タイトル:もやしと南瓜祭マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/11/10 00:45

●オープニング本文


ハロウィンと言ったら南瓜でしょ?

とりあえず、南瓜で私を楽しませなさい。

※※※


下僕達へ

私からの手紙なんて感謝なさい。

南瓜食べたいし、南瓜で遊びたいから、何かしてくれる?

楽しい催しを期待してあげるから、期待に応えられるように精一杯励みなさいよ。

ちなみにそっちまで出向くの面倒だから、こっちまで来なさいよ。

それと朝の10時に集合だからね、時間厳守よ。

あと5時にはアニメを見るから帰りなさいよ。


※※※

これが数日前に能力者達へと届いた手紙(招待状)だった。

もちろん差し出し主はキルメリア・シュプール(gz0278)であり、彼女らしく真っ黒な便箋に真っ赤なペンで文字が書かれている。

招待状には違いないが、地獄へ案内されそうな気がするのは、きっと気のせいではないだろう。

「なんだ、これ‥‥」

げんなりとしながら手紙を見ていた男性能力者は「見なかったことにしよう」とバッグに手紙をしまおうとした――――が。

「見なかったことにしようとか意味わかんないんですけど。本当に見えなくしてやろうか?
 このヘタレクズ万歳野郎が」

背後から現れた魔王少女・キリーに頼まれ(脅され)手紙をもらった者は強制的に参加させられることとなってしまったのだった。

●参加者一覧

終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
土方伊織(ga4771
13歳・♂・BM
百地・悠季(ga8270
20歳・♀・ER
白虎(ga9191
10歳・♂・BM
仮染 勇輝(gb1239
17歳・♂・PN
神咲 刹那(gb5472
17歳・♂・GD
諌山美雲(gb5758
21歳・♀・ER
ガル・ゼーガイア(gc1478
18歳・♂・HD

●リプレイ本文

―― 南瓜祭、開始 ――

 今回、能力者達はキルメリア・シュプール(gz0278)の我儘から始まった南瓜祭へ強制的に参加させられる事になった。
 その事を喜んでいる者、嘆いている者、様々だったけれどとりあえずカオスになる事は間違いなさそうである。

(はわわ、流石まおー様。これは何の冗談です? どーみても、この招待状‥‥死刑宣告ですぅ)
 無茶振り過ぎるのですよー、と嘆きを心の中で叫んでいるのは土方伊織(ga4771)だった。毎回キリーからの八つ当たりをされている彼としては叫びたくなるのも無理はないだろう。
「俺の所にも手紙が来ました‥‥」
 終夜・無月(ga3084)も手紙を見ながら小さな声で呟く。
「よく来たわね、下僕共‥‥歓迎してあげるから感謝なさい」
 キリーが腰に手を当て、ふんぞり返りながら能力者達を出迎える。
「鬼ごっこ以来ですね‥‥宜しくお願「宜しくして欲しいなら、まず目線を合わせなさいよね。ヘタレ」――宜しくお願いします」
 キリーに言われ、目線を合わせて挨拶をやり直す終夜だったが、あやうくキリーから目つぶしを食らいそうになり「駄目ですよ‥‥キルメリア」と子供のように頭を撫でられて宥められていた。
「はーい、新米ママの登場よっと‥‥その勢いで思いっきり可愛がるからねぇ」
 百地・悠季(ga8270)が惚気をまき散らしながらキリーの頭を撫で、挨拶をする。
「キリーさん、今日は招待してくれてありがとうね」
 諌山美雲(gb5758)が挨拶をした瞬間「手ぶらは帰れ」とばっさり切られてしまう。どうやら顔馴染みであっても『手ぶら』という事実が許せないようだった。
「ふふふ、お土産の代わりに南瓜のお菓子をいっぱい作ろうかなって思ってるんだ♪ だから、キッチン貸してね?」
 諌山の言葉に「それなら仕方ないわね、貸してあげなくもないわ」と言葉を返すと「あたしも下拵えしたのを持ってきてるから一緒に行くわ」と百地も言葉を挟んできて、2人は一緒にキッチンへと向かって行った。
「トリックオアトリート‥‥ってももももももやし!?」
 ガル・ゼーガイア(gc1478)は出迎えに来るのはきっと使用人だろうと思っていたのか、驚かせようとパンプキンヘッドを被って来ていた。
「‥‥へぇ、あんた私を驚かせようとしたわけ? へぇ? 帰る? ねぇ、あんた帰る?」
 ジリジリと詰め寄りながら呟くキリーに「あ、いや、その‥‥お菓子あげるから中にいれてくれ!」と南瓜のマフィンを差し出して懇願していた。驚かせるつもりだった筈なのに、何故かガル本人が驚く羽目になっていた事に誰もツッコミを入れる者はいなかった。
「それに‥‥あんた、早く入ったら?」
 キリーが呆れたように門の所にいる仮染 勇輝(gb1239)に声をかける。彼は時間に遅れないように一時間も前から門の所に待機していたのだが、入るタイミングを逃してしまい、いつ入ろうかと悩んでいた。
「使用人が門の所に怪しい人いるんですって騒いでたわよ」
 仮染は本格的なヴァンパイアの格好をしており、シュプール家の使用人達から怖がられてしまっていた。しかし本人は寒かったのか、がたがたと震えている。
「中で温かい紅茶でも飲んでなさいよ、こんな事で風邪なんて引いたら馬鹿よ、筋金入りの馬鹿よ、寝込んでるあんたの所に行って高笑いしてあげるわ」
(その時は見舞いに来てくれる――って考えでいいのかな)
 素直じゃないキリーの言葉に甘え、仮染は屋敷の中に入る事にした。
「「あああああ!?」」
 ほとんどの能力者達が屋敷に入った頃、門の所で騒ぐ声が聞こえキリーが行ってみると‥‥。
「‥‥まさかの衣装被りね‥‥」
 白虎(ga9191)と神咲 刹那(gb5472)は雪だるまに青い帽子を被った格好をしていた。
「な、何でそんな恰好してるのにゃ!」
「そっちこそ‥‥何で被るかなぁ‥‥」
 白虎と神咲は盛大なため息を吐いているが、それ以上に冷めた目で見ているのはキリーだった。
「ほら、さっさと入りなさいよ。あんた達以外揃ってるんだからね」
 キリーは雪だるま2人を蹴りながら屋敷の中へと運ぶ。
「ちょ、キリー!? これ丸いんだから蹴ると転がるって‥‥」
「にゃああ、目が回るんにゃー!」
「当たり前でしょ、転がしてるんだから。ほら、さっさと入れ」
 キリーによって2人は屋敷へと運ばれ、パーティーが開始されたのだった。


