タイトル:第三回V1グランプリマスター:橘真斗

シナリオ形態: イベント
難易度: 難しい
参加人数: 32 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/08/06 00:42

●オープニング本文


 夏のある日、UPC本部へ一通の手紙が来た。
 達筆な筆文字で書かれた手紙の差出人は平良・磨理那(gz0056)である。

『第参回ふぉーげるわんぐらんぷりの開催』

 久しぶりじゃの。
 今回は京都を舞台として、この催しを開催させてもらうのじゃ。
 レースではなく『ないとふぉーげる』による格闘技を披露してもらいたいのじゃ。
 ただし、武器の修理までは責任おえぬのでその辺は各自で考えて欲しいのじゃな。
 場所は破壊された部分の多い洛西地方じゃ‥‥。
 復興前に1つ活気づけるような催しが欲しくての、壊れた家屋などに鉄塊10個、銅塊5個、銀塊3個、金塊1個を隠してあるのじゃ。
 場所は地図の座標通りなのでの、しっかり集めて派手に戦い抜いて欲しいのじゃ。
 皆の参加まっておるでの‥‥。
 そうじゃ、『げすと』も3人呼んでおるのじゃ、そちらに負けぬようにして欲しいの。
 
 <地図>
  1234567890S
 A□□□□鉄□□□鉄鉄■
 B□□□□□銀□□□□■
 C銅金鉄□□□□□□銅■
 D□□□□□□鉄□□□■
 E□□□□鉄□□□□□■
 F鉄□□□□□□銀□□■
 G□□□□銅□□□□□■
 H□□□□□鉄鉄□□□■
 I□□銀□□□□□銅□■
 J□鉄□□銅□□銀□□■

 
●呼ばれて飛び出て?
「しっかし、あたいは殆ど何でも屋扱いさねぇ‥‥」
 ベルディット=カミリア(gz0023)は京都地に下りつつ煙草をふぅーっと吐いた。
 あちこち飛ばされているのは慣れているが、それを許可する上も上だと最近思う。
「いいじゃないの。面白そうな話なのだから」
 そのベルディットの隣に立つのはカールセルを身にまとうレオノーラ・ハンビー(gz0067)だ。
 微笑みながら、レオノーラは銀髪ロングヘアをさらっとなびかせる。
「仕事がんばる。賞金故郷へ送る」
 そして、一際目立つ褐色の大男が二人の後ろから京都へと足をつけた。
「馬公も暇だねぇ‥‥シルフィードはラストホープのレース場にへばりついているから仕方ないっちゃないけどさ」
「赤き奇妙な馬(マァピア・ウィトコ)はどこにでも行く。故郷の大地、解放するその日まで、強くなる」
 ベルディットの嫌味を嫌味と受け取らず、マァピアは微笑む。
「さぁ、呼び出したお嬢様へ謁見に参りましょうか。久しぶりの勝負で腕がなるわ」
 レオノーラが先導し、一同は平良屋敷へと足を進めた。

●参加者一覧

/ 稲葉 徹二(ga0163) / 水鏡・シメイ(ga0523) / 水理 和奏(ga1500) / 如月・由梨(ga1805) / 篠原 悠(ga1826) / 麓みゆり(ga2049) / 漸 王零(ga2930) / 終夜・無月(ga3084) / 霧島 亜夜(ga3511) / 緋霧 絢(ga3668) / アッシュ・リーゲン(ga3804) / 宗太郎=シルエイト(ga4261) / キョーコ・クルック(ga4770) / 鈴葉・シロウ(ga4772) / クラーク・エアハルト(ga4961) / アルヴァイム(ga5051) / 玖堂 鷹秀(ga5346) / 月神陽子(ga5549) / 緋沼 京夜(ga6138) / ツァディ・クラモト(ga6649) / ソード(ga6675) / 玖堂 暁恒(ga6985) / 周防 誠(ga7131) / 砕牙 九郎(ga7366) / 美海(ga7630) / ジュリエット・リーゲン(ga8384) / レティ・クリムゾン(ga8679) / 瑞姫・イェーガー(ga9347) / 神無月 るな(ga9580) / シュブニグラス(ga9903) / 紅蓮・シャウト(ga9983) / RENN(gb1931

