タイトル:熊本警察特殊課マスター:御影友矢

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/05/03 15:35

●オープニング本文


「転課ですか‥」
 ここは署長室。
 来て早々、最初に出た言葉が、転課命令。
 言われた片桐司(28)は到底納得できなかった。
 説明を聞くと、新しく作られた『熊本警察特殊課』と言う、能力者の事件を取り扱う課。
 確かにここ最近UGとWBの2大組織の抗争が激化の一途を辿っており、先のデパート崩壊事件と教会占拠事件は抗争の過程という噂が飛び交っていた。
「お前も知っての通り、2大勢力の抗争は悪化の一途を辿っている。UGが勝てば、それで良いが‥WBが勝てば‥この熊本は血の海と化す‥そうならない為に、各地から何とか4人の人材を確保した」
「私は能力者でも何でもない普通の人間ですよ」
 署長は‥苦しげな声で言う。
「‥4人の平均年齢は15歳‥まだ子供だ‥誰かが導いてやらねば」
 驚く片桐。
「まだ子供じゃないですか! それを‥」
「その子供に頼らなければ生きていけない‥傭兵達の中には10代も多いと聞く‥それが私達の今の現状だ‥警察とは名ばかりで、能力者やバクアにはまるで歯が立たない」
 片桐は押し黙る。
「若くて、人望があるお前に頼みたい‥受けてくれるな?」
 片桐は眼を瞑る。
 答えは1つしか無かった。
 

 片桐が課に入った時、最初に思った事は、この前まで傭兵に抱いていた印象と遜色が無く。
 ひどく最悪な者だった。
 何故なら隊員が見下したような目つきで、片桐を見ている。
 少年少女たちが、大人の片桐に向かって。
「貴方が能力者ではない俺達の上司ですか」
 その声はひどく高圧的なもの‥。
 まるで自分たちが上だといわんばかりに。
 思えば能力者が出現し、初めて会った傭兵達も彼らと同じ感じだった。
「いらねーよ、お前なんて」
「そうよ、いらないわよ」
「まるでゴミ虫ね、貴方は」
(「ひとまず‥こいつらを教育せねばな」)
 あらかじめこういうことは予測していた片桐に1つの案がある。
「俺が用意した者と戦ってもらい、もしお前達が勝つ様な事があれば‥この役を降りる‥それでどうだ」
「いいでしょう」
「けっ、どうせ辞めることになるんだし、悪あがきすんなよ」
「今辞めれば良いじゃん」
「おっ〜ほほほ‥誰を呼んでも私らに勝てるはずないでしょう‥馬鹿なお人ね」

●参加者一覧

大曽根櫻(ga0005
16歳・♀・AA
シェリー・ローズ(ga3501
21歳・♀・HA
緑川安則(ga4773
27歳・♂・BM
香倶夜(ga5126
18歳・♀・EL
狭霧 雷(ga6900
27歳・♂・BM
オットー・メララ(ga7255
25歳・♂・FT
ブレイズ・S・イーグル(ga7498
27歳・♂・AA
月村・心(ga8293
25歳・♂・DF

