●リプレイ本文
―― 忍者屋敷 2Fのオープンです ――
「シンちゃんとデート、デート♪ 今度はちゃんと出来るといいにゃー♪」
藤枝 真一(
ga0779)の腕に自分の腕を絡めながら楽しそうに呟くのは天道 桃華(
gb0097)だった。
「明日提出の研究レポート‥‥まだ終わっていないんだが‥‥」
天道にほぼ強引に連れられてきた藤枝はため息混じりに呟くのだが、楽しそうな天道の姿を見て「まぁ、息抜きには良いか‥‥」と呟いた。
「‥‥桃華は良いな‥‥俺もアホの子になりたい」
そんな事を藤枝が付け足した事にも気づかない程に天道は舞い上がっていた。
「忍者屋敷なんて楽しそうですわ! こう勘と体力を持って攻略していけば良いのですわね? ふふ、どんな罠が待っているのか楽しみですわ♪」
ロジー・ビィ(
ga1031)は銀髪を揺らしながら楽しそうに呟く。
「‥‥今回は‥‥コンニャクは‥‥無い‥‥よな?」
小さく呟くのは西島 百白(
ga2123)。次の任務までの暇潰しに参加した彼だが、前回はコンニャクがあった事を思い出す。今回の資料には書かれていないが警戒するに越した事はない。
(「はわわ‥‥前回もおっそろしー罠が一杯だった忍者屋敷に2Fが出来てしまったのですよ‥‥ボク、生きて帰れるです?」)
土方伊織(
ga4771)はため息混じりに心の中で呟いた、彼が心配なのは忍者屋敷内に潜む罠だけではなく同行者にもあった。
(「キリーさんとも一緒ですし‥‥って一緒に参加してる人たちの方を警戒しなくちゃだめって何ですかー」)
1人で「はわわ」とか「はう」とか呟いていると「煩いわよ、わんこ」とチョップと共にキルメリア・シュプール(gz0276)からの攻撃と口撃がやってくる。
「い、いたいですぅ‥‥忍者屋敷入ってないのに攻撃食らうってなんですかー」
涙目の土方は「わんこのくせにっ」とキリーの更なる攻撃によって撃沈させられてしまう。
「ふふ、相変わらずねぇ‥‥」
そんな和やか(?)な様子を百地・悠季(
ga8270)はにっこりとした表情で見ていた。
「ふふふん、どんな罠があっても大石さんを生贄にすれば安全だよねっ」
香坂・光(
ga8414)は楽しげな笑みを浮かべて呟く。その隣では「はぁ‥‥」とため息を吐く青年がいた。
「デンジャー度が上がったって何でしょう‥‥上げてどうするんですか、能力者専用のアトラクションにするつもりでしょうか」
リュドレイク(
ga8720)が資料を見ながら呟き「何にせよ、笑って許せる範囲でお願いしたいですね」と言葉を付け足したのだった。
「‥‥にゃにゃ、お姉ちゃん‥‥ってまた手を出してるのかー!」
藤枝と姉・桃華のデート現場を目撃した白虎(
ga9191)は愛用のピコハンをすちゃっと取り出す。
しかし今回はそれぞれ別々の扉から入るため、藤枝達のデートを妨害する事が出来ないことに気付き、白虎は何時に無く真剣に悩んでいたりした。
「ま、まぁ‥‥それは置いといて、今回もこの屋敷に相応しい格好で行くのにゃー!」
白虎が取り出したのは自分用のミニスカくのいち、そしてキリー用の巫女衣装、鵺(gz0250)用の露出度の高いミニスカくのいち衣装、勿論一緒の扉に入る能力者達の分の衣装も用意してある。
「あ、私は希望者がいればメイクしますよ〜♪ ってキリーさん、久しぶり!」
毎回期待に応えた凄まじいドジ娘ぶりを見せてくれる冴木美雲(
gb5758)がキリーに挨拶をする――のだが、その隣で桃色オーラを発している諌山詠(
gb7651)をキリーは見る。
「あ、紹介するね! 私の恋人で諌山詠さんです‥‥って初対面じゃなかったよね」
苦笑しながら冴木が呟くと「うん、キルメリアさんはお久しぶりですね」と諌山が言葉を投げかけ、こっそりと「いつも美雲さんがお世話になってます、これからも宜しくお願いします」と言葉を付け足したのだった。
「つまり、幸せ一杯なのね――――爆発すればいいのに」
キリーの言葉にその場にいた能力者達が凍りつく、まさかキリーがそんな事を言うとは思わなかったためだろう。
「はいはい、そこの皆笑ってや」
キヨシ(
gb5991)が持参してきたデジカメでキリーたちを撮っていく。折角なのだからという事でキヨシは忍者屋敷内も撮影するためデジカメを持ってきていた。
「相変わらず成長してないなぁ‥‥」
キヨシはキリー(の胸元)を見ながら少しだけ哀れみの視線を送る。
「キヨシ、キヨシ」
