タイトル:鈍色の月が輝く夜に‥‥マスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/02/18 02:17

●オープニング本文


たとえ、罪にならなくても私へ架かった罰の十字架は消えてくれない。

だって――夜になれば『あの時』の目撃者が現れるから。

空に浮かぶ鈍色の月が私の罪を見ていたのだから‥‥。

だから私が許される日は来ない。

夜空の月が私の罪を攻め立てるように鈍い色を放つのだから。


※※※

能力者の中で実際に人を殺めた事があるのはどれだけいるだろう。

私は――――ある。

能力者になる前、刑事だった頃に一人だけ殺した。

「おい、飲みすぎだって」

能力者になってから知り合った男性能力者が無茶な飲み方をする私・アヤノからグラスを取り上げるような動作をするが、店のマスターに止められる。

(「さすがマスター、私の事が良く分かってるじゃない」)

「トイレ行ってくるわ」

そういって私は席を立ち、よろよろとしながら女性用トイレへと向かう。

「何で止めないんだ? あんな飲み方してたら体を壊しちまう」

男性能力者・セキがマスターをじろりと睨みながら問いかけると「今日は満月でしょう」と若い男性マスターが問いかけてくる。

「え? あぁ‥‥」

「満月の日の彼女はあんな風なんですよ、一度止めたら店の中で暴れまわってね。だから満月の日だけは放っておくことにしたんですよ」

満月の日の彼女、それはセキも感じていた。満月の夜になるとアヤノは何処か狂気的な雰囲気を持つ。

「だいぶ前、満月の夜に人を殺したんだそうです」

マスターの言葉に「え」とセキは表情を強張らせながら呟く。

「まだ能力者になる前でしたかね、刑事だった彼女が独断行動で現場に踏み込んで誤射して殺してしまったんだそうですよ」

前に酔った時に話してました、マスターは言葉を付け加えながらグラスを磨き始める。

「月が責めるのだといってました、月だけが私の罪を見ていたといって泣いてました」

それなりに長い付き合いだった彼女にそんな過去があるとは知らず、セキはただ何も言えず黙っているだけだった。

そして、次の満月の夜――偶然なのか、それとも必然なのか、信じがたい出来事が起きた。

「山の中にキメラ? 住人の避難は?」

アヤノは資料を見ながらキメラ情報と住人の避難状況を確認して――ばさりと資料を落とす。

「寺脇――祥子‥‥」

「知り合いか? 知り合いなら急いでいかなくちゃ‥‥あ、でも俺は別の仕事が‥‥大丈夫か? 一人で」

セキが話しかけるが、アヤノの耳には届いていない。

「この子は――昔、私が殺した人の‥‥娘よ」

セキは目を丸くして、無表情のアヤノを見ていたのだった‥‥。

●参加者一覧

御山・アキラ(ga0532
18歳・♀・PN
夕風 悠(ga3948
23歳・♀・JG
遠倉 雨音(gb0338
24歳・♀・JG
ディッツァー・ライ(gb2224
28歳・♂・AA
八葉 白雪(gb2228
20歳・♀・AA
ルチア(gb3045
18歳・♀・ST
マヘル・ハシバス(gb3207
26歳・♀・ER
サンディ(gb4343
18歳・♀・AA

