●リプレイ本文
〜 クイーンズ主催・能力者を癒そう計画‥‥? 〜
「んー、結構いいホテルだね〜♪ ノエルンと一緒にホテルでデートだ♪」
神崎・子虎(
ga0513)がホテルを見上げながら楽しそうに呟く。
「ホントだ‥‥高そうなホテル‥‥招待してくれたんだから目一杯楽しまないとだね」
ノエル・アレノア(
ga0237)が呟きながら『ロイヤルクラウン』へと足を踏み入れたのだった。
そして二人とほぼ同じ頃に到着したのは神無月 翡翠(
ga0238)だった。
「でけ〜ホテルだな? しかしまぁ、金がある事で‥‥」
クイーンズは記者達が言っている通り『個人雑誌』なのでこんな高級ホテルを貸しきれるほど資金があるとは考えにくい。
「‥‥なんだ? 悪寒がする、珍しいな‥‥」
何かを感じ取るように背筋に走る妙な寒気が走り、嫌な予感が頭を過ぎる。翡翠は「まさか、な」と首を傾げながらホテルへと入っていく。
数名の能力者がホテルの中に入ると、それなりに沢山の能力者達がロビーで寛いでいる姿が見受けられた。
「ハロ〜♪ 今回は来てくれてありがとね♪ 皆の寝‥‥じゃなくて日頃の疲れを癒してね♪」
明らかに何かを企んでいるように口ごもるクイーンズ記者・土浦 真里(gz0004)に妙な不信感を持ちながら「ま、いいか」と能力者達はそれぞれチェックインを行い始めたのだった。
「私とナレインちゃんは相部屋でお願いするわね」
シュブニグラス(
ga9903)はナレイン・フェルド(
ga0506)と一緒の部屋にする為、ツイン部屋のある10階の鍵を渡される。
「夜景が綺麗みたいだから楽しみだわ」
ナレインがホテルのパンフレットを見ながら呟くと「色々楽しみましょうね」とシュブニグラスが言葉を返して、二人は荷物を置きに部屋へと向かっていった。
「私も10階の部屋にしたいのですが、大丈夫ですか?」
水鏡・シメイ(
ga0523)がフロントマンに問いかけると「はい、部屋は空いていますので大丈夫ですよ」とナレイン達と同じく10階の部屋の鍵を渡され、水鏡は二人の後を追って部屋へと向かった。
ちなみに何故10階なのかというと迷子になるかもしれないと言う事から、顔馴染みであるナレイン達と一緒に行動しようと考えていたからだ。
「タダ‥‥か‥‥何も‥‥起こらなければ‥‥良いが」
西島 百白(
ga2123)が小さな声で呟く。恐らく今回の企画に参加した能力者ならばほとんどの人間が『何か良からぬ事を考えている』と頭の片隅で思っている事だろう。
「‥‥さて‥‥部屋の確認でも‥‥するかな」
西島は部屋の鍵を受け取ったあと、何か仕掛けられていないかを調べる為に自室へと向かっていった。
「はー、まさかこんなホテルに招待されるとはね。傭兵やってて良かったと思うべきか」
マクシミリアン(
ga2943)がチェックインをしながら楽しそうに呟く。
「何より参加者に美人が多いねぇ、うん、素晴らしい事だ」
マクシミリアンは参加している女性能力者達に「後で皆で楽しもうや」と軽く挨拶を交わし、自室へと向かっていった。
「今回は招待ありがとうな、マリ。本当に愉しむ事には手を抜かないな」
今回は愉しませてもらうよ、威龍(
ga3859)は招待主のマリに挨拶をしながら静流の姿を見つけ「また後でな」と言葉を残して彼女の元へと向かって行ったのだった。
「あ、キョーちゃん発見っ」
マリが見知った顔に駆け寄ると、そこにはキョーコ・クルック(
ga4770)が小さな荷物を持って軽く手を振っている姿が見受けられた。
「日頃の息抜きをしようと思ってね」
「そっか、どんと息抜きしちゃって♪ また後で皆と騒ごうと思うし、キョーちゃんも良かったらおいでよ♪」
マリの言葉に「うん、是非参加させてもらうよ」とキョーコは言葉を返しながらフロントへと向かっていく。
そしてキョーコを見送った後に見えたのはマリの彼氏でもある玖堂 鷹秀(
ga5346)の姿だった。
しかし何かを考えているようで見える場所にいるマリにも気づいていない。
「ふむ‥‥? 随分と粋な計らいをしてくれるものですね。しかし『あの』真里さんが何の見返りも無くこのような事をしてくれるものかと言うと‥‥」
顎に手を当てながら考えこみ、そして首を横に振りながら「いけませんね、恋人をここまで疑ってしまうとは。素直にお言葉に甘えるとしましょう」と呟き、目の前にいるマリに気づいて少しだけ驚いた表情を見せる。
「ちょっとぉ〜、私が前にいるのに気づかないって結構ショックだよ?」
「いえ、ちょっと考え事を‥‥」
