわせず突き刺された。負傷率九割。女は練成治療を自身へと五連打して自身を全回復させてゆく。
 アレックス、少女よりの斧槍の連打を受けつつも、ガトリングガンをリロードしつつ少年へと猛射。壮絶な二百十発もの弾丸の嵐が次々に少年へと叩き込まれ、死の舞いを舞わせて一瞬でぶっ飛ばした。撃破。アレックスの負傷率は三割一分。
 夢姫、刀少年が猛然と薙ぎ払いを繰り出し、夢姫は跳躍してそれを回避、すかざす槍少女が槍を振り下ろした。しかし夢姫は何もない空にSMGを突き刺すとそれを始点に方向を切り替えて跳んだ。槍が空を切り、少女の後背へと夢姫が回転しながら降り立つ。少女が振り向き、夢姫もまた振り向きざまに抜刀してベルセルクを振り抜いた。高速で放たれた剣が狙いたがわず少女の延髄に命中し、そのまま肉を断って骨を砕いた。必殺の一撃。白眼を剥いて少女が倒れる。
 少年が四連撃を繰り出し、夢姫は一撃を受けるも三発かわし反撃の四連斬を放ち三発を命中させる。負傷二割九分。
 桂木、少年少女の十連撃のうち五発を止め、五発に直撃を受けつつも自身へ練成治療を五連打して倒れるのを凌ぐ。負傷率三割三分。
 五十四体のキメラと格闘している左翼、シルエイトはタコ殴りにされながらも十体を槍で吹っ飛ばしてうち五体を撃破。負傷率四割三分。
 御鑑は迅雷を連発しながら自身へと迫るキメラの達を振り回しつつ円閃を発動、翠閃で剣閃を巻き起こし、交差ざまに二体を斬り倒す。
 蒼河は正面の五十体へとひたすらに制圧射撃を繰り出して後続のキメラの群れを押しとどめようとしている。
 霧島は袋叩きを受けながらも竜の鱗で太刀と斧を弾き飛ばしながら、咆哮を叩きつけキメラを次々に吹き飛ばしている。
 館山は包囲攻撃を受けながらも自身へと練成治療を三連打し耐えている。負傷率四割三分。
 レイヴルは六体を光剣で切り捨て二体からの攻撃をかわした。
 真白、迅雷を使う練力は既に残っていない。突っ込んで来る八体をリロードしつつ多身砲で迎え撃って五体を撃ち殺し、三体からの突撃攻撃を回避。
 アルヴァイムは包囲攻撃を受けながらも超機械で反撃して六体を撃破。負傷率五割八分。
 綿貫、少年少女の血濡れた槍が襲いかかる。正面を大盾で止めるもサイドからの五発が次々に直撃し、負傷率十一割四分、鮮血をぶちまけながら雪原に倒れた。
 ラウラ、二人より猛攻を受けているが治療を五連打して耐えている。
 アレックス、少女へと弾幕を這って蜂の巣にし、やはり一瞬で撃ち倒した。
 夢姫と太刀持つ少年が雪を巻き上げながら立ち回り高速で斬り合っている。夢姫の五連斬が二度空を斬り、三度少年の身を掻っ捌く。それと交錯するように放たれる少年の剣閃を夢姫は袈裟に斬られて血飛沫を舞わせるも、続く四連斬を紙一重で次々に回避する。
 桂木は猛攻を受けつつも治療を五連打して負傷三割三分。
 四十七体のキメラを相手取る左翼。
 シルエイトが五体を撃破し、袋叩きで負傷率六割六分。御鑑は三体を撃破したが、練力が尽きて迅雷の光が消える。キメラの群れが迫り、呑まれた。
 取り囲まれて包囲攻撃に斬り刻まれて血飛沫が舞ってゆく。負傷率三割二分。
 八十七体のキメラと戦う中央。
 蒼河は制圧射撃で正面の五十体を押し止め続ける。
 霧島は竜の鱗で咆哮で吹き飛ばしまくっている。館山は盾で正面を耐えつつ自身へと練成治療を三連打し、負傷率八割七分。回復量より敵の火力の方が高い。
 レイヴルは光剣で二体を斬り伏せ突撃し、館山を囲んでいるキメラのうち四体を斬り捨てた。
 右翼。真白が砲で三体撃破し装填しつつ前進。
 アルヴァイムは電磁嵐を巻き起こし六体を撃破するも袋叩きを受け続けて負傷率九割一分。
 他方、綿貫を沈めた少年少女は桂木へと向かって突撃せんとし、アレックスがガトリングガンを向けて少年を蜂の巣にして撃ち倒した。
 夢姫VS太刀少年、三回切り裂き二回刺された。負傷率五割七分。
 ラウラは全力治療で二人からの猛攻をひたすらに堪え、桂木、二人の攻撃を捌いている所へさらに槍を持った少女が突撃した。背面より猛撃を受けて態勢を崩し次々に直撃を受けてゆく。五回受けるも十回直撃、自身へと練成治療を五連打するも負傷率十割五分、雪原に生まれた血溜まりに沈んだ。
 三十九体、左翼、シルエイト五体撃破、負傷率九割三分。目の前が霞む。御鑑もまた袋叩きにされながらも二体斬り倒す。負傷率六割二分。
 蒼河は正面を抑えつつ打開策を探すが自身は動けそうもない。
 囲まれている霧島は竜の鱗を発動しつつ咆哮三発、練力が尽きた。十字光線剣で烈閃を巻き起こして三体を斬り捨てる。
 館山は後退しながら盾で受けつつ自身へ練成治療を三連打。レイヴルが間に入って四体を斬り伏せ、霧島を取り囲んでいるキメラへ電磁嵐二発を叩きこんで沈める。残り七十二体。
