タイトル:地下組織UGマスター:御影友矢

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/01/17 17:31

●オープニング本文


 仮に傭兵達を表とするなら、UG(アンダーグラウンド)と言われる地下組織は裏の役割を果たしていた。
 そこには、多くの能力者が在籍していた。 
 その組織は九州一帯に数箇所存在し、主な依頼は暗殺任務や強奪などの傭兵達が断る様な仕事だった。
 何故警察や軍から取り締まられないのか?
 それは彼らが必要悪の存在だからだった。
 バクアが責めて来てからというもの、貧困などが原因で犯罪や暴動が増加の一途を辿っていた。
 そんな首謀者の暗殺や、盗んだものの強奪などが任務で、一般人の暗殺などは断っていた。
 彼らは、どんな手段をしても依頼は必ず達成していた。


 この日、熊本のUGに連絡が入ってきた。
 着信元は暴動起こそうとしている山村の村の首謀者とその仲間の暗殺任務についていた仲間の一人だった。
「どうしたんだ?」
 応対したのは、UG熊本本部責任者の大杉大門(56)だった。
「任務は達成しましたが、会津信二(28)が例の薬を使いまして、今一般人と共に非難しています。」
 彼らは必ず3人1組で行動し、2人は対象の攻撃、もう1人は軍や警察に変装し、万が一の事を考え、一般人を安全な場所に避難させていた。
「そうか・・・。」
 大杉は唸る様な声を上げた。
 その薬の名はデビルウイッチ、UG社員に1人1粒渡されていた。
 効果は覚醒状態時におよそ2倍の能力になる薬だが‥‥2時間狂戦士状態になり、だれかれ構わず攻撃する厄介な薬だった。
「至急、ラストホープ島に依頼を出すから、お前らは引き続き、一般人と共に非難しろ」
 捕獲する場合は、少数で慣れているUGより多人数で慣れている傭兵達の方が、捕獲できる確率が上がるので依頼をしていた。
「分かりました」
 通話を切った大門は、すぐさま依頼は出し、入って間もない神城仁(20)に声を掛けた。
「何ですか?」
 責任者にいきなり話しかけられた、神城は緊張した面持ちで応対した。
「実はこの村に行って、見つからずに傭兵の働きを観察してもらいたい」
「何で自分なのですか?」
 神城は自分が疑問に思った事をすぐに言うタイプで、責任者相手でもそこは変わらなかった。
「お前は、入って間もないが実力は指折りでありスナイパーだ。もしもの時を考えて行ってもらいたい‥‥それに傭兵達の戦い方は参考になるから見ておけ」
 神城は能力者になって5年だが、UG内で3本の指に入る実力者だった。
「分かりました」
 神城は大門にメモ用紙を受け取り、すぐさま本部を後にした。

●参加者一覧

相麻 了(ga0224
17歳・♂・DG
御影・朔夜(ga0240
17歳・♂・JG
江崎里香(ga0315
16歳・♀・SN
ファファル(ga0729
21歳・♀・SN
櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
南雲 莞爾(ga4272
18歳・♂・GP
比留間・イド(ga4664
22歳・♀・BM
ゴルディノス・カローネ(ga5018
42歳・♂・SN

●リプレイ本文

 本部からは4つの通信機と太い縄、スナイパーには麻酔弾が支給された。
「おっし!今回もカワイコちゃんにいいとこ見せるぜ!」
 のっけからハイテンション気味に、相麻 了(ga0224)が叫んだが、他の者は作戦会議の真っ最中だった。
「時間が無いから、手短に自己紹介をしよう‥‥私は御影・朔夜(ga0240)だ」
「あたしは江崎里香(ga0315)です」
「私ファファル(ga0729)だ」
「わたくしは櫻小路・なでしこ(ga3607)です」
「俺は南雲 莞爾(ga4272)だ」
「わたしは比留間・イド(ga4664)だわ」
「我はゴルディノス・カローネ(ga5018)だ」
「お〜い待ってくれ〜俺の名前は」
 そんな相馬の声は誰も聞いてなかった。
「私が、編成を考えてみた。無論これは案の一つなので、却下して貰っても構わない。探索・誘導班1に南雲 莞爾、比留間・イド、私、探索・誘導班2に相麻 了、櫻小路・なでしこ、江崎里香、待機班にゴルディノス・カローネ、ファファル、待機班に関しては極力危険性を減らす為に、遮蔽物よりは家の中に潜んでいて貰いたい。そして、まず狙撃位置周囲の家を調べた後に待機班に潜んで貰うと言うのは如何だろうか? 家の中ならば隠密潜行を使っていない状況でも、或る程度は隠密性は維持できると思う。連絡手段についてはUMCから貸し出された通信機を使う。4つあるから探索班1は私、探索班2は江崎里香、残り2つは待機班2持ってもらう‥‥という案だ」
皆が同意を示した。
「まず探索班1が行き、一定の距離を保って探索班2が行き、狙撃位置周囲の家を調べた後、待機班移動する‥‥それでは作戦開始だ」

