タイトル:【コミ】impalps冬マスター:橘真斗

シナリオ形態: イベント
難易度: 普通
参加人数: 18 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/01/06 00:51

●オープニング本文


 大規模まっただ中だと思う。それでも、世界は二次創作への飽くなき野望は潰えてない。
「コレはある意味チャンスなんだよ! KV少女もあるしさ!」
 何を意味しているかはその創作活動する人々の胸の中である。
 今年になってあたらしいジャンルKV少女も夏あたりからでている。この同人活動は大きな経済を動かしていると言っても過言ではない。
 そう、これから又創作意欲、そして野望のために別の戦いが始まろうとしているのだ!

 冬のコミレザスタート!
 
●本番12月20日
「コミックレザレクションにあわせてのイベントです。帰り客をそのまま引き込む方向で行きましょう。グッズ類の販売もこちらで行いますので皆さんご協力お願いします」
 米田時雄は集められたスタッフに向けて頭を下げる。
 ゲリラライブでも数百人規模、前売りチケット5000枚は売り切れていた。
 コミックレザレクションのアイベックス・エンタテイメントブースではチケット入りグッズを売り、さらに人員を集めるという作戦である。
「臨時スタッフの受付もしますが、アイドルの方にはステージに集中してもらう方向で、新曲披露や裏方希望者は受け付けてもいいですが売り子だけは断るように」
 的確な指示をだす米田をスタッフ達の視線が集中した。
 言葉にも力が入ってくるのがわかる。
「1万人近く集まります。この一日を乗り切り、年明けを暖かく過ごしましょう」
 最後に米田は笑顔で締めるのだった。

●参加者一覧

/ 鷹代 由稀(ga1601) / 葵 コハル(ga3897) / 常夜ケイ(ga4803) / 夜十字・信人(ga8235) / 椎野 のぞみ(ga8736) / 加賀 弓(ga8749) / 大和・美月姫(ga8994) / 終夜・朔(ga9003) / 嵐 一人(gb1968) / 鷹代 アヤ(gb3437) / シェリー・クロフィード(gb3701) / 沖田 神楽(gb4254) / セシル シルメリア(gb4275) / 舞 冥華(gb4521) / テト・シュタイナー(gb5138) / フェイト・グラスベル(gb5417) / 瀬上 結月(gb8413) / エイラ・リトヴァク(gb9458

●リプレイ本文

●開演前
「さて、今回はお客さんとしてフェイトちゃんを応援しに来ました。来たのは良いのですが‥‥チケット、持ってなかった」
 わざわざ自分の行動を宣言していた瀬上 結月(gb8413)は最後に両膝と両手を地面につけてうなだれる。
「店の前で何をやっている営業妨害になるからやめてくれないか?」
 瀬上にかけられた冷たい声、そちらを振り向けば見知った人物―フェイト・グラスベル(gb5417)ファンクラブ会長こと夜十字・信人(ga8235)―がいた。
 今回はペンネームである『内藤来栖』という少女漫画家として『フェイタリティ・レボリューション』という漫画を売っている。
 モデルがIMPのフェイトということもありライブ会場外の出店許可が取れたのだ。
 信人のほかにも食べ物屋やオフィシャルグッズの販売店もいくつか見受けられる。
「いらっしゃいませー! 田中アヤさん御用達のアクセサリー店、銀の階段オープン中なのですよー! いまなら本日アヤさんのつけてるのと同じデザインもご用意してますですー!」
 露店の一つではセシル シルメリア(gb4275)が採算度外視の価格で販売を行っていた。
「チケットがないんですよ‥‥もうすぐライブが始まるのに‥‥」
「俺のチケットを持っていけ。俺はここで歌声さえ聞こえればあの子の姿が目に浮かんでくるからな」
「かっこいいですけど、妄想っていいません?」
 目を伏せて両手を広げだす信人に冷たい視線を瀬上は浴びせるが当人は既に別世界へ行っている。
「じゃあ、チケットだけ貰っていきますね、フェイトちゃん待っていてね!」
 『ふぇいと☆LOVE』と書かれた鉢巻をぎゅっとしめると瀬上はライブ会場へと走りだした。
「お買い上げありがとうございまーす。セシルちゃん、開場が近いみたいですよー♪」
 売り子をしていたシェリー・クロフィード(gb3701)が瀬上を見て心を躍らせる。
 訪れてきた客もアヤと同じものを求めたりライブ前のワクワクを楽しんでいるようだった。
「それじゃあ、店じまいですね。直接プレゼントはできませんでしたが、届けてくれるそうですし応援をがんばりましょう」
「はいなのですー♪」
 セシルの笑顔にシェリーも笑顔で答え共に店じまいを始める。
 一万人規模の大型ライブに誰もが興奮しはじめていた。

