タイトル:同時爆破テロを防げマスター:御影友矢

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/03/08 11:41

●オープニング本文


 この日UG熊本本部責任者の大杉大門(56)の元に恐るべき情報が舞い込んだ。
 それは‥。

 〜UG本部会議室〜
 10の椅子に、四天王と呼ばれる4名からなる精鋭部隊と神城仁(20)を含めた腕の立つ者計10名が椅子に座っていた。
 そして、大門が会議室に入ってきた。
「皆を集めたのは他でもない、実はある情報筋からここ熊元のデパート2件と銀行と郵便局計4件を狙った同時爆破テロが、WCが明日正午に行う事が分かった」
 その事実に会議一時騒然となり、神城も動揺は隠せなかった。
「更に、未確認情報だが爆破テロの一つに『死神部隊』を投入してくるらしい」
 大門のその言葉が騒然とするこの場に更に拍車がかかり、先ほどまでそれほど驚きを見せなかった四天王でさえ若干青ざめていた。
 死神部隊とは、WB4名からなる精鋭部隊としか情報が無く、顔を見た者は殺されている事からUG内ではそういう名前が付けられていた。
「皆静かに、騒いだ所で何も解決しない」
 大門の一喝で、騒然とした会議室は静かになった。
「そのために、お前らを呼んだんだ。今回はあちらもチームで動くという情報が入っている」
 WCの通常のチーム編成は4名からなっていた。
「今回はサイエンティストを含めた5名となっているはずだ。そこで四天王はその中でももっとも重要な銀行を担当をしてもらいたい。必要ならこの場以外の隊員を連れて行っても構わない」
「了解」
「了解〜」
「了解した」
「‥‥了解」
 四天王は会議室を後にした。
「3つの内2つはUPCに依頼するが、各1名ずつ行ってもらいたい」
「俺が行こう」
 そう行ったのは神城だった。
「よし神城で決まりだ。残り1名は誰がする」
「‥‥私が」
 そう言ったのは、神城より2つ下で、神城より1ケ月早くUGに入った神楽音遠(18)だった。
「‥‥大丈夫なのか?」
 確かに神楽はファイターで剣を使用し、実力もここにいる人達と遜色は無かったが、大門には1つの懸念があった。
「‥‥大丈夫‥‥殺しはしない」
(「本当に大丈夫かは分からんが‥傭兵達に任せよう」)
 こうして会議は終了した。

●参加者一覧

緑川 安則(ga0157
20歳・♂・JG
稲葉 徹二(ga0163
17歳・♂・FT
鳴神 伊織(ga0421
22歳・♀・AA
月影・透夜(ga1806
22歳・♂・AA
崎森 玲於奈(ga2010
20歳・♀・FT
南雲 莞爾(ga4272
18歳・♂・GP
ナオ・タカナシ(ga6440
17歳・♂・SN
比良坂 和泉(ga6549
20歳・♂・GD

●リプレイ本文

 爆破予告から二時間前、集合場所に現れたのは8人の傭兵達だった。
「時間が無いので手短に自己紹介をしよう‥俺は神城」
「‥神楽‥」
「私の名前は緑川 安則(ga0157)です」
「自分、稲葉 徹二(ga0163)と言います」
「私、鳴神 伊織(ga0421)と申します」
「俺は月影・透夜(ga1806)だ」
「私は、崎森 玲於奈(ga2010)よ」
「俺は南雲 莞爾(ga4272)だ」
「ナオ・タカナシ(ga6440)です」
「比良坂 和泉(ga6549)と言います。」
 自己紹介が終わった後、直に本題に移った。
「知ってると思うが、同時爆破テロの情報が入り、俺はデパート、神楽は郵便局の担当となっているが、できれば4対4で分かれてもらいたい‥なるべく手短に頼む‥詳しい話は移動時に言う‥」
 神城はそう説明した。
「今回は爆弾テロの実施グループを迎撃して可能であれば確保。部隊を2つにわけて、郵便局、デパートに回りテロを阻止する。問題は自爆を行われる危険性もあるということだ。目的を果たすためならってことで命をチップにできるやつが多いからな。確実に仕留めなければならないね」
 話し合いの前に緑川が作戦前の注意をした。
 そして、話し合いは直にまとまり、デパート部隊に比良坂、月影、緑川、南雲、郵便局部隊は鳴神、ナオ、稲葉、崎森となった。
「鳴神さんちょっといいですか?」
 出発前神城は鳴神を呼び止めた。
「私も聞きたいことがありました‥神楽さんの事ですね?」
 神城は頷いた。
「貴方が一番近くで戦う者だから‥知って欲しい事がある‥神楽の目が血色になった時、用心して貰いたい‥最悪仲間に危険が及ぶ可能性がある‥そうなった場合は、貴方が神楽を気絶させて欲しい」
「分かりました‥でもそうならない様に‥私たちがいますから‥安心してください」
 笑みを1つ残し、鳴神は自分の班に戻り、4つある無線機を2つに分け、2班は目的地に移動した。