●探索・誘導班1
 配置は左側に南雲、中央に御影、右側に比留間で、慎重に歩を進めていた。
 南雲は突然の奇襲に警戒しつつ慎重に左側の家を調べていた。
 戦争の裏側か‥‥どの時代にも汚れ役を請け負う存在は、其処彼処に居るものだが。
 比留間は右側の家を調べていた。
 両手に花って奴かな? いやー、お姉さん嬉しいわー‥‥と冗談はさておき、瞬天速を 使うグラップラーか‥いいねぇ。速いと聞いちゃ黙っていられないぜ!!‥‥んんー、今回の任務は生け捕りだしまた大変そうだな。
 視線を受ける様な違和感を覚えつつ、御影は道から敵が来るのか見張っていた。
 暴走する能力者の捕獲任務‥それも時間制限付きか。
 捕獲だけなら時間制限は必要無い‥少し、裏がありそうか。

●探索誘導班2
 一定の距離を置き探索誘導班2はスタートした。
 配置は左側に相麻、中央に櫻小路、右側に江崎で、安全は確認されているので、大胆に調べていた。
 相麻は左側の家を調べていた。
 カワイコちゃん二人でラッキーだぜ、いいとこ見せて親睦を深めるぜ。
 江崎は右側の家を調べていた。
 暴走した能力者の捕獲か‥ある意味害虫相手より厳しい仕事になりそうね。
 念のために、櫻小路は道を見ていた。
「暴走状態にあると言う事は身体に相当な負担を強いられています。早く何とかしてないとその能力者自身も危険です」
 櫻小路は敵能力者の体を心配していた。

●待機班
 探索班1から通信が入った後、待機班は歩き始めた。
「今回の依頼‥少々きなくさいな‥」
 煙草を吸いながら、ファファルはそう呟いた。
「何もわからないことは癪だが‥仕事は果たすさ」
 ゴルディノスはこの余りにも脈絡のない事件に『裏』を感じ、依頼に参加した。
「暴走した能力者を止めろ。依頼主は‥‥不明、か。‥‥ふん‥‥どこの国にも、いるものだな」
 そして二人は狙撃ポイントについた。
「さて‥後は探索班に期待して待つとしよう‥‥」
「時は金なり…迅速かつ慎重に‥‥いくぞ」