玖堂が苦笑気味に言葉を返すと「ま、疲れを取る為にゆっくりしていってね」と言葉を残し、他の能力者の所へと向かう。
しかし玖堂の頭の中の疑問が消える事はなかったのだとか‥‥。
そしてホテルのパンフレットを見ながらフロントに向かうのはネオリーフ(
ga6261)だった。
「ホテルってあんまり使わないから、ワクワクする‥‥お風呂に入って、牛乳飲んで、あとマッサージチェアにも座ってみたいな。あとゲームセンターで遊ぶのも楽しみ、普通の所でするのとは違う魅力が、ホテルにはあると思う」
ネオリーフはパンフレットを見ながら一泊二日の宿泊旅行の計画を立てながら、短い期間だけれど目一杯楽しまなくちゃと心の中で呟き、フロントで鍵を貰ったのだった。
「あの、12階の部屋は残っていますか?」
ハルトマン(
ga6603)はフロントマンに問いかけると「はい、残っていますよ。12階の部屋をご希望ですか?」と言葉を返してくる。
「はい、12階の部屋をお願いします」
ハルトマンは12階の部屋の鍵を受け取りながらにっこりと笑顔で言葉を返した。彼女はホテルの招待状が来た時から楽しみにしていたらしい。
「とっても豪華なホテルなので楽しみなのです」
ハルトマンは笑顔のまま12階の部屋へと移動していく。
「ふかふかべっど! 美味しい料理が私を呼んでいるーっ!」
月夜魅(
ga7375)が両手を挙げながら直江 夢理(
gb3361)と共にホテル内へと入ってくる。
「こ、これはっ‥‥私などが足を踏み入れていい領域なのでしょうかっ‥‥」
落ち着いたインテリアで纏められたロビー、手入れのされた観葉植物、そして漂う高級感に月夜魅は少し躊躇うように足を止める。
「大丈夫ですよ、月夜魅お姉様。ハガキもちゃんとありますし‥‥」
直江がハガキを見せながら呟いた所で『ガシャーン』と何かが割れる音が響き渡り、黒いスーツを着込んだ男性が慌てて駆け寄っていく。
「ご、ごめ〜ん」
「お、お前な‥‥それめちゃくちゃ高かったんだぞ‥‥」
綺麗な硝子細工をマリが割り、ホテルのオーナーらしき男性から怒られている姿だった。
「何か知り合いみたいですね、マリさんとあの人‥‥」
直江が呟くと「そーみたいだね」と月夜魅は言葉を返し、この宿泊でマリが何か事件を起こさないかと心配になった瞬間だった。
「わー‥‥すっげぇ」
見る物が新鮮に感じられるのか番 朝(
ga7743)はホテルの中を見上げたりしながらフロントへと進む。
「これ見せればいいんだろ?」
フロントマンにハガキを見せながら話しかけると「はい、それでは此方が鍵となります」と琥珀色のキーホルダーが付けられた鍵を受け取り、再びホテル散策へと向かい始めた。
「ふふふ、つきみーさんと直江さんのラブラブっぷり、折角だしこのカメラに収めさせてもらいますよ」
妖しい事この上ない笑みを浮かべながら手に持ったデジカメを見るのは褌伝道女神として名高い鳳 つばき(
ga7830)だった。
「ううん、このハガキ‥‥マリさんがタダで招待だなんて、裏があるとしかボクには思えないんだけど‥‥まぁ、楽しみましょう♪」
ハガキを見ながら嫌な予感が頭を過ぎるのは椎野 のぞみ(
ga8736)だった。彼女は後から皆で集まった時の為に手作りクッキーも用意してきていた。
「う〜ん、たま〜には息抜きも必要なのですよ」
自分の部屋で大きく伸びをしながら神無月 るな(
ga9580)が呟く。彼女自身、負傷中という事で療養も兼ねているのだろうか。
「さてナレ姉様の特訓でも行きましょうか」
神無月は水着を持ってプールへと先に向かったのだった。
「お、発見」
ホテル内に入って朔月(
gb1440)はマリの手伝いで来ている室生 舞の姿を見かけて後ろから思い切り抱きついた。
「わ、わ‥‥朔月さん、こんにちは」
驚きながらも挨拶をする舞に「こんちは」と朔月も挨拶を返す。
「ちぇ、チェックインした方がいいですよ。ボクも他の皆さんの手伝いがありますし‥‥」
舞が呟くと「OK、また後で話そうぜ」と言葉を残して朔月はフロントへと小走りで駆けていく。
「真里りんがこんな事するなんて珍しい‥‥! 感謝しなきゃね! 思いっきり楽しむよー! ねー、冬馬さん」
風花 澪(
gb1573)が一緒に来た早坂冬馬(
gb2313)の腕を引っ張りながら話しかけると「そ、そうだね」と早坂は苦笑気味に言葉を返した。
(「純粋なのは罪ですねぇ‥‥それとも俺が煩悩に塗れているだけですか」)
