タイトル:キメラで料理ショーマスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/04/22 06:10

●オープニング本文


 関西地方のとあるレストラン。
 最近のキメラ騒ぎで、食材が滞り売り上げが落ちて困っていた。
 そんなオーナーが聞きつけた噂。
 『どうやら食べれるキメラがいるらしい』
 しかし、能力者特有のことかもしれないと一度あきらめかけた。
「でも、オーナー。この店はオーナーの夢だったじゃないですか!」
「続けましょうよ!」
 若き料理人達に背を押されてオーナーが夢を持った原点に戻る。
 それは料理人たちが熱く己の腕をぶつけ合う料理漫画だ。
「そうだな、料理は格闘だったじゃないか。ここは能力者にキメラ料理を作って味わってみよう。おいしければ店の看板になるかもしれない!」
 オーナーは立ち上がり、近畿UPC軍や地元TVと話し合いをつけ能力者によるサバイバル料理大会が行われる運びになる。
 後日、UPC本部にこのような依頼が出された。
 
====傭兵サバイバルクッキング選手権のお知らせ====
開場:船上レストラン『ワンダフル』
条件:食材のメインはキメラを使う事。調味料の持ち込みは可、青果市場で購入できる食材は「1人5000C」まででそろえること。
周辺情報:青果市場まで往復移動30分、牛、豚キメラのいる原っぱまでの往復移動2時間、魚キメラのいる釣り場までの往復移動1時間。そのほかの行動は往復15分刻みで判断します。
制限時間5時間で料理を作ってもらいます。
審査員はワンダフルのオーナーをはじめ一般人ですがおいしい料理を食べてきた人達です。
彼らを満足させるような料理を是非つくってください。
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●やっぱりやるんですか
 本部で依頼が出されたすぐあと、このようなメールがIMP所属のアイドル達に届く。
『でぃあ、あいどるしょっく〜ん。やっとかめ! クッキング依頼があるらしいやね。それに参加してほしいだで。ほら、アイドルが料理つくるって美味そうに見えるだで、参加できたらスタッフ送るからよろしくたのむでよ〜』
 米田時雄からの、無茶振りもいいところな手紙だった。

●参加者一覧

ジーラ(ga0077
16歳・♀・JG
鷹代 由稀(ga1601
27歳・♀・JG
夕凪 春花(ga3152
14歳・♀・ER
ミオ・リトマイネン(ga4310
14歳・♀・SN
小田切レオン(ga4730
20歳・♂・ST
常夜ケイ(ga4803
20歳・♀・BM
雪村 風華(ga4900
16歳・♀・GP
阿野次 のもじ(ga5480
16歳・♀・PN
ラシード・アル・ラハル(ga6190
19歳・♂・JG
鷹崎 空音(ga7068
17歳・♀・GP

●リプレイ本文

●青果一番
 料理大会がはじまると、能力者たちは一斉に開場であるレストランから青果市場へ走りだした。
 新鮮な野菜選びは速度が命である。
「料理勝負に惹かれてきたけれど‥‥」
 鷹崎 空音(ga7068)はつぶやきつつ、魚団子のグラタンに使う材料を買っていた。
「朝掘りの筍、いいのあったらいくつか見繕ってもらいたいんだけど」
「お、姉ちゃんは最近でてきたアイドルだね? 丁度いいのがあるんだよ」
 和食を作ろうとよった市場で鷹代 由稀(ga1601)を気に入っているらしいおじさんに遭遇し、筍のいいものを分けてもらえた。
 だんだんと知名度が上がっていることが由稀には少しうれしかった。
「料理経験は少ないですが、がんばってみます」
 なかなかアイドル活動に参加できていない夕凪 春花(ga3152)は気合を入れつつ肉じゃがと牛筋煮込みの材料を買いあさっていた。
「んんん、何がいいかな。コレかコレは違うらしい」
 一際目立つ、主催者であるレストランから借りた薔薇薔薇刺繍チャイニーズドレ着用でフルーツをあさっているのは阿野次 のもじ(ga5480)である。
 きのこ・赤ピーマン・パインはいいものを先取りできた。
「食材からが勝負アルよ」
 なぜか語尾が似非中国風である。
 他の面々も何とか買い終え、一度調理場に戻る。
 ここからが本番、メインのキメラ狩りなのだ。
 