●リプレイ本文

●京都を視察
「ふむん‥‥偶にゃア同僚とマジでやりあうのも良いですな。リーダー」
 稲葉 徹二(ga0163)はチーム【NOIR】のリーダーである霧島 亜夜(ga3511)に声をかけた。
「俺は3回目になるけどな。離陸に必要な距離が50mなら、やっぱり西に進むのが楽か‥‥」
 瓦礫の荒野という言葉が似合う元町並みを見渡しつつ、金塊などが隠せそうな場所の目星をつける。
「あら、下見? 用意周到ね」
 そんな二人に【ゲストチーム】として呼ばれていたレオノーラ・ハンビー(gz0067)が微笑みつつ近づいた。
「そいつぁ秘密。エース・オブ・エースをいっちょ決めましょうや」
「1位は渡さないぜ。「紅の魔術師」の力をみせてやるさ」
「楽しみにしているわ。どんな手が来るか、考えるだけで興奮してくるの」
 ぺロリと舌なめずりをしたレオノーラはその場からさっていく。
「俺達も帰るか‥‥嫌な予感がするぜ」
 レオノーラの態度に妙なものを感じた亜夜達は視察を後にした。
 
●居並ぶ武士(もののふ)達
「大変、大変なのです! シロウさんがいません!」
 【チームクマー】の美海(ga7630)がパタパタと走り控え室を見回った。
「私のように迷子になっていなければいいのですが‥‥」
 水鏡・シメイ(ga0523)は不安になる。
「仕方ありませんね、私の岩龍が上にのるしかありませんね」
 緋霧 絢(ga3668)がデモンストレーションの方式をかえるところを指示した。
 他のメンバーもぞろぞろと控え室に集まってくる。
「アドバイス通りクラークさんと映画に行って楽しかったよ☆」
 その中心にいるベルディット=カミリア(gz0016)少尉に【飛行クラブ++】の水理 和奏(ga1500)が話しかけた。
「クラークといってきたんかい。よかったねぇ?」
「前回は二位でしたが今回は‥‥カミリアの姉御、今度も負けませんよ?」
「はっはっはっ、あたいも負けるつもりはないさね。何より盛大に楽しまないと損さ」
 クラーク・エアハルト(ga4961)がベルディットに不敵に微笑むと、ベルディットも微笑み返す。
 静かに火花が飛び散った。
「‥‥正直、如月さんや、緋沼さんや、漸さんなど。知り合いの中でも戦いたくない強者ばかりで、わたくし頭が痛いのですが」
 ため息をつきながらも、心躍る何かを月神陽子(ga5549)は感じている。
「私としましては月神様が敵でなくて安心しておりますよ」
 アルヴァイム(ga5051)が黒子衣装で陽子の隣でお茶を飲んで和んでいた。
 強豪たちが敵で回る分、別小隊の能力者たちが今回限りのチームを組んでいる。
「兄弟揃っての出撃か‥‥前の大規模作戦以来‥か‥‥あん時ゃ秒殺で‥ケリが着いちまったから、な‥‥今回は‥キメラやワームより‥‥楽しめそうじゃねぇか?」
 【Lynks】の玖堂 暁恒(ga6985)はくくっと昏い笑みを浮かべ居並ぶつわものを見回した。
「お兄様の持って来た話にしては面白そうですわね、それにKVの操縦経験を増やすには丁度良い舞台じゃないかしら」
 ジュリエット・リーゲン(ga8384)も値踏みするかのように参加者をも見回して笑う。
 適度な緊張と失敗が勝敗に響かない環境は絶好の機会であるとジュリアは思っていた。
「レティさんと一緒。苦労さんもがんばってもらうよ」
「苦労じゃなくって九郎だ」
 篠原 悠(ga1826)が大切な人とノリノリな一方、何かすでに負けオーラを放っている砕牙 九郎(ga7366)。
 共に【86強襲班】のメンバーだ。
「動きの幅だけで言えば、このスカイスクレイパー‥‥最新鋭機にも引けは取りませんよ。今回は姐御にも一泡吹かせましょう」
 【W.B.R】、『ヴァルハラの強奪騎士達』という物騒な名前のチームにいる宗太郎=シルエイト(ga4261)は対戦相手と握手をしていく。
「【W.B.R】の緋沼だ――手合わせすることがあったらよろしくな」
 宗太郎の次にベルディットへ握手を求めてきたのは緋沼 京夜(ga6138)だった。
「あんたはお嬢ンとこで顔をみた‥‥面白い試合になりそうだねぇ。こいつあ」
 ベルディットは高級煙草に火をつけてニヤリと笑う。
 戦いはこのとき始まった。
 