ちょいちょいと手招きをしてキヨシを呼び「ん? 何やぶっ!」とキヨシの頭が近づいてきた所に強烈な頭突きを食らわす。
「何あんたは久しぶりにあった奴の胸なんかガン見してンのよ、あんた実はロリコンだわね? このド変態が! 人の小さな胸見てハァハァする変態なんて‥‥誰の胸が小さいのよ!」
再びキリーの頭突きがキヨシに炸裂する、ちなみに『小さい胸』といったのはキリー自身でありキヨシではない。
「ふぅん、2階が出来たのか‥‥ま、付き合い始めた1つのキッカケだし楽しむとするか」
相賀翡翠(
gb6789)は恋人である沢渡 深鈴(
gb8044)の手を握って「ま、危険な罠とかから護ってやるから安心しろ」と言葉を投げかけた。
「そういえば1階の時にはまだお付き合いさせていただいてませんでしたね、ふふ、こうしてまた参加できて嬉しいです」
沢渡はにっこりと笑顔で相賀に言葉を返したのだった。
「忍者屋敷か‥‥日本の忍者には前々から興味があったんですよね」
レイン・シュトラウド(
ga9279)はポツリと呟きながら資料を見る。明らかに何か勘違いをしている『忍者屋敷』だと言う事にレインはまだ気づいていない。
「ふむ‥‥存外良い経験になるかもしれませんね」
ヨネモトタケシ(
gb0843)は忍者屋敷内に設置されている罠の例を見ながら呟く。
「楽しみながら、どうやって罠を切り抜けるか――ただし建物の破壊などには気をつけないといけませんなぁ」
「わぁ‥‥結構立派なお屋敷‥‥みたいなビルなのね」
白雪(
gb2228)は呟きながら忍者屋敷の会場を見る。外見は忍者屋敷なのだが実際はビルというアンバランスさがへんてこに拍車をかけている。
「多少の危険あり‥‥大丈夫でしょうか‥‥お遊びなのにこんなにドキドキするなんて‥‥」
忍者ルックで来ている澄野・絣(
gb3855)は少し緊張した面持ちで呟く。
「にゃー♪ 忍者屋敷イン2Fを楽しむのらー♪ ‥‥にゃ? 今回はひゃくしろは一緒じゃないなりか」
リュウナ・セルフィン(
gb4746)は今回一緒の扉に入る能力者達を見て首を傾げる。
「にゃー、でも蒼翼っちとは一緒なりね」
リュウナの言葉に「また来ちゃった‥‥でも回るのはボクじゃないからまだいいか‥‥」
蒼翼 翡翠(
gb9379)は小さく呟きながら、彼の裏とも呼べる人格へと交代する。
「‥‥今回はどんな罠が待っているのかしらね」
蒼翼は楽しそうに呟く。
「リュウナ様と一緒か、楽しくいけたらいいな‥‥あと、リュウナ様の暴走をなるべく止めなくちゃ‥‥」
小さく呟くのは東青 龍牙(
gb5019)だった。恐らくリュウナは片っ端から罠を発動させるだろうと予想して今から暴走を止める手立てを考える東青だった。
「‥‥今回は何が仕掛けられて‥‥」
どきどきしながら呟くのはハミル・ジャウザール(
gb4773)だった。2Fという事で罠も強力になっているような気がしてハミルの緊張は収まる事はなかった。
「忍者屋敷‥‥来て見たはいいけど、一体どうなることやら」
ふぅ、と小さなため息を吐くのはファブニール(
gb4785)だった。彼と同じ扉に入るのはリュウナたちであり『若い子や女の子に危険なことをさせるのは‥‥いざとなったら僕が体を張らなくちゃ‥‥』と密かな決意をファブニールはしていた。
「へ〜、キリーってばこんなのにも手を出してたんだねぇ」
忍者ルックで現れたのはキリーによって『せくはら魔』というあだ名をつけられてしまった神咲 刹那(
gb5472)だった。ちなみに彼はキリーの背後から気配を消して現れてキリーの頭を撫でながら呟いている。
「ちょっと勘違いしないでくれる? 私が手を出してるわけじゃなくて私も巻き込まれてるの、そこら辺を間違えないで貰いたいわね、ヘタレ、それと何勝手に人の頭撫でてンのよ、お触り代金とるわよ」
すかさずキリーからのツッコミにも神咲は「あはは」と笑って流す。
「わぁ、忍者屋敷! ワクワクするよ〜、ドキドキするよ〜、ねねね、どんなのだろうね」
きょろきょろと見渡しながら楽しそうに喋っているのはフロスヒルデ(
gc0528)だった。ちなみに会話の相手は彼女の覚醒時に現れるなっちゃんという人形の幻影。
「わわわ、知らない人達もいっぱいだね! 楽しみすぎるよ〜!」
きゃあきゃあと騒いでいるフロスヒルデになっちゃんから「落ち着きなさい、幾ら何でも怒るわよ」と叱咤の言葉が投げかけられて「はぁい」とフロスヒルデはしゅんとした口調で言葉を返す――のだがそわそわしている所だけは止める事が出来なかった。