●リプレイ本文

 ―― 竜退治に赴く能力者達 ――

「‥‥こんにちは、アヤノよ、宜しくね」
 そう言って能力者達に軽く笑みながら挨拶をしてきたのはスナイパーのアヤノだった。
「此方こそ宜しく。場所が町に近いという事だが――町に入られる前に片をつけたいところだが‥‥」
 御山・アキラ(ga0532)が呟くと「町の近くですか?」と夕風悠(ga3948)がやや驚いた表情で言葉を返して、彼女が持っていた資料を覗き見る。
「本当だ‥‥早く対処しないとっ」
「‥‥そうね」
 夕風の言葉にアヤノが少し間を置いて言葉を返す、その時の表情は具合でも悪いのかと思うほどに蒼白なものだった。
「あの、大丈夫ですかっ? 顔色が悪そうですけど‥‥」
 夕風が問いかけると「大丈夫よ」とアヤノは眉を下げながら笑って言葉を返した。
(「‥‥少しただならぬ雰囲気なのが気になりますが‥‥」)
 遠倉 雨音(gb0338)はアヤノへと視線を移しながら心の中で呟く。
「今回はドラゴン‥‥いや龍か? 何れにしろ相手にとって不足無しだ」
 ディッツァー・ライ(gb2224)が大きく伸びをしながら呟くと「ふふ、宜しくお願いしますね。ディッツさん」と白雪(gb2228)がディッツァーの肩を軽く叩きながら挨拶をする。
「二人と一緒の任務だなんて心強いですね」
 ルチア(gb3045)が白雪とディッツァーに言葉をかけると「精一杯頑張ろうぜ」とディッツァーが言葉を返した。
「でも‥‥この分じゃ現地に到着するのは夜中ですね――今日は満月だから綺麗に月が見えそう」
 マヘル・ハシバス(gb3207)が呟くと「‥‥満月、か」とアヤノが何処か遠くを見るように小さく呟く。
「アヤノ‥‥? 本当に具合でも悪いんじゃ‥‥?」
 サンディ(gb4343)がアヤノに問いかけると「あ、ごめんなさい、大丈夫よ」と慌てたように言葉を返した。
 しかし――能力者達は見ていた。アヤノの体が微かに震えている事に。
 能力者達はアヤノに対して僅かな警戒心に似たような感情を秘めたまま、任務地である山へ到着するのを高速艇の中でジッと待っていたのだった。


―― 空に浮かぶ鈍色の月が狂わせる ――

「綺麗な満月。手が届きそうな大きさよ」
 白雪は高速艇から降りると空に向かって手を伸ばしながら呟いた。
(「‥‥そうね、なんて素敵な月夜」)
 白雪の姉・真白が彼女の頭の中で言葉を返すが「‥‥こんな月の日は嫌い」とアヤノが短く言葉を返してきた。
「月なんて――なかったらよかったのに。そうしたら私も‥‥」
 アヤノは呟き、途中で言葉を止めて「‥‥何でもないわ」と言葉を返して懐中電灯を取り出してキメラ捜索の準備を始める。
(「変に気負っていると言うか、不必要に自分を追い込んでいるというか‥‥何れにせよ、少し気に掛けておいた方が良さそうですね」)
 遠倉がアヤノを見ながら心の中で呟く。
「あのさ‥‥さっきは言えなかったんだけど‥‥」
 少し先を行くアヤノをちらりと見ながらサンディが能力者達に話しかけて一枚の書類を見せる。
「彼女――能力者になる前は刑事だったらしいんだけど‥‥人を殺したって友人の能力者に言ってるらしいんだ、それで調べてみたら‥‥」
 サンディが見せた書類に書かれていた事に能力者達は大きく目を開いて驚きの表情を見せた。
 その紙に書かれていたのは、刑事時代に誤射によって人を一人殺しているという事、殺した女性は『寺脇美智子』という名前で、今回の避難者の中にその娘がいるという話なのだ。
「偶然にしては出来すぎ‥‥と言いたいですけど、本当に偶然なんですよね」
 マヘルが驚いたような表情のまま呟くと「アヤノの態度がおかしい原因はこれ、なんだろうな」と御山もポツリとため息を吐きながら呟いた。
「とりあえず、お仕事に専念しましょ」
 夕風が呟き、能力者達は首を縦に振り、高速艇の中で決めた班分けで行動を開始する事にしたのだった。

