タイトル:ネガティブガール2マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/07/23 23:35

●オープニング本文


生きててすみません。

場を盛り下げ、尚且つ人々に不幸を撒き散らしてごめんなさい。

本当に酸素の無駄ですよね、こうなれば死んでお詫びを――あれ? 止めてくれないんですか?

※※※

超が幾つもつくほどのネガティブ人間の雨月・沙耶、18歳。

彼女の生い立ちは詳しく知らないが、どんな生活を送ってくればそこまでのネガティブな人間になる事が出来るんだ、と問いかけたくなるほどだ。

口を開けば「生きててすみません」、口を開かなくてもジト目で見られ(睨まれ)る。

目すらも隠すほどの長い黒髪のせいで妖怪と呼ぶ能力者達も少なくはなく「人に生まれなくてすみません」と謝っている姿を見かけることも多々ある。

「‥‥こういうのって、他人が巻き込まれてる分には面白いんだろうケドさ、実際に自分が巻き込まれると迷惑以外の何者でもねぇよな、うん」

少し前に彼女と任務に赴いた男性能力者は語る。

彼女のせいでネガティブな気分に陥り、任務終了後には何故か彼自身も「生きてて良かったのかな」と呟くほどだったと。

「今度は彼女、この任務に行くみたいよ。意外とネガティブな割りにアクティブに行動してるわよね」

女性能力者は任務の資料を男性能力者に投げ渡す。

「また、今回も「高速艇が落ちたら私のせいです、すみません」とか言うんだろうなぁ」

「それ、毎回言ってるって噂よね。実際に落ちたことはないらしいけど。むしろ彼女ごときの存在が高速艇に影響したらある意味バグアよりも脅威よね」

辛辣な言葉を吐く女性能力者に男性能力者は苦笑するしかなかったのだった。



――NPC補足――

名前:雨月・沙耶
年齢:18歳
クラス:グラップラー
所持スキル:無し
性格:果てしなくネガティブ、何かにつけてネガティブ発言をする。
   シカトすると爪をかみながら「お恨みします」視線で精神的攻撃を行う。

●参加者一覧

セラン・カシス(gb4370
19歳・♀・DF
陽山 神樹(gb8858
22歳・♂・PN
アリシア(gb9893
17歳・♀・SF
海原環(gc3865
25歳・♀・JG
フランツィスカ・L(gc3985
17歳・♀・GD
ヘイル(gc4085
24歳・♂・HD
守谷 士(gc4281
14歳・♂・DG
ルナ シルフィス(gc4301
16歳・♀・SN

