●リプレイ本文
スーパーの別名『尋問室』として使われる場所に、8人の傭兵達がいた。
「今回この任務を担当する事になった県警本部刑事1科の片桐司だ」
「私は御影・朔夜(
ga0240)だ」
「僕はシックスリーブス(
ga0262)です。シックスとか6とかって呼んでくださいな」
「私は水鏡・シメイ(
ga0523)と言います」
「私は赤霧・連(
ga0668)だよ!」
「俺の名は沢村 五郎(
ga1749)だ」
「私は〜ラルス・フェルセン(
ga5133)です〜」
「わたしは呉葉(
ga5503)ってんだ」
「俺の名前は岡村啓太(
ga6215)です」
「何か用意して欲しいものはあるか?」
「連絡用のため〜人数分だけ〜小型のイヤホンと〜マイクを〜お借りしたいのですが〜」
そう言ったのはラルスだった。
「それについては既に用意済みだ」
そう言って片桐はテーブルの上に、全員分のイヤホンとマイクを置いた。
「私は店員の服装を用意してもらいたい、この服装だと黒尽くめな服装が逆に目立つ為と、悪いが、自身が買い物をしている所が想像出来ないからな」
「分かった店長には話を通しておく‥‥所で、女か?」
「‥‥男だ」
御影の眉がピクリと動いた。
「防犯カメラの管理室をお借りしたい」
沢村が皆が思っている事を代弁した。
「それについては既に店長の了解済みだが、アナウンスについてはどうする?」
「本業女性の方に内線で連絡して行ってもらいたいです」
シックスが答えた。
「分かった。万引き犯はここに連れてきてくれ、俺は店長の所にいく。開店時間まで、ここに待機してくれ」
そう言って片桐は部屋から出た。
話し合いの結果、防犯カメラ担当は、御影とシックスと沢村、エリア担当は赤霧とラルスと呉葉と岡村で、巡回担当はエリア担当と、防犯カメラ担当で犯人を見つけたものになった。
そして‥開店時間となった。
●巡回担当
4つあるエリアの所を5人でローテーションを組み、客を装って周っていた。
水鏡はいきなり自分が担当する所とはかけ離れた場所に居た。
(「う〜ん、又迷ってしまいましたか」)
「すいません野菜売り場は何処にありますか?」
赤霧は万引きする人が許せなかった。
(「万引きは犯罪です! ダメ、絶対!!」)
赤霧は中学生扮し振舞っていた。
(「う”仲間に見られたら絶対に話のネタに使われそうです‥‥でも心を鬼にして振舞います」)
赤霧はお菓子コーナーをうろうろしていた。
ラルスは物価の高さに驚いていた。
(「LHで暮す私達にはー、物価10倍以上など想像出来ません‥生活上やむを得ずな方もいらっしゃるようですが、犯罪は犯罪です〜。これ以上罪を重ねないようー、阻止です〜」)
2つの商品を取って、ラルスは悩んでいた。
「う〜ん‥‥どっちがお得か」
と言いつつもラルスの目は客に向けられていた。
呉葉は肉や魚などのエリアに、きょろきょろと周りを見ている、見るからに怪しそうな主婦を見つけた
(「いくら生活が大変だからってやっぱりそんなことしちゃいけないよ」)
一瞬悩んだが、直に依頼である事を思い出し、小型マイクに向かって呟いた。
「不審者発見だ」
「アナウンスは鳴らすか?」
マイクの受信先は監視カメラ室にあり、応対したのは御影だった。
「いやいい、私一人でやる、岡村さんにも言っておいて」
「了解」
通信が切れ、呉葉は買い物籠を持つなり自然に振舞いながら、その客を注意していた。
岡村は店外にいて万引き犯を即座に捕まえるよう張り込んでいた。
だがいつもは持ち歩いている槍は必要ないだろうと置いてきた。
こうして武器を持たずに町を歩いていると戦争に参加する前の平穏だった日々を思い出す。
「早く平和な世界にしないとな‥」
そんな時、イヤホンに通信が来た。
●監視カメラ室
開店時間になる前から、防犯カメラ班はここに待機していた。
御影は今ここにいるのが不思議ででならなかった。
