タイトル:瀬戸内艦隊強襲戦マスター:望月誠司

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 12 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/02/04 11:48

●オープニング本文


 それはバグアのビッグフィッシュを改造して作られたバトルキャリアー級空母(以下BC)が出撃した事から始まった。
 BC二隻を中心に四隻の駆逐艦を含め六隻で編成された航空艦隊は瀬戸内海を渡り北九州へと攻撃をかけんとしているようだった。どうやら春日に攻撃を受けている九州戦線を援護しようとする腹らしい。
 しかし、
「俺達の眼前を突っ切ってゆけるとでも思ったのか? 舐められたものだ」
 当然の事ながら四国のUPCも黙って見ているつもりはなかった。すぐさまKVからなる航空部隊を編成しこの航空戦隊を豪沈させんと出撃命令を降した。
 四国の基地から出撃したKV戦隊が瀬戸内海を進むバグア軍の航空戦隊に迫った時、二隻の空母よりHWが次々に飛び出し四隻の駆逐艦は空へとその砲を向けた。
 UPC軍とバグア軍は激しく戦い、バグア軍の空母一隻とその護衛である駆逐艦四隻が轟沈したが、KV戦隊もまたその全機が大破ないし撤退に追い込まれてしまった。しかも敵のHW集団はまだまだその大半が無事であった。
『なんたる事だ、本隊は壊滅だ』
 至急集められた為、本隊出発には間に合わず、増援という形で瀬戸内海へと向かっていた傭兵隊の元に後方を飛ぶ早期警戒機より無線が入った。
『―― 四国基地からの指令だ。被害は甚大だが、それは敵も同様である、このまま強襲を仕掛け、瀬戸内を彼奴等の墓場とせよ、だと。遠慮なくトドメをいただきにいこうぜ――俺達が負けると不味いとかは考えるな。美味しい所を貰いにいく、くらいの軽い気持ちでいっとこう。勝てば俺達がヒーローだ』
 かくて遅れて来た傭兵隊は未だ強力な戦力を保有するバグア艦隊へと強襲を仕掛けるのであった。

●参加者一覧

終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
小鳥遊神楽(ga3319
22歳・♀・JG
瑞浪 時雨(ga5130
21歳・♀・HD
カーラ・ルデリア(ga7022
20歳・♀・PN
飯島 修司(ga7951
36歳・♂・PN
エリアノーラ・カーゾン(ga9802
21歳・♀・GD
鹿島 綾(gb4549
22歳・♀・AA
禍神 滅(gb9271
17歳・♂・GD
アンナ・キンダーハイム(gc1170
22歳・♀・SF
ロシャーデ・ルーク(gc1391
22歳・♀・GP
秋月 愁矢(gc1971
20歳・♂・GD
リック・オルコット(gc4548
20歳・♂・HD

●リプレイ本文

(美味しい所か‥‥危険と隣り合わせだけどな)
 AWACSの言葉に秋月 愁矢(gc1971)はそんな事を思う。まぁあちらも解ってて言っているのだろう。秋月としてもそれは解っている所で、しかし呟かねばやってられないくらいには危険が多そうな任務ではあった。だが、それだけに、
「敵を九州へとやらせるわけにはいかないな」
「ええ、空母を通すわけには参りますまい」
 飯島 修司(ga7951)が秋月の言葉に頷いて言った。
「九州方面にこれ以上の増援を送る訳にはいかないわね。どれくらい力になれるか判らないけれど、全力を尽くすわ」
 と小鳥遊神楽(ga3319)もまた同意する。
「海峡突破なんて笑わせる‥‥」
 瑞浪 時雨(ga5130)が静かに呟いた。
