タイトル:週刊記者は相変わらずマスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/05 22:22

●オープニング本文


傭兵の皆様、愛しの旦那様――‥‥ごめんね?

無茶は止めようと思っているんです、だけどやめられないんです。

マリちゃんの無茶ぶりは、うん、ジャンクフード並だねっ!

※※※

「‥‥何処に行くの、こんな朝早くから」

早朝4時、こっそりとクイーンズ編集室を出て行こうとする土浦 真里(gz0004)をチホが呼び止める。

「や、やぁ‥‥す、素晴らしい朝日だから早朝マラソンでもと思ってね!」

「まだ外は真っ暗だけど――っていうかマラソンに取材道具一式持っていくわけ? へぇ」

「うっ‥‥」

ジーッとマリお気に入りのバッグを見ながらチホが問いかけると「取材に行くのよ! 悪いっての!?」と逆ギレをする始末。

「場所によっては悪いわね――何処に行くのよ」

「今回はちゃんとマトモなところー! 学校取材でちょい遠いから早めに出ようってだけー」

場所は此処! と地図を置いてマリは「いってきまーすー!」と言葉を残して出かけていった。

しかし、出かけていったのは問題引き寄せ体質のマリなわけで無事に終わるわけがないのだ。


※※※


「うっそぉん‥‥今時電車乗っ取りとかありえないから‥‥」

取材に向かう為に乗った電車、何故かそこにテロリストがいて、何故か巻き込まれてしまうマリ。

「‥‥最近のマリちゃんって結構不可抗力多いよね、また怒られるのかなー」

こっそりと隠れながらメールをして、能力者達が助けに来てくれるのを待つのだった。

●参加者一覧

小鳥遊神楽(ga3319
22歳・♀・JG
玖堂 鷹秀(ga5346
27歳・♂・ER
守原有希(ga8582
20歳・♂・AA
レイン・シュトラウド(ga9279
15歳・♂・SN
シュブニグラス(ga9903
28歳・♀・ER
ジン・レイカー(gb5813
19歳・♂・AA
ファタ・モルガナ(gc0598
21歳・♀・JG
音無 音夢(gc0637
19歳・♀・PN

●リプレイ本文

『実はマリちゃん、現在絶賛テロられ中! 助けてくれる人を募集してるよっ!』

 週刊個人雑誌クイーンズの記者、土浦 真里(gz0004)は取材に赴く途中の電車でテロに遭い、現在それなりに困っていた。
 そこでマリからメールを貰った者、本部の依頼でやってくる者、たまたま電車の中に居合わせた者――それぞれが解決の為に動き始める。

「マリさんはトラブルを引き寄せる悪運が強すぎるようね。親友として放っておくわけにもいかないし、速やかに救出に向かわないとね‥‥」
 マリからのメールを見て小鳥遊神楽(ga3319)はため息混じりに呟く。そして彼女はマリを知る他の能力者達にも連絡を始める。
「もしもし、玖堂さん?」
 最初に小鳥遊が電話をしたのはマリの夫でもある玖堂 鷹秀(ga5346)だった。
「マリさんからメール来た?」
「えぇ、来ましたよ。まずは関係各所に協力を要請するとしましょう」
 玖堂の落ち着きに小鳥遊は不思議に思いながら「驚かないの?」と問いかける。
「え? 今更何に驚けって言うんですか? HAHAHA」
 すでにマリにかけられた迷惑は星の数ほど。慣れというものがこんなにも恐ろしいものだと言う事に小鳥遊は玖堂の言葉を聞いて思ったのだとか。
 そして玖堂への電話を切った後にレイン・シュトラウド(ga9279)が小鳥遊に電話をしてきた。
「もしもし? レインですけど‥‥」
「もしかしてマリさんからのメールが来た?」
「えぇ、テロリストなんて‥‥真里さんが無事だと良いんですが‥‥」
 レインと小鳥遊の頭に浮かぶのは犯人に向けて無意味な挑発などを行うマリの姿。それが予想で終わらない可能性があるから余計に2人は怖くなったのだった。
「よりによって電車でっていう所が‥‥真里ちゃんらしいわね」
 連絡を貰ったシュブニグラス(ga9903)は玖堂を見ながら苦笑する。小鳥遊との電話の後、玖堂は駅の関係者に許可を貰っており、シュブニグラスはもプラットホームに潜む為にやってきていた。
「もう、本当に厄払いでもしないと‥‥」
 はぁ、とため息を吐く玖堂の姿に「苦労してるわねぇ‥‥」とシュブニグラスは言葉をもらしたのだった。
「あれ?」
 同じくプラットホームにやってきたのは守原有希(ga8582)とジン・レイカー(gb5813)の2人だった。
 この2人は普通に本部で依頼を受けてやってきたのだが、見知った顔――しかも明らかにとある人物に関連する能力者たちばかりいる事に守原は苦笑する。
「普通に受けた筈が皆さんおそろいって事は‥‥」
 嫌な汗を伝わせながら守原が呟くと「えぇ、うちの奥さんです‥‥」と玖堂が遠い目をしながら言葉を返してきた。
「え? 真里いるの? ‥‥そういや、依頼に救出がどうとかあったような‥‥」
「勿論電車に乗っているのは真里ちゃんだけじゃないから、他の人も含めて『救出』なんでしょうけどね」
 苦笑しながらシュブニグラスが呟く。
「そっか。とりあえずどうやって飛び移るかな」
 ジンが呟き、腰に手を当てて考え始めたのだった。

