タイトル:【BT】交渉決裂マスター:橘真斗

シナリオ形態: シリーズ
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/07/12 16:20

●オープニング本文


●ドミニカ共和国〜カカオ農園〜
「起き上がってもう宜しいのですか、主」
 壮年のパリッとしたスーツの音が起き上がってきたアスレード(gz0165)の様子を伺う。
「面白い奴らだ。片腕と片足。再生までに時間がかかるのは何年ぶりか‥‥楽しくなってきたぜぇ」
「ですが、無理はいけません。生身での戦闘は控えてください」
「ちっ、てめぇに言われなくてもな。調子をみるためにそこらに散歩に出かけてくるぜ」
 髭を生やしたスーツの男―”ネゴシエイター”宇佐美・澄元―は丁寧ながらもアスレードの様子を心配するように告げた。
 しかし、アスレードは肩をこりこりと鳴らすとその部屋を後にする。
 主の出て行った部屋ではスーツの男と共に軍服を着た女性が残された。
「リーダーは自由だからな何者にも縛られない。だが、そういう自由なリーダーだからこそ我々はここにいることができる」
 軍服の女性―”グリフォンライダー”ジェニス・アンナ―は静かに呟く。
「そうだな‥‥私はこの国の火種を消しにいく。私なりのやり方で‥‥」
「分かった。こちらも戦闘の準備は整えていく。リーダーに無理をさせるわけにはいかない」
 宇佐美とジェニスは互いに決意を瞳で語ると別れて動き出すのだった。
 
●ドミニカ共和国〜首都 サント・ドミンゴ〜
 バグアに制圧されて、一年以上立つ首都ではハイチでのアスレードの撤退劇もあり反バグアの勢いが増していた。
 キメラによる攻撃におびえていた民衆が立ち上がっていたのだ。
 過去にバグアのアリキメラの攻撃で軍事警察も市民も多く死んだ過去があるというのにも関わらず、自由のために立ち上がっている。
「また、市民を犠牲にしてでも戦うというか? これで手を引いて楽に暮らす方が最良と判断するが」
 そんな状況のさなか、ホテルのVIPルームでは宇佐美が軍事警察のトップに金塊の入ったジェラルミンケースを積んで交渉を持ちかけていた。
 アスレードの支配下であるドミニカ共和国は戦略的な拠点でもないために派手な侵略は押さえられている。
 服従すれば相応の自由が与えられているのだ。
「こちらとしても、無駄な血は流したくはない‥‥そちらの申し出を受けよう」
 軍事警察のトップは金塊のケースを受け取ろうとしたとき、ホテルが揺れる。
「バグアに加担する軍事警察は不要だ!」
「我々は独立を求めている!」
「この国からバグアを追い出せ!」
 大きな主張が続いて聞こえ、銃声が鳴り響いた。
「交渉は決裂か‥‥ならば、実力行使でこちらも向かわせてもらおう。私にも守らねばならないものがある」
 宇佐美が指を鳴らすとVIPルームの窓を割って巨大な腕が伸びてくる。
 伸びてきた黒い腕は宇佐美と金塊のケースをつかむと引っ込んだ。
「くそっ! 逃げられたか! だが、こちらも能力者を呼んでいる! 早く呼び出せ! 首都を開放するべく戦うのだ!」
 レジスタンスのリーダー格の女が銃を掲げて仲間に指示を飛ばす。
 軍事警察のトップを捕縛し、手際のよい動きをレジスタンスは見せていた。
 