「にゃはっ。舐められたもんやね〜。まっ、その分の代償は払ってもらおうかにゃ?」
 と言うのはカーラ・ルデリア(ga7022)だ。
 ロシャーデ・ルーク(gc1391)は早期警戒管制機に、敵の情報について確認した。機種、数、装備、挙動等である。AWACS曰く、残存の敵は新型HW十二機に巨大空母バトルキャリアーが一艦で三機一組で連携して集中攻撃を仕掛けて来るとの事。アンナ・キンダーハイム(gc1170)もまた状況を尋ねて推察を巡らせる。
「うーん、新型の実力って、どれぐらいかな」
 禍神 滅(gb9271)が問うと単発ながらこれまでにない非常に痛烈な一撃を放って来るとの事。しかも三機で集中してくる故に初撃を貰って態勢を崩した所へ全弾喰らうと被害が恐ろしい事になるそうだ。
「あー、新型HWが3機1組で仕掛けてくるとか、生門攻略戦思い出すわねー」
 エリアノーラ・カーゾン(ga9802)が言った。
「あの時も下手すりゃ落とされてたんだけど、今回もキツそうだわ、こりゃ。」
「この戦術、確かに中国でも使ってきたHW隊が居ましたな。であれば‥‥今回も囮で釣る作戦は通用しますかね」
 と飯島 修司(ga7951)。
「うーん、多分、通じるんじゃないかしら」
 傭兵達は海上を飛びつつ相談し手早く作戦を打ち立てる。
「敵と味方の数は同数か。腕が試されるな、これは」
 鹿島 綾(gb4549)がそんな事を言った。
「アンラッキーヒットだけは貰いたくないものね」
 エリアノーラは思う。
(囮なんだから、攻撃は最小限で回避と防御を最優先よね)
 どうやら今回も前面を張るらしい。回避優先でゆくようだ。
(どっかの鬼神っぽい悪魔が生門攻略戦でやったみたく接近しつつ3機中1機吹っ飛ばすとか無理だし)
 あの辺りになるともうその辺の動き方は参考にしない方が良い。手持ちの札を強化するのが戦略で上手く使うのが戦術だ。優れた戦術というのは手持ちの札と相談して最も有効になるように動く事であって前提が違う場合は真似をしても上手くはゆかない。ここはまずは守りを選ぶのがパイロットとして正解だ。
「ま、油断も慢心も大敵ってことで、適度に緊張してきましょ」
 とエリアノーラ。
 傭兵達が瀬戸内へと向かって飛んでゆく。
「さて‥‥第二次攻撃隊到着ね。セイロン沖海戦の再現といきたいところだけれど」
 作戦領域が近づいた時、ロシャーデが言った。
「『危険を冒すものが勝利する』とは言うがね」
 リック・オルコット(gc4548)は思う。
(多少の危険は承知さね。最終的に生きて帰れれば良いんだ)
 しかし、だからと言ってロシャーデが――コゼットが傷付くのはリックとしては嫌なのだが。
「ロシャーデ、無理はするなよ?」
「ええ‥‥信頼しているわ、オルコット君。あなたの警告を」
 ロシャーデは敵編隊との激突時、前に出て自ら囮役となり、敵の一翼を引き付ける予定だ。
 乗機の単純なスペックで言えば、その役割をこなすにはかなり無茶がある。性能だけで言えば、彼女よりももっと適任はいそうなものだが――急場の編成だったせいか? 止むをえなかったのか自ら進んでいったのかは外からは解らぬ所だが、とかく、リック・オルコットが心配になる気持ちも解ろうというものだ。
「大丈夫、無策ではないわ」
 静かにロシャーデは言った。あくまで冷静、肝が据わっている。敵は集中攻撃してくる、まともに突っ込めば三秒で落ちる相手に良い度胸だ。だが単なる特攻でもない。勝算はある。火の如く勇猛だが氷の如く冷静だ。
「‥‥無理だけはするなよ」
 リックはそう言ってロシャーデへの通信を終えたのだった。


 十二機のKV隊が瀬戸内海へと突入してしばらくした頃、ついに目視距離に敵の空母を捉えた。
