●リプレイ本文
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ここはタイ南部、サムイ島のビーチ。気温30度を超える猛暑の中大会は行われた。
『激辛タイ料理を食べつくせ!』
要は、大食いと激辛と暑さ我慢を足して3で割ったような大会だ。
観光客達が見守る中、羽毛布団を被って入場する挑戦者達。
エントリーナンバー1番、『燕の女王』藤田あやこ(
ga0204)!
「うぅぅ寒いわぁ私冷え性なのぉ〜」
更に凄い厚着での登場だ! 裾から重ね着したスカートが見えているぞ。この暑さの中冷え性の本気を発揮できるか!?
続いて2番、『哀しみの果てに』幡多野 克(
ga0444)!
「こんにちは‥相馬さん‥。沢山‥料理を食べられると聞いて‥来た‥。好きなのは‥甘い物だけじゃ‥ないから‥。どんどん‥食べるよ‥」
スタッフの相馬ユウリ(gz0184)に挨拶をしているようだ! しかも話が弾んでいるぞ! マイペースな唯一男性参加者だ!
3番、勝負と聞いては黙っていられない、鯨井昼寝(
ga0488)!
さぁ遠慮なく激辛料理を食べ尽くしてくれ給え!
「この暑いのにサムイ島とはどういうことなの」
それは『名前の響きで涼しくなってね』という企画者の配慮らしぞ!
4番、『花売りの美女』神森 静(
ga5165)!
「まさか南の島まで来て、こんな事やるとは思わなかったわ」
微笑みを浮かべ本心を見せない美女は、ハードな企画に耐えれるのか!?
5番、『SM系エステティシャン』藤堂 紅葉(
ga8964)!
「厚着をするのは良いが、肌を見せられないのが残念だな」
けれど重ね着後の姿も既に鏡でチェック! 色っぽく見える仕草や、見目良い角度も研究済み! 世界一のお色気着ぐるみダルマを目指します!?
6番、『カレーソムリエール』最上 憐 (
gb0002)!
小柄な少女の大食い伝説は数知れず、今回もカレーに釣られて参戦だ!!
「‥‥ん。暑い。シュウマイの。気分が分かったかも」
早食いすれば問題無し! のぼせるまで食べつくせ!
7番、『縛り名手』佐倉・咲江(
gb1946)!
「辛くておいしい食べ物がいっぱい‥」
じゅるりと音が! 料理に熱い視線を送っているぞ! 辛いものが大好物、暑さには弱そうだが果たして‥!?
8番、『魅惑の感度良好body』レイチェル・レッドレイ(
gb2739)!
「うーん、自信無いけどやれるだけやってみるー」
海水浴が目的か!? だが今は小悪魔ボディを布団に隠し激辛料理と対決だ!!
9番、辛物への意地を見せてやる! 崔 美鈴(
gb3983)!
「もうっ! どうしていつも逃げるんだろ。さては別の女と‥!」
おおっと、想い人を連れて来れずテンションダダ下がりだ! 羽毛布団に埋もれ、シーツをギリギリかみ締めちゃってるぞ! そのパワーを勝負に活かせるか!?
こうして9人の準備が整った。
‥‥これから行われるのは非常に危険な競技である。絶対に真似をしてはいけない。
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暑苦しいナレーションによる挑戦者紹介も終り、戦いの火蓋は切って落とされた。
まずテーブルに並べられた物は、ソムタム、ヤム・ウンセン、トム・ヤム・クンの3種。
決められた時間以内に食べないと失格。嫌いなものがランダムに投入され、勝負には運も関わってくるだろう。
そして4杯目の水で失格、暑さでダウンしても失格という厳しい戦いだ。
「‥‥ん。おいしい。おかわり」
スープを吸い、真っ先に憐がクリア。白い肌に汗が浮いていたが、まだまだ耐えれそう。
「‥‥ん。カレーが出るまでは。頑張る」
と言う憐の期待に応えてか、次に並べられたのはカレー。
カレーは飲み物と豪語するだけあって、憐はどんどんカレーを飲み込んでいった。流石、大食いスピードは一歩抜きん出ている。
続いて克がソムタムを食べつくし、カレーへ。
「美味しいね‥」
最初のカレーは辛さ控えめなので、難なく食べ終える克。
そして静は微笑みながらレッドカレーを食べつくした。
「まだまだよ?」
この辛さの中、3人とも水には手を出していない。
――大食い達、華麗な滑り出しである。
「氷点下のロシアにいたことを思えば、暑いなんて嬉しいくらいよ」
大振りのスプーンでカレーを掬い、自分を誤魔化しつつガツガツ食べるのは昼寝だ。
まだ暑いのはいい。
何故カレーに蒟蒻が入っているんだ!
