タイトル:IMP〜HWライブ〜マスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/10/17 13:11

●オープニング本文


「世間はハロウィンムードだがね〜」
 じゅじゅーっとアイスカフェラテを吸いながら米田時雄はカフェテリアから大阪の町を眺めている。
 アロハシャツにストローハット、更にサングラスと少し暑い今年の秋らしいとも言える格好をしているのはオフだからだ。
 たまには息抜きをして、仕事に励む。
 その切り替えが成功の秘訣と思い、この数年米田はがんばってきた。
「ハロウィンをテーマにしたのは北米に慰問に行ったとき以来だがや。懐かしいもんだがね〜」
 カフェテリアを後にして、街をあるけばテーマパークのハロウィンのチラシが目に付く。
 仮装した人々が楽しそうな笑顔をみせていて、思わずこちらも楽しくなってきた。
「次のDVDとCDはハロウィン物を作るとするがね、そういえばエイジアの方で空いているステージを使って欲しいという話が‥‥」
 ひと時の休息は終り、すぐさま仕事モードへと米田の頭は移行していく。
 秋の一大イベントであるハロウィンに小悪魔たちが舞い降りようとしていた。

●参加者一覧

葵 コハル(ga3897
21歳・♀・AA
常夜ケイ(ga4803
20歳・♀・BM
大和・美月姫(ga8994
18歳・♀・BM
終夜・朔(ga9003
10歳・♀・ER
嵐 一人(gb1968
18歳・♂・HD
舞 冥華(gb4521
10歳・♀・HD
フェイト・グラスベル(gb5417
10歳・♀・HD
夜刀(gb9204
17歳・♂・AA

●リプレイ本文

●変身タイム
「こういうハロウィンイベントはImpだけだったときに北米でやったとき以来だよ」
 葵 コハル(ga3897)はどこかしみじみとしながら、女吸血鬼をイメージした露出の高い衣装に身を包む。
 普段が男の子っぽい格好の多いコハルとしてはギャップを押し出す方向だ。
「そうですね。確かに‥‥懐かしいです」
 大和・美月姫(ga8994)は手渡しするお菓子と共に、カボチャの形をしたメッセージカードを準備しながら微笑を浮かべる。
 初期のImp結成から9ヶ月、日本での地盤を固め、海外へ進出しようという企画の一つだった。
 あれから新しいグループがいくつも出来て今があるので、懐かしむのも無理は無い。
「ライブハウスだとステージと客席が近いので身近に感じてもらえるチャンスですね。あの時もかがり火とかやって楽しかったです」
 トラ縞のドレスに猫耳トラ柄のメイクで化け猫に扮した常夜ケイ(ga4803)もその頃からの古参のアイドルだ。
 また、ライブハウスでも個人で活動していたのかそちらへの知識を覗かせる。
「ああいうのも面白かったよね。でも、今日は歌だけじゃなくて、最後にはお菓子のプレゼントもあるからOrじゃない『Sing and Treat』で行くよー♪」
 マントを翻したコハルはニヤニヤと笑いを浮かべて美月姫の作っているメッセージカードを一枚手に取る。
 ちゅっとキスマークのそのメッセージカードにつけるとさっと混ぜる。
「まーちょっとした悪戯[トリック]ですよー」
 フフリと笑うコハルは魔性の女ような雰囲気をかもし出していた。

●ライブステージへご招待
 ライブハウスの入り口では『最後尾』の看板を持った夜刀(gb9204)が客の整理を手伝っていた。
 もっとも、その姿は九尾の狐の着ぐるみで顔は殆ど見えない状態なのだが‥‥。
『さあさ、今宵は怪物達の愉快な宴の夜! 愉しまなきゃ損損!』
 プログラムが手渡され暗がりのライブハウスの中に入っていった。
 中にはちょっとした仮装をしたファンもいるようで、出迎えで見ていても楽しい。
 この作業が終わればライブステージの照明をやったりと、裏方の予定をびっしりいれて今回は先輩の動きをみて勉強する方針を固めていた。
「打ち合わせはしっかり出来たんだ、絶対に成功させてみせる‥‥」
 ぽそりと呟くと夜刀は再び看板を掲げての人員整理に戻る。
 ライブの始まりはもう、そこまで来ていた。

