タイトル:風流・秋マスター:水貴透子

シナリオ形態: イベント
難易度: 普通
参加人数: 13 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/10/26 00:13

●オープニング本文


食欲の秋。
読書の秋。
スポーツの秋。

人によって色んな秋があると思うけれど、あなたにとっての『秋』は何ですか?

※※※

「秋を楽しみたいよね、秋を」

雑誌を見ながらポツリと呟いたのは土浦 真里(ga0004)だった。

「よし、決めた。色んな人を集めて、色んな秋を楽しめばいいのよ!」

人に迷惑をかける事も厭わない真里が言い始めたのだから、誰も止めることができないという事も当然のことだった。


――

能力者のみなさん、こんにちはー!

週刊個人雑誌の編集長、マリちゃんだよ!

は? そんな雑誌なんて知らない? むしろマリちゃんを知らない?

まぁ、そんな細かい事は水でも川でも炎の中にでもポイっとしちゃえばいいと思うよ。

あーっと‥‥今回はみなさんにお知らせっていうか招待状っていうか、まぁ、そんな感じかな。

とある公園を借り切ってるから、みんなで『秋』をしようよ!

食べ物持ち込むもよし、遊び道具を持ち込むもよし、とりあえず楽しければよし!

みんなで楽しい『秋』にしちゃおーね!

ちなみにマリちゃんの他にも何人か呼んであるからねー!

マリちゃんでした!

――

このような手紙がさまざまな能力者に向けて発送され、マリも『秋』を楽しむ為に準備を始めるのだった。


●参加者一覧

/ 西島 百白(ga2123) / 威龍(ga3859) / UNKNOWN(ga4276) / 土方伊織(ga4771) / 玖堂 鷹秀(ga5346) / 白虎(ga9191) / 水無月 春奈(gb4000) / リュウナ・セルフィン(gb4746) / 東青 龍牙(gb5019) / エイミー・H・メイヤー(gb5994) / ガル・ゼーガイア(gc1478) / ラサ・ジェネシス(gc2273) / 立花 零次(gc6227