そんなこんなで始まった忍者屋敷2Fのモニターオープン――はっきり言って何も起こらない扉などない事だろう。
※扉・死※
この扉のメンバーは白虎、神咲、土方、冴木、諌山、そしてキリーの6名だった。
「とほほ、お約束から逃げちゃダメですし‥‥スカートの短くない衣装を選ぼうと思ったらないじゃないですかー‥‥せめて拒否権くらい欲しいですー」
土方は侍少女(ミニスカ)の格好で嘆きながら呟く。
「あのっ、2人ずつ手を繋いで入るってのはどうですか? 私は当然、詠さんと。白虎さんはキリーさんで! それから、え〜っと‥‥うん、決まりですね!」
冴木の提案に「意義あり!」と土方と神咲が手を挙げながら抗議する。美雲は恋人、白虎もキリー、それなのに何故自分達は相手が男なの? という疑問の視線を思いっきりぶつけられて美雲の『彼氏と手繋ぎいちゃラブ大作戦』は見事に失敗する。
「あ〜っと、ごめんにゃ、躓いちゃったにゃ!」
白虎が諌山と冴木を突き飛ばして第一の罠・おっさんチューへと激突させようとする。これは冴木の精神的ダメージが大きすぎる罠なのか「わわわ!」と手をぱたぱたさせながら必死に踏ん張ろうとする。
そして手に『何か』が触れ、冴木は自分が助かるためにそれを引っ張って踏ん張る――それがキリーの髪の毛だと言う事も気づかずに。
「いやああああああ!」
冴木の犠牲となったキリーは壁に彫られているおっさんに『ちゅう』をしてしまい絶叫する。
「にゃーー! 何でキリーお姉ちゃんが‥‥「あんたのせいでしょ! このバカ虎!」にゅああああ‥‥」
キリーは仕返しと言わんばかりに壁のおっさんに白虎をぐりぐりとねじ込むように押し付ける。
「キリーさん、ごめんなさ‥‥うわっ」
「きゃああああ!」
キリーに謝ろうと駆け寄る冴木だったが再び突き飛ばしてしまう、しかし今回は神咲が抱きしめてキリーを護った為に壁ちゅーは免れた。
「つか、ミクモさん‥‥罠があるんだし‥‥とりあえず彼氏から離れないようにしたら?」
苦笑しながら神咲が呟くと「そ、そうですねっ」と諌山と冴木は手を繋ぐ。しかししっと団総帥としての立場がある白虎は「りあじゅー!!」とピコハンを振り回しながら叫ぶ。そのほとんどがキリーに当たっており、白虎によるカップル制裁ではなくキリーによる白虎制裁となるのはこれから2秒後の話。
「わんこ、ちょっと来て」
壁ちゅーの罠を抜けて出たのは明らかに何かが仕込んであります、と言いたげな真っ直ぐな廊下。その時にキリーは土方を呼び「えい」と思いっきり突き飛ばす。
「はわわわわわ‥‥」
突き飛ばされた場所にあったのはシビレ罠、土方は痺れながら「ひ、酷いですぅ‥‥」と泣きながらキリーを恨めしそうに見る。
「ふぅ‥‥少し疲れました‥‥緊張のしっ放しだからでしょうか」
冴木が壁に寄りかかると『ガコン』と音が響いて天井がガガガガガと音を立てて落ちてくる。
「先に行け!」
落ちてくる天井を諌山が受け止めながら能力者達に言葉を投げかける。
「そ、そんな詠さん‥‥!」
冴木がおろおろとしている時だった。
「そう、それじゃ先に行くわね」
「にゃ、きっとリア充だから大丈夫にゃ」
「それじゃ、僕も先に行くです」
「うん、まぁ発動させたのは彼女のミクモさんだしね、無理しちゃ駄目だよ」
上からキリー、白虎、土方、神咲の言葉。このメンバーに『協調性』というものは皆無のようだ。
「ちょ、ちょっと! 酷いですよ! 何とかしないと‥‥! あ、ここにレバーが、きっとこれが天井落下を止めるレバーですね」
えい、と冴木は呟きながらレバーを思いっきり引く。
「‥‥美雲さん、重さが増したよ‥‥」
ぷるぷると苦しそうに震えながら諌山が呟くと「ど、どどどうしましょう!」と冴木のパニックが最高潮になる。
ちなみに足元にあるスイッチを押せば解除されるのだが、流石は天然な冴木である。そのスイッチにだけは見事に気がつかない。
結局諌山が解放されたのは10分以上が経過した頃で、諌山の手は限界を迎えつつあった。
「ご、ごめんなさい‥‥早く出て手を休めなくちゃですね‥‥」
そう呟いて扉を開けて次の部屋に移動した時――大量のこんにゃくが天井から降ってきた。
「はわわ、ぬるぬるして気持ち悪いですぅ!」
「お姉ちゃん、一緒に粛清しようにゃ♪ 楽しいよ♪」