●Stand by
「ライディ君がいないけど、あたしが代わりやるからね。全員安心して、目一杯やってきなさい」
 IMPの結成当時からの所属していた元IMP鷹代 由稀(ga1601)は楽屋に集まっているアイドル達に檄をとばす。
 今回はマネージャーが新婚旅行のために不在ということで裏方を引き受けたのだ。
「1万人規模の大ライブだで、アイベックスの事務所でもこない大きなライブはやりゃぁせんでよ。絶対成功させて欲しいだらぁ」
 Impalpsの生みの親でもあり、アイベックス・エンタテイメントの社長の米田は信頼を言葉で示すと、一人震えている少女を見つける。
「おみゃあさん緊張しとるだか?」
「きっ、緊張なんかしてねぇての武者震いだ武者震い」
 ツンとした態度で少女、エイラ・リトヴァク(gb9458)は米田に言い返した。
「大舞台で緊張するのは悪いことでにゃぁよ。程よい緊張は気分の切り替えだでよ、受け止めて流れるようにがんばればええで」
 しゃがみ込み視線を合わすようにした米田はエイラにニパッと子供のように微笑みながら震える肩をそっと支える。
「社長ありがとう。お陰で緊張が解けたぜ。詩も曲もあたしが自分で作ったんだ、ヘマできないって思いすぎたかもな」
 米田に対して大好きだった人の面影を見ていたエイラはさりげない優しさに心を落ち着かせた。
「ふあー、久しぶりのロングスカートでちょっと緊張する」
「おお、アヤちゃんや。お友達からプレゼントが来てるでよ」
 着替え終わった田中 アヤ(gb3437)へ花束と太陽をイメージしたものが風にたなびいているデザインの銀細工を手渡した。
「うわぁ、ありがとうございます」
「さぁ、そろそろ時間だで。本番しっかりやりきるでよ、二人とも裏口の方からそっと出て行って欲しいだら」
「とりあえず、開演前に気合いれよっか。今日のメンバー中最古参のコハルちゃん、一言ヨロシク」
 時計を見た米田がアイドル達を鼓舞していると由稀が葵 コハル(ga3897)へ一言求める。
「個人的な新曲も間に合ったし、ただのライブじゃなくてトークショーも自分たちで考えて組み込めた。そんなライブだからこそ、楽しんでいきましょー! エイエイオー!」
 エイエイオーと体育会系なノリと共にアイドル達は大きなステージへの一歩を踏み出したのだった。
 
●On Stage
『皆! こんばんわ! ALPのぞみです! これから皆にお願いがあるので、よく聞いて下さい!』
 私服にスタッフジャンパーを着た椎野 のぞみ(ga8736)による前説からステージが始まる。
 いつも通りの説明をすればいいはずだが、目の前にいる観客は今までのステージより桁違いに多かった。
『‥‥ということですので、楽しいライブのためご協力ください。それではライブ開始♪ まず一番槍! IMPの沖田神楽ちゃんです!』
『それじゃ、一番槍、神楽。行くよ』
 沖田 神楽(gb4254)の声が聞こえてきたかと思うと空からアンジェリカが降りてきて、ステージの裏へ着陸した。
 人型へ変形をするとアンジェリカがKV用の太刀と小太刀を使った剣舞を舞う。
 空気が震え鋭い音が響く剣舞を終えると正面を向き、アンジェリカのコックピットから神楽が飛び降りた。
 飛び出した神楽の姿は黒いシャツにミニスカート・ニーソックス姿の神楽がステージに立つと拍手が起こる。
『特訓の成果をみせるぜ、Accelerationを聞いてくれよ!』
 マイクを持ち、右手を天へ掲げると神楽は歌を始めた。
 
 ―Acceleration―
 
 ♪〜〜
 
 この時を 走り続けて行く
 時間はいつだって一方通行だから
 立ち止るなんて していられない
 目指す夢を つかみ取る為に
 この思い加速させて
 迷いなんかはじき飛ばせ

 つまずく事に恐れない
 動き出す事を決めたから
 そこが行き止まりだってきっと
 道を探し出してみせる
 この思い加速させて
 絶望なんか切り捨てて
 
 〜〜♪
 
 神楽の力強い歌でライブは展開し、盛り上がりを見せ始める。
『レディース&ジェントルメン。ボーイズ&ガールズ、アイベックス・エンタテイメントのライブ『Impalps・冬』開幕だよ!』
 歌の終了と共にのぞみが大きく宣言をするとライトが乱れ飛びスタートを派手に飾るのだった。

●Project DIVA
『夏に続いて司会もやっちゃうよ、まずは上を見るんだ!』
 アンジェリカを片付けた神楽が司会を続ける。
 本来の予定では3人のソロだったのだが、飛行機のスモークで文字を書くという演出を行うのに夜になってからでは見づらいということもあり急遽、変更していた。
 神楽が指した指の先にある3つの点が大きくなっていく。
 夕暮れが深まり夜の深まる空に3機の影が見えた。
 3機の影は空を綺麗に舞い、スモークで文字を描く『D・I・V・A』の4文字が空に浮かぶ。
 文字が浮かび上がったときに客席から歓声があがった。
 そのまま3機のKVがステージ裏に並んで着陸すると、コックピットから前奏と共に3人が立ちスポットライトが当たる。
『DIVA、改めて登場なの♪』
 リーダーの終夜・朔(ga9003)が可憐な声で挨拶をすると、舞 冥華(gb4521)とフェイトも手を振ってアピールするとロック調の曲がはじまった。

