●リプレイ本文
●Fast Step
「本作戦参加者に、汝等の神の御加護と祝福あれ‥‥父と子と精霊の御名に於いて、Amen」
ハンナ・ルーベンス(
ga5138)がウーフーから戦線に向かう傭兵達全てに祈りを捧げる。
『シスターの祈りが届いた。死なないように各自検討を祈る』
アルヴァイム(
ga5051)が【空路確保】のために結成したメンバーを率いて南米はコロンビアの首都であるボゴタの基地を目指した。
出発したのはブラジルにあるクルゼイロ・ド・スウルのUPC軍の根拠地で、南西の方角より突入をする進路を取っている。
『敵機多数確認、前方の射線に入らないでくださいよっ!』
敵機の発見と共にソード(
ga6675)が警告をだした。
『兵装1、2、3発射準備完了。PRMをAモードで起動。マルチロックオン開始、ブースト作動』
フレイアと名づけられたソードのシュテルンから総勢1500発のミサイルが飛び15機のヘルメットワームが墜落し基地の周囲を囲っていたヘルメットワームの一画が崩れる。
『赫映‥‥追撃行くよ。悠季、援護をお願い』
純白のロビンを駆る澄野・絣(
gb3855)がソードの奇襲戦法で反応の遅れている敵陣にAAEMホーミングミサイルを撃ちながらドッグファイトを仕掛けた。
『ポザネオ、了解よ。援護するけどちゃんと避けるのよ』
百地・悠季(
ga8270)のディアブロが<パニッシュメント・フォース>を使った上で、K−02小型ホーミングミサイルを撃ち、500発のミサイルで空を埋める。
さらに5機のヘルメットワームが落ちた。
『ドックファイトを仕掛ける』
『ああ、ここでどこまで落とせるかで爆撃隊の優位が決まるからな』
浅川 聖次(
gb4658)機と鹿島 綾(
gb4549)機が基地に続く進路を確保するために円形に集まる敵の一画を切り崩す。
『大規模が二方面で、こちらにまで参加すれば三方面ですか‥‥いや、そんな冗談を言っている場合でもないですね』
冗談を言いながらも如月・由梨(
ga1805)機がスナイパーライフルで近い敵から確実に落としていった。
「皆さんの戦いを最大限支援させてもらいます」
様子を見守っていたハンナがコックピットの中で今一度目を伏せながら自らを鼓舞する。
『シスターの支援を頼りにさせてもらうぞ』
ハンナの傍で黒川丈一朗(
ga0776)が突破口を開く【空路確保】部隊が撃ちもらしている敵を狙い短距離高速AAMを放った。
『一撃は当てれたが敵が集結し始めている、早く爆撃しないと囲まれてタコにされるぜ』
空の情報統括をしている霧島 亜夜(
ga3511)が敵の動きのリークして伝えてくる。
『亜夜さんも危ないといっても突出しないようにしてよねっ!』
M2(
ga8024)が突っ込みをいれたように小型HWだけでも100機を越える部隊相手に基地攻略作戦は始まっていた。
●HardLanding
『とにかく一発でいい、基地に当てれれば陸戦部隊の着陸時間を稼げる』
砕牙 九郎(
ga7366)の指揮の下【空爆】部隊がタートルワームの配備されてる基地へ敵の波を抜けて突入する。
【ブラボーチームB分隊】や【ブラボーチームC分隊】からのK−02小型ホーミングミサイルの援護を受けるも一撃離脱しなければ危険な状況だ。
『Gプラズマ弾を投下します』
『SESエンハンサーつきのGプラズマ弾を受けるがよいわ』
フィルト=リンク(
gb5706)のロビンと藍紗・T・ディートリヒ(
ga6141)のアンジェリカから直径100mに放電を起こす爆雷が投下されて外壁が崩れる。
『通信施設をまず狙いたかったが、仕方が無いか!』
目の前からはミサイル、下からはタートルワームによる対空プロトン砲という三次元な攻撃の中、ヒューイ・焔(