蒟蒻を手にとって白虎は冴木と諌山の粛清に誘うのだが‥‥「きゃあっ!」と突然床が抜け始め、粛清どころではなくなった。
「ちょ‥‥大丈夫!?」
がこん、がこん、と1つ、また1つ床が抜けていき能力者達は慌てて出口へと向かう。
「にゅあああ、お姉ちゃんは落とさせないのにゃー! ぐっ‥‥覚醒なしでは重い」
呟いた瞬間、白虎に頭突きが炸裂して「ぶっ潰すわよ!」とキリーが真っ赤になって言葉を返す。
「何だったら変わろうか? 白虎君」
笑いを堪えながら神咲が白虎に話しかけると「!! にゅあああああ!」と叫びながら出口まで一気に駆け抜けたのだった。
「はわ、何とか無事に出口まで来れたですよー‥‥」
まだ痺れが残る身体で土方が呟き、出口でばたりと倒れたのだった。
※扉・人※
この扉のメンバーは香坂、天道、藤枝、ハミル、ロジー、そして大石・圭吾(gz0158)の6名だった。
「圭吾‥‥貴方を漢と見込んで先頭をお願いしますわ」
にっこりと語尾に『はぁと』をつけながらロジーが大石に話しかける。
「おお! 俺を漢と見込んでか! それではこの褌を「‥‥あ、褌はノーサンクスですの」‥‥そうか」
ロジーに褌をプレゼントしようとして速攻で断られてしまい少しだけヘコんだ大石だが「で、でも圭吾が着ている分には差し支えありませんくてよ!」とロジーは少しだけフォローする事にした。
「おお、香坂は褌姿か! 気が引き締まって良い事だな――やや引き締まりすぎな所があるが‥‥ぐおお‥‥」
途中で香坂によりハリセンによる顔面攻撃を受けてしまい大石はその場に座り込んで顔を押さえる。
「ちなみにこの格好に深い意味はないけどっ、ほら、早く立って先頭を歩かなくちゃ!」
香坂により大石(と書いて盾と読む)を先頭に置いて忍者屋敷に入っていったのだった。
「あの‥‥大石さん‥‥服、何か着た方が‥‥安全じゃないですか?」
ハミルが問いかけると「着てるぞ? 褌」とさらりと当たり前のように言葉を返されて逆にハミルが困る結果となる。
「っていうか‥‥その、大石さんって能力者でしたっけ? ここは能力者じゃないと少し危険が‥‥」
「はっはっは、俺はちゃんとした能力者だ、ふんどしファイターだ。安心してくれぃ」
(「全く戦わない能力者だけどね」)
(「褌しか興味ないけどね」)
上から天道、香坂の心の声。そう、大石は能力者だが今まで役にたったためしが無い。だからハミルが『一般人』と勘違いしてしまうのも無理はないだろう。
「そ、そうなんですか‥‥」
能力者だったんだ、ハミルは本気で心の中で呟き「ふんふんどし〜♪」と歌いながら進む大石に小さなため息を吐いたのだった。
「む、そこに罠があるな‥‥気をつけろよ、桃華」
藤枝が天道に話しかけると「あ、ありがとう! シンちゃん」と教えられた場所を避けて歩く――ガコン。
「だがさっきのは囮で、本命はそれを避ける為に今踏んだ板だ」
「ちょ、ちょっとシンちゃん!」
天道はセーラー服のスカートを揺らしながら少し怒った表情を見せた。ちなみにこの服装は完全に藤枝の趣味らしい。
「きゃ‥‥壁が狭まってきますわ!」
天道が踏んだ板により壁の罠が発動したらしく、平らだった壁がいきなりおっさんの顔が彫られた壁へと変化してそれら全てが『ちゅう』の形をして能力者目掛けて狭まってくる。
「こ、これは‥‥耐え切れませんわ‥‥」
ロジーは覚醒してスピードを上げて回避する為に一気に突き抜ける。
「い、嫌です‥‥こんなおっさんの顔した壁なんかに‥‥」
ハミルも青ざめた顔のまま覚醒してロジーと同じように一気に突き抜ける。
「きゃー! ちょ、ちょっと大石さん助けてー!」
香坂が呟いた瞬間「大丈夫か!」と大石が振り返った、しかしその時には既に香坂も天道、藤枝も安全な場所まで行っており、振り向いた大石は‥‥。
( 現在 見苦しい映像が映っており 一時 通信を遮断しています。申し訳ありません)
「「「「「‥‥‥‥」」」」」
能力者達が見たもの、それは大石とおっさん型壁のちゅうシーン。能力者たちは直ちに記憶の中から汚らしい記憶は消去して次の部屋へと進む事にしたのだった。
「これはまた‥‥」
明らかに何かが仕掛けてあると言わんばかりの真っ直ぐな廊下。
「シンちゃん、怖いー♪」
抱きつこうと天道が甘えた声で呟くのだが、肝心の藤枝はそこにはいない。
「ってシンちゃんどこー!?」