●リプレイ本文

― ネガな女・再来 ―

「生きててすみません」
 今回の任務に同行する能力者達に突然謝りだすのはネガティブな女として有名なのかそうじゃないのかいまいちわからない雨月・沙耶だった。
(うぅ‥‥何となくあの沙耶さんって人、ちょっと苦手かも‥‥)
 セラン・カシス(gb4370)は沙耶を見ながら心の中で呟く。恐らく彼女が思うのは至極当然の事なのだと思う。誰だって度を越えたネガティブ発言をされれば気が滅入ってくるし、一緒にいたくないと思うのだから。
「沙耶ちゃん、久しぶり! 今日の俺は破暁戦士ゴッドサンライトって呼んでくれよな!」
 前回、沙耶のネガティブに巻き込まれた陽山 神樹(gb8858)が明るく沙耶に言葉を投げかける。
「眩しい人なんですね‥‥それに比べて私はもう明るさとは対照的な場所にいるし、もう梅雨みたいにじめじめしてるなめくじ女なので殺してくれませんか?」
 明るく話しかけたというのに陽山を待ち受けていたのは最高潮のネガティブ発言。
(こ、今回は巻き込まれない。たとえどんなネガティブ発言をされても巻き込まれない‥‥ぞ‥‥)
 陽山は心の中で誓うが、多少自信がないのか語尾が少しだけ弱い。
「こんにちは〜〜」
 アリシア(gb9893)がにっこりと沙耶に笑いかけながら声をかける――が「可愛い笑顔ですね‥‥私も貴方のような容姿に生まれていれば多少人生も違ったんでしょうかね‥‥」と自嘲気味に(不気味に)笑みながら沙耶は独り言を言う。
「もう、本当に今回の任務で皆さんが死んだら私のせいですよね‥‥」
 はぁ、と大きなため息と共に沙耶が呟くと「ん〜、大丈夫なのよ」とアリシアが言葉を返した。
「何をしてても死ぬ時は死ぬっておじちゃんが言ってたの。それまで後悔しないように精一杯頑張って生きるのが一番なのよ」
「でも後悔だらけの人生を送っていた私はどうすればいいんでしょうか」
 沙耶の言葉に「そ、それは‥‥こ、これから後悔しないように生きるのよ!」とアリシアは無理矢理言葉を括る。
「もう私のせいで皆さんが不幸になったらどうしましょう‥‥その時はごめんなさい」
「大丈夫大丈夫、今日の私はラッキーデイなんです。だからきっと大丈夫ですよ」
 海原環(gc3865)が沙耶に言葉を返すと「でも私はアンハッピーデイなんです」とジト目で海原を見ながら言葉を返す。
「きっと、私のせいで皆さんが死ぬんです。きっとそうなんです」
「大丈夫ですよ、昔から死ぬ、死ぬと言った人が死んだ試しはありませんから」
 海原がにっこりと笑顔で言葉を返すが「でも私の場合はきっとそれがあります」と更に沙耶はネガティブ発言を続ける。
「はぁ‥‥今回の相手って飛んでるんですよね‥‥相手飛んでるのに近接武器とか、もう‥‥駄目過ぎですよね‥‥生まれてきて、本当に‥‥すみません」
 何故か沙耶と同じタイプのネガティブ人間であるフランツィスカ・L(gc3985)がどんよりと沈んだ表情で呟く。
「いいえ、私の方が生まれてきてごめんなさいですよ‥‥可愛くもないし、もう全てにおいてごめんなさいです」
「いいえ、私の方です。貴方以上に私の方が生まれてきてはいけなかったんです‥‥」
 何故かネガティブ発言で張り合う沙耶とフランツィスカだったが、周りの能力者達は多少引き笑いをしている事に2人は気づいていない。
「とりあえず、2人とも生まれてきて良かったんじゃないか? 別にそういうので張り合わなくてもいいと思う‥‥っと挨拶が遅れたな。独立傭兵のヘイル(gc4085)だ。以後宜しく」
 ヘイルは能力者達に挨拶をして、ちらりと沙耶を見る。
(ふむ、言うほど素顔は悪くはないな。素直に笑えば可愛いだろうに)
 ヘイルは沙耶を見て心の中で感想を呟くが、きっとそれを口にしたら沙耶は更なるネガティブ発言でヘイルの言葉をかき消す事だろう。
「‥‥まぁ、ネガな人は置いといて。初仕事の相手がハーピーか。UMAみたいなのが見られて運がいいな」
 現地の人は困るだろうけど、と言葉を付け足しながら呟くのは守谷 士(gc4281)だった。
「私も今回が初仕事なんですが‥‥別に怖いとか緊張とかは感じないですね」
 他に手の掛かりそうな人がいるからでしょうか、とルナ シルフィス(gc4301)が沙耶とフランツィスカを見ながら呟く。恐らくこの2人が揃う事によってかなりの威力を発揮する事だろう――ネガな方向で。
「まぁ、とりあえず出発しようよ。こうしてても時間が過ぎるだけだし」
 守谷が呟き、能力者達が出発する為に高速艇へと乗り込むのだが――「墜ちたら私のせいですよね、ごめんなさい」と沙耶が不吉な事をぼそりと呟き、数名の能力者を怖がらせるのだった。
(どうか墜ちませんように墜ちませんように‥‥)
 セランは心から必死で祈るのだが、その祈りに必死で沙耶から話しかけられても気がつく事が出来ず、ずっと沙耶からジト目で睨まれていた事に彼女は気がついていなかった。


