●オープニング本文

　ＬＨにも支店を持つ、スポーツウェアの販売を行うとある零細企業。
　そこの支店長は数あるスポーツウェアの中でも何故かブルマが大好きで、特に紺色ブルマの販売に力を入れていた。
　しかし昔は体育の時間に、又は女子生徒のパンチラ防止の為スカートの下にはかれたこと事もあったブルマだが、最近はレギンス等に役目を乗っとられたようである。

「やはりメイド服やスク水に比べて愛用者が少ない気がするのだ。私はブルマの良さをもっと皆に広めたいと思うのだが、どう思うかね、陽子くん‥‥」

　支店長は、事務員の陽子（２２）に問いかける。‥‥真面目に事務をこなしていた陽子は、下らない話で仕事の手を止める支店長には呆れ果てていた。　

「一部では愛されてるみたいですから、いいんじゃないですか」

　たとえば、支店長のような人に。とは言わず。陽子はそう言い捨てると事務仕事に戻ろうとする‥‥が。

「陽子くん、頼みがあるんだ」
「いやです」
「まあそう即答しないでくれ。陽子くんには是非ブルマのセールスプロモーションを行ってもらいたいのだよ。例えばブルマを装着して販売促進のポスターをとるとかＤＶＤを作るとか‥‥」
「支店長。ＬＨの能力者さんの中にはブルマを愛用している方もいらっしゃるとききました。ここは一つ、能力者の方にお願いしてみるのはどうでしょうか」

　私よりも良いものが出来るかもしれません、と、陽子は言い添える。
　支店長の話を強引に中断させ、自分に災いが降りかかる前にさっさと依頼をＵＬＴに投げてしまう、したたかな事務員であった。

●参加者一覧

●リプレイ本文

●
　『ブルマのセールスプロモーション』の為、撮影場所のフロアに集結した８人の勇者――もとい能力者達。
　彼女らを迎えた支店長は鼻の下を伸ばす。それもそのはず‥‥
「ブルマを普段着としている身として、がんばりますよ！」
　なんと公私共にブルマが嗜みというファーリア・黒金（gb4059）が世界でたった一枚、オリジナルのブルマと体操着を着用しての参加だ。
　サイズもぴったり、体に密着する良素材は魅力的な体型を露にしていた。

　まずはブルマへの熱い想いを語りつつ、企画を詰めていこうではないか！

　一同はテーブルを囲んで話し合いを始める。
「確かに生足を晒したりしますので、恥ずかしいという気持ちは分かりますけど‥‥動きやすいんですよね‥ブルマって‥‥」
　恥じらいを浮かべつつ、大曽根櫻（ga0005）が一枚の写真を差し出した。そこには紺色のブルマ姿で走る櫻が。皆の視線が集まると、櫻は顔を真っ赤にして俯く。
「小さい頃は運動といえばブルマだった気がしますが‥‥本当に消えてしまいましたねぇ」
「日本の伝統的体操服と聞きますが‥‥最近は違うのですね。勿体ない‥‥動き易くて良いと思うのに」
　櫻の言葉を受け残念そうに、ミオ・リトマイネン（ga4310）が呟いた。実は依頼でしかブルマを穿いたことのない彼女だが、その時にブルマの良さに目覚めたらしい。
「そうですよ。思いっきり楽で動きやすいですよ、ブルマって。レギンスの様に、キツイ感じもしないし、ぶかぶかだとかっこ悪いって事も無いですし、短パンの様に隙間から下着が見えるって事も無いですからね」
　ファーリアが主張する。ちなみにファーリアの場合、スカート下のブルマは逆に下着と同類になってしまったようで恥ずかしいらしい。包み隠さずブルマ姿でいることが、彼女にとっての健全なブルマー道だ。
「ランニングスカートとの組合せもいいですよ？　お薦めします。ジョギング時に体型を気にしてスパッツにスカートを重ねる人が続出してますけど、少し野暮ったいですから」
　逆に藤田あやこ（ga0204）は、スカート下のブルマーの魅力を語る。そして店頭ＣＭ案を投げかけると、支店長は鼻下を伸ばしつつＧＯサインを出した。
「ふふ、能力者になっていろいろなコスチュームを着る機会が増えましたけど、ブルマも良いですわよね、可愛くてセクシーで。‥‥そんな可愛いブルマ、しっかりアピールしませんと、ね♪」
　皆の言葉を聞きつつ、鷹司　小雛（ga1008）が微笑む。いつもセクシーな胸元の彼女だが、今回はセクシーな美脚で頑張って貰おう。
「そうそう、店頭で普通に売られるように頑張るのだ♪　ブルママイスターとしては皆にブルマを好きになってもらわないとね♪」
　体操服とブルマ、運動靴という姿の小柄な元気娘、香坂・光（ga8414）がはしゃぐ。ブルマからのびた小麦色の脚が実に健康的だ。

