タイトル:週刊記者がいなくなったマスター:水貴透子

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/09/14 22:02

●オープニング本文


あれ?

何で私がこんな所にいるの?

もしかして――‥‥さらわれちゃった?

※※※

それはいつも通りの日常だったはず。

朝は七時に起きて、夜中までしていた編集作業の続きをしながら朝ごはんを食べる。

そして気がついたら薄暗い部屋に寝かされていた。

「‥‥えーと、イマイチ状況が飲み込めないんだけど‥‥これは何事?」

クイーンズ記者・土浦 真里はずきずきと痛む頭を押さえながら首を傾げて呟く。

「ん〜〜‥‥あ! 昼ご飯の材料を買いに行ったら能力者に話しかけられて――そこからがわかんないや」

「目が覚めたのか」

部屋の向こうから男性の声が聞こえ「‥‥誰? 知らない声だけど」とマリは言葉を返す。

「お前は俺達を知ってるはずだぞ、俺達のことを記事にしたことがあったろ」

男性の言葉に「記事にした人なら沢山いるからわかんないし」とマリはそっけなく言葉を返す。

それが男性の癇に障ったのだろう、扉を蹴るような音が響き渡る。

「ふざけるな! 俺達がした小さなことを記事にしたじゃないか! おかげで俺達がどんな目にあってるか‥‥」

「小さなこと‥‥もしかして恐喝事件のこと?」

マリはだいぶ前に記事にした能力者のことを思い出して呟く。彼ら能力者はキメラ退治を行った後、気に入った女性を脅すようなことをしていたらしい。

それを突き止めたマリが『クイーンズ』で暴露して、能力者達は捕まったと聞いていたのだが‥‥。

「あれが小さなこと‥‥? あんた達が脅していた女の子は自殺したのよ! まだ17歳の女の子だったのに! 人を死に至らしめておいて『小さなこと』なんて言わせない!」

マリが怒ったように叫ぶと男性は言葉を返してくる事はなく「どうせ俺達の評判は最悪なんだ、一つくらい罪が増えてもどうって事ないさ」と呟き、扉から離れようとする。

「能力者達に頼んで助けに来てもらうもんね!」

マリが叫び、携帯電話を取り出そうとしたが――いつも携帯電話を入れている場所に存在しない。それどころか取材道具が入ったバッグまで取られている。

「ふん、通信の手段を取り上げるのは人攫いの常識だろ――まぁ、もし連絡が出来てもお前の命がそれまであれば、の話だけどな」

男性は笑いながら扉から離れていき、マリは怒ったように扉を蹴りあげる。

「‥‥なぁんてね、馬鹿ね。ツメが甘いし♪」

そうマリが呟いて服の下から青い携帯電話を取り出す。

「最近は携帯を落とすことが多いから、もう一台買ったのよね」

不敵に笑み、マリは携帯電話でクイーンズ編集室にいるチホに連絡を入れたのだった‥‥。

●参加者一覧

神無月 翡翠(ga0238
25歳・♂・ST
小鳥遊神楽(ga3319
22歳・♀・JG
玖堂 鷹秀(ga5346
27歳・♂・ER
玖堂 暁恒(ga6985
29歳・♂・PN
夜十字・信人(ga8235
25歳・♂・GD
梶原 悠(gb0958
23歳・♂・GP
朔月(gb1440
13歳・♀・BM
風花 澪(gb1573
15歳・♀・FC

