タイトル:週刊記者と宿泊旅行6マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 7 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/04/28 14:25

●オープニング本文


 久々の旅行だよ!
 今回もわけあり物件な感じがするけど、みんながいれば大丈夫だよね!
 ‥‥というわけで、しゅっぱーつ!

※※※

 ―― 能力者のみんなへ! ――

 こーんにちはー! クイーンズ記者のマリちゃんだよー!
 今日はみんなにお知らせがあってハガキを送らせてもらいましたー!
 普段、キメラやバグアと戦って疲れてるみんなを癒してあげたいなーと思って、
 みんなを旅行に誘っちゃうよー!
 ‥‥場所は書いておくから、参加する人はハガキをマリちゃんに送ってねー!
 んじゃ、そういうことでー!

 マリちゃんでした!

※※※

 これが数日前に能力者たちに届いたハガキだった。
 文章だけを見れば、確かに土浦 真里(gz0004)が能力者たちを労うために‥‥と見えるのだが‥‥。
 とある場所でキメラが出現して困っている事を知ったマリが能力者たちに退治してもらう代わりにタダで泊めてね☆ という事なのだ。
「せっかくマリちゃん的にも久々の旅行だし、何を持っていこうかなー♪」

●参加者一覧

終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
小鳥遊神楽(ga3319
22歳・♀・JG
威龍(ga3859
24歳・♂・PN
玖堂 鷹秀(ga5346
27歳・♂・ER
玖堂 暁恒(ga6985
29歳・♂・PN
群咲(ga9968
21歳・♀・AA
佐倉・拓人(ga9970
23歳・♂・ER

●リプレイ本文

―― 週刊記者との旅行 ――

「やっほーぃ、今回も頑張ってキメラ退治してねー!」
 大きな荷物を抱えながら土浦 真里(gz0004)が能力者達へと言葉を投げかける。
「今回は犬が相手か‥‥」
 終夜・無月(ga3084)が資料を読みながら呟く。
(でも、戦闘の後にゆっくり出来るっていうのは良いですね)
 終夜は心の中で呟く。
「まぁ、マリさんから旅行の誘いを受けた時からこういう事なんじゃないかって思ってたけどね‥‥」
 苦笑しながら小鳥遊神楽(ga3319)が呟く。マリと付き合いの長い能力者ならば、絶対に何かあると予想していたらしく、キメラがいると聞いても驚く事はなかった。
「確かにな‥‥相変わらずうまい話を見つけてくるのがうまいな、マリは。まぁ、ホテル側にとっても悪い話じゃないしな」
 今回も乗せられてやるよ、と言葉を付け足したのは威龍(ga3859)だった。
「温泉も久しぶりですねぇ、存分に堪能する為にも手早くキメラを片付けましょう」
 マリの夫でもある玖堂 鷹秀(ga5346)が呟くと「‥‥おい」と彼の兄でもある玖堂 暁恒(ga6985)がため息交じりに弟へと言葉を投げかける。
「急に呼び出すから何だと思えば‥‥まあ、良い。暫く戦い続けだったからな‥‥骨休めくらいはしておくか」
「そうそう! 休む時はちゃーんと休まないと駄目だよー? お義兄ちゃん♪」
 暁恒の背中をバシバシと叩きながらマリが呟き、苦笑して「そうだな」と彼は言葉を返した。
「ふむふむ、今回はワケあり‥‥っていうかキメラありの温泉街とな、OK! ここはあたしがひと肌脱いであげよう!」
 群咲(ga9968)がドンと自分の胸を叩きながら呟くと「ぬ、脱ぎながら戦うの? 何て破廉恥なっ!」とマリが本気なのか冗談なのか分からない口調で言葉を返してきた。
「‥‥と言っても別に脱衣麻雀とかするわけじゃないからね? むしろ本気で脱いだら大変だと思うよ」
「(戦闘はあるけど)たまには家事の事を忘れて、旅行を楽しませてもらいます」
 にっこりと穏やかな笑みを浮かべてマリに言葉を投げかけるのは佐倉・拓人(ga9970)だった。
「うん、まぁ存分に感謝すると良いよっ!」
 胸を張りながら言葉を返すマリの隣では、鷹秀が「うちの妻がすみません本当にすみません」と何度も頭を下げていた。
(相変わらず玖堂さんは苦労してるのね‥‥)
 そんな彼の姿に小鳥遊はホロリと涙しそうになりながら心の中で呟いていた。
「それでは、そろそろ向かいましょうか」
 終夜が呟くと「そうだね! それじゃ旅行にレッツゴー!」とマリが言葉を返しながら、能力者達、そしてマリは温泉街へと出発していったのだった。


