タイトル:探偵さん、募集しますマスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/02/24 03:36

●オープニング本文


能力者の人達って強いじゃん?

そんな人達で探偵事務所作ったら面白くね? という事で作りました。

現在僕1人!

‥‥寂しいから一緒に探偵しようよおおおおお!

※※※

「探偵事務所・僕様――‥‥何、この撲殺みたいな名前の探偵事務所は」

本部の隅っこにぺたりと貼られた人員募集のチラシを見ながら女性能力者が地味にツッコミを入れた。

「あ、それ俺の知り合いなんだけど一人称が『僕』なんだと。だから僕様なんだって」

「意味分からないから」

男性能力者の説明をばっさりと切り捨てるような言葉を返しながら女性能力者は再びチラシに視線を落とした。


『キミも探偵になれる! 明日を導くのはキミだ!』

「‥‥何このベタな台詞は」

「言ってやるなよ。センスがないんだろ。でも指輪探しみたいな仕事貰って、人が足りないって言ってたな」

男性能力者の言葉に「指輪探し?」と女性能力者が言葉を返す。

「おう、何かセレブな奥様が落としたんだと。んでもってその落とした場所ってのが現在キメラ徘徊中の町な」

「1人で仕事しようにもキメラがいるから、無理無理無理! 僕死んじゃうよぉ! とか言ってた」

「‥‥出来ない仕事を引き受けるのはどうかと思うけどね‥‥」

女性能力者はチラシを貼ってあった場所に戻すと「物好きがいるといいわね」と言葉を付け足したのだった。




●参加者一覧

雨霧 零(ga4508
24歳・♀・SN
アリエイル(ga8923
21歳・♀・AA
エイミー・H・メイヤー(gb5994
18歳・♀・AA
ジリオン・L・C(gc1321
24歳・♂・CA
桃代 龍牙(gc4290
32歳・♂・CA
安原 小鳥(gc4826
21歳・♀・ER
音桐 奏(gc6293
26歳・♂・JG
セラ・ヘイムダル(gc6766
17歳・♀・HA

