タイトル:貝だらけ!マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/01/28 23:43

●オープニング本文


このキメラ‥‥一体何がしたいんだろう?

見ているだけなら、かなり笑えるんだけど‥‥。

※※※

皆さんは潮干狩りというものをしたことがあるだろうか?

地面を掘って貝発見! 簡単に言えばこんな感じなのだが‥‥。

それがキメラでも出来る――と言ったら能力者たちはどんな顔をするのだろう。

「キメラが大量発生!?」

女性能力者が驚いた表情で、少し声を荒げて叫ぶ。

「どんなキメラなのよ‥‥しかも大量発生って数はどれくらい?」

女性能力者に問われて、男性能力者が「15体」と短く言葉を返した。

「じゅ、じゅうごぉっ!?」

女性能力者は顔を青ざめさせながら叫ぶ。

普通の能力者なら『キメラの数が15体』と言われて驚かないはずはない。

そのような仕事を受けたら、自分の身が危ないと考えるからだ。

「どんなキメラなの?」

「‥‥なぁ、潮干狩りって知ってるよな?」

どんなキメラなのか、と聞いているのに男性能力者は全く関係のない言葉を返してくる。

「実は――潮干狩りキメラなんだよ」

「はあ?」

男性能力者は笑いを堪えながら大量発生したキメラについて話し始めたのだった。

●参加者一覧

御山・映(ga0052
15歳・♂・SN
クロード(ga0179
18歳・♀・AA
神無月 紫翠(ga0243
25歳・♂・SN
ベル(ga0924
18歳・♂・JG
エリザベス・シモンズ(ga2979
16歳・♀・SN
三島玲奈(ga3848
17歳・♀・SN
ミオ・リトマイネン(ga4310
14歳・♀・SN
瓜生 巴(ga5119
20歳・♀・DG

●リプレイ本文

「潮干狩りというより、生きた地雷の駆除ですね――これ」
 ため息を吐きながら呟くのは御山・映(ga0052)だった。
「潮干狩り‥‥聞いた事はあるけど初めて‥‥なのに相手がキメラ‥‥」
 ミオ・リトマイネン(ga4310)はがっくりとしながら小さく呟く。
「‥‥冬の潮干狩り‥‥それもまた‥‥味があって良いね‥‥相手がキメラだけど‥‥」
 クロード(ga0179)が身を切り裂くような冷たい風に耐えながら、ミオに言葉を返した。
「‥‥でも‥‥今回のような‥‥パターンは‥‥初めてですね‥‥まぁ、やるしかないですが‥‥」
 潜伏型のキメラ、しかも数は15体というもので神無月 紫翠(ga0243)が貝キメラが潜んでいるであろう海辺を見渡しながら呟いた。
「しかも『すぽーん!』と出てくるらしいですから‥‥気をつけないと痛いでしょうね」
 ベル(ga0924)が貝キメラが出てくる所を想像して「ぷっ」と笑いながら呟いた。
「砂中に潜んでいるのですから、すぐに被害が出るというわけではなさそうですわね。でもだからと言って放置しておくべき問題でもないですし‥‥15体と数は多いですが頑張りましょう」
 エリザベス・シモンズ(ga2979)が呟くと「私が囮になるから、皆は倒す役に徹してね」と瓜生 巴(ga5119)が能力者に話していく。
「え、危なくない? 数は15だし‥‥もし一斉に襲ってこられたら‥‥」
 三島玲奈(ga3848)が焦って問いかけると「大丈夫、それに誰かが囮にならないと攻撃しようがないでしょう」と瓜生は言葉を返してきた。
 結局、三島が止めるのも聞かずに瓜生は『囮』として貝キメラが潜む場所へと飛び出していった。
「そういえば‥‥マネキンを用意している間に『貝キメラ』の事を知っている男性能力者に話を聞いて貝キメラが現れる大体の場所を聞いてきましたよ」
 御山がメモを『貝キメラ』退治をする能力者に渡していく。そのメモには赤いペンで丸印が15個つけてあった。
「高級煙草と引き換えに仕入れてきた情報です。この辺を超機械の電磁波で貝キメラを出していきましょう」
 御山の言葉に「‥‥そうだね‥‥」とクロードが答えた。

