●リプレイ本文
「どぉーも! 今回はどーぞ宜しくね♪」
クイーンズ記者の土浦 真里(gz004)が『傭兵戦隊』の雑誌を作る為に集まってくれた能力者達に挨拶をする。
「第二弾という事は前回の評判は良かった様ですね、それは何よりです」
玖堂 鷹秀(
ga5346)が話しかけると「うん♪ 作ってて私も楽しかったし!」とマリは言葉を返した。
「もう‥‥チホちゃんも心配してたわよ?」
シュブニグラス(
ga9903)がマリに話しかける。彼女はチホを買い物に誘いに行き、何か悪巧みをしているマリに気づいて今回の『傭兵戦隊』に参加したのだという。
「今回のキメラの武装‥‥ヒート系の武装‥‥って格好つけるけどアイロンを押し当てるかぁ‥‥えげつないなぁ、溶接とかで経験あるけど、痛いんだよなぁ‥‥。溶接したところが冷えないうちにうっかり触るとか‥‥うぅ」
リチャード・ガーランド(
ga1631)が火傷した時の事を思い出してしまったのか、身震いしながら呟いた。
「‥‥火傷の跡は後々まで残るのですよ? 公園を守る為にも、恐るべきアイロン女、何としても倒してしまいましょう」
アイロン・ブラッドリィ(
ga1067)が「どうにも調子が狂ってしまいますね‥‥」と言葉を付け足しながら呟いた。
今回の『アイロン女』と名前が一緒なのが気にかかるのだろう。
「あ! マリさん、マリさん、今回のキメラのアイロンを奪う所はレッド最大の見せ場! 連射機能でカッコよく撮ってね!」
マリの手を握り締めながらメアリー・エッセンバル(
ga0194)が念押しするように話しかけてきた。
「う、うん、頑張るよ」
マリは目を何度も瞬かせながら首を縦に振った。
「あたしは梶原 悠(
gb0958)だよ、宜しくね♪」
梶原がマリに握手を求めながら挨拶をしてくる。彼は前からクイーンズを読んでいてくれて、今回マリに会えると楽しみにしてくれていたようだ。
「此方こそ宜しくね、ハルカちゃん♪」
「‥‥で? お化けは見れた?」
わくわくした表情でマリに問いかけるが「撮影行ってみよー」とくるりと背中を向けて話を逸らしたのだった。
「今回もちびっ子達のために頑張るわよー! おーっ!」
マリが叫ぶと「子供に夢を与える仕事って素敵ですよね‥‥」
天狼 スザク(
ga9707)が呟くと「スザクんにも手伝ってもらうんだから頑張ってね」とマリが天狼の背中を強く叩きながら話しかける。
「僕も今回の仕事をゲーム作りの資料にする為に頑張らなくちゃ」
五十嵐 彩斗(
gb1543)が呟き、今回の撮影に入り始めたのだった。
〜コマンダー・ホークとアイロン女と人質のアイロン〜
「これ以上そちらの戦力を増やさせるわけにもいかんのでな、合流させる前に『餌』として押さえさせてもらったぞ?」
公園の滑り台の上から「ふはははは」とけたたましい笑い声と共に『戦うんジャー』を見下ろすのは悪の組織・バグアンの幹部であるコマンダー・ホーク(玖堂)だった。
そしてその隣には銀髪の美女であるアイロンの姿があった。
今回、レッド(メアリー)とブラック(シュブニグラス)は新たな仲間がいると連絡を受けて、待ち合わせ場所である公園に向かったのだが‥‥新たな仲間であるアイロンは既に敵の手に落ちていた。
ちなみに彼女が捕まった理由は――‥‥。
「買い物袋持ってください」
「いいですよ(がちゃり)」
アイロンが親切に荷物を持ってあげた所に持っていた手錠をかけるという、悪の組織らしい卑劣なやり方だった。
「仲間の命が惜しくなければ存分に戦うがいい!」
ホークが悪役っぽく笑いながら叫び、アイロンに武器を向ける。戦えば仲間の命はない‥‥そんな考えがレッドとブラックの頭によぎり、存分に戦う事が出来ない。
「どうか皆さん、私に構わず戦ってください!」
アイロンが叫ぶが、そんな事など『正義の味方』である2人には出来なかった。
「やれやれ、状況は最悪だね」
近所の天才少年、そして『戦うんジャー』影の司令官であるリチャードはため息混じりに呟き、携帯電話で仲間達に連絡をする。
そして特撮っぽく、仲間達は素早く現れた。
「ようやく集まったか‥‥熱しても伸ばされる、先で突かれる、角で殴られる、まぁ好きなやられ方を選んでくれ給へ」
ホークは勢いよく腕を振り「やれ! アイロン女!」と叫ぶ。
そしてうまい具合にアイロン女も奇声をあげて能力者‥‥もとい『戦うんジャー』に襲い掛かる。