 傭兵達は五班に別れて機動し敵の高空艦隊へと強襲をかけんとする。先行するのはα1鹿島機、β1飯島機、γ1エリアノーラ機、δ1ロシャーデ機の計四機だ。こちらが前衛にして囮。各機、足並みを揃えて飛ぶ。その後方少し距離を置いて他の八機が続いた。
 バトルキャリアーへと接近するとバグア側にも動きが起こった。AI制御のHW十二機が一斉に展開し、規則的に三機一組に別れ傭兵達の前進を阻止せんと真紅に輝き爆風を巻き起こして迫って来る。迎撃隊だ。
 KVが加速しHWが迫る。12VS12、真っ向勝負、ヘッドオン。
 相対距離が一瞬で詰まった。
 β1、中央飯島機、ブースト、パニッシュメントフォースを発動、HW45678の五機をロックオン。サイトが音と共に赤く変わる。相対距離六〇〇、入った。発射ボタンを押しこむ。
「β1、FOX‐3」
 焔と共に総計五百発の小型誘導弾が蒼空へと解き放たれた。煙を噴出しながら咆哮をあげHWへと嵐の如くに襲いかかる。五機のHWは慣性を制御してスライドし避けんとする。ブーストで加速されたそれは多少物理法則に変動があってもそんなの関係ねぇ! という凄まじい鋭さだ。次々にHWを捉えPFでさらに増幅された破壊力を解き放ち、超爆発の嵐を巻き起こしてゆく。全弾命中。
 鹿島、敵機三機、モーニング・スパローへターゲットを定めたように見える軌道。情報が間違いなければ距離的にも恐らくそう。全力で回避専念。
 距離四〇〇。十二機のHWがその前面につけられた主砲に真紅の輝きを集めた。次の瞬間、極大の赤い光波が一瞬で空間を貫き爆音を轟かせてゆく。
 鹿島機、アフターバーナーを吹かせて加速、ベクタード・スラスト、ジェット噴射ノズル核を操作しほぼ直角に曲がる。大気が唸り翼が風圧に震え、猛烈なGが鹿島の身を圧殺する勢いで襲いかかる。シートに身が沈み血管が悲鳴をあげてゆく。歯を喰いしばって耐える。三連の光が膨大な熱量を虚空に撒き散らしながら鹿島機の後方の空間を次々に貫いて抜けてゆく。完璧にかわした。抜群の機動性。
 飯島機、襲い来る三連の閃光に対し、ブースト機動でベクタードスラスト、空気の断層を滑るように斜めの状態でスライドしつつ機首を回してガンサイト、光が脇を突き抜けてゆく中HWの一機を照準に納めトリガーを引く。カウンター。D‐02より螺旋に錐揉むライフル弾が飛び出し、HW4を捉えてその装甲を粉砕した。HW達の光は全て外れている。カウンターで崩した所へ続けざまにエニセイ対空砲で五連射。砲弾が次々に突き刺さってHWの装甲を猛烈な勢いで爆砕してゆく。
 エリアノーラ機、やられっぱなしは癪なので反撃も狙うが、防御と回避を優先させる構え、とにかく落とされない事を優先に考えたい所。ブーストを発動させPRMSを併発。百の練力を燃やし機体の対知覚装甲へのエネルギー付与を急増させてゆく。三機のHWより解き放たれた極大のプラズマ光波が爆音を撒き散らしながら剣山号へと襲いかかった。エリアノーラ機、回避優先、ブースト機動で急旋回、一発が翼の端を灼きながら突き抜け、二発が直撃し三発目が虚空を貫いてゆく。壮絶な破壊力が炸裂したがPRMSでガードしている。しかし、流石に六倍の破壊力と言われるそれを受けてはさしもの剣山号の装甲も無傷ではなかった。連射は効かないがどっかの鬼神の装甲も当たれば普通にぶち抜けるように造られているので、並のKVなら木端に消し飛んでいる壮絶さだ。しかし、PRMSを張ったエリアノーラ機は頑強さにかけては突出している。損傷率三割二分。そう簡単には沈まない。
