タイトル:【AW】GriffonRiderマスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/11/24 17:08

●オープニング本文


 エミタ・スチムソンが北米にやってきたというニュースはUPC北中央軍にとってはまさに寝耳に水の危機であった。
 
 突然のエミタ・スチムソン来訪に、UPC北中央軍はシェイドの詳細位置補足を現在まで行えていない。
 
 直前までの追尾と、独自の情報調査により、フロリダ南端の旧メトロポリタンX北部、バグア基地に存在するものと思われる。
 
 それを踏まえ、諸君ら傭兵に依頼を頼みたい。
 
 『大西洋から旧基地上空まで赴き、撮影をして欲しい』
 
 すぐさまきびすを返して撤退する危険な任務であるが、今後の新鋭機阻止網構築のため、諸君の活躍を期待する。
 
 
●大西洋上空
 撮影して帰るまでの燃料を積んで、傭兵達はフロリダに向けて飛んでいた。
 先導するのはウーフーに乗っているレオノーラ・ハンビー(gz0067)である。
『ジャミングは中和しているから、いい映像が取れるはずよ。証拠を探るためにもがんばって頂戴ね?』
 ウーフーがいるということで任務に向かう傭兵達は幾分か気楽に飛行を続けた。
 だが、そんな雰囲気もレオノーラの言葉で終わりを告げる。
『バミューダトライアングルの方から敵機来たわよ。相手の識別番号はF−15‥‥恐らく”グリフォン”よ。数は5』
 ウーフーのレーダーが襲撃する敵機を捉えた。
 グリフォンの速度はただの戦闘機よりも上である。
『すぐにぶつかるわよ。迎撃体制をとりなさい!』
 覚醒したレオノーラの厳しい口調を受け、傭兵達は一気に加速した。
 コックピットの正面ディスプレイにカメラで捉えた敵機の映像が見える。
 3機編成と2機編成で飛ぶグリフォンは今でのヘルメットワームとはどこか違うような気がした。
 
 
●グリフォンライダー
「あれが”新たな鷹”‥‥ナイトフォーゲルか」
 ジェニス・アンナは正面から来るKV編隊を見ながら薄く微笑んだ。
「イーグルを冠するのなら、その実力‥‥この”カヒライス”が見切ってやろう」
 TACネーム:カヒライスことジェニス・アンナ少尉。
 2007年、バミューダ海域にてM.I.A(戦闘中行方不明者)していた。

●参加者一覧

ゲック・W・カーン(ga0078
30歳・♂・GP
威龍(ga3859
24歳・♂・PN
ヴァレス・デュノフガリオ(ga8280
17歳・♂・PN
音影 一葉(ga9077
18歳・♀・ER
紫藤 文(ga9763
30歳・♂・JG
鬼非鬼 つー(gb0847
24歳・♂・PN
カララク(gb1394
26歳・♂・JG
アリス(gb2430
15歳・♀・DF

●リプレイ本文

●A Battle
「あれがグリフォンですか‥‥そういえばレオノーラさん、以前はなしていた個人的なご褒美ってまだ有効ですか?」
『いきなり何を言っているのよ、仕事終えてからいいなさいっ! そうしたら食事でも付き合ってあげるわ!』
 紫藤 文(ga9763)が距離を測っていく中、レオノーラ・ハンビー(gz0067)に向けて口説き文句をいうがあっさりと返された。
 戦闘に向けて緊張が高まる中、9機のKVと5機のF−15が青い空の中で交戦する。
『ここが撃ちどき! カプロイアミサイル、はっしゃぁ〜♪』
 ヴァレス・デュノフガリオ(ga8280)の雷電が搭載したK−01小型ホーミングミサイルを放った。
 ここから傭兵達の作戦では散らばった敵機を潰す予定である。
 だが、5機のF−15は三角形のようになった3機と後ろに追随する2機が矢印のような形になって突っ込んできた。
「いつもの敵と違います。自爆?」
 文が真剣な目で敵の動きを見る。
 250発のミサイルがF−15いや、『グリフォン』に向かって牙を剥いた。
 しかし、トップの一機がその弾幕を打ち消すように同じ数だけのミサイルを放つ。
『K−01にK−01!?』
 ヴァレスの驚いた声が響き、ミサイル同士がぶつかり合って爆発のカーテンが正面に作られた。
 近づくことさえ容易でない状況の中、グリフォンは抜けてくる。
『死線の先にこそ生がある‥‥空の戦いというものを貴様達に叩き込んでやろう』
 突破してきたグリフォンから女性の声が聞こえてきた。