ga8434)機はフレア弾を投下して基地を離れた。
『守ってみせる‥‥今度こそ‥‥』
【FMS】指揮官の麻宮 光(
ga9696)は自らの過去を払拭するように言葉をかみ締め、【空爆】班による空襲で出来た地上の”穴”へ【IRS】隊と共に降下する。
基地の中からはゴーレムが姿を見せ、両肩の対空砲で降下した4機を狙ってきた。
『行くぜ焔珠! ウジャウジャと目障りなんだよっ!』
相賀翡翠(
gb6789)が攻撃を受けながらもディアブロを変形させてアハトアハトを連射して味方の変形への時間を稼ぐ。
『【IRS】隊がゴーレムの注意をひきつけている今のうちに‥‥火砲支援はいりまーーす』
立ち上がった矢神小雪(
gb3650)のノーヴィ・ロジーナがP−115mm高初速滑空砲を撃ちながらタートルワームの撃墜のために動き出した。
『頭が無性に痛い‥‥記憶に関係あるのかな? ‥‥だめ、今はがんばろう‥‥私にできることをして進むの』
地殻変化計測器を設置していた星月 歩(
gb9056)機に上空にいた中型ヘルメットワームが不意に降りてきてフォースフィールドを張ったチャージを仕掛けてくる。
ゴーレムばかりを気にしていたが、ヘルメットワームがそもそも万能兵器であることを誰もが失念していた。
『歩っ!』
『光さん‥‥すみません、何か思い出せそうな気がして‥‥ごめんなさい』
ヘルメットワームのタックルを歩の代わりに光の阿修羅がパワーに押し負けて吹き飛ばされる。
その間にも【IRS】隊は降下地点から近いタートルワームの排除を始めていた。
『無月、まずは亀から行くぞ』
『月の加護があらんことを‥‥』
漸 王零(
ga2930)と終夜・無月(
ga3084)が一瞬生まれた混乱に乗じてなんとか着陸し、エンタとは反対方向にタートルワームを潰すために動く。
小型ヘルメットワームも40機ほど地上スレスレに降下だし、二機の追撃をはじめだした。
基地の一角において、空陸合わせた乱戦が広がる‥‥。
●AirForce
『レイヴンよりブラボー各機。パーティー会場が見えてきました』
【ブラボーチームA分隊】の隊長であり、チームを総括している叢雲(
ga2494)が【空路確保】チームの退路を確保すべく追随する。
基地上空まで飛んでいった味方を囲むように敵が集結し、プロトン砲の矢が切れることなく飛んでいた。
『まさに敵は雲霞のごとく、ですわね。狙いなどつける必要はありません、撃てばそこには敵がいます』
集まってくる小型HWのプロトン砲の雨を全てを受け流し、月神陽子(
ga5549)の『夜叉姫』は奉天製ロケットランチャーを使って打ち落としていく。
『ブラボー、田中アヤ、援護しますっ。‥‥宜しく、メタトロニウス』
陽子の攻撃で落ちなかった敵を中心に田中 アヤ(
gb3437)のシラヌイが1機、また1機と落としていく。
小型HWが減っているなか、黒い機体が飛んできた。
悪魔のようなグロテスクな装甲に身を包み、機首の部分が竜のようなデザインに変わっているもシルエットはイビルアイズそのものである。
機首である竜の口から空間が歪みが放出され、無敵を誇った夜叉姫の装甲を削り取った。
『なーんか、一年ぐらい前も同じような感じの依頼あったわよね。‥‥HWわんさと当時のFR‥‥脅威度的にはどっちもどっち、か』
その一撃を見た鷹代 由稀(
ga1601)は照準を黒いイビルアイズに合わようとするが既に機影が目の前から消えている。
『ロスト? 電子戦隊、今のイビルアイズの反応追いかけてる?』
『Program[Gr2.1]で追いかけている。焦るな敵は他のKVの相手に出向いているようだ』
由稀からの要請に秋月 祐介(
ga6378)が答えた。