●リプレイ本文

―― 秋らしい事をしよう ――

 今回のイベントは、クイーンズ記者である土浦 真里(gz0004)が企画した『秋らしく騒ごう』というもので、公園を貸し切って能力者達も招待された。
「‥‥相変わらず、マリは自由だな。まぁしおらしいマリなんてのは想像も出来ないが」
 せっかくのお誘いだし久々に腕を振るうとするか、と苦笑しながら言葉を付け足すのは威龍(ga3859)だった。
「――大石、またバグアに狙われるかも、しれん‥‥いまだ正体の掴めぬ謎のバグア」
 くっ、と悔しそうに呟いているのはUNKNOWN(ga4276)であり、謎のバグアの正体も彼だったりする。
「はわわ‥‥」
 そして公園の前で立ち、がくがくと震えているわんこ――土方伊織(ga4771)はこの先に起こるであろう様々な出来事を考え、公園の中に入れずにいた。
(秋を楽しみたいって言う真里さんのご意見は尤もだと思うのです。思うのですけどー‥‥キリーさんが居たら絶対、本気に無敵で楽しめないですからー。僕的に、今日の良き日がでんじゃらーす日和なのですぅ)
 がたがたと震える土方だったが、恐らく考えている事がだだ漏れだったのだろう。
「こんの馬鹿犬が!」
 背後から強烈な飛び蹴りを受けてしまい、ずざーっと地面に倒れこむ。
「誰のせいで楽しめないって言うのかしら? ねぇ、答えてよ、犬。まぁ‥‥答えられたら、の話なんだけどね」
 キルメリア・シュプール(gz0278)は土方の前に立ち、それはもう驚異的な笑顔で言葉を投げかけていた。
(はわわ、開始早々で僕ぴーんちですぅ!)
「おおう、若いって素晴らしいねぇ」
 それを見ていたマリ(でも止めない)が夫である玖堂 鷹秀(ga5346)に言葉を投げかける。
「そうですねぇ、あの暴れっぷりは何処かの誰かさんを思いだすような気もしますが‥‥まぁ、微笑ましい事にしておきましょう」
 玖堂は苦笑しながら呟き(でも止めない)久しぶりにマリと一緒に外出できる事が少しだけ嬉しく思っていた。
(だ、誰か止めてー。僕しんじゃうー!)
「‥‥ふぅ、桃色か‥‥」
 遠くをぼんやりと見ているのは白虎(ga9191)だった。いつもならば桃色を発見すれば『リア充粛清じゃー!』と追い掛け回す彼なのだが、今回はいつもと違い、たそがれているようにも見える。
(最近空回りばっかだよー‥‥こんなので桃色総帥とか言われたって僕もどうしていいかわかんないよー)
 はぁ、と二回目のため息を吐きながら白虎は落ち葉を見ながら心の中で呟いていた。
「こんにちは、お久しぶりです。今日は楽しませてもらいますね」
 水無月 春奈(gb4000)がマリに挨拶をした後、室生 舞(gz0140)の所へと向かう。
「こんにちは、舞さん。今日はオペレーターの仕事はお休みですか?」
 舞に問い掛けると「はい。今日はお休みをいただきました」と水無月の問いに答える。
「お互い、普段は忙しいですし今日くらいはゆっくり休みましょうね」
「そうですね、あ‥‥向こう側に荷物置く場所がありますから案内しますよ」
 まだ荷物を持ったままの水無月に気づき、舞が荷物置き場へと案内する為に2人はその場を離れた。
「にゅ〜‥‥外は寒いのら〜、コタツでぬくぬくしたいのら〜‥‥」
 冷たい風が吹くたびに身を竦ませながらリュウナ・セルフィン(gb4746)が呟く。
「コタツの中でぬくぬくしているのもいいですけど、こうやってお外でご飯を食べたり遊んだりするのもいい事ですよ」
 うう、と唸るリュウナを見て東青 龍牙(gb5019)が苦笑しながら呟く。
「さぁ、秋を楽しみましょう! リュウナ様!」
「龍ちゃん! 龍ちゃん! 色んな秋があるって聞いたけどどんな秋なりか!」
 リュウナが飛び跳ねながら東青に問い掛け「そうですねぇ‥‥」と東青は『秋』について考え始める。
「秋と言えば、読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋と色々ありますので、リュウナ様の好きな秋もきっとあるはずですよ」
 東青の言葉に「にゃら! リュウナはモフモフの秋がいいのら!」と手を挙げながらリュウナが言葉を返す。
「‥‥はぁ‥‥そんな秋が‥‥あるはず、ないだろ‥‥」
 呆れたように言葉を挟んできたのは西島 百白(ga2123)だった。
「ひゃくしろー! なにやってるのらー!」
 背後から現れた西島にリュウナが問い掛けると「‥‥暇つぶしだ‥‥」と短い言葉を返す。
「西島さんも来ていたんですね‥‥少し、嬉しいです」
 東青が呟く。けれど最後の言葉は小さな声だったせいか、西島に届く事はなかった。
「ひゃくしろー! モフモフの秋がないってどういう事なのらー!」
「‥‥リュウナ様、普通に考えてありません‥‥まぁ、どうしてもモフモフって言うのなら‥‥」
 東青はリュウナの首にマフラーを巻きながら「小さいですが、モフモフの秋になるかもしれませんね」と言葉を付け足した。
「へぇ、色んな人がいるもんだな‥‥す、すごいな。あの人は‥‥」
 エイミー・H・メイヤー(gb5994)が来ている能力者達を見ながら呟き、その中でも明らかに異質である大石・圭吾(gz0158)を見ながら苦笑する。
「おおう、今日はいつもより寒いのに褌一丁とは‥‥」
 エイミーにつられるようにラサ・ジェネシス(gc2273)も視線を移し、褌一丁で「はっはっはっはっは☆」と何が楽しいのか歯を輝かせながら笑っている大石を見て呟いた。
「アレでイケメンでもアタシは勘弁だわー‥‥無理無理。まぁ、アタシの好みとは真逆なんだけどね」
 鵺(gz0250)が首を振りながら何度も「ありえないわ」と呟いている。
「おお、ここが会場か!」
 ガル・ゼーガイア(gc1478)は招待状になっている手紙を持ちながら公園へとやって来ていた。
「招待状なんて初めて貰った気がするぜ!」
 ガルは手紙を見ながら呟き、折角『秋を楽しもう』と来たのだからと秋の味覚を持参してきて他の能力者達や記者達に振る舞う事を決めていた。
「お、も〜やし! 今日のお前は女神みたいだな! 美味いもん食わしてやるから楽しみに待ってろよ!」
 ガルがキリーに言葉を投げかけると「‥‥不味かったら、あんたの頭をカボチャの代わりにかち割るからね?」と物騒な言葉が返ってきた。
「こんにちは、キルメリアさん――それにしても『風流』なんてキルメリアさんに似合わないこと『バキッ』ヴぁっ‥‥す、すみません‥‥つい、本音が‥‥」
 立花 零次(gc6227)が呟いている途中でキリーからアッパーが繰り出されて、立花は顎を押さえながら謝っていた。
「お、鉄太! これから調理始めようと思うんだけどちょっと手伝ってくれねぇか?」
 ガルが七海 鉄太(gc0263)に言葉を投げかけると「わかった! 手伝う!」と嬉しそうにガルの方へと駆けて行ったのだった。
「はいはいはーい! ちょっと皆ちゅーもーく!」
 ある程度の人数が揃った所でマリが大きな声で叫び始める。
「とりあえずー、これから適当に皆で『秋』を楽しんでちょーだいね! 注意事項として破壊とか迷惑行為はダメー! そういう事する人がいたら誰であっても強制退場にしちゃうんだからねー! はいっ、これで注意おわりー! 皆楽しんでねー!」
 マリの言葉が終わると、それぞれが行動を開始したのだった。


