タイトル:祭の為に・準備マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 5 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/09/03 23:36

●オープニング本文


色々競技なども決まってきたから、祭の準備をしようぜ!

そして『ふんどしーちょ祭』を成功させようぜ!

※※※

・各種屋台
・ふんどしーちょ音頭
・褌騎馬戦
・褌倒し
・褌神輿
・褌マラソン
・褌水泳
・サバイバルINフンドシ

とりあえず決まっている催し物は上記の通りだ。

時間的に余裕があればまだ競技などが追加されるかもしれないのだとか‥‥。

「おいッス! ふんどしファイターの大石・圭吾(gz0158)だ! 今回はふんどしーちょ祭を成功させる為にも準備を頑張ろうな!」

き・らーん、とウザい程に爽やかなスマイルを見せながら能力者達へと挨拶をする。

「とりあえず、まだ確定ではないが決まっている催し物は此処に書いてあるから、これの準備を頼む。
 必要なものがあれば此方で準備をするから言ってくれ」

一緒に頑張ろうぜ、と大石は言葉を付け足しながら再び『きらん』と歯を輝かせて爽やかに微笑んだのだった。

「‥‥‥‥」

そんな爽やかに微笑む大石を見て、能力者達は心から思う。

『お前もちゃんと動けよな』――――と。

●参加者一覧

UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
佐竹 つばき(ga7830
20歳・♀・ER
六堂源治(ga8154
30歳・♂・AA
香坂・光(ga8414
14歳・♀・DF
天道・大河(ga9197
22歳・♂・DF

●リプレイ本文

―― 祭の為に準備 ――

「ふふんふんふんどし〜〜♪」
 褌をこよなく愛するキモメンこと大石・圭吾(gz0158)は歌いながら能力者達の前で仁王立ちをする。仁王立ちに特に意味はないのだがBAKAは仁王立ちがしたい年頃と言う事で納得していただこう。

「全てはふんどしーちょ祭のために‥‥」
 きらーん、と大石のような煌きを漂わせるのは褌伝道女神として有名な鳳 つばき(ga7830)だった。褌=大石、褌=鳳と他の能力者達には有名(かもしれない)人物だ。どうでも良い事だけど『大石』と『鳳』の苗字、言葉にすれば何処となく似ているような気がしないでもないのはきっと褌の為せる技なのだろう。
「さて。祭の準備、頑張るッスよ〜」
 大きく伸びをしながら六堂源治(ga8154)も呟き、準備に取り掛かるために行動を開始する。手伝いで来てくれた能力者達は4人だったので、大石は近隣一般人に声をかけて手伝ってくれる人間を大勢集めてくれていた。
「昔は屋台で焼きそば作ったりしてたものッス。久々に腕を振るうッスかね〜」
 手伝ってくれる人たちを見て六堂が呟く。いくらボランティアで手伝ってくれるとは言え、集まってくれた人たちに何かしたいのだろう。
「ちょっとしたイベントっすけど、楽しいものになると思うんで、ご協力お願いしまっす」
 ぺこりと六堂は頭を下げながら一般人たちに話しかけ、腕まくりをしながら準備に取り掛かったのだった。
「そういえば、結局、前回の会議と一緒のメンバーだね♪ 褌四人衆?」
 笑いを堪えながら香坂・光(ga8414)が能力者達を見渡して呟く。確かに会議と同じメンバーであり、彼女の言う『褌四人衆』もあながち間違ってはいないのかもしれない。
「しかし‥‥一つだけどうしても納得できない疑問があるんだが‥‥」
 天道・大河(ga9197)が腕を組みながら低い声で呟く。いつになく真剣なその表情に香坂も「え? な、なに?」とごくりと喉を鳴らしながら言葉を返す。
「この手伝いに集まってくれた一般人、大石が呼んだらしいんだが――なんであんな奴に呼ばれて素直にやってくるんだ?」
 天道が少し離れた所で「HAHAHAHA☆」と笑う大石を見て呟く。確かに彼の言う通り、あんなBAKAに呼ばれてやってくる一般人達はどれほど心の広い寛大な人たちなのだろう。
 様々な思い(大石は褌に思いを馳せて)ふんどしーちょ祭の準備は開始されたのだった。