●A Threat
「有人のグリフォンは初めてですね。でも、挨拶はいりません、攻撃をもってして答えるまでです」
 音影 一葉(ga9077)はその脅威に惑わされないようにK−01小型ホーミングミサイルで迎撃を行った機体をロックする。
「音影機より各機へ‥‥ターゲットを選定します! グリフォンリーダーと呼称して対処願います」
 G放電装置を放ち、さらにAAMを続けて叩き込んだ。
 放電装置を受け流し、AAMをバレルロールで有人機らしいグリフォンは回避する。
『なんて敵だ、動きが違う』
 同じく試作G放電装置を撃った威龍(ga3859)機だが、受け流されたことに今までに無いプレッシャーを感じた。
 その威龍に向けてローリングしているグリフォンリーダーが重力子砲を放つ。
『ちっ、回避できないっ! しかも計器が迷走していやがる』
 直撃を受けた威龍機が黒い塊のようなものに包まれ大きく揺れた。
 操縦がしづらいのか、フラフラと威龍機は飛行を続ける。
 随伴してきた2機のグリフォンはふらつく機体に向け、バルカンによる攻撃を叩き込んできた。
「リーダー機は波状攻撃で釘付けに‥‥威力と命中の高い武器で攻め立てましょう」
『了解(ログ)、掃討開始します』
 アリス(gb2430)機が一葉の指示を受け、ホーミングミサイルG−01をありったけ撃ちだす。
『いい判断だ。だが、貴様らの相手は無人機で十分だ!』
 翼を傾け、グリフォンが高速で空をきった。
 雲を生み出しながら回転し、螺旋模様を描いて避ける。
 美しくも見えるそれに見とれていると別のグリフォンから、お返しのホーミングミサイルが飛んでくる。
『無人機くらいこちらで相手をする。いくぞ、シバシクル』
『違いを見せてあげるわっ!』
 愛機の名前を呼びながら、カララク(gb1394)機とレオノーラ機が共に無人機の排除に動いた。
 ブーストをかけて、無人機の背後へと回り込んでいたカララク機はUK−10AAMを撃ちだす。
 狙いの定まった一撃が飛び、グリフォンに喰らいついた。
 逃げようとするグリフォンの正面をレオノーラ機がデルタレーザーを撃ちながら塞ぐ。
「レオノーラさん! 後ろ!」
 一葉は追い立てていたグリフォンリーダーがレオノーラ機の後ろに回りこんだところを見て大きな声で叫んだ。
『油断していたのはこっちだったようね‥‥』
 どこか諦めたような口調でレオノーラは愚痴をこぼす。
 重力子砲がグリフォンリーダーからレオノーラ機に向けて放たれた。
 
●A Counterattack
 爆発が起こるが、レオノーラ機は無事である。
「見せつけてくれるじゃないか、カララクよ」
 鬼非鬼 つー(gb0847)が無人機相手に立ち回りながら、呟いた。
 レオノーラ機の代わりに被弾したのはカララクのバイパー。
 無理やりカバーしたためか被弾状況が威龍機よりも酷かった。
『くっ‥‥流石に無理をしたか、機体の安定が難しい』
「無茶をせずに撤退しろ、他は私達で何とかする」
『1人も欠けて欲しくないんです、ですから。撤退を』
 つーや文が協調姿勢を取り出す。
『人の心配よりも、己の心配をしたらどうだ!』
 グリフォンリーダーから再びK−01小型ホーミングミサイルがばら撒かれた。
 弱っていた威龍機、カララク機がミサイルの雨を受けて沈み、一葉機、文機、そしてつーにもミサイルの洗礼がくる。
「やってくれるじゃないか‥‥あと、2,3発くらったら終わりだ」
『補充要員のようだ、”本当の”イーグルドライバーが来たぜ』
 背水の陣をつーが覚悟しているとゲック・W・カーン(ga0078)から通信が入った。
 3機編隊でF−15が戦闘空域に入ってくる。
「無人機の対応頼む。数がギリギリかもしれないけど、それくらい腕でカバーしてほしいね」
『了解、相手の動きもイーグルドライバーのものだ。セオリー通りの空戦で同等、勝つならそれ以上の動きがいるぞ』
「だそうだ、一葉。こっちが沈む前に何とかひきつけておいてくれ」
『やっていますから、そちらも無人機の排除を早めに頼みます』
 つーは不敵に笑い、手近な無人機へと機体を向けていった。
 