 ―To Dear You―
 
 ♪〜〜
 
 世界が輝く Holy night
 今夜は世界のFestival
 私の心は限界よ もう我慢なんてできないわ
 時よ止まれと願うけど
 それでは貴方と寄り添えない

 Merry Merry Xmas
 鼓動するこの想いを

 Merry Merry Xmas
 貴方に全て 捧げるわ
 Merry Merry Xmas
 プレゼント喜ぶかな

 Merry Merry Xmas
 だから今夜は 側に居てね

 Present For Me
 Best Night To You

 〜〜♪
 
 ロックベースのクリスマスソングを3人が歌いきるとファンらしい一段から応援の声が上がる。
『ありがとー』
『応援ありがとー!』
 3人は手を振リ、再びコックピットの中へ入ると自分たちのKVを移動させた。


●TalkShow 1st
「はい、1回目のトークショーとなりましたね。このコーナーをしっとりいくために司会は私の方でやらさせていただきます」
 着物風デザインのドレスを着た加賀 弓(ga8749)がマイクを持って姿を見せる。
「えへへ、みんなの前で長いスカート穿くのは初めてかな。似合ってる?」
 弓の後ろをついていきながらアヤがクルリと回るとスカートがふわりと浮かんだ。
 白のロングセーターに赤のロングスカート、茶系レザーブーツという姿に首にはセシルに作ってもらった銀のネックレスが光る。
「はーい、私もいるよー」
 最後尾に神楽が手を振りながら出て行き、3人がステージの中央に置かれたパイプ椅子に座った。
「トークショーではお題にそった答えと共に話を盛り上げていこうと思います‥‥最初のお題は『忘れられないクリスマスプレゼントは?』ですね」
 フリップを持った弓が二人に見せつつトークをはじめる。
「父さんに貰った日本刀かな‥‥引き継いだって感じだけどさ。私は凄く嬉しかったな、クリスマスっぽくないけどね?」
「私は今さっき仲良しの友達から貰ったこのネックレスです‥‥あ、心配しなくても同性ですよ?」
 客席を向きながらアヤが答えるとザワザワとなっていた客席が静まった。
 この手の話題は気にされているようである。
「そういう弓さんはどうなの? 美人だしいろいろとプレゼントされてそうだけどさ」
 神楽が大先輩でもある弓の方へ尋ねた。
「亡くなった婚約者から貰った形見になった指輪ですね‥‥ああ、暗い回答ですみません」
「うーん、アダルティ‥‥」
「大人だよね」
 苦笑する弓だったが、婚約者という言葉の響きはアヤや神楽にとっては興味惹かれるものである。
 その後、大人の弓に大人の恋愛とはどんなものかと根掘り葉掘り聞くような展開となって1回目のトークショーは終了した。

●St.Girl’s
『皆さん、ライブではお久しぶりです』
 ラジオやDVDでの活動が中心となっていた大和・美月姫(ga8994)の登場に会場が揺れた。
 IMPとして古参のうちである美月姫もブロンドの髪とすらりとした長身に魅了されているファンは多い。
『今日は久しぶりの新曲を披露したいと思います。聞いてください『クリスマスのデート』』
 ライブのときではお馴染みとなったドレス風衣装の美月姫がステージの中央でお辞儀をすると暗転と共にスローテンポの伴奏が流れ出した。

 ―クリスマスのデート―

 ♪〜〜
 
 夜明けに小鳥たちが目覚め 飛び立ち始める
 おはよう 今日はクリスマスイブ
 なにか良いことのある日 おはよう
 テラスからの眺めは 少し妬けるシーンがちらほら
 街中には恋人達が行き交う姿 なにか羨ましいよね
 神様がホントにいるのなら 私のおねがいを聴いてくれるかな
 神様とのデート、お相手になってくれると良いのに
 
 〜〜♪
 
 激しさの強い曲が続いていた後のゆったりしたクリスマスソングで程よいクールダウンとなる。
『最後まで聞いていただきありがとうございます。ステージでの活動は少ないかもしれませんがこれからもよろしくお願いします』
 歌い終えた美月姫は丁寧にお辞儀をするとステージから下がった。
 美月姫の去ったステージに白い粉が落ちる。
 雪のように見えるそれは発泡スチロールで作った粒だった。
『今日は覚悟しろよ? お前等の心の中に切なさを乱れ撃ちしてやんぜ!』
 幻想的な空気にそぐわない荒っぽいテト・シュタイナー(gb5138)の声だけが会場に響く。
 ライトが照らされると、そこにはフリルをあしらった純白の修道服に身を包むテトがいた。
 フレームで組まれた階段の上から歌いながらテトはステージの方へ降りていく。