「やったらやり返せばいいですが、まずはザコの相手をしましょう。田中さんは前右翼の牽制を、鷹代さんは私と一緒に左翼に狙撃!」
叢雲は脅威を見ながらも自分の役割を見失わず冷静に指示をだす。
『黒いイビルアイズの相手はあたしに任せな。前回の借りも返さなくちゃならないんでね』
通信を聞いていたキョーコ・クルック(
ga4770)が言葉に力を込めて空戦隊の不安を取り除いた。
『こちら【アルファチームC分隊】のユーリだ。反対側より交戦を継続中、黒いイビルアイズが着たら連絡をしよう』
基地の北東側より陽動を兼ねた航空戦を行っている【アルファチーム】の一つからユーリ・ヴェルトライゼン(
ga8751)の通信が届く。
「すごい数‥‥だからこそ狙いどころを絞らなきゃ。要の一点を貫く!」
【アルファチームC分隊】の方ではソーニャ(
gb5824)がエルシアンと名づけたロビンで<アリスシステム>と<マイクロブースター>を使った空戦機動で敵の攻撃を避けている。
すぐさまG放電装置による反撃を仕掛けていた。
『できるだけ数を減らさないとね』
ソーニャの攻撃にあわせるようにアズメリア・カンス(
ga8233)がスラスターライフルを使って集中攻撃をし、確実に敵機を潰していく。
『コールサイン『Dame Angel』、南米ボコタ基地対象に殲滅の為波状攻撃を仕掛けるわよ』
アンジェラ・ディック(
gb3967)はユーリ達がせめている間でできる限り死角となる部分を見せている敵を狙って8.8mm高分子レーザーライフル―アハトアハト―で撃ちぬいた。
しかし、小型ヘルメットワームといえども一撃では落ちず、すぐに反撃を仕掛けてくるため苦戦を強いられている。
『とにかく数を減らすだけ減らし、戦力を分散させれば俺達の作戦勝ちだ。無理だけはするなよ』
ユーリは隊員に伝えながら戦闘を続けるのだった。
●Sing A Song
『明るい日差しの中 さあ走り出そう。風を切って何処までも 速く速く〜〜♪』
『フェイ、気分よく歌っているところ悪いがスラスターで弾幕を頼む。ロリも一緒にな』
アイドルユニット『DIVA』としての歌を口ずさんでいたフェイト・グラスベル(
gb5417)に夜十字・信人(
ga8235)が指示をだす。
【ブラボーチームB分隊】では【空爆】や【ブラボーチームA分隊】の撃ちもらしなどを迎撃する任務についていた。
アクティヴガンナーという小隊のメンバーでもあるため連携にも隙はない。
『やってもいいが、コレが終わったら、ひとっ風呂浴びて、枝豆とラムネできゅーっと行きたいんで驕れ』
ロリこと芹架・セロリ(
ga8801)が信人機やフェイト機とあわせてRA.1.25in.レーザーカノンを小型HWにあてて倒した。
しかし、数倍の反撃が飛んできて一度体勢を立て直すべく離れなければならない戦いが続いている。
『あれっ!? これってハーレムですか!? クリス抜いたらハーレムですか!?』
『くだらないことをいっていないで前を見たらどうだ、ミサイルが来ているぞ』
大規模な戦闘の途中だというのに【ブラボーチームC分隊】の紅月・焔(
gb1386)が喜びの声を急に上げた。
すかさずクリス・フレイシア(
gb2547)が突っ込みを入れる。
焔の目の前に来たミサイルをクリスの突っ込みによりすんでのところで避けた。
『『いきーのこりたいー♪ だからバグア落とーすー♪』』
攻撃を仕掛けてきた小型HWにアルジェ(
gb4812)機とルノア・アラバスター(
gb5133)機がタイミングを合わせた射撃で潰しにかかる。
『落ち着け‥‥できることをやるまでだ‥‥援護します』
初めてのKVによる実戦となった玖汀 泉(
