タイトル:襲来のアダーラマスター:橘真斗

シナリオ形態: ショート
難易度: 易しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/08/02 05:58

●オープニング本文


 7月20日―カレンダーの日付は空しくもそこを示していた。
「え、えぇl!? もう、当日なの!?」
 朝を起きて寝癖の残る髪を整えながらリネーア・ベリィルンド(gz0006)はカレンダーをまじまじと見つめる。
 今日は愛する妹のアダーラがラストホープに来て一緒に遊ぶという夢のような一日を過ごす予定なのだ。
「ああ、早くしないと空港に送れちゃうわ。絶対に部屋にはつれてこれないわね」
 床にはビールの缶が無残に転がり、テーブルの上にはつまみの残骸が散らばりある意味戦場のような景色を作っている。
 昨夜も仕事に疲れて晩酌を楽しんだのだが、今日がアダーラが来る日ということを失念していたのは痛かった。
「えっと、今日は空港で迎えてプールにいって‥‥どうしよう、その後の予定考えてなかったわ」
 アダーラの希望である水着を見るためにプールに出かけるのは決まってはいるものの詰めようと思っていた予定が組めていない。
「と、とりあえず何とかなるわ。うん‥‥折角の休みだしとにかく楽しんでもらいましょう」
 身支度を整えたリネーアは最近買った水着を持って自室を後にするのだった。

●参加者一覧

奉丈・遮那(ga0352
29歳・♂・SN
王 憐華(ga4039
20歳・♀・ER
ハンナ・ルーベンス(ga5138
23歳・♀・ER
ヴァレス・デュノフガリオ(ga8280
17歳・♂・PN
乾 幸香(ga8460
22歳・♀・AA
流叶・デュノフガリオ(gb6275
17歳・♀・PN
エレシア・ハートネス(gc3040
14歳・♀・GD
南 星華(gc4044
29歳・♀・FC

●リプレイ本文

●スプラッシュ!
 一組の男女がウォータースライダーを滑っていく。
 女を前にし、男は後ろから腰に手を回してぎゅっと抱きしめていた。
「ほらほら、暴れないのっ♪」
「待、ヴァレスっ‥‥どこ触‥‥わぁぁっ!?」
 男女はシューっと長いスライダーを滑っていく。
 ウォータースライダーの下にあるプールエリアではトレーニングと証した水遊びをしている3人がいた。
「エレシアさん、いいですよ。その調子です」
 バチャバチャと泳ぐエレシア・ハートネス(gc3040)をプールサイドからハンナ・ルーベンス(ga5138)が応援をしている。
「飲み物を買ってきましたよ〜」
 競泳用のレンタル水着を着ているハンナに背中が大胆に開いた臙脂色のワンピースタイプの水着を着る乾 幸香(ga8460)がトレイに3人分の飲み物とポテトを持って近づいた。
「飲みもの‥‥」
 エレシアがポテトの香をかぎつけて体を水辺からあげる。
 彼女の水着は黒のモノキニで、着やせするとはいってもその大きな胸を押さえきれずにぽよんぽよんと水揚げされた魚のように跳ねていた。
 スライダーを滑っていた男女―ヴァレス・デュノフガリオ(ga8280)と流叶・デュノフガリオ(gb6275)―がジャッパーンと落ちる。
 エレシアの背中に水しぶきがかかった後、流叶がプールから体をだした。
 流叶の水着は肌の露出がかなり多く、必要なところを最小限に覆っているとしかいえない水着である。
 周りにいた一般客も思わず視線を流叶に向けた。
「はいはい、俺の嫁さんを変な目で見ないでくれるー」
 ヴァレスはどこか嬉しそうに流叶を抱き寄せながら人払いをする。
「あ‥‥流叶」
「エレシアか、それにハンナも‥‥」
 ものすごく今更といった感じに声をかけられた流叶が知り合いの姿を確認した。
「流叶‥‥セクシー‥‥」
「何か私だけ浮いているような気がしてきました‥‥」
 色っぽい水着ばかりの女性陣に囲まれたハンナは少しだけ競泳用水着であることを後悔する。
 この間買ってもらったチェックのビキニを着て来れば良かったかもしれない、と。
 