●リプレイ本文

〜さらわれた週刊記者〜

 今回はクイーンズ記者・土浦 真里(gz0004)が『誘拐された』とメールを送ってきたことから始まった事件だった。
「真里が誘拐された?」
 マジ? と言葉を付け足して驚いた表情を見せるのは神無月 翡翠(ga0238)だった。
「全く‥‥マリさんも次から次に面倒ごとに巻き込まれるわね」
 小鳥遊神楽(ga3319)は、やや呆れ気味に呟いたのだが表情は険しく真里を心配しているのだという事が見て取れた。彼女が心配するのも無理はない。今回の誘拐騒ぎは前のようにマリの勘違いではなく、事件を起こし、記事にされた事を逆恨みした能力者の仕業とマリからのメールで送られてきたからだ。
「逆恨みで拉致監禁? どうやら救いようのない馬鹿の仕業ですね。ですがそういう手合いほど何をしでかすか分かりません。可及的速やかに救出を行いましょう」
 玖堂 鷹秀(ga5346)は少し苛立ちを抑えながら低い声で呟く。
「誘拐するだなんてなんて卑怯な奴なのかしら! あたしの友人に手を出したこと、絶対後悔させてやるんだから!」
 拳を強く握り、背景にメラメラと黒い炎を背負いながら叫んでいるのは梶原 悠(gb0958)だった。
「‥‥しかしロドゲちゃん。記者の誘拐は王道だが‥‥自ら其れを実践するとは、見上げた職業意識だな」
 感心したように呟くのは夜十字・信人(ga8235)だった。ちなみにマリはわざとでも狙って誘拐されたわけでもない。
「やれやれ‥‥逆恨みなんて子供の駄々こねと一緒だな?」
 マリも災難だ、ため息を混じらせて独り言のように呟くのは朔月(gb1440)、その表情は犯人達を嘲るようにも見えた。
「犯人達を抹殺じゃなくて、本部連行って所がちょっと残念」
 がっくりと肩を落としながら呟くのは風花 澪(gb1573)で、本当に心から残念がっているようにも見える。
「まぁ、残念がっていてもしょうがない。真里さんを助けなくちゃね」
 風花が呟くと「そうだな」と神無月が言葉を返す。
「犯人達にはきついお仕置きが必要だよな? 肝心の、マリが大人しくしていれば、いいんだが‥‥」
 神無月の言葉に現在囚われの身であるマリを思い浮かべる――『あの』マリのことだから大人しく待っているはずもないと能力者達は考えて、マリを探すために行動を開始し始めたのだった。


〜マリを探すために〜

「確か工事の音がしてるって真里からのメールであったよな?」
 朔月は少し大きめのテーブルに地図を広げて、二色ペンを取り出す。
 そして本部のオペレーターに調べてもらった、道路や水道の工事リストを取り出して地図上に丸をつけていく。
「昼ご飯の材料を買って、その後に誘拐だからこの辺かしら?」
 梶原が地図を覗き込み、クイーンズ編集室から近い商店を指差す。その間も朔月はペンで印をつけていく。
「こっちの工事現場は‥‥半日程度じゃ行けそうにないからバツだね」
 風花は半日では行けなさそうな場所にバツ印をつけていく。
「でも‥‥意外と場所が絞れて来たんじゃないかしら? ‥‥それでも結構な数があるみたいだけど‥‥」
 小鳥遊は地図上に印のついた場所を見ながら呟く。
「ロドゲちゃん。一応、此方が探している間にGPS機能、少し探してみてね。もしかするとダウンロードアプリにあるかもしれないし」
 むしろあれ、と夜十字はマリに電話をして連絡をする。本当ならば携帯電話を繋ぎっぱなしにしている方がいいのかもしれないが、電池の消耗が激しい上、犯人達にマリが携帯電話で話しているところを聞かれるのも不味いと考えて10分置きくらいの連絡を行うようにマリと打ち合わせをしていた。
「これ以上は絞れないな‥‥後は手分けして探すしかないか‥‥」
 朔月はため息混じりに呟き、印のついた地図を人数分コピーをして仲間の能力者達に渡していく。
「それじゃあ、マリさんを見つけたら通信機で連絡を取り合いましょう」
「ロドゲちゃん‥‥GPS探す気はないんだね」
 夜十字がマリから送られてきたメールを見て、脱力したように呟く。

