●リプレイ本文
●会議開始
「それではフォーゲルマイスターのOVAアニメ化に関する会議の方を始めたいと思います。今回、皆さんに考えていただきたいのは皆さんが声を当てるメインキャラクターとなります」
会議の進行をしながらライディ・王(gz0023)は改めて依頼内容を確認する。
集まっているアイドルは鷹代 由稀(
ga1601)、椎野 のぞみ(
ga8736)、テト・シュタイナー(
gb5138)、エイラ・リトヴァク(
gb9458)の元となった携帯ゲームからの参加組の4人。
天戸 るみ(
gb2004)、セラ(
gc2672)、若山 望(
gc4533)、毒島 風海(
gc4644)のアニメからの参加組4人だ。
そのうちセラは9月にAlpに加入したばかりで、望と風海も候補生からこの依頼から正式にメンバーとなったのである。
また、スポンサーの代表と脚本家が一人ずつ参加していて、会議の結果等を監督を含めた製作委員会で纏め上げる形となっていた。
「ええと、はじめに言っておきますが、今回はOVAなので全3話、多くても6話くらいのボリュームとなります。そのため長い演出はできませんとのことでご了承ください」
ライディが申し訳なさそうに説明を追加すると、アイドル達の一部は顔に悩みを見せる。
「‥‥では、緊張しますが1番手で行かせてもらいたいと思います」
そんな中、望が自分のアイディアを真っ先に披露した。
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『キャラ設定』
山本 若菜
■性格等
別部隊から転属してきた狙撃手。経験は浅いが狙撃手としての才能の片鱗が見え始めている。
転属当初は必要以上話さず、無表情、淡々とした話し方だが、皆と打ち解けて行くうちに普通の女の子らしくなってくる。
ゴスロリ、ゴシック、ロリータ系の服を蒐集しているという秘密を持つ。
『機体設定』
DRM−1 リンクス
■スペック
命中と攻撃、装備を強化されている。
また、推奨装備フル搭載状態。
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「最初は推奨装備フルでなくてもいいので、お話の展開次第で最後にはフル装備にできたらと思っています」
淡々とではあるが、なるべくはっきりと意志が伝わるように望は話す。
彼女は普段は冷たい印象を与えがちなので、今は滑舌や歌のトレーニングを心がけているのだ。
「望ちゃんの印象そのままな感じなんですね。私は声をやるならということでこんなものを考えてきました」
続いて意見をだしたのは天戸だ。
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『キャラ設定』
ツカサ・アイヒベルガー
■性格等
父親がドイツ人の日独ハーフの男性。
終始目を細めて笑顔を作っており何を考えているのか分からないところあり。
年齢的には一応成人しているのだが非常に無邪気で、高校生くらいに見える外見と相まって年相応には全く思えない印象を持つ。
父親の家系が騎士の家系であり、自身も騎士道精神の影響を強く受けている。
まだ見ぬ誰かを守る騎士でありたい。そう願い、彼は今日も自身の盾を磨き続ける。
怒ったり本気になると目を開ける。
『機体設定』
MX−0P リーベンディッヒ
■スペック
サイファーを素体にツカサ用に組み上げられた機体。
機動力、防御力の双方が飛躍的に伸ばされており両肩から展開するウイングシールドとフィールドコーティングの力によって戦場を掛け巡る動く盾としてのチューンが施されている。
代わりに攻撃特性には難を見せており、騎士としての剣こそ装備してあるものの主にミサイルなどの弾そのものの火力に頼った兵器が多く搭載されている。
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「女性声優の性格子供っぽ〜い若い男性って事で女性ウケ狙いですね。あとは所謂おとぼけキャラですので、ネタとしての男性のウケを狙えれば‥‥って感じです」
「物凄く主人公な感じの印象を受けますね。このキャラを主軸に話を作るのもいいかもしれません」
天戸の提示してくれたキャラクターは同席している脚本家やスポンサーも中々好印象を示している。
「しゅ、主役のような大役は果たせるか解りませんがなったら精一杯やらせていただきます」
ぐっと拳を握って答えると天戸は席に座りなおした。
「じゃあ、次はセラがいくよ! セラってばAlpになってはじめてのお仕事だよ! がんばるよ!」
ぴょんと飛び上がり、笑顔を向けるとセラは説明をはじめる。
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『キャラ設定』
セレス・レイバード
●性格等
冷静で礼儀正しい中学生ぐらいの女の子。金のセミロングで軍服姿。
戦災孤児で幼いころから軍に引き取られて訓練を受けていたため確かな戦闘力とリアルな死生観を持つ。
そのためドライに見えるが本当は気配りの出来る優しい子。
