●リプレイ本文
●夏だ! 孤島だ! アイドルだっ!
「高い空! 青い海! 白い砂浜!! 夏、さいこーーーーー!!!」
頭にアヒルの玩具を乗せ両手を天高く突き上げて葵 コハル(
ga3897)は叫んだ。
スポーティな白い水着姿は元気なコハルに良く似合う。
「きゃっ♪ 冷たくて気持ちいいですの」
麦藁帽子に白の袖なしワンピースにぬいぐるみを小脇に抱えてInnocence(
ga8305)は浜辺でさざなみと戯れていた。
「みんな、ちゃんと日焼け止め塗りなさいよー? 準備ができるまで遊んでいていいけど、日焼け写真はちょっとかっこ悪いわよ」
IMPの中でリーダーではないが、仕切り役を担当することの多い姐御アイドル鷹代 由稀(
ga1601)が遊びだす年下たちに声をかける。
普段男装の多い由希だが、今日は黒のパレオ付のチューブトップビキニ姿で女性らしさを強くだしていた。
「アイドルのグラビア撮影に関われるなんて滅多にねえ機会! 来て良かったッスよ」
「カルマさん、鼻の下伸びてますよー」
「はっ! いや、決して下心があるわけじゃねぇっスよ」
植松・カルマ(
ga8288)とライディ・王(gz0023)はテントなどの用意をしつつ水着姿で遊ぶアイドルを眺めている。
アイドルやスタッフを含め男性は二人だけだ。
意識してしまうのは無理もない。
「水着は恥ずかしくないといえば、嘘になりますね‥‥」
最後の方になり、IMPリーダー緋霧 絢(
ga3668)は黒ベースにアクセントで赤のラインが入ったワンピース・ハイレグ姿で砂浜に現れた。
普段の服装では分かりづらかった豊満な体が夏の日差しの下さらされる。
「お、おーっ!」
思わずカルマが大きく声を上げた。
「絢さん‥‥スタイルいいね。ちょっと羨ましいかも‥‥でも、過剰反応しすぎ」
ジーラ(
ga0077)がタンキニブラにデニムボトムの水着姿でカルマの頬を思い切りつねる。
そんなこんなで孤島での撮影会が始まろうとしていた。
●どきっ! 水着だらけの写真集
「それ‥‥っ!」
ミオ・リトマイネン(
ga4310)が白地にハイビスカス柄のローレグのビキニで、ビーチで跳躍しアタックを決める。
その瞬間をライディの持っていた一眼レフデジタルカメラが捕らえた。
2対2のビーチバレーで、他は応援という形であり、大和・美月姫(
ga8994)はワンピースビキニの上にTシャツ、サンバイザーを頭につけた上メガホンを持ち、審判ポジションになる。
表紙にとる躍動的な全体写真を撮影した。
「いい感じッスね」
『揺れる胸が』と思いながらもカルマは口にださず、タオルやクーラーボックスに入った飲み物をもってくる。
「カメラは二台ありますから、個人撮影は二人でやっていきましょう」
ライディは撮影を続けながら、カルマに提案をだした。
「レフ板はないんスか?」
「自作のものも用意してましたけれど、カメラを意識しないって流れみたいですし数を取って後は社長やプロの人の目で編集してもらおうかと思っています」
「そういうやり方もあるんスね」
「こっちも反撃アッターックッ!」
ライディがカルマに撮影について説明しているとコハルの元気な声が響き、ミオのいるコートへアタックを打ち込む。
その瞬間をカメラに収め、二人は分かれて個人撮影に動き出した。
「ま、まだ成長するよね?」
「大丈夫ッス。発展途上ッスよ」
カルマが雪村 風華の競泳用水着姿をカメラに収めていく。
撮影時に被写体にストレスを与えないよう褒めちぎるのをカルマは忘れなかった。
浜で水をかける場面など、動きのある映像が何枚も納められる。
「写真集ですか、少々恥しいですね‥‥皆様はともかく、私は年齢もアレですし」
次にカルマが被写体としたのはIMP年長組の加賀 弓だ。
「ぜんぜんいいッスよ。弓さんは十分綺麗ッスよ〜」
白い水着に覆われた白い肌の弓を褒めながら、恥らうポーズをカルマはカメラで撮っていく。
「Innocenceつーかまえたっ!」