『じーぴーえす探すのメンドイから早く助けに来てね♪』

「‥‥攫われて危険という自覚ナシだね、ロドゲちゃん‥‥」
 ため息と共に夜十字が呟き、能力者達は手分けしてマリが捕まっている場所を探しに向かい始めたのだった。

※神無月&風花※
「ここが工事現場‥‥でも――‥‥」
 風花は周りを見渡しながら「真里さんが閉じ込められているような場所は見当たらないね」と言葉を付け足した。
 風花と神無月が探しに来た場所は北側の工事現場で、周りには色々な店があって、とても人が監禁されていそうな場所を見つける事は出来なかった。
「この人を見かけた事は?」
 神無月がマリの写真を店の人間に見せながら問いかける。
「あら、マリちゃんなら暫く見かけてないわねぇ。最後に来たのもだいぶ前だもの。マリちゃんがどうかしたの?」
 店の中年女性に問いかけられ、神無月は少し考えて「いや、何でもない」と言葉を返した。本当の事を話して騒ぎが大きくなるのも困ると考えたからだ。
「仕方ない、他の場所を探しに行こっか」
 風花は通信機で他の能力者達に「北側はそれっぽい場所はなかったよ」と伝えて、他の場所の捜索に向かい始めた。

※小鳥遊&朔月※
「せめて1、2時間で行ける場所なら結構絞りこめるんだが‥‥半日となると――それなりに探す場所も増えてくるよな」
 朔月が地図上にバツ印をつけながらため息混じりに呟く。
「そうね、虱潰しに探していくしかないと分かっていても‥‥焦りを隠せないわね。マリさんがどんな目に合っているか分からないから‥‥」
 小鳥遊は犯人能力者たちの前科のことを考えて、嫌な予想が頭をよぎる。
「誘拐なんて真似をするのは『悪い事をした自覚がない』からだ。他人の心と未来を狂わせたって自覚がない能力者なんて、バグアやキメラよか質が悪いな‥‥」
 朔月の言葉に「そうね、そんな事をしておいて同じ能力者なんて思われたくないわ」と小鳥遊も言葉を返した。
 その時に風花から連絡が入り「こっちもまだ見つかっていない」と朔月が通信機で言葉を返す。
「二組が捜索して、ある程度範囲が縮まってきたな。あと少しだ、頑張ろう」
 朔月が呟き「‥‥待っててね、マリさん」と小鳥遊も一度目を伏せながら呟き、再び目を開いて他の場所の捜索に向けて走り出したのだった。

※玖堂&夜十字&梶原※
「ここでも無い‥‥ドコに隠れてるっ‥‥!」
 他の班からも『マリが見つかった』という連絡はなく、玖堂たちもまだ見つける事が出来ていないため、彼は焦りと苛立ちが募っているのだろう。
「とりあえず落ち着けというのが無理かもしれないが、落ち着いた方がいいと思うよ。冷静さを欠くと‥‥」
 やや興奮状態の玖堂に夜十字が話しかけると「そうだよ」と梶原も心配そうな表情で話しかけてきた。
「真里ちゃんが心配なのは皆同じなんだから、落ち着いて真里ちゃんを探しましょ?」
 梶原の言葉に「‥‥そうですね」と玖堂は気持ちを落ち着かせる為に大きく深呼吸をする。
「犯人達には『前科』がありますからね。チホさんに頼んで当時の犯行場所が分からないか頼んだんですが‥‥この辺ではないみたいで、今回の事件とは関係なさそうでしたし‥‥」
 そう、玖堂はクイーンズ記者のチホに頼んで当時の犯行場所などを調べてもらっていたが、今回の事件とは関係なさそうと返事が返ってきたのだ。
「‥‥あと、この辺で探してないのは――あそこだけね」
 梶原が指差したのは道路工事をしている場所から少ししか離れていない倉庫だった。部品工場の倉庫らしく、会社名が倉庫の壁に大きく書かれている。
「あれ? でも確かこの会社――倒産しなかった、か?」
 夜十字が小さく呟く。梶原が「そうだった‥‥っけ?」と思い当たらないのか首を傾げながら言葉を返した。
「でも‥‥人が――」
 玖堂が呟き、三人は慌てて物陰に隠れる。倒産した会社の倉庫ならば人が入っていくはずもない。おまけに入っていった人間は明らかに能力者だという事が窺える。
「‥‥ビンゴ」
 夜十字は呟くと、他の班の能力者に知らせる。その間に梶原がマリの携帯電話にメールを送って、現地へ到着した事を知らせた。
「さて‥‥馬鹿共を制圧しますかねぇ‥‥」
 玖堂は呟き、他の班の能力者が来るのを待ち、突入のための準備を始めたのだった。