「今日はパパが子守りですか?」
 キッチンでは諌山と百地がママ談義に花を咲かせていた。
「ううん、随時育児所で預かって貰ってて今もそうね」
「子育ては多分、今が一番キツい時期だと思いますよ? 睡眠も取れないし」
「確かに‥‥熱中すると生活リズムが引きずられるから自分の体力消耗を省みないからねぇ‥‥ずーっと世話したいけど、ほどほどに距離おくよう努力してる」
 同じ母親と言う事で話が合うのか、2人は料理を作る間ずっと子育ての話をしていた。

 そして客間では料理が出来るまでの間、土方がキリーや能力者達に紅茶とお手製の南瓜クッキーを振る舞っていた。
「美味しい紅茶の淹れ方を披露するのですー」
 途中、土方はシュプール家の使用人から「ここで働こうよ、そうしようよ」と勧誘されていたが、絶対に自分の命を縮める職場だと思い、断固拒否していた。
「あれ? 総帥は?」
「そういえば、キルメリアの部屋に行くって2人で出て行きましたけど」
 終夜が作業を行いながらガルに言葉を返す。
「えっ! ちくしょう、出遅れた! パーティーだからこそ隙が出る、それを総帥が狙わねぇはずがねぇ!」
 ガルは鬼のような形相で叫び(しかしパンプキンヘッドを被っている為、表情が見えない)キリーと白虎を追いかける為に客間から出て行ったのだった。
「あれ? さっきの雪だるまの格好は?」
 いつの間にか着替えてきたらしい神咲に仮染が言葉を投げかける。
「あのまま着ていても暑いからね」
 神咲の言葉に「確かに暖房効いてる部屋の中じゃ暑いだろうな‥‥」と小さな声で呟き、仮染もガルを追いかけて行ったのだった。