●A Tight Game
「K−01なら、もう打ち止めだよね。エンゲージ・オフェンシヴ。さぁ、いこっか♪」
 ヴァレスが大型ホーミングミサイルポッドを無人機に向けて撃ち出す。
 ロッテで飛行する無人機にミサイルが喰らいついた。
 連続した爆発が起きるも無人機は攻撃に耐え切ってる。
「弾がもつかな〜、もつといいな‥‥」
『背後を取ればやれなくは‥‥ないはずです』
 ヴァレスの不安を帯びる呟きにアリスがアドバイスを返した。
 言葉どおりにアリスは背面を取ろうと飛行を続ける。
 グリフォンはヘルメットワームの性能を持っているのか慣性制御で方向転換を素早く行い、真正面からの撃ちあいで対抗してきた。
 あくまでも狙いは一体一体、的を絞った射撃を仕掛けてくる。
「やりたいのは山々なんだけど、K−01のお陰で機動力が下がってるんだよね‥‥でも、ピンチはチャンス!」
 ヴァレスが飛行をしながらディスプレイに映る敵機のロック状態を確かめた。
 攻撃をしつつもすべての敵が入るときを待っていたのだ。
「大盤振る舞い、いっけぇー!」
 雷電から250発のミサイルがばら撒かれる。
 大西洋の空を3度目になるミサイルの雨が覆った。
 じわじわと削られていたこともあり、この攻撃に対してグリフォンたちは上昇しながら散らばった。
『これ以上好き勝手させるわけにはいかないさ』
 散らばったチャンスを生かすように文機がグリフォンリーダーに通常死角になるような場所から攻撃を仕掛ける。
『この状況ならば逃げることは出来ないでしょう』
 一葉機も便乗し、G放電装置で攻めたてた。
 連続回避を今までおこなってきたグリフォンリーダーも能力者の息のあった攻撃は回避しきれない。
 また、無人機の方も損傷が溜まってきたのかグリフォンリーダーに随伴している2機が沈んだ。
「よっし、いい感じ!」
 面目躍如とばかりにヴァレスはガッツポーズをとる。
『まだ、落ちてはいないぞ。油断をするなよ』
 文がヴァレスに注意を促した。
 言葉どおり、散開していた編隊が急降下と共に仕掛けてくる。
「気合入れて連携崩しいこっか」
 ヘビーガドリングのトリガーを握りしめ、ヴァレスは迎撃に向かった。
 
●Retribution
 ミサイルも尽き出し、ドッグファイトをせざる終えない状況に追い込まれてくる。
 グリフォンリーダーに多少の損害を与えることはできているが、重力子砲による操縦不具合が能力者たちを苦戦させていた。
 ただ、ゲックには別の不安がある。
「大尉、あのグリフォンリーダーって‥‥」
『あの動きは間違いない‥‥。TACカヒライスのアンナだ。長年連れ添った奴だから分かる』
「そうか‥‥まさか、撃てないとかいいださないよな?」
 ゲックの不安はジェイド大尉だった。
 敵パイロットと恋人であり、相棒であったということを知っているゲックにとって確認しなければならない。
『以前、お前に言われたな‥‥”恋人の尊厳を、自分等の目的の為に穢してんだ”と。それだけじゃない、イーグルドライバーそのものを穢すあの敵を許すことは俺にはできない』
 無人機相手に随伴してきた2機と共に波状攻撃でバルカンを翼などに当てて撹乱するようジェイド機は動いた。
「それを聞いて安心したぜ。でも、直接いろいろ聞きたいところだな」
 F−15の動きにあわせてゲックも高分子レーザーを叩きこむ。
『そうだな‥‥もしかしたら、これが因果なのかもしれない』
 ジェイドの小さな呟きをゲックは聞き逃さなかったが、あえて戦闘に集中した。
 まだ、聞く機会はあると信じて‥‥。
 