 他方、最後の三機のHWもロシャーデ機へと襲いかかっていた。ロシャーデ機、囮の最中は回避専念、全力防御だ。MX‐0はローリングしつつ高性能ラージフレアを展開。小型装置が周囲にばら撒かれ重力波が強力に掻き乱されてゆく。HW三機が爆音と共に極大の光波を撃ち放ち、ロシャーデ機は急降下。光が一条、二条と虚空を貫き通り抜けてゆく。かわした。しかし三条目が鋭く飛んでロシャーデ機に直撃。壮絶な光がMX‐0を呑みこみ激震と共に凄まじい勢いで装甲を消し飛ばしてゆく。損傷率八割三分。コクピットを赤い光が包み警報がやかましく鳴り響き始める。
 小鳥遊機、鹿島機とHW三機の動きをよく見定める。鹿島機が旋回してHWがその後を追ってゆき、小鳥遊は小旋回してその後方へと捻り込む。ガンサイト、HW一機の背を捉えた。スラスターライフルで猛射。九十発の弾丸が嵐の如くにHWへと襲いかかりその装甲を蜂の巣にして穿ってゆく。HWは六〇発程度を受けたが赤く輝いて急旋回して脱出し残りの三〇発を回避する。
 アンナ、飯島機に続いてHWを射程に捉える。
(彼の腕は、私のような日の浅い人間でも噂に聞くほど。けれど無敵ではない)
 可能性の高低はあれども必殺の一発は往々にしてあるものだ。フォローは密にしなければならない。そう思う。その為にも再度の反撃させる前に確実に墜とす。ガンサイト、飯島機の猛攻でボロボロになっているが未だ健在のHW4を照準に納を8.8cm高分子レーザーライフルのトリガーレバーを引く。リロードしつつ連射。二連の光線が鋭く飛び、HWは回避せんとスライドしたが避けきれずに次々に直撃を受ける。次の瞬間、漏電と共に巨大な焔が膨れ上がってHW4が爆裂、四散した。撃墜。
 他方、禍神機、複合式ミサイル誘導システムIIと誘導弾用新型照準投射装置を起動、エリアノーラ機を追っているHW789をロックオン。
「さぁ 火龍よ レッツ パーティー」
 総計五〇〇発にも登るK‐02小型誘導弾を蒼空へと解き放ち、続けてJN−06ミサイルを射出し、さらにストレイ・キャッツ誘導弾を撃ち放つ。ミサイルの猛嵐だ。ミサイルが焔と共に噴出する煙が空に線を引いて埋め尽くしてゆく。三機のHWは赤く輝くと慣性を制御して誘導弾の嵐を次々に掻い潜ってゆく。おかしい連中は紙のように倒すが新型HW、雑魚ではない。
「今までのHWとは違うんだ、凄いなぁ」
 素早く機動してミサイルを避けている三機のHWを眺めながら禍神がそんな事を呟く。しかし流石に量が膨大だったか二段階に加速したキャッツ誘導弾が死角からHW7を捉えて喰らいつき爆裂を巻き起こした。ブースト機動するエリアノーラ機は素早く機首を回すと長距離バルカンの砲口を向け猛射。HW7の装甲を削り取ってゆく。
 リック機、ロシャーデ機を攻撃したHWへとサイトを合わせてロックオン。発射ボタン押し込み短距離AAMを撃ち放つ。三連の誘導弾が音速を超えて唸りをあげて飛びHW10へと襲いかかった。HWは急降下して二発を回避。一発が直撃して爆裂が巻き起こる。
「瀬戸内に眠れ‥‥」
 終夜・無月(ga3084)機、ブーストを発動、間髪入れずに態勢を崩したHW10へと機首を回し虎の子のM‐12強化型帯電粒子加速砲を初手から撃ち放つ。爆音と共に巨大な光の波動がHWへと向かって飛び、一瞬で空間を制圧してHWを呑みこみその装甲を壮絶な破壊力を炸裂させて吹っ飛ばしてゆく。突撃しながらアハトの閃光を撃ち放ち追いかけるように間合いを詰めるとレーザーガトリングを猛射。二〇〇発の光線弾幕を叩き込みHWの装甲を貫いて蜂の巣にする。
 さらに天空より秋月機が突っ込んだ。F‐196‐テスタロッサ、急降下して空中で変形しつつ光に穿たれているHWへと迫る。
「天使とダンスでもしてろ」