早坂は『ホテル行きませんかー』と風花に誘われてやってきたのだと言う。普通に受け取れば下心満載で受け取られる言葉なのだから早坂が悩む気持ちもきっと他の人間なら分かる事だろう。
「ゲーセン行ってー、温泉入ってー、ホテルの探検もしてー♪ スイートルームも行ってみよー♪」
指折りしながら呟く風花に「はいはい、お姫様、仰せの通りに」と早坂は苦笑して風花の後ろをついていくのだった。
「うぅん、何故でしょう。すごく、嫌な予感がします」
芝樋ノ爪 水夏(
gb2060)がハガキを見ながら小さな声で呟く。かなりの人数から不審に思われているマリの行動だが、一体どれだけ信用がないのだろうか。
「‥‥でも、何でも疑うのは良くないですよね、真里さんだって、色々考えて企画して下さったんでしょうし。ここはお言葉に甘えて、ゆっくりさせて頂きましょう」
芝樋ノ爪は呟くと、マリの姿を見かけて「真里さん、今日はお招きありがとうございます」と丁寧に頭を下げながら挨拶を行う。
「いやいや、ゆっくり遊んで休んで行ってね」
マリの顔を見ながら「考えすぎだったのかな」と芝樋ノ爪は呟き、フロントへと向かう。
そしてコツン、とブーツの音を響かせながらホテルにやってきた女性――クリス・フレイシア(
gb2547)はホテルを見上げる。
「クイーンズ社‥‥年末のホテル貸切とは‥‥一体何処からそんな資金が出てくるのか」
暫く考え込むが「まぁいい。大晦日は山で越したから、少し疲れた。オンセンに入って少し休む事にしよう」と呟きフロントへと向かう。
「クリスティーナだ、これを見せれば入れると聞いたのだが」
クリスはハガキを見せながらフロントマンに話しかけると「確認しました、銃器や刃物類などはフロントで預かりになりますがよろしいですか?」とクリスに言葉を返す。
「むぅ‥‥仕方ない」
クリスは渋々ながら銃器をフロントへ預け、部屋へと向かったのだった。
「ダンパと同じくタダとは、真里も太っ腹だな‥‥しかしタダじゃ終わらなさそうな気が大いにしやがるな」
七海真(
gb2668)はため息混じりにハガキを見るが「ま、適当に飯食って楽しけりゃいいかな」と言葉を付け足して部屋へと足を向けたのだった。
「真里さん、素敵な休暇をありがとうございます」
美環 響(
gb2863)が天使のような笑顔でマリにお礼を言う。その笑顔はマリの罪悪感を擽るには十分すぎるもので、マリは胸の辺りがちくちくとする感覚に陥った。
「う‥‥ま、まぁゆっくり休んでね‥‥」
マリは引きつった笑みを浮かべながらその場から去っていった。
「久しぶりの休暇、偶には羽目を外すのも悪くないか‥‥」
堺・清四郎(
gb3564)はフロントで鍵を受け取り、自室のベッドへと横になる。
「最近は鍛錬と戦いばかりで休みが無かったからな、思い切り楽しむ事にしよう」
呟く堺だったが『羽目を外しすぎないように』と心がけながら楽しむ事にしたのだった。
「わぁ、昼間でこんなに素晴らしい景色だから夜はもっと凄いんでしょうね」
12階の部屋の窓から景色を眺めるのは風雪 時雨(
gb3678)だった。
「温泉は夜に行くとして、少し部屋でゆっくりするとしましょうか」
風雪は部屋に備え付けられているソファに座り、荷解きを行いながら暫くは部屋でまったりと過ごす事に決めたのだった。
「うわー、本当に『ロイヤルクラウン』だ‥‥すげぇな」
羽鳥・明(
gb3843)はホテルを見上げながら「うはー」と感嘆のため息を漏らしている。
「あ、土浦 真里さんだね? 俺、羽鳥・明、今日はご招待ありがとう」
ホテル内に入るとマリの姿を見かけて羽鳥は早足でマリの元へと歩いていき、軽く挨拶をする。
「そんじゃ、俺はチェックインしてくるから」
しゅぱっと手を挙げながら嬉々としてフロントに向かう姿を見て、マリはびっくりしながらも喜んでくれてよかったと心の中で呟いた。
「‥‥うふふ、来たからには協力してもらうわよ〜♪」
そんな妖しげな笑みを浮かべている事に羽鳥は気づく事はなく‥‥。
「何を協力するんだ?」
マリの後ろから突然話しかけたのは水無月 湧輝(
gb4056)だった。
「うひゃぅっ!」
突然の事にマリは驚いて変な声を出してしまい、その後で後ろを振り向く。
「そんなに驚くことか?」
水無月が怪訝そうな顔をしながら呟くと「ちょ、ちょっと考え事してたからさ」と慌ててマリは誤魔化す。
「それより立派なホテルではないか‥‥ホントにタダでいいのか?」
水無月が問いかけてくると「もちろん! 普段から命がけで戦ってくれる能力者のためだもの! これくらいさせてちょうだい!」とマリは言葉を返す。