 今回のキメラ退治の為に8人の能力者達は班を2つに分けた。
 まずA班にクロード、ミオ、エリザベス、神無月の四人。
 そしてB班に御山、瓜生、三島、ベルの四人。
「あ‥‥すみません、今回はハリセン持って来ていないんです」
 突然、御山が三島に向けて話しかける。
「え? 全身ネタの私だけど‥‥まだボケてないよ?」
 三島が苦笑混じりに言葉を返すと「あ、す、すみません」と御山が恥ずかしそうに謝った。
「さて、B班も行きましょうか‥‥」
 ベルが遠ざかっていくA班を見ながらB班の能力者達に話しかける。両端の砂浜から虱潰しに貝キメラを倒すという作戦になり、B班は向かって左側の端から探索する事になった。
「とりあえず‥‥石でも投げてみましょうか」
 ベルが呟きながら貝キメラがいるとされる辺りに石をポイッと投げてみる。

 すぽーーーーーんっ! ガキン!

「「「「‥‥‥‥‥‥‥‥」」」」
 解説しよう、最初の『すぽーーーーーんっ!』は石を投げると同時に現れた貝キメラの効果音であり、最後の『ガキン!』は貝キメラに当たって石が遠くへ弾かれた音――である。
「痛そうですね‥‥」
 貝キメラを見て、御山がポツリと呟く。確かにあの勢いで襲い掛かられたら『痛い』で済ます事など無理そうである。
「とりあえず超機械で貝キメラを燻りだして見ましょうか」
 御山が呟き、砂の中に潜む貝キメラを地面上に出す為に超機械の電磁波を使用する。
「出たっ!」
 三島が呟き、ベルが『フォルトゥナ・マヨールー』で現れたキメラに向けて攻撃をする。ベルは今回相手が物理攻撃を半減する能力を持っているという事を知り、威力の高い『フォルトゥナ・マヨールー』を装備してきていた。
 流石に威力が高いせいか貝キメラを簡単に倒すことができた。
「1体は現れたけど‥‥流石に全部は出切れなかったみたいですね」
 瓜生が倒した貝キメラを見てため息混じりに呟く。
「マネキンでおびき出して見ましょうか」
 御山が持って来ていたマネキンを貝キメラが潜む付近へと投げる――が先ほど1体が倒された事を知っているのか警戒して、中々現れない。
「やっぱり囮でいくしかないですね‥‥流石に向こうも自分に近い場所に能力者がいたら現れざるを得ないと思いますし‥‥」
 瓜生が呟き「貝キメラの撃破を頼みます」と言って貝キメラが潜む砂浜の所へ無防備に走り出した。
「ちょ――巴を止めなくちゃ!」
 三島が慌てて御山とベルに話しかける。
「能力者が怪我をしたら依頼人が気遣うか軽蔑するかのどっちかよ? 風評被害で他の能力者も迷惑するし、一般人も依頼しづらくなる。協力して!」
 三島の言葉にベルと御山は互いの顔を見合わせ、首を縦に振った。

「流石にこの辺まで来たら出てこなきゃ不味いわよ?」
 瓜生は『ディガイア』を装備し、地面の下にいる貝キメラを挑発するかのように威嚇攻撃をしていく。
 その攻撃によって貝キメラが数体現れて、瓜生は一斉攻撃を受ける――所だったが『メイドイン貝王星』と腹に書かれた怪しい人物によって貝キメラの攻撃を受けることはなかった。
「だ、誰!?」
 見るからに怪しい人物に思わず瓜生も後ずさる。
「ピー♪ 私ワ貝造人間。最防具ダ‥‥貝人デイイ」
 貝人――つまり三島なのだが、彼女は立派に変装しているつもりだが‥‥何故かバレバレだ。ヘルメット着用して腹に布団を巻いた彼女の捨て身の芸は見事としか言いようがない。
 彼女が瓜生のフォローに入っている間、御山とベルは三島のフォローに入っている。
「秘儀。初公貝」
 そういいながら三島‥‥いや、貝人は長い熊手(自作)で貝キメラを掘り起こす。
 そして掘り起こしたものをベル達のところまで投げ、それを御山とベルが倒していく。この時、一斉に貝キメラを2人の所へ投げたら、2人が貝キメラから一斉攻撃を受ける可能性がある為、貝キメラを投げるまでに少しの時間を置く。
 それを何度も繰り返し、貝キメラが姿を見せなくなったと貝人は安心した――が、背後から1体のキメラが襲いかかっている事に気づき「破貝スルゾ」と鋭角狙撃と強弾撃を使って貝キメラを倒した。
「貝決シタ、貝王星ニ戻ル時間ダ。デワ、再貝ノ日マデ‥‥シジミ」
 貝人はしみじみと涙を流しながら消えていった――‥‥と思うが、瓜生の前から姿を消した後は全力疾走で走り、変装を解いて瓜生の前に再び姿を現す。
「あれ〜? みんな、どないしたん?」
 白々しい言葉に全てを知っている御山とベルは苦笑しながら「何でもないです‥‥」と答えたのだった。
 B班が倒した貝キメラは8体、最低でもあと7体のキメラがA班側には潜んでいることになる――‥‥。