●男30代プールにて‥‥
 せっかくの休日だが、平日ということもあり友人とは連絡がつかない。
 暑いからとプールに来たのだが、夏休みの子連れの家族や、カップルなどがいた。
「思いつくままプールに来てみましたが‥‥なんでしょうね」
 日差しを手でさえぎりながらプールサイドを奉丈・遮那(ga0352)はプールサイドを歩く。
 プールサイドもにぎわっているが、その中でもビーチチェアの並んでいる付近は特に騒がしかった。
「む〜〜せっかくいつもとは違ったタイプのを披露しようと思ったのに‥‥零ったら中国に行ってるだなんて」
「もう、弟にドタキャンされて暇ねー」
 どちらも待ち人こず状態の黒髪美女。
 一方はリネーアに選んでもらったパステルカラーのロイヤルブルーのホルターネックのAラインワンピースにショートタイプのパンツを合せた可愛いデザインの物に首の所に首輪の様なチョ―カ―をアクセントに付けて着ている王 憐華(ga4039)。
 もう一方は赤いビキニを長身にまとい、スレンダーなボディを惜しげもなくさらす南 星華(gc4044)だ。
 ナンパをするに声をかけるにもどちらも近寄るよりも遠目に見るだけでも十分な体をしている。
「ひーまーでーすー」
 ビーチチェアーに寝転がって転がる王の胸はぶるんぶるんと揺れてワンピースの裾も上がって艶かしい肌があらわになった。
 オォという歓声が上がって視線が集中するが王にとってはアウトオブ眼中である。
「あら‥‥あれは‥‥」
 星華がサングラスをあげながら視線を向けると、茶色髪の姉妹が見えた。

「あれ、遮那さん? 遮那さーん!」
「何かリネーアさんの声が聞こえるような‥‥」
 遮那が声をかけている方へ近づきつつ、目を細めるとパレオ付の水着姿のリネーア・ベリィルンド(gz0006)が手を振っていた。
「奇遇ですね‥‥こんなところで会うなんて」
「ええ、妹のアダーラが水着を私に見せたいからっていうものだから‥‥」 
 やや砕けた口調のリネーアが遮那に自慢の愛妹アダーラの水着姿を遮那に見せる。
 アダーラの水着はギンガムチェックのビキニで、大きなリボンとホルターネックのトップに、Aラインのフリルスカートを着ていた。
 頭の上には大きなリボンをつけていて可愛らしさの際立つコーディネートである。
「お久しぶりですわ、遮那様。けれど、そんなにじっと見られると恥ずかしいですわ」
 きゅっと自らの体を抱くようにしてアダーラはリネーアの後ろに隠れた。
「ああ、すみません。眼鏡を置いてきてしまったもので」
「コンタクトにすればいいのに‥‥」
 苦笑する遮那が頭をかけばリネーアもころころと笑う。
 なんだかほのかにいい雰囲気であったが、そこは上手くいかないものだ。
「リネーア様ぁ〜、あああっと!」
 星華と共にリネーアに会おうと近づいてきた王がわざとらしくリネーアの背中を押して遮那にぶつけ、あわよくばプールへ落とそうと突っ込んでくる。
「あ、お姉様。私、ソフトクリームが食べたいですわ」
「そうね、じゃあ行きましょうか」
 しかし、アダーラがソフトクリームを求めたばかりにリネーアとアダーラが王の視界からはずれた。
 無論、行き追いついた王は止まることはできず、また視界が悪い遮那が反応できるわけもない。
「わぁぁ!?」
「きゃぁぁ!?」
 ぽよんと王のバストに押された遮那は王と共にそのままプールの中へ落ちたのだった。