●交渉とは
 地面を掘って地上に姿を見せたのは宇佐美を乗せた黒いゴーレムのほかにもアースクエイクが2体出る。
「空中からの進入は通常配備しているレックスキャノンとヘルメットワームが先に対処をするはず‥‥。私は威圧作戦にでるのが常道だな」
 コックピットの中で宇佐美は飾ってある少女の写る写真に目をむけ、一度伏せる。
「お前を助けるには人間の技術、そして国のシステムでは無理だった。バグアの力であろうとお前が助かってくれるのなら私はこの体、そして命も惜しくはない」
 操縦桿を強く握り、宇佐美はサントドミンゴ市内で暴動を起こすレジスタンスに目を向ける。
「交渉は決裂だ。その身をもって代償を払ってもらおう!」
 黒いゴーレムの目がが宇佐美の言葉と共に光った。

●参加者一覧

榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
葵 宙華(ga4067
20歳・♀・PN
宗太郎=シルエイト(ga4261
22歳・♂・AA
井出 一真(ga6977
22歳・♂・AA
山崎 健二(ga8182
26歳・♂・AA
レティ・クリムゾン(ga8679
21歳・♀・GD
綾河 零音(gb9784
17歳・♀・HD

●リプレイ本文

●想いのトライアングル
「”ネゴシエイター”に”グリフォンライダー”がこのバミューダにおけるアスレード(gz0165)の右腕となる存在ね。ネゴシエイターはその名前の通りの外交向き、グリフォンライダーは元戦闘機乗りで空戦のスペシャリストよ」
 葵 宙華(ga4067)は得てきた情報を端的に告げると眼下のイスパニョーラ島をみる。
 バミューダ海域に浮かぶ小さな島だが、二つの国家があり、そしてカカオがあるからとアスレードが居ついた場所でもあった。
「今回は姿は見えないけれど、いつか繋がるでしょう。その日の為に‥‥」
『つーかさぁ、ピッツバーグからぜオンの相手をして駆けつけたのにアスレじゃなくてネゴなんとが相手って何?』
 愚痴を漏らしたのは綾河 零音(gb9784)で、北米での戦いからの緊急参戦だったのだが、機嫌が悪く刺々しい。
『しかも、アメと鞭で地元民脅してるとかまじありえないんですけど』
『愚痴りたいのもわかりますが、出迎えがきたようですよ』
 苦笑する井出 一真(ga6977)がヘルメットワームの接近を知らせて来た。
 さらには地上から拡散プロトン砲による対空砲撃すら襲いかかってくる。
『空ぁ〜と敵と〜の間〜には〜、今日ぉも激しい弾が降る〜っとくらぁ。零音ちゃん、怒りは言葉と共にぶつけに行こうぜ』
『言われなくてもわかってるよ!』
 零音とペアを組む山崎健二(ga8182)が陽気に歌いながら煽った。
 口ぶりは軽いもののレックスキャノンのプロトン砲を回避しながらヘルメットワームに向けてディアブロ改『Baalzephon』を飛ばす。
 ディアマントシュタオプ『アメティストス・オリオン』の零音機が後に続いて飛び、強化型G放電装置を放った。
 眩い光が空を包み、接近してくるヘルメットワームの動きを怯ませる。
「行きましょうか」
 心強い仲間の行動を見回した葵は薄く笑った。
『目標選定、マルチロック。セイフティ・リリース。ミサイル斉射!』
 井出の乗る阿修羅改『蒼翼号』がK−02小型ホーミングミサイルを空に広げる。
 旧式といえる機体ではあるものの、KV好きがこうじて整備士にまでなった井出がメンテナンスやカスタマイズを続けて来た為に後続機には遅れをとらない性能だ。
 ホーミングミサイルの煙が地上のレックスキャノンから自機を隠している間に、十式高性能バルカンが火を噴きヘルメットワームの甲殻のような装甲を穿つ。
「過去の依頼から無人機は自爆に気をつけなさい」
 その隙を逃さず、葵機がヘルメットワームをソードウィングで斬り裂いた。