●カウボーイアイドルズ
「よし、ラシード。一時休戦して狩るぞ」
「だ、だけど‥‥料理勝負は、ま‥‥負けないからね‥‥っ」
 手を握りあうのは先進アイドル小田切レオン(ga4730)とアイドルを目指すラシード・アル・ラハル(ga6190)の二人だ。
 豚キメラと牛キメラを運ぶためのトラックに揺られながらの硬い握手。
 トラックの上には料理のメインとなる肉を狙った能力者たちが7人乗っていた。
「料理なんて家庭料理くらいしかした事ないけれど‥‥私も狙うわ。子豚をね」
 戦闘服に身を包み、アサルトライフルの手入れをするのはミオ・リトマイネン(ga4310)である。
「バグアパフェなら作ったけど‥‥なんだかなぁ‥‥ボクも牛を狙っているから君達には負けないよ」
 ジーラ(ga0077)はレオンたちを見て気合をいれた。
 ヤル気がなくても仕事は仕事である。
「スタッフさん、米田さんから聞いていると思うけれどカメラよろしくね。いい映像取れるようがんばるから」
 雪村 風華(ga4900)はアイベックス・エンタテイメントから派遣されてきたカメラマンに猫かぶりで上目遣いのお願いをした。
 舞闘アイドルなので、そこで自分を魅せていこうという作戦である。
 いろいろ考えが交錯する間にトラックは豚、牛キメラが良く出るという野原についた。
 そして、早速獲物を早速見つけたミオはトラックから飛び降りて駆け出した。
「と、牛も発見! ラシード、援護頼むぜ!」
「うん‥‥豚のときも‥‥手をかすよ」
 レオンとラシードも、ジーラ達も下りて狩りにでていく。
 子豚キメラや牛キメラは能力者たちを見ると襲いだしてきた。
 この辺が普通の動物とはやはり違う。
 UPC近畿軍が危険区域として隔離しているのだ。
「子豚確保」
 アサルトライフルで狙いをつけ、二連射をあててミオは確保した。
 ずりずりと引きずっていく。
「牛さん覚悟ー」
 生々堂々夕凪が立ち向かえば、林の中から身を隠し、ジーラなどは大きな牛をあえて狙って倒していく。
「このようすなら、他の人の援護はいりそうもないね」
 それほど強くない獲物に残念に思いながらも、今回は料理勝負である事を思い出し倒した獲物を取られないようジーラは確保した。
 カメラマンはそんなジーラや夕凪より別の方を向いていた。
 それは倒した豚と牛を乗せた荷車を引いてチェイスをしているラシードとレオン。
「あの二人、何をやっているんだか‥‥」
 ジーラはそういいながらも笑ってしまう。
 だが、そのときカメラマンの背後に牛キメラが体当たりをしかけていた。
「危ない!」
 武器をとりだそうとするジーラ。
 振り向きながら驚愕するカメラマン。
 だが、牛はカメラマンの目の前で炎に光るオーラを見せた風華によって真っ二つになった。
「危なかったね。ちょっとてまどちゃったし、グロテスクだったかな? 編集の方はよろしくね」
 平然とカメラマンにいう風華はアイドルの時と違い可愛いというよりかっこよくカメラに映っていた。
 所要時間30分で食材確保はすむ。
 
●静かな海で
「なかなかつれないな‥‥ねぇねぇ、アイドルにも興味あるんだけど、僕みたいなのでもなれるかな?」
 魚キメラがいるらしいところまでUPC近畿軍の護衛付でやってきて釣りをしつつ、空音は隣の由稀に聞き出した。
「あ、あたしも聞きたかった。路上アイドルから、本格アイドルになりたいにゃ」
 空音の振った話題に同じく磯釣りに来ていた常夜ケイ(ga4803)が乗ってくる。
「このあたしをみて、なれない保障はないでしょ‥‥自分でいってても悲しいけどさ」
 由稀は自信たっぷりにいったあと、ため息と共に釣り針を眺めた。
 IMPの中では年長組み22歳。
 やはり悩める部分は大きい。
「ただ、今回はアイベックス・エンタテイメントの主催じゃないからちゃんと書類がとどかないと採用されないかもね。とどけば大抵一発だから。あの人」
 はじめて大規模作戦で結成され、空を飛んで活躍した事を思い出し。由稀はつぶやいた。
「あ、糸引いてるっ!」
 ぐぐっとくる強い力に空音が釣竿を持つ両手の甲に翼を象った青い紋章が浮かびあげ吊り上げた。
 ビチビチと暴れる魚キメラをパンチで空音はKOさせる。
「いい性格してるわあんた‥‥」
 その後、由稀もケイも吊り上げ1時間で釣りはすんだ。
「早いところ戻らないと、鮮度がおちるにゃ」
 ケイの一声で船は港を目指す。
 食材は揃った。
 あとは、いかに料理するかである。