―― キメラ捜索 ――

 今回、キメラが現れたのは森の中。鬱蒼としており昼間でも薄暗く感じられるが、光源を用意しなければならない程の暗さではなかった。
「キメラは何処かな、何処かなっ」
 旅行の筈なのに、しっかりと取材道具も持ってきているマリを見て能力者達はこっそりとため息を吐いた。
「出来ればホテルで待っていて欲しかったんですけど‥‥」
 終夜が呟くと「ちょっとぉ!」とマリが不満気にビシッと終夜に指を指しながら返し、言葉を続ける。
「マリちゃんから取材を取ったら何が残るって言うの! 色々残るけど、マリちゃんにとって取材は切り離せない物なの! 分かった!?」
「‥‥は、はぁ」
「でも、戦力としては十分だと思うし、マリさんがいても大丈夫だと思うわ‥‥というより、マリさんを置いて行った方がこちらの仕事が増えるような気がしてならないし」
 小鳥遊が苦笑気味に呟くと「確かに」と夫である鷹秀も呟く。
(無茶をする人だとは知ってますが、これほどまでとは‥‥)
 終夜も二人の表情を見て、かける言葉が見つからなかった。
「でも、マリだけでクイーンズの面々を置いてきたと言うのは正直頂けないな。シズやチホに悪いと思わないのか?」
 呆れたように呟くのは威龍。クイーンズの記者の中には彼の恋人もいる事から、僅かではあるけれどマリに対して怒りを感じずにはいられないのだろう。
「大丈夫よ。ちゃんと後から休みをあげるつもりなんだから。しかも私の倍以上の休みをね」
(仲間の事をちゃんと考えているのか、考えていないのか‥‥相変わらずよく分からん)
 威龍は苦笑しながら「‥‥そうか」とだけ言葉を返した。
「でも、マリさん‥‥今回はうまくいったから良いようなものの、これからはきちんと事前に説明するようにした方がトラブルを招かなくて良いと思うわよ」
 小鳥遊がマリを諌めるように言葉を投げかける。
 確かに今回、能力者達は集まってから『キメラ退治』があるという事を知らされていた。だから小鳥遊が心配するのも無理はなかった。
「うん、次からは気を付けるー」
(本当に分かってるのかしら、マリさんは‥‥)
「やれやれ、どうやらお出ましのようだぜ?」
 暁恒が蛍火を構えながら前方を見ながら呟く。他の能力者達も視線の先を追うと資料にある犬型キメラが2匹、能力者達を見て、駆け出し始めた。
「ハッ! 野良犬風情が牙を向くか? 良いぜ、キッチリと躾けてやろう!」
 暁恒が呟き、能力者達はそれぞれ戦闘を開始した。


―― 戦闘開始・能力者 VS キメラ ――

 戦闘が開始して最初に動いたのは佐倉だった。彼は先見の目を使用した後「トラップショット!」と叫びながら、超機械・ビスクドールで攻撃を仕掛ける。
「悪いけど、連携して動いてもらうわけにはいかないの」
 佐倉の攻撃を受けたキメラに近づき、小鳥遊はドローム製SMGでキメラに攻撃を仕掛けながら呟く。
「正直、オーバーキルな戦力な気もするが、温泉を楽しむ為にとっとと沈んでもらうぜ」
 威龍は呟き、スキルを使用しながらキメラへと近づき、愛用の爪でキメラを斬り裂く。
「さて、私は真里さんのお守をしていますかね」
 鷹秀は呟き、スキルを使用しながら能力者達の武器を強化する。
「バルセロナの‥‥花売りムスメッ!」
 群咲はスキルを使用し、自分の技を披露しながらキメラに攻撃を仕掛ける。
「ほらほら、よそ見ばっかりしてると、とんでもない事になっちゃうんじゃない?」
 群咲は最初の一撃を仕掛けた後も、突き刺したりなどして何度もキメラを攻撃している。
「ライトアロー!」
 佐倉は星弓・サジタリウスを構え、キメラへと向けて放つ。
「逃がしません」
 佐倉の攻撃を受けて退いたキメラを追いかけ、終夜がスキルを使用しながら攻撃を繰り出す。
「これで終いだ」
 暁恒がキメラへと強力な一撃を繰り出し、一匹目のキメラを退治する。そして能力者達がもう一匹のキメラへと視線を向けると、既にそちらも瀕死に近い状態だった。
「まぁ、ついてないって言ったらそれまでなんだけどね」
 武器についた血を払いながら群咲が呟き、キメラへと向けて駆け出す。逃げ出そうとしたキメラを小鳥遊が射撃で撃ち、逃げられないように足止めをする。
「この後、温泉に行けるというのは良い事ですね。戦闘での疲れをゆっくりと癒せます」
 佐倉は群咲がキメラを退治するのを見ながら、小さな声で呟いた。