●リプレイ本文

 グラウンドに着くと既に8人の人物が待っていた。
 片桐が用意した人物‥それは、戦闘経験豊富な傭兵達。
「まず自己紹介からでいいか? 俺の名前は片桐司」
 片桐は傭兵達に問う。
「こちらは構いませんよ。私の名前は大曽根櫻(ga0005)ここに来ている皆さんと同じで傭兵をやっています」
 警察側の能力者が驚きの表情を浮かべる。
「シェリー・ローズ(ga3501)よ」
「私の名前は緑川 安則(ga0157)です」
「私香倶夜(ga5126)って言います。まったく戦場にも立った事がない、成り立てのガキ共が何生意気を云って居るんだろうね。能力者だっていうだけで自分を特別扱いしてるなんて、ホント世間知らずなんだから。片桐さん、任してよ。あたし達がきっちり『教育』してあげるから」
「それは頼もしいな。」
 香倶夜の発言に片桐は笑みで返す。
「私は狭霧 雷(ga6900)です」
「オットー・メララ(ga7255)で御座る。新人教育か‥懐かしいで御座るな‥片桐殿、本日は宜しくお願い致しまする」
「宜しくな。」
 オットーから差し出された手を片桐は握る。
「ブレイズ・S・イーグル(ga7498)ってんだ、宜しくな餓鬼ども」
 しかし新人達はそっぽを向く。
「けっ‥これだから‥」
「‥月村・心(ga8293)」
 傭兵達の自己紹介が終わり、警察側の能力者が自己紹介するのが相場だったが、口に出たのは‥。
「ずりぃーぞ、プロ集めやがって」
「そうよ、反則よこんなもの」
「おっほほほ、下民は姑息な事を考えますわね。」
 反感で、それは子供のそれで、ひどくみっともない。
 片桐は注意しようと口を開こうとした時、先に注意したのは。
「辞めておけ。いまさら言ったってしょうがない。先に自己紹介が礼儀だ。俺の名前は新嶋零(16)です」
 リーダーらしき人物だった。
 他の人達も納得いかない表情だが。
「陣野馬気(15)だ)」
「雨射岩子(15)よ」
「中ノ字乙姫(14)ですわよ」 
 渋々自己紹介をした。
「対戦方法は個人戦とチーム戦の二回でいいか?」
 片桐は新嶋達に問い。
「良いでしょう」
 了承を貰い、警察対傭兵の模擬戦が開幕した。

●個人戦
 最初に行うのは個人戦で、傭兵達は話し合いの結果、1番手ブレイズ、2番手シェリー3番手大曽根4番手月村、警察側能力者は、1番手陣野、2番手中ノ字3番手新嶋4番手雨射になり審判は片桐で、1番手のブレイズが前に出た。
「今回は新人の教育という事らしいが‥‥やれやれだぜ。正直ガキのお守りはごめんだが‥‥、まぁ依頼だから仕方がねぇな」
 気だるそうにしながら、ブレイズは5m先の陣野を見る。
 だが依頼である以上、ある程度本気を出そうとブレイズは思う。
 審判は片桐で開始の合図が鳴る。
「目障りなガキだな‥‥、潰すぞ?」
 ブレイズは覚醒状態になり一睨み。
 神野は思わず硬直する。
(「やれやれ、今ので殺されてるぜ」)
「ま、期待はしてねぇ、適当に来い‥‥」
 首を鳴らしながらブレイズは言う。
 一方挑発された陣野は我に返り。
(舐めやがって)
 自分の剣を構え、突進する。
 実は、陣野は剣を握るのは今日が初めてで、攻撃速度も遅く、その遅さにブレイズはイライラしていた。
「おせぇーよ!」
 ブレイズは自分の剣で陣野の剣を弾き飛ばし、陣野の顔を殴り、ぶっ飛ばす。
 地面に横たわる神野の首の横すれすれに剣を突き刺す。
「あっけねぇな、くだらねぇ‥‥」
「勝者ブレイズ」
 剣を引き抜き、ブレイズは後ろを抜く。
「何で負けたか教えてやる。坊やだからさ‥‥」