●Last Attack
「吹き荒れろ風神の嵐!」
 陸戦よりも状況が瞬時に変わる空戦でも鬼は戦い続けていた。
 離れていた2機の無人機がグリフォンリーダーへの合流を高分子レーザー砲と20mmガドリング砲と突撃仕様ガドリング砲を織り交ぜた射撃で防ぐ。
 攻撃をうけ、翼をもがれた無人機はそれでも加速しながら突っ込んできた。
「どれだけタフな奴なんだ‥‥厄介なのを作ってくれたものだ」
 トリガーを握り対抗しようとしたつーだが、無人機は煙を上げながらつーの横を過ぎる。
「何?」
 気を抜かれたつーだが、後方から響く爆発音で正気をとり戻した。
『バーニアに体当たりされました‥‥戦線離脱しま‥‥』
 アリスからの通信が途中で途絶え、振り向いた先でグリフォンリーダーが通り過ぎていった。
 雷電が一機眼下へと落下していくのが見える。
「こちらも一機、一応の相打ちか」
『いやな気分ですよ、3機も落とされるなんて』
 文の丁寧な口調ながらも、低い声がつーの耳に響いた。
「完全に爆破させないところが嫌らしい」
 グリフォンリーダーに構っているのは現在文機と一葉機、そしてレオノーラ機だ。
『こっちも撃墜、あとはグリフォンリーダーだけだ』
『弾薬つきたけどねー』
 ゲックとヴァレスが残り1機の無人機の排除を終えてグリフォンリーダーのほうへ回ってくる。
『作戦クリア、撤退する』
 全力で叩こうとしたとき、グリフォンリーダーから声がしたかと思うとブーストを使ってグリフォンリーダーは戦線を離脱していった。
「どういうことだ? こちらを全滅させるつもりではなかったのか?」
 違和感を持ちながらも安堵の息を漏らして、つーは戦闘の緊張を解く。
 被害は3機、グリフォン4機と比べても被害は大きかった。
『倒せなかったですが、こちらもこれで目的は果たせそうですね』
『撮影を済まして撤退しましょう。レオノーラさんもそれでOKですね』
『ええ、UPC軍のほうには墜落した機体の回収を頼んでおいたわ。機体反応はあるからパイロットは無事だと思うわ』
『Shadowより傭兵各機へ。こちらはこのまま撤退するが、今回の戦闘記録があるなら共有したい』
 F−15が隣にまで寄ってきて通信を行ってくる。
『こちらGutsだ。カメラを装備した機体もあるから、頼んでおくぜ。協力感謝だ』
「そうだ、大尉殿。あのグリフォンリーダーに心あたりがあれば聞かせてくれないか?」
『ジェニス・アンナ少尉。あの動きはそれ以外は思い当たらないな‥‥。機会あれば空であおう』
 ジェイドが答えると3機のF−15は機体を回転させながら雲をつくり飛び去った。
『手早く撮影をすませよっか』
「そうだな‥‥文?」
 ヴァレスの言葉に頷き、動き出す一同だったが、文が一歩で遅れる。
『静かに‥‥、微弱な信号をキャッチしたから流すよ』

『こ‥‥ちら、UPC北‥‥中央軍‥‥ナヴァン島駐屯‥‥地、バグアの襲撃が‥‥うわぁぁぁ!?』

 通信はそこで途絶え、ノイズだけがただ広がった。
「本命はそっちだったわけか‥‥やられたね」
『ここまで読める人間はいないわよ、今は私達の仕事をしましょう‥‥。お返しはそれからね』
 つーの呟きをレオノーラが宥める。
 しかし、つーの顔はどこか楽しそうに笑っていた。
 

●報告書

 大西洋上で交戦したため、シェイドの確認までの撮影時間をとれなかった。
 しかしながら、航空戦力としてイーグルドライバーが敵にいることを確認。
 フロリダのバグア基地の映像と共に航空戦力との戦闘記録を提出する。