 
●第三回ぶいわんぐらんぷり開幕!
「機体カラーを変更した人はご愁傷様だな‥‥暇つぶしに付き合ってもらうぜ」
 ツァディ・クラモト(ga6649)が1人、ワイバーンに乗り込み、ガドリング砲にペイント弾の装填を済ませた。
「一個取ったらしばらくは観客になっておこうかしら‥‥ね」
『横取り大作戦ですね』
 スタート位置の周囲にいる【Lynks】【86強襲班】【ゲスト】を見てシュブニグラス(ga9903)は神無月 るな(ga9580)と共に相談をしておく。
 人数の不足は知恵でカバーだ。
 コクピットで待機していると各自のモニターに主催者である平良・磨理那(gz0056)の顔が映る。
『あーあー。皆のもの聞こえておるかの? 妾が主催の平良・磨理那じゃ。この度は集まってもらって大変感謝しておるのじゃ』
 にんまりという表現の似合う笑顔を向けながら磨理那は話を続けた。
『皆の戦う場所はバグアの襲撃によって崩れておる場所じゃ。建て直しの前にせっかくの土地、傭兵達の活躍を間近で見てもらおうと思ったのじゃ』
『今はあれたこの土地を一度地へ返し、再生をさせるための儀式とも思うのじゃ。 第三回ぶいわんぐらんぷり これより開催じゃー!』
 開会の挨拶と共にひゅぅぅーっと鏑矢が飛び開幕の合図となる。
『貴方達兄弟は私達『飛行クラブ』が守りますから、まずはKV操縦になれてね?』
『錬、ここからは間違いなく狙われると思う。覚悟は出来てる?』
「こっちの方は一応出来たけど、こんな事初めてだから緊張する。守り抜けるかな‥‥」
 【飛行クラブ++】のリーダー、麓みゆり(ga2049)がチームを組んでいる柿原ミズキ(ga9347)、柿原 錬(gb1931)姉弟に安心するような声をかけた。
 錬はミズキと共に瓦礫の中から銀塊を回収する。
「俺達は待ち‥‥ですね」
『そうだ、強奪騎士だから、様子を見る』
『作戦が吉とでるか凶とでるか‥‥どうなるか』
 次々に塊確保に動き出す中、【W.B.R】の終夜・無月(ga3084)、漸 王零(ga2930)、周防 誠(ga7131)達は静観を決め込んだ。
 誠の言葉のように作戦がどうなるかは、まだわからない。
 