― キメラ退治の為に ―

 今回の能力者達は囮班と狙撃班に分かれて行動する事になっていた。
 囮班・海原、陽山、フランツィスカ、守谷、セラン、アリシアの6名。
 狙撃班・ルナ、ヘイルの2名。
 尤も囮班とは言っても、沙耶護衛班と言っても過言ではなかったりする。
(これ以上、気を滅入らせたくないし‥‥ちょっと距離を置かせてもらおう)
 セランは捜索する間、沙耶と距離を取っていたのだが嫌われたと思った沙耶は爪を噛みながらセランをガン見していた。
(気づかない気づかない)
「おお、そうだ。この前一緒に仕事した後に何か良い事とかあった?」
 陽山が沙耶の前に立って問いかけると「えぇ、当たったんです」と沙耶が言葉を返す。
「へぇ? 何が当たったんだ?」
「お寿司にあたりました」
(当たるっていう意味が違う!!)
 ほとんどの能力者が心の中でツッコミを入れるのだが、当の本人は意味は違えど『何かに当たった』という出来事に嬉しそうなのでツッコミを入れる事はしなかった。
「でもそれからは何も当たらないんですよね‥‥」
「‥‥でもこれからきっと良い事が起こる筈だから気にしないで頑張るのよ」
 アリシアが励ますように言葉を投げかけるのだが「私は何時になったら幸せになれますか」とずいと顔を寄せながら詰め寄り、流石のアリシアも少しだけ困ってしまったのだとか‥‥。
「帰りの高速艇が墜ちたらどうしましょう‥‥もう今のうちに私を殺しておいた方がいいかもしれません」
 沙耶の言葉に「そしたら皆仲良くフカの餌食ですね、あ、でもその前に生命保険には加入済みですか?」と海原がやけに冷静なツッコミを入れる。
「あのさ、さっきから疑問なんだけどネガティブになってて飽きない? 僕も一時期そうだったんだけどね」
 やってて疲れた、と言葉を付け足しながら守谷が沙耶へと言葉を投げかける。
「で、でも‥‥お前間違ってると言われて、気分の良い人なんていないじゃないですか‥‥そう簡単に人は変われませんし、雨月さん自身が望むのなら、それでもいいじゃありませんか」
 フランツィスカが弱々しく微笑みながら沙耶を庇う。
「まぁ、確かにそうなんだけど。最後にこれだけ。生きてて申し訳ないと思うなら明るく生きてみなよ、そうしたら皆ハッピーだ」
 守谷の言葉に「そうですよね、普段から暗いし皆さんアンハッピーですよね‥‥でもどうやったら明るく出来るんでしょうか」と根本から教えないといけない事を知り、守谷も「面倒な人だね」と小さな声で呟いたのだった。
(‥‥ここまで来ると不自然だな、生粋のどMか、トラウマからの自罰、自虐思考か?)
 ヘイルはトランシーバーから聞こえる囮班のやり取りに心の中で呟き「ルナ、雨月をどう思う?」と同じ狙撃班のルナに問いかけた。
「どう、と言われても‥‥個性的な人だとは思いますが‥‥ちょっと戦闘中もあんな感じだと困るかなぁ、という感じでしょうか」
 ルナが苦笑しながらヘイルに言葉を返す。
「何か前一緒に行った人から聞いたら、キメラに謝りだしたとか言ってたし‥‥今回も注意していた方がいいのかな」
 同じく苦笑してヘイルが呟いた時――囮班から「キメラを発見しました!」という通信が入って来て、ルナとヘイルは狙撃しやすい場所に移動を開始したのだった。


―― キメラとの戦闘・能力者 VS キメラ&ネガティブ ――

 狙撃班に連絡を入れた後、囮班は空を飛ぶキメラを地面へと落とす為に攻撃を繰り出していた。
「早く終わらせてもらいます」
 セランはシュリケンブーメランでキメラへと攻撃を仕掛ける――がキメラには避けられてしまい、武器はセランの手へと戻ってくる。
「さっさと下に降りてきてくれねぇかな。じゃないといつまで経っても終わらないからさ」
 陽山が小銃・S−01で射撃を行いながら呟くと「ごめんなさい、私のせいですよね」と沙耶が後ろからネガティブ発言を繰り出す。
「ん〜、とっても強そうだね〜。皆怪我しないように気をつけてね」
 アリシアがスキルを使用しながら能力者達の武器を強化して、他の能力者達に声をかける。
「さっさと――降りてきてくださいねっ」
 海原はM―121ガトリング砲でキメラを狙い撃ちながら呟く。だが、その隣でフランツィスカはどんよりと表情を曇らせている。
「空飛んでいるのに近接武器‥‥おまけに私のようなブスでドジな新米傭兵なんて、動くだけで迷惑でしょうから‥‥だ、だからせめて皆さんを護るくらいは‥‥」
 フランツィスカが小さく呟き「はっ、ま、護るなんて、何ておこがましい事を‥‥」と自分の中で自分と戦っていた。
「面白自虐大会はそこまでにしてキメラを退治する事に集中しよう」
 ヘイルが呟き、スナイパーライフルを構え、空を飛ぶキメラを狙う。ヘイルの攻撃の後にルナがアンチシペイターライフルで攻撃を繰り出し、彼女の攻撃から一拍置いて、ヘイルが再び攻撃を行う。
「資料にあった通り、ハーピーっぽいね」
 ちょっと倒すのが惜しいかな、と守谷は言葉を付け足しながらフォルトゥナ・マヨールーで攻撃を行う――とさすがに全員からの攻撃を受け、ある程度のダメージを受けたのか飛んでいる位置が段々と低くなってきている事が分かる。
「食らえ! サンライトマグナム!」
 陽山は貫通弾を装填した銃で攻撃を繰り出し、キメラの腹部を撃ち抜く。その衝撃でキメラは飛ぶ事が続けられず、勢いよく地面へと落ちてくる。
「ごめんなさい!」
 落ちて来たキメラに一番最初に攻撃したのはフランツィスカで、バトルブックの角で殴っている。
 その後、武器を天拳・アリエルに替えた陽山が攻撃を行い、セランはレイシールドでキメラの攻撃を防御して攻撃を繰り出す。
「あぁ、何か私のせいで」
「雨月! 喋ってる暇があったら撃ってくれ! 今は君も頼りにしているんだ!」
 守谷が雨月に言葉を投げかけると「頼りにされているのに応えられない、やはり生きてる価値が全くないですよね‥‥」とネガな方向を変えるつもりは全くないのか、沙耶が言葉を返す。
「私が援護します、貴方の思うように動いてください」
 ルナが沙耶に言葉を投げかけ、沙耶自身も攻撃を繰り出そうとしたのだが――べしっとキメラから攻撃をされる始末。
「援護、するって‥‥言ったのに‥‥」
 しかもその責任をルナに押し付けようとしている。ルナも「流石に私もずっと貴方を見ていられないんですけど‥‥」と苦笑しながら言葉を返す。
「動くな」
 ヘイルが動きだそうとするキメラに狙いを定めて撃つ。
「ん〜、ぼ〜っとしてても仕方ないから攻撃するのよ〜、え〜い」
 アリシアも超機械で攻撃を仕掛けながら叫ぶ。結局、撃ち落とされるまでにかなりのダメージを受けていたらしく、海原の攻撃によってキメラは地面へとぱたりと倒れこみ、再び起き上がる事はなかったのだった。