(「我ながら不思議な物だ、戦いの場から離れると言うのは‥‥。だが、たまには命を賭けぬ依頼も良いだろう。或る意味では此処もまた戦場だ」)
そして、今の服装を見た。
「余りこう言う服は好きではないが‥そうも言ってられないか」
シックスは自分の体躯や風貌から監視カメラのチェックを担当する事に決めた。
(「万引き犯は捕まえましょう」)
シックスは開店直後から、監視カメラをチェックに余念が無かった。
沢村は事前に方位磁石を用意していた。
(「缶詰を多く抱えている場合‥‥反応するはずだ」」
沢村はそういう犯人を狙っていた。
そして‥‥呉葉から通信が入った。
●後藤恵子
呉葉の予測通り恵子は肉の入ったパックを手さげバックの中に入れた。
(「やっぱりな‥‥」)
呉葉は幾分残念そうな表情をしたが、付かず離れずの距離で、尾行した。
そして、レジを通り店を出たところで呼び止めた。
「ここの依頼を受けた傭兵だけど、肉‥‥盗んだな?」
恵子は青ざめた表情で、震える声で容疑を認めた。
「貴方、子持ちだな?」
「はい‥‥」
「空腹は辛いよ?‥でも例えおなか一杯になっても、お母さんが盗だものだって知ったら‥心はもっと辛いと思う」
2人は片桐のところに向かった。
●少年グループ
昼頃お菓子やカードパックが売っている所に、6人の少年グループがたむろっていた。
現在そこを担当していた赤霧は、そのグループが怪しいと判断した。
「今から少年グループと接触します。監視カメラをそちらの方向に向けてください」
「了解です」
シックスが答えた。
「ねぇなに見てるの?」
少年グループはびくっとした表情になったが、赤霧の姿を見てほっとした。
「驚かせんなよ」
「ごめんごめん」
とりあえず赤霧は謝った。
「これ見てたんだ」
そう言って、今はやりのカードを見せた。
(「今のカードって‥高いな」)
5枚入りのカードは1500円で、物価は10倍だった。
「高いね。私のお金じゃ足りないよ」
赤霧は探りを入れた。
すると、少年グループは誇らしげな表情になった。
「へっへっへ〜こうするんだよ。」
カードの周りを取り囲み、一人が服の中に大量にカードパックを入れた。
「やれやれ、少し懲らしめないとな‥アクセス」
そう言って、御影は銀髪化止まりと抑えた状態で覚醒した。
そして御影は部屋から出た。
少年グループは、レジも通らず店を出た。
「私、実はここの依頼を受けた傭兵なの、観念して‥‥って逃げるな」
少年グループは既に走っていたが、戦闘じゃないという事もあり銃を所持してなかった赤霧にはどうする事もできなかった。
そこへ、御影が現れ、実行班にペイント弾を打ち込んだ。
「止まらなければ‥分かっているな」
実行犯は立ち止まった。
「道に迷っていたら、こういう事もあるのですね」
逃げていたほかの者の前に水鏡がいた。
こうして、犯人グループを全員捕まえた。
●大道昇
3時ごろ缶詰コーナーに大柄な男の姿があった。
現在そのエリアを担当していたのは岡村だった。
「缶詰コーナーに怪しい人発見」
「俺も行く」
そう答えたのは沢村だった。
(「例の物を使うときが来たか」)
沢村は部屋から出た。
一方大道は、ちらちらと怪しげな表情で岡村を見た。
(「やばい‥‥」)
岡村は自分も缶詰を懐にしまい、同業のフリをした。
それで安心したのか、大道は犯行に及び、店を後にした。
「ちょっと待ってくれ。ここの依頼出来た傭兵だ」
呼び止めたのは岡村だった。
「何ですか?」
大道は悠然としていた。
「万引きしたんだろ?」
「証拠でもあるんですか?」
そう、犯行の部分は岡村の見えない所で及んだため、見えていなかった。
「それについては俺が」
既に近くに居て、金物が無いか確認した沢村は方位磁石をで大道の体を調べ、腹の部分で反応があった。
「しばらく警備室で缶詰だぜ‥警察のほうが好きか?」
●小泉夫婦
7時頃その夫婦を見て、ラルスは直に危険だと分かった。
「危険な夫婦発見しました〜例の作戦〜実行〜してください〜」
「分かった」
そして沢村は通信を切った。
