タイトル:もやしと真っ白な日マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/03/23 02:35

●オープニング本文


は?

バレンタインにチョコを貰ってないからお返しはいらないだろうって?

バッカじゃないの?

何をそんなにセコい事を言ってんのよ。

そこは貰ってなくても10倍返しするのが男ってモンでしょうが。


※※※

「もーいーくつねーるーと、ホワイトデー♪」

本部ではキルメリア・シュプール(gz0278)が楽しそうに歌いながら受ける任務を選んでいる姿がある、

「ホワイトデーにはお返しもらってー、男ー破滅ーさせるのよー♪」

恐ろしい替え歌を歌っているのを聞きながら、キリーの周りにいる男性能力者はがたがたと震えていた。

だが‥‥。

「な、なぁ‥‥その歌ってちょっとおかしくないか?」

勇気ある男性能力者がキリーに言葉を投げかけたが‥‥。

「うるさいわよ、このヘタレハゲ。私はあんたになんか話しかけてないわよ。失せろハイパーロリコン」

「‥‥‥‥」

いつもに増して毒舌、いや‥‥この場合はただ単なる言葉が悪いとしか言いようがない。

とにかく、勇気ある男性能力者はキリーの毒舌によって10倍返しされてしまい、
精神的に立ち直れそうになかった。

「よし、この任務にしよう」

任務を決め、男性能力者をへこませ、キリーは楽しそうに呟いたのだった。

●参加者一覧

土方伊織(ga4771
13歳・♂・BM
Anbar(ga9009
17歳・♂・EP
白虎(ga9191
10歳・♂・BM
仮染 勇輝(gb1239
17歳・♂・PN
神咲 刹那(gb5472
17歳・♂・GD
クレミア・ストレイカー(gb7450
27歳・♀・JG
ガル・ゼーガイア(gc1478
18歳・♂・HD
春夏秋冬 立花(gc3009
16歳・♀・ER