「ふぅ、俺は疲れたから日陰で少し休ませてもらうな。このままだと熱中症になってしまう」
 まだ何もしていないうちから大石は休憩スペースで水をごくごくと飲んでサボろうとしていた。最近になって分かったが(一部の人はだいぶ前から知っていた)大石は極度のサボり魔だ。あんな男でもまだ人の為に頑張れば救いがある(かもしれない)のだが、この男には救いすらないようだ。
「大石さん、祭の為に頑張りましょうよ」
 鳳がため息を吐きながらサボっている大石に話しかけるのだが、彼は耳栓をしており鳳の言葉に聞く耳持たずの状態だった。
「頑張って働いたらうちのボンキュッボンのいとことデートさせてあげますから頑張――「鳳! これは何処に持っていけばいいんだっ」――‥‥単純」
 いとこ(あえて平仮名)とのデートを餌にすれば大石が動くかもしれないと考えていた鳳だったが、効果は予想以上のもので「さぁ、俺についてこーい☆」と妙な張り切りを見せていた。
「さぁ、それでは私も頑張りますよー!」
 鳳はばさっと上に着ていた服を脱ぎ、さらしと褌一丁になる。ここで疑問に思ってはいけない、準備に何故『褌姿』なのかと‥‥。
「おっと、此処にもゴミが‥‥マナー守ってない人ばかりなんスね〜‥‥使う前も使った後も美しくッスよ〜」
 六堂は抱えたゴミ袋に空き缶を投げいれながら呟く。普段あまり使われない場所なのか、既にがちがちに錆びた缶や、いつの物か分からないゴミまで散らばっていた。
 ゴミ拾いを終えた後は屋台の設置などを行っていく。これは鳳や六堂の二人では限界がある為、善意で集まってくれた一般人たちもテントや屋台の設営に協力してくれている。
「流石に女の子、女の子の私としては力仕事は無理なので六堂さん達に任せますね。わたしは配線やたこ焼きの機械の設置と調整をしますから」
 鳳は力仕事を六堂たちに任せて修理屋の腕の見せ所だ、と腕まくりをして機械の調整などに取り掛かる。
「はは‥‥いっくら力が強くても、でかいテントは一人じゃ限界があるッスからねー」
 苦笑しながら六堂がテントを見ていたら、一般人たちが「俺たちも手伝うからさ」とテントの設営準備に取り掛かってくれた。