「此方も反撃じゃ、傭兵戦隊 戦うんジャー出撃じゃ!」
リチャードも負けまいと腕を振り、戦うんジャーたちを見送る。
「よぉしっ! もうちょい近づいて写真を‥‥!」
マリがなぜか場のノリに乗るかのようにカメラを構えて前に出ようとするのをグリーン(天狼)が慌てて止める。
しかし記者モードに入ったマリを止められる能力者は多くはいない。スクープが逃げる、など叫んで前に出ようとするマリの前にグリーンは最終兵器を差し出す。
「私の店の新商品、ガトーショコラ! 上質のチョコレートの上品な甘さをご堪能あれ!」
ガトーショコラを前にマリの動きがぴたりと止まる、そして満面の笑顔を見せて「やめる」と呟いてガトーショコラを食べながら撮影を開始する。
戦うんジャーの皆は雑誌が面白くなるようにわざとピンチになったりなど前回の戦うんジャー同様に工夫をして戦ってくれている。
「きゃああっ! 今よ! レッド、ブラック! アイロンを奪うの!」
ピンク(梶原)が『瞬天速』を使用して大げさに吹っ飛びながら叫ぶ。
「分かった!」
レッドは首を縦に振りながら『瞬天速』と『限界突破』を使用して一気にアイロン女の元へと駆け抜ける。
そしてブラックは『練成弱体』をアイロン女に使用して、レッドが『メタルナックル』を乱打してアイロン女の持つ『アイロン』を奪ったのだった。
「えぇーっ! アイロンさんは人間ですよ!? (名前が)似てるけど!」
ツッコミ役のブラウン(五十嵐)が驚いたように叫ぶ。そして彼が叫んだ言葉にレッドとブラックも驚いている。
そんな2人のやり取りを見ていて「これって‥‥コメディでしたっけ?」と自分に問いかけるようにブラウンは呟いている。
そう、仲間が言っていた『アイロン』とはホークに捕われている女性のアイロンであり、決してアイロン女が持つアイロンではなかったのだ。
「そ、そういうのはちゃんと言ってもらわなくちゃ! アイロン女と戦っている最中に『アイロン』って言われたら普通あっちを見ちゃうよ! ね? ブラック!」
レッドが賛同を求めるようにブラックに話しかけるが「わ‥‥私は知ってたわよ?」と顔を逸らしながら言葉を返した。
「――という事でゴメン、これ違ったみたい」
レッドがアイロン女にアイロンを返すと「何で返すんですか!? レッドさん!」とツッコミ役のブラウンが叫ぶ。そして彼は心の中で「もうコメディでいいです‥‥」と諦めにも似たようなことを呟いていたのだった。
「し、仕方ないですね‥‥」
ブラウンは仲間達に目を閉じているように知らせると『照明銃』をアイロン女に向けて使用した。
そしてグリーンが「お前は下がってろ!」と覚醒して不良化した後に、アイロン女を自分に引き付けるように行動を行う。
「さぁ、こっちに来てみな」
グリーンが不敵に笑み、アイロン女がアイロンを振り上げた瞬間に携帯していた『スブロフ』をその場に置き、グリーンは高くジャンプする。一度振り下ろしたアイロン女の攻撃は止める事は出来ずに置いてあった『スブロフ』を割ってしまう。
「ち、引火しなかったか――でもな、安心は出来ないんだぜ?」
グリーンは呟くと『高級煙草』に火をつけて上から落とし、爆発する前にその場を離れる。
「糞が‥‥! 一生燃えてろ」
かっこよく着地を決めたグリーンをマリは「おおぅ」と感心したように拍手を送り、着地シーンをカメラに収めた。
「皆さん、ご心配をおかけしました」
アイロンは自力でホークから逃げだし、戦うんジャー『シルバー』として覚醒する為にリチャードから変身のためのアイテムを受け取っていた。
「さて、これ以上やらせませんよ、アイロン女さん」
シルバー(アイロン)は銃を構えてポーズを決め、燃え続けるアイロン女の足止めをする為に発砲する。
「踊るわよ! アン、ドゥ、トロワ!」
ピンクが舞うような動きをしながらアイロン女に攻撃を仕掛け、ブラウンも続くように攻撃を仕掛けた。
「お前達! パワーアップじゃ!」
リチャードは『練成強化』で戦うんジャー達の武器を強化してアイロン女に送り出す。
しかし、ここで問題が起きた。アイロン女がくるりと背を向けて、ホークの方に走り出してきたのだ。
まるで『ホーク様〜! 助けて〜〜〜ン』とでも叫ぶかのように。
「な! こ、こっちに来るな! 馬鹿者めが!」
ホークは手を振って『来るな』アピールをするが、相手はキメラで彼の言葉が届くはずがない。