 ―Winter Prayer―

 ♪〜〜

 何時もの窓辺で 呆然と景色を眺めながら
 自然と出てくるため息は 今日だけでもう何回目?
 ため息と共に思い浮かぶのは
 夏の日に旅立った貴方の姿

 貴方は知っていますか?
 あの夜に共に眺めた景色は 既に白く染まっている事を
 あの夜にリンと鳴いていた鈴虫達の姿は無く
 代わりに風花が舞っている事を

 季節が二つ巡っても 傍らに貴方の姿は無く
 肌を刺す冬の厳しさよりも 心に浮かぶ不安の方がつらくて
 だから私は 祈りを捧げる

 晴れの日も 風の日も
 雨の日も 雪の日も
 貴方の無事を願う為に 

 いつまでも どこまでも
 この思い 捧げます
 風花と共に 貴方の元へ届きますようにと

 I pray――
 In snowy days――

 〜〜♪

 普段の俺様キャラとは裏腹に聖女といっても過言ではないテトの澄み切った歌声に会場が包まれた。
『どうだ? 切なくなってきただろ! 次は妹分のエイラだぜ!』
 テトが大きく叫んでステージの袖へ動くとステージ中央へ乗り上げるようにエイラのヘルヘブン250が<高速二輪モード>で到着する。
 メトロニウムハルバードを掲げて決めポーズをとるとパイロットスーツ姿のエイラがステージの中央へ飛び降りた。
 ヘルヘブンもエイラも今はまだ発売されてないVMポータブルのモデルキャラと合わせている。
『あたしの歌を聴きやがれ!! 『ヘルヘイム〜焔の意志〜』!』
 銀髪を軽く揺らして大きく叫ぶと鋭いBGMが流れ出した。

 ―ヘルヘイム〜焔の意志〜―
 
 ♪〜〜

 邪魔などさせない
 誰にどう思われようが
 flame willこの燃える心決して消えない
 あの時誓った思いを果たすために
 貫いてみせてやる
 絆を奪わせやしないから

 半端な奴許さない
 泣かせるような奴は
 flame willこの炎で消し去ってやる
 あの時誓った思いを果たすために
 見せつけて見せろ
 この思いを越える物を

 〜〜♪

『あたしはまだ発売されていないVMポータブルが今年一番のプレゼントだと思ってる。こうしてステージに立てるのもそのお陰だ。ありがとう!』
 歌い終わったエイラは感動に思わず涙を流しながら客席に手を振る。
 暖かい客席からの拍手に送られながらエイラはステージを後にした。

●TalkShow 2nd
「はいはーい、2回目のトークショーですよーと。司会の葵コハルでーす」
 ホルターネックのノースリーブにタイトスカートの上にジャケットを羽織った姿のコハルが出てくると大きな拍手と声が起こる。
 古参IMPの一人である上、ゲームへのコラボレーション企画への参加も多く関西圏での人気はかなりのものなのだ。
「皆、ノッてるかー!」
 コハルの後ろから白いツナギのような衣装に赤いマフラーという姿の嵐 一人(gb1968)が続く。
 今回のライブで唯一の男性アイドルであり、また最近のライブに参加してきている注目の新星でもあった。
 『嵐様 LOVE☆』という横断幕が出てくるほど女性ファンからの人気は高い。
「最後は私、椎野のぞみです」
 前説のままの格好でのぞみもステージにあがりパイプ椅子に座った。
「トークショーも二回目となりました。これが終わったら休憩挟んで後半だけど‥‥あたしはまだ歌ってないぞー!」
 出だしからエンジン全開のコハルが大きく叫ぶ。
 客席もノリで叫び声を返した。
「丁度3人とも後半のメンバーだから仕方ないな。で、御題はどうなっているんだ、先輩」
「あいあい、トークの御題はこの中から答えれるもの一つずつってことなんだけど、前の人は皆『忘れられないクリスマスプレゼント』だったから、他があればソッチからかな?」
 フリップを確認しながらコハルが嵐に答える。
「じゃあ、『本物か疑いたくなるこんなサンタ』で答えます。ボクの田舎では漁船にのったサンタさんがいました。プレゼントはお魚オンリーなんでしょうか謎です」
「聞いた話じゃ、オーストラリアだとサーフィンしながらサンタが来てたらしいぜ?」
「トナカイとソリで来てほしいよね〜。じゃあ、嵐君いってみよーか」
「俺は『今年一番の思い出』でALPに加入できたことかな。今は歌を中心にしたいからIMPへ移籍したぜ」
「あー、ボクも加入は一番の思い出です」
 コハルがメインとなって3人のトークは大いに盛り上がった。
「先輩はどうなんだ?」
「それがだねー。『忘れられないクリスマスプレゼント』を答えようと思ったんだけど、これがまた神楽ちゃんと被っちゃってさー。内容までガッチリ被るなんてどこまでキャラ被ってるのさ!」
 嵐が突っ込みを入れるとコハルは笑いながら答える。
 コハルのプレゼントもまた刀であり、祖父ではあるが流派を受け継いだ証というのだから世の中不思議だ。
 そのまま互いのキャラがどうのという話で盛り上がりトークショーの2回目が終わる。
 10分間の休憩の後、後半へと続くのだった。