 鋭く言い放つと同時、交差様に機刀「建御雷」を振り降ろす。一閃。稲妻の如くに刃の光が走り、HWが削り斬られながら抜けてゆく。HWの傷口から漏電が発生し、次の瞬間、超爆発が巻き起こった。四散、大破。秋月機は紅蓮の爆発を尻目に再び戦闘機形態へと変形してスラスターを吹かせ上昇してゆく。
「時雨ちゃん。周辺警戒はこっちでするから、どんどん落しちゃってにゃ」
 カーラ機、時雨機の後方を飛びつつ言う。
 時雨機、エリアノーラが射撃しているHW7へと後方より迫っている。SESエンハンサーを発動、AAEMを撃ち放ち、追いかけるように距離を詰めてWR‐01Cライフルで光線を飛ばす。エリアノーラ機に穿たれているHWは態勢を崩しつつも回避せんと機動し、誘導弾が追尾して喰らいつきエネルギー爆発を巻き起こした。エンハンサーで42%破壊力が増幅された凶悪な一撃。崩れた所へさらに光閃が突き刺さった。時雨機は至近まで迫るとDR‐2荷電粒子砲を撃ち放った。壮絶な破壊力を秘めた光の波動がHWの装甲に炸裂し猛烈な勢いで消し飛ばしてゆく。カーラ機、サイトを合わせてロックオンしている。HWが荷電粒子砲の一撃に態勢を崩した瞬間を狙ってAAMの発射ボタンを押しこむ。
「ε2、FOX‐2!」
 三連の誘導弾が唸りをあげて飛び、HWに次々に突き刺さって三連の爆裂を巻き起こした。全弾命中。デカイのが一発入ると後続は中てるのが楽だ。HWは爆発に吹き飛ばされ、黒煙を吹き上げながら瀬戸内の海へと落下してゆく。やがて水面に突き刺さって海中で大爆発を起こして水柱を天高く吹き上げた。撃破。
「まずは一機‥‥所詮はAI‥‥」
 時雨が次の獲物を探して旋回しながら呟く。
 他方、バトルキャリアーは海上を航行中。
 HW三機、鹿島機へと極大の光を一機一発、三機で三連猛射。鹿島は高速で機動して猛撃を回避して回避して回避。鳥が軽やかに天空へと飛翔し速度を落としつつ避けて、HWを誘導、小鳥遊機が攻撃しやすいようにひきつける。小鳥遊機は鹿島機を追うHWの背を追い、スラスターライフルをリロードしつつ猛射。轟音と共に弾丸の嵐を叩き込んで火花を巻き起こしてゆく。
 鹿島機、ブーストを発動、ジェット噴射ノズル核を操作し急角度で宙返りする。慣性制御に迫る機動性、HWとヘッドオン。素早くロックし十六式螺旋弾頭ミサイルを怒涛の八連射。先端にドリルがついた誘導弾が八発、音速を超えて唸りをあげてHWへと襲いかかる。素早くスライドするHWへと弾丸は機敏に反応して追尾し、喰らいついてその装甲をドリルで抉り奥へと潜り込んで次々に超爆発を巻き起こした。HWの装甲が猛烈な勢いで吹っ飛んでゆく。次の瞬間、HWが超爆発を巻き起こして四散した。撃墜。
 他方、飯島機は旋回しつつSRD‐02をリロード、HWからの二連射を機首を向けてスライドしながらかわしつつ発砲。カウンターの銃弾を叩き込んで即座にツングースカ対空機銃で五十発の弾幕を張る。さらにエニセイ対空砲で五連射、アンナ機もまた高分子レーザーライフルをリロードして追撃の閃光を撃ち放つ。凶悪な砲弾が次々にHWへと直撃し光線が撃ち抜いて、次の瞬間、HW5が爆裂を巻き起こして四散した。撃破。
 エリアノーラ機、ブースト機動でHWとの距離を四〇〇に保ちつつつ攻撃よりも回避重視で旋回中、HWからの二連の爆光を急旋回して回避して回避。光をかわした所で機首を向け十発の徹甲弾を猛射する。弾丸が次々にHWの装甲に突き刺さって衝撃を与えた。
