タイトル:JUNE BRIDEマスター:御影友矢

シナリオ形態: イベント
難易度: 普通
参加人数: 20 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/06/20 12:56

●オープニング本文


 古くからの言い伝えで、6月に結婚する花嫁は幸せになれるという・・。
 そこで、6月に結婚するカップルが多く存在し、教会もイベント等を行っている。
 今日行われるイベントは、『傭兵達の集団結婚式』で、普段バクア達と激しい戦闘を繰り広げ、結婚式をする暇も無いし、友人達も傭兵なので、全員の時間が合わない。
 そこで、大規模作戦が終わり、割と暇な時期を見計らって、このイベントを教会側の協力の元‥今日行われる事となる。

 教会近く、300坪ほどある大きな広場に、丸いテーブルが幾つも並べてあり、白のテーブルクロスに覆われている。
 最前列には、ステージが作られていて、新郎新婦を今か今かと待ち続けている。
 イベントスタッフは、ミスが無いか最終確認をし、牧師さんは儀式の言葉を復唱する。
 料理人達はせっせと振舞われる料理を作っており‥全員が、このイベントの成功を祈っていた。
 イベント開始(招かれたお客様の入場)まで後30分、幸せになるための儀式が行われようとしていた。

●参加者一覧

/ 藤田あやこ(ga0204) / クレイフェル(ga0435) / 七瀬 帝(ga0719) / エリク=ユスト=エンク(ga1072) / 如月・由梨(ga1805) / 神楽克己(ga2113) / 漸 王零(ga2930) / エマ・フリーデン(ga3078) / 終夜・無月(ga3084) / 霧島 亜夜(ga3511) / アッシュ・リーゲン(ga3804) / 葵 コハル(ga3897) / 王 憐華(ga4039) / 蓮沼千影(ga4090) / エレナ・クルック(ga4247) / レーゲン・シュナイダー(ga4458) / キョーコ・クルック(ga4770) / レールズ(ga5293) / みづほ(ga6115) / ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751

●リプレイ本文

●入場
 会場には続々と新郎新婦の友人知人家族が集まっていた。
〜受付〜
 最初に来たのは藤田あやこ(ga0204)。
 清楚なライトブルーのドレスとコサージュという服装。
「ここですね」
 参列者名簿に名前を書き、漸達の晴れ舞台に心躍らせながら、テーブルに着く。

「ここやな」
 スーツ姿でクレイフェル(ga0435) が来た。
「結婚かぁ‥ええなぁ〜」
 彼女のいないクレイフェルにとって物凄く羨ましい‥。
 ともあれ‥いっぱいお祝いせなな!
 クレイフェル、名前を書きステージ方向に歩く。

 受付の前で、ポーズを決めている男が居た。
(「僕は七瀬 帝(ga0719)。壮絶美形スナイパーさ!!」)
 七瀬の周りはきらきらと輝いて見える。
(「今日はいつもの白い服装は辞めて黒のシンプルなスーツにしたよ。何故かって、それは僕が目出ち過ぎて、主役を奪ってしまうからだよ。ふふ、このような服装でも僕の美しさは相変わらずだけれどね!!」)
「どうでもいいんですけど後ろが込んでいますので、お早めに受付を済ましてください」
 七瀬の後ろには既に人だかりができていた。
(「ははは、これでもTPOをわきまえるんだよ? 僕だって」)
 いちいちポーズを決めながら七瀬は名前を書き、会場へと進んで行く。

 如月・由梨(ga1805)と終夜・無月(ga3084)は一緒に、肩を並んで歩いていた。
「依頼があったため、何も準備して無い私が来ても良かったのでしょうか?」
 友人の方がご結婚なさるようですので、お祝いに来たのだが、直前になってそんな事を思ってしまった。
 そして、恥ずかしそうに裾を握り締める。
「大丈夫だよ。俺がついているから安心して」
 包み込むような笑みを如月に向け、安心させ。
 名前を書き、終夜が如月に手を向ける。
「行こうか、俺の‥‥」
 顔を紅潮し如月は恥ずかしそうに手を取った。