その頃の藤枝は物陰からこっそりと自分がいなくなった時の反応を楽しんでいた。最初こそ天道は怒っていたりしたが段々と不安になってきたのか涙目になりつつあった。
「‥‥‥‥や、やばい、俺の中で何かが目覚めそうだ‥‥おーい桃華―、俺はここだ」
藤枝が姿を現したのだが、天道は怒っているようでピコハンを振り回しながら追いかけてきた。
「‥‥ぎゃっ‥‥」
その時、天道は運悪く足元のシビレ罠を踏んづけてしまい、びりびりと痺れる。
「まぁ‥‥大丈夫かしら」
ロジーが駆け寄ると「‥‥だ、ダイジョウブ」と言葉を返した。
「そんな事で痺れているようではいかんぞ、そんなんだから胸も育たない」
「お、大石さん、それって関係ないんじゃ‥‥「いや、ある!」」
ハミルの言葉に大石はきっぱりと言いきって藤枝と天道の両方から殴られる羽目になった。
「あれが次の部屋に通じる扉ですね‥‥このスイッチでしょうか」
ハミルが壁にあった大きなスイッチを押すと、ガコンと重い音が響き‥‥一瞬の間を置いてガガガガガと天井が落ちてきた。
「おおおお、何だこりゃああ!」
「圭吾‥‥声が大きいですわ! これで罠が発動したらコトでしてよ?」
「おお、そうか、すまない‥‥だが既に発動しているのは気のせいだろうか」
大石の言葉に「その辺は深く気にしてはいけませんわ」とロジーは言葉を返して天井が落ちきる前に次の部屋へと入っていった。
しかし入った瞬間に大量のこんにゃくが落下して、おまけに床がどんどんなくなっていくという仕掛けがあった。
「これは‥‥大石さん、出番だねっ!」
香坂はゲシッと大石を蹴って落とし穴へと落とす、ちなみに大石を落とさなくても無事に落とし穴を回避出来ていたという事は深く考えない方がいいだろう。
「だ、大丈夫かしら‥‥」
ロジーが落とし穴を覗き込みながら呟くと「大丈夫だよ、大石さんだもん」と香坂が言葉を返し、出口へと向かっていったのだった。
※扉・に※
この扉のメンバーは百地、澄野、リュドレイク、ヨネモト、西島、そして七海 鉄太(gz0263)の6名だった。
「初めまして、百地悠季よ。今回は宜しくね」
百地が鉄太に挨拶をして資料を見る、するとそこには興味本位でトラップを発動させまくるのが鉄太という事が書かれてあり、百地は苦笑した。
「分かっています、きっと止めても無駄だという事は分かっているんです‥‥だけど言わせてください」
リュドレイクは瞳を伏せ、そして鉄太を見ながら言葉を続ける。
「あまりあちこち触らないで下さいね? さ わ ら な い で く だ さ い」
大事な事なのでリュドレイクは強調しながら鉄太に言い聞かせるのだが「うん、わかった!」とあまり分かっていない返事が返ってきて少しだけがっくりと肩を落とす。
(「‥‥あぁ‥‥男性版・セルフィンがいる‥‥」)
西島は遠い目をしながら無事で出口までいけるのだろうかと心の中で言葉を付け足した。「あ、私は横笛吹きの澄野です、宜しくお願いしますねー」
澄野が挨拶をすると「俺、てった! よろしくなー!」とにぱっと笑って鉄太は言葉を返してきた。
「よし、気合入れていきましょうか」
ヨネモトの言葉に「俺も気合いれて頑張るっ!」と鉄太が手を挙げる。きっと彼が大人しくしていた方が被害は少なくて済むんだけどな、リュドレイクは楽しそうな鉄太を見て再びため息を吐いたのだった。
「んーと、鉄太? 大人しくみんなの言う事聞いてくれてたら、終わってから美味しいお弁当を一杯食べさせてあげるわよ」
百地の言葉に「お弁当?! 本当?」と鉄太が目をきらきらと輝かせながら言葉を返してくる。
「えぇ、もちろん。ちゃんと大人しくしてたらね」
その言葉に「俺、大人しくしてるよ」と鉄太が言葉を返し、忍者屋敷の中へと入っていったのだった。
忍者屋敷の中に入ると同時に「うわぁ、すっごいなぁ!」と先ほどの約束などけろりと忘れたような鉄太が目を輝かせて色んな所に触ろうとする。
「約束覚えてる?」
にっこりと百地が少しだけ怖い笑顔を鉄太に向けながら問いかけると「お弁当!」と言葉を返して、スイッチを押そうとした手を放す。
がこん
「あ?」
慌てて手を放した鉄太だったけれど、その反動で別のスイッチを押してしまったらしく壁からおっさんの形に彫られた壁が迫ってくる。
「お、俺が悪いのかなっ、今のって!」
慌てて鉄太が呟くのだが「とりあえずは早くこの部屋を出ないと‥‥あれとありがたくない事になりますなぁ」とヨネモトが言葉を返して壁が完全に迫ってくる前に脱出を試みる。