 続いて二番目のシェリーが前に出た。
「さぁ、アタシをたっぷり愉しませておくれよ」
 あからさまに上から目線で言い放つ。
「おーほっほっほ、それはこちらの台詞ではなくて。」
 負けじと中ノ字も言い返す。
(「私にそんな口を聞くとどうなるか分からせてあげますわ」)
 シェリーは邪悪な笑みを作る。
 開始の合図が鳴り、中ノ字は短銃を取り出すが、銃口がカタカタと震えており、使った事がないと分かるのは一目瞭然。
(「やれやれ、威勢だけだね」)
 シェリーは落胆したが、直にやるべき事を思い出し、ニヤリと笑みを作る。
「ほら、どうしたんだ。私を倒すんじゃ無かったのかい?」
 挑発的な態度で、中ノ字に歩み寄る。
「ほんとに撃ちますわよ」
(「まったく、キメラや敵能力者にそんな事を言って止まると思っているかねぇ‥これはお仕置きが必要だわ」)
 すばやい動きでシェリーは中ノ字の足を蹴りうつ伏せに倒れさせ。
「オ〜ッホホホ不様だねぇ」
 と言い、相手の顔を容赦なくブーツの踵で踏みつけ喜悦に浸る。
「ほら、お許し下さい『夜叉姫様』と言いな!」
「誰が言うもんですか!」
「あら、そう」
 シェリーは剣の平らな部分で、中ノ字のお尻を勢いよく叩いた。
 パシンと大きな音が鳴り。
「痛いぃ! ですわ! こんな仕打ち初めてですわ」
 中ノ字は、屈辱で涙を堪えている。
「うわっ、女の子相手にそりゃ酷でぇーぜ」
「そうで御座るな」
「止めに入りますか?」
「うぅーでも止めに入ると後が‥」
「怖いですからね」
 傭兵達からも批判の声が相次ぎ。
「うるさいですわよ。今良いとこ何ですから邪魔しないで下さる。」
 それはそれは、妖艶な見るからに楽しそうな表情だったが、片桐が直に試合を止め、残念そうにしていたシェリーだった。

 3回戦の大曽根が前に出る。
(「自分の力におごるというのは、今後のためには絶対良くありませんので、今のうちに矯正しなくては行けませんね‥‥ここは一つ、剣の道の教えから説いて行かなくては‥‥」)
 大曽根はそう思い、今日この場に来ていた。
 開始と同時に新嶋は降参のポーズをした。
「どうせ負けますから、やる意味はないでしょう。」
 だが大曽根は構わず突進し、素早い動きで、両肩、両脇腹に峰打ちで斬撃し、最後は半回転し、剣の柄で臍辺りを強突し、新嶋は吹っ飛んだ。
「あなた、戦場に降参なんてあると思っているの。あなたはもう5回戦場で崩れ落ちていますよ」
 鋭い目付きで、大曽根は新嶋を見る。
「そう‥でしたね‥あんな事をいってすみません」
 新嶋は大曽根の眼を見て言い、意識を手放す。
(「それが分かってくれたのなら、今回、ここに来た意味もあったのですね」)
大曽根は小さく笑みを浮かべた。

 4回戦目の月村は、他の人とは違った思いでここに来ていた。
(「フム、新人の訓練か‥まぁ、潰れてしまえばそれまで。‥‥お前たちに戦場で死なれて、バグアに寄生されることはこちらの脅威を生む。それは今後被害が増えるということでこちらの採算が取れなくなる。死体の処理は面倒だがそのまま放置して連中に持っていかれるほうが面倒だ。‥‥要するに、ここで死んでおくかやめておくかどちらかにしておくことだな?」)
 そう、他の者は訓練と言う事で「死なない」程度にしようと思っていたが、月村は「死ぬ」か能力者を辞めるか、どちらかしか選択肢はないと思っている。
 そして合図が鳴り月村が前に出る。
 それは残虐な仕打ちへの序章。
 相手の雨射は大剣を上手く扱えずにいて、月村の蹴りで大剣は弾き飛ばされ、無防備になった、右腕をアミーナイフで切り裂かれる。
 ピシャーと軽い血吹雪が舞い。
「‥‥俺のナイフを避けられないだと? この程度でキメラの爪や牙に対抗出来ると思っているのか? そうならないうちに俺が斬り刻んでやろうか!?」
 月村の止めの一言で、あんなに威勢が良かった雨射は震えていて、顔が青ざめる。