「すまないが、書いてくれないか?」
 スーツ姿のエリク=ユスト=エンク(ga1072)は受付の人に呼びかける。
「お名前はなんでしょうか?」
「エリク=ユスト=エンクだ」
 受付の人が名前を書き、エリクは会場に入る。

「結婚‥か‥‥‥まだ俺にゃ遠いハナシだな」
 感慨深げにそう苦笑するアッシュ・リーゲン(ga3804)。
 服装は白いネクタイに黒のスーツ。
(「けどダチが式を挙げるってんなら、盛り上げて祝福してやりてぇのが人情ってモンだろ」)
 そう自己完結し、アッシュは受付に向かった。

 朧 幸乃(ga3078)、葵 コハル(ga3897)、神楽 克己(ga2113)、レールズ(ga5293)、ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)エレナ・クルック(ga4247)、など続々と席は埋まり、開始時間となる。
 司会はみづほ(ga6115)でステージ横に立っていた。
 みづほは祝福の前に違う教会でお祈りをしていた。
(「夫をこの手にかけた私が、誰かの門出を祝う。今日だけは許して‥‥」)
 そして前を向く。
「もうすぐ、式が始まります。演奏する方はステージ下に集まってください。
 ステージ下はオルガンやピアノが置かれていて、各々がまえにでる。

(「素敵な新郎新婦の方たちが‥いつまでも幸せでいらっしゃいますように‥」)
 朧はそう祈っていた。
 朧の服装は、初めはスーツが良いと思っていたが、レーゲンの喜ぶ顔が見たくて、黒のベアトップドレスにハイヒール、コサージュ、チョッカーという服装にした。
 そして手にはフルートを持っていた。

 服装は結城紬の単衣の着物で色は深藍染で絣の織地模様で帯は淡い柳色。
 膝下まで届く髪を三つ編みにして、その先を青いリボンで留めていた。
 その人物の名はユーリ。
 今は席に座っていて、終夜が目の前を通り過ぎるとき。
「‥‥‥折角なんだから、無月と由梨も予行演習しとけば良いのに」
 ぼそっと呟き、振り返った終夜は意味深な笑みを向け‥再び歩き出す。
 そして、ユーリも席を立った。
 フルート:朧、ピアノ:レールズ、オルガン:みづほ、ヴォイオリン:クレイフェル
 歌唱:終夜、エリク、アッシュ、エレナ、コーラス:藤田、七瀬で‥演奏が始まる。
 それは‥温かみのある音楽。
 この日のために練習して来た歌だった。
「connect the pledge in this conduct oneself today.(今日私は此処で契りを結ぶ)
When it compares and what difficulty waits this bonds are eternal.(例えどんな困難が待っていようとこの絆は永遠)
Therefore lets sing the song of the celebration by everyone.(だから皆で祝いの歌を歌おう)
Because this love is eternal.(この愛は永遠なのだから)」
 美しい旋律透き通るような声と共に、ステージの垂れ幕は上がった。

 ステージの奥から、教会へと続く道があり、道にはレッドカーペットが敷かれていて、順序では垂れ幕が上がったら、順番に行く事になっていた。
 一番目は、レーゲン・シュナイダー(ga4458)、蓮沼千影(ga4090)ペア。
 この時まで、両方の服装は知らず、教会の両側から歩き出す。
 服装は、蓮沼はスマートなパールシルバーのフロックコート、レーゲンは‥。
(「ドレスは純白のプリンセスライン。パニエでふんわりお姫様ちっくに。
スカートはアシンメトリーなボリューム感あるデザイン、コサージュは
キュートな印象をさらに引き立て、トップスの繊細な刺繍やパールが華やかなゴージャスさも魅せます」)
 との事で、髪をダウンにし、ビーズの小さなティアラとショートベール着用。
 レーゲンのウエディング姿に蓮沼は超がつくほど感動していた。
「レグ‥すっげぇ綺麗‥」
(「いつも可愛くて美人だけれど‥! ひたすら見惚れてしまいそうだ、俺。感無量」)
 レーゲンは、蓮沼を見て見惚れてしまった。
「ちかこそ格好良いです」
(「練習とはいえ緊張します‥だってちか、格好良すぎ、です‥」)
 緊張しているレーゲンを見て。
「レグ‥」
 すっと腕を開け、レグの横顔に見惚れつつ、緊張をほぐすように微笑みを向ける。
「ちか‥」
 レーゲンはその腕に、両手を添え、2人は歩き出す。

