●リプレイ本文
●Provocation
「HEY! ソコのパンク野郎♪」
聖・真琴(
ga1622)はS−01改を操縦し、基地を襲撃しているR−01の背後の街道へ降り立った。
『邪魔してんじゃねぇよ、クソがっ!』
パンク塗装をしているR−01から新藤雪邑の声が響き突撃仕様ガドリング砲が唸りをあげて真琴機を狙う。
(「直ぐに乗ってきた。戦術的思考はできてないとみていいか」)
真琴は内心そう思いつつ防御を固め、街道を後退しながら進んだ。
「さぁ来なよ。お互い第1世代‥‥アンタの相手如き、アタシのエスイチ1機で十分だ!」
『ざけてんじゃねぇ! スクラップにしてやるぜ、V1の時みたいになぁぁぁ!』
雪邑はS−01に因縁があるのか、KVの中指をクイクイ倒して挑発する真琴機へ間合いを詰め、ガドリング砲を放つ。
チタンファングで真琴はその攻撃を受け止め、離陸する隙を見つけようとするも中々つかめなかった。
『誰も死なせはしない‥‥いくぜ!』
真琴機に続いて、人型で降り立った風見トウマ(
gb0908)のR−01が突撃仕様ガドリングを雪邑機に当てていく。
『今のうちに‥‥離陸を‥‥』
終夜・無月(
ga3084)が変形着陸しながらKVボウガンを雪邑機へ放った。
「ちょっと基地があれちゃったけど、今からお客さんを連れてくよ! 手厚く持て成してやろうや♪」
真琴機が上空に待機している僚機へ通信をいい、上空へ飛び上がる。
『くそあまがぁ! まちやがれぇぇぇ!』
挑発が上手くいったのか雪邑機が真琴機を追いかけだした。
それと同時に高速移動艇がヘリポートへと降りていく。
空と陸に分かれての戦いが始まった。
●Replenish
「難民の受け入れ口の確保が最優先だ。キメラや1人の暴走で壊されるなどたまったものではないな」
レティ・クリムゾン(
ga8679)は医薬品や食料物資を積んだ愛車『ジザーリオ』を高速移動艇から走らせる。
ジザーリオにはクラーク・エアハルト(
ga4961)が乗り込んでいて後部座席からドローム社製SMGを構えた。
覚醒し、金色となったクラークの目は八本の足で地を歩く蜘蛛型キメラの姿を捕らえる。
「ジャングル戦なんて、久しぶりですよ‥‥皆さん負傷しているをヘリポートの方へ移送してください」
アンチマテリアルライフルで応戦している一般兵に対してクラークは呼びかけ、代わりにキメラを攻撃した。
銃弾が飛びキメラの足を砕く。
「バリケードを作成して持たせるから、トウマさんや無月さんはヘリポート周辺を対処して!」
『『了解』』
高速移動艇は一度戦闘空域から外れていくのを確認し、ジーザリオを乗り回しながら篠原 悠(
ga1826)は無線で指示をだした。
じりじりと戦線が下がっていき、攻撃の手が弱まったことに乗じて蜘蛛キメラの進撃がはじまる。
「人が傷つくのを見たくないんでね、あんたらには帰ってもらうよ!」
ジーザリオの後部座席からメイド服で転がりでて、キョーコ・クルック(
ga4770)はキメラを蛍火にて斬った。
「ほら、いきな!」
「はいっ!」
蛍火の一撃で緑の液体を撒き散らし、動かなくなったキメラをみている一般兵にキョーコは怒鳴りつけ、負傷している人間を運ばせる。
「大尉、被害はどんなもの?」
レオノーラ・ハンビー(gz0067)が鋭い目をしてアサルトライフルを放ちキメラを牽制しながら現場指揮官である大尉を呼んだ。
「見てのとおりだ。空爆で兵士の四分の一が負傷、キメラとの戦いで更に増えている」
アンチマテリアルライフルで支援を行い、隙をみつけて近づき大尉は答える。
「ヘリポートの片隅に救護テントを立てて粘りなさい」
「救護用品や食料品は今運んできました! これを降ろして手当てなどをください」
きつく言うレオノーラとはうって変わり、悠は力強く応援した。
大尉は頷き、部下に指示をだす。
地上にて悠やレオノーラたちは蜘蛛キメラと激しい戦闘をはじめた。
●Aerial warfare
「行きますよディスタン! 今日は最初から全力ですっ」
音影 一葉(
ga9077)はコックピットの中で力強く声をだし、真琴機を追いかけて飛び上がってきた雪邑機を追った。
通常のディスタンより機動力、移動力共に改造されている音影のディスタンでも空戦隊の中で移動速度が僚機より遅れている。
『パンクな装飾のされたR−01‥‥奴か。また厄介なのが出て来たもんだぜ‥‥まぁ、あん時の借りを返すチャンスと思えばいいか』
通信機ごしでも聞こえるような大きな舌打ちをし、風羽・シン(
ga8190)が音影機に続いた。
