●リプレイ本文
「大丈夫、だいじょうぶ‥‥ナイフ、銃、地図‥‥」
呟きながら持ち物の確認をしているのは岸・雪色(
ga0318)だった。初の実戦経験で緊張しているらしく、岸は緊張を解く為に装備弾薬などのチェックを念入りにしている。
「そんな緊張せんと大丈夫やて。二人の命かかっとるから家の間取りとか調べたかったんやけどな‥‥中々思うようにはいかんわ」
ぼやくように呟くのはギーゼラ・エアハルト(
ga0336)だった。家の間取りなどを調べた上で、相沢家に赴き、キメラとの戦闘が理想だったのだが――生憎と調べる事は不可能だった。
「さて、そろそろ目的の場所に到着するみたいですね‥‥」
シール・ライト(
ga2753)は岸と同じく初めての実戦のようで緊張しながら呟く。緊張するのも無理はないだろう。
今回は『二人の命が最優先』で『キメラ討伐』だけに赴くのではないのだから‥‥。
「よし、今回は超機械を持って来たぞ‥‥全く能力発動に超機械が必要なら書いておいて欲しいものだねえ‥‥」
きちんと超機械を装備してきたのを確認しながら呟いたのはリチャード・ガーランド(
ga1631)だった。
「とりあえず‥‥弓使いがいるから通信機はインカムにしてもらったが‥‥」
醐醍 与一(
ga2916)がインカムをつけながら呟く。
「それにしても嫁と姑か‥‥うちのおふくろとばあちゃんは仲が良いのか悪かったのか分からなかったなぁ‥‥小言の言い合いをしたと思ったら、次の日には仲良くお出かけ。子供の頃はそれがかなり不思議だったなぁ」
醐醍がしみじみ呟くと、ラン 桐生(
ga0382)が近寄り言葉を返す。
「相沢家もそんな感じなんじゃないかな」
ランの言葉に納得したように頷き、メンバー達は目的の場所へと着いた。
●突撃班・出動
「さて、救助班が助ける間にキメラの気を引き、なおかつ倒す――OK?」
ランが確認するように呟き、玄関前にいるキメラを見る。家の中からは人の気配がするところを見ると、最悪の状況には陥ってはいないのだろう。
「バリケードみたいなもんをして、運良く何処かに立て篭もってるんやろ」
「私が持っているハンドガンでキメラを牽制します」
何か遮蔽物があればよかったのだが、家の前にある木くらいしかない。仕方なく岸はその木に隠れながらキメラに向けてハンドガンを発砲する。
その間にランが通信機で救助班に、二人を急いで救助するようにと伝える。
「まだ家の中から出てこないか‥‥仕方ない」
ランは呟き、キメラの横をすり抜けて家の中に入り、キメラの背後からアサルトライフルで発砲する。
「おめえの相手はこっちだよ! さっさと出てきやがれ!」
醐醍は叫びながらキメラの四肢を狙い、アサルトライフルで動きを鈍らせるように発砲する。
「人の家に勝手に入るのは不法侵入で訴えられますよ、キメラに裁判があればですけど‥‥」
言いながら岸はギーゼラと協力するような形でキメラを屋外へと投げ飛ばす。
「とりあえず‥‥キメラを家の中から出す事には成功したが――救助班はどうなってるかな」
●救助班・侵入
「突撃班がキメラと交戦しているようですね」
突撃班と違い、縁側から家の中へと入り、目的の二人を探し始める。
「ともかく二人の救助が最優先だ。たとえ‥‥メンバーに危機が迫ろうとも二人の身柄の確保を最優先としてくれ」
榊兵衛(
ga0388)が低い声で呟く。
「あぁ‥‥ゆくぞ」
エリク=ユスト=エンク(
ga1072)も首を縦に振り、二人を探し始める。その時、リチャードが何かを見つけたかのように小さく呟く。
「どうしましたか? あ‥‥」
シールがリチャードの所へ行くと、倒れている姑を庇うようにして震えている絵里の姿があった。
「えっと‥‥おばさん? だいじょーぶ? 怪我してねえ?」
リチャードがにっこりと悪ガキらしく悪戯っぽく笑みながら問いかける。
「わ、私は大丈夫――だけど‥‥お義母さんが‥‥私を庇って‥‥」
がたがたと震えながら絵里はか細い声で言葉を返す。
「無事か? では護衛を続ける」
エリクは他にもキメラがいないか警戒しながら短く呟く。
「傷を見たところ‥‥命に関わるような傷ではありませんね、多少出血が多いですが、大丈夫でしょう」
シールが姑の傷を見ながら呟くと、絵里は安心したのか涙を流して、良かった、と呟いた。
「しっかし、このお婆ちゃん、おばさんの事が好きなんだね。じゃなきゃ楯にならねえっての」
リチャードの言葉に、シールもにっこりと笑う。
「今回は災難だったと思うが、だが怪我の功名というやつか? 互いが互いをどう思っているか、これでよく分かっただろうしな」
榊の言葉に絵里はハッとする。彼の言う通りなのだ、姑は絵里を嫌っていたなら庇う事はしなかった。
そして絵里も姑が本当に嫌いならこんなにも心配する事もなかったのだから。
「うーん、おばちゃんが羨ましいや。俺、こういう頑固なお婆ちゃんとかいないからなあ‥‥さて、支援支援」
そう言いながらリチャードはシールと一緒に姑の傷を治療していく。
「応急処置でしかありませんが‥‥」
シールの言葉を聞いて、榊は通信機を取り、突撃班に連絡を入れる。
「身柄は確保した。脱出の援護を頼む」
●キメラ討伐・姑と嫁の今後は如何に?