 2組目は漸 王零(ga2930)と王 憐華(ga4039)のペア。
 服装は、漸は布地は黒で縁は金で鳩尾の所には灰色と黒の対極紋があり、右半身には青龍の刺繍が、左半身には白虎の刺繍が、背には麒麟の刺繍が施されているチャイナドレス。
 王は布地は白で縁は黒で自慢の大きな胸の所が大きく開き腰の上まで達するスリットが入っておりお腹の所には羽を広げた朱雀の刺繍、背には玄武と鳳凰の刺繍が施されているチャイナドレス。
 漸は顔を赤くして、王はくすくす笑い。
 二人は腕を交差させ、裏側から手を繋ぎ歩き出す。

 3組目はキョーコ・クルック(ga4770)と霧島 亜夜(ga3511)。
 服装は、霧島は赤のタキシード。
 キョーコは‥。
(「ウエディングドレスは白色でAラインのドレス。
胸元はビスチェタイプでスカート部はレースをフレアスカートみたいにいくつも重ねたもので、袖、肩紐のない物。
手には純白の長手袋をつける
髪は結ばずおろし、ヴェールは腰まで届く長さのをつける」)
 との事で、向かい合った時、2人して恥ずかしくなり頬を赤く染めながら、腕を組み歩く。
「な‥なんかすごい緊張してきた。とうとうあたし達‥夫婦になるんだね」
 顔を赤くするキョーコ。
「大丈夫、俺も緊張してるから。せっかくの晴れ舞台なんだし、楽しもう!」
 霧島の堂々とした態度に‥また1つ彼の事を好きになったキョーコがいた。
「うん!」

 ステージには一組目のカップルが入ってきた。
「んにゃ〜‥‥羨ましいねぇー。結婚式ってやっぱり、女の子なら憧れるよね!」
 白地に桜の花びらを散らせた振り袖を着た葵は羨ましそうに見ていた。
 続いて二組目のカップルが入ってくる。
「漸兄と憐華姉、結婚おめでとう!」
 神楽が力一杯叫び、手を振る2人。
 最後の三組目が入ってくる。
「お姉ちゃんとってもきれいです〜」
 二人はエレナに気付き手を振る。
(「着替えとメイクを手伝いありがとね」)
 心の中でキョーコは妹に感謝を述べる。
 ステージの左隅に椅子があり、三組はそこに座った。

●家族や友人の言葉
「それでは家族と友人の言葉に移ります。名前を呼ばれたら前にお進み下さい。クレイフェルさん」
 クレイフェルはステージ前中央に立つ。
「ちー兄、レグ! 結婚おめでとうっ! 他の皆も末永ぁく、お幸せにな。」
 クレイフェルはにこりと笑う。
「ちー兄が結婚するのは、なんやちょっと寂しい気もするけど‥‥でも、二人ともお似合いやし、明るく楽しい家庭を築いてほしいデス。って、俺が言わんでも、すでに明るく楽しくラブラブやろけどな」
 クレイフェルが気さくな表情で笑い、レーゲンが頬を赤らめていた。

「続いて、七瀬帝さん」
 げっ‥とした表情の蓮沼。
「この良き日の証人になれたことを感謝するよ。 三組の麗しき主役達に心からの祝福を」
 恭しく礼をする七瀬。
 珍しく、真面目な表情と態度に息を呑む2人。
「千影さん。今回はプレ結婚式だと聞いたが、僕は本当の結婚式として祝わせていただいているからね。このような日が、こんなにも早く訪れるとは思わなかった。繋いだ手を、決して離さぬように。
 