「さて、とりあえず作業を始めようか」
 六堂と鳳たちがテントや屋台設営、機器類の調整を始めているのを見ながら香坂が呟く。香坂と天道は競技系の準備をする事になっていた。
「おーい、競技に使う棒はこれでいいのかぁ?」
 少しお腹が目立つ中年男性何名かが抱えて持って来たのは棒というよりは丸太に近いそれ、丸太ほどの太さはないけれど大きさはそれに匹敵するような感じだった。
「凄く‥‥‥‥大きいです」
 ぽかんとした表情で香坂が棒を見て呟く。
「あとは人を括り付ける縄と‥‥後が残ってもいけないから、縄で縛るところにタオルもいるかな? いらない人も多そうだけど‥‥」
 苦笑して呟く香坂に「この棒切れの心配なら気にしなくてもいいんだが、括られる人がいたいかもしれないから何か布をしてた方がいいかもなぁ」と中年男性が言葉を返してきた。
「とりあえず誰かを括り付けて感想を聞いてみたらいいんじゃないか?」
 天道の言葉に「ナイスアイデア!」と香坂が同意を示して「大石さん、ちょっといい?」と準備に使う材料を運んでいる大石を呼び出す。
「なんだ? 俺はボンキュボン美人とのデートが掛かっていてそれどころではないんだが」と用件も聞いていないうちから否定の言葉を口にする。
「まぁ、いいからいいから。お前だって祭を成功させたいだろ」
 天道はぐいぐいと大石を引っ張りながら棒切れに括り付ける。
「おおおおおお!!! 何だこの見晴らしの良さは!! 俺に何をしようとしてるんだ! 魔女狩りならぬ褌狩りでも始めようというのか!」
 ちなみに大石から褌を狩ったらただのZENRAのおっさんしか残らないので、きっと褌狩りをする者が現れることはないだろう。
「うーん、こういう縛り方だと滑り落ちてきちゃうかな? それじゃあ別の縛り方に」
 遠くから見たら、怪しげな儀式にしか見えないがこれも祭の為なんだろうと心に疑問を残しながら一般人達はツッコミを入れることなく黙々と作業を行っていた。
「天道さんは〜? 準備ははかどってる〜?」
 香坂が話しかけると「あぁ、こっちは問題なく捗ってるぞ」と天道が言葉を返した。彼は『サバイバルINフンドシ』の準備を行っている真っ最中で予め大石にダンボールや発泡スチロールを大量に用意させて、天道がハリボテを作って遮蔽物や陣地を作っていく。サバイバルは基本的にチーム戦なのだが、人が少ない時はバトルロワイヤルにするつもりだ。武器は水鉄砲、中身はあえて触れず『水鉄砲』を使用していれば問題ないという穴ありまくりのルール。接近戦ではエアーソフト剣やハリセンなどダメージを与えないものならばOKと言うルールだ。
「あえてルールに穴を開けておく事で、面白おかしいハプニングを誘発する‥‥我ながら完璧な作戦だ!」
 天道はマイワールドに浸りながら遮蔽物を作っていく。あとは参加者の名前を書いてリタイア席に張り出すものを作れば此方はOKとなる。
 そこへゆっくりと一台の車が近づいてくる。大石にとっては悪夢となりつつある車で「ぎゃあああ! あんのんがきたああああ!」と棒切れに括られながら騒いでいる。
「――祭はいいものだ、生贄は‥‥あるようだな」
 UNKNOWN(ga4276)が窓辺に肘を置きながら棒切れに括られている大石を見ながら小さく呟く。彼はとある依頼からの帰り道で、なにやら騒がしい場所を見つけてやってきたようだ。
「――祭か、これは極東風だな」
 そうか、夏ももう終わりなのだな――と独り言のように呟きながらUNKNOWNは準備風景を見ていた。
「情緒がありいいものだ、お、知り合いも参加しているのか」
 UNKNOWNは準備している能力者の中に見知った顔を見つけて、能力者達が関わっている祭なのだと知る。
「――すまんが、いつやるのか‥‥?」
 UNKNOWNが準備をしている一般人たちに問いかけると「あぁ、これが開催日らしいから持っていっていいよ」とチラシの一枚を配布する。
「あんのおおおおぷぎゃ」
 UNKNOWNを見つけて積年の恨みを晴らそうとやってきたのだが、急発進した車(という名前のバグア)により撥ねられてしまう。
「おや? 車の具合が悪くなったか?」
 後ろから再び『DON☆』と効果音が聞こえてUNKNOWNは首を傾げる。
「私も時間があれば来よう、ちなみに綿菓子屋は出口近くがいいらしい」
 UNKNOWNは呟きながら差し入れとしてたこ焼き10パックを渡してそのまま車を発進させた。
「くっ‥‥バグアめ」
 ミラー越しに見える倒れた大石の姿を見て、彼は小さく呟いたのだが誰の耳にも止まる事はなかったのだった。