●リプレイ本文

―― 探偵志望? 集まる ――

「キミも探偵になれる! 明日を導くのはキミだ! おぉ、何て素晴らしい言葉なんだろう! この言葉を書いた大林君とは高確率で友達になれそうだよ!」
 チラシを見ながら歓喜に震えているのは雨霧 零(ga4508)だった。彼女は自称・神であり探偵という事もあり、同じ探偵として大林と友達になれると考えているのだろう。
「探し物は‥‥指輪ですか‥‥広い街中を探すのは大変そうですね」
 アリエイル(ga8923)が資料を見ながら呟く。確かに彼女の言う通り、街のどこかに落としてしまったであろう指輪を探すのは困難に違いない。
「ふふ、お困りの女性のいるところ、探偵あり‥‥ゴスロリ探偵ことエイミー参上!」
 びしっと決めポーズまでして現れたのはエイミー・H・メイヤー(gb5994)だった。
「とーぅ! 俺様はジリオン! ラブ! クラフトゥ! ‥‥未来の勇者だ!」
 ジリオン・L・C(gc1321)もエイミーの登場に乗っかるような感じで自己紹介をする。
「まぁ、まずは依頼人の探偵さん――大林さんに依頼人のセレブと連絡をつけてもらわんと‥‥何かややこしい関係で言っててごちゃごちゃしてきたな」
 桃代 龍牙(gc4290)が苦笑しながら呟くと「確かに。複雑な関係ですね」とアリエイルも苦笑しながら言葉を返した。
「今回のお仕事は探しものと‥‥キメラ退治‥‥頑張りましょう‥‥!」
 安原 小鳥(gc4826)が拳をきゅっと強く握り締めながら呟く。
「しかしまぁ‥‥能力者になってからもこういった仕事をする事になるとは思いませんでしたね」
 音桐 奏(gc6293)は「ですが悪くはありませんね、中々観察のし甲斐のある方たちですからね」と言葉を付け足した。音桐の経歴の詳細などは不明だが「能力者になってからも」という言葉が出るという事は、探偵家業にも身を置いていたという事になるのだろうか?
「お願いざます、ワタクシの指輪をさっさと探してくるざます!」
 大林が連れてきていたセレブな奥様(本来の依頼人)が能力者達に向けてキィキィと金切り声をあげて叫ぶ。
「そんなに必死になるなんて‥‥きっと大切な指輪なんですね、早く探して見つけてあげたいです‥‥」
 セラ・ヘイムダル(gc6766)が涙ぐみながら「きっと私達が見つけてみせます!」と良い子にセレブな奥様に言うのだが‥‥。
「‥‥クク(指輪探しなんて、きっとセレブ依頼人はかなりの金持ち! ククク、一儲けするチャンスですね。あの指輪だけでもかなりの値段がしそうですよ)」
「‥‥‥‥」
 セラは表面上は良い子なのだが、滲み出る暗黒オーラに「隠しきれてないぞ、それ」と桃代が小さな声でツッコミを入れたのだった。
「落とした場所に心当たりなどはないのかな? 此方としては少しでも情報が欲しいところでね」
 雨霧がセレブに話しかけると「いつの間にか無くなっていたんざます!」と当てにならない答えが返ってきて、さすがの雨霧も苦笑するしかなかった。
「それなら、街の中の地図があるから、どこを通ったのかだけでも分かると助かるんですが」
 音桐が地図をセレブに見せながら問いかけると「まずは愛犬のジャスミンフランソワエンジェルちゃんの洋服を買いにペットショップへ行ったわ」とセレブが言葉を返す。
(ジャスミンなのかフランソワなのかエンジェルなのか、どれか1つに名前を絞る事は出来なかったんですかね)
 セレブの言葉に心の中で音桐が密かにツッコミを入れながら、セレブが通ったルートに印を付けていく。
「それでは、最後に指輪を持っていたと分かる場所は?」
「確かランチの時まではありましたわ!」
 セレブの言葉を聞いて「それじゃ、ここからのルートを探した方がいいかな」とある程度の捜索ルートを導き出した。
「あたしが必ずや貴女の憂いを祓って見せましょう」
 エイミーはセレブに対して気障っぽく呟くと「お願いね」とセレブは笑って言葉を返したのだった。
「それじゃ行こう! 探偵事務所・僕様の初仕事なんだぞおおお!」
 明らかにおかしなテンションのまま大林が叫び、能力者達はキメラ退治と指輪探しの仕事を遂行するため、高速艇に乗り込んで、現地まで出発し始めたのだった。


―― 指輪とキメラ ――

「そういえば、キメラって女性型ですよね? もしかしたらセレブさんの指輪を身に着けているという可能性もあるかもしれませんよ」
 現地に到着した後、セラが能力者達に告げる。それを聞いた能力者達は「なるほど、確かに一理あるかもしれない」と納得したように呟き、キメラとの戦闘が先になった場合、注意して見ておく事にしたのだった。
「勇者フラァッシュ! 真! 勇者アイズッ!」
 ビシッとジリオンがポーズを取りながらスキルを使用する。オーバーアクションでスキルを使用してみせる彼だが、アクションによって効果が倍増したりなどは全く無い。
「そういえば、資料にはキメラの数に関しては書いてなかったけど‥‥どうなんだろうね?」
 桃代が呟くと「確かに複数とは書いてませんね、単体とも書いてませんが」とアリエイルが資料を見ながら言葉を返す。
「もし、指輪をキメラがつけていたらどうしましょう‥‥そのまま戦闘を行ってしまえば、指輪そのものを破壊する事になりかねませんし‥‥」
 安原が呟くと「確かにそうだね。その場合はどうするか‥‥」と音桐が言葉を返す。
「素直にキメラが返してくれるって言うのが一番手っ取り早いんだけどね。それでもって素直に倒されてくれる、と」
 さすがに無理な相談だろうけど、と音桐は言葉を付け足しながら苦笑して見せた。
「しかし、難事件を解決してこそ探偵というものだよ!」
 大林が力説すると「そうですよね! 私も手伝います!」とセラも相槌を打つ――‥‥のだが。
(ククク‥‥探偵さんを手伝うと言うのは建前で、私の名前を売り込むのです。美少女探偵清純派として有名になってお仕事ウハウハ――‥‥お金もウハウハなのですよ)
 ククク、と暗黒オーラを撒き散らしながら心の中で呟くセラ。
「何となく何を考えているのか分かってしまう辺り、名探偵はツラいねぇ」
 雨霧が小さく呟くと「いや、探偵以前に誰でも分かるんじゃ‥‥」と桃代が言葉を返したのだった。
「ちょっと待ってください‥‥何か振動が‥‥」
 セラが立ち止まり、能力者達に告げる。彼女は密かにスキルを使用していたのだ。
「‥‥人の歩くような振動ですね、恐らく1人。でも普通の人間とは振動が違っていますから、恐らくはキメラじゃないかと」
 セラの言葉に能力者達はそれぞれ武器を手にして迎え撃つ準備を始めたのだった。