 レーゲンさん。
 僕の友人を受け止めきれるのは、貴女しか考えられません。末永く、幸せな二人を眺めていたいです。 本当に、おめでとう。お幸せに!」

「続いてアッシュ・リーゲンさん」
「気付けば何となく顔を出す様になってた自販機のそば、いつもそこには人がいて、その中心には千影がいた、
大規模作戦でケガした時も数え切れない程のヤツが見舞いに来てた、
そうやって人が集まるのは、人と真っ直ぐ向き合って接する、千影の人柄の賜物だと思う。
そんな千影が人生を共に道を歩く女性(ひと)を見つけて門出に立つ事は友人として、
また血の繋がりは無くも家族として、非常に嬉しい事だと思ってる。
いつまでも二人の笑顔が見れる様、末長い幸せが訪れる事を願わせて貰うぜ。
それと王零、結婚おめでとさん。時々見掛けた事があんだが、あんま嫁さんの尻に敷かれんなよ?」
 アッシュはニヤリとしてやったりの表情になり、漸は文句を言いたそうな表情でアッシュを見る。

「続いてレールズさん」
 レールズの服装はタキシード
「レグさん、千影さん、皆さんおめでとうございます。お二人の出会いはLHにある有名な自販機前で行われたクリスマスパーティーだったとお聞きしています。
同時期に行われたダンスパーティーで更に仲良くなり友人となったそうですね。
千影さんがレグさんの居る倉庫に良く来ていたのは私もよく覚えております。
そんな折、些細なことでレグさんはある友人の方と喧嘩してしまい、落ち込んでいた時に、
千影さんが手紙で励ましの言葉を送ったのが今に至る第一歩だったそうです。
現代において文を通じて恋を育むとは、ロマンチックな始まりでしたね。
その後、行われたパーティーにお二人が恋人として仲良く参加しており、
そのことをまったく知らなかった私は驚いていたのを鮮明に思い出します。
本日このような大事な挨拶をさせていただいて、光栄に思います。
長くなりましたが、お二人の幸せな生活をお祈りいたします。」
 最後に礼をして、レーゲンは自分の席に帰って行く。

「続いて終夜・無月さん」
「言ってくるよ」と如月に言い、終夜は立ち上がる。
「今回は本当に‥漸さん蓮華さん皆さんおめでとうございます‥」
「二人に出会えたのは‥此処ラスト・ホープに来て得られた幸運の中でも大変喜ばしいものです‥」
「二人の道行きには‥様々な試練等が待ち受けて居る事でしょうが‥」
「二人ならそんな障害も‥力を合わせて立ち向かい・・乗り越える事が出来るでしょう‥」
「最後に再び心よりのお祝いを述べさせて頂きます‥二人にいと高き月の恩寵があらんことを‥」

「続いて藤田あやこさん」
 藤田がステージ前に立つ。
「千歳一隅という言葉があります。エミタ適合者は千人に一人と言われています。お二人は千×千の組み合わせの中から奇跡的な出会いをはたされました。
千の二乗は百万。お二人合わせて百万力のパワーで幸せになってください」

「続いて葵コハルさん」
 その名前を聞いた時、不安な表情になる漸。
「隊長とは初めての大規模作戦、名古屋の時に『天衝』のメンバー募集でみかけました、
この時もシェイドを相手にしたり、それから常に最前線で行動をしてきて、気付けば凄く大きな部隊に成長してました。
フェイズ毎に作戦や編成を考えててとても大変そうでしたが、
これからは憐華さんの為にもあまり無理をせず、少しあたし達下のメンバーに任せて、ご自愛なさって下さい。
王様と女王様という感じでどっしり構えて、天衝の象徴となってくれると皆安心すると思いますよ?」
 微笑ましく見つめる王に苦笑する漸。