 禍神機、誘導システムと照準投射装置を継続起動、HW二機へと五百発の小型誘導弾を撃ち放ちエリアノーラ機が射撃するHW8へとJN−06ミサイルとキャッツ誘導弾を射出する。HW9はK‐02誘導弾を全弾回避、HW8に二五〇発の小型ミサイルが命中して爆裂を巻き起こした。焔裂いてHWが飛び出し、JN−06が回避され、キャッツ誘導弾も外れ、HWの回避先へと時雨が突っ込んでエンハンサーを発動、二連の誘導弾を炸裂させ荷電粒子砲で装甲を吹っ飛ばす。カーラ機が誘導弾を連射して追撃を入れて爆裂と共に叩き落とした。撃破。
 他方、リック・オルコット。警告を任されているが、音速戦闘だ。リックが言ってロシャーデが認識して操縦桿を操作してとなると避けられるものではない。自分で避ける時もそうだが、先を読まねばならない。他人に言うならさらにその先。敵はAI、ある程度のパターンはある。二機と一機だけならやれるか? 直感及び知力の勝負。難易度11くらいか。
「ロシャーデ、シックス!」
 リック、警告を発しつつロシャーデ機の後背へと回り込まんとするHWの後背へと回り込まんとする。ガンサイト、背後取ったドンピシャ。打撃を与えて攻撃を妨害せんとクロスマシンガンで猛射。攻撃態勢に入ったHWへと徹甲弾が次々に突き刺さって火花を巻き起こし、穿たれつつもHWは極大の爆光を撃ち放つ。もう一機へは秋月機が高空よりロックしてFI‐04誘導弾を三連射し射撃を妨害せんとしている。
 ロシャーデ機、全力回避中、急降下したので空母の射程に入らぬように高度に気を配りつつ、警告を受けて後方を振り返りつつ操縦桿を操作し、ラージフレアをばらまきながらバレルロール。背後からの二連の爆光が先程までいた空間を十字に突き抜けて大気を灼き焦がして抜けてゆく。かわした。
 HW12は秋月機よりの誘導弾の二発をかわし一発の直撃を受けて爆裂を巻き起こした。態勢を崩した瞬間を狙って終夜機がブースト機動で突っ込みリロードしつつ二〇〇発の光線を叩き込んでHWの装甲を消し飛ばしてゆく。
「リーダー機がいるのなら、早めに潰しておきたい所だが‥‥!」
 鹿島、背後や周囲へと視線を走らせつつ呟く。標的を選択決定するメインアタッカーと追撃を合わせるアシスト役の分類はされているようだが、メインがやられたらすぐに違う機体がメインになるようだ。
 小鳥遊機バレットファストを発動、機動力を増加させる。二機からの爆光を鹿島機は下方へと降下しながら回避すると、上昇しながら速度を落として小旋回しHW2の後背へと捻り込む。バルカンで猛射。回避せんと避けるHWへと小鳥遊もまた詰めスラスターライフルを高速でリロードしながら弾幕を張る。
「逃さないわよ。ここであたし達の餌食になって貰うわ」
 HWは避けんと機動するが二機からのそれを避けきれぬものではなく、宣言通りに蜂の巣にされ超爆発を巻き起こして四散した。
(‥‥限定的とは言え、慣性制御に食らいつけるのは有り難いわね)
 胸中で呟く小鳥遊。ガンスリンガーの機動力は特殊能力まで発動すると極めて高い。良い機体だ。
 飯島機は避けてカウンター入れてアンナ機と共に猛射して三機編成の最後の一機であったHW6も爆砕する。二対一となったらもうまったく負ける気がしない。
 HW9からの大口径荷電粒子砲をエリアノーラ機が回避しバルカンで反撃して時雨機がエンハンサーを継続しつつ誘導弾と荷電粒子砲を命中させカーラ機がUK11AAMを、禍神機がJN‐06誘導弾とキャッツ誘導弾を命中させて爆裂を巻き起こす。まだ落ちない。
 HW12へとブースト機動で終夜機が光線で弾幕を張り撃たせる前にふっ飛ばして撃墜し、HW11からのプラズマ光波をロシャーデ機はリック機からの警告と妨害射撃と秋月機からの妨害射撃と、及び自機のラージフレアと全力防御と急降下で回避。HWは二発命中もらって四発回避。敵機の数が減って来た事を確認したロシャーデ機は対艦攻撃へと向かう――行くのか? 
