タイトル:真の心の強さとは!マスター:御神楽

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/07/07 21:36

●オープニング本文


●とある一地方
 大型の怪獣キメラを前に、四人ほどの傭兵達が並んでいた。
 それぞれ武器を持ち、キメラへ攻撃を加えている。キメラの方はと言うと、大分いい加減なデザイン。恐竜みたいな胴体に丸っこい顔が乗っていて、本当に、どうでもいいデザインだ。
 やっつけ仕事極まりない。
「一気に仕留めるぞ、援護しろ!」
 先頭の傭兵が、大剣を握り締めて飛び出す。
「‥‥了解だ!」
 後衛の傭兵が矢をつがえた。
 まさに、その時。
『うるせえよボケ! 命令すんな、リーダー気取りしやがって!』
「‥‥え?」
 先頭の傭兵がぴたりと手を止める。
 ゆらゆらと振り向き、弓矢の傭兵を睨む。
「違う! 俺じゃないぞ! 俺じゃ!」
 本人は必死に否定する。
 だが、その声は確かに、その傭兵の声だった。そして何よりも、否定する本人のうろたえ方、尋常ではない。
『オマエ嘘つきだしな、信用できっかよ!』
「そ、そんな言い方あるかよ!」
「今のこそ俺じゃない!」
 違う違うと言い合って、はたと気づいた。
 全員眼を見合わせると、四人は、ゆっくりゆっくり、キメラの方角を振り返る。
『ぶち殺されてえのか、ボケナス!』
『実はダ・イ・ス・キ! いやん♪』
『ロベルトくん今パンツ見えたー!』
『こいつ‥‥この変態!』
『まさかとは思うが、このキメラ俺らの心を読んでんじゃないだろうな!』
 全部、キメラの口から響いていた。


●依頼書
「え‥‥失敗したんですか?」
 間延びした声で、モーリスが書類を見る。
 依頼は、失敗したのだ。
 キメラは、バリゾーゴンと命名された。アニオタの担当官がやたら強行に主張したもので。
 さて。キメラの性質は単純明快。
 何らかの方法によって敵対者の思考を読み、声帯模写の上で好き放題喋るというもの。言わば、オウムの強化型と言った所か。
「まぁ、失敗する事だってありますからね」
 先の依頼が失敗したのも、喧嘩が原因なのだ。
 最初は、キメラが適当な事を言って混乱させていると思った。がしかし、自分が考えていた事を見事に喋られてしまうと、ほかの言葉も成るほど思考を読んでのものか、と。そうなると当然、一言一言に一々腹も立ってきて。
 隙が生まれる、連携が崩れる。
 しまいにゃ本気で殴り合い。
 そこを狙ってキメラが火炎弾を飛ばしてくる。で、仲良くみんなで病院送り。
 おにぎりを頬張り、他の担当官を見やる。そういや、彼らからは、自分の事どう思われてるんだろう。ハンサムとか思われてるといいなぁ――等とぼんやりと。
「とはいえ、バリゾーゴンの正体は未だ不明‥‥ですか」
 溜息ひとつ、彼はハンコを捺した。

●参加者一覧

ウォンサマー淳平(ga4736
23歳・♂・BM
阿野次 のもじ(ga5480
16歳・♀・PN
鷺宮・涼香(ga8192
20歳・♀・DF
芹架・セロリ(ga8801
15歳・♀・AA
ブレッド・シーブス(ga8861
11歳・♂・DF
フェリア(ga9011
10歳・♀・AA
飛田 久美(ga9679
17歳・♀・GP
佐倉・拓人(ga9970
23歳・♂・ER