「おーーーっと! 白熱してきたぞ! ついにバグアン仲間割れ! 次号ホークはどうなる!? ってこの話は続かないから此処で完結させてーーー!」
マリが実況中継&お願いを含めて戦うんジャー達に向かって叫ぶ。興奮のあまり前に出そうになるマリをリチャードがため息混じりに止めていた。
「もー少し、大人しく動いてよ。みんな迷惑するんだから。マリねーちゃんの葬式に着ていく服なんぞ用意してないんだからな」
呆れたように呟くリチャードに「こんの生意気悪ガキっ子め!」と拳でリチャードの頭をぐりぐりする。これは痛い。
「ここであたしが引き付けるわ! だからキメ技をお願いね!」
ピンクがアイロン女の気を引き付けるように前に出ながら叫ぶ。その時、マリの隣にいたリチャードも「こんな事もあろうかと!」と『エネルギーガン』を取り出して『電波増幅』を使用して攻撃を仕掛ける。
そしてホークがひそかにキメ技を使用するレッドに『練成超強化』を使用して、レッドがアイロン女に向かって走り出す。
「正義の鉄槌を喰らいなさい!」
レッドは叫びながらアイロン女に攻撃を仕掛けて、今回の敵『アイロン女』を見事に撃破したのだった‥‥。
「ふふふ‥‥次もそう上手くいくと思うな‥‥貴様らを屠る為の刺客はまだまだいるのだからな! この屈辱は忘れんぞ! 戦うんジャー!」
ホークは負け犬らしい悪役の言葉を残して「ふははははははは」というけたたましい笑い声と共に去っていったのだった‥‥。
〜撮影が終わって、ここからはマリの仕事〜
「皆お疲れ様―――っ! イイ絵が撮れたよ!」
戦闘終了後にマリが能力者達に向けて叫ぶ。
「やっぱり‥‥疲れるね、こういう戦い方」
メアリーは苦笑しながら呟くと「確かに、疲れます」とアイロンが言葉を返した。
「さて、此処からは真里さんの仕事です。本を楽しみにしていますが、あまり根は詰めないでくださいね」
玖堂は言葉を残して「お疲れ様でした」と本部へと帰還していった。
「こんな私でも子供に夢を与える事が出来たのかな‥‥」
誰かに問いかけるように呟く天狼に「もちろん、スザクんがいなかったらガトーショコラ食べれなかったし!」とズレた答えを彼に返したのだった。
「ふふ、良かったわ。アレ以上無茶をするようだったらコレを使おうかと思ってたの」
シュブニグラスは楽しげに『手錠』を見せて、妖艶に笑う。
「あ、あはは‥‥何でかな、何か手錠とシュブちゃん、違和感がないよ‥‥」
「あら、どういう意味かな?」
手錠をじゃらじゃらとしながら問いかけてくるシュブニグラスに「何でもないです!」とマリは逃げるように下がる。
「あ、雑誌を楽しみにしてるね!」
ぶんぶんと『お疲れ様』の握手をしながら梶原が笑ってマリに話しかけてくる。
「うん、頑張って楽しい絵本に出来るように頑張る!」
マリは言葉を返したとき、アイロン女が持っていたアイロンをジッと見つめる五十嵐の姿に気がつき「どうしたの?」と問いかけた。
「いや、ゲーム作りにかかるお金も馬鹿にならないんですよ。これから電気代もかからないし‥‥持って帰っちゃってもいいですかね?」
五十嵐の言葉に「私はいらないし、いいんじゃない?」と首を傾げながら言葉を返す。
そして、メアリーとアイロンはマリが編集作業をしている時に手伝いに来てくれた。
「手伝い、ありがとね!」
マリが2人にお礼を言うとアイロンはにっこりと笑顔で「いいえ」と言葉を返す。
「こういった事で、少しでも『能力者』に対しての偏見を生まないよう、積み重ねていきたいものですね」
アイロンの言葉に「うん、頑張ってくれてるのは能力者だもん、頑張ってくれてることを知らせなきゃ」とマリはにぱっと笑って答えた。
今回、クイーンズ増刊号『傭兵戦隊』も二冊目を出すことが出来ました。
今回は『アイロン女』というキメラが相手で、能力者達も苦労して戦ってくれました。
『失敗したり、勘違いしたり‥‥そういう能力者に対しては能力者じゃないあなた達の助言と助力が必要かもね?』
この言葉は色塗りも手伝ってくれたメアリーさんの言葉です。
能力者だって同じ人間、だから間違ったりする。それを指摘するのは私達一般人なんじゃないかなと思います。
次回もちびっ子のために『傭兵戦隊』はがんばります! 応援宜しく!
撮影・監修 土浦 真里
協力者
※メアリー・エッセンバル
※アイロン・ブラッドリィ
※リチャード・ガーランド
※玖堂 鷹秀
※天狼 スザク
※シュブニグラス
※梶原 悠
※五十嵐 彩斗
END