「ほらほら、早く行かないとぺしゃんこになりますよ」
リュドレイクは鉄太の手を引っ張りながら先へ進むようにするのだが、肝心の鉄太は「なぁなぁ、あのスイッチって何だろう」とこれ以上ないくらいに目を輝かせている。
「だからって‥‥押すなよ?」
西島から念押しのように言われて「分かってるよ、俺、おとなしくしてるって約束したもん!」と言葉を返すのだが、やはりうずうずしてたまらないらしい。
「これから大人しくするからこれだけ押させて!」
鉄太がポチッと押すと同時に澄野の上から金タライが落ちてくる。澄野に当たるところだったけれど百地が庇って澄野は怪我をする事はなかった。
「鉄太‥‥?」
うわぁぁぁん、百地から怒られる前に鉄太は泣き出しながら次の部屋へと入っていってしまった。
「‥‥まだ何も言ってないわよ‥‥」
「その前に鉄太くんだけ次の部屋に行かせると、ちょっとばかりまずい事になるのではないですかなぁ?」
ヨネモトの言葉に能力者達は先に行った鉄太を想像する、明らかに楽しげにいたるところに仕掛けられた罠を発動する姿が連想されて能力者達は慌てて鉄太の後を追ったのだった。
「うわあああああんっ」
「どうかしましたかなぁ?」
ヨネモトが扉を開けて鉄太の叫ぶ方向を見ると‥‥シビレ罠に引っ掛かって泣きじゃくる鉄太の姿があった。
「あの子は‥‥何をしているんだろう、俺たちが引っ掛からなくてラッキーっていうより‥‥もうちょっと、ねぇ?」
リュドレイクも呆れたようにため息を吐き、鉄太に大人しくするように宥める。
「あの‥‥あ」
澄野がリュドレイクに話しかけたとき『ガコン』と音がして次の瞬間には天井が落ちてくる。
「うわああああ、ごめんなさい!」
「やっぱり兄ちゃんも押したかったんだじゃないか! ずるい!」
鉄太には何度も「ずるい」と叫ばれ、仲間達には申し訳なさで目が合わせられず「こんなつもりじゃぁぁあ‥‥」とリュドレイクは少しだけ嘆きながら落ちてくる天井から逃げる為に全力で走ったのだった。
※扉・口※
この扉のメンバーは白雪、キヨシ、レイン、相賀、沢渡、そして鵺の6名だった。
「きゃあ♪ 可愛いじゃないの♪」
鵺は渡された衣装に着替えておりきゃあきゃあと騒いでいた。
「初めまして、鵺さん。白雪と言います」
私も人の事言えないけど凄く背の高い女の人だね、と白雪は自分の中の姉人格に話しかけており「は?」というマヌケな言葉を真白は返していた。
「宜しくね♪ そうそうもうすぐバレンタインじゃない? アタシってば今年こそは彼氏が欲しいのよね‥‥誰かステキな人がいないかしら?」
鵺の言葉に「男の人ですか? それでしたら心当たりが‥‥ドイツ人の人なんですけど理知的で感じの良い、品のある男性ですよ」と白雪はにっこりと笑って言葉を返す。真白が『ああぁぁぁぁ』と叫んでいるのにも気づかずに。
「よぅ、今回は埋めねぇから安心しろ」
相賀はそう呟くのだが、表情は明らかに不機嫌。しかし大事な恋人には不機嫌な表情は見せまいと努力しているのか沢渡は「?」と首をかしげているだけだった。
「あらあらあらあら、可愛い子! アタシの婿にならない?!」
見境ないなぁ、キヨシは心の中で呟き、しかし止めない。止めたら自分が標的になると分かっているからだ。
「ボクにはもう大切な人がいるので、残念ですけど‥‥」
「あぁぁん、キヨシちゃん慰めて〜〜」
鵺はオーバーリアクションをしながらキヨシの元へと行くと「せや、写真撮ったるからそこに立ち」とキヨシがデジカメを構えて鵺に立つように言う。
「あらあら、可愛く撮ってねぇん♪」
きゃ、とポーズを構えた瞬間、鵺はスイッチを押してしまい壁がおっさんの彫り物に変わる。
「きゃあああああ! 何これ! 美しくない! こんなおっさん美しくない!」
鵺がぎゃあぎゃあと騒ぐ中「行くぞ、深鈴」と相賀は壁の犠牲にならないように沢渡の手を取ってスタスタと歩き出す。
「え、あ、あの‥‥助けなくても‥‥?」
「いいんだ、仮にも能力者なんだ。勝手になんとかするだろ、キヨシやレインもいるんだからな」
案の定、鵺はキヨシの腰に抱きつきながら助けを求め、もとい道連れにしている。
「あ、あんまり近寄ってほしくないですね」
白雪は『フトリエル』をつっかえ棒にしながら壁の罠をすり抜けていく。
「‥‥はぁはぁ‥‥とんでもない目にあったわ」
キヨシはぜぇはぁ言いながらげっそりとしている。助けて、と叫ぶ鵺はこれでもかと言わんばかりに抱きついてきてキヨシは早くも精神的ダメージを受けてしまう。