 その頃のA班は――‥‥。
「‥‥対人地雷みたいで‥‥かなり‥‥物騒‥‥」
 クロードが波音の聞きながらその手前に潜む貝キメラの事を考えて小さく呟く。
「音に反応‥‥するかな‥‥」
 ミオは呟き、呼笛で音を出してみるが貝キメラはシンとしており、出てくる気配は見せない。
「数が‥‥多いのが‥‥厄介ですね? 15とは言っても‥‥実際に数えたわけでは‥‥なさそうですし‥‥」
 神無月がため息混じりに呟く。
「厄介ですけれど放っておくわけにはいきませんわ、このキメラの実証データから新たな潜行型キメラを開発されるわけにはいきませんもの‥‥これ以上厄介になる前に退治しておきましょう」
 エリザベスの言葉に「‥‥そうだね‥‥」とクロードも相槌を打つ。
「‥‥でも、波打ち際と‥‥砂浜‥‥どちらに多くいるのでしょう?」
 クロードがポツリと呟いた言葉に他の能力者達は余計に頭を悩ませた。実際に本物の『潮干狩り』とは違うわけだから、何処に多くいるのか分からないのだ。
「‥‥ローラー作戦に‥‥なりそうだけど、頑張ろう」
 ミオが呟き、A班はローラー作戦(貝キメラばあじょん)を実行に移したのだった。

「引っ掛かった‥‥行きます!」
 ミオは呟くと同時に超機械で貝キメラを攻撃する。
 あれからマネキンを投げたりなど色々な方法で貝キメラをおびき寄せる作戦を実行していたのだが、どれにも貝キメラは食いついてくることなく、少し長めの棒で砂浜を叩きながら貝キメラをおびき寄せる『石橋叩いてすぽん』作戦をしていた。
「大地の震動‥‥空気の流れ‥‥意識を集中し、五感を研ぎ澄まし、周囲を読み取れば‥‥」
 クロードは呟き、貝キメラが浮上してくる一瞬の空気の差を読み取り豪破斬撃と急所突きを使用して貝キメラを倒していく。
「ったく‥‥数が多いな。しかも硬いから攻撃が中々効かない‥‥こうなったらとことんまでやってやろうじゃないか」
 貝キメラとの戦闘が始まると神無月は低く呟き、長弓『黒蝶』を構えて仲間に当たらないように攻撃をしていく。
「援護はするが、トドメは任せる――俺じゃ決定打にならない」
 神無月は現れた貝キメラが仲間に攻撃しないように長弓『黒蝶』で貝キメラの気をひきつける。
「皆様に聖ジョージの加護のあらんことを!」
 エリザベスは呟きながら貝キメラに攻撃をしていく。
 もちろん、超機械で攻撃する能力者達は自分自身が攻撃されては元も子もないので射的距離ギリギリまで下がり貝キメラを攻撃している。 
 それから延々と同じ作業の繰り返しでA・B班両方で15体の貝キメラ退治を行いきったのだった。
「任務達成‥‥」
 ミオが安心したように呟くと「もしかしたらまだいるんじゃ‥‥」とベルが呟き、今度は全員でローラー作戦をしたのだった。
「ところでこのキメラのモチーフってアサリでしょうか? シジミでしょうか? それとももっと別のとか‥‥」
 外見はアサリにしか見えないのだが、大きさがサザエより一回りくらい大きいものだ。
 結局『貝キメラのモチーフ』とB班に現れた『貝人』の謎だけは解き明かされないまま任務は終わったのだった‥‥。
 ちなみに『貝人』に関しては一部のみが知っている。
「まぁ‥‥謎は残りましたが‥‥他の人に‥‥被害が出る前に‥‥対処できたので‥‥善しとしましょう‥‥」
 神無月の言葉に「そうですわね」とエリザベスが言葉を返し、貝キメラという名の地雷退治を終えた能力者はUPC本部へと帰還していった。
 

END