 
●幾多の誤算
『戦域を越え‥‥限界を超え‥‥今ここに誕生。グレート岩龍W1』
 美海が口上を述べ、目の前にグレネード弾を絢が撃ち、戦隊ものらしい派手な演出がおこなわれた。
 シメイと美海のテンタクルスを土台に無骨な絢の岩龍が乗る姿はそれなりに決まっている。
 しかし、一歩も進めずこけてしまうが演出のうちだ。
『岩龍離陸するぜ、空中から指示をだすから後はよろしく!』
 1人だけ戦闘機形態になっていた亜夜の岩龍が飛び上がる。
『足の速さなら、ワイバーンが最速です!』
 玖堂 鷹秀(ga5346)のワイバーンがマイクロブーストを発動させて直線上にある鉄塊を目指し駆け出す。
『空きスロットがありません‥‥しくじりましたね。とにかくここを死守します』
 すぐに到着するも、スロットの空きがなく、塊が搭載できないことに気づいた鷹秀は防衛策に回る。
『ジュリア、後ろからズドンは勘弁しろよ。タカはそのまま【86強襲班】を警戒しろ』
 アッシュ・リーゲン(ga3804)が【Lynks】の仲間に指示をだした。
「まさか初手から強敵と当たるとはな。ここで消耗してもしょうがないだろう? 勝負は塊を集めてからにしないか?」
 レティ・クリムゾン(ga8679)がネイティブアメリカンのような塗装を施されたR−01に声をかける。
『オレ勝負関係ない。目的果たす』
 R−01の搭乗者、『赤き奇妙な馬』と呼ばれている能力者は答え、KVアクスを振りかざして攻撃をしかけてくる。
「話が通じないか!」
 R−01の攻撃をレティ機が受け止めようとしたとき、そこに砕牙機が割り込んでKVアクスを受け止めた。
『レティは他の部隊と交渉してくれよ。ここでボヤボヤしていると一番強いチームに先を越される』
 ガドリング砲がKVアクスの一撃で砕け散り、歓声がわく。
「すまない」
 レティは砕牙に礼をした後、悠機と合流して次へ向かった。
『こちら。銅塊の回収完了』
 ソード(ga6675)からの回収が終わったという連絡が届く。
『レティさん、ヤバイよ! 金塊が【NOIR】に取られちゃった!?』
 悠機からの悲痛な叫びがレティのみ耳に響いた。
 そちらの方角を見れば、陽子のバイパーがブーストを吹かして金塊に向かってまっすぐ回収に向かう。
 遅れてアルヴァイム機が近くの銅塊の回収を済ましていた。
「後は逃げ切ればこのまま勝ちですね」
 陽子が多数のチームがいる南側を避け北側へ進路を取り出す。
『悪いがそいつを渡すわけにはいかないんでな』
 ツァディ機が東側から美海のテンタクルスのレーザー砲攻撃を受け、チェーンファングを破壊されながらも、ペイント弾を込めたガドリング砲を陽子機に放った。
『そんな攻撃‥‥!? ペイント弾ですの』
 陽子機のメインカメラやフロントガラスをすべてピンクに染めた。
 岩龍からジャミング解除をされているとはいえ、カメラやガラスをピンクに染められては攻撃を避けるも当てるも格段に難しい。
 誤算を解消すべく、すべてのチームで作戦が展開された。
 