●ドミニカの大地を踏む
 頭上にミサイルで雲ができたとき、水中で待機していた能力者達は砂浜から進軍を開始する。
「ここのレジスタンスは勇ましいねぇ‥‥応えてやらなきゃ、男が廃るな」
 宗太郎=シルエイト(ga4261)はビーストソウル改で地殻変化計測器を埋め込み、引っ張りあげた終夜・無月(ga3084)のミカガミ『白皇 月牙極式』は周囲を警戒し”ネゴシエイター”の黒いゴーレムを目指して走った。
『サント・ドミンゴ奪還作戦か。俺たちの働き如何で作戦の成否が決まるとあれば最善を尽くすしかあるまい。これだけのメンツが集まった以上、俺も恥をかかないようにせねばな』
『エルドラドの時とは違う。市民が立ち上がったのは大きな力だ。被害はなるだけ抑えたいな』
 榊 兵衛(ga0388)のリヴァイアサン『興覇』とレティ・クリムゾン(ga8679)のリヴァイアサンも地殻変化計測器を設置していく。
『地殻変動計測機に反応あり、アースクエイクもくるぞ』
 レティからの声を聞き、地上にいた能力者達も身構えた。
 足元が揺れて、街の存在など気にもしない、バグアの生体ワームが地面を食い破り現れる。
「早々ボスを相手にさせてはくれないか‥‥けど、俺もここのボスには用があるからなぁ!」
 宗太郎は震えるコックピットの中で武者震いをはじめた。
 このイスパニョーラ島にはちょっとした縁がある‥‥一人の少女と少年の再会と別れを見取った縁である。
「まずはネゴシエイター、てめぇからだ!」
 震える地面の上を滑るように駆けて、宗太郎は黒いゴーレムに向けてRA.2.7in.プラズマライフルを構え、トリガーを引いた。
 迸る光る弾にあわせるように街中のレジスタンス達も動き出す。
 中米の小さな島で、バグアへの反抗が始まった‥‥。

●巨獣対巨人
「そこだっ!」
 レティは地面を震わせ、すべてを飲み込もうと口をあけて飛び出してくるアースクエイクに向けて試作型「スラスターライフル」を叩き込みつつ、街中から外へと誘導するうようにバックステップしていく。
 巨体が街中を通るだけで天災が起きたかのような傷跡が残るが、海岸部へ誘導さえしてしまえばその心配は最小限ですむ。
 レティとしてはこの街の機能を残した上で勝ちたいのだ。
『街や人を食らうよりも、こいつを食らえ!』
 海岸部で控えていた榊機がG−44グレネードランチャーをアースクエイクの口へと飲み込ませる。
 内部で爆発がおき、アースクエイクの巨体が悶えた。
「火力を集中! リロードを絶やすことなく、攻めていくぞ!」
 悶えるアースクエイクに向けてレティがスラスターライフルを更に撃ち込んで榊機の武器を持ち替える時間を稼ぐ。
 幾多の戦場を渡り歩いてきたベテランの戦い方であった‥‥。