●デパート
 50分前にデパートに着き、緑川や月影の案を元にそれぞれの行動を開始した。
「従業員の皆さんには可能であれば店の奥に避難していただきたく思います。まさに砲煙弾雨という状況となるとおもいますからね」
 緑川は従業員の非難の役をかってでた。
(「得た力を守るためではなく破壊に使うWB。人を超えたとでも勘違いしているのなら、それ相応の報いを受けてもらおうか」)
 月影はテロに対して怒りを覚えていた。
 がらがらがら〜。
 月影の役割はシャッターを順番に下ろす事だった。
(「‥‥相手は親バグアの連中かと思えば、またそれも同じ能力者か。しかも姿を見た者の命を刈り取る死神の群れ、か‥‥何処の連中だかは知らないが、大なり小なり今回でその伝説は崩れる‥‥だろうな。俺達は死なん、それに誰も死なせるつもりも無い」)
 南雲はそう決意していた。
(「前回は油断したが、今回は必ず捕獲しよう‥」)
 神城は前回の自分の油断を戒め、最後まで注意を怠らないよう自分に言い聞かせた。
(「同じ能力者が相手か‥なんだか気が重いですね」)
 比良坂は敵が同じ能力者と言うこともあり、気持ちも若干沈み気味だった。
 そして三人は、事前にあった情報どおり、正面から来ることを信じてバリケードを作っていた。
 10分前に全てが完了し、念の為、南雲が偵察に向かっていた。

●郵便局
 郵便局部隊も1時間前に到着し、稲葉の案を元に全員が行動に移った。
(「バグアに取り入る人間、でありますか。止むにやまれぬ事情といった具合でもなし。個人的にも仕事的にも加減してやる理由は微塵もありませんな。‥良いだろうさ。叩き潰してやる」)
 今回の事に関して稲葉はそう思っていた。
「ご安心下さい。こんな時の為の傭兵でありますよ」
 稲葉はスムーズに事を運ぶ為に落ち着かせて、従業員の方々を奥へ誘導していた。
(「まさか能力者と戦う事になるとは‥人の敵は人と言う事ですか。人はつくづく業の深い生き物だという事を思い知らされますね‥」)
 鳴神は感慨深げにそう思っていた。
 そして、チラリと神楽の方を向いた。
(「本人から聞ければ一番早いですが‥仕方ありませんね」)
 到着した直後から神楽は音楽を聞いていて、自分の世界に入っていた。
(「爆弾テロ‥‥か。解放戦の混乱と動乱の穴を突いて、向こうはよくもやってくれる。
だがそれはどうでもいい‥‥始めようじゃないか」)
 崎森は、早くも気分が高揚していた。
(「本当に私で大丈夫でしょうか‥皆さんに色々アドバイス頂けましたが‥」)
 一般人をもテロに巻き込もうとする理不尽さに怒りを感じ、依頼に参加したナオだったが、しかし、思いもかけず難易度の高い任務だったため、自分が力不足ではないかと不安に思っていた。
「それにしても、一体どうしてこんな所を狙うのでしょう?何か理由があるのでは」
 ナオは疑問に思っていた。
 神楽は音楽は好きだが、音楽を聞くのはそれだけじゃなかった。
 それは、血を求めるのを抑制する為だった。
(「‥妹の様には‥ならない‥」)
 4人はバリケードを作っていた。
 そして予告時間数分前に、ナオは隣ビル屋上に待機していた。
 ナオは少し不安だが、自分を奮い立たせていた。
「自分ができる事をするだけ、ですよね。ここで怖気づいていては仲間に笑われてしまいます‥」