●乱戦
「なるべく手っ取り早く数を減らしたいもんだが‥‥」
 ツアディがそのまま陽子へ、マイクロブーストに、さらにブーストをかけて体当たりをおこなった。
 加速されたワイバーンがメトロニウムフレームで重くなっている陽子のバイパーを弾き飛ばす。
『回避が間に合いませんわ。まさか、こんな手段でやられるとは‥‥』
 10m、さらに10mと弾きだされて【NOIR】の陽子機はまさかの場外失格となった。
 一方、【86強襲班】は【飛行クラブ++】と交渉をはじめる。
「金塊が取られました。このままでは優勝をさらわれますよ? ここは一つ共闘しませんか?」
 如月・由梨(ga1805)がクラーク機に声をかけた。
 クラーク機は守護騎士のペイントされたメトロニウムシールドを構え、距離をとっている。
『こちらはこちらで作戦があります。こうしているうちに他の塊を掻っ攫われるわけにもいきませんから』
 拒絶をし、錬機やミズキ機をみゆり機に先導させてクラーク機とみゆり機は戦闘の構えをとった。
「では、仕方ありません。倒させてもらいます‥‥無月さんを狙う人になるのなら、許せませんから」
 如月が機槍ロンゴミニアトをクラークにぶつける。
 8mの槍がクラークのセミーサキュアラーに刺さり、液体火薬が放出され爆発した。
『これくらいなら、まだ砕けませんよ』
「砕けるまで打ち続けるまでです」
 二発、三発と爆発が続き、すべてを受け止めクラーク機のセミーサキュアラーが砕け散る。
『如月さん、トップを狙いにいくよ』
「分かり‥‥ました」
 悠が二人の戦闘をとめ、如月を金塊を持っているツァディ機に向かわせた。
『やらせたままではいかせないよっ! いっくよぉ、リカ!』
 わかな機が移動しようとする如月機を雪村で切り裂く。
「ミラーフレームが!?」
 非物理攻撃に対して強靭な素材を使っていたフレームがレーザーの刃によりあっさりと破られた。
『完全に乱戦ですね、仕方ありませんがっ!』
 ヘビーガドリングを撃ちながらソード機が移動を始める。
 銅塊を確保している分、逃げ切れば優勝の可能性はあった。
『盛り上がるために一発撃たせてもらうわよ』
 乱戦などなんのその、るな機と一緒に行動していたシュブニグラス機が遠慮なくソード機や如月機、わかな機がいる場所へグレネードランチャーを発射する。
 全員命中しなかったが、戦闘は一時中断して瓦礫を盾にしながら、全員散りだした。
『そうそう、盛大に花火をあげようじゃないか!』
 散り散りになるKV達に向かい、るな機が対戦車砲で砲撃をしだす。
 かすったものなどがいるが、装備の破壊や塊を落とすことは免れていた。
「すごい戦い‥‥とにかく二人で死守しないと‥‥。チームのみんなに迷惑かかるから頑張ろう」
 銀塊を回収しつつ、ミヅキは戦いの激しさをみてため息をつく。
『心配性だな。昔よりはこれでも、元気になったし、今じゃ同じ能力者なのにさ‥‥。まだ、子供扱いだもんな。まったくドラグーンの僕をなんだと思ってるんだよ』
 ミヅキのコックピットに錬からの悪態をついた返事が聞こえてきた。
 一方【Lynks】のアッシュは派手に交戦をしている【86強襲班】【飛行クラブ++】の様子を眺めながら、まだ埋まっている塊が多い北エリアに回り戦闘を指示する。
「あっちには正直かかわりたくないな‥‥作戦が崩れたのもあるが、それならド派手に演習するか。ジュリア、アキを支援していろ。タカは待機、今向かうぜ」
『流れ弾があたりましたら、ごめんなさいな』
 ジュアリア機、タカ機ともどもフォーメーションを組つつ瓦礫の中を【Lynks】は突き進んだ。
「美海達はどうしますね?」
『魅せる戦いをするまでです。ツァディ様の戦い方は実に面白かったです』
 絢はそういいながら、外部スピーカーでIMPの『Catch the Hope』を流して【W.B.R】の宗太郎機をへとハンバーボールを振り回し投げる。
『その一撃を受けるわけにはいかないからな! 残像でも出せりゃ、かっこいいんだけどな。流石に無理か?』
 キュィィンとドリルをレッグドリルを回転させ、宗太郎機は攻撃を回避しそのまま、間合いを詰めて攻撃にでた。
『いくぜぇ! 我流奥義・穿光!』
 宗太郎機のシールドスピアが絢機を穿つもかすり傷にしかならない。
『やっぱし、攻撃力不足か‥‥相変わらずの化け物岩龍だぜ』
 低価格機の代表格の岩龍だが、絢機はその常識を打ち砕くほど改造が施され『岩龍らしきもの』といわれていた。
 そうしている間にシメイ機が宗太郎機へ攻撃を仕掛けだす。
『絢さん援護します』
『あなたの相手は自分が請け負いますよ』
 ホバーシステムで機動力をあげ、セミーサキュアラーを振りかざすシメイ機の前に誠機が割り込みヘビーガドリングで受け止めた。
「絢さん! シメイさん!」
 美海がおろおろとしていると、無月の黒いディアブロが立つ。
『俺の誘い‥‥受けて貰いますよ‥‥』
 黒い悪夢と青い烏賊の奇妙な対決が始まった。
 歓声が大きく沸き、V1グランプリは盛り上がりを見せる。
(「後は逃げ切り‥‥どこまでやれるか」)
 ツァディはそんな中、キョーコ機とアルヴァイム機からペイント弾の目潰しを与えながら逃げ出した。