スプーンに乗る巨大な蒟蒻に戦慄が奔る――しかし昼寝は蒟蒻を口に含むと、水を一気飲みして無理やり流し込む。なんとかクリアだ。
一方、美鈴はカレーの辛さに舌鼓。
「私にかかればこんなの楽勝だよね♪」
唐辛子の辛さには無敵! 美鈴は水も飲まずカレーを食べる。
そしてあやこはガタガタ貧乏ゆすりし、カレーを食べている。
「寒い‥寒い、どんどん頂戴」
と、震えながら強請った。最初こそソムタムに困ったものの、それ以降は順調。
能力者達は全員、6食を食べつくした。
続てバミー、クイティアオ、パッタイが運ばれてくる。
猛暑の中、紅葉は『水には手を出さない』心意気でどんどん食べる。
「水を飲むとバテるって言うからね」
大食いは得意ではないが、時間ギリギリでクリア。
そして辛いもの好きに定評のある咲江は、少し暑さが堪えてきたようで。
「暑いけど食べ物のために我慢‥」
最初は美味しそうに食べていたのに、身を焦がす熱に汗を浮かべる。
同じくレイチェルも手が止まっていた。見ると、皿には嫌いな茄子が残っているではないか。
「おかわり下さ〜い」
残しちゃえと、レイチェルはおかわりをねだる。当然断られるが、そんな男を上目遣いで見上げ、目に涙をためて。
「見逃して‥後で何でもシてあげるから‥」
レイチェルは布団に手をかけ、隠された胸元をチラリと見せる。そこには巨大なマウンテンと深い谷間が。
思わず目が釘付けになる男‥‥しかし。
「はい、アウト!」
監視役に徹していたユウリに不正が見つかってしまった。
――レイチェル、7食目でリタイア!
レイチェルがバサっと厚着を脱ぐと、その下には幼い顔立ちとは裏腹に成熟した体があった。下着は水色と白のストライプ柄のブラとショーツ。それが汗で肌に張り付いている。
「海水浴ー♪ 愉しむぞー♪」
そして聞こえるように叫ぶと、海に飛び込んで誘うレイチェル。お邪魔モードにスイッチが入った!
「レイチー楽しそう‥」
真っ先に誘惑されたのは咲江である。
「がぅ、暑すぎてもう無理‥。辛いの好きだけど暑いの駄目‥」
バミーに添えられた納豆も憎い。
咲江はついに衣服を脱ぎ去り下着姿になると、海へと走り出していった。
「はふ、海が気持ちいです‥」
――咲江、9食目でリタイア!
そして中盤。カオマンガイ、ガイ・ヤーン、パッ・パッブンが並ぶ。
「‥‥暑」
美鈴は愚痴りつつも、料理を胃袋に収める。
「まだまだ、甘いわね? あの暑さに比べれば」
静は余裕綽々。平然と1杯目の水を飲み、勝負続行。
汗を拭う憐もカオマンガイを完食している。
「‥‥ん。まだ。大丈夫。おかわり」
しかし、料理の辛さも増していた。
昼寝はダラダラ汗を流し、鬼の形相で早食いする!
「ふ‥ふん! こんなもん暑い内に入らないわね!」
意地でも強がり、ツンっぷりを披露。いつかデレるのだろうか。
そして克は無表情で淡々と食べているのだが、顔は隠せないくらい真っ赤になっていた。
「!? ‥この辛さ‥負けたくない‥。けど‥!」
必死に辛さを堪え、苦悶の表情を浮かべる克。水を手にして一気に流し込む!
苦戦する者が増える中、極限状態に達する紅葉。ついに悟りを開いたか!