しかし本当の目的は『寝顔』なのだから、先ほどマリが言った言葉もまるっきり信用性が無い。
「そうか、ならばまずプールにでも行って目の保養‥‥じゃなくて運動でもするかな」
水無月は呟いた後、フロントに赴き、部屋の鍵を受け取り、今回参加した能力者全てがホテルに入ったのを確認して「とりあえず私も遊ぼうーっと」と軽い足取りで自分の部屋へと向かったのだった。
※プール※
「気持ちいいね〜」
トランクス型の水着を着て、トレーニングにもなるからとノエルは友人である神崎と共にプールに泳ぎに来ていた。周りを見渡せば、他の能力者達もプールに来ているようでプールは大きな賑わいを見せていた。
神崎は紺色のスクール水着を着用しており、胸の部分に『ことら』と書いてある可愛らしい姿だった。
「よーし、思いっきり泳ぐぞ〜☆ ノエルン、勝負なのだ♪」
言うと同時に神崎は泳ぎ始め「あ、ズルいよ〜」とノエルも慌てて追いかけるように泳ぎ始めた。
その頃、近くでは「やだ‥‥怖いぃ〜‥‥」と半泣き状態のナレインの姿があった。
「お願いだから、手を‥‥離さないでね?」
ナレインはビクビクしながら呟くと神無月は「大丈夫ですよ、離しませんから」と言葉を返す。
「水を怖がっちゃ駄目ですよ。ね、るなさん」
美環がにっこりと笑顔で神無月に問いかけると「そうですよ。ナレ姉様」と神無月もナレインを安心させるように優しく言葉をかけた。
「ナレインさん、上達する道具をお渡ししますね」
シュブニグラスと一緒にナレインの特訓を見ていた水鏡がポイッと『ある物』を投げ入れる。
ナレインはそれを手にとって‥‥一気に青ざめる。何故ならナレインが最も嫌う虫、しかもGの玩具だったのだ。
けたたましい悲鳴がプール内に響き渡り、その声を聞いてマリが駆けつける。
「どうかしたの!?」
「ナレインさんが泳ぎを一気に上達しないかと考えてコレを投げ入れたんですが‥‥悪戯が過ぎたようですね」
水鏡が苦笑しながらGの玩具を見せると「まったく〜」とマリが呟きながらバッグの中を漁っている。
「これじゃ甘いわよ、これくらいしなくちゃ!」
そう言ってマリは何故か持っていた蜘蛛の玩具をポイッと投げ入れ「きゃはははははっ」とけたたましい笑い声と共に去っていく。
そして再びプールに絶叫が響いたのだった。
「ナレインさん、泳ぎ少しは慣れ‥‥た〜‥‥ってあれ」
神崎がナレインの元へ来ると、なぜか泣くナレインと慌てたようにナレインを宥める美環と神無月、そして慌てたような水鏡の姿が見受けられて神崎とノエルはかける言葉が見つからなかったのだとか。
「どりゃああっ、ふんどしグネグネ背泳!」
ばしゃーんと勢いよくプールに入って見事なくらいに器用な泳ぎを見せるのは鳳だった。その姿はウナギが泳いでいるようにも見えて、ある意味不気味なものだった。
「あは、凄いですね〜」
椎野はウナギ泳ぎをする鳳を見ながら呟き、自分もまた楽しむ為に泳ぐ事にする。
「こんなに目一杯泳ぐのって中学生以来かなー」
「でも体を動かすのって気持ちいいですよね」
芝樋ノ爪も椎野と同じく泳ぎながら話しかけると「そうだね」と椎野も言葉を返す。そんな姿を見てハルトマンは「平和ですねぇ」とほのぼのした表情で呟いた。
「でも、運動しているとお腹がすいてきますよね」
風雪が苦笑しながら呟くと「あ、確かにそうですね」と椎野や芝樋ノ爪も照れながら言葉を返す。
「目の保養‥‥それも休暇の醍醐味さ」
パイプ椅子に座り、楽しむ能力者を見ながら水無月は一人納得するように呟いた。
※温泉※
「たまには、のんびりするのも、いいもんだな?」
湯船に浸かりながら翡翠が呟くと、隣ではノエルと神崎が疲れた体を癒していた。
「はぁ、沢山動いたから気持ちいいや」
長い髪を上に纏めたノエルが呟くと「一杯泳いだ後は温泉で骨休めだよね☆ ノエルン、背中洗ってあげる」と神崎が言葉を返した。
「‥‥‥‥ふぅ」
西島は温泉にやってきたが、最初に水風呂に入り、その後に熱いお湯の温泉に浸かる。先に冷たい水に入ったせいか、温泉のお湯も普段より熱く感じる。
「はーっ、やっぱ風呂はいいねぇ。1日の疲れを取るには広い風呂だな」
マクシミリアンがザパンと勢いよく湯船に浸かり、気持ち良さそうに呟く。
「お風呂に入った後は牛乳飲んで、マッサージチェアかな」
ネオリーフが呟くと「‥‥風呂上りの‥‥牛乳は外せないよな‥‥」と西島が言葉を返す。どうやら彼も風呂上りの牛乳を飲む予定らしい。
「ホント、肌のきめが細かいですね」
美環がナレインの背中を流しながら呟くと「そう?」とナレインは言葉を返す。