(「‥‥と、最後に脅してやればよかろう。これで沈黙させられるだろう。これ以上やると、誰かが止めに入るからな」)
(「乙女の肌をなんと思っているのですかね」)
(「あそこまでする必要、ありませんわ」)
(「もう、乙女の敵だよ!」)
 月村が戻った時、傭兵の女性陣からの視線が痛かったのはいうまでも無かった。
 幸い雨射の傷は軽く切り裂かれただけの軽傷だった。

●チーム戦
 休憩時間中、狭霧は片桐の所に来た。
 理由は挨拶と4人の配属経緯等聞ける範囲で聞いておくため。
「どうだあいつ等は威勢だけはいいんだがな」
 狭霧は頷く。
「自信があるのは悪い事では無いですが…戦場において、自信過剰は死に直結しますからね」
「そうだな」
 片桐は同意する。
「所で、何であの子達は配属されたのですが?」
 狭霧の問いに片桐は苦笑いする。
「大人の事情に巻き込まれた‥可哀想な子達だよ。だから俺がせめて導いてやれればいいと思っている」
 本心では片桐はそう思っていて、今回の事についても、その一環だった。

 一方、その頃疲労困憊の新嶋達たちの前にオットーがいた。
 そしてある念書を強引に書かせている。
 それは『死んでも文句は言わぬ』という内容のものだった。
 皆が書き終えた後。
「個人戦の人達は優しかったで御座るが(「違うものもいたで御座るが」)、チーム戦はそうはいかないで御座るよ。」
 険しい目つきで一瞥し、自分の所に戻っていく。
「なぁどうするよ?」
「どうする?」
「どうなされます?」
 皆が新嶋の方を向く。
「一つ策があります。」

 チーム戦の時間となり、20m先で、向かい合っていた。
 狭霧は大剣を外し無手空拳で挑むつもりでいた。
「今回揃っている方々の中では、私が一番弱いのでしょうが‥‥無くても問題は無いでしょうから」
「では‥参る!」
 片桐の合図がなる。
 警察側の能力者が、一斉に動き出し照準を狭霧に定める。
 元々勝ち目がないと分かっていた新嶋は一転突進型で、1人だけでも道連れにする作戦でいたが。
「連携も取れぬ能力者など、味方を危険に晒すだけ‥ここで消してやろうか?」
 オットーが言うのも無理は無く、傭兵達は後衛を守るような陣形に対し、警察側は統率も無くばらばらに走ってくるだけだった。
 一番速く来た陣野の力任せの攻撃を避け、その反動を使い投げ飛ばす。
「力任せの攻撃では、自分のみを危険に晒すだけですよ。」
 二番手で来た、雨射が狭霧の前に出たオットーに向かって大剣を振り下ろすが。
「遅い」
 オットーは左手の剣で受け流し、右手の剣で脇腹を薙いだ。
「口ほどにもない…これが貴様等の実力で御座るよ…笑わせるで御座るな」
 オットーは睨み付ける。
 3番手で、動きが止まった中ノ字に、香倶夜のゴム弾が3発命中し、最後に残った新嶋は、なすすべが無く、やられた。

●3回戦
 立つ事もままならなく疲れきった新嶋達に香倶夜が歩み寄る。
「所詮戦場にも出た事もない、卵の殻をお尻に付けている雛鳥なんて、本当の能力者にとって遊び相手にもならないってよ〜く分かった? 良かったね、初戦が優しいあたし達相手で。キメラと戦っていたら、致命傷を負って、今頃地べたに這いずっていた所だよ」
 呻き声にも似た返事がかえってきた。
「雛鳥のあんたたちに本当の能力者の戦いがどういうものか特別に見せてあげるよ。
 早くあたし達の処まで昇ってきなさいよ」
 そう3回戦は傭兵達同士の対戦。
 新嶋が呼び掛け皆よろよろと集まり、提案を聞き‥にやりと笑った。