●戦闘開始(デパート)
「予想通りこちら側に来たすぐ戻る‥くっ」
 緑川に通信した南雲だったが相手のスナイパーに気付かれ、瞬天速を使い急いで戻ったが、左二の腕に被弾していた。
「大丈夫か南雲」
 駆けつけた神城達に南雲は笑みを向けた。
「大丈夫だ‥緑川が言った通り、サイエンティストはスーツケース爆弾を持っていたが‥全員が体にダイナマイトを大量に巻きつけたあった。」
 全員が驚きを隠せなかった。
「やはり目的のためなら手段を選ばない輩ですね‥郵便局側に私が通信しますので、皆さんは配置に戻ってください」
 緑川は皆に促し‥やがて5人の敵が現れた。
 今だ!
 緑川は狙撃眼、鋭覚狙撃、強弾撃を一気に使用し、弾幕をドロームSMGで展開した。
「短期決戦。とにかく相手の脚と手を使えなくする。弾幕を張っている間に前衛は接近し、敵戦力を撃破されたし」
 それが戦闘開始の合図となった。
「最優先は爆破担当のサイエンティストだ。回復も厄介だからな。前衛はこちらで引き付けこじ開ける。神城は援護と相手中・後衛を頼む」
 月影の言葉に神城は頷いた。
 前衛二人には比良坂と月影、中衛に神城、中衛〜後衛に南雲、後衛に緑川の陣形となっていた。
 緑川の先制攻撃はサイエンティストの超機械によって回復していた。
(「爆弾が遠隔操作だと厄介だな。突入が無理だとその場で巻き込んで爆破しかねない。迅速に終わらせるのが一番か‥だが」)
 月影の気持ちを代弁するかのように比良坂が答えた。
「月影さんこの人達‥ちょっとの傷だと回復してます」
 少しの傷だとサイエンティストの超機械で回復していた。
 倒しに行こうにも前に四人も敵がいるため、全員がその場から動けない状態だった。
 そして前衛が集中的に攻撃を受けていたため、月影と比良坂の疲労は激しいものだった。
「闇雲に力を振るい無関係な者まで巻き込む。‥‥簡単に楽になれると思うなよ」
「ふっ‥もう諦めて死ね‥正義は俺達にある」
「‥‥しゃべるな! お前たちの主義を聞くだけ時間の無駄だ」
 月影の怒りは頂点に達していた。
「まったく。ワールドブレイク、世界を破壊する者か。剛毅な名前をつけるバグアの力を借りなければテロの1つも起こせぬくせに」
 緑川はそう毒づいた。
 そんな時南雲はある決心をしていた。
(「グラップラーの俺が‥突破口を開かなければ誰が開くんだ!」)
「瞬天速!」
 敵の前衛二人の前に来た。
 そしてライフルストック部分と疾風脚を使い、二人に攻撃し、前衛に隙が出来た。
「‥‥あんた達には気の毒だが、俺は能力者でも敵とあらば加減も容赦もしない」
 その隙をつき一気に月影、比良坂、神城は前衛を突破した。
「お前は俺が相手だ‥音速弾」
 神城の打った弾が相手の手に命中し、たまらず相手は、武器を落とした。
 そして、月影と比良坂は中衛を神城に任せ、サイエンティストまで残り一人となった。
「問答無用、というワケですか。 致し方、ありませんね‥ッ!」
 先ほどまでは心の何処かで手加減をしていた比良坂だったが‥それはもう無くなっていた。
「悪いですけど容赦はしません‥二段撃」
 比良坂は頭と首を狙い、相手を確実に殺しにいった。
(「ここで足止めされると取り返しのつかない事になりますからね」)
「お前らみたいなのがいるからテロが無くならないんだ!」
 月影の槍がサイエンティストの胸を貫いた。
 それから、直にこの場は収束し、2人捕獲し、緑川のスパークマシーンで体内自爆装置を無力化にした。
「高圧力の電撃を与えるんだ。自爆装置も使えなくなるだろう」
 月影はやるせなさを感じていた。
「SESを使って人同士が争う、‥‥やるせないものだな。本来こんな事に使う力じゃないはずなのに」
「同感です。相手は同じ能力者‥どうにも、やりきれません」
 比良坂は戦闘に勝ったのに沈んだ表情をしていた。
(「同じ人間同士、それも能力者が敵とはね。だがそれがどうした‥‥? そんな事、俺にはさしたる問題では無い。敵と云う名の標的は、斃せる時に斃し‥‥任務を全うする。それが、俺の仕事というヤツだ」)
 南雲は今回の仕事が終わって、そう思っていた。
「郵便局の方が気になる‥緑川通信してくれ」
 神城は仲間の安否が気になっていた。
「分かりました」