―― 戦闘開始 ――

「翼のある女性‥‥キメラで間違い無さそうですね‥‥」
 あれから暫くして、能力者達の前に背中に翼のある女性が姿を現した。手には鎖鎌のような武器を持っており、資料にあるキメラ像と一致した。
「攻撃をする前に指輪を持っているかを確認した方がいいね」
 雨霧が呟くと、能力者達はキメラの攻撃を防ぎながらセレブの指輪を身に着けていないかを確認し始める。
「あの‥‥あれ、もしかしたら‥‥」
 安原がキメラを指差しながら呟く。彼女が指差した所はキメラの指。しっかりとセレブの指輪が嵌められていたのだ。
「しかも薬指‥‥これはツッコミを入れても良いところかね」
 桃代が呟くと「いえ、もしかしたら大真面目なのかも‥‥」とアリエイルが言葉を返す。大真面目に指輪を薬指につけるキメラなんて居てほしくない、能力者達は心の中で呟いた。
「ふむ、探す手間を省いてくれた事には感謝しよう。だが、私達の任務はそれを持ち帰る、そしてキミを退治して帰るという事なんだ。残念だが諦めてくれよ」
 エイミーは呟きながら蛍火を構え、スキルを使用しながら攻撃を仕掛ける。勿論指輪を傷つけないように。
「犯人はキメラだったのか‥‥それならばいくら探しても見つからなかった事も納得だ! 貴様を退治してお宝を持ち帰り、町に平穏を取り戻す!」
 ジリオンは炎剣・ゼフォンを構えながらキメラへと向かって叫ぶ。間違った事は言っていない筈なのに、何処かゲームの風景が思い浮かばれるのは何故だろう。
「はぁ、正直前線でドンパチやる性分でもないからなぁ‥‥こういう指輪探しとかお助け屋さんみたいな事の方が合ってるんだよな」
 桃代は呟きながら自分に向かってきたキメラの攻撃をスキルを使用しながら防御する。
「これで足止め出来れば‥‥!」
 安原は呟きながらスキル・呪歌を使用してキメラの動きを封じる事を試みる。
「そんな物を振り回されちゃ、こっちが怪我するから困るんだけどな」
 音桐が武器を振り回そうとしているキメラに対して小さく告げると、背後から翼を狙って攻撃を行う。気配を消していたせいか、音桐が攻撃する直前までキメラは彼に気づく事がなく、翼をもがれるという大ダメージを受けてしまった。
「ああああああっ」
「どんな場面でも攻撃を出来る最大限のチャンスまで耐えること。それが出来なければ二流ですね」
 音桐は淡々と呟き、キメラの悲鳴など耳に入っていないかのようだった。
「援護は任せてください!」
 セラは叫びながら安原と同じく呪歌を使用する。
「やはり‥‥私には探偵稼業よりもキメラ退治の方が性に合いますね!」
 アリエイルがスキルを使用しながらキメラの腕を切り落とし、呟く。ぼとり、と地面に落ちた手にはセレブの指輪が嵌められており、能力者達がキメラに対して遠慮をするものは一切存在しなくなる。
「あれはキミみたいな者が身に着けていても輝くことはないよ、それ相応の品格が必要だからね。だから――指輪は諦めて死出の旅に逝くがいい」
 エイミーは呟きながらキメラに攻撃を仕掛け「このジャッジメントで私の正義をお見舞いしてしまおう!」と雨霧が叫ぶ。
「これぞラ‥‥探偵キック!」
 雨霧は強烈な蹴りをキメラに食らわし、キメラは待ち構えていたアリエイル、音桐によってトドメを刺されたのだった。