 どうして俺が。
 片桐はなぜか3回戦のメンバーになっていた。
 それというのも新嶋達が「これから僕達を勇姿を見せて貰わないと」と言い、結果として緑川の変わりに入る事になり、くじ引きの結果、大曽根、ブレイズ、狭霧、片桐対シャリー、月村、香具夜、オットーとなった。
「胸を借りるつもりで行きますね」
 狭霧はそう言い、それぞれが所定の位置に移動する。
 大曽根達のチームは片桐を守るような陣形を取っていて、オットー達のチームは前衛2人中衛1人後衛1人のバランスの良い陣形を取っている。
 審判を変わった、緑川の合図とともに両者が動く、
「喰らいなァ!」
 ブレイズの掛け声とともに両陣営がソニックブームを放ち、それを避け、にじり寄る。
「流石で御座るな‥しかし拙者も負けぬっ!」
 オットーが気を引き締め。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからずと言いますからね。」
 狭霧は1、2回戦を見て戦略を練っていた。
 そのまま膠着状態が続き、大曽根チームが数的不利なため、劣勢に立ち‥だがそれを打開したのは。
「おらー」
 ブレイズの最大限の一撃だった。
 前衛全員が受けきてないと感じ回避行動を取ったため、前衛に穴が空き、大曽根がその隙を見逃さず突破する。
「目障りだ止まりな!」
 シェリーの銃撃体を逸らし、動きを止められる部分を避け、剣でシェリーに足払いし動きを封じ香倶夜に駆け寄る。
 香倶夜も銃で応戦したが、大曽根の渾身の一撃により、ダウンする。
 前衛の方は、月村対狭霧、オットー対ブレイズの対決になっていた。
 ブレイズには対オットー用の秘策がある。
 ブレイズは姿勢を低くし、相手に向かって突進してから剣の柄でアッパーを繰り出す。
虚をつかれたオットーのあごに当たり宙を舞う。
(「何の! で御座る」)
 反動を利用し、回転し振り下ろしブレイズがガードした所を、流し斬りし、後方に下がらせる。
「やるじゃねーか」
「ブレイズさんこそ、やるで御座る」
 一方、月村と狭霧はフェイントの応酬で、二人とも決め手に欠けていた。
(「決める」)
 月村は神経を集中し凄まじい勢いで短剣を薙ぎ、それをガードしようとしたが‥月村が消えていた‥後ろに気配を気付いたときには既に遅く、背中を切り裂かれ、狭霧は呻く。
 追撃しようと、月村は短剣を斜めに振り下ろすが。
(「やられるわけにはいきません」)
 狭霧の内から衝撃波が出現し、月村は吹っ飛ばされる。
 自分達との覚悟の違いに唖然とし、今までの自分達の行動を恥ずかしく思う新嶋達。
 おそらく口で言われても理解できないであろう。
 これは1回経験しないと分からない事だから。
 それは傭兵達の多くが経験した想いであり体験。
 それを今日の模擬戦で実感できて本当の意味でのスタートラインに立ったのだから。
 片桐は新嶋達の顔を見て。
(「やはり、やって良かったな」)
 と再確認し、終了の合図を送る。

●終わって
「仕方ないから、お前の下で働いてやるよ」
「ほんとーに仕方ないからですわよ」
「そうよ、仕方なしなんだからね」
「負けは負けですから、大人しく従いましょう」
 口ではそう言っている物の、本心は片桐は分かっていた。

「またお会いしましょうぞ‥お互い生きていればで御座るが‥‥片桐殿、お世話になり申した。お元気で‥‥」
「ああ、こちらこそ世話になったな」
 オットーと片桐は別れの握手をする。
「全く、やれやれだぜ‥」
 そういうブレイズだが、口元はにやけている。
 皆がそれぞれ帰る中、シャレリーはその場に残っていた。
 ある事を説明する為に。
「こういうのはどうかしら? 名づけて『桃組』」
 特殊課の制服をピンク地に白い花柄模様とし、周囲から監視し易い様にしてみる事を本気で片桐氏に提案していた。
 それが採用されたかどうかは‥‥。