 ある程度の準備を終えて早めに借りてきた神輿の飾りつけをする事になった。飾りつけとは言ってもレンタル神輿なので傷をつけたりするわけにも行かず複数の褌の紐の部分を繋いで暖簾のようにしたものを四方に括り付ける。
「しかし、この神輿を見てると去年ここから発射された記憶を思い出します」
 複雑な心境で語る鳳だったが、それも彼女を見守る褌神によって与えられた試練だったのだろう。それを見事にこなしたおかげ(かどうかは分からないのだが)で彼女は今や立派な褌女神である。
「うんうん、いい感じに仕上がって来たッスね〜」
 六堂も樽の飾りつけなどをしながら満足気に腕組をしながら呟く。
「あたしもできたー! マラソンと水泳の準備は終わったよー!」
 香坂が大きく伸びをしながら「つかれたー!」と呟き六堂たちのところへとやってくる。そして続いて天道もやってきて、祭の準備は9割がた終了したといっても間違いないだろう。
「て、てんどー‥‥か、かってきたぞ」
 大石がよろめきながらカレーの材料を天道に渡す。どうやら大石は使いパシ‥‥お使いを頼まれていたらしく、何故か傷だらけで帰って来た。彼の傷の大半がUNKNOWNに轢かれたものだと分かっていたが、あえてそこは分からないふりをした。
「よっし、それじゃ動作確認もかねて、焼きそば、たこ焼き、わたあめを一通り作って見るッス」
 六堂が呟き、鉄板などがある場所へと歩いていく。それからの彼は見事な手つきでそれぞれを作っていく。
「おっし、腕は鈍ってないみたいッスね〜」
 良い匂いが立ち込めてきて、作業を終えた一般人たちも続々集まってくる。
「俺もカレーを作ったぞ、とりあえず腹もすいてるだろうし、好きに食ってくれ」
 天道も鍋を『どん』と置きながらカレーを振舞う。
「さて、ご飯を食べたらまだ時間も少しありますし、しーちょ君の品出しもやっちゃいましょうか」
 鳳が呟く。しーちょ君とは『ふんどしーちょ祭』公認マスコットキャラで、愛嬌ある姿形が密かに人気なのだとか。
「そうそう、大石さん、あとであたしが準備した水泳とマラソンを体験してきて欲しいのだ♪」
「香坂、何故それを俺に言う?」
「え、大石さんしかいないでしょ、この中でするのは。あたし達は本番でやるのを楽しみにしておくよ」
 さらりと返された言葉に大石は――「良い所を先に俺に味合わせようということか! ありがとう!」とBAKAで単純な言葉が返ってきた。
(「果てしなく勘違いしてるけど、ま、いっか」)
 香坂は心の中で呟き「頑張ってきてねー」と手を振りながら自分も焼きそばやカレーに手を伸ばしたのだった。

「さて、準備も終わったことだし、あとは祭本番だけッスね」
 日も暮れ始めた頃、六堂が呟くと「女神としての本能が疼きます」と鳳が腰に手を当てながら呟く。さらしに褌という姿で夕日を浴びて勇ましい事この上なかった。
「そういえばなんか景品とか出るのか?」
 天道が呟くと「‥‥なんだろ、大石さんの褌じゃ景品にならないもんね」と香坂が苦笑する。
「そうだ、報酬としてはちょっとアレかも知れないッスけど、手伝ってくれた皆さんにジュースでお礼するッス」
 六堂が呟くと「この財布から出すといい」と天道が呟く。しかしその財布には『褌命』とかかれており、明らかに大石の財布だった。
「あいつは今回動いているようであまり動いてなかったからな、こういうところでせめて役にたってもらおう」
 確かに。大石は「うおりゃー!」「ふんぬー!」など叫んではいたけれど、能力者達の半分も働いてはいない。
 むしろ「デート♪ デート♪」と何故か『ロマンチックサマーフェスティバル』と怪しげな本を見ながらデートプランを考えていたのだから。
 その後、水泳とマラソンから帰って来た大石は何故か全部ではないけれど消えたお金に対して「あれ? 俺っていくら持ってたっけ?」と気づかない始末だった‥‥。


次は『ふんどしーちょ祭』本番!