gb9525)は思わず思っていたことを口にしながらホーミングミサイルを撃ち、アルジェ機達が弱めた機体にトドメを刺した。
『目標発見、10時方向に数30‥‥12時にも30集まってきました。戦線を一時引いてください』
フォスター・ロレット(
gb5305)の緊急通信が入り、ブラボーチームとしての引き際が見え出す。
『フォスターさんも無理をしないようにしてくださいよ。電子戦機は戦場の命綱なのですから』
護衛を務めているトリストラム(
gb0815)がフォスターの周りを飛びショルダーキャノンを使って敵を寄せ付けないように動いた。
『無理は禁物だな‥‥一時体勢を立て直すために軽い補給を行うぞ』
通信を聞いたクリスが分隊メンバーに指示を出し各機は一時戦線を離脱しはじめる。
第一フェイズの終了を向かえ、戦況は拮抗した状態となった。
●Interval
「【FMS】から警戒信号! アースクウェイクが来たようだ、アイリス全機可及的速やかに撤収を心がけろ」
神楽 菖蒲(
gb8448)がボゴタ基地からの撤収を指示する。
空に上がるには基地の内部や、周辺では空のHWに潰される危険性が高かった。
基地の外へ出て、空戦対応チームが敵をひきつけている間に撤収しようとしたらアースクウェイクに遭遇したのである。
『撤退時狙ってくるとは上等だ!』
天原大地(
gb5927)が損傷の激しい機体ながらも不死鳥のごとく震い立たせて練機刀「月光」を振りぬいた。
地面を隆起させながらEQが地上へその姿を見せる。
『こっちで援護するから遠慮なく突っ込みなさい!』
冴城 アスカ(
gb4188)が一歩退いたポジションから大地機を円の刷るためにヘビーガドリング砲をばら撒いた。
『派手な訪問ですから、戦術上、出迎えは『居る』と思っていましたが‥‥見送りのほうでしたとは!』
EQからの体当たりを全力で回避した金城 エンタ(
ga4154)機は練力が厳しいためにギガント・ナックルフットコートで横っ面を殴る。
巨体が大きく揺れたとき遠くから飛んできたハンマーボールがEQを横倒しにする。
『援護きましたよー敵に逃げ道はないですが、補給が必要な皆さんは下がってください』
ハンマーボールを回収したアリエーニ(
gb4654)のシラヌイが【IRS】隊の目の前に立った。
『いつまでも後手後手に回ってもいられねぇだろぅっ!』
機槍「ロンゴミニアト」と機盾「アイギス」を構えて騎士ともいえる姿となったアレックス(
gb3735)のシラヌイが倒れたアースクウェイクへロンゴミニアトを突き立てる。
炸薬と共に肉片が飛び散り動きが鈍くなった。
『【プロミス】隊、これより撤退支援を行います』
クラーク・エアハルト(
ga4961)が追い討ちとばかりに試作型「スラスターライフル」を叩き込む。
『基地までは俺とグロウランスが共に目の代わりをしながらいく、待ちかねた戦いをここで終わらせるものか』
『命と引き換えでは割に合わん、ここは退かせて貰うべきだろう』
オルランド・イブラヒム(
ga2438)とグロウランス(
gb6145)が【IRS】隊に合流を果たし、陸上部隊の撤退のための支援を行うことになった。
撤退機の兵装データは根拠地へ連絡してあり既に用意も着々と進んでいるためスムーズな補給が可能となっている。
「協力感謝だ。【FMS】隊と共に【IRS】はこの戦域を離脱する」
菖蒲の声と共にインターバルを向かえ、戦況の変化は各所で起こりはじめた。
●Second Step
「戦線の維持を第一に考えればいい。空域の確保は無理にする必要はない」
榊兵衛(
ga0388)が【アルファチーム】の全てに伝えて戦闘を続ける。
敵の戦力は基地の上空へ集結し、凡そ半数ほどまで小型HWを削ったが、敵も防御を固めながら迎撃レーザーのようなものによる攻撃をはじめた。