「捕まえられてしまいましたの」
じゃぱんと砂浜に倒れこんだ音にカルマは振り返った。
そこでは常夜ケイが白のタンキニビキニでInnocenceと戯れている。
「シャッターチャンス」
水に濡れて肌に張り付くワンピース姿のInnocenceとケイをカルマはファインダーに収めた。
「ジーラちゃん、沖まで競争しよう!」
「いいよ、ボクだって負けないよ!」
一方、ライディはゴムボートに乗りながら、海で泳いでいるアイドルたちをカメラで撮っている。
「あまり、遠くにいかないでくださいよー」
「若い子ばっかりとらないであたしも取りなさいよ」
シャッターを押しつつ注意するライディに一緒にゴムボートに乗っていた由希が水をかけつつアピールをした。
無邪気にはしゃぐ由希の笑顔はすごくまぶしい。
「こ、このショットはいいッス」
海岸のカルマは絢の波打ち際にぺたんと女の子座りで上目遣いな俯瞰ショットに少し興奮気味になっていた。
ポーズや表情などはモデル経験のある美月姫のアドバイスでかなり決まっている。
カメラを意識した撮影は美月姫の経験談を聞いて全員のスキルアップをはかっていた。
スケッチブックとアルミホイルで作った簡単なレフ板で光源を調整しつつ綺麗に写るようにシャッターを何度もきる。
男の視線で興味を引くポイントでカルマは撮影をおこなっていた。
そのとき浜辺にミオが水を滴らせながら、海から上がってくる。
「おお、こっちもいいッス!」
思わずカルマがミオの方にカメラを向けて写真を撮る。
ミオはローレグビキニのお尻周りの食い込みを直していたのだ。
シャッターチャンス意外のなにものでもない。
「こ、こういうところを‥‥取られるのはちょっと恥ずかしい‥‥」
ミオの恥ずかしがっている顔をそのままカルマはカメラに収めた。
●バーベキュー、そして遊べ
「ほらほら、肉食いなさい、肉。この暑さでバテていい写真とれなかったらダメよ」
七分丈のジーンズと肩まで袖をまくったTシャツに着替えた由希が昼食をかねたバーベキューを準備しそれをライディやカルマにとらせる。
「これ食べたらデザートにスイカ割りして西瓜も食べようよ」
ガッツガッツと串焼きを食べながらコハルが提案をだした。
「いいですね。私もやりたかったんですよ、西瓜割り。ビーチフラッグとかもどうですか? ビーチバレーは審判でしたから体動かしたいです」
焼おにぎりを食べながら美月姫はコハルに同意する。
「静かなのも取りたいところ‥‥。夕方がギリギリでしょうか?」
野菜を食べつつミオが食事中のメンバーの意見を聞き、全員それで納得した。
「白の水着を来て着てよかったですけれど、ワンピースが水浸しになってしまいましたの」
「それなら大丈夫、私がチャイナドレスやサンタ服とか持ってきたから」
風華は焼きそばをすすったあと荷物をおいてあるテントから服を持ち出してくる。
「ミニスカサンタとかあるんですの? 胸のサイズ大丈夫かしら?」
子供のような無邪気な顔で服を眺め、Innocenceは呟いた。
風華の顔が引きつく様な笑顔であったが、そんな写真は残っていない。
「ほ、ほら、西瓜割りとかしようよ? ね? ね?」
ジーラが話題をそらすようにスイカを持ち出し、準備をはじめた。
「西瓜割りでたたく棒はこれ、使いますか?」
なぜか、美月姫が取り出してきたのは日本刀の洒涙雨である。
「それを鞘に入れて叩くとしても僕は撮影したくないです‥‥」
ライディはじりじりっと下がるが、うしろからカルマがにやっとした顔で羽交い絞めにする。
「ほら、撮影しなくても良くあるじゃないッスか。偽者の用意って」
「え‥‥」
「マネージャー以外が映ってもまずいですし、覗きに来たマネージャーに報復?」
絢が不穏なことを言い出し、そのままライディは砂浜に埋められ、西瓜の横に頭をおかれるという恐怖を味わった。
(「は、早く帰りたい‥‥」)
洒涙雨により砕かれた西瓜を食べながらライディは心底思う。