●勝者確定
「逃げ回ってるな。こうなれば空爆するぜ」
 ツァディ機が逃げ回るのを確認すると、【NOIR】の亜夜は副武装のロケットランチャーにて空爆を開始する。
 陽子機が場外失格は予想外であり、またサングラスを装備して閃光対策をしていたがペイント弾攻撃に対する予防手段はこうじてなかった。
「奇策で上を行かれるとは思ってもいなかったぜ‥‥」
『落ち着いて、取り返せばいいんだからね?』
 キョーコがそんな亜夜の気持ちを察してか声をかける。
「敵が近づいている! 気をつけろ!」
 亜夜が叫んだ。
 銅塊をもっているキョーコ機に【Lynks】のアキ機とジュリア機が接近している。
『さて‥‥暴れさせて貰うとするか!! リーゲン、援護を頼むぞ!』
『ええ、分かっていますわ』
 ジュリア機が瓦礫に隠れつつスナイパーライフルRにて砲撃を行い、隙をぬってアキ機がキョーコ機に肉薄し、ディフェンダーで切りかかった。
『上手くいかねぇもんですな。だが、それが面白い』
 【NOIR】の稲葉機がキョーコ機の援護に回りこむ。
 銅塊を確保しているキョーコ機をガードするためだ。
 盾になった稲葉機の高出力ブースターに亀裂が入るも破損までには至らない。
『稲葉サンキュー!』
『逃しませんわよ!』
 キョーコ機がその間に離れようとするもジュリア機の砲撃はアッシュ機とリロードタイミングをずらし連射状態で飛んできた。
 直撃は避けて、避けてはいるも足元の瓦礫や目の前の地面に落ちて煙が上がり視界が悪くなる。
「キョーコ! そっちも気をつけろ! 援護で爆撃を続けるぜ」
 亜夜は爆撃位置を固定砲台のようにしているKV達にむけた。
 爆撃が瓦礫を崩し、土煙や砂煙を巻き上げくぼみを作っていく。
 その合間をすばやくツァディ機が駆け抜けた。
「逃がしませんよ!」
 飛ぶようにかけていくツァディのワイバーンへアルヴァイム機のヘビーガドリングが唸りをあげる。
 持っている塊を狙っていたが、ペイント弾でカメラをやられていたため精度が悪くガドリング砲を潰すだけにいたった。
『せっかくのこういう場だ手合わせ願おう‥‥』
 しかし、狙われているのは銅塊をもっているアルヴァイムも同じ。
 【W.B.R】の緋沼機がブースターで近づき、挑戦状を叩きつけた。
 普段は共に肩を並べる味方同士ゆえ、手合わせできる機会は少ない。
「仕方ありませんな」
 射程外へ逃げたツァディ機を放っておいて、アルヴァイム機は緋沼機に相対した。
 二人は共にソードウィングを構え、斬り結びあう。
 金属音が響き、火花が散った。
『さすがだな‥‥』
「そちらも‥‥」
 どこか楽しむ声を残し二人はそのままぶつかりあう。
 そのとき、参加者のコックピットに磨理那の声が響いた。
『試合終了じゃ〜! つぁでぃが逃げ切りに成功したため優勝は決定したのじゃ。皆、戦闘を終了しスタート位置に戻るのじゃ!』
『勝負はお預けか‥‥』
「いずれ、機会があればやりあいましょう」
『出来れば、実戦ではやりたくないものだ』
 アルヴァイムは引き下がり、緋沼機と握手をする。
 試合は終わったのだ。
 