数は減ってきているが、有利かといえばそうともいえない状況である。
『地味で活躍の場は少ないが、必要な仕事だ』
クーヴィル・ラウド(
ga6293)も近づいてきた小型HWへH12ミサイルポッドを叩き込んで沈めた。
弾薬も少なくなってきているが、撤退するわけにもいかないのだ。
『防御が硬くなってこちらの練力を切らせる戦法にきています‥‥厄介ですね』
ソードウィングで小型HWを辛うじて斬り裂いた御崎緋音(
ga8646)機がターンを描いて次を狙いだす。
『敵は基地上空へ集結、防御を固めながら固定砲台っぽくなってきているな。中型を中心にしたに下がって陸戦部隊の相手をはじめだした』
緋音の耳にファルロス(
ga3559)からの戦況報告が届いた。
『おっしゃ鈍名、鹿島。突っ込むッスよ。遅れんなよ〜?』
榊から指示を聞いた六堂源治(
ga8154)はロッテを組んでいる【アルファチームB分隊】へ
『第一フェイズは大人しくしていたんだ。ここで踏ん張らなきゃ男がすたる』
『防御を固めだしたのなら、勝機が近づいている証拠です。被弾率を減らしながら落とせる敵を落としましょう』
鈍名 レイジ(
ga8428)と鹿嶋 悠(
gb1333)が動きをあわせ、各々が得意とする武器でフォースフィールドを強化した小型HWへ攻撃をあて続けた。
「さて、そろそろ行くか。少なくとも補給で抜けた連中の穴埋めぐらいにはならないとな」
クロスフィールド(
ga7029)が、北東方面から基地の上空ほどまで進む。
【アルファチームD分隊】は【アルファチームC分隊】と入れ替わる様に戦場へとたっていた。
『予想通り基地上空に固まっているから、バラバラにさせるように動こう』
『【殺虫剤】を散布します。弱ったところで思い切りやっちゃって下さいね』
乾 幸香(
ga8460)機からの<対バグアロックオンキャンセラー>の作動を確認すると、K−02小型ホーミングミサイルをばら撒き、ハルカ(
ga0640)は追撃を続ける。
集中していたのが仇となり、小型HWは大きく傷ついた。
『ハイエナみたいだが‥‥撃ち漏らし無く始末させて貰う』
ハルカによるK−02小型ホーミングミサイルが撃ちもらした小型HWを上空から襲い掛かるような戦闘機動と共にピアッシングキャノンを叩き込んで落とす。
「順調に動けているな。このままやや後退して敵のひきつけを行うぞ」
クロスフィールドは状況を眺め、先を見据えた作戦で対応をしていくのだった。
●Diversionary Tactics
『全機ECCM展開。陸戦全機へ、こちら電子戦班【Gypsophila】。電子戦援護は任せろ。思う存分蹴散らしてくれ。頼むぞ』
膠着状態に近くなっていた第二フェイズを神撫(
gb0167)の一言が変え始める。
補給に戻って減った戦力もあるが、あえて待機をしていてこのフェイズより参戦を始める部隊もいるのだ。
『ヒャッハァー! ここからが本領発揮だぜ』
その中の一つ、【A&S】のNAMELESS(
ga3204)はヘルヘブン750の<高速二輪モード>で戦場を駆けた。
地上に降りてきている小型HWへハンバーボールを強引にぶつけて戦う。
『さて、幕間の掃除の時間だ‥‥いくぞ。無粋な客にはお帰り願うとしよう』
NAMELESSの突撃に追随するように不破 梓(
ga3236)がへビーガドリング砲で弾幕をはって基地への攻撃を強めた。
『二人以上のコンビネーションを崩さずに戦闘を続けてくれ、隼瀬、一真は俺と一緒にタートルワームへの牽制を続けるぞ』
【A&S】の指揮官のセージ(
ga3997)機と共に井出 一真(
ga6977)の阿修羅と依神 隼瀬(