―― 戦闘後 ――

「私、初めての実戦だったんですが‥‥お役に立てましたでしょうか? なるべく皆さんの足を引っ張らないようにと気をつけていたのですが‥‥」
 セラが心配そうに呟くと「大丈夫、ちゃんと戦えてたよ」と桃代が言葉を返した。
(ククク‥‥どれだけ報酬が上乗せされるか楽しみです‥‥)
 良かった、と笑顔で呟いた後に暗黒オーラ全開で隠された本音を心の中で呟く。恐らく彼女自身、気がついていないのだろう。暗黒オーラが全身から滲み出ている事に。
「でも敵が1人とは限らない‥‥複数いないかを調べてから帰った方がいいかもね。備えあれば嬉しいなとも言うしね」
 雨霧が得意そうに呟くが『備えあれば憂い無し』だという事を教えた方がいいのだろうか、と能力者達は本気で悩んでいた。
「皆ありがとう! これで探偵事務所・僕様の初仕事を成功で終える事が出来そうだ!」
 今まで何処にいたのか空気以下の存在だった大林が嬉しそうに能力者達に話しかける。
「そうだね、探偵事務所と言うからには名前をつけないといけないよね。傭兵探偵団とか‥‥素晴らしい名前だよね?」
「いや、だから名前は『僕様』であって‥‥」
 大林の言葉など耳に入っていないのか「決まりだよ、傭兵探偵団!」と雨霧は嬉しそうに他の能力者達にも告げていく。
「あの‥‥1つお聞きしたいのですが」
「はい?」
 アリエイルがいい難そうに大林へと言葉を投げかける。
「‥‥探偵は無くした記憶も探すことが出来るのでしょうか?」
「無理です」
 真面目に話しているというのに、大林は即答で言葉を返す。
「だって僕はお医者さんじゃないし! 催眠術師でもないし! いくら僕が有能な探偵でも見つけられない事があるんだよ」
 大林が言うが(真面目に相談したのに‥‥)とアリエイルは恨めしそうに大林を睨んだのだった。
「ほぅ、そうか。こういう場合は‥‥ところでこの場合は」
「そこはだね‥‥」
 エイミーは雨霧から探偵が何たるかを教わっており「ふむふむ‥‥さすがは名探偵さんだ、勉強になる」と言葉を返していた。
「ふ、ふふふ‥‥これで俺様の探偵街道は始まったばかり‥‥ときめきながら待ってろよ、運命よ!」
 きらーん、と爽やかな笑顔でジリオンが叫ぶ。ときめきながら待つ運命と言うのは、その運命の先に赤い糸で繋がった誰かがいるという事なのだろうか?
「大林さん、ほらコレ食うか?」
「食う!」
 桃代が取り出したお菓子をパシっと受け取ると大林はハムスターのように食べ始める。
「うんうん、しっかり食べないと大きくなれないからな」
 桃代は気づいているのだろうか? それとも気づいていないのだろうか? 大林の年齢と自分の年齢が近いという事に‥‥。
「いやはや、中々愉しい仕事でしたね」
 音桐は小さく呟きながら「色々な観察も出来ましたし」と言葉を付け足した。
「それじゃ、帰る前にもう一度キメラがいないかを確認してから帰りましょう! (こうする事で仕事熱心さをアピールするのです☆ テヘッ)」
 明らかに本音が見え隠れしているセラなのだが、あまり気にする事はなく能力者達は最後の確認を終えた後、本部へと帰還していったのだった。


END