●休憩時間にて‥‥
「まいどありがとうです。『おにーさん』」
 常夜ケイ(ga4803)はアイベックスの公式グッズショップで上目遣いに猫なで声をだす。
 一部のIMPファンからはカスタネットアイドルと呼ばれる公式イベント類では余り見ないポジションだった。
 そのため、メインステージよりも直接的なアプローチで顔を覚えてもらおうという作戦なのである。
 IMPALPS関連のグッズは年を追うごとに増えていて、今回のイベントでもコミックレザレクションで発売されたデモンストレーションDVD『真冬の衝撃』が驚くほど売れていた。
「DVDゲットですよー! うわぁ、人の波がすごいですー」
 セシルに苦労をかけまいと買出しにきたシェリーが男の波に飲まれる。
「これだけの人を元気にさせるアイドルってすごいです」
 波から逃れたシェリーはアイドルのすごさに感心していた。
 また、プロモーションやコラボ活動による各個人のブロマイドなども売れ始め固定客の獲得が伺える。
「今日はご来店いただきまして有難うございます。ささやかなお礼に喉を鳴らします。傭兵を偲ぶ乙女心をしっとり歌う、新曲『トワイライト〜雪の日に」、聞いてください」
 グッズを手渡していたケイは人波が途切れたときを狙い、コホンと息をついて即興で歌を歌いだした。

 ―トワイライト〜雪の日に―

 ♪〜〜

 街灯、私の心を駆け巡る
 日の出前のひと時
 窓からそっと近づくトワイライト
 起きてたの私? 夢心地?
 不思議な景色を見たの
 部屋のカーテンのこもれび
 貴方は帰って来ていた
 夜が明けて昼になって薄明かりは消えてた
 だってそうだよね
 貴方は帰るはずがない
 そうよねこれが現実‥‥
 この大空から舞い降りる雪
 現実と夢の架け橋
 トワイライト、少しだけここにいさせて
 トワイライト、あたしの心をいざなって
 いつかあなたの元へ
 
 〜〜♪
 
 ケイが気持ちよく歌うと人だかりを掻き分けて由稀が姿を見せる。
「ちょっとょっと、いきなりミニライブとかしないでよ。人だかりで他が迷惑するじゃない。売り子なら売り子として徹底して、歌うならステージの上で歌ってよ」
「うにゃん、気をつけます」
 しょぼんとケイがうなだれていると、後半の始まるアナウンスが流れはじめた。

●On Your Eye’s
『皆さん、こんばんは‥‥あの、最近流行のKV少女というものを意識してみたのですがどうでしょうか?』
 後半のスタートは弓の声からスタートする。
 彼女の衣装は漠然とした注文だったために米田をはじめ衣装スタッフを悩ませた。
 スポットライトが当たった弓の姿はドレスに甲冑を着せたような衣装でデザインは雷電を模している。
 客席からの反応はまちまちだった。
『慣れない事はしないほうがいいのかもしれませんね‥‥この曲はKV少女ものの主題歌や挿入歌を意識して作ってみました。聞いてください、『鋼の絆』』
 今年は衣装についてももう少し学ばねばと弓は気を引き締め曲の開始を指示する。

 ―鋼の絆―

 ♪〜〜

 舞い降りた羽根がこの手に消えて

 運命(さだめ)の翼をこの背に広げ

 希望宿る剣(つるぎ)を掲げ

 どこまでも続くこの空に舞い踊る

 君といる瞬間(いま)を終わらせぬように

 大切な想いを胸に秘めていくよ


 君との絆を鎧に纏い鋼の翼を広げ

 この愛を剣(つるぎ)に変えて

 どこからも続く蒼い空に飛び立つよ

 好きだと言える君にさよならと告げて

 なによりも大事な気持ちを胸に秘めていくよ

 〜〜♪

 昨今のアニメソング調の歌に会場は盛り上がり手拍子を加えて大きなうねりを作り出していた。
『最後まで聞いていただきありがとうございました。私の次はIMPへと移籍をした田中アヤさんです。どうぞ』
『はい、ご紹介にあがりましたアヤです』
 アヤが客席をみると大きな横断幕を振るシェリーとセシルの姿が見えた。
『今日は大きなライブということもありますので、新曲持ってきました。、持ち前のアコギなナンバーですが聞いてください』
 アコースティックギターを肩からさげたアヤはボロロンとギターを鳴らして挨拶を終える。

 ―キミと、ボクと―

 ♪〜〜

 「やっと 逢えたね」
 キミはボクの手を取って
 「一緒に 行こう?」
 歩き出す 冬の星空

 絡めた腕から キミの鼓動が聞こえる
 「ここにいるよ」と 優しく伝える
 だから ボクも伝えよう
 ボクの鼓動で ボクの居場所を

 あの日 キミに出会えたから
 ボクは いつも 幸せで
 キミも 笑顔で 居て欲しくて
 繋いだ手を ぎゅっと握るよ

 また歩き出そう キミと、ボクと
 星屑の路を‥‥

 〜〜♪

 スローテンポなバラードミュージックをしっとりとアヤが締めると静かな拍手と「アヤちゃーん、サイコーですよー!」という大きな声がアヤに捧げられる。
『皆さんありがとうー、この後のトークショーも楽しんでいってください』
 声援と拍手を受け取ったアヤは手を振ってステージを後にした。
 会場の中の一人、シェリーはアヤのステージを見て自らもアイドルを目指してみようと思い始める。
 元気を与えるアイドルの活動に魅せられたものがまた一人誕生していた。