●試合後のひと時
「陸戦運用の暇つぶしだったんだが‥‥まさか優勝するとは」
 表彰式がおこなわれ、『金一封』とかかれた袋を手にツアディは頭を掻きながら控え室に戻ってくる。
「皆さんお疲れ様です。物が壊れなくって何よりでした」
 るなが戦闘時の過激さなどこれっぽちも見せずに、るなはお茶を配りだす。
「そうね。10万Cもらったから、半分ね」
 賞金を貰ってきたシュブニグラスが今回のチームメイトのるなヘ山分け分を渡した。
「俺達も結果10万Cか‥‥ごめんな、もっと俺が作戦上手く考えていれば‥‥」
「結果を悔やんでも女々しいだけですわ。私は面白い試合ができて楽しかったですし」
 脱落しながらも、陽子は笑顔で亜夜から山分け分の賞金を受け取る。
「もうちょっとだったのにね。けど、亜夜が無事だったからあたしはそれで十分だよ」
 元気付けるようにキョーコは賞金を受け取ったお礼とばかりに亜夜の頬にキスをした。
「暑いですなぁ。なんというか、夏以外のもので熱がこもってる気がぁします」
「いやはやもっとも。麦茶でもどうですか?」
「アルヴァイムさんの場合は別の理由がありそうですがなぁ」
 稲葉とアルヴァイムはキョーコと亜夜のやり取りを微笑ましくみながら麦茶をすすりだす。
「わかなちゃんにクラークさん。お疲れ様。ミズキさんや錬君はKVの訓練になったなら嬉しいわ」
 みゆりがチームメイト1人1人に3万Cずつに分配した賞金を手渡していった。
「あ、あのみゆりお姉さん。これ、誕生日プレゼント。ミズキさんや錬さんにはボクの賞金は渡してほしいなー」
 賞金を受け取ったわかなだが、それを返しながら一緒にルビーの指輪をプレゼントする。
「いや、私はもらえないよ。あまりやくに立てなかったし‥‥それにみゆりさんが守ってくれたのもすごく助かってる」
 ミズキが答えた。
「まだまだ未熟だってのもわかったし‥‥クラークさんは俺達を守って武器壊れたようだし。チームにも無理やり入れてもらったようなものだし余分にはもらえないよ」
 錬は悔しさを残す顔でわかなに余分な賞金を返す。
「二人が言うとおりわかなちゃんだってがんばったのだから、賞金を受け取る必要はあるわ。だからもらって? でないと、私もこのプレゼントもらえないわ」
 みゆりは微笑みわかなに二人に分配しようとしてしたわかなの賞金を渡す。
 わかなも素直に受け取り、みゆりがわかなより渡されたルビーの指輪を受け取った。
「誕生日おめでとう、みゆりさん」
 クラークが微笑し拍手をする。
 それに呼応するかのように控え室で拍手の嵐が巻き起こった。
 しかし、1人沈んでいる少女がいる。
「ううう、美海のスコープシステムが壊れてしまったのですよ」
「すみません‥‥でも、勝負は‥‥勝負ですから」
 無月が泣いている美海の肩を叩き慰めた。
 かくして、さまざまな思いの交錯したV1グランプリは幕を閉じる。
 次回は秋、またどこかで能力者達による熱い戦いが待っていた。
 それまではしばしの休戦。
 そして、バグアたちとの本当の戦いを過ごさなければならなかった。
 生きてまた、この戦場で‥‥。