●リプレイ本文

●対策会議
「‥‥可愛すぎっ!」
 資料に添付された写真を見て一言、鷺宮・涼香(ga8192)は叫んだ。
 身悶えして写真を見つめる彼女の手から、ウォンサマー淳平(ga4736)がひょいと取り上げる。
「コイツが俺の初の相手ね」
 そこに写っているのは間抜けな、投遣り極まりないデザインの怪獣型キメラ。
「いまいち締まらないデザインだな‥‥」
「ゾーゴン君の写真を返してー!」
 早くも愛称をつけている涼香。涼香に写真を奪い返されて、淳平は首を傾げた。事前情報を考えるに、動揺させられる前に手早く取り囲み、一挙に叩き伏せてはどうかと提案する。
「囮役の人を準備して、残りの皆で攻撃、でどうでしょうか?」
 その言葉に続ける佐倉・拓人(ga9970)。
 飛田 久美(ga9679)が、よし、と拳を握り締めた。
「じゃ、あたしは囮かな? 相手が強いかどうかはよく解んないけど、団結力が試されるのは間違いないね」
 彼女の言葉を、芹架・セロリ(ga8801)も首肯する。
 涎だらけのてんたくるすのぬいぐるみも、心なしか首肯しているように見える。
 しかしだ。
「けどさぁ‥‥」
 そう。反対ではないのだが、別の目的を持った『異分子』がいたりもするもので。
「ぱんつの色とか言い当てられたら嫌だよな〜」
 ブレッド・シーブス(ga8861)の言葉に、数名の女性陣、プラス拓人が顔を見合わせ、まさかと笑う。その様子を前に、一人ブレッドはほくそ笑んだ。


●ゴゴゴゴゴ‥‥
「鳴き声ってどんなかな? 恐竜だから‥‥パオーン?」
 いざとうのバリゾーゴンを前にして、変わらず悶える涼香。
『パオーン、ニャーゴ、もきゅ〜!』
「か、可愛いっ!」
 彼女の妄想を次々とそのまま口にするバリゾーゴン。しかしその口元は牙を剥き、並み居る傭兵達をあの締まらぬ表情で威嚇する。この敵意、そこは曲がりなりにもキメラだ。
 傭兵達は互いに顔を見合わせて頷くと、ぱっと散開した。
「さあ、やってやるぜ」
 武器をくるりと回し、イグニートを突きつける淳平。
 事前情報の通り、バリゾーゴンはノロノロと歩き回るばかりで、彼等の動きに追いつけているとは思えない。あっという間に、傭兵達はバリゾーゴンを取り囲んだ。
 問題は、例の特殊能力だ。
 先程の鳴き声は偶然かも、と思えば思えなくも無い。だが、阿野次 のもじ(ga5480)が飛び出した。この面白い能力、是非見てみたい。囮として飛び出した彼女は、妙なポーズをビシリと決め、指の隙間からバリゾーゴンを睨み付ける。
 そして、ある言葉を頭に思い描いた。
「お前は次に‥‥」
『お前は次に『罵詈雑言よりエコーズという名前の方が自分にアイ相応しい』という』
「なっ!」
『先に言うなぁ!』
 怒りにうち震えるのもじ。
 どうも、こう思えばこう返す筈と狙って言わせるには、よほど強く思わねば、その裏にある意図もろとも返してくるらしい。折角の作戦――というか遊びの計画は脆くも崩れ去る。放たれた火炎弾を跳躍して避け、ルベウスを構えなおした。
(にゃあ、毒舌怪獣なのです? 私を差し置いて毒舌の王を名乗るとはいい度胸なのです! 私の毒舌を‥‥)
『私の毒舌を聞いて、恐れ戦き泣いて許しを請いながら、あの青い空へと旅立つがいいわ!』
「‥‥なのです」
 自分の心内ちを勝手に喋られて、フェリア(ga9011)はムムムと唸る。
「ふ、ふふん、大きいだけでノロノロなのです! ウドの大木なのですっ!」
『食べられなくも無さそう』
 セロリの言葉――というかバリゾーゴンの言葉に、皆がセロリへ振り返った。
「てやんでぇ! 何見てやがんでぇ!」
 覚醒済みのセロリがギッと皆を睨み付ける。
「話は後、話は後‥‥今は倒す事だけを考えて‥‥」
 拓人の言葉に、皆は頷いた。