一般的な少女が関心を持つことに共感できず、無理に理解しようとして戸惑う面も。
『機体設定』
ブリッツ
●スペック
重装甲と試作型ブースターによる加速力を併せ持った突撃用機体。
新開発のブースターテストのための実験機で、性能はピーキー。
重装甲過ぎて装備が限定されるため、ワイヤーアームと突撃仕様ガトリングのみ搭載している。
肝の突進力は確かなものだが、加速力が高すぎてパイロットへの負担が半端じゃない。
動作がいちいち重いため、先読みじみた操縦センスが要求されるなど、いまいち使い勝手が悪い。
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「セレスは基本クールで日常パートだと天然というかぼけた感じが出せたらいいなって思ってるよ。ブリッツの性能は尖っていく感じなっていけたらいいかな?」
小首を傾げつつセラは普段の自分よりも年上のキャラと自分の考えたオリジナル機体の設定を述べた。
天戸と同じくアニメだからこそできることに挑戦している。
「えっと、あたしの方なんだがゲームのキャラをアニメ用に作り変えてみたんだけどよ‥‥」
新規参入3人の勢いに少し気おされながらもエイラが自分のキャラを出した。
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『キャラ設定』
サーシャ・ユーティライネン
■性格等
男勝りで男嫌い生意気だけど寂しがり屋なツンデレ。
記憶の消された後は少女っぽさが増すが隠すためかえって男勝りに。
孤児院育ち趣味は機体整備やガレキ作成。
小さい身長を実は気にしているため子供扱いされるとキレる。
僚機仲間の為なら自分の命など省みない。
当初は敵だが上の配下に襲撃を受け愛機を大破され記憶を消された上、死んだ事にされる。
拾われた恩義に報いる為戦うが何故距離を取られている事と自分に対してに葛藤する。
出生の秘密や姉であるティーダとの戦いで成長し利用した組織を潰す事を誓う。
『機体設定』
スカイセイバーカスタム『ラーズグリーズ』
■スペック
ブレイブソードと推奨兵装を掛け合わせた可変槍ランドグリーズ武器に戦う機体。
地上格闘・空中格闘に特化トルネードブリンガーというブーメランを牽制に使用し弱点を補う。
カラーリングは銀と青色で騎士のような外見をしている。
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「話数が少ないってことだからメインは味方というかImpalps隊に入ってからのだけにしておいた。シリアスを重視したいとは思ってるんだ」
アニメ版とゲーム版で差を持たせるという考えはスポンサー側としてもありということでこの意見もすんなり通った。
「大分話し込みましたので、一旦休憩を入れたいと思います。残りの方はそのときにお願いします」
時計を確認したライディの一言で会議の空気が和らぐ。
のぞみの持ってきた芋蒸しケーキを食べつつブレイクタイムをアイドル達は取るのだった。
●会議佳境
「じゃあ、姉の方をここで出しておくべきだよな。俺様のキャラはこれだ!」
どんな人物が相手だろうと俺様スタイルを崩さずテトが自キャラの解説をはじめる。
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『キャラ設定』
ティーダ・ユーティライネン
■性格等
我が強い俺様系キャラで、他者、特に敵を見下す傾向がある。
所謂一つの理論派。頭の回転が速く、対応力に優れる。
表には出さないが、仲間を大事にするタイプ。孤児院育ちである経緯が影響している。
孤児院出という経歴にコンプレックスがあり、その影響で強い出世欲を持つ。
強烈な上昇志向の持ち主。
孤児院でも一緒で血のつながった妹であるサーシャと何度も戦い、葛藤しながら最後にはサーシャに全てを託して散る。
『機体設定』
F−201D/A3−SP『デイ・クレイン』
■スペック
ポータブル版の乗機をアニメ用に再設定。
機動性重視のフェニックスに、セイバーパックと呼ばれる装置を装着させた機体。
セイバーパックとは、スカイセイバーで培った技術と経験を元に開発された空中格闘能力強化装置の事で、フェニックスの空中格闘能力を格段に向上させる事が可能。
但し、コストはかなり高い為、現状では隊長クラスにしか与えられていない。
パック装着の結果として高出力でブン回す機体と成った為、非常にピーキー。
カラーリングは青をベースとし、所々に白色のラインが入る。
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「ま、キャラのほうはゲームと一緒だけど、仲間にならない方向を考えてるぜ。漢[おとこ]らしく散るライバルキャラも必要だと思ってよ」
ニヤリと笑みを浮かべてテトはキャラ紹介を終える。
「じゃあ、次はボクのキャラを発表します」
続いてのぞみがキャラの設定紹介を始めた。
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『キャラ設定』
柏野 望
■性格等