●TalkShow 3rd
「3回目のトークショーはDIVAなの♪」
「よろしくでーす」
「おお、ひとがいっぱい。きんちょうする」
 アヤのあとに3人がそろって出てくると客席の一部が沸く。
 ライブでの頻度の高いDIVAは既に大きなファン層を獲得していた。
「今回は3人だけのトークショーなの。御題の回答皆考えているの?」
 リーダーの朔がメインとなってトークショーをはじめる。
「『本物か疑いたくなるこんなサンタ』冥華の初めての依頼にせものさんたきめらだった。むー、ぷれぜんとくれないさんたはみんなにせものー。冥華はぷれぜんとくれないと、みーんなにせものってうたがう」
 御題に答えながらも冥華は苦い思い出を思い返し頬を大きく膨らませてご機嫌ナナメになった。
「キメラのサンタは確かにいやかもです。Noirさんはどうなのです?」
「Noirは『サンタにお願いするプレゼント』なの。‥‥Noir、愛が欲しいの♪」
 最後の方は10歳らしからぬ艶っぽさを朔は”魅せる”。
「そういうFateは何なに?」
「えーと、私はー。ごめんなさい、何も考えてきませんでした! 許して〜」
 冥華に突っ込まれたフェイトだがソロのことばかりでトークについて抜けていたのだ。
「大丈夫、ゆるしちゃうよー。許さない奴がいたらお姉さんがシバいてあげる!」
 フェイトの謝罪に最前列に陣取り団扇やペンライトとフルアーマーファンと化した瀬上が両手をぶんぶんと振って答える。
「ありがとうございます。え、えーと話を変えて今後のDIVAの活動はどうしましょーか!」
「今日もそうだけど、そろもやっていく? 冥華歌詞考えるのにがてー」
「いろいろなことにチャレンジしていけたらいいと思っているの♪」
 3人は今後の活動についての話を続けるのだった。

●Teller
『3回目のトークショーの次はボクの歌からスタートです。他の皆さんみたいにオリジナルではないですが聞いてくれると嬉しいです』
 暗転している中にのぞみの声だけが響く。
 一筋のスポットライトを浴びて白い修道着ののぞみがアカペラで歌を歌い始めた。
 のぞみが歌っているのは1980年代後半に流行ったワーシップソング(礼拝の歌)であり、賛美歌に比べて軽い歌である。
 現代の若い人に親しみやすいリズムの歌でサビ前になると突如、のぞみは修道着を脱ぎ去った。
 ロック調の白い半袖シャツとネクタイ、白い革のミニスカートに黒バンドという清楚から退廃へと変わったのぞみに会場が大きく盛り上がる。
 大きな黒いロザリオを激しいダンスと共に揺らし、アカペラから嵐のギターやドラムを加えたロックスタイルで歌を続けた。
 カラフルなライトに照らされつつ歌い終わると、息をつきながら観客に向かって伝えたい言葉を紡ぐ。
『はぁ‥‥あの、見てのとおり‥‥ボクには右肩に傷があります。今まで隠してましたけど、これからは‥‥ありのままのボクを見せるのでよろしくね!』
 憑き物が取れたような爽やかな笑顔でのぞみはステージを降りた。
 それと共に暗転が消えステージ全体が光りに包まれると中央に白地に赤黒のラインカラーがトレードカラーのミカガミがたっている。
 人型になっているKVがハリボテのギターを弾き、パフォーマンスを見せた。
 軽快なリズムに会場から手拍子が飛んで盛り上がると、AU−KVが飛び出して嵐の歌が始まる。
『新曲いくぜ! 明日に向かって走りだせ!』
 
 ―RUN―
 
♪〜〜

 打ちひしがれて閉じた瞳の中 哀しく笑う君が振り向いて
 約束の言葉はまだ強く輝いて 僕はまた立ち上がる‥‥!

 〜〜♪

 静かに語りかけるようなフレーズのあと、間奏をAU−KVのまま嵐は演奏を続ける。
 リズムが疾走感溢れるロックに変わるとAU−KVを脱ぎ捨てトークショーのときの姿のまま歌を加速させた。

 ♪〜〜

 破れ散った夢の地図を集め 繋いでもリアルは変わらない
 先の見えない道でもスタート切らず ゴールには決して届かない
 暗く果て無く険しい道のりは ヒトの心容易く挫く
 君の眩しい微笑みに照らされて 僕は 前に走り出す 

 そうさ運命が押し付ける下らないドラマも
 高く飛び越えてゆけ fly Away

 そうさ 悲しみ過ぎた数だけ 胸の奥で叫んだ熱い拳振りかざせ
 思い描いた明日へ ただひたすら走るさ
 躊躇いも捨て Over the Now!