●非難訓練
「さぁ! こっちだよ、掛かってきなさいっ!」
 ファングを構えた久美の軽快なステップを前に、バリゾーゴンの爪が空しく空を切る。
「隙だらけだわ!」
 前にのめったバリゾーゴンの背後に飛び掛り、涼香はサベイジクローを振るい、その背に切り付けた。振るわれた尻尾に跳躍し、バックステップでこれを避ける。そこへ更に、拓人のレイピアが突き刺さる。
『ガウウ‥‥ウォンサマーって本名なのかな?』
 この辺りがキメラたる所以‥‥というかあまり知的ではないようだ。
 威嚇のつもりか何なのか、間抜け面で威嚇してはいるが、言葉や雰囲気、顔つきがどれもこれもちぐはぐ。どうもやり辛い。力が抜ける。
 感情を読んで喋るキメラといえど、おそらく、言葉の意味は解っていないのだろう。このように結構どうでもいい事まで口にする。当の淳平にとっても、大して動揺するような言葉ではなかった。この段階では。
「俺のこれは芸名なんだ。カッコ良く目立った方がいいだろ?」
 イグニートを構え、淳平が飛び掛る。
 横合いから切りつけられ、バリゾーゴンが牙を剥いて顔を振り回した。
「もう一発!」
 くるくると踊るように回転し、ポーズを決める淳平。返す刃で更に斬りつけようとイグニートを振り上げた、まさにその時だ。
『実は片思いで終わった初恋の相手につけて貰った芸名だけどな』
 バリゾーゴンの言葉に、ぎょっとして手を止める。
『本名を教える前に彼女は劇団を辞めたので、いつか逢えると思って芸名を――』
「わぁー! だぁー!」
 大声を上げて誤魔化そうとするが、もう遅い。
 赤面してふらつく淳平目掛け、バリゾーゴンの更なる攻撃が続く。
『真面目にやってよ!』
『必殺変なポーズ?』
 それぞれ、久美とフェリアの声がバリゾーゴンの口から発せられる。
 アチャーと額に手を当てる久美に、動じぬフェリア。当の淳平はかなり凹んでいる。近くの木に手を付いて俯き、ガックリときていた。そんな淳平を放ったまま、フェリアはバリゾーゴンへの攻撃を続行する。
『クケケケケ!』
 攻撃に苦しみながら、フェリアの声で笑うバリゾーゴン。
「面倒な敵ね‥‥ヤレヤレだわ」
 小さく溜息をつき、のもじは苦笑する。
 セロリは彼女の横に立ち、巨大な100tハンマーを手に叫んだ。
「べらんめぇ! その程度で動じるたぁ何事よぅ!」
『セロリって微妙だよね』
 突然、のもじの声がした。
『セロリって茎だし、位置的にごぼうやレンコンの仲間じゃない? ちょっと緑だからって調子乗ってサラダ感覚ってとこが、スッゴイ微妙だよ』
 のもじの周辺で、オーラが沈んだ色合いを見せた。
 私が言ったんじゃないと弁明しようかとも思ったが、緑黄色野菜として微妙と思ったのは事実だ。
『にゃあ、箱入り野菜が出荷なのです?』
『お野菜は苦手なのです‥‥セロリは特に‥‥』
『というか、さっきあのキメラを前に食べられそうって言ったよね。って事はエセ菜食主‥‥』
 次々に響く言葉を前に、くるりと振り返るセロリ。
 歯がぎりぎりと鳴り響く。
「誰が‥‥誰がエセだと? ‥‥ほっだらテメェ、歯ぁ食いしばれぇ!!」
 全力で地を蹴り、100tハンマーを振るうセロリ。
 最早喧嘩とかいうレベルではなく、木々をなぎ倒すハンマーは冗談では済まない。これはちょっと危険だ――誰もがそう思った、その瞬間。
 ハンマーの起こした風が、セーラー服のスカートをふわりと浮かせた。
『おぱんつ!』
 その場に響き渡った間抜けた言葉に、皆が動きを止めた。