『おうけい! 皆乗っているかー!』
 黒いマントとスーツを合わせた吸血鬼のような格好で嵐 一人(gb1968)がステージに来てギターをBGMがわりにならす。
 チューニングも合わせた演奏であり、メドレー二曲が後に続くために出番としては初めとなった。
 男女混合の総勢150人を前に小さなライブハウスで客を前での演奏である。
『それじゃあ、いつものと違った曲になるが、一曲聴いてくれ‥‥新曲で『Halloween Knight』』
 曲目を言い終わると照明が落ちて、カズトのいるところだけが月明かりのように照らされた。
 
 ―Halloween Knight― 作詞、作曲:カズト
 
 ♪〜〜

 今夜 俺はハロウィンナイト 街角で
 視線絡めて 尋ねよう

 寄り添って 頬を寄せて
 今宵引き出すのさ 本当のキミ

 甘い誘惑 危険な悪戯
 欲しいのはどっちだい?
 甘い囁き 危険なダンス
 キミの望むままに‥‥
 
 俺は君のハロウィンナイト 街角で
 視線絡めて 尋ねよう
 
 寄り添って 頬を寄せて
 今宵引き出すのさ 本当のキミ
 
 〜〜♪

 歌うにしてもヘッドセットマイクでギターを弾くき、ステージ傍まで寄って投げキッスなどの客席に向ける。
 女性ファンへのアピールを心がけての行動だが、女性と見間違えるような容姿のせいか最近は男性ファンも増えていた。
 背徳的なラブソングにあわせた演出に食事などを楽しんでいた観客達もステージへに集中し始める。
『次はライブでは久しぶりの登場のDIVAだ。俺じゃないからって残念がるなよ』
 カズトがウィンクを飛ばし、下がりバックでの演奏に回った。
 コハルもキーボードを担当し、ライブ感をより高めようとサポートしている。
 ライブハウスがお化け屋敷のようなBGMに包まれると、DIVAの3人が姿を見せた。
『にゃおん、皆私の事覚えてるかにゃー?』
 黒のシンプルなワンピースに黒い猫耳、黒のつけ尻尾で黒猫になったフェイト・グラスベル(gb5417)がポーズをきめて挨拶をする。
『おー、らいぶはうすの一部がおばけやしきー』
 青いライトに照らされた会場を眺めた舞 冥華(gb4521)は簡単な仮装をしている観客をみて声をあげた。
 冥華の衣装は丈の短い着物に猫耳と尻尾を二つ生やした猫又風である。
『DIVAが揃うの久し振り♪ だから皆も楽しいで行ってね♪』
 リーダーの終夜・朔(ga9003)が手をふりながら挨拶をすると、衣装を見せるようにくるりと回った。
 定番のフリル一杯のゴスロリ服に、覚醒をして耳を生やしアクセントとして、背中に蝙蝠の羽と体と包帯を巻いた衣装である。
 3人の可愛い姿に会場ないから可愛いーとの声がいくつも上がる。
『冥華もだんすしっかり、れんしゅーした。がんばる』
 事前リハーサルでダンスのチェックをした冥華はきゅと拳を握って可愛らしく気合をいれた。
『元気な曲なんで踊れる人は一緒に踊ってねー! 適当でもいいの、そこはノリと勢いで!』
 手をふりながらフェイトが朔と冥華と一緒にステージのポジションにつく。
『それじゃあ、聞いてくださいなの♪ 『DIVA協奏曲〜Halloween〜』‥‥』
 メドレー曲の宣言と共に薄暗い照明のステージに色とりどりの光が舞いはじめた。
 
 ―DIVA協奏曲〜Halloween〜― 作詞・作曲&アレンジ:Noir

 ♪〜〜

 おはよーの一言で
 おねむの時間はもうおしまい

 明るい日差しの中 さあ走り出そう
 風を切って何処までも 速く速く

 開いた扉は夢の世界
 其れが私の幸福

 夜の帳が下りる頃
 貴方と私の夢の始まり
 蛍の光に導かれ
 出会い結ぶ手と手合わせ
 語り尽くせぬこの想い
 どうか覚めないで今日の夜の夢

 闇に隠れ空
 世界を蝕み黒く暗い
 恐怖と悲しみ
 広め尽きさせぬ日々
 其処に現れる希望の光
 人々から闇を退けよう
 だから諦めないで
 光を信じて闇祓う時を
 Catch the sky 