―― 秋の始まり始まり ――

「あぁ、桃色してる人いるなぁ‥‥皆寄ってたかって好き放題、桃色、桃色って言うけど全然桃色になってナイヨー、進展なんてないよー‥‥」
 がっくりと項垂れながら(薄)桃色総帥の白虎が呟く。
「ぐぬぬ、こうなったら恥も外聞も捨てて相談してやるから答えろっ!」
 くわっと表情を険しくしながら『ねぇ、どうやったら桃色になれるの? 教えてにゃー☆』大作戦を決行する事にしたのだった。

「‥‥桃色、ですか?」
 白虎が最初に聞きに向かったのは舞だった。
「まぁ‥‥自分から聞きに来るなんてよっぽど追い詰められているんですね」
 水無月がさらりと酷い事を言うが、今の白虎にそれを気にしている余裕はなかった。
「押してダメなら引いて見ろとか、引いてもダメならごり押しで殺っ‥‥やっちゃえって感じじゃないですか?」
((ええええ、何か怖い!!))
 先ほどの水無月よりも酷い、そして尚且つ怖い事を満面の笑みで言う舞に白虎と水無月は心の中で(この人は怒らせちゃダメかもしれない)と思ったのだった。

「よぉし、撮るぞ! 2人とももっとくっついてくっついて! 3、2、1、SMILE!」
 ラサと鵺の写真を撮る為に、エイミーがカメラを構えている。
「ほらほら、もうちょっとこっちに来なさいってば」
 鵺が自分の方にラサを抱き寄せて呟く。もちろんその事で真っ赤だったラサの顔が更に赤く染まったのは言うまでもない。
(そういえば、最近依頼ばかりで鵺殿に会ってなかったナァ‥‥恋する乙女としてはヒジョーにマズイのではないカ)
 ラサは心の中で呟き、ちらりと鵺を見るが、そんな事は気にしていない様子だった。
「‥‥ねぇ、ところでそこで湿っぽくしてる子は何なのかしら‥‥」
 遊具の陰からジトーっと見ている白虎を見ながら鵺が苦笑して呟く。
「いや、どうやったらそんな桃色になれるのかと、しゅ、粛清の為に聞いてやっても構わないのだぞ!」
 何様だよ、とツッコミを入れたくなるくらい上から目線の言葉なのだが、素直に『ボクも桃色になりたいんだにゃー☆』と変換して聞こえなくもないので、3人は小さく笑った。
「しっと団でも秋は人恋しくなるものなのかな?」
 エイミーが白虎に問い掛けると「そ、そんなんじゃないのにゃー!」と慌てて否定する――が、真っ赤な顔を見ている限り肯定と取っていいのだろう。
「鵺殿、悩める白虎殿に何かアドバイスはないカナ?」
 ラサが鵺を見ながら問いかける。
「そうねぇ、どうせキリーちゃんでしょ? ああいう子って意外と押すタイプに弱いんじゃないかしら? 頼れる所とか見せるといいんじゃない?」
 鵺の言葉に(今までにも頼れる所、何度かあったのにゃ‥‥)と白虎は心の中でツッコミを入れていた。
「やぁ! 悩める子供よ! 俺が適確なアドバイスをしてやろう!」
 きらーん、と輝く歯を携えてやってきたのは言わずとも知れた大石。
「恋のそうd「参考にならん、帰れ」」
 大石が何かを言う前に白虎がきっぱりと言い放つ。確かに白虎が「参考にならん」というのも間違いないだろう。何が嬉しくて未だかつて浮いた話が1つもない男にアドバイスされなくてはならないのだ、と叫びたくなるのだから。
「適確なアドバイスって言うなら、まず適確な格好してから来なさいよねって感じじゃない?」
 ぷ、と小さく笑いながらん鵺がエイミー、ラサ、白虎にこっそりと言葉を投げかける。
「うおおお、誰かためになるアドバイスをしてくれる奴はいないのかっ!」
 白虎は叫びながら『桃色になる為の必勝法』を探しに公園の中を駆けだすのだった。