「続いて、エレナクルックさん」
 前に立つエレナに頑張れっと言う様な表情のキョーコ。
「お姉ちゃん、こうやってあらためて言うのも何か恥ずかしいけど‥わたしがまだ小さいときにお父さんが死んじゃってお母さんも入院しがちになっちゃって‥そんなときに自分のやりたいこととか有ったはずなのに働き出して家族を支えてくれて‥本当にいままでありがとう。けどわたしも傭兵としてお母さんを助けていけるようになりました。だからこれからはお姉ちゃんの人生を霧島さんと一緒に自分のために過ごしてください。
霧島さんお姉ちゃんはいままで大変な日々を過ごしてきました。だからこれからは霧島さんがお姉ちゃんを幸せにしてあげてください。お願いします」
 ぺこりと頭を下げるエレナの姿に、キョーコはとめどなく涙が溢れ出て、霧島が、優しく抱きしめる。

「祝電が届いてますので、読み上げますが、名前は伏せさせていただきますので、誰だかは秘密とさせていただきます。」
 みづほは、祝電を読み上げる。
 内容は以下の通り。
 1枚目
 ご結婚おめでとうございます。
 お二人の素敵な笑顔が永遠に続く事を祈っています。
 いつまでも、お幸せに。


 2枚目
 レグさん蓮沼兄さん、ご結婚おめでとうございます!
 レグさんは同じ小隊でお世話になり
 兄さんは自販機前でよく声を掛けて親しくして頂き
 お二人にはLHに着てから本当にお世話になってます。これからもお幸せに!!


 3枚目
 結婚おめでとー!
 やーマジ結婚とかゆって超めでたいね!
 やばいマジ俺泣いちゃう。
 ってゆーかこの場に出席できず、訳あって全裸なのはご愛嬌
 超幸せ決め込んで下さい!
 マジ超おめ!二人ともお幸せに♪ふっふー。


 4枚目
 蓮沼殿、シュナイダー殿、ご結婚を祝し、末永く幸多かれと祈る。
 今、そこにある笑顔を互いの胸に刻み進んでいって欲しい。
 本当にめでたい日じゃ、おめでとう!

「以上で友人と家族の言葉を終わります。」

●誓約・指輪交換
 牧師さんがステージの前方の中央に立つ。
「続きまして誓約・指輪交換を行います。一組目はレーゲン・シュナイダーさんと蓮沼千影さんです」
 椅子から立ち上がり二人は牧師さんの前に立つ。
「新郎、蓮沼千影、貴方はその健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
 蓮沼は眼を閉じ、これまでの想い出が駆け巡り、真剣な表情で
「誓います」
 その言葉を言う。
「新婦レーゲン・シュナイダー、貴方はその健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「‥誓います」
「それでは指輪を交換してください」
 蓮沼が、シルバーリングをレーゲンの左指へいれる。
(「本当の結婚式だったらきっともっと幸せだろうな」)
 なんて、レーゲンは思っていた。
「それでは誓いのキスを」
 レーゲンは精一杯の愛を笑顔で蓮沼に向ける。
 そして眼を閉じる。
 その姿に‥。
(「神聖な意味での感動と、人前でのチューは嫌がるレグなのに‥!」)
 感動している心を宥め、微笑み、キスをする。
(「レグ、愛してる。心から」)
 その想いを込めて。

「続いて漸さん王さんです。」
 だが漸と王の場合信仰している物が違っていた。
 2人はステージ中央に立ち
「我は聖闇に誓う。何時如何なる時も憐華を想い愛し守っていくことを‥‥我は生涯をとして憐華の為の刃となろう」
「私は聖闇に誓います。何時如何なる時も王零の事を想い愛し支えていく事を。私は生涯を通して王零の為の鞘となります」
 藤田、神楽を始め、みんなが呆気にとられていた。
 当の2人は‥2人だけの世界に‥。
 王が抱きつき、漸はしっかり受け止める。
 王が深くそして長いキスをする。
 つーと二人の口から糸が引いていた。
 それが2人の赤い糸であるかの様に。