「戦闘で傷の残っていない肌に感心しちゃいますよ」
「うぁー‥‥気持ちいいな‥‥というかナレインが男風呂にいる事に違和感を感じるのは俺だけだろうか」
堺が湯船に浸かりながら素朴な疑問を口にしてみる。確かに容姿は女性となんら変わりないナレインが男風呂にいるのは、少しだけ疑問が残るのだろう。
「さてと、自分はお先に失礼しますね。この後は夕食みたいですし‥‥」
風雪は呟きながら先に温泉から上がっていく。
「俺は夕飯食べたらゲーセン行ってみたいな、そういうの好きだし」
羽鳥が呟くと「俺はバーに行ってみようかな」と水無月が言葉を返した。
「しかし、この歳になると‥‥温泉が心地よい」
歳は取りたくないものだ、苦笑気味に水無月は呟いたのだった。
そして一方、女風呂‥‥。
「あ〜、広いお風呂は気持ちがいいね〜」
キョーコは天井を見上げながら感嘆のため息を漏らす。露天風呂に入っているため、少しオレンジに染まっていく空が寂しげにも見え、キョーコは空から視線を逸らした。
「寒くないですか?」
ハルトマンが露天風呂にやってくると「最初は寒いけど、あたしは暖まったからちょうどいいね」と言葉を返した。
「はぁ‥‥暖かい♪」
空を見上げながら月夜魅が呟くと「お背中流します」と直江が湯船から上がりながら笑顔で呟く。折角なので月夜魅も湯船からあがり、直江の言葉に甘える事にした。
(「お肌が雪のように綺麗‥‥その、私と違って胸も‥‥月夜魅お姉様のようになりたいな」)
次第に妄想へと入っていく直江だが「わー、広い温泉だと楽しいね。アヒルくん」という鳳の言葉でハッと我に返る。
「何でボクの周りってこんなにスタイル抜群の人達ばかりなんだろ‥‥」
椎野は周りの能力者達のスタイルと自分を比べて少しブルーな気分になる。
「そんな事ないわよ、人と比べるなんて自分に失礼よ?」
クイーンズ記者のチホが椎野に話しかけると「そうよ、自分を卑下しちゃ駄目よ」とシュブニグラスも言葉をかけてきた。
「そういえばもうすぐ夕飯だって言ってたな」
朔月が呟くと「はい、六時くらいから自由にレストランで食べれるようになっています」とクイーンズ記者の舞が言葉を返してくる。
「それにしてもクリスティーナさん‥‥だっけ? 綺麗だよねぇ」
マリが感心するように呟くと「美女は褒め言葉ではないぞ、僕は男だしな」とクリスは言葉を返す。ちなみにどこをどう見ても女性にしか見えないが本人が言うのならばきっとそうなのだと思う事にした。
そんなこんなで入浴タイムは終わり、能力者達は次第にレストランへと足を運んでいった。
※夕食タイム※
「いーなー‥‥おれものみたい」
番は夕食を取皿に盛っていきながら酒を飲む大人達を羨ましそうに見ている。もちろん飲酒は20歳まで禁止令が出されている為に、自ら飲む事はしないのだが、やはり羨ましいという気持ちがあるのだろう。
そして入浴が終わりレストランへ向かおうとしている舞を見つけて朔月が後ろから抱きつく。
「あわ、ど、どうしたんですか?」
同性だから許される部分があるが、異性ならば明らかにセクハラまがいの事まであった。
「飯を食いに行こうぜ」
朔月は舞の手を引っ張りながらレストランへと一緒に向かっていく。レストランの中は既に大人数の能力者達で賑わっていた。
「ん〜美味しい。そういえばきみはどうして参加したの?」
羽鳥がスパゲティを食べながら問うと「タダだからな、タダってモンは来なくちゃ損じゃん」と七海は素っ気無く言葉を返す。
「ふむ‥‥意外とこの組み合わせも‥‥美味いんだな‥‥」
西島は魚介類を中心に食べていて、料理の組み合わせに少し感心していた。
「おう、楽しんでるかい? まぁまぁ一杯いこうや」
少し出来上がり始めているマクシミリアンが西島に話しかけながら酒が一杯に注がれたグラスを渡す。
「俺っち海の男だからさ〜、よく『貴方って大海原って感じだわ』って女性から言われるんだよ」
大海原? と西島が聞き返すと「ああ、吐き気を催すって事なんだろうなぁ。ガハハハ」と楽しげに言葉を返してくる。恐らくそんな意味で言っているのではないと思うのだが、酔っ払っている彼に言っても理解出来ないだろう。
そんな中で威龍は一人で食べているクイーンズ記者・静流に話しかけていた。
「折角の機会だ、良ければ、付き合ってもらえると嬉しいが、どうだ?」
威龍の言葉に「いいわよ、バーにでも行きましょうか」と皿を返して二人はバーへと足を進めたのだった。
「うわぁ♪ 美味しそう〜〜」