「救助班から連絡が入りました。二人の身柄を確保したそうです」
岸が戦っている皆に話すと、分かった、という短い返事が返ってきた。
「その為にキメラを何とかして倒してしまわんとなあ」
ギーゼラが呟き、岸と一緒に攻撃をする。家の外に出してしまえばこちらの方が有利な状況になる。戦ってみた感じ、下の中くらいの強さのキメラだろう。
形状は獣のような形をしているが、素早いわけでも力が強いわけでもない。
「ははははっ! そらそらそらあっ!」
醐醍はアサルトライフルを発砲しながら楽しそうに笑い叫ぶ。この時、スナイパーはグラップラーの攻撃の邪魔にならぬように計算して、キメラを挟み撃ちにするような陣形で攻撃している。
その時、救助班が家の中から出てきた。
「榊古槍術・榊兵衛―――参る!」
榊は叫び、ロングスピアを構えながらキメラに攻撃をする。前線戦力が増えた事で、キメラは圧倒的に不利になり、能力者たちによって倒されたのだった‥‥。
「‥‥終わったようだな、一匹だけだったか‥‥」
エリクはアーチェリーボウを直し、周りを見渡しながら呟いた。
「終わった終わった、ところで救急車は誰か呼んだ?」
「あ、自分が呼んだわ、失血とかを考えたら呼んどいた方がええんちゃうかな思て」
「正解ですね、お姑さん――傷自体は命には関わりませんが、出血が少し多くて‥‥」
シールが心配そうに姑の顔を覗きこみながら呟く。
「それにしても‥‥この超機械ってやつ、片手で使用できたらいいのにねえ‥‥せっかく小銃・スコーピオン持って来ても両手塞がってるから使えなかったよ‥‥」
盛大なため息を吐いてリチャードが呟く。
「さて、話はそれくらいにして家の片付けを手伝おうぜ――流石にこれじゃあ‥‥な」
醐醍が家の中の惨状を見て苦笑する。
「ちょ、一寸待ってください‥‥水分補給を‥‥」
ごくごく、と持って来た水を飲みながら岸が呟く。彼女の覚醒はやたらと発汗するもので、失った水分を今、補給中なのだ。
「俺がもう少し大きければおばさんの事を助けて口説くとかいう、どっかのドラマの主人公のまねするんだけど」
悪戯っぽく笑いながらリチャードは絵里に向けて話す――と同時にランからの垂直型ゲンコツが落ちてくる。
「いぃったああっ!」
頭を押さえて叫ぶと、次にギーゼラからのハリセンつっこみが炸裂する。
「あまり調子に乗りすぎるのはいけませんね、リチャード君」
シールも軽く頭を小突いて苦笑しながら呟く。
「あ、あの‥‥」
困っている絵里に醐醍が話しかける。
「どうだ? 姑さんと上手くやっていけそうか?」
「‥‥分かりません、今までの事もありますし‥‥」
「俺が言うのは何だがよ、姑さんは、お前さんが来てくれて嬉しいはずなんだよ。ただ、お前さんとどう接したら良いのか分んないだけなんだと思う。だから、お互いを理解するためにもさ、言いたい事ははっきり伝えた方がいいんじゃねぇか? あと、お姑さんの事も分ってやんねぇとな。共通の趣味とか見つかって仲良くなれるかもしんねぇじゃねぇか。な?」
醐醍が諭すように言うと、絵里はにっこりと笑って首を縦に振った。
その背後で反撃に超機械で攻撃を仕掛けようとするリチャードの姿が見られたのだった。
END