「最後にキョ−コさん霧島さんです」
 2人は牧師の前に行く
「新郎霧島亜夜、貴方はその健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います」
 はっきりとした口調で霧島は言う。
「新婦キョーコ・クルック、貴方はその健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「誓います。この気持ちは‥生涯変わりません」
「それでは指輪を交換してください」
 霧島は加護の指輪をキョーコの左指にいれようとするがキョーコは手が震えていて、霧島は包み込むように手を持ち、キョーコは落ち着きを取り戻し‥無事キョーコの左指に入った。
「亜夜‥愛してる」
「俺も愛してるぜ、キョーコ」
「それでは誓いのキスを」
 霧島はヴェールをそっと持ち上げ、キョーコに優しく微笑んだ後そっとキスをした。

●新郎新婦のお言葉
「新郎新婦のお言葉にうつらさせていただきます。まず千影さんレーゲンさんからです。」
 2人はステージの中央に出る。
 レーゲンは胸がいっぱいで‥来てくれた人への感謝と千影の愛に涙が出てきてハンカチで拭う。
 観客席の何人かはもらい泣きしていた。
 超緊張していた千影は、レーゲンのそんな姿を見て、肩を優しく抱き寄せる。
「え、えーと‥この度は、このような素晴らしい式を執り行うことができ
 集まってくださった皆様に心より感謝しております。
 まだまだ未熟な二人ではありますが、どうかこれからも
 温かく見守っていただければ、と思います。
 精一杯、レグと幸せを築きます」
 蓮沼は真剣な表情で真摯に言った。
 レーゲンへの想いを込めて。

「続いて王零さん蓮華さんです」
 2人はステージ中央に立つ。
「本日は忙しい中・・・我と憐華、そして霧島とキョーコ、蓮沼とレーゲンの為にお越しいただき感謝する。こうして皆に祝っていただき我は大変うれしく思う。これからは今まで以上に憐華を愛し共に生きていきたいと思う。末永く我らを見守ってくれれば僥倖だ」
「皆様、本日は私達の為に来ていただきありがとうございます。これからは今まで以上に零と仲良く愛し合っていきたいと思います。桃色になっていてもそこは暖かく見守ってくださいね♪♪」
 観客席一同ずっこけそうになる。
「誓いのキス‥あれはやり過ぎだ」
「何をやったって言うの? 皆の前で言って王零」
「ばばば‥馬鹿やろう舌を絡めたなんて‥」
 夫婦喧嘩でも蓮華が一枚上手だった。
 それは、2人を知っている者なら誰でも分かったような‥。

「最後にキョーコさん亜夜さん」
 2人はステージ中央に立つ。
「厳しい戦いの中、『あいつ』がいるから頑張ろうって思えるような相手に出会え、このような日を迎えられて幸せです。これからも厳しい戦いが続くと思いますが、『愛』で地球を救えたらと思います」
「大規模作戦も終わって日が浅い時期に能力者が結婚なんて不謹慎だと思われるかもしれないけど・・・こんな時だからこそ・・・命のやり取りをする日々だからこそ、いつでも自分を迎え入れてくれる暖かい場所を亜夜と一緒に作りたい」
「「多くの方に祝っていただき、ありがとうございます。」」
 最後は息をぴったりと合わせ。
「本当に幸せです!」
 霧島はキョーコに抱きつき、キョーコも背中に手を回す。
 その光景は本当に幸せそうだった。
「お姉ちゃん幸せにね〜」
 エレナの声にキョ―コは満面の笑みを向けた。

●ケーキ入刀。
「それでは、夫婦になって始めての共同作業ケーキ入刀です。それではケーキを持ってきてください」
 終夜と如月の2人が、慎重にステージ前の中央に運んでくる。
 それを見た2人の反応は‥。
 運び終わった後は確かめる様にしっかりと手を握っていた。
 ケーキは三段層になっており、一段目はキスする狼とひよこの砂糖菓子が乗っていた。
 何でも、千影とレーゲンの象徴だとか‥。
(「私とちかの象徴です☆」)
 二段目はお団子や和菓子、倭刀と弓が互いを支えている像菓子を盛り込んだ物。
 何でも漸と蓮華の要望だとか‥。
 蓮華が作ろうと思っていたのだが、全力で王零に阻まれてしまう。
 三段目はイチゴとピンクのバラの形をした砂糖菓子を盛り込んだ物で春らしくアレンジした。
 これはキョーコの案で、相談した時霧島は『キョーコに任せる』とか言って怒らせてしまったとか‥。
 三組はステージから下り、ケーキの前に立つ。
「それでは入刀してください」
 千影は可愛いケーキに感動しつつ。
 レーゲンは倒さないように注意して。
 息を合わせ三組が入刀する 
 その時、われんばかりの拍手が鳴り響く。