●
　まずは１０〜２０代女性をターゲットとした、『健全なスポーツウェア』としての撮影が行われる。
（「‥夢理も今度、お姉さまと一緒にブルマ姿になって運動とか、あんな事とか‥‥」）
　貸し出されたブルマに初めて脚を通し、ついいけない妄想に浸っちゃう直江　夢理（gb3361）。
　脳裏に愛するお姉様のブルマ姿が甦り、太腿を擦り合わせてもじもじしちゃう。
「何してるのー？　撮影するよー」
「‥‥はっ！？　間違えました！　ブルマの売上とイメージアップですね！　目指せショップでの一般販売！　ですね！」
　妄想真っ最中に光に呼ばれ、つい聞かれてもいないことを答えつつ慌ててスタジオに入る夢理だった。

　一方、ジャージから体操服へ着替えようとしている櫻の元に忍び寄る怪しい一つの影。
「‥‥はわっ！　ジャージを脱ぐシーンなんか撮らないで下さいまし〜」
　ジャージからブルマが覗いたその瞬間にフラッシュをたかれ、慌てる櫻。
　撮影をしたのは、今回唯一の男性参加者佐渡川 歩（gb4026）だった。
「これは盗撮ではありません、自然体でいる少女らも撮影して欲しいという支店長からのお願いなんです！」
　もっともらしい理由を言う。櫻が仕方なく納得すると、歩はあふれ出そうな鼻血をティッシュの防波堤で防ぎ、カメラ片手ににやりと笑う。
（「やはりブルマを穿いている女の子はイイ！　体操服の上着とセットは特にイイ！　そこから出るすらりとした足や二の腕、不完全に出る体のライン、そして恥じらう仕草。総合的な破壊力は絶大です‥‥」）
　心の中で力説し、役得だとばかりにカメラ片手に走り回る歩であった。

　こうして撮影が始まった。

　ミオは白のラインがサイドに入った紺色のブルマに着替え、ポスターの撮影を。
　彼女がセクシーさを出すと洒落にならないのでシンプルに、キリっと遠くを見据えたミオの後ろ姿を、ややローアングルで撮影する。
　キャッチコピーは『ココロ・カラダ‥‥引き締める』
　彼女の持ち味である、腰からお尻、脚にかけての美しいラインが際だっていた。
「‥‥完成したら貰えますか？」
　知り合いに見せてあげたいのか、そう頼むミオに「喜んで！」と答える支店長だった。
　そしてファーリアは、歩が手にしたカメラに向いキメラでも相手にするような真剣な表情で、すばやく上段蹴りを放った。
　丁度最大限に開脚した所で、パシャリとシャッターをきる音がする。
「『激しく動いても、あなたをサポートできます』で、どう？」
「いいですね！　凛々しさが良く出ていました」
　ぐっと親指を立ててみせる歩‥‥ブルマ少女に蹴られそうで内心ドキドキだ。

　その後、皆で運動をする姿がＤＶＤ用に撮影された。
　脚を伸ばしたり、屈んだり‥‥二人一組で柔軟体操したり。
　その動きやすさをアピールする為に、バスケット等の激しい運動も取り入れる。
「ブルマといったらやっぱり動きやすさがいいところだし、運動との相性はばっちりだよね♪」
「体育の授業のようですね」
　光は撮影という事も忘れていそうな程、楽しそうにバスケに興じつつ動き回っていた。
　ミオも負けずと、伸び伸びとボールを操る。ドリブルから、タン‥‥と床を蹴ってシュートするしなやかな肢体がカメラに収められた。

　夢理は忍者らしいアクロバティックな動きで攻める。
「わっ、使いやすいトランポリンですねっ」
　最初は軽く跳ねながら、次第に宙返りなどの技を繰り出していく。小柄でよく動く健康的な体は女性にとっても充分魅力的だ！　回転した際にチラリと見える脇腹等もしっかりとビデオに収められる。
　そしてポスターは空中でポーズを取る躍動感ある写真と共に、『一緒に明日へ飛ぼう』というキャッチフレーズが入った。