「仲がいいんですね、キヨシさん」
「‥‥冗談でも止めてや、本気にしたらどないすんねん」
キヨシが青ざめた顔でいうと「冗談じゃないですよ」とレインがさらりと呟く。
「鵺さんはキヨシさんみたいな人がタイプなんですか? お似合いですね」
いまだに鵺を女だと信じている白雪はにこにことした表情で言葉を紡いだ。
「うわっ」
突然、相賀の声が響いたと思ったら別の場所に仕掛けられていたシビレ罠に彼は引っ掛かってしまっていた。
「翡翠さん! あ、ちょ、ちょっと待ってください。今治療を‥‥「ストップ、スキル禁止だろ」‥‥あ、ごめんなさい」
思わずスキルを使いそうになってしまい、沢渡は慌てて謝る。
「大丈夫だって、シビレ罠っていっても大したダメージじゃねぇから」
心配させないように相賀が呟くとシビレ罠の効果時間が切れたのか、びりびりとしたものは収まった。
「あらあら、アタシの愛で治「断る、行くぞ」あぁん、つれないのねえ‥‥」
鵺の申し出をばっさりと断り、相賀は沢渡の手を握ってすたすたと進む。
(「この人はとりあえず誰でもいいんでしょうか」)
レインは鵺を見ながら心の中で呟くのだけど、その言葉が鵺に届くことはない。痺れ罠が仕掛けられている部屋を出ると‥‥天井から大量のこんにゃくが落下してくる。
「ひゃっ‥‥」
沢渡は驚いて相賀に抱きついてしまう。
「大丈夫だって、ただのこんにゃく‥‥っつーか忍者屋敷に何でこんにゃくなんだろうな」
べしっと払いながら沢渡を安心させるように相賀が言葉を返す。
(「これって‥‥」)
キヨシは何かに気づいたようで相賀、レイン、沢渡、白雪に「ちょい、早めに走った方がええかもしれんで」と言葉を投げかける。
「なぁなぁ、ちょい後ろに行ってくれん? 写真撮ったるから」
「あらあら、何か沢山の写真を撮るのね♪ もちろんいいわよおおおおおおおおおぅ」
ちなみに鵺は嬉しさで気づいてなかったらしいが、先ほど出てきた扉の方から床がなくなっていくという落とし穴の仕掛けが発動していた。
「‥‥何か可哀想ですけど、大丈夫かしら‥‥」
白雪が呟くと「大丈夫やて‥‥たぶん」とキヨシは言葉を返して出口へと5人で駆けていったのだった。
※扉・無※
この扉のメンバーはフロスヒルデ、ファブニール、リュウナ、東青、蒼翼の5名だった。
(「みんな若いなぁ‥‥」)
チームの中で一番の年長者になっているファブニールはチーム内の能力者達を見て心の中で呟く。まだ25歳という若さの彼だから誰かに対して若いと思う必要はないのだが、流石に他の能力者が10代ばかりだと考えてしまう所があるのだろう。
「こんにちは、どうぞ宜しくお願いしますっ」
フロスヒルデはにこにことした表情で挨拶をして他のリュウナ、蒼翼、東青にも挨拶をして忍者屋敷内に足を踏み入れたのだった。
「にゃ! 怪しいボタン発見なのら!」
リュウナは言い終わるとほぼ同時にスイッチをポチッと押す。すると壁がおっさん彫り物に変わって能力者達を目掛けて狭まってくる。
「きゃ〜♪ 楽しい〜! 何これ、すご〜い!」
ゴゴゴと狭まってくる壁を見てフロスヒルデは楽しそうにきゃあきゃあと騒いでいる。
「リュウナ様! あんまり無闇にスイッチを押したら危ないですよ? 前と違って少しだけ危険度が増しているみたいですし‥‥」
東青がリュウナに話しかけるのだが、彼女には聞こえていないのか「早く行くのらー!」と手をぶんぶんと振って言葉を投げかけてきた。
「わっ!」
蒼翼は自分の真上から落ちてくるタライなどに驚いて後ろへと下がる、その原因は‥‥言わずとも知れたリュウナだった。
「ぐはっ!」
次々に押していくリュウナの犠牲となったのはファブニール、金タライが落ちてきて良い音を響かせながら蹲っている。
「‥‥そこ、いい加減トラップ発動させるの止めてくれる?」
蒼翼は銃を向けながら「こういうのは自動で動くから楽しいのよ、見てる側が」と言葉を付け足す。最後の言葉だけは小さな声だったので他の能力者に聴かれることはなかった。次の部屋に進むとシビレ罠が仕掛けられており、リュウナが次々にスイッチを押すものだからシビレ罠が次々に出てきてファブニール、東青などが犠牲になった。
「リュウナ様‥‥し、慎重に行かなくちゃ‥‥本気で危ないです」
東青が何とかリュウナの暴走を止めようとするのだが‥‥それは無駄な行動に終わってしまう。