「ほら、どんどん持って行ってくれ」
 威龍が持ってきた料理(から揚げ、エビチリ、酢豚、焼売、回鍋肉、青椒肉絲など)を入れた保湿容器を出しながら能力者達へと配っていく。
「‥‥へぇ、これはスープですか?」
 玖堂が威龍に問い掛ける。威龍は保湿容器の他にもカセットコンロと鍋を持参してきており、ピリ辛中華スープを作っていた。
「あぁ、日中はまだ少し暖かいとはいえ、さすがに夕方になれば冷え込むからな。今日も俺特製の中華スープを振る舞わせてもらうぜ」
 文句を言わせないだけの味をしたものを提供するつもりだ、と威龍は言葉を付け足して再び調理に取り掛かった。
 その近くではガルも料理をしており、松茸ご飯、栗ご飯、焼き椎茸などを作っていた。
「そこにデザート用の焼き芋と柿を―――ってあぁ! 柿がねぇ!」
 調理をしながらガルが大きな声で叫ぶ。それもそのはず、デザート用にと取っておいた柿が全てなくなってしまっているからだ。
「あ、私が食べてあげたから感謝なさい」
 どこまでも上から目線と態度でキリーが口の周りを拭きながら「さて、次は何を食べようかしら」と別の方へと行ってしまったのだった。
(他の奴が全部食ったっていうより、もやしが全部食った方がよかったのかもしれないけど‥‥あれだけの柿を食い尽くすって、すげぇな、もやし‥‥)
「ガルさん、ガルさん。この焼き芋美味しいですー」
「あああ! 今度は焼き芋か! って食い尽くすなよ!? 食い尽くすんじゃねぇぞ!?」
 もぐもぐ、と可愛らしい仕草で土方が焼き芋を食べている事に気づき、先ほどのキリーを思い出して『全部食うな』と念を押す。
「わあ、これ鷹秀が作ったの?」
 少し離れたベンチではマリと玖堂が2人で座っており、ハートが飛び交うくらいにピンクな雰囲気だ。桃色ではなく、ピンク。大人な雰囲気なのは気のせいだろうか。
「秋の行事と言えば遠足、そして遠足の醍醐味はお弁当ですよね? というわけで簡単ながらお弁当を作ってみました」
「ありがとう♪ でも考える事は同じだねぇ‥‥」
 苦笑しながらマリは荷物の中からお弁当箱を取り出す。
「皆用のお弁当とは別に、鷹秀用のお弁当を作ってきたん――ってわぁ! た、たたたたた鷹秀!? 皆見てるから離れてー!」
 玖堂は嬉しさのあまり、マリに抱き着く。もちろん他の能力者達が見ている事は知っていたが、はっきり言って『知った事ではない』という心境である。
「あらあら、なんだか良い雰囲気ですねぇ‥‥」
 それを見ていた水無月が苦笑しながら呟く。
「はぁぁぁ‥‥結局良いアドバイスは得られなかったにゃー」
 ぐったりと疲れ果てた白虎がとぼとぼと哀愁を漂わせながら歩いている。
「キリーさんは照れてるだけだと思いますよ? 人を好きって言葉に出すのは、なかなか難しいですからね」
 水無月が呟き「ね、キリーさん?」と白虎の後ろに立っているキリーを見る。
「ぎゃーー!? ちょ、違うのです、違うのですー!」
 あばばばば、とエラーを起こしながら白虎が否定するのだが「何が違うんですか」と水無月がツッコミを入れる。
「が、ガル君が呼んでるんじゃないのー? む、向こうに行けばー?」
 いじけながら白虎がキリーに言葉を投げかけると、キリーは無言でつかつかと白虎に近寄ってきて‥‥。