 Hallow Hallow Halloween
 鼓動するこの想いを 
 
 Hallow Hallow Halloween 
 貴方に全て 捧げるわ

 Hallow Hallow Halloween 
 プレゼント喜ぶかな

 Hallow Hallow Halloween
 だから今夜は 側に居てね

 Present For Me
 
 Best Night To You

 〜〜♪
 
 嵐のギター、コハルのキーボードに合わせて3人がリズムに合わせて体を動かす。
 バックコーラスにはケイや美月姫も加わり、小さいながらも豪華なステージ演出が行われた。
 歌の途中で掛け声や、リズムにあわせた手拍子がなるなど、会場全体が盛り上がっている。
 最後まで3人が歌いきると盛大な拍手が贈られた。
 
●ファンサービスタイム
『さーて、みんなのお待ちかね交流タイムだよ。トイレは済ませた? 心の準備もオーケー?』
 コハルがマイクパフォーマンスをノリノリではじめる。
『歌の方も楽しんでいただけたでしょうか? これから最後のプレゼントをしますよ』
 美月姫も締めのIMPメドレーを歌った後にもかかわらずコハルにあわせるようにトークを続けた。
 狼の着ぐるみがコロコロとお菓子の詰め合わせ袋が一杯はいった台車を持ってくる。
『トリックアンドトリート、うにゃにゃみなさんに一杯萌えれるお菓子のプレゼントニャ』
 化け猫姿のケイが袋を一つ手にとって観客に見せた。
 中にはカボチャ型のメッセージカードが入っている。
『ではでは、スタッフの指示に従って少しずつステージの上に上がってきてもらうよー』
 スケルトンのタイツを着たスタッフがぞろぞろと出てきてて、ステージの整理に回った。
 握手会のようにアイドル達は一列にならび、その前にファンが並んで一人一人にお菓子を手渡しし、握手などのサービスをしていく。
「Trick or Treat! ‥‥え゛、悪戯される方がいいです? そんな事言う人はデコピンなのです!」
 お菓子を渡していたフェイトは男性ファンの意外な一言に驚きながらも手加減したデコピンをする。
 能力者なので加減をしないと指先一つでダウンもありえるのだ。
「冥華のお手せーくっきー。ちょっと焦げてもきにするなー」
 リハーサル時にこっそりお菓子を食べてしまっていた冥華はその後急いでクッキーを焼いて自分の配る分を確保している。
 袋への詰め方もいびつだが、特別なプレゼントであることに変わりは無かった。
「Trick and Treat♪」
 お菓子を手渡しながら、朔は頬をぷにぷにっと両手で触るサービスを施す。
 猫耳が揺らし、笑顔を見せる姿に見惚れてしまう女性などが多かった。
「トリック オア トリート。今夜の出会いを忘れないでくれると嬉しいぜ」
 カズトは軽いハグで女性ファンにサービスをしながら、その後にお菓子を手渡した。
 男性には基本的に握手だったが、ハグを求める人には対応していく。
「楽しんでくれたカナ? お菓子は家に帰ってから食べてねー♪」
 マイクではなくお菓子を持ったコハルがウィンクと共にお菓子を渡して握手をする。
 人気になってファンが多くついてしまった現状では、こうしたサービスの機会も減っているのでコハルは素直に喜んだ。
「『Sing And Treat』‥‥。歌と一緒に楽しんでいただけたのなら私も嬉しいです」
 美月姫もはにかんだような笑顔を見せながら、控え室でコハルの言っていた言葉を口にする。
 このライブを表すにはいい言葉だと思い拝借したのだ。
 手書きのカボチャ型メッセージカードの中身も喜んでもらえればと内心思う。
「にゃにゃにゃ、これからもケイちゃんをよろしくですにゃ☆」
 自分の売り込みを忘れずケイはお菓子のプレゼントの後にハグをした。
 お菓子渡しが終わると、アイドル達が客席に降り立ってのImpの合同曲、『WILL〜光へ〜』を大合唱をして幕を閉じる。
 楽しい一夜はあっという間に過ぎていったのだ。