「あとはやっぱりマット運動ですよね。ハーフパンツだと絶対見えちゃいますから」
　はみパンしない！を主張する為マットの上で前転をしてみせるファーリア。その先では歩がカメラを構え、迫りくるブルマを撮影していた。
「走るのは苦手ですけど、これなら‥‥」
　揺れる胸が気になる櫻だったが、マット運動なら‥‥と思ってチャレンジ。
「開脚前転！　開脚前転！」という歩のエールが飛ぶ撮影現場。
　その傍らでは夢理が床運動をする。
　バク転や側転を繰り出した後
「こんなに動いても大丈夫ですっ」
　と、かわいらしい笑顔と共にブルマをアピールするのだった。

　一方あやこは店頭ＣＭを作成する。
　その内容は‥‥
　研究に勤しむ元科学者のあやこ。活動場所は野外中心、元々スカート嫌いでもあり、パンツを愛用していた。
　故郷をキメラから護るため、能力者となった彼女だが‥‥エミタの移植場所が太腿だという事実に蒼然とする。移植したエミタが原因で、ズボン類が穿きにくくなるというのだ。
「え〜生涯スカート〜？」
　がっくりと項垂れるあやこに、知人役の小雛が声をかけた。
「スカート下にブルマなどいかが？」
「え？　ブルマって何」
　これがあやことブルマの出会いだった。
　それから彼女は紺に白線２本入りブルマを特に気に入り、キメラ退治もブルマ装備で大活躍！
　ミニスカを翻し武器を構え、中国棍棒術風に立ち回って見せる。
「コンマ一秒の差は戦いでもスポーツでも命です」
　実演後、今度はハーフパンツを履いてブルマとの違いを見せるあやこ。
「ハーパンだと『隠している』を意識して余計脚が鈍るというか」
　先ほどと同じ立ち回りをするが、やはり少し動きが鈍い。
「ブルマだと最初から『魅せて』ますから」
　その後もう一度ブルマに変身、くるりと回って浮いたスカートの下から美脚と紺色ブルマが覗く。
「見えても格好いいもん♪」
　カァァットォォ！　という監督兼支店長の声で、ＣＭ撮影は終了した。
　最後はランニングスカートにブルマで生脚を出し、フェミニンな乙女らしさをアピールしたポスターを撮る。
『すっきりブルマで健康美脚姫になろっ♪』
　気になるはみパン対策はこちらの同色系スポーツビキニでバッチリ！　‥‥と、同社の他製品もしっかり宣伝するあやこであった。

●
　そして『女性から見てもセクシー』路線を打ち出し、見せブラのようにアピールしようと言うのは小雛である。
「あまりフェティッシュな方向ではありませんわ。ターゲットは女性‥‥『脚が長く見える』、『お尻が綺麗に見える』と思って頂けるように撮影お願いしますわね」
「はい！　まかせてください」
　熟成されたブルマ姿を撮影しつつ、色香溢れる小雛を見て今にも鼻血を噴いて倒れそうな歩である。
　それを知ってか知らずか小雛は黒髪をかき上げつつ、ちらりと後ろを見ながら悩ましげな表情。うなじも実にセクシーだ。
　脚がより美しく見えるように、後姿をローアングルから撮影する歩。
　キャッチコピーは『Sporty×Sexy』！
　そのコンセプトを引き継ぎミュージックビデオ風の動画も撮影される。
　それは『セクシーな女性がブルマを穿いてるから、ブルマはセクシー！』というイメージを女性達に植え付けるのに充分な出来だった。

　そしてスポーツ組も、徐々にセクシー路線を押し出していく。
「汗をかいた後は水浴びなのさ♪」
　野外でのシーン撮影の為、ホースに手をかける光。
　元気な色気を全面に出したポスターを撮影後、つい悪戯心がでちゃう光。
「そーれ、みんな濡れちゃえ♪」
　と、同じシーンを撮影していた皆に、迸る冷たい水のシャワーを当てる。
「きゃ‥！　つ‥冷たいです」
　水の直撃を受け、櫻が悲鳴をあげる。そして水分を含んだせいでぴったり体に張り付いた体操服。
　ブラは透けるわ胸の大きさが際だつわで、櫻は胸を抱えて座り込んでしまった。この恥じらいもたまらない！
「光さん、私にも水をかけて下さい！」
「おっけー！」
　そしてファーリアは光の放った水を浴び、胸を隠すように腕を交差させた。
　すぐさまカメラを回す歩に対し、恥ずかしがらずに笑顔を向ける。
「『どこでも着ていけます！　濡れても透けません！』‥‥って、どうですか？」
　首をかしげて支店長と歩に問いかける。
　ファーリア本人は『自分には色気がない』と思っているようだが‥‥決してそんな事はありません！　と、撮影する歩は悶絶するのだった。

