●リプレイ本文
〜今回は能力者達に記者をしてもらいますっ〜
今回はクイーンズ記者・土浦 真里(gz0004)が突然呟いた『能力者を記者に‥‥』という事から八名の能力者が集まってくれた。
「どもども〜♪ 今回は集まってもらってありがとね!」
マリが集まった能力者達に話しかけると「まったく‥‥」と威龍(
ga3859)がため息混じりに呟く。
「ずぶの素人の俺達を記者に仕立て上げようなんて大胆な事を考えたものだな」
威龍は「まぁ付き合う俺達も大概お人よしだとは思うけどな」と言葉を付け足す。
「子供型キメラ‥‥後味の悪そうなキメラですが、これも能力者のお仕事です」
キャル・キャニオン(
ga4952)が小さく呟きながら『QUEENS』と書かれた白い腕章を付けた。
「でも確かに我々能力者が直接取材するのであれば危険性は格段に低下しますし、それに世界中のレポートを行う事が出来るので(真里さんの思いつきのワリには)中々良い考えではないでしょうか?」
玖堂 鷹秀(
ga5346)が苦笑混じりに呟いた後、マリが肘で玖堂の鳩尾を叩く。
「何か余計な言葉が聞こえたけど――気のせいだよね?」
マリの言葉に玖堂は呻きながら「気のせいです」と言葉を返した。そこでマリは何か視線を感じ、其方に視線を向けるとシュブニグラス(
ga9903)がジーッとマリの左腕に付けられた黒い腕章を凝視していた。
「‥‥白もいいけど‥‥黒は諦めないわよ‥‥」
シュブニグラスは不敵に笑みながら小さく呟く。どうやら彼女はマリや他のクイーンズ記者が持っている『黒い腕章』を狙っているらしい。
ちなみに能力者達に渡された腕章は白地に黒い文字で『QUEENS』と書かれている。
「キメラ退治はともかく、記事書きなんてあたしに出来るかな?」
梶原 悠(
gb0958)がやや不安げに呟くと「大丈夫よ、自分の思った事を書けばいいんだから」とマリが言葉を返した。
「よし、とりあえず記事を書くにしてもまずはキメラを倒さないとな」
朔月(
gb1440)がファイルとペンを持ちながら呟く。
「今日は戦闘もこなして、その後に記事を考えなくちゃいけないわけだから‥‥いつもより注意して色々と見ていよう」
レヴァン・ギア(
gb2553)が小さく呟く。そして今回現れたキメラについて考える。本来バグアは人々に恐怖を植え付ける為にキメラを作るのだと言う。
「‥‥ふむ、少年がボウガンを持っているだけでも十分恐怖だな」
「さて、それではまず本来のお仕事からね。頑張りましょう」
鳴風 さらら(
gb3539)が小さく呟き、能力者達は少年型キメラを倒す為に目的の場所へと向かい始めたのだった‥‥。
〜まずはキメラ退治!〜
問題の少年型キメラが現れたのは、普段は大きな賑わいを見せる町だった。
だが、キメラが現れた事により町の賑わいは静けさへと姿を変えていた。
「まぁ、キメラが現れたって話を聞けば‥‥こうなるわな」
朔月が町の様子を見ながら、苦笑交じりに呟くと「逆に避難の手間が省けてよかったと思うぜ」と威龍が言葉を返した。
確かに町の中が混乱状態であれば、避難をしている時にキメラが狙って攻撃を行ってくるかもしれない――そうなれば一般人も能力者も無傷では済まされない状況になる。
そしてまだキメラ事件を知らない住人に知らせる為に玖堂は『町内放送』を利用させてもらおうと提案をする。普段ならば部外者に放送を利用させる事に許可は出されないが、今回はキメラがまだうろついている状況な為に、町長もすぐにOKを出してくれた。
「皆さん、落ち着いて聞いてください。町内にキメラが闊歩しており、怪我人も出ているようです。幸いにも深い傷ではないようですが、危ないので外出を控えてください」
玖堂がマイクを通して町内の住人たちに伝える。正直に伝えれば混乱を招くかとも思ったのだが、中途半端に説明をして好奇心旺盛な子供が出歩きだしても能力者としては迷惑だと思い、怪我人がいる事も正直に放送したのだ。
「傷はどうですか? 痛みます?」
シュブニグラスが怪我を『練成治療』で癒しながら怪我人――町長に話しかける。偶然にも少年型キメラと出くわし、怪我を受けたのは放送の許可を出してくれた町長だったのだ。
だからこそすぐに放送の許可を出したのだろう。
「ありがとう、もう大丈夫じゃよ」
町長は腕を見ながら傷を癒してくれたシュブニグラスに礼を言う。
「とりあえずキメラ退治だね、おじさんを襲ったキメラは何処に行ったか分かる?」
梶原が町長に問いかけると「此処を真っ直ぐ行った所に公園がある、そこへ向かうのをみた」と町長は言葉を返した。
「公園か、ちゃっちゃと倒しちまおう」
朔月が呟くとレヴァンが「これから戦闘が始まりますので、少し騒がしくなるかもしれません」と営業スマイルで町長に話しかける。