gb2747)のロビンが基地の砕けた壁面から覗くタートルワームへ牽制攻撃を続ける。
地上に注意を引かせている間に上空からフレア弾が投下されTWや基地への被害を広めていった。
『いけそうです、井出さん一緒にいきましょう』
『了解です』
隼瀬機がビームコーティングアクスを抜き出し、先手の一撃をあてると井出の阿修羅がサンダーホーンを突き刺してTWの内部から破壊する。
『勝機を逃すな! 圧して行く!!』
別の方向では機剣「レーヴァテイン」を使い尽くし、ビームコーティングナイフで間合いを詰めた攻めをアンジェリナ(
ga6940)と愛機リ・レイズは戦っていた。
『無理はしないで‥‥逃げられなくなったら負けよ』
アンジェリナの支援をしながらも周囲の状況を探り電子戦機と情報交換を続けるフォビア(
ga6553)が小型HWの接近を見ながら警戒を促がす。
プロトン砲の雨が酷くなり、敵も必死だった。
『まだまだ、新しくなったディスタンはそう簡単に落とされないよ!』
クロスエリア(
gb0356)はバージョンアップも新しいディスタンで攻撃を耐えながら戦線維持に努める。
第一フェイズに【IRS】らと共闘していた3機は電子戦機の交代時の情報交換も含めて粘れる限り粘って戦っていた。
『TWをさらに一機の撃破を確認。南西方面から基地への被害の広がりを確認。【空爆】や【空路確保】はその方面からの爆撃をしてくれ。その際は中型、大型HWへの警戒を忘れないように』
レイヴァー(
gb0805)が3機によって被害の広がった基地へと降り立ち情報を知らせる。
『任せてください、全力で守りますよ‥‥休む暇など与えん、終始釘付けにしてやる!』
レイヴァーの安全を確保するためにキムム君(
gb0512)が同じように基地の一角へ入り、90mm連装機関砲で基地の迎撃に出てきたゴーレムを相手にした。
『‥‥シルフィード。本当に、あんたなのか‥‥?』
キムム君と同じように2フェイズ目から戦場へたどり着いた宗太郎=シルエイト(
ga4261)は静かに呟く。
V1のときに確認された黒いイビルアイズ、第一フェイズ目での目撃情報がある限りこの戦場で遭遇する可能性は高かった。
(『きやがれ‥‥速さで勝負してやらぁ‥‥』)
ならばと、宗太郎はロンゴミニアトを上空に掲げて空打ちする。
思いを込めた咆哮が通じたか、上空からまさに風のような早さで黒いイビルアイズが宗太郎の方へ迫ってきた。
●Cleanup Operation
『クソッタレ、自爆作戦まで使ってきやがったか』
ブレイズ・S・イーグル(
ga7498)機は小型HWのタックルをストライクシールドで受け止めたが自爆の末吹き飛ばされて舌をうつ。
小隊【BKSR】は第一フェイズから戦場にいるも温存した戦いをしていたため、現在は掃討作戦中である。
『まいったね、どうします小隊長殿』
敵の攻撃を極力避けると共に間合いを詰められないようにスナイパーライフルで狙撃を続けながら周防 誠(
ga7131)はレティ・クリムゾン(
ga8679)に指示を仰いだ。
『‥‥被ダメージを減らせるようにローテーションを組みながら後退だ。自爆で数を減らせてもこちらの戦力が減っては意味が無い』
しばらく考えていたレティはスラスターライフルを使ってブレイズ達の支援を続けながら基地から離れるコースを取る。
第二フェイズも終盤に近いため、一度体勢を立て直す方が先決だ。
『了解です。電子戦機、敵機の数はどうなっていますか?』
『空戦担当ですけど、乱入しますよと。小型HWは殆ど消えていますね。第三フェイズに向けて続投しますので味方の到着地点まで支援いたしますよ』
カルマ・シュタット(
ga6302)の問いかけに古河 甚五郎(
ga6412)がデータを送りながら答える。