 その頃、キリーの部屋では‥‥。
「母上と一緒に作ったのです〜♪」
 白虎は荷物の中から南瓜ドレス、ウサギの着ぐるみ、鬼娘、魔女っ子の衣装を取り出した。その中でも鬼娘の露出度が半端ないのは白虎の趣味なのか母親の趣味なのか‥‥。
「もしかして一緒に作りたかった?」
「そうね、一緒に作ってあんたの口を縫い上げてみたかったわ」
 ど、どんな拷問にゃー‥‥と白虎は震えながら「とりあえず着てみるといいのにゃ」と全部の衣装をキリーに渡した。
「総帥ッ! 何処だー!」
 勢いよくドアを開けてやってきたのはガル。そして次の行動がいけなかった。
「もやしを何処に隠したんだ!」
「にゃあああ! そ、その部屋は開けては駄目にゃー!」
 白虎が止めたのだが、時既に遅しだった。
「‥‥‥‥」
 そう、部屋の中ではキリーが『着替え』をしている最中であった。もう一度言おう、着替えの最中だった。
「こ、こんのド変態共がぁぁぁぁ!」
「な、何で俺まで‥‥」
 運悪く部屋に入って来てしまった仮染も覗き魔一派とされ、キリーから殴られる&正座で説教をされる羽目になってしまったのだった。

「‥‥な、何があったのですー?」
 4人が客間へと戻ってきた時、その場にいた能力者達全員が驚いた。何故か両方の頬を最大限にまで腫らしていたのだから。
「い、一体何をしたらそんな事になったのわけ?」
 料理をテーブルに並べていた百地が3人の顔を見て、土方の言葉に続いて問いかけた。
「何でもないわ。ただ私の着替えを覗いただけよ、ねぇ?」
「覗き!? そんな事をしたんですか!」
 諌山も驚いて、3人をジロリと見る。しかしタイミングが悪かっただけで本当に3人は覗くつもりはなかった。特に仮染は本当に運が悪かったとしか言いようがない。
「‥‥ま、まぁ‥‥楽しいパーティーなんですから、押さえて下さい。キルメリア‥‥」
 終夜が苦笑しながら先ほどまで作業していた物をキリーに渡す。パーティーが始まる前、終夜はキリーに屋敷の中でどの部屋が一番好きなのかという事を問いかけており、南瓜をくり抜いて、南瓜の中に部屋を再現するというとても可愛らしい物に仕上げていた。
「わぁ、凄い!」
 それを見たキリーは凄く喜び、叩かれた3人は(くっ、良い所を奪われた)と心の中で叫んでいたのだった。
「そ、そういえばまおー様はさっきいなかったので聞いてなかったですぅ。トリックオアトリート?」
 土方は崖の上から飛び降りる勢いでキリーへと問いかける。先ほど白虎達が客間にいない時、他の能力者達には問いかけており、お菓子をくれない人には激辛クッキーを振る舞うという悪戯をしていた。
「‥‥はぁ?」
(はわわ、や、やっぱりむぼーだったですぅ)
 ぷるぷると震えながら激辛クッキーをキリーへと渡す。ここで激辛クッキーを渡せる彼は誰よりも度胸があるのかもしれない。
「‥‥食べていいのね? 本当にこれ、私が食べていいのね? 後悔しないわね?」
 何度も念押しをされ、終いには土方の恐怖心の方が勝ってしまったのか「ぼ、僕が食べさせてもらいますぅ」と激辛クッキーを自分で食べる羽目になっていた。
 度胸はあったが、最後までその度胸を貫く事が出来なかったようだ。
「さ、皆さんで食べましょう!」
 辛さに悶える土方をそのままに、諌山がテーブルに並べられた料理を見ながら能力者達へと言葉を投げかけ、それぞれ席についたのだった。
 百地が用意したのは南瓜プリン、南瓜まん、玉子スープ、揚げ餃子、杏仁豆腐、梨ゼリーで、諌山が用意したのは南瓜のスイートポテト風、南瓜プリン、南瓜タルト、南瓜スープだった。
 そして仮染も自作の南瓜ケーキをテーブルに並べたが、女性陣の作った物を見て躊躇してしまっていた。
「これ、とてもおいしいですね‥‥」
 終夜が杏仁豆腐を食べながら呟くと「まぁ、私の為に作られた物だから当然よね」と何故かキリーが大威張りしてみせていた。
「私は南瓜プリ――「ふはははっ! お菓子はいただいたぞ!」――馬鹿虎ァ‥‥」
 キリーが食べようとしていた南瓜プリンを奪い「このお菓子を返してほしかったらボクと勝負だにゃ!」とびしっと指差しながら叫ぶ。
「僕が勝ったらデート‥‥じゃなかったキリーお姉ちゃんのお菓子を食べちゃうのにゃ!」
 白虎が叫ぶが、言葉の途中に本音が出ているのは気のせいだろうか。