●ぱんつ
 バリゾーゴンを見れば、ぱんつ! ぱんつ! と叫び続けている。声帯模写の相手は――ブレッド。あまりに唐突過ぎるその言葉に、傭兵達はちょっと呆然としていたが、だがやがて、ゆっくりと、ブレッドへ視線を向ける。
『野菜プリントかと思ったら黒かぁ!』
 拳を握り締め、一瞬だけキリリとした表情を見せるブレッド。
 が。それも見間違い。
『のもじは〜縞ぱん〜! 飛田は〜白黒の水玉!』
 ブレッドの妄想を容赦なく垂れ流すバリゾーゴン。
 久美はブレッドへ向け、びしりと指を突きつけた。
「なっ、こんな格好してるんだから、下着が見えるわけないでしょ!」
『残念だけど水玉パンツじゃなくて水着よ!』
「このキメラわぁ!」
 そのままクイックターン、バリゾーゴン目掛けて怒りを露にした。
「きみ、そんな事想像しちゃ駄目じゃないか!」
 ブレッドに駆け寄って声を荒げる淳平。
 しかし――
『うーん、案外可愛いぱんつかと思ったんだけどなぁ』
 遠慮なく、淳平の声が辺りに響く。
『だ、駄目だ! こんな想像しちゃ! あ、でもフェリアさんのは‥‥』
「わあああ!」
 再び慌てる淳平。
『私はちゃんと男物のブリーフはいてますよ!?』
『パンツはいてない。のです』
『黒は家庭の事情さね!』
 バリゾーゴンは火炎弾を辺りに放ちながらも、その声を止める事は無い。
 というかとてつもないフェリアの暴露が混じっているような気もしたが、おそらく気のせいだ。混乱の中で誰も聞き取れていない。
「ひどい、みんなひどいよ‥‥」
 突然、久美が泣き崩れた。
「喧嘩なんて後でいっぱいできるじゃないの! 今はあのキメラに集中しなきゃいけないのに、どうしてそれが分からな‥‥」
『ま、とりあえず泣いておこっと。男の子は女の子の涙にすぐ騙されるからね』
「‥‥」
 嘘泣きの涙目で、じろりとバリゾーゴンを睨んだ。
「そっ、そんな風に男の事を見てるんですか!?」
 声を荒げる拓人。
「何よっ、悪い!?」
『睨まないで下さいっ、怖いですよっ!』
 バリゾーゴンが拓人の印象を代弁し、同時に火炎弾を吐き出す。
 二人は危うくそれを避けたが、吹き上がる爆炎に少しむせ返った。
 このまま混乱の隙を突かれれば、失敗した討伐隊と同じ轍を踏む事にもなりかねない。涼香はすうと息を吸い込み、あらん限りの声で叫んだ。
「病院送りになりたいかぁー!」
 拳を振り上げる涼香。
『鷺宮のは、赤とピンクのストライプで猫ちゃん入りパンツだ〜!』
「お嫁に行けなくなったらどーするの!」
 そのままブレッド目掛けて振り下ろした。
 頭を抑えながら、涙目のブレッドは空を指差す。
「あっ、空にぱんつが!」
「んな訳ないでしょ!」
 続く頭突きで眼を回すブレッド。
『けどよ、女の子のぱんつを知りたいってのは、全人類の半分が望‥‥』
「うるさいわよっ!」
 しつこく声をあげるバリゾーゴンの口目掛け、涼香はトリモチを投げ込んだ。
 ぺたりとくっつき、口元の動きが鈍るバリゾーゴン。声をあげようと口をもごもご動かし、トリモチを口の中で伸ばす。所詮は小さなトリモチ。何時までも塞げるものではなかったが、余裕が生じるには十分だった。
「みんな‥‥思い出すのです!」
 フェリアの声に、皆の注目が集まる。
「最近は全自動ハンコ捺し機となっているモーリスさんの姿を!」
 青空に浮かぶモーリスの姿。
「嗚呼、天パが窓に! 窓際に追いやられていく‥‥!」
 フェリアの言葉に、情景を思い描いた。
 トリモチでくっついた口を再び開くバリゾーゴンだが、一歩遅かった。
『天パ! 天パ! 窓際族!』
 彼等の思考を読み取るバリゾーゴンであるが、その口は、この場にいない者の悪口を連呼する。
「今だっ!」
 久美が飛び上がり、猫眼を輝かせる。
「ミラクルボレー! シュートッ!」
 ファングが横一線に、バリゾーゴンの喉を切り裂いた。
 でも得物はファングだ。ちょっと違う気もした。
「にゃあ。ロナウなミラクル!」
 すたりと着地する久美を、フェリアは素直に褒め称えた。
 喉を裂かれ、バリゾーゴンの声が潰れる。必死に声真似をしようとしているのは解るが、もはや、人間の言葉として聞き取れるレベルの声を発せてはない。
「いい加減に! その口を閉じろぉっ!」
 散々なめにあわされた怒りの全てを乗せて、淳平はイグニートを繰り出す。
「私達傭兵達の世界ではぶったおすと口にした時にはッ!」
「ぶったおすと思った時にはッ! 既に行動は終わっている、のですね!」
 『無駄』と連呼してルベウスを繰り出し、ラッシュを掛けるのもじ。その彼女の背後から飛び出し、拓人がヴィアで薙ぎ払い、その傷口目掛けてレイピアを突き通す。
 大型キメラだけあって、かなり頑丈だ。連続するのもじや拓人の攻撃を受けてまだ立っており、火炎弾を口に輝かせる。だが、流石に弱り始めていた。
「このハンマーを振るうのは腕力じゃねぇ! ‥‥魂だ」
 瞬天速で詰め寄るセロリ。
 今の今まで息を潜めてこの機会を狙っていたのだ。火炎弾を放とうとするバリゾーゴンは、動きに隙を見せている。
「ちょいさー!!」
 息を吐き出していた口がぐっと閉じられ、力の限り振るった100tハンマーが、轟音と共に頭部へめり込んだ。