『無理せずにともいきたいですが、倒したいところですかね』
『ただ逃げろとはいわない、来る奴は歓迎してやれ』
カルマは状況を確認し終わると特攻を仕掛けてくる小型HWを避けつつトドメの長距離砲「アグニ」を当てて基地から距離を置き始めた。
●Third Step
『被害の少ないものは前に出て、被害や練力に不安があれば一歩下がって戦うんだ』
第三フェイズ、榊機が【アルファチーム】の全てを率いて【ブラボーチーム】と共に基地の中央で防衛をしている大型ヘルメットワームへ最後の攻撃を仕掛ける。
残っているのは大型ヘルメットワームが20機と中型ヘルメットワームが10機に基地を防衛しているゴーレムが10機、ヘルメットワームが7機ほどだ。
『敵機から熱源! 気をつけろ‥‥これは、カプロイアミサイルだ!』
亜夜が叫びを上げるがその声自体も大型HWの全てからばら撒かれたミサイルの波に飲みこまれて消える。
20機の大型HWから5000発に及ぶミサイルが飛び出し、【アルファチーム】と【ブラボーチーム】の双方を包み込んだ。
【アルファA分隊】のクーヴィル機が撃墜され、満身創痍となった機体も多数出てきた。
『追い詰めていたと思ったら最後に大きく出てきたということか‥‥被害は甚大、無理をせず各機、撤退を始めるように‥‥』
秋月がリンク先の消失を確認しながらも無事である機体の撤退を呼びかける。
【アルファB分隊】は搭乗者の練力切れによる撤退が続き、【アルファC分隊】、【アルファD分隊】は被害に撤退をよぎなくされた。
『今を持って【火消し】隊の隊長として動かせてもらう。無事なものはこのまま【アルファチーム】の撤退援護をする。大型HWを先に潰すぞ』
綾が【空路確保】とかねている面々に声をかけ、ロッテを組みながら大型HWの排除ヘ向かわせる。
数は少なくなったが、闘志が潰えたわけではなかった。
『【空爆】班の皆は無事か?』
『動けなくはないです‥‥しかし、やられました』
装甲の薄いフィルトのロビンから返事が返ってきたため九郎は一安心する。
『弾もないからソードウィングで挑むしかないが生きているさ』
『よし、ヒューイも藍紗も無事ならこのまま空戦に向かう。ウェイトになっている爆弾があるなら落としつつだ』
九郎はミサイルの波を撃ち込んで来た敵の方へ警戒を改めながら機体を傾ける。
中型HWが立ちはだかり、大型HWを守護するように九郎達へ攻撃を仕掛けてくるのだった。
●Persuade
「V1での借りを返させてもらうよ!」
宗太郎と戦う黒いイビルアイズへキョーコは47mm対空機関砲「ツングースカ」を撃ちながら間合いを詰める。
『こいつはシルフィードだ! キョーコさん』
ツングースカをバックステップのような動きで避けたイビルアイズへロンゴミニアトで追撃をしながら宗太郎は叫んだ。
「確かに、動きはあいつそのものだね‥‥」
V1グランプリという戦場[ゲーム]で戦ってきたライバルともいえる男の動きが目の前で繰り広げられている。
『‥‥タラナイ、マダ‥‥タラナイ』
地の底からわきあがってくるような声をイビルアイズは出しながら胸部の目から空間を歪めるものを放った。
『動きが同じだっていうのに‥‥今のあんたと走っても全然楽しくないんだよ!』
イビルアイズの攻撃を身をかがめることで避けた宗太郎はカウンターの動きに入る。
しかし、目の前にイビルアイズの姿はなかった。
『ヴィエント‥‥ソレガナマエダ』
低い声をだしたイビルアイズは宗太郎の背後に立ち練剣「雪村」のような光刃を向ける。
『宗太郎はやらせねぇよっ!』
貫かれると思った瞬間、NAMELESSのヘルヘブンが割り込んできて光刃を受け止めた。
宗太郎の変わりに貫かれたヘルヘブンは爆発するが、NAMELESSは辛うじて脱出している。