●出し物

 新郎新婦達も観客席に移動して、出し物をする者はステージ横の控え室で待っていた。
「ドレス着てくれてありがとう、幸野さん」
 レーゲンが喜ぶか見たくてドレスを着て来た朧は嬉しそうに頷く。
「お待たせしました。最初の出し物は寸劇『天衝部隊大活躍!』です。」
 ステージの幕が上がる。
 汚れ防止の為、ビニールシートが敷かれていた。
 そしてスモークにまぎれて藤田だが登場。
 服層なビキニでファーランド風に発泡スチロールを切った翼に頭に機首の被り物。
 手にはハート型のパイを持っていた。
「HaHaHaHa、私はゾディアック補欠要員、フジータ・アヤコフだ!天衝隊長!勝負だ。私が勝ったら妻を貰い受ける」
 王零はいつの間にかパイを持って‥壇上に上がった。
「その勝負受けて立つ」
「ペイント弾発射」の音頭とともに、王零がパイを投げる。
「畜生〜お前たちの愛の非物理攻撃にやられた‥ハートがいっパイだ〜」
 皆の笑いをさそった。
「お前達の愛が無くなった時、又来るからな〜」
 捨て台詞をはいて退場した。

「続いて手品とマジックです」
「喜劇王、俺に力を‥‥!」
 神楽の服装はシルクハットに燕尾服に付け髭で逆立ちで玉に乗り足でお手玉をしていて。
「はい、この横縞のハンカチ。こうすると‥なんと!」
 クレイフェルは手品をしていて、手の中で丸めてから、ぱっと出して。
「縦縞に!」
 客は神楽に持ってかれてしまった。
(「あかん、こんなんじゃ‥笑いの神としての名がすたる」)
「ほなもう一丁」
 クレイフェルがもう一度手品をしようとした時、バランスを失い突進して来た神楽を背中から感じる。
「うっぉ、とまらねぇ」
「なに俺のオチ潰しとんねん」
 どこからともなくハリセンが現れ、クレイフェルは神楽の頭を叩く。
 突如として、スモークが一帯を支配し、次ぎ見た時は誰もいなく、新郎新婦のテーブルの前にいた。
「6人に、祝福の多からんことを!」
 クレイフェルがウインクし、神楽が満面の笑みになる。
「最後に舞です」
 垂れ幕が上がられ、女形の格好をし化粧をした終夜が神楽舞を、ユーリはポニーテールに結い直し、扇子と小太刀とで舞を、葵は日舞的な舞を披露した。
 終夜の言語も絶するほどの美しさに、ユーリのかっこよさに、葵の元気良さと暖かさに‥息を呑むのも忘れるぐらい皆が観賞した。

●記念写真
 新郎新婦達は中心に皆が並ぶ。
 中央左のレーゲンと千影は微笑んでいて、中央に座っている王零は蓮華をお姫様抱っこの様に抱き上げ、蓮華は王零の胸に顔を埋める。
 藤田はセーラー服に着替えていて、如月と終夜は並んでしっかりと手を握り締める。
 エレナはキョーコの隣に座っていた
「はい、チーズ」
 その前に、中央右に座っているキョーコは亜夜の頬にキスをする。

 配列は以下の通り
(二段目)立った状態
 アッシュ、エリク、レールズ、朧、葵、神楽、藤田、終夜、如月、ユーリ
 七瀬、クレイフェル、千影、レーゲン、王零、蓮華、亜夜、キョーコ、エレナ、みづほ
(一段目)椅子に座る