 そして一方、電車内でも巻き込まれるという形で能力者が乗車していた。
「デジャヴ? 前も似た事あったよーな‥‥」
 ファタ・モルガナ(gc0598)はため息混じりに呟く。
「お互いツイてないね。私はファタ・モルガナ。友人がガッコーの教師になったって連絡貰ってさ」
 ファタは隣に座る人物――マリに言葉を投げかける。
「私は土浦 真里。個人雑誌の記者してて学校に取材に行く所だったんだけどー‥‥はぁ、ツイてないねぇ」
 マリが苦笑しながら呟くと「ま、焦ったって仕方ないさ。飴でも舐めるかい?」とファタはキャンディを1つ取り出してマリに差し出した。
「ありがと、でもきっと大丈夫。みんなにメールしたからすぐに解決するよ」
「みんな?」
「うん。友達の能力者とかマリちゃんの旦那様とかっ」
 マリの言葉に「ふぅん」とファタは言葉を返し、自分も飴を1つ食べたのだった。
 そしてマリやファタたちとは違う車両にはもう1人の能力者、音無 音夢(gc0637)が座っていた。
(「テロリストですか‥‥困りましたね‥‥」)
 ちらりと他所を見るけれど、1人ではどうやっても解決まではこぎつけられないだろう。
「さて、困りましたね」
 スカートの中の武器が見つからないように、スカートを強く握り締める。
(「とりあえず、車外からの侵入、接触があるまでは迂闊に動けませんね」)
 音無は心の中で呟き、動くべき時期が来るまで大人しくしている事にしたのだった。


―― 疾走車両 ――

「‥‥マリさんの事だから、いつまでも大人しくしているとは限らないわ。速やかな事件解決が必要ね」
 小鳥遊が呟く。その場にいたマリを知る能力者たちは「確かに」と言葉を揃えて呟いた。
「もうすぐ列車が来ますね」
 能力者たちは列車の屋根に飛び移るという突入方法を選んでおり、ホームの屋根にて列車が来るのを待っていた。実質、ホームで停まってくれるとも思えないので突入方法はこれしかなかった――というのが現実だったりするのだけれど。
「俺とレインが最後尾の車両に飛び移ればいいんだな」
 ジンが最終確認をするように呟くと「えぇ、私と守原さんが先頭車両に飛び移るわ」と小鳥遊が言葉を返す。
「飛び移る際は電線やパンタグラフには注意しないといけませんね。直撃すればいくら能力者とは言え考えたくない結果になりそうですし」
 玖堂が苦笑しながら呟くと「はぁ」とシュブニグラスが大きなため息を吐いた。
「私、こういうのはするより見る方が好きだわ」
 シュブニグラスがさらに大きなため息を吐きながら呟く。
「‥‥中に入るときにはどうしても乱暴な事なってしまうけど‥‥」
 保険きくかな、と守原が小さく呟く。
「来たぞ」
 ジンが呟きながら指差した方向には勢いよくやってくる列車の姿。能力者たちはタイミングを合わせ、列車へと飛び乗ったのだった。