月夜魅はずらりと並べられた料理を見て感激するような表情を見せていた。
「月夜魅お姉様、はいあ〜ん」
直江が一口サイズの食べ物をフォークに刺して月夜魅に食べさせようとすると「こ、子供じゃないから自分で食べれますよ!?」と顔を赤らめながら言葉を返す。しかししょんぼりとした直江の顔を見ていると申し訳なく思えて「あ、あーん」と結局受け入れてしまうのだった。
そしてふと視界に入ってきたマリの姿を見ると、物凄い勢いで食べ物を詰め込むマリが窺えて少しだけ月夜魅は噴き出してしまう。
「さて、ボクはそろそろ寝ようかな」
椎野はお腹一杯に食べて満足したのか、少し睡魔が襲ってきているようだ。椎野から少し離れた場所では芝樋ノ爪が「我慢できない辺り、我ながら意思が弱いです」半分泣きながら料理を頬張っている姿が見受けられた。
※バー&ゲーセン※
食事が済んだ後は、就寝する者、バーやゲーセンへ繰り出す者など様々だった。
「ぐぁぁぁぁ、このゲーム詐欺じゃねえのか!? くそぅ、また良い所で落ちやがった!」
マクシミリアンはゲーセンのUFOキャッチャーの前で騒ぎ立てている。
「ねぇ、次は格闘ゲームしてみない? 対戦も出来るみたいだし」
ネオリーフからの誘いにマクシミリアンは「よぅし、こっちで俺の名誉挽回だ!」と腕まくりをしながら椅子へと腰掛けてネオリーフとの対戦を始めた。
「こ、これ‥‥意外と難しいですね」
ハルトマンは音ゲーで少しだけ悔しそうな表情を見せる。
「わ、あのぬいぐるみ可愛いっ♪」
月夜魅は耳の伸びたような猫のぬいぐるみに飛びつき、取れるように狙いを定める。本人も得意だと言っているように、その腕は見事なもので一回で目的のぬいぐるみをゲットしていた。
「このぬいぐるみあげるっ。可愛い子には可愛い物っなんちゃって」
月夜魅の言葉に感激したのか「ありがとうございますっ、月夜魅お姉様っ」と抱きつきながら体を張って感謝の意を示した。
「真里ちゃん、あれいい感じにもふもふじゃない?」
シュブニグラスがぬいぐるみを指差しながら呟くと「きゃほーっ」と奇声を上げながら飛びつく――が何回しても取れないので終いにはゲーム機に蹴りをいれながら「欲しくなんてないもん!」と何処かへと行ってしまう。
他にもレトロゲームなども扱っており、それに没頭する能力者も見受けられる。
そしてバーではキョーコが一人で飲んでいる姿を見かけてマリが近寄る。
「は〜旦那が忙しくて寂しいんだよね〜。本当は旦那と一緒に来たかったのにさ〜」
キョーコは呟きながらウイスキーをグイッと飲み干す。そこで水無月に話しかけられる。
「おや、土浦嬢、ここまで来たという事は結構やれるのだろう? どうだ、暫く付き合ってもらえないか」
水無月の言葉に「OK」と言葉を返し、マリも飲み始める。その少し向こうでは威龍と静流が一緒に飲んでいる姿も見受けられる。
そんなこんなでそれぞれの夜を過ごした後、クイーンズ記者達は今回の本当の目的を実行するべく動き出したのだった。
〜能力者の寝顔〜
時刻は夜中の三時を少し過ぎた頃‥‥能力者達がすやすやと眠る中で記者達は行動を開始し始めた。
「最初は此処ね」
チホがノエルの部屋の扉を開けてベッドに近寄ると何故か神崎まで一緒に寝ていて、逆にチホが驚きの表情を見せていた。
「ふふ、可愛い笑顔ね。それじゃ――」
チホは二人が寄り添いながら眠る写真をカメラに収めて「お休み」と言葉を残して部屋を後にした。
続いては翡翠の部屋で、彼が猫のように丸くなって眠る姿があった。しかも顔を隠すように毛布に潜っているのでマリは「ちっ」と舌打ちをする。しかし彼の眠る姿は胸が肌蹴ており色気たっぷりの姿だった。マリはなんとか毛布を少しズラしてカメラに収めて、翡翠が起きないうちに静かに部屋を出て行く。
「‥‥いい根性してるじゃねぇか」
マリが部屋を出た後に翡翠が低い声で呟いているのも気がつかずに。
「わぁお、こっちはこっちでなんと言うか‥‥色気たっぷりー」
マリが続いてやってきたのはシュブニグラスとナレインの部屋。シュブニグラスがナレインを抱きしめるように寝ており、マリが写真を撮ると「んん?」とナレインが目を覚ましてしまう。
「‥‥何? グラスちゃん? ‥‥マリちゃん? 何で此処にいるのぉ‥‥」
目を擦りながらシュブニグラスに擦り寄るナレイン。まだ目が完璧に覚めていない事を良い事にマリはもう一枚撮って「さらばっ」と部屋を去っていく。