 〜〜♪

 女性ファンかららしい黄色い声援が飛び嵐は手を振って答える。
『ありがとう!』
『4回目のトークショー前、最後の歌はコハル先輩です。聞いてくださいね』
 のぞみがステージの端に立って進行を補佐した。
 嵐がAU−KV、そしてKVを装着して場所をあけるとコハルがステージ中央に現れる。
『新曲出せるかどうか結構微妙だったんだけど、策士の神様が今日、クリスマスプレゼントをくれました。久しぶりの新曲、アッパーチューンでいくよ!』
 コハルの掛け声に客席が負けじと声を返した。
 ハードな曲の連続だというに客席の勢いは止まらない。
 
 ―Forbidden Sky―
 
 ♪〜〜

 乾いた日常の中で 願いだけが空回る
 届かない空を見上げて
 手を伸ばして叫んでも
 現実の鎖に縛られてても
 心なら限りなく羽撃けるさ
 見えない翼探して 夢中で駆け抜けて行く
 何時の日か飛び立つ為に
 見つけるのさ wing of brightness sun

 嘲笑(わら)う退屈の先に 光があると信じて
 褪せない夢を抱(いだ)いて また拳を突き上げる
 吹き荒れる嵐に曝されようと
 この翼は折れやしない
 渦巻く風を纏って 夜空を切り裂いて行く
 求めた明日目指して
 今貫く Dive to the Darkness croud

 高く、高く何処までも高く
 速く、速く何よりも速く
 遠く、遠く果てしない彼方へ‥‥ Forbidden Sky 

 〜〜♪

 ロボットアニメのテーマソングになりそうなヲタク向けの旋律に会場の熱が最高潮に高まった。
『OK! 盛り上がってくれてありがとう! これからもあたし達IMPALPSをよろしくっ!』
 歌い終わったコハルは指を客席に向かってビシっと指す。
 既に夜8時を越え、9時になろうというのに野外ライブ会場は未だ熱かった。

●TalkShow 4th
「まだまだ元気かおめぇらー!」
 テトの荒っぽい掛け声から最後のトークショーは始まる。
「皆さん本当に元気ですね‥‥ミニスカ風衣装の私がいうことではないかもしれませんが」
 パイプ椅子に座っても見えそうで見えない絶妙な長さのミニスカサンタ風衣装の美月姫が会場の衰えない熱気に驚いた。
「ほんとにすげぇよ。あたしがここに立ってるってこともすげぇけど、1万人も集まっているのが本当にすげぇよな」
 美月姫と同様にエイラも関心している。
 11月にIMPALPS入りしてから一ヶ月で大舞台にエイラはたっているのだから本人が驚くのは無理もなかった。
「ファンのお陰で俺様達はこうしてやっていけるからな、感謝しねぇとバチが当たるぜ」
「本当にそうですよね。皆さんありがとうございます」
 自然と美月姫が話をまとめ、手を振ったりとファンサービスを行う。
 面倒見のいいお姉さんというポジションがよく似合っていた。
「さぁ、トークショーといきますが私から答えようと思います『ホワイトクリスマスはどこで何をしていたい?』ですが、雪降る中でのお散歩、スキーのゲレンデを散策するっていいかなぁ?」
「上品というか、美月姫だと絵になるよな」
「あたしと姐さんだと雪合戦する方が似合ってるしよ」
 美月姫の回答にテトとエイラは育ちの違いを感じる。
「あたしはもうお客は聞き飽きてると思うけど『今年一番の思い出は?』で、この仕事ができるようになったことかなぁ‥‥、ってか一番アイドルって感じじゃねぇけど。ま、よろしく頼むな?」
 初の大舞台だったが、開始前の米田のお陰か不思議と緊張をせずエイラは自分らしく観客へ挨拶した。
 自作の歌を歌ったことで少しだけ勇気が出たのかもしれない。
「この御題だと『思い出に残るクリスマスプレゼント』になるんかな? 昔な。じっちゃん用のプレゼントを、間違えて弟共の枕元に置いちまった事があってさー、もう翌日大変だったぜ」
「貰うだけじゃなくってあげる側でも思い出になることってありますよね」
 テトの失敗談に美月姫は感心するも会場から失笑が漏れた。
「はい、そこで笑ってるヤツ! おめぇの失敗談を暴露してみな?」
 ステージの縁までテトが進みマイクを向けて観客を弄りだす。
 突発的ではあったが客席を巻き込んだトークショーはその後、無事終了した。

●Ander ten
『ソロパート最後はDIVAなの♪ まずはNoirの歌、聞いてね?』
 ネコミミをピコピコと動かした朔はペコリとお辞儀をする。
 スローテンポなリズムに乗せた英語オンリーの歌詞を紡ぎはじめた。

 ―Shine of Hope―

 ♪〜〜

 Shine and darkness
 The world of the fight
 A chain of the sorrow
 But do not give it up
 There is the Shine of Hope in the side
 Lets look for it
 Because the hope is your shine itself