〜囚われの場所を発見、マリを救出せよ〜

「一応、皆が突撃になりそうだから、俺は真里の護衛になるかな」
 神無月が『エネルギーガン』を手に持ちながら呟く。
「でも相手にはスナイパーがいるかもしれないのよね‥‥『隠密潜行』で此方の死角にいるかもしれないから気をつけないと‥‥」
 小鳥遊が呟く。マリの話では少女が死に至った事件の時にはスナイパーが2人いたと言っていた。
 もしマリを助けに来ていると知れば、本格的に戦いを挑んでくるだろう。
「あたしだったら‥‥倉庫の中に入ってすぐ攻撃仕掛けられるような場所に身を潜めているかもしれないわね」
 小鳥遊の言葉に「でも、ロドゲちゃんを見つける為にも奴らを倒さないとな」と呟く。
「今回、俺は『クルシフィクス』を盾として使うつもりだから」
 夜十字は『クルシフィクス』を盾として使い、相手能力者の攻撃から味方を守る役目に当たるという。
「とりあえず――制圧してから真里ちゃんを見つけるって事でOKね」
 梶原が拳を鳴らしながら呟き、能力者達は倉庫の中へと入っていった。
 倉庫の中に入った能力者を出迎えたのは銃撃だった。銃弾の方向からスナイパーが何処に潜んでいるのか丸分かりで、小鳥遊が『ドローム製SMG』ですぐさま反撃を行った。もちろん能力者が大怪我をする事のないように手加減をして――なのだが。
 小鳥遊は攻撃を仕掛けると同時に梶原が『瞬天速』でスナイパーとの距離を縮め、腹を蹴りつける。攻撃を受けたスナイパーは梶原に向けて発砲したが梶原は『疾風脚』でそれを回避する。
「ふふふ、まだ懲りてないなんてイケない人達ね。お姉さんが徹底的に相手をしてあげるわ」
 そう言いながら梶原は顔以外の場所を殴ったりして相手に攻撃させる暇を与えない。
 もう一人、隠れていたスナイパーも痺れを切らして向こうから攻撃を仕掛けてきてくれたおかげで場所を特定する事が出来て、朔月がすかさず『翠澪の弓』で攻撃を仕掛け、続いて風花が『ソニックブーム』で攻撃を仕掛けた。
「殺さないようにってめんどー‥‥本部に連行して何するんだろ‥‥あー、殺っちゃいたい」
 風花はため息混じりに呟き『月詠』と『刹那』で2人目のスナイパーを切り刻む。もちろん切り刻むとは言っても掠り傷程度の傷しか与えていなく、本気で切り刻むつもりはないらしい。
「ひっ‥‥」
 犯人能力者が声にならない悲鳴をあげると「女の子を脅迫したらしいじゃん?」と風花が切っ先を向けながら呟く。
「あなたにもちょっと恐怖を味わってもらおっか♪」
 楽しげに呟き、風花は少しずつ犯人能力者を刻んでいく。
 そして1人目の能力者は「ま、待ってくれ!」と恐怖のために座り込んで手を此方に向けてくる。
「言い分があんなら制圧してから聞いてやるよ‥‥」
 玖堂は武器に手を置こうとしている犯人能力者に『クルメタルP−38』で牽制攻撃を仕掛けながら言葉を返す。
「さぁ、もう命乞いをする時間はないわ。あなた達の行為は万死に値する。死んで罪を償うことね」
 小鳥遊は呟きながら武器を犯人能力者に向ける。彼女自身に彼らの命を奪うつもりはないが、マリが味わった恐怖を考えると多少脅かしても問題はないだろうと判断したのだ。
 スナイパー2人を制圧した所で神無月が『エネルギーガン』で攻撃する音が倉庫内に響き渡る。朔月は能力者を縛るために残り、他の能力者達は音の方へと向かって走る。
 そして、そこで目にしたものは剣の切っ先をマリに向けている犯人能力者と『エネルギーガン』を構えている神無月の姿だった。
「くそぅ! この女のせいで!」
 犯人能力者は剣を大きく振りかぶり、マリに攻撃を仕掛けようとするが夜十字が『クルシフィクス』でそれを受け止めた。
 そして夜十字は犯人能力者の剣を弾き飛ばし、手足に組み付く。
「手荒な真似はしたくないんだが‥‥まぁ、今更お互い様だしな。ちゃんと五体満足は心がけるから、骨折はドンマイ」
 呟き終わると同時に『ボキ』と鈍い音と犯人能力者の痛みに叫ぶ声が響き渡った。その後、諦めの悪い男らしく近くにあった鉄棒を手に取ろうとすると朔月の矢が犯人能力者の手の甲に突き刺さる。
「いい加減、諦めやがれ!」
 再び襲う激痛に犯人能力者は表情を歪め、諦めたようにガクリとうな垂れたのだった‥‥。