『【A&S】は”ヴィエント”の排除に迎え!』
セージの声と共に動けるメンバーが瓦礫の溢れる基地の中から集いヴィエントを囲みだした。
ゴーレムが援軍に雇用と動くも【IRS】や【FMS】、【BRSK】など体勢を立て直した陸戦部隊が押し返している。
「お前の求めている速さってのはバグアなんかの力で得るものだったのかい! 速さへの信念はどこへいったっ!」
一瞬、止まった時をキョーコが動かす。
ありったけの思いを込めて脚部をねらって高分子レーザー砲を放った。
『シン‥‥ネン‥‥』
静かに言葉を漏らしながらもキョーコの攻撃を避けるヴィエントだったが【A&S】隊の面々が牽制攻撃を加え移動範囲を狭める。
『いくぜスクレイパー‥‥突っ走れぇぇ!』
そして、追い込みのタイミングを見計らっていた宗太郎がブーストを使い、ロンゴミニアトを腰だめに構えてランスチャージを放った。
ヴィエントの胸部の目に突き刺さり爆発と共にヴィエントは後方へ吹き飛ぶが、慣性制御で受身を取って浮き上がる。
(「迷いが合ったのかどうかさえわからないが、人間らしくない動きだね。あいつは何だというんだい?」)
コックピットの中で考えてみるが、答えは見えてこなかった。
『‥‥テッタイスル』
何事もなかったかのようにヴィエントは呟くと本星HWと同じ強化型フォースフィールドを張ると空へと消えて行く。
『本当にあんたなのか‥‥なんで戦わなきゃならないんだよ‥‥シルフィードっ!』
去っていく悪魔のようなイビルアイズを見送りながら、宗太郎は槍を地面に突き立てた。
●The End Of The War
『敵の反応ロスト。この場所に戦力は残っていません』
「終わりましたか‥‥」
最後の一機にトドメをさした陽子はハンナから連絡を聞くとシートに深く腰をかけて息をついた。
多くの戦力を投入し撃墜機も多かったが、幸い死者の報告は無かった。
『お疲れさん、あとの制圧はUPC南中央軍が行うから一時休みな。KVの飯とあんたらの飯もあるさね』
ベルディット=カミリア(gz0016)が給油機と少数ではあるが南中央軍のKV隊を引き連れながらボゴタ基地へ着陸する。
陽子がみるとタートルワームや、ゴーレムの残骸や基地そのものの瓦礫が広がり戦争の爪あとと月並みに形容されるものがそこにあった。
「ベルディットさんありがとうございます。練力がないとラストホープに帰ることも出来ないですからね」
『クルセイロ・ド・スウルに疲労で運ばれたのもかなりいるから、しばらくは休んでいくことさね』
「指揮系統がそれほどあったわけではないですけど、エースがもっと多ければ勝てなかったかもしれません‥‥ですが、今はこの勝利を素直に喜びたいともいます」
報告を聞いた陽子は思うところあれど、勝てたという事実をかみ締め次に備えようと基地の方へ着陸する。
『そういえば、いつも戦場というか最前線でしかベルディット君とは合わないね‥‥今夜空いているなら一杯どうだい?』
クリスが陽子と話しているベルディットへ話しかけてくる。
【ブラボーチーム】は全体の3分の2がカプロイアミサイル5000発の波に飲まれて沈んでいた。
搭乗者は無事回収されており被弾したKVもUPC南中央軍が回収することになっているため、鹵獲の心配はない。
『事後処理で忙しいんでね、またラストホープに出向いたときに頼むさ。今後についてもちょいと話したいこともあるんさ』
ベルディットはすまなさそうに答えると通信をきって作業に戻った。
「今後について‥‥どこまで私達にできるかわかりませんが平穏が訪れるまで戦いつづけましょう」
話を静かに聞いていた陽子は自らに誓いを立てる。
2009年10月 コロンビアのボゴタ基地は陥落した‥‥。