 すぱ――――――――んっ

 勢いよく叩かれた。
「い、痛いのにゃーーー! 何するにゃー!」
「一度だけ、聞いてあげるからちゃんと心して答えなさいよ――色んな食べ物とかあるから、一緒に回ってあげてもいいわよ? どうする?」
 不敵な笑みを浮かべながらキリーが白虎に言葉を投げかける。
「そ、そんなの「ちなみに断ったらぶっ飛ばすけど」ボクに選択権はないのかにゃー!」
 慌てながら白虎が叫ぶが「そうよ、あんたに選択権も拒否権もないんだからさっさとついてきなさい」とキリーが言葉を返した。
 それを見ていた水無月は(お互いに素直じゃないですねぇ)と心の中で呟いていた。
「水無月さん、皆あっちでご飯食べてますし、ボク達も行きましょう」
 舞が水無月を呼びに来て、向こうへ行こう、と促すが水無月は真剣な表情をしながら「舞さん」と言葉を返す。
「‥‥この前は、せっかく追い詰めたのに取り逃がしてしまって‥‥すみません」
 この前、それが何を指すのか舞にも分かっていた。
「次は、必ず捕まえますから」
 水無月の言葉を聞いて「‥‥やめましょう」と小さな声でポツリと呟く。
「え?」
「今日は折角楽しい日なんですから、お仕事の事とか、嫌な事とか、言い方は悪いですけど忘れて楽しみましょう」
 ね、と呟く舞に「‥‥そう、ですね」と水無月も微笑みながら舞と一緒に広場の方へと向かい始めたのだった。
「こんにちは、栗を使ったマフィンです。デザートにでもいかがですか?」
 能力者達が用意したご飯や記者側が用意したお弁当などを食べている者達に、立花が持ってきたマフィンを差し出していく。
「おおぅ、これは美味しそうな! ありがとうー!」
 マリにも渡し「遅くなりましたが、今回はお招きありがとうございます」と挨拶を行う。
「お菓子ならこっちにもあるからね」
 エイミー、ラサ、鵺は他の能力者達よりも早めに食事を終わらせて3人で用意したお菓子を能力者達に配っていた。
「にゃ! おばけの絵が描いてあるのにゃ!」
 エイミー達からもらったかぼちゃパイとプリンを見てリュウナが喜んでいる。そのパイとプリンにはリュウナも言った通り、チョコペンでジャックオーランタンの絵が描かれており、秋らしいお菓子になっていた。
「まだ食い足りない奴とかいねぇか? まだ松茸ご飯とか残ってるから遠慮なく食ってくれな!」
「‥‥もらおう‥‥」
 西島が3人分のご飯を貰い、東青とリュウナに「‥‥食え‥‥」と松茸ご飯が入った紙皿を差し出す。
「‥‥あっちで‥‥後から‥‥焼き芋を焼くから‥‥食いたければ、来い‥‥」
 西島の言葉に「いもー!」とリュウナが喜びながら松茸ご飯を頬張る。
「そういえば‥‥たき火で‥‥何かを処分した‥‥記憶が‥‥あるんだが」
 西島がポツリと呟くと「にゅ〜、確かに何かを燃やした記憶があるのにゃ〜」とリュウナも首をかくりと傾げながら呟く。
 しかし『何』を燃やしたのかが記憶にさっぱりなく「まぁ、いいか」という雰囲気になった時――‥‥。
「燃やしたのは俺の褌だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
 大石が号泣しながら叫びまくる。
「俺はその恨み、忘れた事はない‥‥罪なき褌が1人1人燃やされていったのを、忘れた事は‥‥「今、忘れてましたよね」おおおおお」
 大石の言葉に、状況がよく分からない立花がすかさずツッコミを入れる。
(燃やされた時とかよくわかんないですけど、明らかに大石さんは今思い出しましたよね)
 苦笑しながら立花が心の中で呟く。
「あぁー!! 総帥! 何もやしといい感じになってんだよ! もやしの彼女はこの俺だ! 俺の目が黒いうちは桃色なんてゆるさねぇぜ!」
 ガルがビシッと白虎を指差しながら叫び、能力者達の間にシーンと静寂が広がる。
「‥‥ねぇ、もやしの彼女は俺って事は‥‥つ、つまりあなたってアタシと同じ人種なのかしら! やだ! もうあなたもオカマなの? ねぇ、オカマなの!?」
「お、落ち着いて下サイ、鵺殿‥‥ガル殿の相手はキリー殿ですから、オカマとは違うんじゃ‥‥」
「あら、でもアタシだってオカマだけど女の子のラサちゃんが彼女じゃない。つまり、アタシと同じオカマさんだって事なのね!」
 鵺の言葉を聞き(そういえば、何であんたはオカマなのに女の子の彼女がいるんだ)と能力者達は心の中で呟いていた。
「はわわ、そ、そういう事だったんですかー。が、がんばれーですぅ」
 土方が応援(?)をすると「ち、違うんだ! 今のはちょっと間違っただけでもやしの彼氏は俺だって言いたかったんだ! ああああああ!」とガルは転がりながら叫んでいた。
「‥‥うわぁ、だからあんたはヘタレのMだって言うのよ‥‥自分から弄られる状況を作るなんて‥‥流石はMだわ」
 もやしは肩を竦めながら「それじゃあ、あんたは栗ご飯の追加でも作ってなさい。ガル子ちゃん」と言葉を付け足したのだった。