●退場
 楽しい時間も終わりに近づき、お祝いに来た人達はステージの裏に回りレッドカーペットの両側で待機していた。
 余談だが、藤田はさり気なく会場に「恋人募集中」と裏に書いた、自分の写真を残していた。

 音楽と共に、一組目の千影とシュナイダーがステージから降りてきた。
 そして、横ぎる時、ユーリが用意してくれた、空めがけ、オレンジの花撒く。
「「今日の主人公はお二人なんです。本番も楽しみにしていますよ? 何分こういう挨拶は初めてでして‥あれでよかったんでしょうか?」
「最高で超感動した」
「お幸せに」
 レールズの微笑みに二人は笑顔で返す。
「ちゃんと、本番の結婚式にも呼んでくれるよね? 千影さんとレグくん」
 七瀬の問いに‥少し間を置き‥。
「多分な‥」
「そんな〜」
 きらきらの嘆きポーズをとる七瀬に苦笑する2人。
 フラワーシャワーを横ぎった後‥2人は顔を合わせる。
(「‥レグ。超幸せだぜ」)
(「‥ちか。私も幸せだよ。世界の全ての恋人達に祝福を」)
 
 続いて王零と蓮華が来た。
 なんと王零がお姫様抱っこで、横ぎる前に、皆に見せ付けるようにとろけるような深く、甘いキスをする。
「かなわんな、ちくしょ〜」
「‥何があった」
「羨ましいです」
 米がシャワーの様に舞う中、一回もキスを止めず、横ぎる。
 ちなみに、王零は頭から湯気が出るくらい、真っ赤になっていた。
 最後に亜夜とキョーコ。
 こちらは幸せをかみ締めるようにゆっくりと歩く。
「お姉ちゃんおめでとう」
「ありがとうエレナ」
 ライスシャワーを幸せそうな表情で歩くキョーコ。
 そんなキョーコを見て霧島は愛おしくなってお姫様抱っこで抱きかかえてしまう。
「きゃっ」
 と亜夜にしがみつき、霧島はくるくると回り、お姫様抱っこのまま教会に戻る。
「いつかは‥」
 終夜がぼそっと呟く。
 しかし周りには聞こえていて‥。
「オレンジの花ならたくさんある」
「いっちょやったらええんちゃう」
 如月も期待の眼差しで、頬を赤らめ、上目遣いで見る。
「皆の好意を無碍にはできないからね」
 顔を平静としていたが、赤くなるのを抑えていた。
 フラワーシャワーの中、二人は寄り添うように歩く。
「ブーケ全力でゲットしたかったのに。」
「‥私も‥欲しかった‥」
 朧や葵が悔しがっているが、受け取るべき人は分かっていた。
 それは最後の最後のイベント。
「良かった。」
 みづほは安堵した。
 万が一ブーケを受け取ったら泣いてしまいそうだから。

 教会の扉の前に三人の新婦が、コンパクトなボール型を3つ纏めた大きなブーケを3人で持つ。
「「「「せーの」」」
 それを、階段下に祝いに来た人達に投げる。
「俺の女神様、これからはずーっと一緒だからな!」
 思いが溢れ、亜夜は後ろから抱きつき、キョーコの唇を奪い、熱いキスをする。
「本当の結婚式はドイツでやろうな。愛してるぜ、レグ」
 後ろから千影は、耳元にキスをする。
 王零はと言うと‥一足先に離脱していた。
 ブーケを取ったのは‥如月。
 それは次の恋人達へのエール。
「私も結婚したいなぁ〜」
 祝福するかの様に教会の鐘が鳴り‥こうして集団結婚式は幕を閉じた。
 これから先悲しい事や喧嘩やつらい事があるだろう。
 そんな時、今日あった思い出を思い出して欲しい。
 二人は永遠の愛を誓ったのだから‥。





 初夜に何があったかは‥新郎新婦の秘密と言う事で‥。