そして次は水鏡の部屋へとやってきたマリ。静かな寝息を立てており、寝相も非常に良かった。写真が撮りやすいと喜んでいたマリだったのだが‥‥いきなり水鏡はガバッと起き上がり、半開きの目でマリをジーッと見た後、何事も無かったようにぱたりとベッドに倒れこんで再び寝息を立て始めたのだった。
「ボクの担当は西島さん、ですね‥‥」
舞が恐る恐る部屋に入り、床で寝ている西島の写真を撮ろうとしたのだがそこには虎スーツを着込んで寝ている姿があって、思わず舞は大声を上げてしまいそうになる。
「‥‥」
そして物音が聞こえて西島が目を覚まし「侵入者‥‥確認」と短く呟く。慌てて舞は逃げるのだが西島は追いかけてきて――部屋の入り口辺りでぱたりと倒れこんで再び寝たのだった。
「ここか」
静流はため息混じりにマクシミリアンの部屋の扉を開けて中へと入り、写真を撮って部屋を出ようとしたのだがテーブルに置いてあった物を落としてしまい「うおあっ」とマクシミリアンが大声を上げて起きてしまう。何故、静流が部屋にいるのかを彼が問いかけると静流は諦めたようにドッキリ企画の事を話した。
「‥‥あぁ、寝顔ね。何か追加料金払えって来たのかと思ったよ、俺にとってはそっちの方がドッキリになるしな」
トランクス一枚でがははと豪快に笑う彼に静流は目を背ける。
「まぁ、今日はパンツはいてて大正解だったぜ、じゃないと逆ドッキリになる所だったしな」
そして静流が続いて赴いた場所は威龍の部屋。勿論彼は部屋に静流が入ってきた時点で気がついていたが、静流の姿を確認すると寝た振りをする事に決めた。彼女がカメラを構えた事で意図に気づき、寝ぼけた振りをしながら静流に抱きつく。
「夢の中なら少しくらい弾けてもいいだろ――好きだぜ、静流」
その後、完璧に目が覚めるような平手打ちをくらい、静流は部屋から出て行った。しかしその時に照れたような表情を見せたのはきっと見間違いじゃないだろう。
「次はキョーちゃんか」
簡単だろう、とマリは部屋に潜入してキョーコの寝顔を撮ろうとカメラを構えた瞬間に寝ぼけているキョーコに「あ〜旦那〜」と寝言と一緒に抱きつかれて慌ててしまう。何度か頬ずりされてキョーコも目が覚めたのか「ごめんごめん」と苦笑気味に謝ってきた。
「旦那にしては柔らかいと思ったらマリだったのか〜寝ぼけて間違っちゃったよ〜」
それにしても何でマリが此処に? とキョーコの疑問を聞いた瞬間「これは夢デース」と呟きながら颯爽と部屋から出て行った。
「‥‥次は鷹秀かぁ」
マリは少し赤くなる頬をパシンと叩きながら部屋へと踏み込む。そして寝顔を覗きながらカメラを構えた瞬間に玖堂は目を覚ましてしまう。
「あれ‥‥おはよう、ございます‥‥? めざめの、キスですか?」
半分寝ぼけている玖堂に「そんなわけあるかーっ」と腹部に一撃お見舞いしてから部屋から出て行ったのだった。
「可愛いお部屋‥‥」
舞がやってきたのはネオリーフの部屋で10体以上の人形に囲まれ、彼自身もウサギのぬいぐるみを抱きしめながら寝ていた。
「う〜ん、マッサージチェア‥‥ひあわせ〜‥‥んっ」
呟くと同時にガバッとネオリーフは起き上がり舞に抱きついた後で再び眠りに入ってしまったのだった。
「うひひ‥‥ええもん撮れたで」
マリが月夜魅の部屋に赴いた所、なぜか鳳がカメラを大事そうに抱えて部屋から出てくる姿が見受けられた。
「あれ? 何してんの?」
マリが問いかけると「ぎゃぴー」と素っ頓狂な声をあげてマリを見る。
そして「空飛ぶ褌!」と指差してマリが其方を向いた瞬間に慌てて逃げ去った。
首を傾げながらマリが月夜魅と直江の部屋に入ると直江を抱き枕にして眠る月夜魅の姿があった。
「うぅん、もう食べられません‥‥ニンニン」
直江の寝言を聞いてマリは笑い、二人の寝顔をゲットして部屋を後にしたのだった。
「何か女の子の部屋に入るってすげぇ悪い事してるような‥‥」
翔太が悩みながら椎野の部屋に入るとすやすやと眠る椎野の姿があった。翔太は静かに歩きながら写真を収めたのだが「‥‥どちらさまぁ? とりあえずお茶でも‥‥」と眠り眼で呟く椎野。その後壁に強く頭をぶつけて目が覚めたのか「何で此処に!?」と今にも叫びそうな表情で翔太を見る。
「ご、ごめんなさ〜いっ!」
翔太は謝りながら慌てて部屋を出て行き、首を傾げる椎野だけが残った。
続いて神無月の部屋‥‥翔太が部屋に入ると同時にワイヤーに引っかかり、それと同時に大きな音が響いて慌てて翔太はおろおろとしている。
「ふぁ? ‥‥て、敵襲です?」
神無月は遊びすぎの為に疲れたのか寝ぼけ半分で翔太に問いかけてくる。とりあえずチャンスだと思った翔太は寝ぼけ半分の神無月の写真を撮って足早に部屋から逃げていった。