●ビーチバレーでぷるるん
「ビーチバレーをしましょう!」
 王の提案で始まったビーチバレー‥‥ハンナ達ともであったことでリネーアは休日のプランが何とかなりそうだと思っている。
「この後はリラクゼーションとかどうでしょう? プールの隣にそういう施設がありましたし」
 ハンナからのトス共にボールがリネーアのほうまでくる。
「ええ、そうしましょうか‥‥アダーラもいい?」
「私はリネーアお姉様と一緒にすごせればいいですわ」
 リネーアのトスと共に85cmのバストがゆれ、アダーラに渡りさらにアダーラのリネーアと変わらぬサイズのバストがゆれながらボールを星華へと渡した。
「年の離れた可愛い妹さんね? 私も弟がいてね、小さいころあまりにも可愛かったから私のおさがり着せて遊んだわ」
「それって酷くありませんか?」
 星華からトスされたボールを遮那が受け取り乾へと回す。
「あ、挨拶がまだでしたね。初めまして、アダーラさん。乾 幸香と言います。お姉さんには色々お世話になってます。この水着もお姉さんに選んで貰ったんですよ」
 乾が自分の水着に目配せしながらボールを流叶へパスした。
「えぇっと‥‥オペレーターの方、だったよね? 流叶と言うよ。一応、これでも傭兵だ。そちらが妹さんか。アダーラ殿はこういうところにはくるのか?」
 リネーアとアダーラに挨拶をした流叶はそのままボールを軽くトスしてヴァレスへと流す。
「成る程、妹さんか。俺ぁDFの能力者、ヴァレス・デュノフガリオだ。宜しくね♪」
 合流しつつも流れを聞いて理解したヴァレスがトスをエレシアに繋いだ。
「ん‥‥私はエレシア‥‥よろしく‥‥」
「宜しくお願いしますわ」
 エレシアもアダーラを超えるバストを揺らしてボールを王へと戻す。
「よーし、次は中央に男子を固めてのアタック大会ですよー」
 トスをする王が不穏な台詞を吐いた。
 すると女性陣だけでトスリレーが続きだす。
「え、なんでそういう展開に‥‥」
「あ、俺は飲みも買ってくるから!」
 遮那が星華と乾に背中を押されて中央に出される中、ヴァレスは一目散に逃げ出した。
 こういう展開のとき、とめるはずの流叶も強い日差しのために離脱したため、遮那だけが生贄にささげられる。
「零のばかーっ!」
 おろおろとする遮那に向けて王のアタックが飛んだ。
 遮那はボールに描かれたブレスト博士とキスをしてその場に倒れてしまう‥‥。
 意識が遠のくまで時間はかからなかった。

●休息のとき
 柔らかいモノを後頭部に感じながら遮那が目を覚ますと、大きな山が二つとリネーアの顔が見えた。
「あ‥‥え‥‥?」
「大丈夫? 倒れたまま気絶したみたいで‥‥」
 ビーチパラソルの下で遮那はリネーアに膝枕されていることに気づく。
「本当にすみません‥‥少し鍛えた方がいいですかね? 他の方は?」
「ヴァレスさんと流叶さん、王さんと、ハンナさんは飛び込み台の方へいってるわよ」
 遮那が体を起すと星華が飛び込み台の方を指差した。
 こちらが見えているのか一番上のヴァレスがこちらに向かって手を振っている。
「遮那様が起きらてよかったですわ。お水をどうぞ?」
 アダーラは水を買ってきていて遮那の頬にぴとっと当てる。
「あ、ありがとうございます」
「アダーラ‥‥一緒に‥‥いこう」
「いいですわ。乾様もどうですか?」
「はい、なかなかプールで思い切り楽しむなんて機会もそうそうある訳じゃありませんからね。思い切り楽しんじゃいましょう」
 エレシアにウォータースライダーを指差されるとアダーラと乾はそちらに向かった。
「家族ってやっぱりいいわね」
 3人そろってかけて行く姿を見ながら星華は母親のような笑みを浮かべる。
「本当にいい子になってくれて私もうれしいですね」
 星華の言葉にリネーアは少し自慢げに答える。
「さて‥‥僕らはここでゆっくり待ってましょうか」
「肌が焼けるのもいだものね。私はまだこちらに来て日が浅いから皆さんのこともっと知りたいわ」
「ゆっくりお話しましょう。そういう機会もあまりないですからね」
 星華も混ざり、大人3人組はビーチパラソルのしたで遊ぶ仲間を見ながら雑談に華を咲かすのだった。