誰とも仲良くなれる元気な笑顔が似合う女の子。
家事全般も得意でいつも小隊内で料理や家事を一手に引受る。
ただ笑顔の裏で心の傷があり。そのことで少し暗くなる時がある。
心の傷は前の小隊の隊長を自分のミスで殺してしまったこと。
戦いと向きあい、Impalps小隊メンバーとの交流を通じて、本当の笑顔を取り戻す。
『機体設定』
ディアブロ改 トリプルフェイス
■スペック
攻撃と回避、そして知覚を特化して強化。
先行突撃なのは代わらないが、作戦によっては知覚武器を使っての支援攻撃の幅も広げた。
ダブルフェイスよりも「攻撃は最大の防御」を体言できるように強化を行っている。
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「トリプルフェイスはゲームのときに使っていたダブルフェイスの後継機で話の真ん中くらいで乗り換えれたらなって思ってます」
ゲームとは違った展開を別の方面で広げようというテトとのぞみの意見に脚本家の男は興味深く耳を傾けていた。
長く触れ合っている分、キャラへの愛着や造詣が両者はしっかりしている。
「じゃあ、あたしの番ね」
コキコキと首を鳴らし、由稀が立ち上がった。
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『キャラ設定』
ユキ・ラグナイト
■性格等
基本的にノリで動く気さくな姉御系。エースクラスの技量を持ち、判断は至極冷静。
隊長と呼ぶのはNG、ユキさんとお呼び。趣味は隊員弄り。
頼れる副長が転属してしまったため、デスクワークに泣いているらしい。
万敵の嫌がることしかやらない」タイプだが、気まぐれで敵の得意分野に乗ることもある。
『機体設定』
アドラー
■スペック
イグナイトの改修機。専用武装は無し。
”万能”を徹底的に突き詰めた機体。数値的には装備値除いてALLフラット。
スクラムジェットブースターを標準オプションとしている変態機であり、通常の変形とは別にSJB装着専用形態を持つ。
スキル:バレットファスト、PRMシステム、垂直離着陸機構
〜〜〜
「ゲーム版の愛機のイグナイトは第一話で大破。改修のためにユキは暫くシラヌイに搭乗で、それから後で乗るのがコレってことでね」
端的にまとめるが、現実では出来ないスクラムジェットブースターを標準オプションで混ぜるなど拘りが端々で見えていた。
「皆さん‥‥すごいです。顔を出さない‥‥ということで、その、歌とか声で‥‥お役に立てればと思いまして‥‥。一応、考えてきたのですが」
隅の方で目立たないようにしていた風海が遠慮がちに手を上げる。
声は少女なものの、フードを深く被っているため顔は見えなかった。
それでも、彼女にとっては顔を見られることは命がけとなってしまうので仕方ない。
♪〜〜
『キボウノトリ』
群青深く映した 海の画布に風纏う
黒く煙る暗雲を 突き破れフォーゲルマイスター
遠く沈んだ 未来[あす]に俯き
彷徨う瞳 錆び付いた心
触れた感情 ふわり緩衝
君の想いが 僕に火を入れた
掴んだ希望は 銀の翼
心駆ける インパルス
音速の壁を越えて
さあ明日を架けに往こう
戦える 君が側にいる それだけで
全ての灯が落ち 紅い闇が満ちても
煌く星を掻き集め 照らし吹き飛ばしてみせる
―Getting my star!
羽ばたける 君が側にいる それだけで
この想い燃やし 明けの空のその上
遥か宇宙[そら]の彼方までだって飛んでみせる
〜〜♪
綺麗な歌声に思わず視線が集中してしまう。
勉強のためにと控えめなことをいってはいた風海だが、主題歌を自作してくる内なる力は侮れなかった。
「こ、こんな感じ‥‥です。ええっと、キャラ設定の方に移りますね」
照れくさいのかフードをより深く被り顔を隠しっぱなしで風海は話を続ける。
〜〜〜
『キャラ設定』
リト・カザミ
■性格等
元民間人。14歳の半ズボン美少年。
戦火に巻き込まれ、偶々側に墜落してきたGFVに搭乗し、なし崩し的に戦う事に。
柔軟な思考で不利な状況を機転で切り抜けていくが
精神的に幼く、大人と衝突したり、失敗してネガることも多い。
最初は女の子だと思われていたが、後に男と発覚する。
『機体設定』
GF−Vマテリアル
■スペック
拡張性に優れる汎用量産機。
弱小機体だが、少しずつ改良され、リトと共に成長していく。
〜〜〜
「こちらはこちらで主人公っぽい感じですね」
「巻き込まれ型は王道ではあるかな、確かに‥‥」
スポンサーと脚本家がリトの設定にああでもない、こうでもないと話をしている間に風海はイスに座って静かにうずくまった。
「一応これで、全員分の発表が終わりましたね‥‥。お疲れ様でした」
ライディが一声かけるとアイドル達‥‥特に、今回から参加した4人は肩の力を大きく抜く。
「詳細が決定したら、収録のために連絡すると思いますがそのときは宜しくお願いします。それで問題ありませんね?」
先方に確認を取ると話を止めた二人が頷き、会議は終了した。
メディアミックスの第一弾として、VMは新たな世界へ羽ばたく‥‥。
そして、新たなアイドル達もここから羽ばたいていこうとしていたのだった。