「いい加減疲れてきたわ‥‥そろそろ攻撃されそう」
チホがため息混じりに朔月の部屋へと入り、彼女の寝顔を写真に納める。しかし無言でむくりと起き上がり、明らかに黒いオーラを漂わせる彼女の姿を見て、命の危険を感じたチホは気づかれる前にそそくさと部屋から出て行った。
そして早坂の部屋に来た翔太は静かに扉を開けると‥‥鈴の音が鳴り響いて風花が隠し持っていた銃を翔太の頭に突きつける。
「動いてもいいけど死んでも知らないよ?」
風花の言葉に「しょ、翔太ッス。部屋を間違えました」と涙交じりの声で呟き、解放されると同時に「うわあああん」と泣きながら一目散に逃げていく。
その頃、マリは芝樋ノ爪の部屋へと来て可愛らしい寝顔を撮り終わって、クリスの部屋へと来ていた。
何故かトラップが仕掛けてあってマリは扉を開けると同時に振って来た生卵が直撃しておまけに小麦粉まで振ってくる始末。
「‥‥お風呂入りたい」
結局クリスの寝顔を収めて妖怪・生卵小麦粉女と化してホテル内をうろうろする羽目になった。
その途中で何故か一人でお喋りをする番の姿を見かけて、メモに『幽霊ホテル』と書き加えたのだった。
そして七海の部屋に訪れた舞はゲーセンの戦利品に囲まれた彼の姿に驚く。しかも普段の態度とは裏腹に可愛い寝顔だったため、少しだけ舞も顔が赤くなる。
しかし写真を撮った直後に七海は目を開けて舞を驚かせる。勿論わざとではないのだけれど。
慌てて舞は部屋から出て、次の標的・美環の部屋へと向かって写真を撮る。次に堺の写真へと向かったのだが、武器を横に置いている彼の姿を見て舞は泣きながら「無理です」と夜中のホテル内を走り回ったのだった。
「次は‥‥風雪さん」
舞がぐずりながら部屋に入ると、天使のような寝顔で眠る風雪の姿があった。そして至近距離から写真を撮ったせいか彼は目が覚めてしまい、驚いてベッドから落ちてしまう。
ごめんなさいっと叫びながら舞は部屋を出て行く。
「あと二人っ」
マリが突入しながら呟くと‥‥死角の位置から人差し指をこめかみに当ててくる水無月の姿があった。
「ホールドアップ、何がやりたいのか知らないが‥‥俺も混ぜろ」
水無月に企画の事を話すと「ほぅ、企画か。横でバズーカは撃たないのか?」と物騒な事を話してきて「死んじゃうって!」と言葉を返した。
そして最後の人‥‥羽鳥の部屋へと赴きシーツに包まって抱きついているような格好で寝ており、まるで女の子の名前でも呼んでいるかのような表情をカメラに収めたのだった。
〜お疲れ様&パーティー〜
翌日、記者達からドッキリの説明があり能力者達は驚く者、怒りに震える者などと様々だった。
そしてパーティーが開かれ、神無月がフルートで『エリーゼのために』の演奏を始めた。他の能力者達はそれぞれ飲み食いや雑談などを始め、暫くそれぞれが雑談を堪能した頃に堺がかくし芸をする事になった。
「聞きし無双と言われる流派の入門儀式‥‥この場で披露しよう、美環、こっちに来てくれ」
堺の言葉を受けて美環が「腕前は知ってますから、安心ですね」と言葉をかけて正座する。堺は美環の額に米粒を貼り付けて、刀の抜き打ちで十文字に寸断する。技術的にも何もかもが素人では出来ない事に会場にいる能力者達から拍手が送られらたのだった。
「必殺! ふんどし乱れ撃ち〜〜!」
隣のゲーセンでは鳳が対戦ゲームで白熱している声が聞こえてくる。ちなみに褌は全く関係ないはずだ。
「そうだ、翔太さん。今年も頑張って下さいね」
椎野は蒸しケーキを翔太に渡す、勿論彼女に他意はない。
そして他の能力者達の催し物や楽しそうな姿を肴にシュブニグラスは最初から飲んでいる。
「そうだ、マリには傷跡修復用のスキンケアを教えてやるよ、傷跡って放っておくと気圧で痛くなるしな」
朔月はマリに傷跡の手入れなどを教え、一緒に舞にもスキンケアの方法などを教えている。
「そういえば真里さん、もちろん今回は真里さんが企画したんですよね? 良いですか、真里さん、こういう事ばかりしていると罰が当たりますよ」
にっこりと芝樋ノ爪が真里を諭すように呟くと「だ、大丈夫だもん」と言葉を残してその場から逃げていく。
(「あー、眠い‥‥ったくガキ相手になんて様だ」)
早坂は何故かベッドにもぐりこんできた風花のおかげで一睡も出来ず、睡眠不足だった。
「うぁああ‥‥あんな姿が雑誌に載るのかーっ」
羽鳥は何故か頭を抱えてジュースをぐびぐびと飲んでいる。
その後、パーティーを終えた能力者達は記者達に軽く礼を言いながら本部へと帰還していったのだった。
END