●癒しを目一杯
「ふぁぁぁぁ〜♪」
 背中に与えられる刺激にヴァレスは声を上げてとろけだす。
 日ごろ激しい戦闘を潜り抜けているから、だいぶコリがあるようだ。
 遮那もおとなしくというより半分寝ている状態で全身マッサージを受けている。
 一方、女性陣も別の部屋でマッサージやパックをされていた。
「‥‥やはり肩凝りが酷いですからね。たまにはこうやってマッサージを受けるのは良いモノですね。リネーアさんもずいぶんと凝っていそうですけどね。立派なモノをお持ちですし」
「うーん、私よりもここにはいないエレシアちゃんの方が大変だと思うわ。若いのに」
 乾の隣でマッサージを受けているリネーアはエレシアの自分を超えるバストを思い返しながら息をつく。
 覚醒でサイズアップするだけならまだしも常時であれば大変だろうと他人ながらに思っていた。
「確かにあのサイズは大変そうですよね‥‥」
 乾も苦笑しながらマッサージに身をゆだねていく。
 そして、マッサージが終われば夕食だった。
「ほら、ヴァレスは動かないの」
 食べている途中にヴァレスの口元を流叶が拭う姿はさすが夫婦である。
「見ているこっちが恥ずかしくなりますわ‥‥お姉様はああいった方はおられませんの?」
「あ、私もその話聞きたいわ」
 微笑ましく眺めていたアダーラの持ち出して来た話題に星華が乗ってきた。
 何故か遮那がびくっとするが誰も気にした様子はない。
「今は仕事だ優先だし‥‥何よりもアダーラのことが一番だもの」
 隣にいるアダーラをリネーアはぎゅっと抱きしめて答えた。
「たまにアダーラさんのお話になるんです‥‥リネーアさんと。‥‥妹思いのお姉さんだと‥‥その度に思います」
「ありがとうございますわ、ハンナ様」
 上品に微笑むアダーラにハンナも思わず聖母のような笑みを返す。
「神様にお願いしておきます。貴女が素敵な女性になれるように‥‥それまでに、世界を平和に出来る様に、と‥‥」
 そして、アダーラの手をとって目を伏せて静かにつぶやいた。
「じゃあ、もう一度乾杯しましょうか。今度はアダーラちゃんの素敵な未来に」
 星華がグラスを持ち上げてウィンクを飛ばす。
「いいですね、そうしましょう」
「はい、それとハンナ様のいうような平和を願ってですね」
 王もグラスを掲げて笑顔を見せた。
 未成年者はもちろんジュースのコップを掲げて乾杯をする。
 休日の夜に新たな誓いを立てたひと時だった。

●夜もふけて
「じゃあ、俺と流叶はこれ‥‥ひゃぁ!?」
「油断大敵だな。酔い覚ましに水を持ってきてやったんだ」
 バイクにまたがったヴァレスは流叶を後ろに乗せたとたん身悶える。
 ひんやり冷たいペットボトルを当てられたからなのは言うまでもなかった。
「あはは‥‥僕と同じ目にあってます」
 見送りをする遮那は流叶の行動を見て苦笑した。
「では、私もエレシアさんを連れて帰りますね。ごきげんよう」
「アダーラ‥‥また、遊ぼうね‥‥」
 頭を下げたハンナはエレシアと手を繋ぎながらレストランから兵舎へ帰っていく。
「お姉様、私は先にお休みしますわね。明日早いので見送りはいりませんわ」
「そう‥‥大人になったわね」
 リネーアは静かに呟き、ホテルへと戻るアダーラを見続けた。
「そういえば、相当いけるくちらしいわね? リネーアちゃん、これからちょっと飲まない?」
「いいですね〜。私もお付き合いしますよ」
「私ももっとリネーアさまからも聞きたいです」
「じゃあ、僕もで‥‥」
 寂しそうなリネーアを気遣ってか星華が肩に手を回してのみに誘う。
 乾も遮那も、そして王までもが便乗した。
「ありがとう、それじゃあ行き着けの居酒屋で飲みましょう!」
 3人の優しさに思わずこぼれた涙を拭ってリネーアは腕を振り上げた。
 楽しい休日の終わりは祭りのような寂しさが来る。
 平和を手にするよう明日から戦うのだから、そのためにこの一日を最後まで楽しみたいと5人は思うのだった。