―― キメラ退治終了! 残すはバカンスのみ ――

「今回は本当にありがとうございます」
 キメラ退治を終え、宿泊するホテルへと向かうと、従業員が勢揃いしていて全員から頭を下げられる。
(何て言うか、弱味に付け込まれただけのような気もするんだがな‥‥)
 暁恒は心の中で呟いたが、決してそれを口にする事なかった。
「もうすぐに夕食の準備も終わりますので、時間に合わせて宴会場の方へお越し下さい」
 従業員が丁寧に頭を下げた後「あたし、お風呂入って来ようかなー」と群咲が呟く。
「そうね、折角だから血の匂いを落としてからゆっくりしたいわね」
 群咲の言葉に小鳥遊も頷き「じゃあ、マリちゃんも行くー!」と荷物を鷹秀に預けて、3人は浴場へと向かい始めた。
「夜は夜で温泉に入るとして、やっぱり食事前に血の匂いを落としておきましょうか」
 佐倉が呟き「ですが‥‥」と終夜をちらりと見る。
「勿論、覚醒を解いてから入ります‥‥よね?」
 覚醒状態では女性化する終夜に鷹秀が言葉を投げかけると「もちろん、そのつもりですよ」と終夜は首を傾げながら答えた。
 その言葉に男性能力者達はホッと胸を撫で下ろす。たとえ本来が男性でも覚醒化して温泉に入れば『イヤーン☆』な状態が待ち構えているからだ。

「うおーぅ、いいお風呂‥‥広すぎてむしろ寂しいわー」
 あはは、と笑いながら群咲が呟く。確かに彼女の言う通り、他に人がいないせいか、浴場もガランとしていて寂しい気持ちになってしまう。
「男湯の方にも呼びかけてみるかね?」
「そうね、さっき男性用の露天のドアが開く音がしたし、多分みんな露天にいるんじゃないかしら?」
 小鳥遊が群咲に言葉を返し、ニッと群咲は悪戯っぽく笑みを浮かべた。
「鷹秀さーん! マリさんが気合いいれて体磨いてるよー!」
「ちょっ、な、何を言ってるのさ!」
 体を洗っていたマリが慌てて群咲の方へと駆け寄る。
「そういえば、終夜さんって覚醒を解いたのかしら‥‥あたし達がお風呂に入る前はまだ覚醒状態だったみたいだけど‥‥」
 ポツリ、と小鳥遊が呟き「‥‥え」と群咲、マリも言葉を返す。
「終夜さんはこっちに来てぇぇぇぇ! 体は男で心も男で、でも今は女の子ォォォ!」
 男性能力者達の中に混じって、女性化している彼が入っている所を想像したのかマリが慌てて叫びだす。
(確かに危ないわよね、視界的に)
(面白いけど、危ないよね、視界的に)
 小鳥遊と群咲は互いの顔を見合わせて心の中で呟く。
「何を勘違いしているのか知らんが、今は覚醒解いてるぞ」
 壁越しに聞こえてきた威龍の言葉に「な、なんだ。それなら良かった‥‥」と女性陣は心の底から安堵のため息を吐いた。
(‥‥どうしたんでしょう?)
 だけど、当の本人は騒ぎの意味を分かっておらず、きょとんとした表情で温泉を満喫していた。
 その後、のぼせる前に上がろうとしたマリを追いかけて「マリさーん、コーヒー牛乳飲もうよ」と群咲が誘ってくる。
「いいね! 温泉って言ったらコーヒー牛乳だもんね!」
 自販機でコーヒー牛乳を買い、2人は腰に手を当ててグイッと一気に飲み干す。
「‥‥‥‥ぷはぁ〜、やっぱり温泉の後のコーヒー牛乳は格別だねぇ」
「‥‥何やってるのかしら」
 バスタオルを巻いただけの状態でコーヒー牛乳を飲む2人を見て、小鳥遊は苦笑しながら着替えを始めていた。