※誘導・避難※
 今回は戦闘地になるであろう場所は住人達の住む町に限りなく近い場所なので、サンディとルチアは住人達の避難誘導を行ってから、戦闘班である残りの能力者達に合流する事になっていた。
 キメラが現れた事で、町は夜中という事にも関わらずザワついており、大人達の慌てる声、子供の泣き叫ぶ声がそこら中から聞こえていた。
「落ち着け!」
 サンディが住人達を落ち着かせる為に、少しだけ大きな声で叫ぶ。
「慌てず、速やかに避難しろ!」
「皆さん、落ち着いてください! 私達の仲間がキメラと戦っています、こちらには絶対来させませんから落ち着いて避難してください!」
 サンディの声で少しだけシンとなった後にルチアが泣き叫ぶ子供の頭を撫でながら叫ぶ。
「慌てても何にもなりません、こういう時だからこそ冷静になって避難してください」
 ルチアが大きな声で住人達に向けて叫んだ時、がらがらと激しい音を立てて、壁に立てかけてあった材木が倒れて数名の住人が巻き込まれる。
「大丈夫か!?」
 サンディが人の波を掻き分けて材木が倒れた所に駆け寄ると女性一人と男性二人が材木の下敷きになっている。
「ルチア! 怪我人が出た、任せたぞ!」
 サンディが少し遠くに居るルチアに向けて叫ぶと「分かりました!」とルチアも此方へと向かって走ってくる。
「治療します、皆さんは落ち着いて避難を続けて下さい」
 ルチアは『練成治療』を使用して三名の負傷者の傷を癒していく。
 その後、サンディとルチアは住人の混乱を収め、仲間達がキメラと戦っている場所へと合流する為に急いで向かい始めたのだった。

※戦闘班※
「無事に避難を終えればいいんだが‥‥」
 御山は町の方を振り返りながら小さく呟くと「大丈夫ですよ」と夕風がにっこりと笑って言葉を返した。
「‥‥嫌‥‥」
 突然アヤノが呟いたかと思うと、がたがたと異常に体を震わせながらその場に座り込んだ。
「どうしたんだ? 本当に具合が悪いんじゃ――?」
 ディッツァーが手を差し出しながら問いかけると「触らないでっ!」とばしんと手を振り払いながらアヤノが叫ぶ。
「どうしたんですか‥‥?」
 白雪が心配そうに呟くと「戦えない‥‥月が見てる、私を責めたてるのよ」とその場に頭を抱えながら木にもたれて月から隠れるような行動を見せた。
 その時、ズシンという音が響いたかと思うと顎部分を地面につけて此方を見るキメラの姿があった。
「キメラを退治しなくちゃ‥‥あぁ、でもまた命を奪う所を月が見てる‥‥また、私は責められる」
 嫌だ、そう言って持っていた武器で乱射を始める。こんな状況でキメラと戦うのは明らかに能力者達が不利であり、どうしたものかと考えていた時だった。
 ばしん、と乾いた音が響く。音の方を見ると遠倉がアヤノの頬を引っ叩いていた。
「貴女は――また独断で動いて、誰かを傷つけるつもりなのですか‥‥?」
 何でその事を知ってるの、アヤノは言いたそうな表情で見ると「文句があるなら後で聞きます、罵りたければ罵ればいい」と遠倉は言葉を続ける。
「ただし、それは全てキメラを倒すまでお預けです」
 返事は? と遠倉が返事を求めると「‥‥わかった」と落ち着きを取り戻したようにアヤノが言葉を返し、武器を手に持って戦闘準備を始める。
「そうですね、貴女にも思う所があるようですが、まずはアレを倒してからです」
 マヘルもアヤノに向けて呟き、戦闘準備を始める。
「ごめん、少し遅くなったかな」
 その時、避難誘導として動いていたサンディとルチアが合流して能力者達は本格的に戦闘を開始したのだった。