●リプレイ本文

―― 貰ってないのに要求、それがもやしクオリティなんです ――

「さぁ、今日が何の日か分かっているわよね? 貰ってあげるからさっさと出しなさい」
 キルメリア・シュプール(gz0278)が手を差し出しながら、これ以上ないくらいの偉そうな態度で能力者達へと言葉を投げかけた。
(はわわ、ホワイトデーは貰った人がお返しする日なのに、何で貰ってないまおー様から要求されるのですかー‥‥)
 心の中で叫びながら土方伊織(ga4771)が呟く。ちなみに彼はバレンタインにチョコをくれた人には全てお返しはしている。
(‥‥あげてもない奴から要求するって、ある意味凄いな)
 Anbar(ga9009)は冷めた目でキリーを見ながら心の中で呟く。彼にとってキリーはスルー対象でしかないようだ。
「バレンタインに逆チョコを毟り取られた挙句にホワイトデーでも搾取されるとは‥‥!」
 白虎(ga9191)は拳を強く握りしめ、震える声で呟く。
「ここは一つ、しっと団総帥としてホワイトデーの中止を――ぐはっ!」
 白虎の言葉は最後まで紡がれる事はなかった。なぜなら、キリーからの往復びんたが炸裂したからである。
「ごちゃごちゃとうるさいから、さっさとお返しを寄越しなさいって言ってるのよ」
 分かってんの? と鳩尾を殴りながらキリーは言葉を付け足す。
「っていうか貰ってもいないのに、何でお返しなんだー!」
 白虎の叫びは尤もである。貰っていないのに『お返し』にはならないのだから。
「ゆーき、あんたもまさか持ってきてないって言うの?」
 ジロリとキリーが仮染 勇輝(gb1239)に言葉を投げかけると「まさか」と彼は笑いながら、持ってきた『ふわもこスリッパ』を渡す。
「俺がキリーさんへの贈り物を忘れるわけないじゃないですか」
 素直にプレゼントを貰えた事でキリーの機嫌が少し良くなり、くるりと白虎の方を向いて‥‥「見習えよ、馬鹿」と眉をひそめながら言葉を投げかけたのだった。
(はわわ、いつもよりまおー度が高いような気がするのは気のせいですかぁー)
 土方も自分に被害が来る前に『ホワイトマシュマロ』と『キャッツアイリング』を素直に差し出す事にした。
(こ、これじゃボクの株が下がるだけなのにゃー!)
 白虎も慌てて母親と一緒に作ったホワイトチョコでコーティングしたクッキーを差し出したのだった。
「ボクはないからね。だってボクはキリーから貰ってないし。0に何をかけても0にしかならないから、何もないよ」
 神咲 刹那(gb5472)は両手を挙げながらキリーに言葉を返した――が、怒ったキリーによって脛を蹴られてしまう。
「久しぶりね、約1年、ご無沙汰になるわね」
 クレミア・ストレイカー(gb7450)がキリーに挨拶をすると「女でも容赦しないわよ。お返しを寄越しなさい」と手を差し出しながら、キリーが言葉を返した。
「‥‥‥‥」
「ないなら用はないわ、とっとと引っ込みなさい」
 ぷい、と顔を背けながらキリーが呟くと「そんな酷い事を言うものじゃないわ」とクレミアは悲しそうな表情で言葉を返した。
「お返しは貰った人がするものなんだから――「うるさいわよ、乳魔人」――‥‥」
 クレミアの言葉はキリーの辛辣な言葉によって遮られる。
「久しぶりだな、もやし! 正直寂しかったぜ! あとチョコ下さい!」
「引っ込め、馬鹿」
 ガル・ゼーガイア(gc1478)がキリーに挨拶&チョコの要求をするが、びしっと斬り捨てられてしまう。
「‥‥お、俺なんて」
 地面に膝をつきながらがっくりと項垂れるガルだったが、これくらいで諦める彼ではない。
「仕方ねぇ‥‥! これで俺の気持ちが分かるだろ!」
 どーん、とガルが出してきたのはプラチナリング。結構な値段の物だろう。
「‥‥うわぁ、10倍返しとか言ったけど、それは引くわぁ‥‥」
 一歩後ずさりながらキリーが呟く。
「え、ちょ、ちょっと待て! それならこれはどうだ!」
 ガルが慌てて『【雅】振袖』を取り出して、キリーへと差し出す。
「‥‥まぁ、貰ってあげなくもないわね」
 いそいそとキリーはガルから振袖を受け取る。
「やっほ、元気にし「あぁ、ないむね大王ね」誰がないむねかぁぁぁぁ!」
 春夏秋冬 立花(gc3009)が怒りを露にするが「はっ」とキリーは鼻で笑う。
「もし、私があんたに向かって乳魔人って言ったらどうするわけ? ないむねの奴に乳魔人なんて言ったら、それこそ失礼ってもんでしょう? そんな事も分からないわけ?」
 ダメダメすぎるわね、と肩を竦めながらキリーが呟き、春夏秋冬は次の言葉を紡ぐ事が出来なかった。
「そ、そうそう‥‥ホワイトデーだからどうぞ」
 春夏秋冬は気を取り直して、持ってきたクッキーをみんなに分け始める。
「へぇ、うまいもんだな」
 Anbarがクッキーを食べた後、ぽつりと言葉をもらす。
「そう? ありがとう! あ、総帥とドMさん? 勿論――――私のもありますよね?」
 春夏秋冬の言葉に、白虎とガルは食べていたクッキーを落としそうになってしまう。
「そ、そそそそそんな‥‥」
「べ、べべべべべ別に‥‥」
 2人ともあからさまに動揺して、視線を泳がせている。
「さぁ、ちょっと修羅場になるかもしれないので俺の作ったクッキーでも食べて待っていましょうか」
 仮染は春夏秋冬と同じように手作りクッキーを能力者たちに振り分ける。
 ちなみにキリーの分のクッキーだけ、こっそりとハート型だった。
「ホワイトデーもいいが、とりあえずキメラ退治に向かった方がいいんじゃないか?」
 春夏秋冬によって(ピー)された2人を見ながらAnbarが苦笑しながら呟く。
「そうね、まずはキメラ退治を終わらせてしまいましょうか」
 クレミアが呟き、能力者達は高速艇に乗り込んで目的地へと出発し始めた。
「誰か、俺たちの怪我に気付いてくれ‥‥」
 ガルが高速艇の中でポツリと呟いたが、言葉を返してくれる者は誰もいなかった‥‥。