 鹿島機は荷電粒子砲を避けつつ小鳥遊機と共にHWを猛射する。あと一押し。
 HW9はエリアノーラ機が攻勢に出てスラスターライフルで三段に猛射し禍神機が追撃を入れて撃墜した。
 HW11は赤輝くとリック機と秋月機よりの妨害を受け終夜機よりの猛射を受けつつもまだ落ちない、対艦攻撃へと向かったロシャーデ機の後背へと接近し荷電粒子砲を撃ち放った。直撃。壮絶な破壊力がロシャーデ機を呑みこんで装甲を猛烈な勢いで消し飛ばしてゆく。損傷率十六割八分、大破。爆裂四散消し飛んだ。内部のエンジンに引火、超爆発を巻き起こしてロシャーデ機が爆散し、蒼空に破片を撒き散らしてゆく。
 飯島機とアンナ機がHW3へと迫って追撃を入れて叩き落とす。撃破。HW11へは時雨機とカーラ機が追撃に飛んで撃墜する。十二機のHWの全機が叩き落とされた。
 バトルキャリアーは撤退に移り傭兵十一機が追撃に飛ぶ。
「デカイ的だ。そう簡単に外したくは無いな」
 低空に降下したリック機、相対距離四五〇、バトルキャリアーの対空砲の一門を狙ってロックオン。長距離ASM「トライデント」を撃ち放つ。九連射。対艦ミサイルが焔と共に煙を吐き出し咆哮をあげて空母へと襲いかかる。音速を超えて放たれたミサイルは次々に対空砲に命中して大爆発を巻き起こした。抜群の効果だ。対空砲が吹っ飛び甲板に大穴があく。
 小鳥遊は高空よりスナイパーライフルで砲門を狙って射撃してゆく。弾丸が滑走路に突き刺さって穴を開けた。
「突撃開始‥‥覚悟‥‥!」
 時雨は呟くと低空へと降りて突撃を開始する。カーラ機もそれに続いた。水面ぎりぎりを爆風を巻き起こして飛んでゆく。低空に降りるとKVは機動力が落ちる。射程に入れる前に敵方からプロトンバルカンが飛んで来る。
「対空砲火‥‥この高度ならまだ大丈夫‥‥もう少し‥‥」
 水面ギリギリをスライドしながら避けてゆく。敵空母の砲はあまり精度が良くないようだ。
 終夜機高空よりバトルキャリアーの頭上へ接近すると急降下、M‐12強化型帯電粒子加速砲を撃ち放ち、レーザーガトリングを猛射、爆裂と共に艦に大穴を空けてゆく。アンナ機も合わせて急降下、低空へと突入するとレーザーライフルで砲門へと光線を飛ばし、誘導弾を撃ち放って爆裂させフォトニッククラスターで船を広範囲に焼き払った。禍神機もまたレーザーバルカンで猛射してゆく。秋月機は高空を警戒している。
 飯島機は低空へと突入するとエニセイ対空砲をリロードしつつ七連射して艦のあちこちを爆砕してゆく。
「さて、総仕上げといこうか? 逃す前に一気に沈めるぞ!」
 鹿島、パニッシュメントフォースを発動、船尾へと向かって降下してゆく。エリアノーラ機はPRMSを発動、知覚力を増大させ右舷側から突入する。
 ディアブロとシュテルンが空母へと迫り、鹿島機は急降下して、エリアノーラ機は水平気味にGプラズマ弾を投下した。付近の各機は周辺から退避に移り鹿島機はブーストを発動して離脱した。次の瞬間、二発の弾頭が空母へとそれぞれ命中し直径一〇〇メートルにも及ぶ超爆発を巻き起こした。蒼い電撃が荒れ狂い空母を壮絶な勢いで破壊してゆく。駄目押しとばかりに時雨が突っ込んで荷電粒子砲を叩き込んだ。
 空母は大穴を開けて瞬く間に浸水し海中へと轟音をあげながら沈んでゆく。撃破だ。
「今回は、自慢話が出来るぞ、みんなに」
 轟沈してゆく様子を眺めながら禍神がそんな事を言っていたのだった。



 かくて瀬戸内の艦隊は撃破され、北九州への増援は阻止された。傭兵達は基地関係者から歓喜の声と共に迎えられたという。
 一方、ロシャーデを海中から救出して病院に担ぎこんだリックは、病室のベッドの傍らで酒を一杯やったのだった。医者の話ではまぁ大事はないらしい。能力者なら安静にしていればすぐ回復するだろう、との事だった。



 了