 お風呂からあがった後、能力者達は宴会場へと向かい、豪華な食事を頬張っていた。ホテル側はキメラを退治してくれたお礼という事もあり、いつも以上のもてなしを能力者達へと行っていた。
「今日は月も綺麗に見えますから、もう一度露天に入られる事をお勧めしますよ。ですが、12時を超えると混浴になってしまうので気をつけて下さいね」
 従業員はそれだけ言うと宴会場から出て行き、能力者達は再び食事を取り始める。
「そういえば、簡易バーがあったわね。時間がある人はそこで飲み直さない?」
 食事が終わり、それぞれどうするか、という話が出た時に小鳥遊が提案をした。
「そうだな、このまま部屋に戻って寝る――というのも味気ないしな」
 威龍が少し考えた後「先にバーの方に行っておく」と言って席を立った。

「これ、みんなで飲もうと思って持ってきたんだ!」
 群咲が取り出したのは持参してきた地ビール。
「あまりいけるクチではないのですが‥‥これは美味しいですね」
「あ、俺も一杯もらおうか」
 鷹秀と暁恒が群咲の隣に座り、彼女が持ってきた地ビールを飲み始める。
「そういえばさっきは何してたの?」
 優雅に酒を飲む佐倉にマリが問い掛ける。
「あぁ、髪の手入れをしていたんですよ。戦前は椿の油とかつけていましたが、今は物資が少ないですし‥‥今は植物の絞り汁や牛のお小水などを使う事もありますね」
「へ、へぇ‥‥マリちゃんはあんまり髪の手入れとかしてないなぁ‥‥」
「この黒髪は私のこだわりの一つですゆえ」
 確かにさらりと流れるような黒髪は女のマリから見ても綺麗だと思えるもので、普段から手入れをきちんとしているんだろうという事が伺える。
「貴女も一緒に如何ですか?」
 終夜がマリにグラスを差し出し「うん、飲む飲む〜♪」と一気にそれを飲み干した。
「あ〜ぁ、もうマリさんったらあんなに一気に飲んじゃって‥‥それにしても今回は残念だったわね」
 小鳥遊が苦笑しながら威龍へと言葉を投げかける。
「‥‥‥‥何の事だ?」
「静流さんがいない事よ。当然期待したんでしょ?」
 からかうように問いかけてくる小鳥遊に「‥‥まぁな」と威龍はグラスを呷りながら短く言葉を返した。
「しかし‥‥俺もだが、神楽も付き合いが良いよな。まぁ、どこか憎めないからな、マリの奴は」
「そうね。色々と長い付き合いだしね、お互いに。でも分かった事が一つあるわ」
「分かった事?」
「男女の友情は難しいと言うけど、マリさんを通じて苦労を共にしているからかしら? 威龍の事は良い友達だと思ってるわよ」
 小鳥遊の言葉を聞き「そうだな、でも――」と威龍が言葉を続ける。
「無茶だけはするなよ? 噂の恋人さんに悪いからな」
「‥‥お互いに、ね」
 かつん、とグラスを鳴らし、2人は何杯目になるか分からない酒を飲みほした。

「寝る前にお風呂はいろーっと♪」
 12時を過ぎ、それぞれ部屋に戻っていく中でマリは露天風呂へと向かっていた。
「‥‥‥‥何故、鷹秀がここに!」
 貸切〜♪ とはしゃいでいたのも僅か数秒。露天の中には鷹秀が「や」と手を挙げながらマリを見て笑っていた。
「奇遇ですね、こんな時間に一緒になるなんて。風呂で夫婦水入らず、ですね」
「いやいやいやいや、マリちゃんの方が恥ずかしいから鷹秀は照れないでよ!」
「‥‥そんなに離れなくてもいいのに、今さら恥ずかしがるような仲でもないでしょう」
「分かったから黙ってて! 余計に恥ずかしくなるじゃん!」
 マリは鷹秀の背中に背中をくっつけて言葉を返す。
 しかし、2人は気づいていないのだろう。ホテル内へと続くドアの所に数名の能力者達が月見酒をしようとして来ていたことに。
(流石にこの雰囲気の中、邪魔をする勇気はありません)
 佐倉は心の中で呟き、しょんぼりとしながら、部屋へと戻って行ったのだった。


END