タイトル:Mpa〜アイドル学園〜マスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 4 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/05/21 00:19

●オープニング本文


●百科事典再び
「久しぶりに見ましたね。この分厚い企画書‥‥」
「はい。いわなくてもわかると思いますが、あの方面です」
「前よりは薄い気がしますけど‥‥」
 アイベックス・エンタテイメントの事務所では米田時雄と秘書、そしてライディ・王(gz0023)が顔を突き合わせて百科事典ばりの企画書を見下ろしていた。
 表紙には【恋するアイドル〜天下も君も手に入れたい〜】とある。
 以前にMpaのメンバーによる舞台化された作品【アイドル学園〜天下統一を目指す男達〜】と同じアイドル養成学校の生徒を中心にダンスや歌で青春を過ごすゲームらしい。
「主人公は男性か女性か選択できるとありますが‥‥普通に恋愛パートありますね」
「ターゲットは女性です。男同士の絡みも擬似恋愛も思いのままというコンセプトです」
 若干の冷や汗をたらす米田とライディを他所に気合の入っている秘書が熱く語りだした。
「今回はゲームオリジナルキャラということで各自にモデルになってもらう方向だそうです」
「舞台をみた原作者がいつかやってみたいという思いを持ってくださっていたので今回、こうして企画になった次第です」
 水を飲み、一息つくと秘書は座りなおした。
「ゲームのモデル企画は他のグループでもやっていますし、ここは1つやってみるのはありかもしれませんね」
「Impalpsでのタワー・オブ・マーセナリーシリーズやAlpでのフォーゲルマイスター関連もありますからMpaでもやってみるのはありだと思います」
 思案する米田にライディが普通の企画としての観点から賛成の意思をしめす。
「お二人ならそういってくださると思いまして、アイドルたちには私の方から招集をかけました。いつでも企画会議ははじめられます」
「いつも以上に手際がいいですね‥‥」
 『きりっ』とも『どやぁ』ともいえる顔をみせる秘書に珍しく米田はたじろぐのであった。

●参加者一覧

リュイン・グンベ(ga3871
23歳・♀・PN
宵藍(gb4961
16歳・♂・AA
ヤナギ・エリューナク(gb5107
24歳・♂・PN
鈴木悠司(gc1251
20歳・♂・BM

●リプレイ本文

●久しぶりのお仕事
 小さな会議室に数人の能力者が顔を見せている。
「以前の舞台が生んだ縁とでもいうのか、見込まれての仕事ならばそれに答えねばな」
 ただ一人の女性、リュイン・カミーユ(ga3871)は感慨深げに漏らした。
 グループMpaとしての活動が実を結んできているのは嬉しいことである。
「この百科事典な企画書、二度目だけど凄いよな。舞台設定は事細かにできてるし」
 ドンとプリントの束であるにもかかわらず直立する企画書を手にとって宵藍(gb4961)は眺めている。
「ゲームにまた登場できるのも嬉しいもんだな、悠司」
「今度は恋愛ゲームなんだよね? アイドル養成学校ものかー」
 公私共に仲のいいヤナギ・エリューナク(gb5107)と鈴木悠司(gc1251)も企画書をよんでいく。
「遅くなりました。全部読んでるとそれだけで忙しいみなさんの時間をとっちゃいますので、要点だけを抜いた資料をくばります」
 パソコンと資料をもったスーツ姿のライディ・王(gz0023)が4人に資料をテキパキと配る。
 大規模作戦が近いと噂されている今、能力者の存在は各地で重宝されているのだ。
「ああ、そうだ。システム案を少しだしたいがいいか?」
「はい、どうぞ」
 背筋をピンと伸ばし、鋭い視線を飛ばすリュインが口火をきる。
「主人公と攻略キャラの親密度の上下を選択肢だけでなくダンスなんかのボタンをタイミング良く押すミニゲームでも変化させれないかとな」
「シナリオの合間にいれる感じですよね?」
「そうだな。息抜きもあるし、方向修正もできるチャンスがあるのは喜ばれると思う。我のように石橋を砕いて飛び越すやからがいるともかぎらん」
 胸を張って答えるリュインにライディは苦笑を浮かべながら、採用の検討をすると返した。
「あー、親密度については俺もアイディアがあるー」
 悠司が元気に手を上げてアピールを始める。
「親密度は攻略キャラ同士の交友関係でも上下した方が面白いと思うんだけど、どうかな?」
「相性の悪いキャラの片方をあげると片方が下がるみたいな感じかな?」
「そんな感じだよ」
 宵藍の問いかけにうんうんと頭を上下させて彼は答えた。
「相性があっているキャラは一緒に親密度があがるのもいるよな」
「なるほど」
 二人の意見を受けたライディはパソコンに今のアイディアを打ち込んでいく。
「けどさ、これ‥‥絶対薄い本になるよな」
 宵藍の何気ない呟きに、緩んでいた空気が急に冷たくなったのはいうまでもない。

●設定をつめる
 休憩を挟み、資料をまとめ終えたライディが会議を仕切っていく。
「とりあえず、皆さんの考えていただいたキャラクターデータはこちらですね」
 ラフスケッチつきのキャラクター資料を彼は各自に配った。

 ***

 「私は、夢もあなたも欲しいのです‥‥」

 名前:シモン・フォートリエ(CV:リュイン・カミーユ)
 出身:フランス
 口調:「私」、「あなた」or「名前呼捨て」、「〜です、ます」調で礼儀正しい
 容姿:中性的な容姿。銀髪、紫瞳で長い髪は襟足で束ねている
 性格:性格は物静かで穏やか、だが本気で怒りキレると、かなり怖いタイプ
 ポジション:ボーカル
 