『殆どスクランブル状態での召集。準備も十分とは言い難い‥‥。それでもやって見せるのが僕らのお仕事‥‥ってね』
狭間 久志(
ga9021)もシン機と並んで飛行し、音影機とデルタを描いて雪邑機を背後から追う。
上昇を続ける真琴のS−01はすぐに雪邑のR−01に追いつかれて砲撃をされた。
雪邑機の突撃仕様ガドリング砲が唸りをあげ、真琴機の装甲を削っていく。
「っと、それ以上はやらせませんよ。真琴さん回避運動よろしく」
『ちょっと、何をするの!?』
低空からデルタフォーメーションで近づいていた音影が8式螺旋弾頭ミサイルを連射した。
3発の先端がドリルになったミサイルが雪邑機に食い込んで爆破する。
『てめぇ! やってくれたじゃねぇぇぇかぁぁぁっ!』
機体が激しくゆれ、煙を上げる雪邑機が真琴機を追うのをやめ音影機のほうへ向きを変えた。
「一発じゃ落ちませんか‥‥ですが、それくらいの方がやりがいがあるとういうものです! 風羽さん、狭間さん一気に畳みましょう」
雪邑機から発射されるロケットランチャーを避けつつ音影が二人に連絡をする。
『ウィンドフェザー了解、まずは近くの河川までひきつけようか‥‥このままだと空薬莢の雨を降らす』
『こちらも了解、ここからが僕らの本番です! 基地の安全確保をしましょう』
移動して基地から離しながら、風羽機がホーミングミサイルを狭間機が短距離高速型AAMを放った。
●Rescue
しばらく続いた上空の爆撃音が遠くなり、地上班はキメラに集中できるようになっていく。
キメラはテントなどがあったエリアと、へりポートエリアに二分して襲い掛かって来た。
「ヘリポート側に増えてきたな‥‥。キメラが! 蜂の巣にしてやらぁ」
突撃仕様ガドリングでトウマがキメラを片っ端から打ち砕いていく。
足や、頭部を砕かれ、緑の液体を放つミンチが広がる。
『こちらには‥‥10匹程‥‥を確認。そちらはどうですか?』
キメラと戦っている無月機が悠のほうへ連絡をする。
『何人か雲の糸で動けなくなっているひとがいるんや。解除しつつ戦闘中。けど、応援はいらへんで。足元に人も一杯やろうから』
悠の言葉を確認し、無月が足元もを見ると逃げて来る人が後ろに固まっていく姿が見えた。
『守らなければ‥‥なりませんね』
無月がディフェンダーに得物を変えて、蜘蛛キメラを一撃で斬り裂いた。
『おおい、危険だから離れていろよ! かっこいいのはわかえるけどよ! 』
トウマ機も空薬莢をばら撒かないようにKVボウガンでキメラを串刺しにし、ディフェンダーでなぎ払う。
一方、レオノーラとクラーク、レティの3人はバリケードから飛び出し殲滅行動にでた。
「レオノーラさん、背中は任せておいて下さいね? 責任持って援護しますよ」
「人のことより自分の心配をしなっ!」
覚醒状態の彼女はいつものような優しさはなく、他罰的態度が強く出ている。
「手厳しいですね‥‥」
クラークはそっとと呟きながらテントなどを探り、使える道具などをパッキングして持ち出す準備を始めた。
元軍人育ちであるクラークにとって、この手の作業はお手の物である。
「使えるものがあったら運び出す準備ね。邪魔よっ!」
間合いを取りながらレオノーラのアサルトライフルが火を吹いて蜘蛛キメラを潰した。
「レオノーラさん、後ろ!」
「何!?」
振り向いたレオノーラの後ろには大きな蜘蛛キメラがいて、レオノーラとクラークへ粘液を飛ばす。
「二人とも! 大丈夫か!」
レティがキメラの頭部を落とし、踏みつけ糸を出せないようにした。
「やってくれましたね。これでもくらえっ!」
クラークの放ったアラスカ454の攻撃はキメラに対して減衰される。
「相手は雷属性? 火属性の攻撃が聞くはずです!」
「面倒ねっ!」
力技でレオノーラとクラークは何とか粘液を剥ごうとするも中々とれない。
「今、悠から借りてきた。これで二人を助けられるはずだ」
一度、場を離れたレティが戻ってきてアーミーナイフにて粘液を服を斬るように裂いて行った。
「物資の運びだしは後の方にして邪魔者を消すっ!」
助け出されたレオノーラはそのままアサルトライフルで突撃しつつキメラに攻撃を続ける。
「ええ、今度こそ背中を守らせてもらいますよ」
「好きにしなさいっ!」
銀の髪をなびかせる二人の能力者たちは戦場で踊り続けた。
●Reinforce
『所詮、手前ェは目立ちたいだけのファッションパンク野郎だよ!』
雪邑のR−01はそのゴテゴテな装飾が示すように防御力が向上しているのか物理攻撃では中々落ちない。
そこで風羽機は高分子レーザー砲によるドッグファイトを挑むために挑発をした。
『ウィンドフェザー、突貫するっ!』