　こうして支店長大喜びの中、能力者らによるセールスプロモーションの為の撮影は終わりを告げる‥‥と思われたのだが。

●
　秘密ＤＶＤが発案された。発案者は光‥‥可愛い顔して侮れない小悪魔である。
「マニアな男性向けのＤＶＤも作っちゃおうよ♪」
「良いですわね、私も参加しますわ」
「それなら協力します、顔出しＮＧですけど。それでも知名度アップにはなるでしょう」
　光の意見に小雛とミオが賛成し、歩もよろこんで！　と撮影にまわる。
「えっ！？　そんな企画が‥‥夢理はぺたんこで色気無し‥ですが、これも修行‥」
　この一言で、夢理も撮影につきあわされる事となってしまった‥。

　場所は体育館倉庫風にセットされた薄暗いスタジオ内。
「いきなりマニアックですわね」
　新しめのマットの上で四つん這いになり、女豹のポーズでブルマに包まれたお尻を突き出してみせる小雛。布地をひっぱりその美尻に食い込ませてみたり、手をそっと脚の付け根に回し下着のレース部分を指で入れ直してみたり、露骨にフェティッシュな仕草を危ないアングルで見せつける。
「‥良い映像がとれまして？」
「は‥はぁはぁ、ばっちりです」
　男性の股間を直撃だ。
「あ、歩さん何かえっちな顔してるー」
　光がからかうように笑い、マットの上でゆっくり脚を開いた。そこに貼り付く紺色の布地は、先程より体にフィットしている気がする。
「ちょっとだけサービス♪　サービス♪」
　実は下着、つけてません。そのサービス具合はちょっとどころでは無いような。
　光がそのままマットに寝そべると、体操服の胸の辺りで小さな突起がつんと上を向く‥‥カメラを持つ歩の手が震えた。

「折角ですから、一緒に撮影します？」
　跳び箱の上で仰向けに寝るポーズをしていた夢理の上に、ミオの体が重なった。
　細身ながらたわわに実るミオのやわらかな双球が、夢理の発育中な胸の上に押しつけられ‥‥
「あっ‥‥いけません、お姉様‥‥っ」
　いつもの妄想に拍子がかかっちゃう夢理さんでした。
　上下に２つ並ぶ紺色の布地を、鼻にティッシュを詰めた歩がバッチリ撮影する。
「でも体育館倉庫と体操服って似合いますね」
　ミオが言うと、撮影を終えた光が頷いた。
「ブルマは体操服あってこそだよ♪　出来れば一般の店にも両方並ぶようになるといいんだけどねー」


●
「いやいや、有難う！　とてもよい結果が得られそうだよ！」
　ニヤニヤ支店長が礼を言う。

　能力者の協力を得て、ブルマの販売促進をしちゃおう！キャンペーンは成功を収めた。
　それぞれの狙い通り、一般女性や能力者女性に、セクシー姉さまやコスプレ少女に、そして夢理のアクションは忍者ヒーローものっぽくて子供の層にも大ウケけだったようだ。
　特に裏モノはマニアな男性の手に渡り、鼻血の海に沈むものが続出だったとか。
　ちなみに、報酬の一部は販促に使ったポスターやＤＶＤと共に現品支給になったらしい。

　そして、これだけでは終わらない男もいた。

「ふふふ‥‥やりましたよ」
　販促ＤＶＤには使えなかった映像や写真を編集しつつ、一つの動画を作る男。
　そう、彼こそ際どい没画像を集めていた歩であった。
「この宝を個人のものにしてはいけない。ブルマ愛好者の一人として、世界中の同志にブルマの火が消えていないことを知らせる使命が、僕にはあるんです！」
　鼻血で失われていく体力、しかし歩は練成治療で回復しつつさらに動画を作り続ける――出来た！
　歩は『紺色Ｐ』というＨＮで動画サイトに極秘動画を投稿する‥‥その後、やり遂げた男の顔をして気を失った。

　ちなみにその動画は。
「あらあら、盗撮動画はいけないわね〜」
　偶然動画サイトでそれを見つけた事務員・陽子（２２）に通報され、アップから１０分も経たぬうちに削除されたのだった。