「暑いのに無理やり厚着にさせられて‥イイ‥もっと私を虐めて‥‥」
いや、虐めてスイッチが入っただけだ。はぁと息をつき身悶えする着膨れダルマ・紅葉。暑さえ快感に変わるとは、案外強いかも?
そして、あやこは。
「寒い冬はこれが一番」
と言いつつも、胃袋の方に限界が。「時間切れ!」というユウリの声が容赦なく響く。
――あやこ、12食目で時間切れリタイア!
すると、あやこは態度豹変!
「はぁん、暑は夏いねェ」
流し目で挑発し出す。今度は胸元をパタパタ、ブラチラしつつ暑いと言い、脱衣欲を喚起する!
一方レイチェルと咲江は水遊びに興じていた。
「きゃ! 冷たい♪」
「ほらほら、冷たいぞ‥」
キャッキャ水を掛け合っていると、下着が水で濡れて透けてくる。咲江は気づいてないが、レイチェルにとっては見せ付ける為の意図的な行為!
白さと薄さ故にイケナイ凹凸が浮かび上がる二人の下着姿を目撃した男は、次々と前かがみになっていく‥‥。
そしてぷるんと揺れるレイチェルの胸がけしからん。思わす咲江が羨ましがってグニっと掴んじゃうくらいけしからん。
「レイチー大きくて羨ましい。少し頂戴ー‥‥」
波と戯れつつ、咲江とレイチェルがお互いの胸を揉んだり、揉みかえしたり。
これ以上は見せられないよ! 状態になっていく。
しかし参加者の大部分は料理に熱中していた。
美鈴は額を伝う汗を拭い、水を一杯。
「な、何コレ!? こういうのも辛いって言うのっ!?」
スパイスに口内をやられ、さらに水。そして、暑さにキレそうになりつつ食べる美鈴。
‥‥その眼前に広がる海では。
「つかまえた♪ サキ、お返しだよ!」
咲江を追い、捕まえて体を擦り付けレイチェルの反撃! 今度は咲江の胸と尻を撫で回す。
挙句。
「がぅ!? れ、レイチー‥? んっ、いきなり‥」
ちゅうっと濃厚なキスをし出した。咲江は赤面しつつその接吻を享受‥って、まるで恋する乙女じゃないか。
二人の様子は、想い人を誘えなかった美鈴の神経を逆撫でしまくり。
イラっとした美鈴の米神に青筋が。
そして出されたタイスキには ナ マ コ。
――ブチッ。
「何考えてるの! こんなの食べられるわけないでしょーーーッ!!」
ついに美鈴の何かがキレた。
【OR】使い込んだ出刃包丁で皿の上を突きまくり、厚着を脱ぎ捨て海へとダイブ!
――美鈴、13食目でリタイア!
料理が一巡し17食目、おや、憐の様子が‥‥。
「‥‥ん。結構。口の中が。サハラ砂漠。みたいに。なって来たかも」
辛味を増したカレーを口にし、ついに辛さが限界点。
「‥‥ん。五臓六腑に。染み渡る感じ」
大好きなカレーがここまでとは。水に手を出すが、最後の一杯を飲んでしまっていた。
「‥‥ん。魚が。私を呼んでいる」
けれど目の前にはあと一食のカレー‥‥これを食べきって。リタイアしよう。
そう決めて、憐は最後のカレーを口にする。
――カリッ
最悪の味が舌を刺激した。
「ぬぅおおお、憐は今何を食べたりしましたかぁあ!? にゅおおおお」
うっかり大嫌いなきゅうりを口にし、口元を押さえ脱兎の如く海へと走り去っていく!
――憐、16食目でとうとうご乱心。まさかのリタイア!
「珍しいくらい取り乱したな‥」
滅多に見れない狼狽っぷりに、思わずカメラを探すユウリ。
そして静も、激辛カレーに手が止まる。
「辛いのはあんまり得意じゃないのよね‥」
水は飲みつくしてしまった。お腹は余裕なのだけど、舌が焼けてしまいそう。
静はため息を吐き、スプーンを置いた。
「残念だわ。まあ、こんな事もあるわね?」
――静、17食目で余裕のリタイア!