―― 退治、その後 ――

「俺‥‥皆の役に立ったか‥‥?」
 戦闘が終了した後、陽山が呟くと「私よりは断然役に立っています」と沙耶とフランツィスカが言葉を返す。
(何か複雑な答えが返ってきたな‥‥)
「あのさ、俺、沙耶ちゃんの事嫌いじゃないぜ? でもネガティブは直そうな」
 陽山の言葉に「好意を持たれているのに何も出来ない私を殺してください」と陽山の言葉が全く理解出来ていない沙耶は言葉を返す。
(生きてるって、素晴らしい!)
 セランは心の中で神様に感謝の言葉を述べていた。覚醒している時は臆病な感情も消えるから考えてはいなかったが、覚醒解除すれば普段の通り。しかも今回はネガティブな事ばかり言う沙耶と一緒だった為、不安はいつも以上だった。
「‥‥ん、次は普通に生まれてくるのよ、ばいばい」
 アリシアはキメラの死体に向けて言葉を投げかけ、軽く手を振る。
「君が自身をどう感じるかは知らない。だが、仲間である君の事は信じるよ」
 ヘイルが優しく沙耶に言葉を投げかけ「お近づきの印、という奴だ」と言って子猫のぬいぐるみを沙耶へ渡した。
「ごめんなさい。こんな可愛いぬいぐるみに相応しくない私でごめんなさい」
 沙耶は受け取りながら謝るのだが「ごめんなさい、ではなく、ありがとう、だろ?」とヘイルが言葉を返し「‥‥アリガトウ」と沙耶は言い直した。
「それにしてもどうです? 死ななかったでしょう?」
 海原がにっこりと微笑んで沙耶に言葉を投げかけると「まだ帰りの高速艇がありますから、安心できません」と言葉を返す。
「死んだら終わり。だから雨月さんもやりたいようにやるのが一番です」
 海原の言葉に「私は空気になりたい」と遠くを見ながら言葉を返す。ある意味暗黒風な空気を撒き散らしている事に沙耶は果たして気がついているのだろうか。
「あ、あの‥‥大石圭吾さんというへn‥‥個性的な人がいるんですけど、彼は凄まじいポジティブ思考の持ち主ですし、彼と一緒にいればプラスマイナス0になるんじゃないかと思うんですよ」
 フランツィスカが呟き「うん、我ながらナイス提案! 帰ったら早速、彼に雨月さん名義で恋文を送りますね!」と言葉を付け足して、黒い笑顔で意気込みを見せていた。
「みんな、おつかれ。記念だし、羽の一本でも持って変えるよ」
 守谷は呟きながら地面に落ちたキメラの羽を1つ手に取る。
「君も頑張ったね、ありがとう――助かったかどうかは定かでないけど」
 守谷が沙耶に言葉を投げかけると「ありが、とう?」と沙耶が聞き返すように目を瞬かせて呟く。
「ああ、頑張ったと思う。それに生き延びたって事は実力があるって事だと僕は思うけど、違うかな?」
 守谷の言葉に「そ、そんな皆さんのおかげです。私なんて何の役にも立たない最悪人間ですから‥‥」と言葉を返す。

 その後、本部へ帰還した能力者達だったが大石に追いかけられる沙耶の姿を幾人もの能力者が目撃したのだとか。


END