―― キメラなんて、毎回空気なんですけど仕事なんです ――

(今回のキメラさんはもの凄く他人事のように見えないのです‥‥)
 土方は心の中で呟きながら、小さくため息を漏らした。
(せめて苦しまないよーに退治して欲しーですけど‥‥)
 土方は周りをちらりと見てみるが、自分の願いが無理だと言う事を知らされただけだった。
「ま、苦労はしなさそうなキメラだと思うけど‥‥油断はしないようにするか。油断していて足元を掬われないとも限らないからな」
 Anbarは小さく呟き、周りへの警戒を強める。大して広くもない場所なので、キメラ捜索にも時間がかかる事はないだろう。
「まさかどこぞのふんどし傭兵並に役に立たないばかりか、足を引っ張るような不心得なのは、ここにいないよな?」
 Anbarはちらりとキリーを見ながら呟く。
「まさか、私はいつも真剣に見学してるわよ」
 戦闘には参加しないのかよ、とAnbarはツッコミを入れたくなる。
「この雷光の竜騎士がいる限り、もやし様には指一本触れさせんぞ!」
 ガルが大きな声で叫ぶが(‥‥つまり、何かされるような事をするという事か?)とAnbarは心の中で呟く。
「でも、これだけ人数が揃っていたらキメラ戦も苦労しないと思うけどね」
 クレミアは呟きながら、拳銃・ヘリオドールを構える。
 能力者たち(おもに一部)がぎゃあぎゃあと騒ぎながら廃村を歩いていたせいか、キメラの方からひょっこりと姿を現した。
「は、はわわ‥‥かわいそーですけど、倒れてほしーのですよー」
 土方はキメラを同類だと判断したのか、躊躇いながら攻撃を仕掛ける。
「貴様ァァァ! いきなり現れたらこのドッグフードはどうすればいいのだ!」
 餌につられて出てくるようにと、白虎がドッグフードを用意していたのだが、使用する間もなくキメラの方から出てきてしまった。
「素直に出てきて怒られるって‥‥」
 春夏秋冬が苦笑しながら呟き、キメラへと攻撃を仕掛ける。
「さて、最初から全力で行かせてもらうかな」
 仮染も雲隠を構え、春夏秋冬の攻撃に合わせて彼自身も攻撃を仕掛けた。
「そちらばかり気にしていていいのかしら?」
 クレミアは呟き、キメラの死角となる場所からキメラの足を狙って射撃を行う。
「うおおおお、さっさと退治してしまうに限る! もやしお姉ちゃんが何もしないうちに!」
 白虎は叫びながらガラティーンを振り回して攻撃を仕掛けた。白虎が攻撃を仕掛けやすいように、Anbarが中衛から射撃を行い、キメラの動きを封じる。
「てめぇなんざお呼びじゃねぇんだよ!」
 オラァ!! と叫びながらガルがスキルを使用してキメラへと攻撃を仕掛ける。
「犬さん、ごめんね」
 春夏秋冬は呟いた後、ガルの攻撃を受けて動けないキメラにトドメを刺すように機械刀を突き刺したのだった。
(はわわ、今回もキメラが哀れだったのですぅ‥‥)
 土方だけがキメラを哀れに思い、こっそりと手を合わせていたのだった。