しかし、このときライディに更なる不幸が襲うとは誰もおもっていなかった。
●日は沈み‥‥人が消える。
夕方、海岸などの撮影が始まる。
光源が少なくなってきたためスケッチブックレフ板で少しでも光を確保して被写体をはっきりさせた。
美月姫は岩場に腰掛け、夕日を眺めて唄を歌うシーンを‥‥。
ミオはデニムのホットパンツに短めのキャミソールに着替えて浜辺を歩くシーンを取っていった。
目を瞑って貝殻に耳を当てる姿の絢や、恥じらいながら白スクール水着で潮風を感じるジーラ。
一日の撮影だけですでに100枚近い写真がデジタル一眼レフカメラに収められていた。
「今日はこの辺にして、あとは明日にでもとるとしますか」
カルマが体が冷えないようにタオルケットを配り、締めを提案しだす。
「コハルちゃーん。Innocenceさーん、夕方ですよ」
木陰のところで寝ている人たちの寝顔をパシャパシャとライディがカメラに収めていった。
夕日も沈み月が輝きだすと、その浜でInnocenceがお祈りをするかのように手を組んで空を見上げる。
着物姿の弓も夜の景色似合い、昼間の静かな輝きを持つシーンが取られ1日目の撮影は終了した。
そして、騒動もなく翌朝。
「ライディさん、朝で‥‥い、いない!? ライディマネージャーがいなくなってるッス!」
カルマが確認したとき、マネージャーライディの姿はなくなっていた。
大声を聞いたアイドルたちが続々と集まってくる。
「ライディ君がいない? ‥‥ギャグじゃ‥‥ないわよね?」
「実はこの島について来る前に情報を集めていたんですけれど、近くの島では人型キメラが出てきたという話があるんですよ」
美月姫が洒涙雨にパリィイングダガーを持ち、由希の疑問に答えた。
洒涙雨を持ってきていていたのはそういう理由からである。
「アーミーナイフと照明弾は持ってきていますが、使う事になるとは思いませんでしたね」
絢も『もしも』のときの装備を持ち出し、準備に取り掛かった。
「足跡からすると3,4体くらいッスね。」
カルマもテントの中からイアリスとフォルトゥナを取り出し足跡を確認する。
森の中へと足跡は続いていた。
「ちゃっちゃと探しにくいわよ。みんな準備して」
由希の一声に皆頷いて、ライディ捜索隊が結成されたのである。
●ハーレム?
(「ここは何だろう‥‥なんか嫌な雰囲気だけは伝わるんだけれど‥‥」)
蔓で手足と口を縛られ、祭壇のような場所につれてこられたライディは不安な面持ちで周囲を見回した。
10人ほどの女性キメラが、裸体をさらし火をたいて踊っている。
ライディはもがくも締まった蔓はなかなか取れなかった。
『ウィヤーッ!』
急にキメラたちが叫びを上げ、踊りをやめる。
じりじりと槍を片手にライディへと近づいた。
そのとき、銃弾がキメラたちを襲う。
「ライディもこんなところに来てまで捕まるとか、不運だねホント」
隠密潜行をといたジーラがリロードをしながら、呟いた。
「今助けますから早く‥‥」
ライディの背後に回り込んでいたミオが蔓を引きちぎりアサルトライフルで倒していく。
「なんか、映画みたいなシーンッスね。カメラ持ってきたほうが良かったかも」
カルマも躍り出てキメラをイアリスで捌いた。
10人ほどいたアマゾネスキメラはあっという間に能力者たちに片付けられる。
「あ、あの‥‥敵さんどこですか?」
あまりの速さに状況のつかめていないInnocenceは周りをきょろきょろと見回していた。
「敵はいません。けれど、長居するわけにもいきませんね。撮影を早めにすませて島から帰りましょう」
絢がナイフに付いた血を払いながら、メンバーに指示をする。
その後、森の手前での兎を抱き上げたジーラの写真や、昼寝をするコハルの写真などを撮り終え初写真集の撮影は終了した。
後日。『Catch!』という名前で由希が真ん中で指で銃を作り『バーン』とやっている表紙のIMP写真集が売り出される。
その写真集はひと夏の思い出が詰まった見た人の心を掴む一冊だった。