「ちょ、白虎さん!?」
「それならまず俺が味見をするぜ! もやしの為にな!」
「ちょっと! 何で取り合いなんてしてるんですか! 沢山あるんだからわざわざキリーさんのを取り上げなくてもいいでしょう!」
 諌山が怒ってキリーのプリンを取り返そうとする――がスープを持ったままというのがいけなかった。
「あっ!」
 お約束と言うか王道というか、諌山は足を滑らせ、スープは‥‥もちろんキリーの方へと向かって行く。
「キリーさん!! ‥‥っうおおおお! あっちいいい!!」
 キリーを庇い、仮染は頭から煮え滾ったスープを被ってしまう。
「だ、大丈夫ですか! な、何か拭く物を‥‥」
「‥‥それは俺の尻尾です」
 慌てた諌山は狼の格好をしていた終夜の尻尾で仮染の顔を拭いてしまう。
「ちょっと‥‥美雲!? 貴方は動かない方が‥‥って何でフォークが空を舞ってるの!?」
 飛んでくるフォークを避けながら百地はこの場にいては命が危ないと感じたのか、部屋の隅っこへと移動する。
「うん、これ美味しいね」
 別の着ぐるみを来たまま神咲は落ち着いてプリンを食べている。もちろん頭にフォークが刺さっているのだが、着ぐるみのおかげでダメージはない。
「き、貴様らー! そこまでボクの邪魔をしたいのかー!」
 キリーに勝負を仕掛けた筈がカオス降臨しており「何故こうなったー!」と部屋の中心で白虎が叫んでいる。
「よし、この勢いならば言える! もやし! お菓子あげるから彼女になってくれ!」
 指輪の形をした南瓜クッキーをキリーに差し出しながら、ガルが告白を行う――が。
「うおおおお! させるかぁぁぁぁぁっ!」
 ごろごろと転がってくる雪だるま――いや、白虎がガルに攻撃を行っていた。
「ボクの邪魔をしたくせにー! そんな事は許さんぞおおお!」
 ごろごろとガルの上を転がり、クッキーはポーンと宙を舞い‥‥「お、これ美味いな」とシュプール家の使用人、サスケの口の中へと入ってしまった。
「おおおおい! 俺の必死の告白アイテムをおおお!」
 むしゃむしゃと食べるサスケに涙目になって抗議をするガルだったが、サスケ本人には何の事か分かっていない。
「ゆーきっ!」
「え? グハッ」
 呼ばれて振り向いた途端、顎パンチを受けてしまう。仮染はヴァンパイアの格好をしているのは他の能力者達も分かっていたが、八重歯まで本格的にしている事は本人にしか分からない。したがって顎パンチを受けた仮染は既に大ダメージを受けてしまっているのだ。
「‥‥お、おぉ‥‥」
 顎を押さえながら「な、何で殴ら‥‥痛いッ」と息も絶え絶えにキリーに言葉を投げかける。
「何で廊下のど真ん中に棺桶が置いてあるのよ! しかも中でうちの使用人が寝てたんだけど!」
「えっ!? それは知らない! どこに置こうか迷って確かに廊下に置いたままにして忘れてたけど! 中身は知らない!」
 ドッキリをしようとして棺桶を持ち込んでいたのだが、勝手に棺桶の中で寝ている使用人の話を聞いて仮染の方がドッキリである。
「もう、何が何だかのカオスだねぇ‥‥」
 カオス空気の中でまったりと食べている神咲こそ、本当のカオスなのかもしれない。どうやったらこの空気の中でまったり出来るのか、恐らくキリーですら出来ない事だろう。

 そして、南瓜祭という名前のカオスパーティーも終わりに近づき、諌山と百地は片づけをした後に家族の所へと戻っていく。
「子供を迎えに行かないとね、また来るわね、キリー」
「今度はもっと熱いスープを作りますね!」
 百地と諌山が言葉を残して去っていくのだが、諌山は何故か「美味しい」ではなく「熱い」という言葉を残しており、残った能力者達に恐怖心を与えていた。
(さすがにこの流れでバナナは食べられぬ!)
 おやつで持ってきていたバナナを見ながら白虎は心の中で呟く。恐らく彼がバナナを食べてしまえば、確実に『王道』が待っている事だろう。
(何でバナナを持って悩んでいるのか分からない。でも何か突っ込んだら大変な事になりそうだから黙っておこう)
 隣でバナナを真剣な目で見つめる白虎を不思議に思いながら、仮染も心の中で呟く。

 そんなこんなでカオスになってしまったパーティーは終わり、キリーから『楽しかったから、また今度呼んであげてもいいわよ』と黒い便箋に赤いペンで書かれた手紙が能力者達へと届くのだった。


END