〜お騒がせ記者・土浦 真里の復活〜

「や〜。お騒がせしました!」
 犯人能力者達を本部に連行した後、マリが「あは」と笑いながら能力者達に頭を下げた。
「無事でよかったわ!」
 ぎゅっ、と梶原がマリに抱きつき「ご心配おかけしました」とマリも照れたように笑った。
「それにしてもちょっとブロックで頭を殴ろうとしただけなのに本気で怒って斬りかかって来ようとするんだもん、びっくりしちゃった」
 マリが沸々と沸き起こる怒りを表情に出しながら呟くと、神無月がマリの頭をぽんと撫でる。
「怒っているのは、分かるが、それくらいにしておけ。お前の代わりに、皆がきついお仕置き、手加減なしでしたんだからさ」
 神無月の言葉に「うん、見ててすっきりした」と言葉を返す。
「今回は災難だったわね、でも何度だって必ず助け出して見せるからね。マリさん」
 小鳥遊が苦笑気味に呟くと「頼りにしてる!」とマリがいつもの笑顔で答えた。
「ロドゲちゃん、無事で何より‥‥尤も、携帯の通話料金は無事じゃないかもしれんが、経費で落ちるといいね。いや、この場合は労災か?」
 夜十字の言葉に今まで笑顔だったマリの表情が見る見る青ざめていく。
「あ! そうだ。何でロドゲちゃんなんて名前がついたのか個人的にすっごい興味があるんだけど!」
 風花の言葉に「確かよっちーと初めてお話した時じゃなかったかな」とマリが言葉を返す。

 その後、玖堂がマリを編集室まで送ることになり、2人で歩いて編集室まで向かっていた。
「それでは、私はここで‥‥」
 玖堂が呟き、繋いでいた手が離されると同時にマリは抱きしめられて、目を丸くする。
「あ、その離れ難いと思ったら‥‥身体が勝手に‥‥すいません‥‥お、おやすみなさい!」
 玖堂は言い残して脱兎の如く走って帰っていった。真っ赤な顔のマリを残して。

 そして通話料金を見たチホから雷が落ちるのはこれより数日後‥‥。


END