―― 竜との戦い ――

「まずはその鱗の鎧から対処していきましょうか」
 マヘルはキメラを見ながら呟くと『練成弱体』を使用して、キメラの防御力を低下させる。
 そして『瞬天速』を使用して御山は一気にキメラとの距離を縮めると『急所突き』を使用してキメラへと攻撃を仕掛ける。マヘルの『練成弱体』によって普段より与えるダメージが増えているようにも思われる。
「さぁ、とっとと片付けるよ!」
 覚醒を行った事により口調の変わった夕風が『レインボウ』を構えて『強弾撃』を使用して翼を狙って攻撃を行った後に『即射』を発動して追撃を行う。
 夕風の攻撃が終わるタイミングに合わせて、遠倉は『ドローム製SMG』を構えると『鋭覚狙撃』を使用して攻撃を行う。遠倉が攻撃を終えた後、アヤノが前に出ようとしたのをディッツァーが止める。
「無理無茶無謀は嫌いじゃないが、少々頼るくらい罰は当たらんだろう」
 あんたに出来る事は無茶じゃないだろ、ディッツァーはアヤノに言葉を残して『【OR】獅子刀 牙嵐』を構えてキメラへと攻撃を仕掛けに走り出した。
「龍の鱗と獅子の牙、どちらが上か真っ向勝負だ!」
 ディッツァーは叫ぶと振り上げた武器を勢いよく振り下ろして攻撃を行う。キメラから離れる際に爪によって傷を負ったが、歩けなくなるほどではなくディッツァーは再び地面を蹴ってキメラへと向かう。
「回復は任せてくださいっ――これが私の戦い方ですっ!」
 ぐ、と拳を強く握り締めながらルチアが前線で戦う能力者達に向けて叫ぶ。
「援護しますから――行ってください」
 アヤノが叫び、持っていた『アサルトライフル』で攻撃を行いながら能力者達に向けて叫んだ。
「その図体だ、速い動きにはついてこれまい」
 御山は『疾風脚』を使用しながらキメラに向けて呟き『ミラージュブレイド』で攻撃を仕掛けた。
「翼を狙って攻撃するよ!」
 夕風が叫ぶと『強弾撃』を使用しながらキメラの翼を狙って攻撃を行い、追撃をするように御山が夕風の撃った場所を斬りつける。
 流石に能力者9人を相手にしている事でキメラにも消耗が見え始めたのか、傷ついた翼を広げながら強い風を起こして能力者達を吹き飛ばそうと試みる。
「さてと‥‥ディッツ君、援護するから宜しくね」
 覚醒を行い、白雪から真白へと人格が変わり白い髪を靡かせ『月詠』と『血桜』を構えながらキメラへと向かっていく。
「悪いけど‥‥その邪魔な羽、落とさせてもらうから」
 真白はにっこりと笑顔を浮かべながら呟くと翼の付け根部分を狙って『二段撃』を四回連続で使用して攻撃を行い、今にも千切れそうな翼をディッツァーが斬り落とした。
「木偶‥‥その身、蜥蜴にも劣る」
 真白は呟き、再び『二段撃』を四回連続で使用するとキメラの尾を斬り落とす。
「そろそろお別れだね」
 サンディも『レイピア』でキメラを攻撃しながら短く言葉を返す。
「悪いが――少しの間止まっていてもらうぞ」
 御山が呟き『エネルギーガン』で攻撃を行い、遠倉は『影撃ち』と『急所突き』を併用しながら『ドローム製SMG』で攻撃を仕掛けた。
「その首、叩き斬る! ‥‥一刀両断!」
 ディッツァーがトドメを刺す為に『流し斬り』『紅蓮衝撃』『急所突き』を使用して一気に倒しに掛かる。
 キメラの腕がディッツァーの攻撃が当たるより先に動き、彼へ攻撃を仕掛けようとしたのだが――洋弓『アルファル』に持ち替えた真白が『弾頭矢』を使用して攻撃を行い、キメラの動きを止め、ディッツァーの攻撃がキメラへヒットしたのだった。
 そして、その攻撃によってキメラは無事に倒され、能力者達は任務を終えたのだった。