●熱き料理バトル!
 食材を集めて戻ってきだす能力者。
「魚組はもう初めているんですね‥‥」
 ミオが食材と共に犬耳メイド服(絶対領域ニーソ仕様)で調理場に入ると無表情ながらも苦戦を感じた。
 調理場に置かれた大きな時計を見ると、3時間15分が過ぎている。
 5時間勝負であるならば、あと1時間45が調理時間だ。
「すぐに‥‥かからなきゃ」
 なぜかミオと同じく半ズボンの少年スタイルのラシードが緊張した面持ちで自分の調理台へと向かう。
「中華は早さが極意! いくアルよ! でんじゃらす・スーパ・あとみっく(中略)わんだふりゃアタック!」
 よくわからない必殺技のようなものを叫びつつ、ロースを角切り、玉ねぎを残像を残しつつ刻んでいくのもじ。
 能力者のとして覚醒しているためか謎のオーラがのもじを包んでいた。
「ルネッサンス情熱ってか、俺も負けちゃいられないな」
 時間内でできる料理、ミミガーの和え物とソーキ汁をレオンは仕上げていった。
 煮込み時間はギリギリ、それでも限界までレオンはがんばる。
「ほ、ほら余った材料分けてあげる‥‥」
 牛しか取れなかった風華にジーラが豚肉の使わない部分を渡していた。
「いいの?」
 意外な対応に風華が戸惑う。
「しょ、勝負はフェアにやる主義なのよ。心配したわけじゃないんだからねっ!」
 少し頬染めつつジーラはそっぽを向いて料理を続けた。

●完成までのタイムリミット
 残り時間は45分を切り出す。
「下準備していたかいがあったわ! 筍ご飯の和定食完成!」
 由稀が筍御飯と鯖キメラの味噌煮とぶりキメラの大根をメインにした定食を完成させた。
「魚キメラのミルフィーユ風パイ包焼きもかんせいにゃ!」
 ケイも魚キメラを使った自信作を出す。
「えっと、平凡ですけれど『肉じゃが』と『牛すじ煮込み』です」
 夕凪も他の凝った料理にためらいつつも自分の作品を出した。
「時間があったので、魚団子のグラタンと魚団子入りオニオンスープだよ!」
 空音も30分早めについたこともあるので一緒に作った。
 筋張った魚の肉を確定した己の体力で無理やりこねたのは企業秘密である。
 他の能力者の料理もギリギリの時間で仕上がっていった。
 だが、のもじだけはタイムオーバーで完成できない。
 スペアリブのディアブロ仕立てという凝ったメニューでなければ完成できたはずだ。

●試食、そして優勝は!
 試食が始まる。
「人を襲うキメラとは思えない」
「どれも筋を上手く取っていますね」
 審査員の口々からいろいろと声が聞こえてくる。
 相談は長く続き、結果がでた。
「優勝は雪村 風華さんの『ふ〜か式キメラハンバーグトマトソース』に決定しました! おめでとうございます!」
「特別賞として、ミオ・リトマイネンさんの『豚焼き肉丼』ヨーグルトでやわらかくした手段を評価します。もう一つ常夜ケイさんの『魚キメラのミルフィーユ風パイ包焼き』となりました」
 盛大な拍手と共に3人がTVでアップでつる。
 それを身ながら、米田時雄は一つの書類を見つめる。
「ラシード・アル・ラハルね。阿木とユニット組ませるとええかも」
 採用のはんこを押して、米田は微笑む。
 また一人、傭兵アイドルが増えた瞬間だった。