そして次の部屋‥‥大量のこんにゃくが降り注ぎ「にゃー! なんなのらー!」と慌てて叫ぶ。
「だいじょう‥‥ぶふっ」
ファブニールがこんにゃく攻撃から他の4人を護るのだが「僕って実はMっ気が出てきてるのかな‥‥」なんて事を小さな声で呟いていたのだった。
「リュウナ様? あれが出口みたいですから行きましょう」
東青がリュウナがこれ以上トラップを発動させないように出口へと案内するのだが‥‥「スイッチなのらー!」と大きなスイッチを見つけて勢いよく押してしまう。それと同時に蒼翼もレバーを見つけて引くのではなく押し込んでみることにした。
すると‥‥ゴゴゴゴゴ、と音を立てて天井が落ちてきて、おまけに後ろの床板は外れてとこれ以上ないくらいにピンチになってしまう。
「にゃー!!」
これは流石にまずいと考えたのか全員は慌てて走る――が蒼翼が落ちそうになってしまい、近くにいたファブニールを蹴り落として、先へと進む。
「なんで僕――――!!!」
ひゅうぅぅぅ、と音を立てながら落ちていくファブニールだったが、他の皆に怪我がなくてよかったと思う辺り、かなりのMっ気が彼を蝕んでいることだろう。
「だ、大丈夫なのかな?」
東青が呟くと「大丈夫でしょ、さ、出口まで急ぐわよ」と蒼翼が言葉を返して出口から外へと出て行ったのだった。
―― 2F攻略終了 ――
今回はお弁当などを持って来た能力者達が多かったらしく、折角皆で集まったのだからとお茶会‥‥というよりお食事会をする事にした。
「はい、召し上がれ、キリー」
百地はハンバーグやオムレツ風の甘い卵焼き、卵ともやし、人参の炒め物、タコさんウインナー、チキンライスなどが添えられたお弁当を渡す。
「‥‥ありがとう」
好物が入っておりキリーの機嫌もいいのか、素直に礼を言ってお弁当を受け取る。他にもヨネモトが数人分の弁当を持ってきていた。中身はツナ、鮭、昆布、梅(1つだけは素晴らしくすっぱい梅干)、厚焼き玉子、鶏の唐揚にプチトマトなどが入っている。
「桃華が綺麗に罠にハマるからレポートは書きやすかったな」
藤枝の言葉に「誰のせいよ! シンちゃん!」と天道が抗議するのだが藤枝が頭を撫でたりすれば先ほどまでの怒りは彼方へと吹っ飛ぶらしい。
「ふふ、お給仕しますわ」
ロジーはメイド服に着替えて給仕をして挨拶をしてなかった能力者達に挨拶などをしている。
「俺らは‥‥俺らで‥‥メシ食いに行くか」
西島はリュウナたちを誘ってご飯食べに行く事を伝え、軽く挨拶をしてその場から立ち去ったのだった。
「今回も面白かったのだ、でもここをこうすると‥‥」
香坂は気になった点をジョセフィーヌなどに話しながら3Fつくりの為のアドバイスを行っていた。
「そうだにゃ、ジョセフィーヌさん‥‥その頭脳、カップル撲滅に生かしてみないかにゃ?」
きらんと白虎がジョセフィーヌをしっと団に誘うのだが‥‥「私はいつかリア充側に行くのよー! 何よ、その私が結婚できない前提の誘いはー!」とミラクルパンチを食らってしまい勧誘に失敗したのだった。
「こちらのお弁当はいかがですか?」
澄野がお弁当が貰えずにいじけている鉄太に話し掛ける。彼女が持って来たお弁当は焼き魚やおにぎり、ほうれん草のお浸しなど和食系のお弁当で鉄太はまるで犬のように目を輝かせて「食べるっ」とがつがつと食べ始めたのだった。
「はい、飲み物をどうぞ」
一気にご飯を食べすぎて喉を詰まらせた鉄太にハミルが紅茶を渡す。彼が自分で自信があると言うだけあって紅茶は凄く美味しかった。
「あ、どうもこんにちは! お友達になってください!」
キリーがお弁当を食べていると、フロスヒルデがにこにことして話しかけてきた。
「いいわよ、友達になってあげてもいいわ。感謝なさい」
どこまでも上から目線なキリーに「ありがとう、キリーちゃんって呼んでいい?」とフロスヒルデは言葉を返してくる。
「好きなように呼べば良「きゃ〜☆ 可愛い〜!」‥‥苦しい」
「ふ、まるでお子様ね‥‥宜しくしてあげるから感謝なさい」
「‥‥‥‥あ?」
キリーはなっちゃんに視線を向け「誰に向かってそんな口聞いてンのよ、ヘタレ」と今にも喧嘩を始めそうな勢いになったのだった。
「むぅ、もうちょい怪我人が出ると思ったのに‥‥3Fは爆薬でも使うかな」
意外と怪我をしていない能力者達を見てジョセフィーヌがそんな事を言っていたなど、食事会をしている能力者達の耳に届くことはなかったのだった。
END