―― 風流・お月見 ――

 それから能力者達はご飯を食べ、また騒いだ後にゆっくりと月見を始めていた。
「平和の為に散った戦士たちに乾杯‥‥」
 木の上に座り、空に杯を掲げながら西島がポツリと呟いた。
(アメリカ解放戦だ‥‥まずは、それを片づける‥‥)
 ぽっかりと空に浮かぶ月を見ながら西島は心の中で呟いたのだった。
「にゅ〜、ひゃくしろ〜‥‥眠いのら〜」
 西島が木の上で月を見ている時、リュウナが目をこすりながら西島を探していた。
「リュウナ様、もう少ししたら西島さんも帰ってきますから‥‥待っていましょう」
 東青は西島がいる方向を見ながらリュウナへと言葉を投げかけた。彼の気持ちが分かるからこそ、今はそっとしておこうと考えたのだろう。
(西島さん‥‥あなたは戦争が終わったら、その後はどうするんですか‥‥? どこへ、行こうとするんでしょうか)
 東青は心の中で呟きながら、空に浮かぶ月を眺めていた。

「綺麗な月だな」
 威龍は恋人であるクイーンズ記者、静流に言葉を投げかける。
「そうね、こんなにゆっくりしたのって久々じゃない?」
「‥‥いつも時間に追われて、こんなゆっくりシズと過ごせる時間はなかなかなかったな。まぁ、こんな機会を作ってくれたマリには一応感謝しないとな」
 威龍がポツリと呟くと「まぁ、付き合いが浅いわけじゃないし、なかなか会えない今まででも十分に幸せだから気にしなくていいから」と静流が小さな声で言葉を返した。

(はわわ、良かったですぅ。今回は特に酷い事がなくてよかったです‥‥)
 土方は心の底から安堵したため息を漏らすのだが、隣から聞こえた言葉に視線を向けると‥‥。
「ああ‥‥どんな高級枕よりもよく眠れそうですね」
 マリの膝枕で寝ている玖堂の姿を発見してしまう。
(はわわわわ、が、害はないのですけどー! 害はないのですけど、何か落ち着かないですぅ!)
 最後の最後で桃色オーラにあてられて、ぐったりとする土方だった。

「鵺嬢、せっかくだしラサ嬢のほっぺにちゅーでもしてみたらどうかな?」
 こっそりとエイミーが鵺に入れ知恵をすると「あら、それもいいかもしれないわね!」と鵺が悪戯っぽく笑い、そーっとラサに近寄る。
「ぬ、鵺殿!?」
 不意打ちとも言える背後から抱きしめられ&ほっぺにちゅーをされ、ラサがいきなり顔を真っ赤にする。
 もちろんエイミーはその瞬間を狙って写真を撮っており、後から写真を見たラサが再び真っ赤になるのは言うまでもない。

「も、もやし! アウトドアな俺はカッコイイだろ!? これで見直してくれたよな!」
 ガルがキリーに問い掛けると「ある意味、あんたという人物を見直したわね」とキリーがぽつりと言葉を返す。
「‥‥ま、マジか! 俺の事「だって、オカマちゃんなんだもの、ぷっ」‥‥もやしいいいいい!」
 どこまでもからかわれるガルを見て、白虎はほんのちょっとだけ可哀想に思えたのは秘密である。
「やはり最後はいたるところでカオスですねぇ。この面子で『風流』は無理がありましたか‥‥まぁ、楽しかったので、良し、ですね」
 立花は月を見上げながら小さく呟いた。


 そして、片づけを終えて能力者達が帰ろうとした時――謎の自転車に轢かれた大石が、鬼の形相で犯人を追いかける姿が見られたのだった。


END