●遭遇
「ぐるぅぅぅぅぅ〜〜〜〜」
 森の方角から唸り声が聞こえた。
 こいつか‥‥。
 ターゲットを確認した後、御影は通信機を持ち、探索班1は一旦交代し探索班2と合流した。
「ターゲット発見した。各自覚醒し、スナイパーは隠密潜行を発動せよ」
「アクセス」
 御影は黄金の獣瞳の発現と銀髪化し覚醒した。
「殺さぬ様には善処する‥だが手を抜く気は無い」
 他の傭兵達も各々覚醒した。
「始めようか‥‥」
 南雲がそう呟いた。
 前衛を相麻、比留間、南雲、中衛を御影、後衛は櫻小路、江崎の編成で、音を立てず、 ターゲットが居る場所まで移動した。
「鬼さんこちら手の鳴る方に‥‥ってね♪」
 その声に反応し会津は襲い掛かった。
「うっひょぉ、おいでなすった。一撃必殺!! なーんてね」
 渾身の正拳突きに見せかけて足払いをしたがそれはかわされた。
「グルゥリャァァ〜〜〜」
 凄まじい速さで会津は、相馬に殴りかかった。
 あまりの速さに相馬は防御の体制が取れなかった。
 やべぇーなこりゃ‥‥かわいこちゃんどころじゃないぜ。
 中衛や後衛の牽制のおかげで、後方に下がった。
 ふー危ない危ない‥。
 相馬はほっと胸を撫で下ろした。
 続いて会津の前に比留間が立った。
「いい速さだ!! だが足りない‥足りないぞぉぉぉぉッッ!!!!」
 こっちも瞬速縮地で対抗だ。
「大したパワーとスピードだしかぁーし魂がこもっていない! 薬なんかに頼るからだぜ性根がなっちゃあいねぇ歯ぁくいしばれぇぇぇッ!!」
 瞬速縮地からの流し斬りでボコッと一発、キツいのをお見舞いしてやるつもりだったが、薬で強化された会津の瞬天速の方が速く、会津の鉄拳で弾き飛ばされ、後衛の二人が受け止めた。
「いった〜‥‥ごめんなさいね」
「いえ、大丈夫ですよ、比留間さんのほうこそ大丈夫ですか」
 櫻小路は比留間を心配した表情で見ていた。
「速くどいてよね」
 江崎の表情はは心配している様子だったが口で真逆の事を言ってしまった。
 比留間は立ち上がった。
「思ったよりも速かったわ‥‥燃えるわ」
 比留間は興奮気味に呟いた。
 続いて南雲が会津と対峙していた。
「次は俺が相手だ。その身に刻んでおく事だな、これが‥‥紅の爪牙だ!」
 肩の健でも破壊しようと南雲は瞬天速を使用しアーミナイフで切り裂こうとしたが、避けられた。
 これを見た御影は、まずい状況であると理解した。
 特に前衛が単独行動しすぎてるな。
「個々で戦っては駄目だ、皆で目標地点まで誘導しろ」
 御影の一喝で、前衛3人が連携し、会津が攻撃したら、誰かがサポートし、やばくなったら中衛後衛が牽制し、何とか狙撃地点に到達した。
「捉えた」
「ふっ、昔を思い出す‥だが、この銃は最早、命を奪うだけの簒奪の凶器ではない。今の我を律するは‥『血の掟』ではない‥今の我を律するは‥いと高き『月光の掟』」
「その身に刻め――“Hrozvitnir(悪評高き狼)”の爪牙を」
「残念だけど今回、本気モードは駄目なのよね」
 全員一斉に射撃や襲い掛かった。
「‥‥駄目だなこれでは‥‥」
 遠方の木の上から神城は呟いた。
 確かにいい作戦ではあるが、もしも回避された場合、瞬天速で真っ先に待機班が狙われる可能性があった。
「すみません会津さん‥‥音速弾‥‥」
 弾に気を載せて、通常よりも速い速度で弾が到達する技で、速度と命中率が1.5倍ほど上がる技だった。
 先に神城の弾が当たり、後から傭兵達の攻撃が当たった。
 先に当たった弾丸を突き止めようと思ったが、御影は作戦中だったので、好奇心を押しとどめた。
「当たったぞ、もう一度総攻撃を仕掛けるぞ」
 弱っている会津にもはや回避する力は残っていなかった。
「がぁぁぁ〜〜〜」
 会津は沈黙し、こうして捕獲する事に成功した。
「油断するなよ‥‥」
 通信機越しにファファルは注意した。
「分かってる」
 覚醒状態は解除し、前衛が縄で縛ったが、誰もがまだ緊張状態を保ったままだった。

●解決
 途中危ない場面もあったが、何とか2時間が経過した後、会津は突然痙攣し、泡を吹き白目になり、気絶した。
 それから、依頼人の仲間が来てターゲットを回収し、結局何も分からずじまいだった。
「やれやれなかなか骨の折れる仕事だったな?」
 ファファルは煙草を吸いつつ、顔は充実した表情だった。
「かぁ〜なかなか骨の折れる仕事だったぜ」
「そうだな」
「ふん‥あんなのあたし一人でも楽勝だった」
「そうですね、皆大怪我しなくて良かったです」
「‥‥そうだな」
「あたしは悔しかったわ」
「我もだ」
 皆も依頼を無事完了してほっとした方な表情をしていた。
 御影は、弾を撃ってきた方角とあの視線の事を考えていた。
「あれから‥‥結局は見ていただけか‥」
 全てが終わってから一人呟いた。
 そして『何もしてこなかった』事に既知感を抱いて詰まらなさそうに。
 余談だが相馬は依頼が終わった後、女の子にアタックしたが、相手にされなかった。
「くー、今回もかわいこちゃんゲットできなかったぜ」