***

「山崎、先に降りるから援護よろしくっ!」
 強化型G放電装置を使い切った零音は強引にヘルメットワームが味方機と戦う中、街中へ着陸する。
 垂直離着陸能力を持っていないディアマントシュタオプでの強制着陸は隙が大きく、そこを狙って、レックスキャノンの砲撃を受けることになった。
「いったたたた。着陸距離とか計算してなかった」
『おいおい、まったく自由すぎるんじゃないの、零音ちゃんよ』
 ペアを組む山崎も1機のヘルメットワームを落とすと地上に降下してくる。
 サン・ドミンゴの街並に不釣合いな巨人が2体立ち上がり、これまた不似合いな恐竜に立ち向かおうとしていた。
「こっちはいらだってるんだからねっ、陸戦だったら、あんたには負けないさ!」
 RA.1.25in.レーザーカノンを連射しつつ八つ当たり気味にレックスキャノンとの間合いをつめる。
『あまり町に被害をださないでくれ、無理にとまではいわないが‥‥』
 荒れる戦いぶりにレティが思わずため息などの混ざった注意を呼びかけてきた。
「そういうのはあっちにいってよね」
 零音はレックスキャノンが背中に背負っている拡散プロトン砲を辛うじてよけつつ答える。
『もともとバグアさんにとっちゃ人類はどうでもいいからね。ともかく、体表が変わったぞ』
 山崎が声をかけるのを零音が確認すると、言葉通りにレックスキャノンの体表が知覚に特化したものに変わった。
「じゃあ、こんどはこっちが支援、そっちがメイン」
 レーザーカノンをリロードしつつ山崎機をレックスキャノンに向かわせる。
『早いトコ親玉を黙らせたいンでな、とっとと墜ちやがれッ』
 M−12強化型帯電粒子加速砲を撃ち込んだ。
 光り輝くビームがレックスキャノンの背中にあたり爆発を起こす。
 続けざまに試作型「スラスターライフル」に火を噴かせて、レックスキャノンの業火に包み込んだ。
「よっし、まずは1体! 他が邪魔しなければ‥‥ネゴ何とかを殴りにいく!」
『ネゴシエイター。交渉人って意味だぜ、零音ちゃん。そんで持って、恐竜さんはもう1体いるみたいだぜ』
 意気込む零音に向けて山崎が突っ込みを入れる。
 巨獣との戦いはまだ続きそうだった。

●黒と白と
 ガギィンと無月機の機槍「ロンゴミニアト」と黒いゴーレムのパイルバンカーがぶつかりあった。
『これはやってくれるな』
「そちらも‥‥やります‥‥ね」
 無月はロンゴミニアトの柄でゴーレムをついて、距離をとる。
 そこにすかさず宗太郎機の放ったプラズマライフルが右腕のパイルバンカーにあたって吹き飛んだ。
『はっ、これでご自慢の腕も使えないだろ! 無月! 一気に仕掛けな!』
「いうまでも‥‥ありません」
 無月は水中キットをつけてて機体性能が低下している愛機を自らの体の延長とでも言うように巧みに動かし、黒いゴーレムに向けて追い討ちを仕掛ける。
 重く、鋭く走る一撃一撃は黒ゴーレムの装甲を次々と貫く。
『だだ、私は負けない。負けるわけにはいかない。娘の命のために、私は自らの体を差し出したのだから!』
 黒いゴーレムが両肩のドリルを回転させて地面に潜っていった。
『宗兄、そっちにアースクエイクも近づいていっているから、気をつけて』
 上空でヘルメットワームと戦う葵から通信が入ってくる。
 足元の振動が更に大きくなり、巨大な敵の接近を知らせていた。
「面倒‥‥です、ね」
『ヘルメットワームはあと少しで片付きますから、援護にいきます』
 井出からも通信が入り、無月は目を閉じて今後の動きをシミュレートする。
 敵の戦力と味方の戦力、バランスよく動けば黒いゴーレムを倒せるだけの仲間達だと確信した。
「宗太郎さん‥‥俺らは、黒いゴーレムを追います」
『了解、他の味方さんはミミズの相手頼むぜ!』
 地殻変化計測装置から届く数値から、アースクエイクほどではない振動を探り2機は黒いゴーレムを追いかける。

 ***
 
『宗兄と無月兄‥‥ずるい。私も組みたかった』
「何かいいました?」
『何でもないわ。早いところヘルメットワームを食い散らかして援護に向かいましょう』
 急速接近してくるヘルメットワームを回避し、ソードウィングを機体の捻りを加えながら当てる。
 阿修羅とワイバーンという獣型の地上形態を持つ2機だが、井出と葵は戦闘機状態でも、まさに獲物を追う肉食獣のような動きを見せていた。
「これで、ラストです」
 井出がトドメとばかりに十式高性能バルカンを撃ち込んで最後の1機を落とす。
「K−02小型ホーミングミサイルが残ってますが、地上に撃ちましょうか?」
『やめておいた方がいいわ。あたるあたらないどうのもあるけれど、この場所では以前情報工作が行われて私達能力者が悪者にされたことがあるのよ』
 葵の言葉に井出は息を飲んだ。
 眼下には敵がいるが、街がある。
 逃げ惑う人もいるはずであり、混乱しているのは確かだった。
 K−02小型ホーミングミサイルを地上に撃った場合、どうなるのか改めて考えれば明らかである。
「自分と同じ人を増やしたくないですしね」
 バグアの襲撃で知人を失い、難民キャンプで過ごしたことが井出の脳裏に蘇って、ミサイル発射を踏みとどまった。
「早く片付けましょう」
『ええ、アースクエイクを倒さないと厄介だものね』
 既に火の手の上がりだす街に2機のKVは降りていった。