「狭間機、支援します!」
空対空ミサイルを狭間は撃ち、その合間を赤いディアブロが間合いを詰めてレーザー砲を放つ。
『しゃぁらくせぇぇぇぇ!』
雪邑機は壊れた機械のように同じ台詞をスピーカーで響かせガドリング砲を撃ちだした。
二機がすれ違い互いの攻撃を受け止める。
アグレッシヴ・ファングをこめていたのか、ガドリング砲でも強化されたシンのディアブロの装甲がえぐれた。
だが、雪邑機もレーザー砲により穴が空き、撃墜までは近い。
『次で止めを‥‥』
「シンさん、敵増援を補足。識別コードはヘルメットワームです」
雪邑機を狙っていた風羽機を狭間は制止した。
「聖さん、音影さん後はよろしくお願いします」
『任せておいて、さっさと潰してそっちにまわるから!』
聖からの元気な声を聞いて狭間は安心する。
『よそ見してんじゃねぇぇっ!』
だが、まだ飛行している雪邑機がロケットランチャーを撃ちこんできた。
いくら追い込まれても動揺などしていない。
その自信溢れる精神に狭間は自分にないものを感じた。
(「だけど、貴方のような自信なら、僕はいりません!」)
ロケットランチャーを避けて狭間は突如としてでてきたヘルメットワームの迎撃へ風羽機と共に向かう。
「行くぞハヤブサ! ここに来た事、後悔させてやる!」
自分へと言い聞かせるように声を出して狭間はブーストを吹かしヘルメットワームへ接近する。
プロトン砲をヘルメットワームは発射してくるが、追加補助スラスターと共に強化されたハヤブサは悠々と回避をした。
「何と言ってもお前達には‥‥速さが足りない!」
優雅なハヤブサとは裏腹に加速によるGを耐え抜く狭間は高分子レーザー砲を射程に捕らえたあと撃ちこむ。
『こいつもくらえっ!』
風羽機が長距離バルカンを放ちヘルメットワームの甲殻に穴を開けていく。
弱弱しく低空飛行をしていくヘルメットワームだったが、更に二機どこからともなくやってくる。
『面倒だな‥‥だが、一機一機潰していくぞ』
「はい!」
シンの言葉に狭間は力強く答え、戦闘を続けた。
一方、雪邑との戦いは決着がつこうとしている。
『貴方の相手は私です。スカスカの頭でもそのくらい解りますよね?』
『じょうとうだ、クソアマァァァ!』
音影機の挑発にのった雪邑が接近してガドリング砲を撃ちこんだ。
だが、音影のディスタンにはかすり傷程度にしかならない。
「残念、本当はこっちだっ! 今までの分もまとめて返してやるよ、『イカれ』たR−01っ!」
音影機に気を引かれていた雪邑機を真琴がソードウィングで真っ二つに斬り裂いた。
『おれは‥‥おれさまは新藤雪邑だぁぁぁぁぁ! ただでしぬとおもうなよぉぉぉぉ、もえろぉぉぉ!』
墜落し爆発する瞬間、雪邑機がグレネードランチャーを構えジャングルへと撃ちこむ。
ドゴォォンという爆発がジャングルと雪邑機で2箇所同時に響いた。
●Repair
「やれやれ、蜘蛛型キメラといっても音は無意味だったようだね?」
「上手くいくと思ったんやけどな‥‥」
キメラを駆逐した基地ではキョーコが悠を慰めている。
マイクを使ったハウリング作戦は失敗し、あわや蜘蛛キメラにやられるところをキョーコが助けたためだ。
「それでも悠さんのアーミーナイフやショットガンが役に立ったよ。ありがとう」
「そ、そんな‥‥でも、レティさんの役に立ったのなら嬉しいかな?」
レティが微笑むと悠は顔を真っ赤にして小さくなる。
『こちらウィンドフェザー。ジャングルの消火活動、及びヘルメットワームの駆逐は完了した。尤も、ゴタゴタはまだ当分続きそうだが』
「お疲れ様。能力者同士の戦いは嫌なものね」
シンが無線機から連絡を送りそれをレオノーラが受け取った。
「以前遭遇したという動く死体のように彼もまたエミタメンテナンスが出来ずに暴走したのかもしれないな」
戦闘で負傷していた大尉がクラークに手当てをされながら答える。
大尉を初め今回の騒動で負傷した人間も多く、また基地の防護柵も壊れていた。
規模は多少小さくしなければならないが復旧が可能な範囲である。
『こちら無月‥‥敵を捜索していますが‥‥特に見当たらないようです』
『こちらトウマ。同じく敵はなし。勝つには勝ったが‥‥一概には喜べねぇよな』
偵察に回っていた無月、トウマが通信をおこなってきた。
雪邑のグレネードランチャーによりジャングルの一部が焼け野原になる。
それは素直に喜べないと共に自分達がそれだけの兵器を扱っている証拠だ。
『力の扱い方‥‥間違えば‥‥不幸を増やすだけ』
無月の言葉はその場にいた能力者たちに深く響く。
そして、今で出来ることをと復旧作業に尽力をだした。