※先頭車両※
「あんまり、何度もやりたい事じゃないわね」
 ふぅ、とため息を吐きながら小鳥遊が呟く。移動を続けている列車に飛び乗る、失敗すれば大怪我どころの話ではないからだ。
「人がいますね、行きましょう」
 守原が呟き、窓ガラスを割りながら列車内へと侵入していく。
「な、何だお前らは!」
 銃を持った人間が2人へと近づいて来るけれど、能力者でも何でもない一般人のようで毎回死線を潜り抜けている守原と小鳥遊に適うはずもない。
「能力者当然の時勢なのに芸がない‥‥」
 守原がポツリと呟くと「確かにね」と言葉を返す。もしこんなテロ事件を起こしても能力者が来ればすぐに鎮圧されると考えなかったのだろうか?
「こんな事件を起こす犯人が能力者が来たら、なんて考えない筈はないと思うんだけど‥‥」
 小鳥遊の呟きに「何があるか分からないし、警戒するに越した事はないですね」と守原は言葉を返したのだった。
「てめぇら、どこから入りやがった!」
 仲間と連絡がつかなくなった為にこちら側へやってきたのだろう、銃を持った男が先頭車両までやってくる。
「皆さん伏せてください!」
 守原が叫び、乗っていた乗客はそれぞれ悲鳴に似た声を出しながら伏せる。
「希望有らしめるために柳生心眼流兵法皆伝、守原有希、参る!」
 それと同時に男へと向けてSMGスコールで攻撃を仕掛ける。秘伝の技を繰り出して攻撃を行う守原だが勿論殺すような真似はせず、急所は外してある。
「遅いわね」
 守原の攻撃を受けている間に小鳥遊が男の手を蹴り飛ばし、銃を手放させる。

「他の車両はどうしてるのかしら」
 男たちがこれ以上抵抗しないようにロープで縛り上げながら小鳥遊が呟いた。

※最後尾車両※
「着地成功っと‥‥んじゃ、行こうか。レイン?」
 ジンがすたっと音を立てながら降りる。彼は一応武器も所持しているがそれは最終手段として考えており、一般人相手だったら自分の手や足で十分だと思っていた。
「近くに、いますね」
 レインが自分の体を隠しながら中の様子を見ると、すぐ近くに銃を持った男がいるのを見つける。
「さて、お仕置きの時間ですよ」
 スキルを使用した後、扉を開け拳銃マーガレットで男の持つ銃を撃ち、弾き飛ばした後にジンが男へとすかさず近寄って腹を殴打する。
「ぐはっ」
 強い一撃を受け、男の膝ががくりと折れてその場に蹲る。
「なるほど、やはり能力者が来たのか」
 ジンの背後から銃がつきつけられ、レインがジンの背後に立っている人物を見る。そこにはすらりとした女性が立っており、おそらく能力者だろう事が伺える。
「は、やっぱりな‥‥一般人だけのはずがねぇとは思ってたけど」
「乗客にまぎれてるなんて思わなかったですね」
 レインが呟く。ジンに銃を突きつけているのは最初に2人が車両に侵入したとき震えるように座っていた女性。まさか乗客にまぎれているなんて思いもしなかったんだろう。
「さて、どうするかな‥‥」
 女性は「ふ」と不敵に微笑み、ジンとレインを見やったのだった。

※2両目※
「さて、これからどうしたものかしら」
 シュブニグラスは車両の中を見ると、中には乗客とテロリストの男が1人。シュブニグラスだけならばおそらく男に勝つことは不可能ではないだろう。
(「でも乗客に被害が及ぶ可能性もあるのよね‥‥ん?」)
 シュブニグラスが窓から覗いていると、1人の少女と目が合う。その少女は男がこちらを向いていない事を確認すると持っている銃を見せて自分が能力者であること、敵ではないことを示す。
「おい、どこへ行く」
 立ち上がった音無に男が話しかけると「す、すみません‥‥トイレに行きたくて」と申し訳なさそうに呟く。
 その瞬間、シュブニグラスがスパンと扉を開ける。突然のことで驚いた男は音無に背中を向けてシュブニグラスに銃を向けるのだが‥‥背中を向けられた瞬間に覚醒を行い、後ろから男の首元にナイフを当てて「降参してください」と音無が呟く。
 そのときだった。3両目からパンっと銃声が響いたのは‥‥。
「あっちにいるのは‥‥玖堂さん!?」
 シュブニグラスが呟き「あ、あの、これで‥‥」と車両内に備え付けられていたロープを乗客の1人が差し出してくる。音無とシュブニグラスはそのロープで男をぐるぐる巻にして銃声が響いた3両目へと急いだのだった。