 右翼、真白は刀と超機械を抜き放つとアルヴァイムを囲んでいる十体のキメラのうち二匹を斬り捨てる。その間に男は一体を吹き飛ばすも、包囲攻撃を受けてついに昏倒する、真白は雪原へと崩れ落ちてゆくアルヴァイムへと練成治療を三連打、これで治療の練力も尽きたが、アルヴァイムが意識を取り戻し、電磁嵐を巻き起こし五体を撃破。負傷率五割二分。
 桂木を沈めた少年少女の三人はラウラへと猛然と突撃し、アレックスが横撃を加えて少女を蜂の巣にして沈める。
 夢姫は少年の太刀を掻い潜ると反撃にベルセルクを一閃させ逆袈裟に身を斬り裂いて少年を雪原に沈めた。
 強化人間四人はラウラを取り囲み滅多刺しにした。ラウラは治療を全開に耐えんとしたが、負傷率十二割二分、鮮血を撒き散らしながら血河に沈んだ。
 左翼、シルエイト、一体吹き飛ばすも次の瞬間殴り倒されてついに沈んだ。御鑑は三体撃破し負傷九割四分。
 十六体が御鑑を包囲し、十三体が中央へと流れてゆく。
 蒼河、練力の残りが三〇、そろそろ尽きる。霧島は袋叩きを受けつつ、十字光線剣で烈閃を巻き起こして六体を斬り伏せる。負傷率二割。
 レイヴルは電磁嵐で六体撃破。館山は霧島へ練成治癒を二連打し蒼河へと練成強化を飛ばした。
 アルヴァイムと真白は二体のキメラを撃破し中央へと向かって駆ける。
 アレックス、四人の強化人間が突撃して来る。戦斧少年を迎撃に蜂の巣にして撃破。
 槍少年へと夢姫が向かい激しく斬り合う。夢姫は四回斬って槍に二回刺され負傷率七割六分。
 槍少女二人がアレックスに肉薄して十連斬、アレックスは五発を止めて五発直撃され負傷五割五分。
 左翼、御鑑が二体を斬り伏せたが、その間に滅多打ちにされて負傷十割四分、血の海に沈んだ。
 十四体が中央へと突撃してゆく。
「もう練力が無いぞ」
 蒼河、制圧射撃連射で五十体を止める。
 霧島を囲む十体のうち霧島が光線剣で五体を斬り倒し、レイヴルが電磁嵐で五体を撃破した。
 西から十三体が突撃して来る。右翼から駆けて来たアルヴァイムが電磁嵐で六体を沈め真白がガトリング砲で五体を撃ち殺した。館山が光線を連射して一体を沈め、霧島が光線剣で一体を斬り倒した。館山とレイヴルはアルヴァイムに治療をかけて回復させる。
 アレックス、滅多打ちにされつつも踏みとどまり負傷率七割。一人へと銃口を向け、猛射して撃ち殺す。
 夢姫は槍少年を四回斬って二回斬られて、負傷率九割五分。
 御鑑を沈めた十四体が中央へと突撃し、霧島、真白、レイヴルが撃破した。
 アルヴァイムは魂の共有を発動、その援護を受けて蒼河が制圧射撃を二連射して五十体を止める。
 館山はキメラへと閃光を連射してゆき三体を撃ち殺し、アルヴァイムもまた電磁嵐で六体撃破。
 アレックスが少女を撃ち殺し、夢姫は槍少年と斬り合って三回当てて四回かわして一回斬られた。負傷十割四分、夢姫が倒れる。
 蒼河がアラスカで六体撃破、アルヴァイムとレイヴルが超機械で十二体撃破、真白がガトリング砲で五体撃破し、迫り来るキメラの群れへと霧島が突撃して六体を斬り伏せた。
 霧島、レイヴル、蒼河がキメラの突撃を受けた。夢姫を斬り倒した槍少年がアレックスへと突撃し、竜騎兵は弾幕で迎撃、少年が弾丸の嵐に吹き飛ばされて転がった。撃破。
 中央、館山、レイヴルが治療を連打し、蒼河がアラスカで五体を撃破し、アルヴァイムが六体、真白が五体、霧島が五体を斬り伏せて全滅させた。
 レイヴルが迅雷で東へ、館山が西へと向かい、途中強化人間達が大爆発を巻き起こしてレイヴルや倒れているメンバーを吹き飛ばした。
 館山は桂木を治療するとラウラと昏倒したレイヴルへも二人で治療をかけ、綿貫、夢姫、シルエイト、御鑑を蘇生した。
「この子達も守られる側だったろうに‥‥」
 意識を取り戻したラウラは赤い残骸を見て呟いた。
「強くなったら守れると思ってたのに‥‥な。見殺しにしたあのときと何も変わってねえ」
 桂木が凍てついた空を仰いで呟いた。
――バグアとの戦いなのに人間同士が殺し合う。地獄には救いがない。
 ラウラはそう思ったのだった。
「彼等がそれだけで当然護られる権利があるならば、貴方達にだってそれだけで当然護られる権利が有ると俺は思います。あまり思い詰めんでください」
 レイヴルはそう言い残すと陣へと向かった。


 かくて傭兵達の働きによって街は防衛され、その功績を以ってレイヴルは准将や旅団幹部へと働きかけた。曰く、強化人間に関する技術は有用である、との論調だ。それにより雷神旅団は「強化人間の為ではなく、戦争に有利になる技術が手に入るかもしれないから」という事で施設確保に対して「反対はしない」という立場となったのだった。
 極北の大地での戦が続いてゆく。



 了