●黒き交渉人、散る
 再び地上に黒いゴーレムが姿を見せたとき、地殻変化計測器で振動を捕らえ、各機でリンクさせていた能力者達は回りこむことに成功していた。
 レックスキャノンをすでに片付けた山崎が一手先にと動き出す。
「アンタの強さ、直接確かめさせて貰うぜ!」
 機刀「セトナクト」を振りかざして黒いゴーレムに山崎が一撃を与えた。
『ぬぐっ、ここまで動けるとは‥‥成長速度をみあやまったのか』
『とりあえずいろんな意味で邪魔なんでいろんな意味でサヨウナラしてもらおうかな‥‥あんたなんかが部下じゃ、アスレが可哀想だよ』
 山崎の一撃を受けた黒いゴーレムに向かって零音機が迫り、練剣「白雪」が煌く。
 レーザーナイフともいえる長さの刃がよろけていた黒いゴーレムの右肩にあったドリルを貫いた。
『まだだっ! まだ終わらんぞ!』
 接近した零音機をパンチで転がし、黒いゴーレムは能力者達を振り払おうと突き進む。
『それだけの覚悟‥‥なぜ、人類のために‥‥使わないのです』
 無月が更に追い込みをかけようと一定距離を開けた状態で、ロンゴミニアトの突きを繰り返し叩き込んだ。
『人類は愚かだ。権力と金で動いている。逆をいえば持たないものはこの世界では生きれない! だから、私はっ!』
『御託はうるせぇんだよ!』
 機盾「ウル」を構え、無月と同じロンゴミニアトをかまえた宗太郎機が《剛装アクチュエータ『インベイジョン』A》とブーストを使って距離をつめ、無月機の反対側から逃げ場をなくすように突きを放つ。
 横に大きな穴をあけて、更に黒いゴーレムは破損箇所を増やした。
「へっ、どうやら相手が悪かったようだな‥‥死んでもらうぜ、交渉人のおっさんよっ!」
 初見で倒せるとは思っていなかった山崎だったが、チャンスを逃すわけにはいかない。
 すでに強敵を相手にぼろぼろとなった黒いゴーレムにとどめを刺さんとセトナクトを横にないで黒いゴーレムを切断した。
 そのとき、アースクエイクが倒れ、サン・ドミンゴの戦いは幕を閉じたのである。

●これからのこと
「貴方が、レジスタンスの代表か‥‥能力者のレティ・クリムゾンだ」
「私が代表のレジーナです」
 能力者の何人かの希望があったこともあり、レジスタンスとの会談の場を設けることができたのだ。
「今回の出来事は大きな一歩だと思う。市民みずから立ち上がり、戦ったのは自由をもとめるたたかいだからだな」
「そうです。犠牲は出てしまいましたが、このままバグアに支配されるよりははるかにましです」
「勇ましいことだな」
 レティとリーダーが互いに話を続けていると、酒を軽くあおった榊が不敵な笑みを浮かべる。
「今回の首都奪還は大きな力になるはずです。これからもこの国を解放するために‥‥力を貸してください」
 戦闘中は厳しい姿を見せていたレジーナは普通の少女のように頭を下げて能力者に協力を求めたのだった。