※3両目※
「いつまでもそんなモン振り回してんじゃないわよっ! 子供が怯えるでしょ!」
 事の始まりは銃を持つ男にマリが突っかかった事だった。子供が怯え、泣き始めて、葉男が「うるさい」と叫んで子供がまた泣いて。
「大体、そんなモン振り回されて泣くなって言う方が無理じゃん! 馬鹿じゃないの!」
「ちょ、ミス・ジャーナル‥‥」
 さすがに挑発はまずいんじゃないか、と思いファタが話しかけたのだが既に遅かったようで男がマリに向けて銃を向ける。
「ここで死ぬ運命になるか? お前」
 男の言葉に「先人は言ったよ。神は死んだって。私もそう思う」とファタが呟きながら立ち上がる。
「だからコレは、運命じゃなく‥‥‥‥必然さ」
 呟きながらファタは小銃M92Fを男へと突きつける。それと同時に外から様子を見ていた玖堂も車内へと突入し、ファタと玖堂で男を挟むような位置に立つ。
「何考えてんだか知らねぇが、とっとお縄につけ阿呆共がよ! しかも誰に銃なんか向けてんだ!」
 玖堂は一気にまくし立てるように叫ぶと膝蹴りを行い、男の体がくの字に折れた所で後頭部に肘を落として床に叩きつける。玖堂が男に攻撃を仕掛ける前にファタがペイント弾を打ち込み、視界などをふさいでおり、攻撃はスムーズに行う事が出来た。
「そ、そこまでしなくても‥‥っ」
 既に意識をなくしている男に駆け寄りながら玖堂に話しかけると「バカヤロウ!」と大きな声で怒鳴られる。
「今回はそっちの人の意見に賛同だね、適わない相手に挑発をして無駄に命を落とす所だったんだよ」
 ファタが肩をすくめてみせながら呟くと「う、ごめんなさい」とマリは素直に謝る。
「大丈夫?!」
 そこへシュブニグラスと音無がやってきて、事態を見て「大丈夫そうね」とシュブニグラスが呟く。

「そこまでだよ」
 最後尾車両から女がジンに銃を突きつけながらこちらへとやってくる。
「お前も何を伸びているんだ、馬鹿」
 ごす、と足で先ほど玖堂が攻撃した男を蹴りながらため息混じりに呟く。
「あー、くそっ。前が見えにくい‥‥思いっきりやりやがって」
 玖堂の攻撃を受け、なおも起き上がることもだけど持っている武器から男と女が能力者だという事が伺える。
「せっかく楽に金を稼げる方法を見つけたと思ったのに、散々な事にしてくれたじゃないか」
 女はため息混じりに呟くと、はぁ、と大げさにため息を吐いてみせる。
「伏せろっ!」
 ファタが叫び、音無が駆け出す。女はわずかに行動が遅れてしまう。その間にファタがペイント弾で女の視界を奪い、音無が「チェックメイト‥‥」と呟き攻撃を仕掛ける。
「よくも銃なんかずっと当ててくれやがったな! 女だからって遠慮はしねぇぞ」
 銃が離れた直後、ジンが振り向きざまに攻撃を仕掛ける。玖堂とシュブニグラスは先ほど倒れていた男が再び攻撃を仕掛けぬように動き始める前に動きを封じ、犯人グループ全員を捕まえる事が出来たのだった


―― 今度お祓いして下さい ――

「真里さん、今回は不可抗力だろうけどお願いだから取材には誰か連れて行くようにして‥‥」
 はぁ、と小鳥遊が無駄だと分かっていながらもマリに話しかけると「んー、考えとく」というやはり分かっていない言葉が返ってきた。
「‥‥今度、寺なり神社なりで厄払いの祈祷でも受けに行きましょう。運が悪いというレベルを超えてますよ」
 こめかみを押さえながら玖堂が呟くと「多分無理っぽくない?」とまるで他人事のように言葉を返してくるマリに僅かだが怒りがこみ上げてくるのを玖堂は感じていた。
「真里さん見とき。アレが武器の本質ば学ばず安易に持った人の末路よ」
 守原の言葉に「ちょっと! マリちゃんは武器持ったからってあんな馬鹿なことするわけないでしょー!」と抗議をしてくる。
「とりあえず無事でよかったです、水でも飲んで落ち着いてください」
 レインは水筒に入った水を差し出しながら別な意味で落ち着きをなくしつつあるマリをなだめる。
「とりあえず、特集は決まったんじゃない?」
 シュブニグラスの言葉に「はっ、そうだね! 次は今回の事件を特集しちゃおう」とペンを取り出して今回の概要をざくざくと書き始めた。
「テロに巻き込まれるとは‥‥不運でしたね、お互いに」
 音無が呟くが「んー、でも助かったから別にいいや。気にしない気にしない」とけらけらと笑ってマリが言葉を返す。
 その後、学校への取材を行い、LHへ帰還したのだが、マリはしっかりとお説教を受ける羽目になったのだった。

END