「それは構わないよ、キメラを退治してくれるなら多少の事は多めに見れる」
町長が言葉を返しながら視線は腕章へと向けられていた。
「それは? 記者か何かの腕章に見えるが‥‥」
「えぇ、取材なんです」
レヴァンは腕章を見せながら言葉を返す。
「そういえば少年型との話だけど、見分けはつくのかしらね?」
鳴風が思い出した用に呟くと「それは問題ないはずじゃ」と町長が言葉を返す。
「少年、確かに少年の姿をしておったが鬼のような子じゃったからの、アレを普通の子供と思う人間はいるまいて」
町長の言葉に「それなら安心ね」と鳴風も言葉を返した。
「それではキメラがいるという公園へと向かいましょうか」
キャルが呟き、能力者達は町長の言う公園へと向かい始めたのだった。
能力者達が静かな町の中を移動して、公園へと足を踏み入れた途端、少し離れたジャングルジムからボウガンの矢が能力者達目掛けて放たれてきた。
幸いにも矢が遊具に当たって音が響いた為に、能力者達は気づくことが出来てボウガンの矢を避ける事が出来た。
「あらあら、大変ですこと」
ジャングルジムからボウガン片手に此方を見ている子供、頭にツノのようなものがあり、町長の『一目で分かる』という言葉に能力者達は納得することが出来た。念のためにとキャルが空き缶を少年型キメラに投げつけ、フォースフィールドで弾かれるのを見てから攻撃態勢に入る。
「油断を誘うつもりかも知んねぇが、ンなのに引っかかると思うな! ドアホが!」
玖堂は『練成弱体』で少年型キメラの防御力を低下させて『練成超強化』で威龍の攻撃力・命中力・回避力を上昇させる。
そしてシュブニグラスも『練成強化』で能力者達の武器を強化する。
最初に攻撃を仕掛けたのは威龍で『瞬天速』で一気に少年型キメラとの距離を詰めて『疾風脚』を使用して翻弄して『瞬即撃』で攻撃を行う。
「この後には記事を書く事が控えているんでな、さっさとやられてもらおうか」
威龍は攻撃を行った後に後ろへと下がり、キャルが続いて『スパークマシンα』と『先手必勝』を使用して攻撃を行う。
少年型キメラは能力値としては高いものではないらしく、能力者達の攻撃についていけていない。
「子供が勉強だけすりゃいい平和な時代を還しなさい」
キャルは呟きながら『スパークマシンα』で攻撃を行う。その攻撃のおかげで少年型キメラは地面へと転がり落ち、ボウガンから手を離してしまう。
そこを狙ったかのように梶原が「蜂のように舞い、蝶のように刺す!」と叫びながら『疾風脚』と『瞬天速』を使用して少年型キメラに攻撃を行った。
「悪いな‥‥俺の方が少し早かったようだぜ?」
朔月が逃げようとする少年型キメラに先回りして『翠澪の弓』で攻撃を行った。
「さ、取材の時間よ。観念なさい」
鳴風が呟き、洋弓『リセル』で攻撃を行う。
その後、弱った少年型キメラにそう攻撃を仕掛けて、今回の少年型キメラを無事に倒すことが出来たのだった‥‥。
〜さぁ、記事を書いて頂戴〜
能力者達は少年型キメラを退治した後、町長に知らせて、本部に報告をする為に帰還した。
しかし、能力者達の任務はもう一つある。そう、記事を書くという仕事が‥‥。本部への報告を終えた後、能力者達は『クイーンズ編集室』でそれぞれの記事を書いていた。
「あら、珍しいわね」
記者である静流が威龍に問いかけると「臨時とはいえ、同じ記者だ。宜しくな」と威龍が言葉を返す。
彼のPNは『龍(ロン)』とかかれており、内容はキメラについてだった。
『今回、俺達が退治に成功したキメラは少年を模していた。最近、人間型や天使型など、一見すると敵と認識しづらいタイプのキメラが増えてきている』
威龍は今までに『傭兵』として戦った経験を思い出しながら記事を書き続ける。
『特に人型の場合、住人に紛れ込んでも分からない為、思わぬ被害が起きる可能性がある。さっきまで大人しくしていた隣人が突如牙を剥くというのはある意味恐怖だろう。世知辛いとは思うが、見知らぬ人間が現れたら、一応警戒する事を勧めたいと思う。一時の警戒が後々の被害を食い止める事に繋がる事もある』
威龍は、何かおかしいと感じたらULTに連絡を入れるようにという言葉を付けたし、マリへと提出した。
キャルが書いた記事は『能力者は見た! 私等も見た! 紙上生中継』という記事を書いていた。PNを『谷輝夜』として。
彼女が書いた記事は、文字は少なかったもののカメラで撮った写真の説明が細かく書かれていた。流石に流血部分は控えて、戦いの様子、能力者達の攻撃、そして破損した場所などの写真が撮られて、説明が読んだ人にわかるように書かれている。誰が読んでも分かるように事件の顛末を図解した記事をキャルは提出したのだった。