妨害工作も激しくなってくる。
メイド姿で太股からプリーツをチラリさせるあやこは、コスプレ妨害作戦。
ミニスカセーラーに着替え参加者の周りを踊り跳ねる!
「暑いから脱ごうよ♪」
と、さらにセーラーを脱いだ。下からはチア服。何枚着てるんだ。
一方美鈴は小花柄ビキニのセパレート水着姿で、海にプカプカ浮いている。
「気持ちいい〜♪ ねえすごいよっ! 水が透明でお魚も一杯☆」
フルーツ牛乳で辛さを中和し急にご機嫌に、皆を誘惑。
残るは3人。
大食の克、バランスの昼寝、忍耐の紅葉だ。
嫌いなレバーを飲み込み、克は汗を拭う。
「心頭滅却すれば火もまた涼しいハズ‥!」
暑さを忘れようとする克。お色気精神攻撃はスルー出来ても、暑さの方は限界か!?
「‥修行が‥足りないみたい‥」
がっくり肩を落とした。
克は厚着を脱ぎ、意外と着痩せする逞しい体を晒すと海へと走っていく―!
――克、19食目暑さでリタイア!
「うふ。暑いですねぇ。実はまだ着てるから暑いですけど」
浜辺ではあやこがもったいぶりつつレオタードからスク水をはらり。
そして海では憐が魚を探している。
「‥‥ん。クジラとか。捕れないかな」
まさか食べるのか?
藤色パレオ付きビキニの静は、美鈴と水遊びだ。
「何か甘いもの欲しくなったから、食べにいこうかしら?」
まだ食べる気もあるらしい。
克も加わり、浮き輪で浮きながらカキ氷をシャリシャリ。
「リタイアしたら‥楽園だよ‥?」
冷たさを存分にアピールし揺さぶりかける克だった。
――残るは昼寝と紅葉のみ。
「う‥羨ましくなんてないわ!」
青唐辛子をバリバリ食い、昼寝は叫ぶ。
「か、か、辛くない辛くない! むしろデザートに丁度良いくらいだわ!」
舌の感覚がマヒして、案外いける。新感覚おやつ青唐辛子生!
だが暑い!
一方紅葉はスタッフに涙目で懇願し、青唐辛子を乱暴に口の中へとねじ込まれている――何のプレイだ。
「痛いぐらい辛いな‥もっと‥無理やり辛い物を食べさせて」
お残しはダメだか無理やりはセーフ? 涙を流すほど苦しいが、何故か嬉しい紅葉。
続いて青唐辛子に添えられたナマコが口へと突っ込まれる!
「も、もうだめ‥ナマコはだめ‥!」
ぬるぬる触感が紅葉の口の粘膜を擦る。生ナマコなんてありえない‥!
――ついに紅葉は布団を色っぽく脱ぎ捨てた!!
濡れたら透けそうな際どい水着は、大量の汗により既に透けているではないか。紅葉は水を体に浴び、スタイルを誇示しつつリタイア宣言!
紅葉が海へダイブする。あやこもビキニブラをポロリしながら海へと飛び込み、白いサラシを輝かせた。
涼を取った紅葉とあやこは良い笑顔で、美しい体を存分に外野へ魅せていた‥。
そして一人、布団を被ったままの昼寝が残る。
「まだいけるけど‥‥今日はこの辺で勘弁しておいてあげるわ」
辺りを見回し、ふふんと偉そうに言う昼寝。
汗の量が凄いですけど! 額に前髪くっついてますけど! 今にも脱ぎたそうですけど!
弱音を吐かぬその姿に会場から拍手が沸き起こる――。
『勝者! 鯨井昼寝!』
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「ん、楽しかった‥。料理は美味しかったし‥」
「今度は二人っきりでのんびり‥ね♪」
いつの間にか失踪していた咲江とレイチェルは、物陰に行ったとかホテルで続きをヤったとか。
そんな逸話も残しつつ、大会は鯨井昼寝の勝利で幕を閉じる。
二位は藤堂紅葉、三位は幡多野克。
参加賞として、料理を提供したレストランのカフェエプロンと土産のマンゴーが配られた。
そして。
――Congratulations!
トロフィーを掲げる昼寝の頭上に、雪のような羽毛が舞うのであった。