●ついでに
「ばりぞーごん! おまえみたいな手抜キングはぁ〜‥‥」
 フェリアが指を突きつけるが、バリゾーゴンはもう動かない。
 ぷうと膨れるフェリア。爆発オチを期待していたが、どうもナマモノらしい。生臭いばかりでウンともドカンとも言わない。
「とりあえず‥‥シーブスさん?」
 拓人がにこりと笑いながら、拳の関節を鳴らす。
「うっそ〜ん、ちょっとしたジョークじゃん?」
 頬を引きつらせ、じりじりと後ずさるブレッドの肩を、がしと淳平が掴んだ。
「皆さん! 今回の依頼は、綺麗さっぱり忘れてしまうのが良いと思います!」
「‥‥賛成」
 頭突きを思い出し、ちょっと恥ずかしそうな顔をして頷く涼香。
「うーん‥‥まぁ、それもそうですね」
 ブレッドに歩み寄っていた拓人も、ゆっくりと動きを止める。
 とにかく、実際の戦闘能力に比べてやたらと手間の掛かるバリゾーゴンは、ようやっと始末された。他人からの悪口云々というより、むしろ数多くの秘密が暴露されてしまった事の方が問題だったりもして、忘れましょう、という提案に特別反対は無かった。
 とはいっても、心の中で覚えておこうとほくそ笑んでる者も数名いたりして。