「シックス、御影準備はいいか?」
「いつでも大丈夫です」
「無論だ」
そして沢村は部屋から出た。
小泉夫婦はカメラの死角を巧みに使い、一人が反抗している時は、一人は壁となっているため、犯行部分が見えなかった。
そして、帰ろうとした時、沢村が客を装い近寄り、わざとぶつかった。
「旦那さん! 落し物だよ!」
それは、事前に店長以下、男性諸氏に協力を求めキャバクラ等のお姉さんの名刺(キスマーク付)を集めたものだった。
「ちょっとこれ、貴方どういう事なの」
「こんなの知らない」
争っているうちに、沢村は隠していた商品が見えた
そして、見計らったようにアナウンスが鳴った。
「小泉様、小泉様、待合室で、里佳様がお待ちです。すぐに来てください」
「貴方、行くわよ」
「そんなとこ行ったらば‥」
「いいから!」
そこに片桐が待っているとも知らず、夫の耳を引っ張って、店員に偽装した御影の案内で、尋問室に向かった。
「泣けるぜ」
●狐根
9時頃狐根が現れた。
(「いつもよりカメラが多い‥‥ダミーがはいってるのじゃな」)
そう‥‥シックスが開店前にダミーカメラを仕掛けた。
(「‥‥面白い‥‥」)
視線を感じながら狐根は犯行に及んだ
狐根は自然に歩く‥するといつの間にか商品が消えていた。
防犯カメラ担当から連絡を受けた赤霧や他の仲間を連携していたが、どうやって取っているのかわからなかった。
店を出て、傭兵達は追うか追わないか迷ったが、結局追わない事にした。
理由はある買い物籠に商品があり、その上に一枚の紙切れがあった。
『まだまだ修行不足じゃの傭兵の諸君よ』
そして‥‥閉店時間となった。
●結果
今日一日の逮捕数は146人で多くは常習犯だった。
全部捕まえる事は出来なかったが、普段の逮捕数の実に6倍近くだった。
「今日一日ご苦労だった」
片桐が労を労った。
「ありがとうございます」
店長は頭を下げた。
「そうそう後藤恵子と言う一児の母が呉葉にお礼を言っていたぞ『もう二度としません、あの小さな女の子にお礼を言っておいてください』ってな」
「そうか!」
呉葉は嬉しそうな表情になった。
「それと御影だな。少年グループの一人にペイント弾打っただろ? がちがちに震えていたぞ」
「少し懲らしめた方が本人の為だ」
「それについては同意だがな、俺も脅しといたしもうやらないだろう」
「それは良かった」
「缶詰泥棒やここでも有名だった夫婦は『嵌められた』と言っていたがどういう事だ?」
「それについてはノーコメントだ」
「ふっ‥それでは、解散だ」
そう言って、片桐は帰った。
度し難い話だ、こんな事にも既知感を覚えるとは。一体何度繰り返しただろうか。この依頼を、この結末を。
「先に戻る」
御影は移道船が来る場所に行った。
「僕もお先です」
「迷子になるといけないので私もこれで失礼します」
「俺も帰るぜ」
「わたしも帰る」
店長にお辞儀して、シックスと水鏡と岡本と呉葉は御影の後に続いた。
赤霧は落ち込んでいた。
(「スーパーの価格を見て悲しくなります。早起きして列に並んで特売品を買う楽しみや何処よりも安い価格のお店に足を運ぶあの喜びはもう味わえないのでしょうか」)
「さらば、特売‥さらば、安売り‥ぐすん」
赤霧はそう呟いた。
平和が一番と誰かが言いました、ソレを取り戻すため、気持ちを新たに決意します。
「頑張ろぞ!」
少し遅れて、赤霧もスーパーを後にした。
「赤霧も言っていたが、お客様感謝セールとかしといたほうがいいぜ。厳しいだけってのは今のご時世ガメツイだけともとられかねないからな。」
そう店長に提案し赤霧の少し後にスーパーから去った。
ラルスは理解しきれない事があった。
(「損害を受けたのは店です。私情での処遇判断には賛成出来ません。私は依頼人の意向に従います‥それが私達の仕事、万引きせずに済む生活の糧です」)
そう考えているうちに、いつの間にか一人だけになっていた。
「皆〜おいてかないで〜ください〜」