そして玖堂が書いた記事は、今回の事件とは関係のない記事だった。記事内容は『能力者の仕事』でPNは『貴明』というものを使用していた。
『能力者に寄せられる依頼というとバグア絡みの物だけ、と思われるかもしれませんが、実は身辺警護から飲食店の店員と幅広い範囲で受けています。筆者が遂行した依頼だと『とある町内会』から『空き家に五年間放置された炊飯ジャーを処理して欲しい』という実にユニークなものもあります』
これは玖堂が能力者になって初めて遂行した任務であり、余計に印象深いのだろう。そして最後に、読んでいる人が困ったことがあったら何でもいいから能力者に相談してみませんか? という一文を加えてマリへと提出したのだった。
そして続いてシュブニグラスの記事で、彼女は『羊野メリー』というPNで『クイーンズ記者の素顔』という記事を書いていた。
『今回、この依頼を受けた時、私は「何て恐ろしい娘!」と思った。それはさておき、戦闘を明らかに興奮した表情で見ている彼女について晒し』
この後は二重線が引かれていて『読者に知ってもらうのもいいのではないかと思う』と書き直されていた。
『彼女は最近、戦闘中はなるだけ大人しくしている。以前からキメラとの戦闘に興奮し、無意識に吶喊していく様を随分注意されたらしく、吶喊するのは気持ちだけに留めているようだ――が、果たしていつ振り切れるのか。出来れば戦闘中は耐えて欲しいものだ』
記事の内容を読んでも分かるように、シュブニグラスはマリについて書いている。コレを見たマリは「ボツ!」と叫んだのだが、チホによって無理矢理OKにされてしまうというのはこれより数十分後の話。
そして朔月は『焔猫』というPNで『UPC本部の食堂メニュー』の記事を書いていた。
『内容・豚汁定食、UPC本部内にある食堂の冬の一番人気メニュー・豚汁定食。名物の豚汁に、オカワリ自由のご飯、小鉢のおかず、漬物がついてたったの『1000C』という驚きの安さ』
その記事を見たマリは「へぇ‥‥今度食べに行こう」とひそかに計画を立てていたのだった。
そして文の最後には『日夜、体を酷使している傭兵達の身体にも懐にも優しい一品です』と言葉を付け加えて、朔月は記事を提出したのだった。
次はレヴァンの記事で、彼は『ギア』というPNで、キメラが出現する地域に住む人々の話を纏めた記事を書いていた。
「能力者が助けてくれるのは嬉しいけど、やっぱり早くバグアやキメラがいない世界にして欲しい」
住人の言葉についてレヴァンは以下のように記事を書いた。
『こういう機会も稀なので、俺自身も勉強になったかな。これからもあの人達の言葉を心に刻んでいこうと思う』
この力が少しでも役に立つのならば、とレヴァンは言葉を付け足してマリへと記事を提出する。
そして最後から二番目は鳴風で「どーいうのが分かりやすいかしらね」と苦笑を交えて呟いている。
彼女が書いた記事の見出しは『キメラいろいろ・その1』というもので、PNは『ララ』とされていた。
今回の少年型キメラならば、街中に逃げ込む可能性がある――などキメラの特徴や、どんな危険性を持っているかなどを詳しく書かれている。似たような記事を威龍も書いているので、彼女は緩く砕いたような感じで記事を書いている。
『とりあえず、言いたい事はキメラを見つけたらすぐに通報しましょう、それが私達傭兵の報酬にも繋がるしね』
鳴神は言葉を付け加え、マリへと提出した。
そして最後は梶原、彼は最後まで悩んでいたらしくゴミとなった紙が無造作にあちこちに積まれている。
『今回、私達が倒したキメラは男の子のキメラでした。昔に比べ、色々なキメラが出てきたと思います。傘のおばけキメラにアイロン持った女の人のキメラ‥‥ある場所では昔の話に出てきそうなキメラに、神様のキメラ、食べられるキメラに魔法少女キメラ‥‥何故こんな沢山のキメラが作られるのか私達は分かりません』
確かに梶原の言う通り、様々なキメラが現れ始めたとマリも思う。
『もしかしたら、もっと色んなキメラが出てくるかもしれません。貴方がキメラと気づかないで接近しないように次回から紹介していきたいと思います』
そこでペンを置き、梶原は自分の記事を読み直す。
「‥‥あれ、記事になってるよね? ち、知恵熱が‥‥」
ぷしゅー、と机に突っ伏しながらマリに提出して、今回の任務は無事に終えたのだった。
●クイーンズ新刊発売!
こんにちは、クイーンズ記者の土浦 真里です。
今回は能力者の皆に記事を書いてもらいました! どうだったかな?
もちろん慣れてない部分が見つかると思うけど、前線で戦う能力者達の記事だから、きっと私が書く記事より信憑性もあると思う。
今後もこの企画は続けていきたいと思いますので、クイーンズ応援を宜しく!
――土浦 真里
END