―― アヤノの言葉、あの日の真実 ――

「迷惑をかけて‥‥悪かったわ‥‥」
 戦いが終わった後、アヤノが申し訳なさそうに謝る、その表情に先ほどの異常な怯え方、狂気は微塵も感じられない。
「何かあったのは分かりますが、そこまでに貴女を追い詰めるものは何なんですか?」
 マヘルが心配そうに問いかけると「知ってるでしょ、私が人を殺したこと」とアヤノが言葉を返してくる。
「私は新人で犯人に逃げられちゃいけない事だけを優先的に考えていた、そして独断で行動して――‥‥罪の無い人を殺してしまった」
 私は絶対に許されない、アヤノの言葉に御山がアヤノの隣に腰を下ろしながらポツリと言葉を紡いでいく。
「許すか許さないか、許されるか許されないか‥‥それを決めるのはやった方でも周りにいる者でもない」
「人は、過去には戻れません‥‥『if』を考える事、その選択を悔いる事は誰にでもある事です。ですが、それに押しつぶされないで下さい」
 ルチアが慰めるように、優しい口調でアヤノに話しかける。
「受け入れて、取り戻す事、償う事はきっと出来る筈です、きっと‥‥」
 仕方なかったで済まされる事だとは彼女自身も考えていない、だけど歩み寄る事は出来ると考えている。いや、こんな時代だからこそそう信じたいのだろう。
「罪は誰かから許してもらえるものでは無いから自分で納得するしかないんです」
 マヘルの言葉に「納得なんて‥‥出来ない、人の命を奪っているのに」とアヤノが言葉を返した。
「貴女は悔い改める事はした? 悔いる事だけなら誰でも出来る。本当に大切なのは悔い改める事だ」
 サンディの問いかけに「‥‥悔い、改めること‥‥」と目を丸くして聞き返すように呟く。
「貴女は逃げていただけだ、逃げずによく見なさい。月は本当に貴女を責めている? 許さないと言っている?」
 違う、サンディは首を横に振りながら言葉を続ける。
「貴女自身が、人を殺めたという事実を背負う覚悟が出来ていないだけなんだ」
 もう逃げずに、ちゃんと自分と向き合いなよ‥‥サンディの言葉にアヤノは涙を流し始める。
「私は過去の依頼でバグア派のテロリストを殺しています――その事を罪として認めてはいますが、殺した事は後悔していない」
 マヘルが強い意志を持った瞳でポツリと呟く。
「あの‥‥娘さんがいるなら、会ってみたらどうですか? 今までアヤノさんは月という存在、というより過去から必死に‥‥いや、無意識にでも逃れようとしてたと思うんです。生意気かもしれませんけど、この機会に過去と向き合うのもいいかと思います」
 私だって人の事は言えませんけどね、夕風は困ったように笑みながら言葉を付け足した。
「‥‥何か伝えなくていいの?」
 殺した人物の娘と会う事を躊躇っている姿を見て白雪が真白に問いかける。
(「悪いけど‥‥私が伝えるとしたら『甘い事言わないで』としか言えないわよ? 私達は絶えず何かの命を奪って生きている。その罪を背負えないくらい弱いなら生きるのを止めるしかないもの」)
 冷たいと思える言葉だったが、真白の言葉は間違っていないのかもしれない。
「‥‥当事者でもない俺には何も言えない。これは当人で解決する問題だ」
 ディッツァーは腕を組みながらアヤノの決断を待っている、誰かが助けを出す――これはアヤノの為にならないと彼も分かっているのだろう。
 その後、アヤノは「会ってくる」と言葉を残して能力者達の前から姿を消した。そして一時間ほどが経過した頃に戻ってきて「許してくれた‥‥ありがとう」と涙を流しながら背中を押してくれた能力者達に何度も礼を言ったのだった。


END