―― キメラ退治したけど、彼女は何もしていないんです ――

「‥‥‥‥で?」
 キメラ退治が終わった後、Anbarがズゴゴゴ、と効果音を出しながらキリーに言葉を投げかけていた。
「働きもしないくせに仲間に対して横柄な態度を取っている、ふんどし傭兵にも劣るくそ女。そんなにプレゼントが欲しいなら、くれてやろうか? お前さんが他の傭兵に対して行った横柄な態度、暴力を10倍返しにしてな」
 ぽき、と指を鳴らす彼を見てもキリーは動じる様子はない。
「男の娘は黙っていればいいと思う」
 ぼそっと呟いた言葉にAnbarの怒りボルテージが上昇していく。
「な、何だと! 男の娘は――ボクとわんこだにゃ!」
「な、何で僕もなんです!?」
 白虎が妙な対抗心を燃やしていたが、相手にされていない。
「もやし様に指一本触れさ「邪魔よ、このドM!」ぐふぁ‥‥」
 キリーを守ろうとしたのに、何故かキリーに攻撃をされているガル。その表情は――‥‥少しだけ幸せそうに見えたのは気のせいなのだろうか。
「ねぇねぇ、2人とも――‥‥」
 Anbarとキリーがにらみ合っている中、クレミアが満面の笑みを浮かべながら白虎と土方の2人に近寄る。
 その笑顔を見て、嫌な予感がしたのか、後ずさるのだが――クレミアに掴まってしまい、その豊満な胸へと2人を埋められた。
「へぇ、白虎くんも伊織くんもやるもんだねぇ」
 口笛を吹きながら、からかうように神咲が言葉を投げかける。
「‥‥白虎さん、不潔ですよ」
 ぼそりと仮染も呟き、2人は慌ててクレミアから離れようとするのだが、彼女がそれを許さない。
「どう? 柔らかいでしょー?」
「ぎにゃああああ!」
「た、たすけてーですぅ!」
 その様子を見ていたガルは「何故、何故俺にはあんな役目が回ってこないんだ‥‥」と膝から崩れ落ちながら嘆き始めた。
「ガルさんガルさん、落ち込んでる所を悪いんだけど――‥‥お返しは?」
 春夏秋冬は良い笑顔でガルへと手を差し出し、ガルは更に落ち込み――いや、むしろ春夏秋冬に対して恐怖し始めたのだった。
「だーかーらー、あんた達がしっかりしてれば私が働かなくてもいいわけでしょ? 大体、男なら女のためにきりきりと働いたらどうなの? このヘタレ男の娘が!」
「‥‥お前、本当に大石以下だな――!」
 拳を強く握りしめ、怒りに体を震わせながらAnbarが低い声で呟く。
「ねぇねぇ、キリー。お取込み中に悪いんだけど、アレは良いの?」
 神咲が笑顔で指差した方には――クレミアの胸に顔を埋めて喜ぶ(←キリー視点)白虎と土方の姿があった。
「‥‥あんたたち‥‥」
 ゴゴゴゴゴ、と激しい効果音と共にキリーが2人の元へと歩き始める。

『その時の彼女は、まさに魔王と呼べる雰囲気をもっていました、まる』

 後日、白虎と土方はそう語る。

「こ、これは何かのまちが――「問答無用!」ふぎゃ!」
 バチーンと気持ちの良い音が響き、続いて土方にも同じ音の攻撃がお見舞いされた。
(あれって、嫉妬なのかしら‥‥?)
 クレミアは首を傾げながら、怒り狂って攻撃をしまくるキリーをみながら心の中で呟いていた。
(キリーちゃんも素直に『何私以外の女と喋ってんのよ!』とか言っちゃえばいいのに)
 春夏秋冬も攻撃をされる白虎と土方を哀れに思いながら、心の中で呟いていた。
(‥‥そういえば、何で俺はキリーさんを好きになったんだっけ)
 仮染は心の中で疑問に思いながら、首を傾げる。
「そういえば、最近はセクハラしないんですね」
 同じく疑問に思った事を神咲に問い掛けると、神咲は人差し指をたてながら笑顔で答える。
「いつもいつもやっていたら慣れちゃうからね。こういうのは、意表をついてやるからこそ、いい反応が見れるってものだよ」
 笑顔で答える彼を見て「‥‥つまり、セクハラをやめるつもりはないと」と仮染はがっくりと項垂れながら言葉を返したのだった。

 そして、能力者たちは本部へと帰還したのだが――何故か、簡単な任務で異常に頬を腫らしている白虎と土方の姿が見受けられたのだとか‥‥。
 さらにAnbarのお仕置きはガルと仮染が何とか彼を宥めて、キリーに被害がいく事はなかったのだった。

END