 〜〜♪

 『希望の光』と名づけられた静かな歌の後は、一転してロックな曲で続く。
 メドレーのように切れ目なくソロでありながらDIVAというグループを意識した展開だった。
『突然ですが皆さん! DIVA、というか私のファンは手を挙げてーっ!』
 ロックな前奏の間にフェイトがステージに上がり米田から許可を貰っていた質問を行う。
 ごく一部ではあるが、ペンライトを振ってフェイトの答えるファン達の姿があった。
 揺れるペンライトの数を数えていたフェイトは思わず涙ぐむ。
『それでは‥‥私の歌をきけぇぇぇっ!』
 覚醒して姿形を変えたフェイトは涙を拭って歌い始めた。

 ―Flame Heart―

 ♪〜〜

 太陽が光を失い 漆黒の闇が広がる
 凍てつく夜闇が包みこむ

 心の炎を消さないで アナタは一人じゃないから
 さあ踏み出そう怖がらないで 私が皆がいるから

 心に炎を その手に未来を
 希望はアナタの心の中に

 〜〜♪

『みんな、ありがとぉぉぉ!』
 ありったけの思いを込めてフェイトは感謝の言葉を大声で叫んだ。
 ロック調から鈴の音色が続いているようなクリスマスらしいリズムへと変わる。
 ちょこちょことステージの端から中央へ冥華が進んできた。
『冥華がとりなのは‥‥すごくきんちょーする。初のそろきょく‥‥へにょーってなりながら‥‥かしかんがえた‥‥きいてほしい』
 一万人の観客に圧倒されつつも、冥華はマイクを持って一生懸命に初の自作曲への思いを告げる。
 タイトルなどはまだまだ米田の世話になっているが、それでも成功させたいと強く願い歌いだした。

 ―聖夜のお願い―
 
 ♪〜〜

 お気に入りの洋服に 何時もよりお洒落しながら
 あなたを待った 帰り道
 私の想い 伝わるかな

 今夜は 聖夜のクリスマス
 粉雪振る ホワイトクリスマス
 ぎゅっと手を組んで 見つめたらきっと

 届いてよ

 かみさま お願い(please)
 奇跡を お願い(please)
 この想いで 夢中にさせて
 私の心は全て あなただけにあげる

 〜〜♪

 普段は無口で無愛想な冥華だが、今日この日、このときばかりは小さな笑顔を振りまく妖精のような歌を披露する。
『きいてくれてありがとう‥‥おうえんあるなら、また冥華さくしがんばってみる』
 静かに聞いてくれて、さらに拍手までくれたファンに対して冥華が深く礼をするとステージの照明が一気に落ちた。

●Final Stage
 再び照明がつくと、ずらりと傭兵アイドル達が並んでいる。
『本日はありがとうございました。今日は最後にIMPALPSとしての全体曲を歌いたいと思います』
 アクティヴなパンツスタイルに着替えている美月姫が口火を切って話しはじめた。
『ここにいる皆で作詞、作曲をしたんだ。ラジオやライブ‥‥大変なこともあったけど、皆のお陰で頑張ってこれたと思っている。だから、そんな皆にありがとうを込めて‥‥』
 神楽が美月姫に続けて言葉を捧げる。
『これからも‥‥俺たちIMPALPSをよろしく頼むぜ!』
 嵐がギターを掻き鳴らし締めた。
 ミディアムテンポで明るめのポップスが生み出され、会場に広がる。
 リズムに合わせてアイドル達全員が体を軽く揺らして手拍子を煽った。

 ―IMPALPS〜絆の翼〜―

 ♪〜〜
 
 impalps この想い 世界に轟いて
 impalps この気持ち 空を巡って
 キミの悲しい顔も 笑顔に変えよう

 一人じゃないから飛び立てる
 手を合わせ 絆を繋いで
 一つずつ違う希望の翼一つに合わせて

 届け どこまでも あの宇宙(そら)の果てへ
 思い どこまでも 見果てぬ未来(さき)へ
 想い重なり紡がれる多重奏(シンフォニー)
 突き抜けてゆく 夢の向こうまで

 〜〜♪
 
 自分たちが作りあげた舞台。
 1万人規模のファンを前に最後の歌を終えると横並びになったアイドル達が互いに手をつなぎ大きく頭を下げた。
 拍手と歓声、口笛など感動をあらゆる形で表現したファンに見守られたステージはこうして幕を閉じる。
 舞台袖の米田もアイドル達を見ながら大きな拍手を送り続けた‥‥。

●歌声を聴いて
「アイドルか、フェイめ。やるじゃないか」
 外でライブを楽しんでいた内藤来栖もとい‥‥信人は一息つく。
 ハートフル短編は帰り客からも好評だった。
 予想外の売れ行きに信人は驚く。
「師匠〜、ライブ楽しんで来ましたよー」
 両手一杯にグッズを買った瀬上が信人の方へかけてきた。
「そうか、どうだった?」
「褒めちぎりたいくらいキュートでした。で、師匠。このKV少女をフェイノートとかフェイックスとかに改造してください。ベースになるフィギュアは師匠の財布で買ってきましたから!」
 憎たらしいほどの笑顔見せる瀬上を無言で信人は折檻する。
 大阪の寒空の下、このように興奮冷めやまぬ人々の姿が幾つもできていた‥‥。