 特技・特徴:
 ・制服を着崩さずにきちんと着ている
 ・バイオリンを嗜む

 ***
 
 「お前が笑うと、世界が変わる気がするアル。‥‥もっと笑ってくれアルよ」
 
 名前:蔡・天藍(CV:宵藍)
 出身:中国
 口調:「俺」「お前or名前呼捨て」「〜アル」の典型的中華キャラ口調
 容姿:黒髪ショートカット、金の瞳、小麦色の肌、身長低め(密かにコンプレックス)
 性格:クーデレ、殆ど感情を表に出す事がなく冷静沈着
 ポジション:ボーカル

 特技・特徴:
 ・身軽さを活かしたダンスが得意
 ・歌は透き通るようなクリスタルヴォイス
 ・得意楽器は二胡

 ***

 「あぁん? もう一回いわねぇとわからねぇのか?」

 名前:ノワル・クロフォード(CV:ヤナギ・エリューナク)
 出身:不明
 口調:「俺」、「呼び捨て」、「だぜ、だよなぁ」など不良っぽく荒い口調。
 容姿:髪型は前髪だけオールバックに。後ろ髪は所々三編みにしている。
 性格:偶に出る授業態度は自分の好きな授業以外は態度最悪。その癖、野良猫を放って置けなかったりする。
 ポジション:ベース
 
 特技:特徴:
 ・近寄り難い怖そうな所謂「不良」の雰囲気を醸し出している。
 ・人が近付かないし、自分からもあまり近付かない。
 ・普段は大抵、屋上でサボってる。
 

 ***

 「本当に心を許せるのは君だけだよ‥‥」

 名前:天羽・弥(CV:鈴木悠司)
 出身:日本
 口調:「俺」、「呼び捨て」、「です、ます」など礼儀正しい。
 容姿:ショーヘアで、やや長身。
 性格:明るく元気で、誰にでも懐きそうな雰囲気を持っている。
 ポジション:ボーカル
 
 特技・特徴:
 ・ギターが人並みに弾ける。
 ・誰にでも彼にでも”本当”には心を許していない。

 ***
 
「イメージどおりのラフスケッチがあるけど、こんな短時間でよくできたなぁ」
「いやー、秘書さんがすごいやる気を出してくれて‥‥」
 お世話になっていてかなりの時が過ぎているのだが、中々謎の多い女性だとライディは語る。
「後は人間関係だよね?」
「そうだな。我のシモンはノワルと仲のいい設定を付け加えたいな。意外性があったほうが面白いだろう」
「俺もいいぜ。加えるならノワルと弥(わたる)は仲が良くない方がいいな」
 リュインとヤナギが設定を見ながら人間関係のイメージを広げていった。
「じゃあ、俺の天藍は弥と仲がいいというか相性がいい方向で。人懐っこさに好意を持っているが、接し方に戸惑ってる感じかな」
「そうすると弥はノワルと仲が悪くて天藍といいんだね」
 宵藍と悠司も確認をとりつつバランスを取るようにしている。
「リュインさんのシモンは天藍さんと仲が悪いとなればバランスが取れるかな?」
 人間関係をホワイトボードに○と×で各自の相性をライディが書き込んだ。
 皆は頷いて答える。
「これでOKみたいですね。では、次はCMのために台詞回ししましょう。時間もありますし取るだけとっても無駄にはなりませんから」
 腕時計を確認したライディはてきぱきと次の指示をはじめる。
 頼もしい姿だなと4人は思った。

●アフレコ!
 アイベックス・エンタテイメントの事務所にある音響設備のある部屋へ全員が場所を移す。
 台本の台詞を読み上げ、やり取りをする簡単なものだ。
 4人の能力者は役者の目にかわり、イベントをイメージしながらやり取りをはじめる。

 ――屋上でバイオリンを弾くシモンとギターを弾くノワル。
 ――二人のセッションは心地いい音色を響かせ、通じ合っているのがわかる。
『今日もフォートリエのバイオリン、よかったぜ』
『どうして名前で呼んでくれないのですか、ノワル』
『るせぇな、どうでもいいだろ。そんなことはよ‥‥じゃあな』
『何故、なんですか‥‥ノワル‥‥』
 
 ***
 
 ――食堂での先に席を取っている天藍の隣に弥が座ろうとしている。
『俺の顔に何かついているアルか?』
『目と鼻と口があるね』
『あたり前アル。変なこといってないで座って食べるがヨロシ』
『はいはーい』
 
 ***

「主題歌はどうされます?」
 ライディの一言に鈴木悠司が書き上げたばかりの楽譜をみせる。
「抜かりなくだよ。曲調は爽やかなポップスでイメージしているけどタイトルが決まらないんだよね」
「先ほどのアフレコを聞いていて思ったのはエンディングで共にアイドルになったりするようですから『共に夢の向こうへ』というのはどうでしょう?」
「いいんじゃねぇの? 敏腕マネージャーのセンスに俺は賛成だな」
「我も問題ない。共に進むという意味では攻略キャラ同士の友情も兼ねれる」
 マネージャーの閃きにヤナギとリュインが同意する。
「明るいイメージだしあっているんじゃないか?」
「じゃあ、満場一致で決まりだね。ちょっと皆で歌ってみようよ。デモ音源はいるしさ」
 宵藍と悠司も頷き、マイクの前にたった。
 アカペラでもリズムをヤナギと悠司がとり、タイミング合わせをして4人の歌が部屋に響く。

 ―共に夢の向こうへ―

 ♪〜〜
 
 虹の向こう 風の向こう
 
 きらめく光に この手をのばし
 
 まだ見ぬ景色 キミと共に
 
 〜〜♪