●戦闘(郵便局)
「緑川さんですか、どうかされました‥! そうですか分かりました。」
 鳴神は通信を切り、皆に伝え、ナオにも無線機で伝えた。
 そして5人の敵が現れた。
「かくれんぼなら得意です。」
 隠密潜行を使い、ナオは屋上で息を潜めた。
「同じ能力者で、それも精鋭か‥‥さぞや渇望を満たせそうだろう――!! ―――御前達が死神を演じるのなら、私は魔王を演じ‥‥渇望の王として相手をしてやろう‥‥!」
 崎森はもはや我慢の限界だった。
 そしてその言葉が合図で、戦闘が開始した。

 開始して数十分後一人少ない郵便局側は、劣勢に立っていた。
 特に最初から前線にいる神楽と鳴神の疲労は相当なものだった。
 相手の方はサイエンティストの超機械で回復しているため、ダメージは少なかった。
 前線がおされ気味だったので、後衛でエネルギーガンを打っていた稲葉は前衛に行き、崎森は中衛に居た。
(「何かきっかけがあればいいのですが」)
 そう‥鳴神が思った通り、きっかけが無いため、膠着状態が続いていたのだった。
 私が何かしなければ負けちゃう‥。
「させません!」
 ナオの即射がきっかけとなった。
(「ナオの方に注意が向いています。行くなら今です」)
「言い訳なんざ聞く気もねぇよ。‥潰すッ」
「「紅蓮衝撃」」
 鳴神と、稲葉の技で、前衛二人を袈裟斬り、血が大量に出た。
(「失敗しましたわ」)
 そんな余裕が無く鳴神は神城に言われた事を忘れていた。
 神楽の目は既に血色に染まっていた。
(「殺す殺す殺す殺す殺す!!!!!!」)
 神楽はサイエンティストまで、一直線に向かった。
 そして中衛が神楽に攻撃しようとした所を崎森が蛍火で止めた。
「‥私の渇望満たしてくれる?」
 そう言って、蛍火で相手の足を斬り、小銃で相手の武器を持っている手を打ち抜いた。
 そして、皆が驚きの表情で神楽を見ていた。
 それもそのはず、既に、敵の後衛二人は死に絶えていた。
 そして刀をこちらに向けた‥が攻撃される事はなかった。
「‥くっ‥邪魔するな‥」
「‥早く頭から水を‥かけて‥」
 それはまるで、二重人格の衝突のような感じだった。
 鳴神は水をかけ‥神楽は治まった‥が、注意はそちらに完全に向いていたため、WBの一人が走っているのに、気付くのが遅れた。
「WBに栄光あれ」
 窓を突き破り、そこで自爆し、直に、鎮火作業が行われ、従業員は無事だったが、郵便局は半壊した。
「‥すいません‥私のせいで」
 神楽は自分に責任を感じていた。
「神楽さんのせいじゃないですからそんなに自分を責めないで下さい。でもどうしてあんな事を」
 子供をあやす様に鳴神は優しく語りかけた。
「‥すいません‥」
「ううんいいの。今度会った時言えたら教えてね」
「‥はい‥」
 鳴神が笑顔を向け、神楽も微笑を鳴神に向けた
「‥‥やはりな。この程度では渇望を癒せるには足りえなかったか」
 崎森は、終わった所で渇望は得られなかった事を不愉快そうに呟いた。
(「全てが終わった所で‥‥敵と戦った所で感じるモノは一時の享楽と戦意の高揚のみ。相手の挙動一つ一つから戦場の空気まで、その全てが自分の求めるものに足りえなかったように」)
 そして、無線機鳴り、相手は緑川で、デパート側は無事依頼を達成したことを告げられ、鳴神もこちらの事を話した。
 そして合流し、傭兵達は帰って行った。

●司令室
「そうかご苦労だった」
 神城達の報告を聞き通信を切り、力任せに机を叩いた。
「くそっ!あっちの狙いが気付いていれば」
 確かにテロを起こし、民間人を恐怖に陥れるのを目的としている所もあったし‥金を強奪できる所をメインに狙っていて、実際今回もそうだと大門思っていた。
 しかし実際は違っていた。
「今回のあっちの目的は、こっちの戦力を削ぐことか!」
 そう‥死神部隊が行ったのはもう一つの方のデパートで、そこに関わっていたUGメンバー10人全員が殺されていて、内4人はUG本部でトップ10に入る実力の持ち主だった。
 何故死神部隊だと分かったのか?
 理由は、額には、死神部隊がいつも殺したものに付ける、血で十字架が描かれていた。
「裏切り者がいるのか‥」
 長時間考えた結果‥その結論にしか大門は至らなかった。
「お前らの敵は必ず‥」
 大門は血が出るぐらい拳を強く握り締めた。